説明

移動体レンタル管理システム、移動体レンタルシステム、及びコンピュータプログラム

【課題】レンタルした移動体の継続利用の動機づけとなるような追加的な情報を利用者に提供する。
【解決手段】管理システム1は、複数の店舗の所在地情報及び属性情報を保持している店舗データベース13にアクセスすることによって、利用者に貸し出されて利用者を載せて走行可能な移動体6が現在位置している又は過去に位置した第1の店舗と関連する属性を持ち、かつ第1の店舗の所在地又は移動体6の現在位置との間で所定の距離条件を満足する第2の店舗を判定する。管理システム1は、通信ネットワーク7を介して第2の店舗に関する情報を移動体6に送信する。そして、管理システム1は、第2の店舗に関する情報の移動体6への提供に応じて、移動体6のレンタル料金を減額する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、自転車等の移動体のレンタルシステムに関し、特に、移動体のレンタル料金の割引を含む貸し出し管理に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ無線通信等の無線通信システム、GPS(Global Positioning System)等の位置計測システム、及び電子決済システムといった情報通信技術を、自動車および自転車等の移動体のレンタルシステムに適用することが知られている。情報通信技術の利用によって、移動体の貸出・返却処理の効率化(無人化)や、移動体の位置情報・移動経路を反映することによるレンタル料金計算の多様化などが行われている。
【0003】
特許文献1には、貸し出された移動体の乗車距離および乗車時間に応じてレンタル料金を計算する移動体レンタルシステムが開示されている。具体的には、移動体(例えば自転車)にGPS機能および無線通信機能が配置され、移動体は、一定時間毎に取得した現在位置を運営会社のサーバ装置に送信する。サーバ装置は、収集した移動体の位置情報を用いて計算した乗車距離および乗車時間に従ってレンタル料金を決定し、レンタル料金の電子決済を行う。
【0004】
特許文献2には、予め定められた返却場所に移動体が返却された場合に、当該移動体のレンタル料金の割引を行う移動体レンタルシステムが開示されている。具体的には、移動体(例えば自転車)にGPS機能が配置され、移動体の利用終了時の駐車位置がGPS機能を用いて取得される。そして当該システムは、移動体の駐車位置が予め定められた場所(例えば、駅前の駐輪場、商業店舗の敷地内など)に該当すると判定した場合に、電子決済においてレンタル料金を減額する。
【0005】
特許文献3には、貸し出された移動体の位置情報に応じた広告情報を移動体に送信し、広告情報の提供を条件としてレンタル料金の割引を行う移動体レンタルシステムが開示されている。具体的には、当該システムは、移動体の現在位置を取得し、移動体の現在位置の近くに所在する店舗等に関する広告情報を移動体に送信する。そして、当該システムは、広告情報の提供者から徴収する広告料の一部又は全部に相当する金額を当該移動体のレンタル料金から減額する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−133510号公報
【特許文献2】特開2004−199163号公報
【特許文献3】特開2002−163550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように特許文献2及び3に記載の発明によれば、移動体を借りた利用者は、予め定められた店舗に立ち寄ったり、予め定められた店舗の付近に近づいて広告情報を受信したりすることで、レンタル料金の割引を享受できる。このような移動体の移動経路を考慮した課金(レンタル料金の割引)を行うことで、利用者の立場では、レンタルした移動体の利用時間及び移動距離が増大したとしても店舗に立ち寄ることで割引を受けられるため、移動体のレンタルサービスを積極的に利用する動機づけとなる。一方、店舗運営者の立場では、移動体レンタルサービス利用者の集客が期待できる。従って、特許文献2及び3に記載の発明によれば、移動体のレンタルサービスの活用が促進されると考えられる。
【0008】
本願の発明者は、例えばショッピングモール等の比較的広い敷地面積を持つ施設において、来場者の歩行を補助する目的で移動体のレンタルサービスを行う場合を想定して検討を行った。このようなケースを想定すると、特許文献2及び3に記載の発明は、利用者にとって移動体の利用を継続する動機付けとなる材料が乏しいという問題がある。何故なら、特許文献2及び3に記載の発明は、1つの店舗又はその近傍に立ち寄ったレンタルサービスの利用者に対して次の移動を促すような近傍の店舗に関する追加的な情報を提供することができないためである。
