移動体制御情報伝送装置
【課題】移動物体に簡略に移動体制御情報を伝送しようとする。
【解決手段】導電性材料でなる筐体本体の開口を閉塞したしゃ蔽網部材を、複数の導電性素材をしゃ蔽制御用ダイオードによって電気的に接続又は切離し動作させることによって筐体本体内に設けた移動体制御情報発信タグから放射される移動体制御情報電波をしゃ蔽動作又は透過動作するようにしたことにより、簡易な構成によって移動体に対して移動体制御情報を伝送できる移動体制御情報伝送装置を実現できる。
【解決手段】導電性材料でなる筐体本体の開口を閉塞したしゃ蔽網部材を、複数の導電性素材をしゃ蔽制御用ダイオードによって電気的に接続又は切離し動作させることによって筐体本体内に設けた移動体制御情報発信タグから放射される移動体制御情報電波をしゃ蔽動作又は透過動作するようにしたことにより、簡易な構成によって移動体に対して移動体制御情報を伝送できる移動体制御情報伝送装置を実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体制御情報伝送装置に関し、例えば列車などの運転に必要な制御情報を移動体に伝達する場合に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
予め布設された移動用軌道上を移動する移動体が移動用軌道の所定位置を通過する際に、当該移動体に対して移動に関する制御情報(これを移動体制御情報と呼ぶ)を伝送する手段として、例えば列車制御装置について運転に関する情報(これを運転制御情報と呼ぶ)を伝送する地上子を用いたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来の移動体制御情報伝送装置は、当該地上子の位置を列車が通過したとき、信号機制御装置から信号機に与えられる制御信号に基づいて赤色現示、黄色現示及び青色現示の内容に対応する応動動作をし得るように構成されている。
【特許文献1】特開平8−2414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところがこの従来の移動体制御情報伝送手段は、列車専用の装置として特別に製作されたもので、汎用性に欠けしかも非常に高価である。また制御情報を列車に与えるための伝送信号の周波数が低いために送出情報数と列車が通過する際の受信範囲に制約があり、これを増やそうとすると地上子を大きなものにせざるを得なかった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、移動体に対する移動情報の伝送をできるだけ汎用性の大きい回路要素を用いた簡易な構成によってなし得るようにした移動体制御情報伝送装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、導電性材料でなり、開口11Aを有する筐体本体11Bと、筐体本体11Bの上記開口11Aを閉塞するしゃ蔽網部材11C2と、筐体本体11B内に設けられ、予め記憶手段25に格納している移動体制御情報データによって搬送波を変調してなる移動体制御情報電波INFを送出する移動体制御情報発信タグ12と、しゃ蔽網部材11C2をしゃ蔽動作又は透過動作させるしゃ蔽制御部31とを具え、しゃ蔽網部材11C2は、搬送波をしゃ蔽又は透過する複数の導電性部材21A〜21C、21AX〜21DX、25A〜25Bと、しゃ蔽制御部31によって当該導電性部材を電気的に接続又は切離し動作するしゃ蔽制御用ダイオードD1〜D2、D11〜D12、D21〜D22、D31〜D33、D41〜D42とを設ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導電性材料でなる筐体本体の開口を閉塞したしゃ蔽網部材を、複数の導電性部材をしゃ蔽制御用ダイオードによって電気的に接続又は切離し動作させることによって筐体本体内に設けた移動体制御情報発信タグから放射される移動体制御情報電波をしゃ蔽又は透過動作するようにしたことにより、簡易な構成によって移動体に対して移動体制御情報を伝送できる移動体制御情報伝送装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明を列車制御装置1に適用した場合の第1の実施の形態を示すもので、移動体としての列車2が移動する移動用軌道としてのレール3の近傍(例えばレール間位置)に、移動体制御情報伝送手段としての地上子4が設置されている。
【0010】
地上子4は、信号機制御装置5によって赤色現示、又は青色現示を表示する信号機6の設置位置までの間を、列車2が信号機6の現示に対応する運行パターンに従って運行することができる距離だけ離れた手前の位置に設置されている。
【0011】
列車2が地上子4の位置を通過したとき、地上子4は、列車2の車体下部に設けられている移動体制御情報受信手段としての車上子7に対して、UHF帯に含まれる周波数953〔MHz〕の電波でなる搬送波に移動体制御情報データを変調して伝送し、当該移動体制御情報データが列車2に搭載された移動体制御情報受信装置8を介して運転制御装置9に取り込ませる。
【0012】
移動体制御情報送出手段としての地上子4は互いに同じ構成をもつ赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bを有し、当該赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bは、それぞれ、図2(A)に示すように、直方体形状の電波しゃ蔽制御筐体11内に、移動体制御情報発信タグ12を装着した構成を有する。
【0013】
移動体制御情報発信タグ12は、移動体制御情報データを予め内部に格納しており、当該移動体制御情報データによって900〔MHz〕帯の搬送波(この実施の形態の場合953〔MHz〕)に応動してこれを変調することにより地上子4から車上子7に移動体制御情報INFを伝送する。
【0014】
電波しゃ蔽制御筐体11は、横断面が矩形形状を有しかつ上方に開口11Aを有する導電性材料(この実施の形態の場合アルミニウム材料)でなる筐体本体11Bを有し、その開口11Aを絶縁性アクリル板でなる蓋部材11C1上にしゃ蔽網部材11C2を付着させてなるしゃ蔽板11Cによって閉塞した構成を有する。
【0015】
しゃ蔽網部材11C2は、図2(B)に示すように、導電性部材(例えば銅箔)で構成された直線状の中央部線材N1の両端に、それぞれ同じように導電性部材(例えば銅箔)で構成された直線状の側部線材N2及びN3を互いに僅かな間隔(例えば2〜3〔mm〕程度)を保って横一線上に配設してなる3本の線材列21A、21B及び21Cを、幅方向に所定の間隔L2を保持するように、蓋部材11C1(従って電波しゃ蔽制御筐体11)の長手方向にほぼ平行に延長させた構成を有する。これによりしゃ蔽網部材11C2は、線材列21A、21B及び21Cによって全体としてすだれ構造を形成している。
【0016】
このすだれ構造のしゃ蔽網部材11Cにおいて、中央部線材N1並びに側部線材N2及びN3の長手方向の長さは、電波しゃ蔽制御御筐体11内に設けられた移動体制御情報発信タグ12が応動する搬送波の1/2波長以下の長さに選定されている。
【0017】
各線材列21A、21B及び21Cの長手方向の長さL1(図2(B)において側部線材N2の左端から側部線材N3の右端までの長さ)は、移動体制御情報発信タグ12から放射される移動体制御情報電波INF(図2(B)において矢印aで示すように、線材列21A〜21Cの長手方向に沿う方向に偏向面を有する)搬送波の1/2波長以上の長さに選定されると共に、線材列21A、21B及び21C間の間隔L2は1/30波長又はそれ以下程度に選定されている。
【0018】
これにより各線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2及びN3が中央部線材N1に電気的に接続された状態において、すだれ構造のしゃ蔽網部材11C2に搬送波電波が照射されたとき各線材列21A、21B及び21Cに誘起電流が誘起され、この誘起電流によって各線材列21A、21B及び21Cから搬送波電波に対して逆相の誘起電波を発生することにより搬送波電波を打ち消すような現象を生じさせる。
【0019】
この搬送波電波を打ち消す状態になったとき、しゃ蔽網部材11C2のすだれ構造が搬送波電波を透過し難い動作状態、すなわち実効的に、搬送波電波をしゃ蔽する動作状態になる。
【0020】
これに対して中央部線材N1に対して側部線材N2及びN3が電気的に切り離された状態になると、しゃ蔽網部材11C2を構成する線材列21A、21B及び21Cがいずれも搬送波の1/2波長以下の長さに選定されていることによって搬送波電波が照射されたとき実効的に誘起電流が誘起されず(誘起効率が極端に落ち込むため)、その結果搬送波電波を打ち消す現象が生じないことにより、しゃ蔽網部材のすだれ構造が搬送波電波に対する干渉をしない動作状態、すなわち実効的に、搬送波電波を透過する動作状態になる。
【0021】
赤色及び青色現示用情報送出手段10A及び10Bの移動体制御情報発信タグ12は、図3に示すように、移動体制御情報記憶部25に格納されている移動体制御情報データを移動体制御情報書込・読取部26において読み出してインピーダンス切換信号としてインピーダンス切換部27に与える。インピーダンス切換部27はアンテナ部28の給電点のインピーダンス整合条件を移動体制御情報データの論理レベルの変化に応じて切り換えることにより、搬送波電波に対する反射率を切り換える。
【0022】
かくして透過動作状態にあるしゃ蔽網部材11C2を通って外部から搬送波電波がアンテナ部28に照射したとき、アンテナ部28による搬送波電波の反射率がインピーダンス整合条件の変化に応じて変化することによりアンテナ部28に照射した搬送波電波が移動体制御情報データによって変調された反射波としてしゃ蔽網部材11C2から外部に送出されることになる。
【0023】
搬送波電波がアンテナ部28に照射されたとき、受信された搬送波信号が電源形成部29に入力され、整流されて移動体制御情報書込・読取部26及びインピーダンス切換部27に電源として供給される。
【0024】
かかる構成の移動体制御情報発信タグ12は、「RFIDタグ」(Radio Frequency Identification Tag)として市販されている標準規格の汎用のものを適用し得るもので、移動体制御情報記憶部25への移動体制御情報データは、当該汎用のタグについて、地上子4として使用する前に(製造時工場で)、例えばユーザビットとして用意されるメモリ空間にアンテナ部28から移動体制御情報書込・読取部26を介して移動体制御情報記憶部25に書き込むことにより予め格納される。
