説明

移動局、及び送信制御方法

【課題】ランダムアクセス制御において、スループットの低下を抑制する方法を提供する。
【解決手段】移動局10は、同期判定部13と、送信タイミング制御部15と、送信部16とを有する。同期判定部13は、基地局20との間に上り方向の同期が確立されているか否かを判定する。送信タイミング制御部15は、上記同期が確立されている場合に、基地局20へのデータ送信の開始を通知するタイミングを、以前の送信タイミングを基準として決定する。送信部16は、送信タイミング制御部15により決定されたタイミングで、上記データ送信の開始を基地局20に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局、及び送信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動局と基地局間における無線通信技術において、移動局が基地局にアクセスする際に他の移動局と共有するチャネルの1つとして、RACH(Random Access CHannel)が用いられている。通常、RACHにおける送信制御では、移動局は、上り方向の送信データの存在を基地局側に通知するため、スケジューリングの開始を要求するプリアンブル送信を行うが、このプリアンブル送信は、下り方向のデータ受信と同一のタイミングで実行される。プリアンブル送信のフレームを受信した基地局は、往復の伝搬遅延時間を測定すると共に、下り方向のデータ受信タイミングに対して、送信タイミングをダイナミックに変動させる送信タイミング制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153048号公報
【特許文献2】特開2008−244526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したRACHにおける送信制御では、移動局は、往復の遅延時間を基地局に通知するため、TA(Timing Advance)の初期化を行う。すなわち、移動局は、基地局との間で上り方向の同期状態が確立されているか否かに拘らず、プリアンブル送信を、下り方向のデータ受信タイミングと同一のタイミング(初期値としてのTA=0)で行う。したがって、上り同期状態にある場合において、特に、従前の送信タイミングとTA初期化後(初期値)の送信タイミングとの差が大きい場合、移動局は、プリアンブル送信を行う際、そのタイミングを大きく変動させる必要がある。これに伴い、移動局は、プリアンブル送信前後のデータやACK/NACKの送信を停止することとなるため、基地局は、プリアンブルの送信時から送信タイミングの確定時までの十数ms〜数十msの間、データを正常に受信できなくなってしまうことがある。このことが、上り方向のみならず、下り方向のスループットを低下させる要因となっていた。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、スループットの低下を抑制することができる移動局、及び送信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願の開示する移動局は、一つの態様において、判定部と、制御部と、送信部とを有する。前記判定部は、基地局との間に上り方向の同期が確立されているか否かを判定する。前記制御部は、前記同期が確立されている場合に、前記基地局へのデータ送信の開始を通知するタイミングを、以前の送信タイミングを基準として決定する。前記送信部は、前記制御部により決定されたタイミングで、前記データ送信の開始を前記基地局に通知する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する移動局の一つの態様によれば、スループットの低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、移動局の機能的構成を示す図である。
【図2】図2は、移動局のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3は、移動局の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、通常通信時における送信タイミング制御を説明するための図である。
【図5】図5は、上り同期状態における、プリアンブル送信時の送信タイミング制御を説明するための図である。
【図6】図6は、非上り同期状態における、プリアンブル送信時の送信タイミング制御を説明するための図である。
【図7】図7は、送信制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する移動局、及び送信制御方法の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により、本願の開示する移動局、及び送信制御方法が限定されるものではない。
【0010】