【0009】
本発明は、上述した発明者の知見に基づいてなされたものであって、レンタルした移動体の継続利用の動機づけとなるような近傍の店舗に関する追加的な情報を利用者に提供することが可能な移動体レンタル管理システム、移動体レンタルシステム、及びコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、移動体レンタル管理システムに関する。当該管理システムは、複数の店舗の所在地情報及び前記複数の店舗の属性情報を保持している記憶手段にアクセスすることによって、利用者に貸し出されて前記利用者を載せて走行可能な移動体が現在位置している又は過去に位置した第1の店舗と関連する属性を持ち、かつ前記第1の店舗の所在地又は前記移動体の現在位置との間で所定の距離条件を満足する第2の店舗を判定するよう構成されている。さらにまた、当該管理システムは、通信ネットワークを介して前記第2の店舗に関する情報を前記移動体に送信するよう構成されている。そして、当該管理システムは、前記第2の店舗に関する情報の前記移動体への提供に応じて、前記移動体のレンタル料金を減額するよう構成されている。
【0011】
本発明の第2の態様は、移動体レンタルシステムに関する。当該レンタルシステムは、上述した本発明の第1の態様に係るレンタル管理システムと、移動体を含む。前記移動体は、前記通信ネットワークを介して前記第2の店舗に関する情報を受信するよう構成されるとともに、前記第2の店舗に関する情報を視覚及び聴覚の少なくとも一方により前記利用者に認知されるよう表示するよう構成されている。
【0012】
本発明の第3の態様は、コンピュータプログラムに関する。当該コンピュータプログラムは、以下に列挙する2つの手段としてコンピュータを機能させる。
(2)複数の店舗の所在地情報及び前記複数の店舗の属性情報を保持している記憶手段にアクセスすることによって、利用者に貸し出されて前記利用者を載せて走行可能な移動体が現在位置する又は過去に位置した第1の店舗と関連する属性を持ち、かつ前記第1の店舗の所在地又は前記移動体の現在位置との間で所定の距離条件を満足する第2の店舗を判定する判定手段;及び
(3)前記第2の店舗に関する情報の前記移動体への提供に応じて、前記移動体のレンタル料金を減額する料金計算手段。
【0013】
上述した本発明の第1〜第3の態様によれば、移動体に搭乗した利用者が立ち寄った店舗と関連する属性(例えば、店舗の業種、取扱商品、又は提供可能サービスの類似性)を持ち、かつ所定の距離条件(例えば、立ち寄った店舗から所定の距離範囲内である、又は立ち寄った店舗から最も近い)を満足する他の店舗の情報を移動体に提供でき、利用者は移動体を介して他店舗の情報を認知できる。立ち寄った店舗に関連する他の店舗が近くに存在していることを認知できれば、利用者はその店舗を訪れてみたいと考え、移動体の利用を継続することが期待できる。つまり、上述した本発明の第1〜第3の態様によれば、移動体の利用を継続する動機付けとなる利用者の興趣を喚起することができる。
【0014】
さらに、上述した本発明の第1の態様において、前記管理システムは、前記第1の店舗での前記利用者の購入商品又は利用サービスの情報を取得するように構成されてもよい。この場合、前記管理システムは、前記購入商品又は前記利用サービスに関連する商品又はサービスを提供可能な店舗を前記第2の店舗として判定すればよい。本発明の第2及び第3の態様に関してもこれと同様に構成されてもよい。このような構成によれば、他店舗の情報を提供するに際して、利用者の嗜好をより的確に反映することができる。
【0015】
さらにまた、上述した本発明の第1の態様において、前記管理システムは、前記第1の店舗での前記利用者の購入商品又は利用サービスの価格に応じて前記レンタル料金の減額幅を決定するよう構成されてもよい。本発明の第2及び第3の態様に関してもこれと同様に構成されてもよい。このような構成によれば、商品購入・サービス利用によってレンタル料金の割引を得られるため、利用者の商品購入・サービス利用を促進することができ、店舗運営者の売り上げ向上を図ることができ、ひいては移動体レンタルサービスの利用促進を図ることができる。
【0016】