【0025】
RFIDタグとしては、900〔MHz〕帯タグの国際規格・ISO18000−6や、900〔MHz〕帯RFIDタグの日本規格・ARIB STD−T89 構内無線局950〔MHz〕帯移動体識別用無線設備 H17.5.26や、ARIB STD−T90 特定小電力無線局950〔MHz〕帯移動体識別用無線設備 H18.3.14を充足するものを適用し得る。
【0026】
この実施の形態の場合、筐体本体11Bの内部底面に電波吸収層材14(スポンジにカーボンを混入させた材料や、カーボン粉末を含む発泡樹脂材料など)を敷きつめると共に、当該電波吸収層材14上に取り付けたスペーサ(搬送波に対して低損失かつ低誘電率をもつ発泡樹脂材料でなる)を介して移動体制御情報発信タグ12を取り付けることにより、当該移動体制御情報発信タグ12の移動体制御情報電波INFの搬送波に対する感度を低下させないように構成されている。
【0027】
実験によれば、筐体本体11Bの内部底面に電波吸収層材14を張りめぐらせたことにより電波しゃ蔽制御筐体11のしゃ蔽性能を高めることができ、また移動体情報発信タグ12及び電波吸収層材14間にスペーサ15を設けることにより電波しゃ蔽制御筐体11の透過性能を高めることができることを確認し得た。
【0028】
しゃ蔽網部材11C2を透過動作させるか又はしゃ蔽動作させるかの制御を行うために、図4に示すように、線材列21A、21B及び21Cの複数の導電性部材としての中央部線材N1と側部線材N2及びN3との間にそれぞれしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2が介挿され、しゃ蔽制御部31によって当該しゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2を導通・非導通制御する。
【0029】
この実施の形態の場合、各線材列21A、21B及び21Cに介挿されたしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2は、線材列21A、21B及び21Cの一端側の側部線材N2側から他端側の側部線材N3側に向かうように順方向電流を流す向きにそれぞれ側部線材N2及び中央部線材N1間並びに中央部線材N1及び側部線材N3間に接続されると共に、側部線材N2が直流阻止用コンデンサC0を介して、また側部線材N3が直接に、電波しゃ蔽制御筐体11の筐体本体11Bに接続されている。
【0030】
これに加えて筐体本体11Bは切換リレー接点回路32の第1の可動接点c1に接続され、かつ線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2と直流阻止用コンデンサC0との接続端が互いに共通に接続されて切換リレー接点回路32の第2の可動接点c2に接続されている。
【0031】
かくして切換リレー接点回路32が非動作状態にあって第1及び第2の可動接点c1及びc2が常閉接点b1及びb2側に接続されているとき、第1の常閉接点b1を介してしゃ蔽制御電源33の負極側電圧が筐体本体11Bに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を介して線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2の共通接続端に供給され、これによりしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2に順方向電圧が与えられることによって各線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2及びN3が中央部線材N1に電気的に接続され、その結果各線材列21A、21B及び21Cが、実効的に、1/2波長以上の長さL1になることによってしゃ蔽網部材11C2が全体としてしゃ蔽動作状態になる。
【0032】
しゃ蔽網部材11C2がしゃ蔽動作状態になったときのしゃ蔽損失は理論上次のように説明できる。
【0033】
図5(A)に示すように、無限長で幅D(図5(B))の線状導体40を導体間隔Sで平行に配列させたすだれ構造体を考えたとき、その等価回路41は図5(C)に示すように、T型インピーダンス回路として表わされ、インピーダンスXは、次式
【0034】
【数1】
【0035】
になる。ここで、λは透過する電波の波長、Z0は入力・出力インピーダンスである。
【0036】
(1)式から等価回路41の反射率rは、次式
【0037】
【数2】
【0038】
によって求めることができる。
【0039】
そこで図5(A)のすだれ構造体の透過損失A[dB]は、次式
【0040】
【数3】
【0041】
によって求めることができる。
【0042】
(3)式のすだれ構造体の透過損失は、しゃ蔽網部材11C2のしゃ蔽損失をも表わすから、しゃ蔽網部材11C2の線材列21A、21B及び21Cの線幅を2[mm]としたとき、しゃ蔽損失を20[dB]以上にするには、導体間隔L2を10[mm]程度以下にすれば良いことが分かる。
【0043】
これに対して、切換制御部36から赤色現示用情報送出手段10A(又は青色現示用情報送出手段10B)に対して赤色現示制御信号S21(又は青色現示制御信号S22)が与えられることにより切換リレー接点回路32が切換動作状態になると、第1の常開接点a1を介してしゃ蔽制御電源33の正極側電圧が筐体本体11Bに供給されると共に、第2の常開接点a2を介してしゃ蔽制御電源33の負極側電圧が線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2に供給されることにより、しゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2が非導通状態に制御される。
【0044】
このとき各線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2及びN3はしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2によって中央部線材N1から、電気的に、切り離された動作状態になることにより、しゃ蔽網部材11C2は移動体制御情報電波INFの搬送波を透過させる状態になる。
【0045】
このような赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bの切換リレー接点回路32の動作又は非動作状態の切換えは、電波しゃ蔽制御部31に設けられている切換制御部36が、信号機6が赤色現示又は青色現示を提示しているとき信号機制御装置5から与えられる動作指令信号S1の指令内容に応じて、赤色現示制御信号S21又は青色現示制御信号S22を選択的に出力することにより行われる。
【0046】
以上の構成において、列車2がレール3の所定位置に設置されている多数の地上子4上を通過しながら走行している状態において、車上子7は1つの地上子4を通過するごとに、当該1つの地上子4に対して搬送波電波を供給する。
【0047】
地上子4のしゃ蔽制御部31の切換制御部36は、信号機6が赤色現示を提示しているとき赤色現示用情報送出手段10Aに赤色現示制御信号S21を与えることにより、青色現示用情報送出手段10Bをしゃ蔽動作状態に保持したまま、赤色現示用情報送出手段10Aを選択的に透過動作状態に切り換える。
【0048】
このとき赤色現示用情報送出手段10Aにおいて、しゃ蔽網部材11C2を透過した搬送波電波がアンテナ部28を介して電源形成部29に取り込まれることにより移動体制御情報書込・読取部26及びインピーダンス切換部27に電源を供給し、これにより移動体制御情報記憶部25から読み出された赤色現示用移動体制御情報によってインピーダンス切換部27を切換制御することによりアンテナ部28の整合条件を変更し、その結果アンテナ部28が搬送波の反射率を変更することにより搬送波を変調してなる赤色現示用の移動体制御情報電波INFとして赤色現示用情報送出手段10Aから車上子7に伝送する。
【0049】
これに対して青色現示用情報送出手段10Bは、車上子7から与えられる搬送波電波をしゃ蔽網部材11C2によってしゃ蔽するので、移動体制御情報記憶部25から青色現示用動動体制御情報を読み出すことができないため、アンテナ部28から青色現示用の移動体制御情報電波INFを伝送しない動作状態になる。
【0050】
また切換制御部36は信号機6が青色現示を提示しているとき青色現示用情報送出手段10Bに青色現示制御信号S22を与えることにより、赤色現示用情報送出手段10Aをしゃ蔽動作状態に保持したまま、青色現示用情報送出手段10Bを選択的に透過動作状態に切り換えることにより、青色現示用情報送出手段10Bの移動体制御情報発信タグ12から移動体制御情報電波INFを地上子4から車上子7に伝送する。
【0051】
この実施の形態の場合、赤色現示用情報送出手段10Aの移動体制御情報発信タグ12から送出される移動体制御情報として、例えば信号機6が赤色現示を提示しているとき、その手前の所定距離の位置にある地上子4を通過する列車2の時速が、所定の運行速度以下でなければならないブレーキパターンを指定する距離データが予め移動体制御情報記憶部25に格納されている。
【0052】
従って列車2が当該ブレーキパターンに反する運行速度で地上子4を通過したと列車2の運転制御装置9が判断したとき、運転制御装置9は列車2のブレーキを活動させる。
【0053】
また青色現示用情報送出手段10Bの移動体制御情報発信タグ12についても同様に、列車2が地上子4を通過したときの運行パターンを指定する距離データが、予め移動体制御情報記憶部25に移動体制御情報データとして格納されている。
【0054】
以上の構成によれば、開口11Aにしゃ蔽網部材11C2によって閉塞してなる電波しゃ蔽制御筐体11内に設けた移動体制御情報発信タグ12から送出される移動体制御情報電波INFを、しゃ蔽網部材11C2をしゃ蔽又は透過動作させる赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bを有する地上子4を用いて、その一方から選択的に移動体制御情報電波INFを地上子4からの伝送情報として送出できるようにしたことにより、汎用のRFIDタグを利用した簡易な構成によって安全かつ確実に移動体制御情報を車上子7に伝送できる移動体制御情報伝送装置を実現できる。