まず、本願の開示する移動局の一実施例に係る移動局10の構成を説明する。図1は、本実施例に係る移動局10の機能的構成を示す図である。図1に示すように、移動局10は、受信部11と、受信タイミング検出部12と、同期判定部13と、前回送信タイミング取得部14と、送信タイミング制御部15と、送信部16とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
【0011】
受信部11は、移動局10の通常通信時において、基地局20から移動局10に対して送信される下り方向のデータを受信する。また、受信部11は、プリアンブル送信時においては、下り方向のデータを受信するタイミングの検出に伴い、サブフレームの送信タイミングと受信タイミングとの時間差を示す情報(TA情報)を基地局20から受信する。
【0012】
受信タイミング検出部12は、下り方向のサブフレームを監視し、そのサブフレームから、移動局10が下り方向の再送データを受信するタイミングを検出し、該検出結果を、受信部11及び同期判定部13に通知する。
【0013】
同期判定部13は、受信タイミング検出部12により検出された受信タイミングの通知を契機として、移動局10と基地局20との間に上り方向の同期が確立されているか否かを判定する。同期判定部13は、同期が確立されている場合には、前回送信タイミング取得部14に対して、その旨の通知を行い、同期が確立されていない場合には、送信タイミング制御部15に対して、その旨の通知を行う。
【0014】
前回送信タイミング取得部14は、移動局10、基地局20間に上り方向の同期が確立されている場合、上り方向における前回の送信タイミングを、プリアンブルの送信タイミングの参照先として取得する。
【0015】
送信タイミング制御部15は、移動局10、基地局20間における同期確立の有無に応じて、プリアンブル送信のタイミングを可変的に決定する。すなわち、同期が確立されている場合には、送信タイミング制御部15は、TAの初期化を行うことなく、基地局20へのデータ送信の開始を通知するプリアンブル送信のタイミングを、前回の送信タイミングを基準として決定する。一方、上記同期が確立されていない場合には、送信タイミング制御部15は、上り方向の参照先がないことから、送信タイミングのオフセット値を“0”とすることにより、TAを初期化する。これにより、同期時におけるプリアンブル送信のタイミングは、先行するサブフレームに間欠無く後続するように制御され、非同期時におけるプリアンブル送信のタイミングは、サブフレームの受信タイミングと一致するように制御される。
【0016】
送信部16は、基地局20に対してスケジューリングを要求するためのプリアンブル信号を送信する。また、送信部16は、送信タイミング制御部15により制御された送信タイミングにより、上記スケジューリングを要求した、上り方向のデータ送信を行う。
【0017】
なお、上述した移動局10は、物理的には、例えば携帯電話によって実現される。図2は、移動局10としての携帯電話のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、移動局10は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)10bと、メモリ10cと、FPGA(Field Programmable Gate Array)10dと、DSP(Digital Signal Processor)10eと、RF(Radio Frequency)回路10fと、表示装置10gとが、スイッチ10aを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。RF回路10fは、アンテナ10hを有する。メモリ10cは、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。表示装置10gは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等である。移動局10の受信部11と、送信部16とは、例えば、上記RF回路10f及びアンテナ10hによって実現される。また、受信タイミング検出部12と、同期判定部13と、前回送信タイミング取得部14と、送信タイミング制御部15とは、例えば、CPU10bあるいはDSP10eによって実現される。
【0018】
次に、図3を参照しながら、移動局10の動作を説明する。
【0019】
図3は、移動局10の動作を説明するためのフローチャートである。まず、移動局10は、通常通信時において、基地局20から移動局10宛に送信される下り方向のデータを受信する(S1)。
【0020】
図4は、通常通信時における送信タイミング制御を説明するための図である。図4では、x軸方向に時間が規定されている。図4に示すように、上り方向(Up Link)の信号と下り方向(Down Link)の信号とは、サブフレーム単位(例えば、1ms)でチャネル上を送受信される。上り方向サブフレームU1〜U7と下り方向のサブフレームD1〜D7との間には、所定時間分のTA(Timing Advance)が設定されており、このTAにより、移動局10と基地局20との間で、上り方向の同期が確立されている。移動局10は、サブフレームにより基地局20からのデータを受信すると、そのデータが正常に受信された場合には、上り方向のチャネルを介して、サブフレームにより、肯定応答を示すACK信号を返信する。一方、移動局10は、下り方向のデータが正常に受信されなかった場合には、否定応答を示すNACK信号を、データの送信元である基地局20に返信する。