さらにまた、上述した本発明の第1の態様において、前記管理システムは、前記位置情報に基づいて、前記移動体の前記第1又は第2の店舗での滞在時間を計算し、前記滞在時間の長さに応じて前記レンタル料金を減額する処理をさらに行うよう構成されてもよい。本発明の第2及び第3の態様に関してもこれと同様に構成されてもよい。このような構成によれば、利用者はゆっくりと店舗を利用することができるため、利用者の商品購入・サービス利用を促進することができ、店舗運営者の売り上げ向上を図ることができ、ひいては移動体レンタルサービスの利用促進を図ることができる。
【0017】
さらにまた、上述した本発明の第1の態様において、前記管理システムは、前記第1及び第2の店舗のうち少なくとも1つを含む店舗群への前記移動体の入店数に応じて、前記レンタル料金を減額する処理をさらに行うよう構成されてもよい。本発明の第2及び第3の態様に関してもこれと同様に構成されてもよい。このような構成によれば、利用者が多くの店舗を訪れる動機付けを与えることができるため、利用者の店舗利用を促進でき、店舗運営者の売り上げ向上を図ることができ、ひいては移動体レンタルサービスの利用促進を図ることができる。
【0018】
さらにまた、上述した本発明の第2の態様において、前記移動体は、前記第2の店舗に関する情報に含まれる第2の店舗の所在地情報に基づいて、前記第2の店舗の所在地に向けて自律的に走行するべく前記移動体の移動機構を制御するよう構成されてもよい。このような構成によれば、移動体の自動案内によって他の店舗に到着できるため、利用者が迷うことなく他の店舗を速やかに訪問でき、移動体の利用を継続する動機付けとなる利用者の興趣をより一層喚起することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明の各態様によれば、レンタルした移動体の継続利用の動機づけとなるような追加的な情報を利用者に提供することが可能な移動体レンタル管理システム、移動体レンタルシステム、及びコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる移動体レンタルシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示したレンタル管理システムによるレンタル料金の割引処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示した店舗データベースに保持されるデータの具体例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる移動体レンタルシステムの他の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4に示したレンタル管理システムによるレンタル料金の割引処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる移動体レンタルシステムの構成例を示すブロック図である。
【図7】図6に示したレンタル管理システムによるレンタル料金の割引処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0022】
<発明の実施の形態1>
図1は、本実施の形態に係る移動体レンタルシステムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る移動体レンタルシステムは、レンタル管理システム1及び移動体6を含む。移動体6は、利用者に貸し出される。管理システム1と移動体6は、通信ネットワーク7を介して通信可能である。通信ネットワーク7は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、通信事業者のネットワーク、若しくはインターネット、又はこれらの組合せである。
【0023】
移動体6は、移動機構60を有し、人を載せて走行できるよう構成されている。移動機構60は、車輪、脚部リンク等の接地要素と、接地要素を駆動するためのモータ又はエンジン等の駆動部を含む。ショッピングモール等の施設では、歩行を補助する程度の最高速度が要求されるから、電動式の平行二輪車、電動車椅子、電動カート等を移動体6として用いるとよい。しかしながら、移動体6は、その他の車両、例えば、自動車、オートバイなどでもよい。また、本実施の形態では、移動体6は、例えば自転車のように、駆動部を有していない車両でもよい。
【0024】