【0055】
実験によれば、地上子4の赤色現示用及び青色現示用情報送出手段10A及び10Bから車上子7までの離隔距離を120〔cm〕に設定したところ、車上子7が時速200〔km/h〕で移動したとき、移動体制御情報発信タグ12から車上子7に対して12〔byte〕の移動体制御情報を5回伝送できることを確認できた。
【0056】
(2)第2の実施の形態
図6及び図7は第2の実施の形態を示すもので、図2(B)及び図4との対応部分に同一符号を付して示すように、側部線材N2と中央部線材N1とを接続するしゃ蔽用ダイオードD11をその方向に順方向電流を流すように接続すると共に、側部線材N3と中央部線材N1とを接続するしゃ蔽制御用ダイオードD12を、その方向に順方向電流を流すように接続する。
【0057】
これに加えて、線材列21A、21B及び21Cの中央部線材N1の両端部において、順次隣合うように配置されている中央部線材N1間を互いに短絡するように短絡線材SH1及びSH2を設けた構成を有する。
【0058】
この実施の形態の場合の赤色及び青色現示用情報送出手段10A及び10B(図6)は、各線材列21A、21B及び21Cにおいて、側部線材N2及びN3の中央部線材N1側とは反対側の端部が筐体本体11Bに直接接続された構成を有する。
【0059】
また、線材列21A、21B及び21Cのうち、電気的に一体に接続された中央部線材N1がしゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32の第1の可動接点c1に接続されると共に、筐体本体11Bが第2の可動接点c2に接続されている。
【0060】
以上の構成の赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)において、しゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32が非動作状態になっているとき、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第1の常閉接点b1を通って中央部線材N1に供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を通って筐体本体11Bに供給される。
【0061】
このときしゃ蔽制御用ダイオードD11及びD12には順方向電圧が与えられることによって導通状態になることにより、しゃ蔽網部材11C2はしゃ蔽動作状態になる。
【0062】
これに対してしゃ蔽制御部31に対する動作指令信号S1として、信号機制御装置5から赤色現示信号(又は青色現示信号)が与えられることにより切換制御部36が切換リレー接点回路32を切換動作させると、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第2の常開接点a2を通って筐体本体11Bに供給されると共に、正極側電圧が第1の常開接点a1を通って中央部線材N1に供給されることによってしゃ蔽制御用ダイオードD11及びD12が非導通状態に切り換わることにより、しゃ蔽網部材11C2が透過状態になる。
【0063】
この結果赤色又は青色現示用情報送出手段11A又は11Bが信号機制御装置5から与えられる動作指令信号S1の指令内容に応じて赤色現示用情報送出手段10A又は青色現示用情報送出手段10Bから得られる移動体制御情報データを地上子4から列車2の車上子7に伝送させることができ、かくするにつき、直流阻止用コンデンサを設けなくともよいので、この分部品点数を簡略化することができる。
【0064】
(3)第3の実施の形態
図8及び図9は第3の実施の形態を示すもので、ループ型の中央部線材N1Xの両側にくし型の側部線材N2X及びN3Xを設けると共に、中央部線材N1X及び側部線材N2X間並びに中央部線材N1X及び側部線材N3X間に、しゃ蔽制御用ダイオードD21並びにD22を介挿した構成を有する。
【0065】
この実施の形態の場合、中央部線材N1Xは、横方向に互いに平行に延長する4本の横線材e1と、当該横線材の一端及び他端位置において当該4本の横線材e1を順次接続するように縦方向に延長する縦線材f11及びf12を有し、これにより全体としてループ形状を形成している。
【0066】
一端側の側部線材N2Xは、中央部線材N1Xの4本の横線材e1の延長線上に沿って延長する4本の横線材e2と、当該4本の横線材e2の中央部線材N1X側の端部を順次接続するように縦方向に延長する縦線材f2とを有し、これにより全体として左方に歯の部分を開いたくし型形状を形成している。
【0067】
側部線材N3Xは、中央部線材N1Xの4本の横線材e1の延長線上に沿って延長する4本の横線材e3と、その中央部線材N1X側の端部を順次接続するように縦方向に延長する縦線材f3とを有し、全体として右方に歯の部分を開いたくし型形状を形成している。
【0068】
かくして中央部線材N1Xの4本の横線材e1と、その両側に配設されている側部線材N2X及びN3Xの対応する4本の横線材e2及びe3によって、横方向の長さL1が実効的に1/2波長以上の線材列21AX、21BX、21CX及び21DXを形成している。
【0069】
図8のしゃ蔽制御用ダイオードD21及びD22は、図9の等価回路で示すように、側部線材N2X及びN3Xの縦線材f2及びf3から中央部線材N1Xの縦線材f11及びf12に向かって順方向電流が流れるような向きに接続されていると共に、しゃ蔽制御部33の切換リレー接点回路32が切換動作をしていない状態において、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が切換リレー接点回路32の第1の常閉接点b1を通って中央部線材N1Xに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を通って筐体本体11Bに供給される。
【0070】
このときしゃ蔽制御用ダイオードD21及びD22は導通動作するので、中央部線材N1Xの横線材e1と側部線材N2X及びN3Xの横線材e2及びe3の合計の長さ(すなわち実効的に1/2波長以上の長さ)を有する線材列21AX〜21DXが形成されることにより、しゃ蔽網部材11C2がしゃ蔽動作状態になる。
【0071】
これに対してしゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32が信号機制御装置5からの動作指令信号S1によって赤色(青色)現示の指定を受けて切換動作をすると、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第2の常開接点a2を通じて筐体本体11Bに供給されると共に、正極側電圧が第1の常開接点a1を通じて中央部線材N1Xに供給されることにより、しゃ断制御用ダイオードD21及びD22が非導通状態になり、その結果しゃ蔽網部材11C2が透過動作状態になることにより赤色現示データ(青現示データ)でなる移動体制御情報電波INFが地上子4から車上子7に伝送される。
【0072】
以上の構成によれば、信号機制御装置5からの動作指令信号S1の指令内容に応じて赤色現示用情報送出手段10A又は青色現示用情報送出手段10Bからの移動体制御情報電波INFを選択的に地上子4から車上子7に安全かつ確実に伝送することができ、かくするにつき線材列21AX〜21DXをしゃ蔽又は透過動作させるために必要なしゃ蔽制御用ダイオードD21及びD22の数が少なくてすみ、その分構成を簡略化することができる。
【0073】
図8の構成において、縦線材f2、f11、f12、f3がなければ、4本の線材列21AX、21BX、21CX及び21DXを形成させるため、各横線材e2及びe1間並びにe1及びe3に対応する位置にそれぞれしゃ蔽制御用ダイオードD21並びにD22を接続する(合計4個)必要があるが、縦線材f2、f11、f12、f3によって横線材e2、e1、e3の端部を互いに接続することにより、必ずしも4個のダイオードを全部設けなくとも交流的には4本の線材列21AX、21BX、21CX、21DXとして動作させることができ、この分部品点数を少なくすることができる。
【0074】
(4)第4の実施の形態
図10及び図11は第4の実施の形態を示すもので、この場合しゃ蔽板11Cは、蓋部材11C1上に長方形スロット24を形成するように、長方形環状の外側導電性層材25Aの内側中央部に、長方形状の内側導電性層材25Bを付着している。
【0075】
これにより、長方形スロット24の上側スロット部h1と、その左右端部から縦方向に半分の長さだけ折れ曲る縦スロット部i11及びi12との合計長さが実効的に1/2波長の長さを有するスロット半部を形成すると共に、長方形スロット24の下側スロット部h2と、その左右端部から縦方向に半分の長さだけ折れ曲る縦スロット部i12及びi22との合計長さが実効的に1/2波長の長さを有するスロット半部を形成する。
【0076】
上側スロットh1及び下側スロットh2には、それぞれ3つのしゃ蔽制御用ダイオードD41及びD42が外側導電性層材25A及び内側導電性層材25B間を接続するように設けられている。
【0077】
内側導電性層材25B(図11)は、しゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32の第1の可動接点c1に接続されると共に、外側導電性層材25Aが第2の可動接点c2に接続され、これにより切換リレー接点回路32が非動作状態のとき、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第1の常閉接点b1を介して内側導電性層材25Bに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を介して外側導電性層材25Aに供給される。
【0078】
かくして、切換リレー接点回路32が非動作状態のとき、上側スロットh1内に設けられているしゃ蔽制御用ダイオードD41及び下側スロットh2内に設けられているしゃ蔽制御用ダイオードD42が導通状態になることにより、上側スロットh1及び下側スロットh2がしゃ蔽制御用ダイオードD41及びD42の位置で分割されることにより、移動体制御情報電波INFの1/2波長L2の長さを確保できないために共振状態を得ることができなくなり、その結果移動体制御情報発信タグ12からの移動体制御情報電波は上側スロットh1及び下側スロットh2を透過できなくなり、結局移動体制御情報発信タグ12からの移動体制御情報電波はしゃ蔽網部材11C2によってしゃ蔽される状態になる。