【0021】
S2では、移動局10は、プリアンブル信号を送信する。このプリアンブル信号により、移動局10は、上り方向の未送信データがあることを基地局20に対して通知し、基地局20は、当該通知を基に、移動局10についてのスケジューリングを開始する。
【0022】
次に、移動局10は、自局が下り方向の再送データを受信するタイミングを検出する(S3)と、上り方向のサブフレームの送信タイミングと下り方向のサブフレームの受信タイミングとの時間差であるTA(図4参照)を示す情報を基地局20から受信する(S4)。また、移動局10は、S3におけるタイミング検出を契機として、同期判定部13により、上り方向の同期が確立されているか否かの判定を開始する(S5)。同期が確立されている場合には(S5;Yes)、移動局10は、上り方向のデータ発生の検知に伴い、前回の送信タイミングを、プリアンブルの送信タイミングの参照先として取得する(S6)。
【0023】
S7では、移動局10は、プリアンブルの送信タイミングを、前回送信時のタイミングに合わせる制御を行う。すなわち、移動局10は、以前に上り方向の同期が確立されていた時(本実施例では前回送信時)の送信タイミングを基準として、基地局20宛にプリアンブル送信を行う。図5は、上り同期状態における、プリアンブル送信時の送信タイミング制御を説明するための図である。図5に示すように、プリアンブルを送信するためのサブフレームU12の先頭部分が、前回送信された、ACK/NACK送信用のサブフレームU11の末尾部分と一致するタイミングで、プリアンブル送信が行われる。これにより、サブフレームU11、U12間に時間的な間欠は無くなり、併せて、プリアンブルに後続するサブフレームU13〜U16間にも間欠が無いことから、タイムラグの少ない効率的なサブフレーム送信が可能となる。
【0024】
また、S7においては、移動局10と基地局20との間に、上り方向の同期が確立されていることから、図5の時間Tに送信されたサブフレームU13〜U16についても、基地局20は、正常に受信することができる。また、TA制御の基準となるタイミングT(時間T、Tとの境界)と上り方向の送信サブフレームU17との時間差(ずれ)も小さいことから、時間Tは、ガードインターバル(CP:Cyclic Prefix)の範囲内に収まる可能性が高い。したがって、移動局10の送信タイミング制御部15は、TAを更新して上り方向のデータを送信する際、サブフレームを使うことなく、時間Tの微調整のみで対応することができる。
【0025】
図3に戻り、S8では、移動局10は、上述した送信タイミング制御により、プリアンブル送信により通知された、上り方向のデータ送信を開始する。
【0026】
一方、S3で受信タイミングを検出したにも拘らず、上り方向の同期が確立されていない場合には(S5;No)、移動局10は、プリアンブルの送信タイミングの参照先が存在しないことから、TAを初期化して、プリアンブル送信を行う(S9)。これにより、同期時におけるプリアンブル送信のタイミングは、先行するサブフレームに間欠無く後続する(換言すれば、オフセットを設ける)ように制御される。これに対して、非同期時におけるプリアンブル送信のタイミングは、サブフレームの受信タイミングと一致する(換言すれば、オフセットが“0”となる)ように制御される。
【0027】
図6は、非上り同期状態における、プリアンブル送信時の送信タイミング制御を説明するための図である。図6に示すように、移動局10と基地局20との間に上り同期が確立されていない場合には、移動局10は、プリアンブルの送信に先立ち、送信タイミングのオフセット値を“0”とするため、TAを初期化する。その結果、プリアンブル送信用のサブフレームU22の送信タイミングは、下り方向の受信用サブフレームD22の受信タイミングと一致することとなる。その後、移動局10は、サブフレームU26以降のサブフレームにより、プリアンブル送信により通知された、上り方向のデータ送信を開始する(図3のS8)。
【0028】
以上説明したように、本実施例に係る移動局10によれば、同期判定部13と、送信タイミング制御部15と、送信部16とを有する。同期判定部13は、基地局20との間に上り方向の同期が確立されているか否かを判定する。送信タイミング制御部15は、上記同期が確立されている場合に、基地局20へのデータ送信の開始(送信すべきデータの存在)を通知するタイミングを、以前の送信タイミングを基準として決定する。送信部16は、送信タイミング制御部15により決定されたタイミングで、上記データ送信の開始を基地局20に通知する。これにより、移動局10は、従前の送信タイミングとTA初期化後(初期値)の送信タイミングとの差が大きい場合であっても、プリアンブル送信を行う際、そのタイミングを大きく変動させる必要がなくなる。したがって、移動局10は、プリアンブル送信前後のデータやACK/NACKの送信を停止することなく、基地局20が正常に受信可能なデータや信号を、基地局20に対して送信することができる。これにより、上り送信情報の停止は最小限に抑制され、その結果、上り方向のみならず、下り方向のスループットの低下を抑制することが可能となる。また、上述したように、送信タイミングの変動量が少なくて済むため、移動局10における送信タイミング制御は容易となり、移動局10の処理負荷が低減される。