さらに、図1に示した移動体6は、位置検出部61及び無線通信部62を有する。位置検出部61は、移動体6の現在位置を検出し、現在位置を示す位置情報を生成する。現在位置の検出は様々な公知の手法のいずれかを用いて行えばよい。なお、本実施の形態では、移動体6が位置している店舗を特定できる程度の測位精度が得られれば良い。例えば、位置検出部61は、GPS(Global Positioning System)受信機を有し、GPS受信機によって現在位置を検出してもよい。また、位置検出部61は、複数の無線LANアクセスポイントからの無線信号の受信結果を、無線アクセスポイントの配置を記録したデータベースと照合することによって位置検出を行ってもよい。また、位置検出部61は、最も受信電力の強い無線LANアクセスポイントからの受信信号に含まれるアクセスポイントIDを自身の位置情報として利用してもよい。例えば、無線LANアクセスポイントを各店舗に配置しておけば、移動体6が現在位置している店舗を特定するための位置情報として、アクセスポイントIDを利用することができる。また、位置検出部61は、移動体6の接地要素としての車輪のオドメトリを取得し、オドメトリを用いて移動体6の位置を推定してもよい。
【0025】
無線通信部62は、通信ネットワーク7を介してレンタル管理システム1と通信可能に構成されている。無線通信部62には、公知の無線通信方式、例えば無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、又はcdma2000等、に準拠した送受信機を用いればよい。
【0026】
表示部63は、管理システム1から送信された近隣店舗に関する情報(以下、近隣店舗情報)を無線通信部62を介して取得し、近隣店舗情報を視覚及び聴覚の少なくとも一方により利用者に認知されるよう表示する。表示部63は、ディスプレイ若しくはスピーカ又はこれらの組合せとすればよい。近隣店舗情報の詳細については後述する。
【0027】
続いて、レンタル管理システム1が有する各要素について説明する。通信インタフェース10は、通信ネットワーク7に接続し、データ送受信を行う。位置情報取得部11は、移動体6の位置情報を、通信ネットワーク7及び通信インタフェース10を介して取得する。移動体6の位置情報は、上述したように、移動体6が位置している店舗を特定するのに十分な情報(GPSで得られた緯度・経度、アクセスポイントID等)を含む。移動体6の位置情報は、例えば、通信事業者等が管理する位置情報の提供サーバから取得されてもよい。
【0028】
現在店舗判定部12は、位置情報に基づいて移動体6が位置している現在店舗を判定する。例えば移動体6の位置情報がGPSで得られた緯度・経度を示す場合、現在店舗判定部12は、地図情報と照合して現在店舗を判定すればよい。GPSで得られた緯度・経度に基づく現在店舗の判定には、インターネット上で利用可能な地図API(Application Programming Interface)を利用してもよい。また、移動体6の位置情報が、無線LANアクセスポイントIDを示す場合、現在店舗判定部12は、アクセスポイントIDと店舗との対応関係を定めた情報に基づいて現在店舗を判定すればよい。アクセスポイントIDと店舗との対応関係を定めた情報は、後述する店舗データベース13に格納しておけばよい。なお、現在店舗判定部12によって判定される現在店舗は、判定時に移動体6が厳密に位置している店舗である必要はなく、移動体6が過去に位置した店舗(過去に通過した店舗)であってもよい。
【0029】
店舗データベース13は、複数の店舗(例えばショッピングモール内の店舗)の所在地情報及び属性情報を保持する。店舗の所在地情報には、緯度・経度、住所、郵便番号、ショッピングモール内の出店ブース番号などを用いればよい。店舗の属性情報は、業種、取扱商品、提供可能サービス等に基づいて店舗を分類する識別子である。属性情報は、店舗の業種、取扱商品、及び提供可能サービスのうち少なくとも1つの類似性に基づいて定められた識別子としてもよい。例えば、"女性衣料"、"男性衣料"、"食品"、"書籍"、"医薬品"、"レストラン"などの取扱商品及び提供可能サービスを基準とする識別子を決定しておき、これらの識別子のうち対応するものを各店舗に割り当てればよい。
【0030】
図3(A)〜(D)は、店舗データベース13に保持されるデータの具体例を示している。図3(A)の例では、"住所"を店舗の所在地情報として使用し、店舗の業種を表わす"業種コード"を属性情報として使用している。図3(B)の例では、"郵便番号"を店舗の所在地情報として使用し、店舗で提供される商品・サービスを表わす"商品・サービスコード"を属性情報として使用している。図3(C)の例では、"緯度・経度"を店舗の所在地情報として使用し、店舗の業種を表わす"業種コード"を属性情報として使用している。最後に、図3(D)の例では、ショッピングモール内での店舗位置を特定可能な "ブース記号"を店舗の所在地情報として使用し、店舗で提供される商品・サービスを表わす"商品・サービスコード"を属性情報として使用している。