【0079】
これに対して信号機制御装置5の動作指令信号S1によって、赤色現示又は青色現示指令が送られて来ることにより切換制御部36が切換リレー接点回路32を切換動作させると、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第2の可動接点a2を介して外側導電性層材25Aに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第1の可動接点a1を介して内側導電性層材25Bに供給されることにより、上側スロットh1及び下側スロットh2内に設けられたしゃ蔽制御用ダイオードD41及びD42が非導通状態になる。
【0080】
このとき上側スロットh1、縦スロット部i11及びi21の長さ及び下側スロットh2、縦スロット部i12及びi22の長さは、実効的に、移動体制御情報電波INFの1/2波長の共振長さL2になることにより、当該上側スロットh1及び下側スロットh2を移動体制御情報電波INFが透過できることにより、しゃ蔽網部材11C2が透過状態になる。
【0081】
以上の構成によれば、赤色現示情報送出手段10A又は青色現示情報送出手段10Bが、信号機制御装置5からの動作指令信号S1の現示指令内容に応じて赤色現示情報送出手段10A又は青色現示情報送出10Bの移動体制御情報発信タグ12からの移動体制御情報電波INFを選択的に地上子4から車上子7に確実に伝送することができる。
【0082】
このように動作指令信号S1の現示指令に応じて赤色現示又は青色現示に対応する移動体制御情報を地上子4から車上子7に伝送するにつき、移動体制御情報発信タグ12のような汎用性をもった素子を採用することができることにより、簡易な構成によって安全かつ確実に地上子4から車上子7への移動体制御情報の伝送をなし得る移動体制御情報送出手段を実現できる。
【0083】
(6)他の実施の形態
(6−1)図12は他の実施の形態を示すもので、上述の実施の形態においては車上子7を移動軌道であるレール3間に設けた場合について述べたが、これに代え、レール3が布設されている軌道側面部30に立設した地上子保持具31に地上子4を装着すると共に、列車2の車両側面のうち、地上子4と対向する位置に車上子7を取り付けることにより、列車2が地上子4の位置を通過したとき、移動体制御情報電波INFを列車2の側面において地上子4から車上子7に伝送するようにしても良い。
【0084】
かかる構成によれば、地上子4から車上子7に伝送される移動体制御情報が搬送波電波に変調された無線信号形態で送出されることにより、地上子4と車上子7との間隔をそれ程厳密に設定しなくとも、十分に地上子4から車上子7に到達させることができることにより、移動体制御情報の伝送を安全かつ確実に実現できる。
【0085】
(6−2)上述の実施の形態においては、移動体としてレール上を走行する列車に移動情報を伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、予め布設された軌道上を移動体が移動するような場合について本発明を広く適用し得る。
【0086】
(6−3)上述の実施の形態においては、地上子4として、2つの情報送出手段、すなわち赤色及び青色現示用情報送出手段10A及び10Bを設けたものを適用したが、情報送出手段としてはこれに限らず、2つ以上複数を設けても良い。
【0087】
(6−4)上述の実施の形態においては、移動体制御情報発信タグ12として、搬送波電波を受信したときその平滑電力を電源として搬送波電波を内蔵伝送情報に応じて反射動作を起動することにより当該伝送情報によって搬送波電波を変調して伝送する、いわゆるパッシブ素子を用いた場合について述べたが、本発明はこれに代え、内部で常時発生させた情報電波を自動的に放射する、いわゆるアクティブ素子を用いた場合にも同じように適用できる。
【0088】
(6−5)上述の実施の形態においては、移動体制御情報を伝送する搬送波として、UHF帯に含まれる950[MHz]帯の953[MHz]の電波を用いる場合について述べたが、これに限らず、例えば902〜928[MHz]、865〜868[MHz]、952〜954[MHz]、952〜955[MHz]や、その他の周波数を用いるようにしても良い。
【0089】
(6−6)上述の実施の形態においては、しゃ蔽制御部31のしゃ蔽制御電圧をしゃ蔽網部材11C2に与える手段として、リレー接点を用いた切換リレー接点回路32によって有接点式リレー回路を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、電子式リレー回路を用いるようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(6〜7)上述の実施の形態においては、地上子4として、赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bを設けた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その一方を省略するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は例えば列車自動制御装置のように予め布設された軌道上を移動体が移動するような設備に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施の形態に列車制御装置を示す略線図である。
【図2】(A)及び(B)は地上子4に設けられる赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bの詳細構成を示す縦断面図及び平面図である。
【図3】移動体制御情報発信タグ12の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図5】(A)、(B)及び(C)はすだれ式のしゃ蔽網部材のしゃ蔽損失の説明に供する略線的平面図、略線的側面図及び等価回路図である。
【図6】第2の実施の形態における赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)を示す平面図である。
【図7】図6の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図8】第3の実施の形態による赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)を示す平面図である。
【図9】図8の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図10】第4の実施の形態による赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)を示す平面図である。
【図11】図10の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図12】他の実施の形態による列車制御装置を示す略線図である。
【符号の説明】
【0093】
1……列車制御装置、2……列車、3……レール、4……地上子、5……信号機制御装置、6……信号機、7……車上子、8……移動体制御情報受信装置、9……運転制御装置、10A、10B……赤色、青色現示用情報送出手段、11……電波しゃ蔽制御筐体、11A……開口、11B……筐体本体、11C……しゃ蔽板、11C1……蓋部材、11C2……しゃ蔽網部材、12……移動体制御情報発信タグ、14……電波吸収層材、15……スペーサ、21A〜21C、21AX〜21DX……線材列、31……しゃ蔽制御部、32……切換リレー接点回路、33……しゃ蔽制御電源、36……切換制御部、N1、N1X、N1Y1、N1Y2……中央線材、N2及びN3、N2X及びN3X、N2Y及びN3Y……側部線材、24……長方形スロット、25A……外側導電性層部、25B……内側導電性層部、h1、h2……上側、下側スロット部、i11、i12、i21、i22……縦スロット部。
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体制御情報伝送装置に関し、例えば列車などの運転に必要な制御情報を移動体に伝達する場合に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
予め布設された移動用軌道上を移動する移動体が移動用軌道の所定位置を通過する際に、当該移動体に対して移動に関する制御情報(これを移動体制御情報と呼ぶ)を伝送する手段として、例えば列車制御装置について運転に関する情報(これを運転制御情報と呼ぶ)を伝送する地上子を用いたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来の移動体制御情報伝送装置は、当該地上子の位置を列車が通過したとき、信号機制御装置から信号機に与えられる制御信号に基づいて赤色現示、黄色現示及び青色現示の内容に対応する応動動作をし得るように構成されている。