【0031】
なお、店舗データベース13は、管理システム1からアクセス可能であればよい。図1の例では、店舗データベース13が管理システム1内に配置されているが、このような配置は一例である。例えば、店舗データベース13は、管理システム1が通信ネットワークを介してアクセスできる外部サーバに配置されてもよい。また、店舗の所在地情報と店舗の属性情報とは、物理的に切り離された別個の記憶装置に保持されてもよい。この別々の記憶装置の管理主体は異なっていてもよい。
【0032】
図1に戻って説明を続ける。近隣店舗判定部14は、店舗データベース13にアクセスすることによって、現在店舗判定部12により判定された現在店舗と関連する属性を持ち、かつ現在店舗の所在地との間で所定の距離条件を満足する近隣店舗を判定する。なお、近隣店舗判定部14は、現在店舗の所在地に代えて、移動体の現在位置との間で所定の距離条件を満足する店舗を判定してもよい。上述したように、移動体6が過去に位置した店舗を現在店舗として判定する場合には、移動体6の現在位置を用いて近隣店舗を判定するほうが、移動体6から近い店舗を正確に選択できると考えられる。
【0033】
具体例を述べると、近隣店舗判定部14は、店舗属性に関して、現在店舗の属性情報と同じ又は類似する属性情報を持つ店舗を選択すればよい。店舗属性の類似性は、消費者の嗜好、購買動向等に基づいて予め定めておけばよい。また、距離条件に関しては、例えば、現在店舗の所在地又は移動体6の現在位置を中心として所定の距離範囲内にあることとすればよい。また、他の例として、現在店舗の所在地又は移動体6の現在位置から最も近いことを距離条件としてもよい。
【0034】
情報送信部15は、近隣店舗判定部14によって判定された近隣店舗に関する情報(近隣店舗情報)を、通信インタフェース10、通信ネットワーク7を介して移動体6に送信する。近隣店舗情報は、移動体6の利用者が、近隣店舗の名称、所在地等を認知できる情報を含んでいればよい。例えは、近隣店舗情報は、近隣店舗の名称および所在地を案内する音声情報若しくは映像情報とすればよい。また、近隣店舗情報は、取扱商品の紹介、セール情報などの広告情報を含んでもよい。近隣店舗情報は、店舗データベース13に保持されてもよいし、図示していない遠隔の記憶装置に配置されてもよい。また、近隣店舗情報の送信は、管理システム1とは別の情報配信システムによって行われてもよい。
【0035】
料金計算部16は、移動体6のレンタル料金を計算する。料金計算部16は、公知のレンタル料金の計算で行われているように、レンタル時間、移動体の走行距離等を指標とする料金基準(料金表)に基づいて移動体6のレンタル料金を計算すればよい。さらに、本実施の形態に係る料金計算部16は、移動体6のレンタル料金の計算に際して、移動体6への近隣店舗情報の提供が行われたことに応じて、移動体6のレンタル料金を減額する割引処理を行う。レンタル料金の減額幅は、近隣店舗情報の提供や移動体レンタルシステムの設置の対価として近隣店舗の運営者やショッピングモールの運営者等から徴収する金額等に応じて、経済的な視点に基づき適宜定められる事項である。
【0036】
なお、料金計算部16によって計算されたレンタル料金の決済は、公知の決済手法を用いて行われればよい。例えば、クレジットカード、電子マネー、銀行口座引き落とし等で、レンタル料金の電子的な決済処理が行われてもよい。また、レンタル料金の支払いは、移動体6の返却時に現金支払いによって行われてもよい。
【0037】
続いて、管理システム1によるレンタル料金の割引処理の具体例について説明する。図2は、管理システム1によるレンタル料金の割引処理の手順を示すフローチャートである。ステップS10において、位置情報取得部11は移動体6の位置情報を取得する。ステップS11において、現在店舗判定部12は、移動体6の位置情報に基づいて現在店舗を判定する。ステップS12において、近隣店舗判定部14は、店舗データベース13にアクセスすることにより、現在店舗との間で属性および距離に関する所定の条件を満足する近隣店舗を判定する。ステップS13において、情報送信部15は、近隣店舗情報を移動体6に対して送信する。ステップS14において、料金計算部16は、近隣店舗情報の移動体6への送信に応じて、移動体6のレンタル料金を減額する割引処理を行う。
【0038】
上述したように、本実施の形態に係る移動体レンタルシステムは、移動体6をレンタルした利用者が立ち寄った店舗と関連する属性(例えば、店舗の業種、取扱商品、又は提供可能サービスの類似性)を持ち、かつ所定の距離条件(例えば、立ち寄った店舗から所定の距離範囲内である、又は立ち寄った店舗から最も近い)を満足する近隣店舗の情報を移動体6に提供できる。利用者は、移動体6の表示部63を介して近隣店舗の情報を認知できる。つまり、本実施の形態は、利用者が移動体6に搭乗して立ち寄った店舗との間で関連性の高い近隣の店舗の情報を利用者に適用できるため、移動体6の利用を継続する動機付けとなる利用者の興趣を喚起することができる。
【0039】
ところで、上述の説明では、移動体6が現在位置する又は過去に位置した店舗(現在店舗)を判定するために、移動体6に位置検出部61を配置する例を示した。しかしながら、例えば、移動体6から送信される無線信号を店舗に設置された無線受信装置が受信することによって、特定の店舗に特定の移動体6が到着したことを認識することも可能である。この場合、移動体6に位置検出部61を配置する必要は無い。
【0040】
図4は、店舗に設置された無線LANアクセスポイント80が移動体6の送信信号を受信することによって現在店舗を判定するよう変形された管理システム1を示している。また、図5は、図4に示したレンタル管理システムによるレンタル料金の割引処理の手順を示すフローチャートである。アクセスポイント80は、移動体6の送信信号を受信することで移動体6の存在を検知すると、自身のアクセスポイントIDを管理システム1に送信する。図4の管理システム1が有すAP情報取得部17は、通信ネットワーク7及び通信インタフェース10を介して、アクセスポイント80から通知されるアクセスポイントIDを取得する(図5のステップS20)。現在店舗判定部12は、AP情報取得部17によって取得されたアクセスポイントIDを用いて、現在店舗を判定する(図5のステップS21)。図5のステップS12〜S14における処理内容は、図2に示したS12〜S14と同様であるため説明を省略する。
【0041】
<発明の実施の形態2>
本実施の形態では、上述した発明の実施の形態1の変形例について説明する。図6は、本実施の形態に係る移動体レンタルシステムの構成例を示すブロック図である。本実施の形態のレンタル管理システム2は、移動体6の利用者の購入商品又は利用サービスに関連する商品又はサービスを提供可能な近隣店舗を判定する。
【0042】
図6において、POS(Point of Sale)レジ端末81は、店舗に設置されており、移動体6の利用者の会計時に購入商品又は利用サービスの情報を取得し、これをレンタル管理システム2に送信する。移動体6の利用者による商品購入・サービス利用であることを管理システム2が認識できるようにするため、POSレジ端末81は、会計時に使用された電子マネーICカード、クレジットカードの情報を購入商品・利用サービスの情報と共に送信すればよい。また、管理システム2による現在店舗の特定を可能とするため、POSレジ端末81は、購入商品・利用サービスの情報に購入・利用した店舗の識別情報を含めるとよい。
【0043】
なお、移動体6の利用者の購入商品・利用サービスの情報は、POSレジ端末81を使用することなく、管理システム2に送信することも可能である。例えば、移動体6の利用者が持つ携帯電話端末から管理システム2に購入商品・利用サービスの情報を送信してもよい。また、例えば、移動体6にバーコード読み取り部を配置しておき、これによって取得された購入商品のバーコード情報を移動体6から管理システム2に送信してもよい。
【0044】
購入履歴取得部21は、移動体6の利用者の購入商品・利用サービスの情報を、通信ネットワーク7及び通信インタフェース10を介して取得する。近隣店舗判定部14は、移動体6の利用者の購入商品・利用サービスの情報に基づいて、移動体6の利用者の購入商品又は利用サービスに関連する商品又はサービスを提供可能な近隣店舗を判定する。
【0045】
図7は、図6に示したレンタル管理システムによるレンタル料金の割引処理の手順を示すフローチャートである。ステップS30において、購入履歴取得部21は、移動体6の利用者の購入商品・利用サービスの情報(購入履歴)を取得する。ステップS31において、近隣店舗判定部14は、購入商品・利用サービスの情報に含まれる店舗識別情報に基づいて、現在店舗を判定する。図7のステップS12〜S14における処理内容は、図2に示したS12〜S14と同様であるため説明を省略する。
【0046】