【特許文献1】特開平8−2414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところがこの従来の移動体制御情報伝送手段は、列車専用の装置として特別に製作されたもので、汎用性に欠けしかも非常に高価である。また制御情報を列車に与えるための伝送信号の周波数が低いために送出情報数と列車が通過する際の受信範囲に制約があり、これを増やそうとすると地上子を大きなものにせざるを得なかった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、移動体に対する移動情報の伝送をできるだけ汎用性の大きい回路要素を用いた簡易な構成によってなし得るようにした移動体制御情報伝送装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、導電性材料でなり、開口11Aを有する筐体本体11Bと、筐体本体11Bの上記開口11Aを閉塞するしゃ蔽網部材11C2と、筐体本体11B内に設けられ、予め記憶手段25に格納している移動体制御情報データによって搬送波を変調してなる移動体制御情報電波INFを送出する移動体制御情報発信タグ12と、しゃ蔽網部材11C2をしゃ蔽動作又は透過動作させるしゃ蔽制御部31とを具え、しゃ蔽網部材11C2は、搬送波をしゃ蔽又は透過する複数の導電性部材21A〜21C、21AX〜21DX、25A〜25Bと、しゃ蔽制御部31によって当該導電性部材を電気的に接続又は切離し動作するしゃ蔽制御用ダイオードD1〜D2、D11〜D12、D21〜D22、D31〜D33、D41〜D42とを設ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導電性材料でなる筐体本体の開口を閉塞したしゃ蔽網部材を、複数の導電性部材をしゃ蔽制御用ダイオードによって電気的に接続又は切離し動作させることによって筐体本体内に設けた移動体制御情報発信タグから放射される移動体制御情報電波をしゃ蔽又は透過動作するようにしたことにより、簡易な構成によって移動体に対して移動体制御情報を伝送できる移動体制御情報伝送装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明を列車制御装置1に適用した場合の第1の実施の形態を示すもので、移動体としての列車2が移動する移動用軌道としてのレール3の近傍(例えばレール間位置)に、移動体制御情報伝送手段としての地上子4が設置されている。
【0010】
地上子4は、信号機制御装置5によって赤色現示、又は青色現示を表示する信号機6の設置位置までの間を、列車2が信号機6の現示に対応する運行パターンに従って運行することができる距離だけ離れた手前の位置に設置されている。
【0011】
列車2が地上子4の位置を通過したとき、地上子4は、列車2の車体下部に設けられている移動体制御情報受信手段としての車上子7に対して、UHF帯に含まれる周波数953〔MHz〕の電波でなる搬送波に移動体制御情報データを変調して伝送し、当該移動体制御情報データが列車2に搭載された移動体制御情報受信装置8を介して運転制御装置9に取り込ませる。
【0012】
移動体制御情報送出手段としての地上子4は互いに同じ構成をもつ赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bを有し、当該赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bは、それぞれ、図2(A)に示すように、直方体形状の電波しゃ蔽制御筐体11内に、移動体制御情報発信タグ12を装着した構成を有する。
【0013】
移動体制御情報発信タグ12は、移動体制御情報データを予め内部に格納しており、当該移動体制御情報データによって900〔MHz〕帯の搬送波(この実施の形態の場合953〔MHz〕)に応動してこれを変調することにより地上子4から車上子7に移動体制御情報INFを伝送する。
【0014】
電波しゃ蔽制御筐体11は、横断面が矩形形状を有しかつ上方に開口11Aを有する導電性材料(この実施の形態の場合アルミニウム材料)でなる筐体本体11Bを有し、その開口11Aを絶縁性アクリル板でなる蓋部材11C1上にしゃ蔽網部材11C2を付着させてなるしゃ蔽板11Cによって閉塞した構成を有する。
【0015】
しゃ蔽網部材11C2は、図2(B)に示すように、導電性部材(例えば銅箔)で構成された直線状の中央部線材N1の両端に、それぞれ同じように導電性部材(例えば銅箔)で構成された直線状の側部線材N2及びN3を互いに僅かな間隔(例えば2〜3〔mm〕程度)を保って横一線上に配設してなる3本の線材列21A、21B及び21Cを、幅方向に所定の間隔L2を保持するように、蓋部材11C1(従って電波しゃ蔽制御筐体11)の長手方向にほぼ平行に延長させた構成を有する。これによりしゃ蔽網部材11C2は、線材列21A、21B及び21Cによって全体としてすだれ構造を形成している。
【0016】
このすだれ構造のしゃ蔽網部材11Cにおいて、中央部線材N1並びに側部線材N2及びN3の長手方向の長さは、電波しゃ蔽制御御筐体11内に設けられた移動体制御情報発信タグ12が応動する搬送波の1/2波長以下の長さに選定されている。
【0017】
各線材列21A、21B及び21Cの長手方向の長さL1(図2(B)において側部線材N2の左端から側部線材N3の右端までの長さ)は、移動体制御情報発信タグ12から放射される移動体制御情報電波INF(図2(B)において矢印aで示すように、線材列21A〜21Cの長手方向に沿う方向に偏向面を有する)搬送波の1/2波長以上の長さに選定されると共に、線材列21A、21B及び21C間の間隔L2は1/30波長又はそれ以下程度に選定されている。
【0018】
これにより各線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2及びN3が中央部線材N1に電気的に接続された状態において、すだれ構造のしゃ蔽網部材11C2に搬送波電波が照射されたとき各線材列21A、21B及び21Cに誘起電流が誘起され、この誘起電流によって各線材列21A、21B及び21Cから搬送波電波に対して逆相の誘起電波を発生することにより搬送波電波を打ち消すような現象を生じさせる。
【0019】
この搬送波電波を打ち消す状態になったとき、しゃ蔽網部材11C2のすだれ構造が搬送波電波を透過し難い動作状態、すなわち実効的に、搬送波電波をしゃ蔽する動作状態になる。
【0020】
これに対して中央部線材N1に対して側部線材N2及びN3が電気的に切り離された状態になると、しゃ蔽網部材11C2を構成する線材列21A、21B及び21Cがいずれも搬送波の1/2波長以下の長さに選定されていることによって搬送波電波が照射されたとき実効的に誘起電流が誘起されず(誘起効率が極端に落ち込むため)、その結果搬送波電波を打ち消す現象が生じないことにより、しゃ蔽網部材のすだれ構造が搬送波電波に対する干渉をしない動作状態、すなわち実効的に、搬送波電波を透過する動作状態になる。
【0021】
赤色及び青色現示用情報送出手段10A及び10Bの移動体制御情報発信タグ12は、図3に示すように、移動体制御情報記憶部25に格納されている移動体制御情報データを移動体制御情報書込・読取部26において読み出してインピーダンス切換信号としてインピーダンス切換部27に与える。インピーダンス切換部27はアンテナ部28の給電点のインピーダンス整合条件を移動体制御情報データの論理レベルの変化に応じて切り換えることにより、搬送波電波に対する反射率を切り換える。
【0022】
かくして透過動作状態にあるしゃ蔽網部材11C2を通って外部から搬送波電波がアンテナ部28に照射したとき、アンテナ部28による搬送波電波の反射率がインピーダンス整合条件の変化に応じて変化することによりアンテナ部28に照射した搬送波電波が移動体制御情報データによって変調された反射波としてしゃ蔽網部材11C2から外部に送出されることになる。
【0023】
搬送波電波がアンテナ部28に照射されたとき、受信された搬送波信号が電源形成部29に入力され、整流されて移動体制御情報書込・読取部26及びインピーダンス切換部27に電源として供給される。
【0024】
かかる構成の移動体制御情報発信タグ12は、「RFIDタグ」(Radio Frequency Identification Tag)として市販されている標準規格の汎用のものを適用し得るもので、移動体制御情報記憶部25への移動体制御情報データは、当該汎用のタグについて、地上子4として使用する前に(製造時工場で)、例えばユーザビットとして用意されるメモリ空間にアンテナ部28から移動体制御情報書込・読取部26を介して移動体制御情報記憶部25に書き込むことにより予め格納される。
【0025】
RFIDタグとしては、900〔MHz〕帯タグの国際規格・ISO18000−6や、900〔MHz〕帯RFIDタグの日本規格・ARIB STD−T89 構内無線局950〔MHz〕帯移動体識別用無線設備 H17.5.26や、ARIB STD−T90 特定小電力無線局950〔MHz〕帯移動体識別用無線設備 H18.3.14を充足するものを適用し得る。
【0026】
この実施の形態の場合、筐体本体11Bの内部底面に電波吸収層材14(スポンジにカーボンを混入させた材料や、カーボン粉末を含む発泡樹脂材料など)を敷きつめると共に、当該電波吸収層材14上に取り付けたスペーサ(搬送波に対して低損失かつ低誘電率をもつ発泡樹脂材料でなる)を介して移動体制御情報発信タグ12を取り付けることにより、当該移動体制御情報発信タグ12の移動体制御情報電波INFの搬送波に対する感度を低下させないように構成されている。
【0027】
実験によれば、筐体本体11Bの内部底面に電波吸収層材14を張りめぐらせたことにより電波しゃ蔽制御筐体11のしゃ蔽性能を高めることができ、また移動体情報発信タグ12及び電波吸収層材14間にスペーサ15を設けることにより電波しゃ蔽制御筐体11の透過性能を高めることができることを確認し得た。
【0028】
しゃ蔽網部材11C2を透過動作させるか又はしゃ蔽動作させるかの制御を行うために、図4に示すように、線材列21A、21B及び21Cの複数の導電性部材としての中央部線材N1と側部線材N2及びN3との間にそれぞれしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2が介挿され、しゃ蔽制御部31によって当該しゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2を導通・非導通制御する。
【0029】
この実施の形態の場合、各線材列21A、21B及び21Cに介挿されたしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2は、線材列21A、21B及び21Cの一端側の側部線材N2側から他端側の側部線材N3側に向かうように順方向電流を流す向きにそれぞれ側部線材N2及び中央部線材N1間並びに中央部線材N1及び側部線材N3間に接続されると共に、側部線材N2が直流阻止用コンデンサC0を介して、また側部線材N3が直接に、電波しゃ蔽制御筐体11の筐体本体11Bに接続されている。
【0030】
これに加えて筐体本体11Bは切換リレー接点回路32の第1の可動接点c1に接続され、かつ線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2と直流阻止用コンデンサC0との接続端が互いに共通に接続されて切換リレー接点回路32の第2の可動接点c2に接続されている。
【0031】
かくして切換リレー接点回路32が非動作状態にあって第1及び第2の可動接点c1及びc2が常閉接点b1及びb2側に接続されているとき、第1の常閉接点b1を介してしゃ蔽制御電源33の負極側電圧が筐体本体11Bに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を介して線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2の共通接続端に供給され、これによりしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2に順方向電圧が与えられることによって各線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2及びN3が中央部線材N1に電気的に接続され、その結果各線材列21A、21B及び21Cが、実効的に、1/2波長以上の長さL1になることによってしゃ蔽網部材11C2が全体としてしゃ蔽動作状態になる。
【0032】
しゃ蔽網部材11C2がしゃ蔽動作状態になったときのしゃ蔽損失は理論上次のように説明できる。
【0033】
図5(A)に示すように、無限長で幅D(図5(B))の線状導体40を導体間隔Sで平行に配列させたすだれ構造体を考えたとき、その等価回路41は図5(C)に示すように、T型インピーダンス回路として表わされ、インピーダンスXは、次式
【0034】
【数1】
【0035】
になる。ここで、λは透過する電波の波長、Z0は入力・出力インピーダンスである。
【0036】
(1)式から等価回路41の反射率rは、次式
【0037】
【数2】
【0038】
によって求めることができる。
【0039】
そこで図5(A)のすだれ構造体の透過損失A[dB]は、次式
【0040】
【数3】
【0041】
によって求めることができる。
【0042】
(3)式のすだれ構造体の透過損失は、しゃ蔽網部材11C2のしゃ蔽損失をも表わすから、しゃ蔽網部材11C2の線材列21A、21B及び21Cの線幅を2[mm]としたとき、しゃ蔽損失を20[dB]以上にするには、導体間隔L2を10[mm]程度以下にすれば良いことが分かる。
【0043】
これに対して、切換制御部36から赤色現示用情報送出手段10A(又は青色現示用情報送出手段10B)に対して赤色現示制御信号S21(又は青色現示制御信号S22)が与えられることにより切換リレー接点回路32が切換動作状態になると、第1の常開接点a1を介してしゃ蔽制御電源33の正極側電圧が筐体本体11Bに供給されると共に、第2の常開接点a2を介してしゃ蔽制御電源33の負極側電圧が線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2に供給されることにより、しゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2が非導通状態に制御される。
【0044】
このとき各線材列21A、21B及び21Cの側部線材N2及びN3はしゃ蔽制御用ダイオードD1及びD2によって中央部線材N1から、電気的に、切り離された動作状態になることにより、しゃ蔽網部材11C2は移動体制御情報電波INFの搬送波を透過させる状態になる。
【0045】
このような赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bの切換リレー接点回路32の動作又は非動作状態の切換えは、電波しゃ蔽制御部31に設けられている切換制御部36が、信号機6が赤色現示又は青色現示を提示しているとき信号機制御装置5から与えられる動作指令信号S1の指令内容に応じて、赤色現示制御信号S21又は青色現示制御信号S22を選択的に出力することにより行われる。
【0046】
以上の構成において、列車2がレール3の所定位置に設置されている多数の地上子4上を通過しながら走行している状態において、車上子7は1つの地上子4を通過するごとに、当該1つの地上子4に対して搬送波電波を供給する。
【0047】
地上子4のしゃ蔽制御部31の切換制御部36は、信号機6が赤色現示を提示しているとき赤色現示用情報送出手段10Aに赤色現示制御信号S21を与えることにより、青色現示用情報送出手段10Bをしゃ蔽動作状態に保持したまま、赤色現示用情報送出手段10Aを選択的に透過動作状態に切り換える。
【0048】
このとき赤色現示用情報送出手段10Aにおいて、しゃ蔽網部材11C2を透過した搬送波電波がアンテナ部28を介して電源形成部29に取り込まれることにより移動体制御情報書込・読取部26及びインピーダンス切換部27に電源を供給し、これにより移動体制御情報記憶部25から読み出された赤色現示用移動体制御情報によってインピーダンス切換部27を切換制御することによりアンテナ部28の整合条件を変更し、その結果アンテナ部28が搬送波の反射率を変更することにより搬送波を変調してなる赤色現示用の移動体制御情報電波INFとして赤色現示用情報送出手段10Aから車上子7に伝送する。
【0049】
これに対して青色現示用情報送出手段10Bは、車上子7から与えられる搬送波電波をしゃ蔽網部材11C2によってしゃ蔽するので、移動体制御情報記憶部25から青色現示用動動体制御情報を読み出すことができないため、アンテナ部28から青色現示用の移動体制御情報電波INFを伝送しない動作状態になる。
【0050】
また切換制御部36は信号機6が青色現示を提示しているとき青色現示用情報送出手段10Bに青色現示制御信号S22を与えることにより、赤色現示用情報送出手段10Aをしゃ蔽動作状態に保持したまま、青色現示用情報送出手段10Bを選択的に透過動作状態に切り換えることにより、青色現示用情報送出手段10Bの移動体制御情報発信タグ12から移動体制御情報電波INFを地上子4から車上子7に伝送する。
【0051】
この実施の形態の場合、赤色現示用情報送出手段10Aの移動体制御情報発信タグ12から送出される移動体制御情報として、例えば信号機6が赤色現示を提示しているとき、その手前の所定距離の位置にある地上子4を通過する列車2の時速が、所定の運行速度以下でなければならないブレーキパターンを指定する距離データが予め移動体制御情報記憶部25に格納されている。
【0052】
従って列車2が当該ブレーキパターンに反する運行速度で地上子4を通過したと列車2の運転制御装置9が判断したとき、運転制御装置9は列車2のブレーキを活動させる。
【0053】
また青色現示用情報送出手段10Bの移動体制御情報発信タグ12についても同様に、列車2が地上子4を通過したときの運行パターンを指定する距離データが、予め移動体制御情報記憶部25に移動体制御情報データとして格納されている。
【0054】
以上の構成によれば、開口11Aにしゃ蔽網部材11C2によって閉塞してなる電波しゃ蔽制御筐体11内に設けた移動体制御情報発信タグ12から送出される移動体制御情報電波INFを、しゃ蔽網部材11C2をしゃ蔽又は透過動作させる赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bを有する地上子4を用いて、その一方から選択的に移動体制御情報電波INFを地上子4からの伝送情報として送出できるようにしたことにより、汎用のRFIDタグを利用した簡易な構成によって安全かつ確実に移動体制御情報を車上子7に伝送できる移動体制御情報伝送装置を実現できる。
【0055】
実験によれば、地上子4の赤色現示用及び青色現示用情報送出手段10A及び10Bから車上子7までの離隔距離を120〔cm〕に設定したところ、車上子7が時速200〔km/h〕で移動したとき、移動体制御情報発信タグ12から車上子7に対して12〔byte〕の移動体制御情報を5回伝送できることを確認できた。
【0056】
(2)第2の実施の形態
図6及び図7は第2の実施の形態を示すもので、図2(B)及び図4との対応部分に同一符号を付して示すように、側部線材N2と中央部線材N1とを接続するしゃ蔽用ダイオードD11をその方向に順方向電流を流すように接続すると共に、側部線材N3と中央部線材N1とを接続するしゃ蔽制御用ダイオードD12を、その方向に順方向電流を流すように接続する。
【0057】
これに加えて、線材列21A、21B及び21Cの中央部線材N1の両端部において、順次隣合うように配置されている中央部線材N1間を互いに短絡するように短絡線材SH1及びSH2を設けた構成を有する。
【0058】
この実施の形態の場合の赤色及び青色現示用情報送出手段10A及び10B(図6)は、各線材列21A、21B及び21Cにおいて、側部線材N2及びN3の中央部線材N1側とは反対側の端部が筐体本体11Bに直接接続された構成を有する。
【0059】
また、線材列21A、21B及び21Cのうち、電気的に一体に接続された中央部線材N1がしゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32の第1の可動接点c1に接続されると共に、筐体本体11Bが第2の可動接点c2に接続されている。
【0060】
以上の構成の赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)において、しゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32が非動作状態になっているとき、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第1の常閉接点b1を通って中央部線材N1に供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を通って筐体本体11Bに供給される。
【0061】
このときしゃ蔽制御用ダイオードD11及びD12には順方向電圧が与えられることによって導通状態になることにより、しゃ蔽網部材11C2はしゃ蔽動作状態になる。
【0062】
これに対してしゃ蔽制御部31に対する動作指令信号S1として、信号機制御装置5から赤色現示信号(又は青色現示信号)が与えられることにより切換制御部36が切換リレー接点回路32を切換動作させると、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第2の常開接点a2を通って筐体本体11Bに供給されると共に、正極側電圧が第1の常開接点a1を通って中央部線材N1に供給されることによってしゃ蔽制御用ダイオードD11及びD12が非導通状態に切り換わることにより、しゃ蔽網部材11C2が透過状態になる。