本実施の形態では、実際に購入・利用した商品・サービスの情報を利用するため、近隣店舗の情報を提供する際に利用者の嗜好をより的確に反映することができる。
【0047】
<その他の実施の形態>
上述した発明の実施の形態1及び2におけるレンタル料金の割引処理に加えて、移動体6の利用者の購入商品又は利用サービスの価格に応じてレンタル料金の減額幅を決定する処理を行ってもよい。このような構成によれば、商品購入・サービス利用によってレンタル料金の割引を得られるため、利用者の商品購入・サービス利用を促進することができ、店舗運営者の売り上げ向上を図ることができ、ひいては移動体レンタルサービスの利用促進を図ることができる。
【0048】
また、上述した発明の実施の形態1及び2におけるレンタル料金の割引処理に加えて、移動体6の現在店舗は近隣店舗での滞在時間を計算し、滞在時間の長さに応じてレンタル料金を減額する処理を行ってもよい。滞在時間の長さの計算は、移動体6の位置情報を定期的に収集し、移動体6の位置の時間変化を追跡することによって行えばよい。このような構成によれば、利用者はゆっくりと時間をかけて店舗を利用することができるため、利用者の商品購入・サービス利用を促進することができ、店舗運営者の売り上げ向上を図ることができ、ひいては移動体レンタルサービスの利用促進を図ることができる。
【0049】
また、上述した発明の実施の形態1及び2におけるレンタル料金の割引処理に加えて、現在店舗及び近隣店舗のうち少なくとも一方を含む店舗群への移動体6(利用者)の入店数に応じて、レンタル料金を減額する処理を行ってもよい。入店数を計測する対象店舗は、例えば、移動体レンタルサービスの加盟店舗の全てとしてもよいし、その一部としてもよい。このような構成によれば、利用者が多くの店舗を訪れる動機付けを与えることができるため、利用者の店舗利用を促進でき、店舗運営者の売り上げ向上を図ることができ、ひいては移動体レンタルサービスの利用促進を図ることができる。
【0050】
また、上述した各実施の形態において、移動体6は、近隣店舗に関する情報に含まれる近隣店舗の所在地情報に基づいて、近隣店舗の所在地に向けて自律的に走行するべく移動機構60を制御するよう構成されてもよい。このような構成によれば、移動体6の自動案内によって他の店舗に到着できるため、利用者が迷うことなく他の店舗を速やかに訪問でき、移動体6の利用を継続する動機付けとなる利用者の興趣をより一層喚起することができる。
【0051】
また、上述した各実施の形態で述べたレンタル管理システム1、2によるレンタル料金の割引処理、例えば図2、図5、図7のフローチャートに示した処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)若しくはCPU(Central Processing Unit)又はこれらの組み合わせを含むコンピュータ・システムを用いて実現することができる。具体的には、これらの処理手順に関する命令群を含む1又は複数のプログラムをコンピュータ・システムに実行させればよい。
【0052】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0053】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1、2 レンタル管理システム
6 移動体
10 通信インタフェース
11 位置情報取得部
12 現在店舗判定部
13 店舗データベース
14 近隣店舗判定部
15 情報送信部
16 料金計算部
17 AP情報取得部
21 購入履歴取得部
60 移動機構
61 位置検出部
62 無線通信部
63 表示部
80 無線アクセスポイント
81 POS(Point of Sale)レジ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の店舗の所在地情報及び前記複数の店舗の属性情報を保持している記憶手段にアクセスすることによって、利用者に貸し出されて前記利用者を載せて走行可能な移動体が現在位置している又は過去に位置した第1の店舗と関連する属性を持ち、かつ前記第1の店舗の所在地又は前記移動体の現在位置との間で所定の距離条件を満足する第2の店舗を判定する判定手段と、
無線通信ネットワークを介して前記第2の店舗に関する情報を前記移動体に送信する送信手段と、
前記第2の店舗に関する情報の前記移動体への提供に応じて、前記移動体のレンタル料金を減額する料金計算手段と、
を備える、
移動体レンタル管理システム。
【請求項2】