【0063】
この結果赤色又は青色現示用情報送出手段11A又は11Bが信号機制御装置5から与えられる動作指令信号S1の指令内容に応じて赤色現示用情報送出手段10A又は青色現示用情報送出手段10Bから得られる移動体制御情報データを地上子4から列車2の車上子7に伝送させることができ、かくするにつき、直流阻止用コンデンサを設けなくともよいので、この分部品点数を簡略化することができる。
【0064】
(3)第3の実施の形態
図8及び図9は第3の実施の形態を示すもので、ループ型の中央部線材N1Xの両側にくし型の側部線材N2X及びN3Xを設けると共に、中央部線材N1X及び側部線材N2X間並びに中央部線材N1X及び側部線材N3X間に、しゃ蔽制御用ダイオードD21並びにD22を介挿した構成を有する。
【0065】
この実施の形態の場合、中央部線材N1Xは、横方向に互いに平行に延長する4本の横線材e1と、当該横線材の一端及び他端位置において当該4本の横線材e1を順次接続するように縦方向に延長する縦線材f11及びf12を有し、これにより全体としてループ形状を形成している。
【0066】
一端側の側部線材N2Xは、中央部線材N1Xの4本の横線材e1の延長線上に沿って延長する4本の横線材e2と、当該4本の横線材e2の中央部線材N1X側の端部を順次接続するように縦方向に延長する縦線材f2とを有し、これにより全体として左方に歯の部分を開いたくし型形状を形成している。
【0067】
側部線材N3Xは、中央部線材N1Xの4本の横線材e1の延長線上に沿って延長する4本の横線材e3と、その中央部線材N1X側の端部を順次接続するように縦方向に延長する縦線材f3とを有し、全体として右方に歯の部分を開いたくし型形状を形成している。
【0068】
かくして中央部線材N1Xの4本の横線材e1と、その両側に配設されている側部線材N2X及びN3Xの対応する4本の横線材e2及びe3によって、横方向の長さL1が実効的に1/2波長以上の線材列21AX、21BX、21CX及び21DXを形成している。
【0069】
図8のしゃ蔽制御用ダイオードD21及びD22は、図9の等価回路で示すように、側部線材N2X及びN3Xの縦線材f2及びf3から中央部線材N1Xの縦線材f11及びf12に向かって順方向電流が流れるような向きに接続されていると共に、しゃ蔽制御部33の切換リレー接点回路32が切換動作をしていない状態において、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が切換リレー接点回路32の第1の常閉接点b1を通って中央部線材N1Xに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を通って筐体本体11Bに供給される。
【0070】
このときしゃ蔽制御用ダイオードD21及びD22は導通動作するので、中央部線材N1Xの横線材e1と側部線材N2X及びN3Xの横線材e2及びe3の合計の長さ(すなわち実効的に1/2波長以上の長さ)を有する線材列21AX〜21DXが形成されることにより、しゃ蔽網部材11C2がしゃ蔽動作状態になる。
【0071】
これに対してしゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32が信号機制御装置5からの動作指令信号S1によって赤色(青色)現示の指定を受けて切換動作をすると、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第2の常開接点a2を通じて筐体本体11Bに供給されると共に、正極側電圧が第1の常開接点a1を通じて中央部線材N1Xに供給されることにより、しゃ断制御用ダイオードD21及びD22が非導通状態になり、その結果しゃ蔽網部材11C2が透過動作状態になることにより赤色現示データ(青現示データ)でなる移動体制御情報電波INFが地上子4から車上子7に伝送される。
【0072】
以上の構成によれば、信号機制御装置5からの動作指令信号S1の指令内容に応じて赤色現示用情報送出手段10A又は青色現示用情報送出手段10Bからの移動体制御情報電波INFを選択的に地上子4から車上子7に安全かつ確実に伝送することができ、かくするにつき線材列21AX〜21DXをしゃ蔽又は透過動作させるために必要なしゃ蔽制御用ダイオードD21及びD22の数が少なくてすみ、その分構成を簡略化することができる。
【0073】
図8の構成において、縦線材f2、f11、f12、f3がなければ、4本の線材列21AX、21BX、21CX及び21DXを形成させるため、各横線材e2及びe1間並びにe1及びe3に対応する位置にそれぞれしゃ蔽制御用ダイオードD21並びにD22を接続する(合計4個)必要があるが、縦線材f2、f11、f12、f3によって横線材e2、e1、e3の端部を互いに接続することにより、必ずしも4個のダイオードを全部設けなくとも交流的には4本の線材列21AX、21BX、21CX、21DXとして動作させることができ、この分部品点数を少なくすることができる。
【0074】
(4)第4の実施の形態
図10及び図11は第4の実施の形態を示すもので、この場合しゃ蔽板11Cは、蓋部材11C1上に長方形スロット24を形成するように、長方形環状の外側導電性層材25Aの内側中央部に、長方形状の内側導電性層材25Bを付着している。
【0075】
これにより、長方形スロット24の上側スロット部h1と、その左右端部から縦方向に半分の長さだけ折れ曲る縦スロット部i11及びi12との合計長さが実効的に1/2波長の長さを有するスロット半部を形成すると共に、長方形スロット24の下側スロット部h2と、その左右端部から縦方向に半分の長さだけ折れ曲る縦スロット部i12及びi22との合計長さが実効的に1/2波長の長さを有するスロット半部を形成する。
【0076】
上側スロットh1及び下側スロットh2には、それぞれ3つのしゃ蔽制御用ダイオードD41及びD42が外側導電性層材25A及び内側導電性層材25B間を接続するように設けられている。
【0077】
内側導電性層材25B(図11)は、しゃ蔽制御部31の切換リレー接点回路32の第1の可動接点c1に接続されると共に、外側導電性層材25Aが第2の可動接点c2に接続され、これにより切換リレー接点回路32が非動作状態のとき、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第1の常閉接点b1を介して内側導電性層材25Bに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第2の常閉接点b2を介して外側導電性層材25Aに供給される。
【0078】
かくして、切換リレー接点回路32が非動作状態のとき、上側スロットh1内に設けられているしゃ蔽制御用ダイオードD41及び下側スロットh2内に設けられているしゃ蔽制御用ダイオードD42が導通状態になることにより、上側スロットh1及び下側スロットh2がしゃ蔽制御用ダイオードD41及びD42の位置で分割されることにより、移動体制御情報電波INFの1/2波長L2の長さを確保できないために共振状態を得ることができなくなり、その結果移動体制御情報発信タグ12からの移動体制御情報電波は上側スロットh1及び下側スロットh2を透過できなくなり、結局移動体制御情報発信タグ12からの移動体制御情報電波はしゃ蔽網部材11C2によってしゃ蔽される状態になる。
【0079】
これに対して信号機制御装置5の動作指令信号S1によって、赤色現示又は青色現示指令が送られて来ることにより切換制御部36が切換リレー接点回路32を切換動作させると、しゃ蔽制御電源33の負極側電圧が第2の可動接点a2を介して外側導電性層材25Aに供給されると共に、しゃ蔽制御電源33の正極側電圧が第1の可動接点a1を介して内側導電性層材25Bに供給されることにより、上側スロットh1及び下側スロットh2内に設けられたしゃ蔽制御用ダイオードD41及びD42が非導通状態になる。
【0080】
このとき上側スロットh1、縦スロット部i11及びi21の長さ及び下側スロットh2、縦スロット部i12及びi22の長さは、実効的に、移動体制御情報電波INFの1/2波長の共振長さL2になることにより、当該上側スロットh1及び下側スロットh2を移動体制御情報電波INFが透過できることにより、しゃ蔽網部材11C2が透過状態になる。
【0081】
以上の構成によれば、赤色現示情報送出手段10A又は青色現示情報送出手段10Bが、信号機制御装置5からの動作指令信号S1の現示指令内容に応じて赤色現示情報送出手段10A又は青色現示情報送出10Bの移動体制御情報発信タグ12からの移動体制御情報電波INFを選択的に地上子4から車上子7に確実に伝送することができる。
【0082】
このように動作指令信号S1の現示指令に応じて赤色現示又は青色現示に対応する移動体制御情報を地上子4から車上子7に伝送するにつき、移動体制御情報発信タグ12のような汎用性をもった素子を採用することができることにより、簡易な構成によって安全かつ確実に地上子4から車上子7への移動体制御情報の伝送をなし得る移動体制御情報送出手段を実現できる。
【0083】
(6)他の実施の形態
(6−1)図12は他の実施の形態を示すもので、上述の実施の形態においては車上子7を移動軌道であるレール3間に設けた場合について述べたが、これに代え、レール3が布設されている軌道側面部30に立設した地上子保持具31に地上子4を装着すると共に、列車2の車両側面のうち、地上子4と対向する位置に車上子7を取り付けることにより、列車2が地上子4の位置を通過したとき、移動体制御情報電波INFを列車2の側面において地上子4から車上子7に伝送するようにしても良い。
【0084】
かかる構成によれば、地上子4から車上子7に伝送される移動体制御情報が搬送波電波に変調された無線信号形態で送出されることにより、地上子4と車上子7との間隔をそれ程厳密に設定しなくとも、十分に地上子4から車上子7に到達させることができることにより、移動体制御情報の伝送を安全かつ確実に実現できる。
【0085】
(6−2)上述の実施の形態においては、移動体としてレール上を走行する列車に移動情報を伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、予め布設された軌道上を移動体が移動するような場合について本発明を広く適用し得る。