前記第1の店舗での前記利用者の購入商品又は利用サービスの情報を取得する手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記購入商品又は前記利用サービスに関連する商品又はサービスを提供可能な店舗を前記第2の店舗として判定する、
請求項1に記載の移動体レンタル管理システム。
【請求項3】
前記料金計算手段は、前記第1の店舗での前記利用者の購入商品又は利用サービスの価格に応じて前記レンタル料金の減額幅を決定する、請求項1又は2に記載の移動体レンタル管理システム。
【請求項4】
前記位置情報に基づいて、前記移動体の前記第1又は第2の店舗での滞在時間を計算する滞在時間計算手段をさらに備え、
前記料金計算手段は、前記滞在時間の長さに応じて前記レンタル料金を減額する処理をさらに行う、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動体レンタル管理システム。
【請求項5】
前記料金計算手段は、前記第1及び第2の店舗のうち少なくとも1つを含む店舗群への前記移動体の入店数に応じて、前記レンタル料金を減額する処理をさらに行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンタル管理システム。
【請求項6】
前記属性情報は、店舗の業種、取扱商品、及び提供可能サービスのうち少なくとも1つの類似性に基づいて定められた識別子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動体レンタル管理システム。
【請求項7】
前記判定手段は、前記移動体の位置を示す位置情報を用いて、前記第1の店舗を特定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の移動体レンタル管理システム。
【請求項8】
前記判定手段は、店舗に設置された通信装置が前記移動体からの無線信号を検出したことに基づいて前記第1の店舗を特定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の移動体レンタル管理システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の移動体レンタル管理システムと、
前記無線通信ネットワークを介して前記第2の店舗に関する情報を受信する受信手段、及び前記第2の店舗に関する情報を視覚及び聴覚の少なくとも一方により前記利用者に認知されるよう表示する表示手段を有する移動体と、
を備える、
移動体レンタルシステム。
【請求項10】
前記第2の店舗に関する情報は、前記第2の店舗の所在地情報を含み、
前記移動体は、前記第2の店舗に関する情報に基づいて、前記第2の店舗の所在地に向けて自律的に走行するべく前記移動体の移動機構を制御する走行制御手段をさらに備える、
請求項9に記載の移動体レンタルシステム。
【請求項11】
複数の店舗の所在地情報及び前記複数の店舗の属性情報を保持している記憶手段にアクセスすることによって、利用者に貸し出されて前記利用者を載せて走行可能な移動体が現在位置している又は過去に位置した第1の店舗と関連する属性を持ち、かつ前記第1の店舗の所在地又は前記移動体の現在位置との間で所定の距離条件を満足する第2の店舗を判定する判定手段、及び
前記第2の店舗に関する情報の前記移動体への提供に応じて、前記移動体のレンタル料金を減額する料金計算手段、
としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記第1の店舗での前記利用者の購入商品又は利用サービスの情報を取得する手段として前記コンピュータをさらに機能させ、
前記判定手段は、前記購入商品又は前記利用サービスに関連する商品又はサービスを提供可能な店舗を前記第2の店舗として判定する、
請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記位置情報に基づいて、前記移動体の前記第1又は第2の店舗での滞在時間を計算する滞在時間計算手段として前記コンピュータをさらに機能させ、
前記料金計算手段は、前記滞在時間の長さに応じて前記レンタル料金を減額する処理をさらに行う、
請求項11又は12に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−94042(P2012−94042A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242150(P2010−242150)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】