【0086】
(6−3)上述の実施の形態においては、地上子4として、2つの情報送出手段、すなわち赤色及び青色現示用情報送出手段10A及び10Bを設けたものを適用したが、情報送出手段としてはこれに限らず、2つ以上複数を設けても良い。
【0087】
(6−4)上述の実施の形態においては、移動体制御情報発信タグ12として、搬送波電波を受信したときその平滑電力を電源として搬送波電波を内蔵伝送情報に応じて反射動作を起動することにより当該伝送情報によって搬送波電波を変調して伝送する、いわゆるパッシブ素子を用いた場合について述べたが、本発明はこれに代え、内部で常時発生させた情報電波を自動的に放射する、いわゆるアクティブ素子を用いた場合にも同じように適用できる。
【0088】
(6−5)上述の実施の形態においては、移動体制御情報を伝送する搬送波として、UHF帯に含まれる950[MHz]帯の953[MHz]の電波を用いる場合について述べたが、これに限らず、例えば902〜928[MHz]、865〜868[MHz]、952〜954[MHz]、952〜955[MHz]や、その他の周波数を用いるようにしても良い。
【0089】
(6−6)上述の実施の形態においては、しゃ蔽制御部31のしゃ蔽制御電圧をしゃ蔽網部材11C2に与える手段として、リレー接点を用いた切換リレー接点回路32によって有接点式リレー回路を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、電子式リレー回路を用いるようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0090】
(6〜7)上述の実施の形態においては、地上子4として、赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bを設けた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その一方を省略するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は例えば列車自動制御装置のように予め布設された軌道上を移動体が移動するような設備に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施の形態に列車制御装置を示す略線図である。
【図2】(A)及び(B)は地上子4に設けられる赤色現示用情報送出手段10A及び青色現示用情報送出手段10Bの詳細構成を示す縦断面図及び平面図である。
【図3】移動体制御情報発信タグ12の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図5】(A)、(B)及び(C)はすだれ式のしゃ蔽網部材のしゃ蔽損失の説明に供する略線的平面図、略線的側面図及び等価回路図である。
【図6】第2の実施の形態における赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)を示す平面図である。
【図7】図6の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図8】第3の実施の形態による赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)を示す平面図である。
【図9】図8の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図10】第4の実施の形態による赤色(青色)現示用情報送出手段10A(10B)を示す平面図である。
【図11】図10の等価回路構成を示す電気的接続図である。
【図12】他の実施の形態による列車制御装置を示す略線図である。
【符号の説明】
【0093】
1……列車制御装置、2……列車、3……レール、4……地上子、5……信号機制御装置、6……信号機、7……車上子、8……移動体制御情報受信装置、9……運転制御装置、10A、10B……赤色、青色現示用情報送出手段、11……電波しゃ蔽制御筐体、11A……開口、11B……筐体本体、11C……しゃ蔽板、11C1……蓋部材、11C2……しゃ蔽網部材、12……移動体制御情報発信タグ、14……電波吸収層材、15……スペーサ、21A〜21C、21AX〜21DX……線材列、31……しゃ蔽制御部、32……切換リレー接点回路、33……しゃ蔽制御電源、36……切換制御部、N1、N1X、N1Y1、N1Y2……中央線材、N2及びN3、N2X及びN3X、N2Y及びN3Y……側部線材、24……長方形スロット、25A……外側導電性層部、25B……内側導電性層部、h1、h2……上側、下側スロット部、i11、i12、i21、i22……縦スロット部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料でなり、開口を有する筐体本体と、
上記筐体本体の上記開口を閉塞するしゃ蔽網部材と、
上記筐体本体内に設けられ、予め記憶手段に格納している移動体制御情報データによって搬送波を変調してなる移動体制御情報電波を送出する移動体制御情報発信タグと、
上記しゃ蔽網部材をしゃ蔽動作又は透過動作させるしゃ蔽制御部と
を具え、
上記しゃ蔽網部材は、上記搬送波をしゃ蔽又は透過する複数の導電性部材と、上記しゃ蔽制御部によって上記導電性部材を電気的に接続又は切離し動作するしゃ蔽制御用ダイオードとを有する
ことを特徴とする移動体制御情報伝送装置。
【請求項2】
上記複数の導電性部材は、上記しゃ蔽制御用ダイオードが導通動作したとき、実効的に、上記搬送波に対してしゃ蔽動作する長さの線材列を形成することにより、上記しゃ蔽網部材をしゃ蔽動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項3】
上記複数の導電性部材は、上記しゃ蔽制御用ダイオードが導通動作したとき、上記複数の導電性部材間に形成されているスロットを、実効的に、上記搬送波と共振動作できない長さに分割することにより、上記しゃ蔽網部材をしゃ蔽動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項4】
上記複数の導電性部材は、上記しゃ蔽制御用ダイオードの導通又は非導通によりしゃ蔽の有無を切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項5】
上記複数の導電性部材はスロットを形成し、
上記しゃ蔽制御用ダイオードの導通又は非導通により上記スロットの共振動作を制御することにより、しゃ蔽の有無を切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項6】
上記筐体本体の内部に設けられ、上記搬送波を吸収する電波吸収材
を具えることを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項7】
上記移動体制御情報発信タグと上記電波吸収材との間に、上記搬送波に対して抵損失かつ低誘電率をもつスペーサを介挿する
ことを特徴とする請求項6に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項1】
導電性材料でなり、開口を有する筐体本体と、
上記筐体本体の上記開口を閉塞するしゃ蔽網部材と、
上記筐体本体内に設けられ、予め記憶手段に格納している移動体制御情報データによって搬送波を変調してなる移動体制御情報電波を送出する移動体制御情報発信タグと、
上記しゃ蔽網部材をしゃ蔽動作又は透過動作させるしゃ蔽制御部と
を具え、
上記しゃ蔽網部材は、上記搬送波をしゃ蔽又は透過する複数の導電性部材と、上記しゃ蔽制御部によって上記導電性部材を電気的に接続又は切離し動作するしゃ蔽制御用ダイオードとを有する
ことを特徴とする移動体制御情報伝送装置。
【請求項2】
上記複数の導電性部材は、上記しゃ蔽制御用ダイオードが導通動作したとき、実効的に、上記搬送波に対してしゃ蔽動作する長さの線材列を形成することにより、上記しゃ蔽網部材をしゃ蔽動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項3】
上記複数の導電性部材は、上記しゃ蔽制御用ダイオードが導通動作したとき、上記複数の導電性部材間に形成されているスロットを、実効的に、上記搬送波と共振動作できない長さに分割することにより、上記しゃ蔽網部材をしゃ蔽動作させる
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項4】
上記複数の導電性部材は、上記しゃ蔽制御用ダイオードの導通又は非導通によりしゃ蔽の有無を切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項5】
上記複数の導電性部材はスロットを形成し、
上記しゃ蔽制御用ダイオードの導通又は非導通により上記スロットの共振動作を制御することにより、しゃ蔽の有無を切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項6】
上記筐体本体の内部に設けられ、上記搬送波を吸収する電波吸収材
を具えることを特徴とする請求項1に記載の移動体制御情報伝送装置。
【請求項7】
上記移動体制御情報発信タグと上記電波吸収材との間に、上記搬送波に対して抵損失かつ低誘電率をもつスペーサを介挿する
ことを特徴とする請求項6に記載の移動体制御情報伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−12638(P2009−12638A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177394(P2007−177394)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(504133110)国立大学法人 電気通信大学 (383)
【出願人】(501284767)株式会社ジェイアール総研電気システム (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(504133110)国立大学法人 電気通信大学 (383)
【出願人】(501284767)株式会社ジェイアール総研電気システム (17)
【Fターム(参考)】
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