【0029】
すなわち、移動局10による送信タイミングの制御であれば、プリアンブル送信のタイミングは、再送データの受信時(図6に示す時点T)のタイミングではなく、以前に上り方向の同期が確立されていた時(例えば、前回送信時(図5に示す時点T))のタイミングとなる。前者のタイミングでは、移動局10が、プリアンブル送信を行っても、同期が確立されていないため、基地局20では、受信タイミングを取ることができない。このため、時間Tの間に送信されたサブフレームU23〜U25は、基地局20において正常に受信されることなく、ノイズとして認識される。また、TA制御の基準タイミングとなる時点T(時間T、Tとの境界)と上り方向の送信サブフレームU26(図6参照)との時間差が大きいことから、この時間差は、上記ガードインターバルの範囲内に収まらない可能性が高い。したがって、移動局10は、TAを更新する際、時間Tに対応する1サブフレーム分の送信を潰して、上り方向のデータ(サブフレームU26以降のサブフレーム)を送信するためのリソースを確保しなければならない。これに対して、後者の送信タイミングでは、上述したように、時間方向のチャネルの空隙が少なくなることから、上記のような不都合は解消され、移動局10は、基地局20へのデータ送信に際し、チャネルを最大限に活用することができる。
【0030】
また、移動局10が、データ送信の開始を通知するタイミングは、RACH制御におけるプリアンブルの送信タイミングである。換言すれば、移動局10は、送信タイミング追従型のRACH制御を実行する。具体的には、移動局10は、プリアンブル送信のタイミングを、初期値(下り方向のデータ受信タイミング)ではなく、前回送信時の送信タイミングに合わせてRACH制御を行う。RACHにおける送信制御では、移動局10は、上り方向の送信データの存在を基地局側に通知するため、基地局20へのデータ送信に先立ち、スケジューリングの開始を要求するプリアンブル送信を行う。したがって、RACH制御におけるプリアンブル送信に対して、本実施例に係る技術を適用することが、より効果的である。すなわち、RACH制御におけるプリアンブル送信では、これに後続する上り方向の未送信データが多数存在することとなるため、移動局10と基地局20との間に、高速かつ高品質の通信リソースが確保されることが、特に要求される。RACH制御におけるプリアンブル送信に対して、本実施例に係る技術を適用することで、移動局10は、自局に割り当てられた通信リソースを有効に活用して、基地局20宛にデータを送信することができる。その結果、移動局10がプリアンブル送信後に大量のデータを送信する場合でも、高いスループットを維持することが可能となる。
【0031】
また、移動局10は、プリアンブル送信のタイミングを、前回送信時の送信タイミングを基準として決定するため、送信部16は、プリアンブル送信後、これに伴うデータ送信迄の間に、基地局20に対して、ACKまたはNACKの送信を行うことができる。これにより、データ送信の開始を予告するためのサブフレームと、実際のデータ送信に使用されるサブフレームとの間に介在するサブフレームが、移動局10と基地局20との無線通信において無駄になることがない。したがって、移動局10は、その分多くのサブフレームを、基地局20への送信に用いることができる。その結果、TA初期化後のプリアンブル送信に伴うスループットの低下が抑制される。
【0032】
[送信制御プログラム]
また、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図7を用いて、図1に示した移動局10と同様の機能を有する送信制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0033】
図7は、送信制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図7に示すように、コンピュータ100は、CPU110と、入力装置120と、モニタ130と、音声入出力装置140と、無線通信装置150とを有する。更に、コンピュータ100は、RAM160と、ハードディスク装置170等のデータ記憶装置とを有し、これらをバス180で接続して構成される。CPU110は、各種演算処理を実行する。入力装置120は、ユーザからのデータの入力を受け付ける。モニタ130は、各種情報を表示する。音声入出力装置140は、音声を入出力する。無線通信装置150は、無線通信を介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行う。RAM160は、各種情報を一時的に記憶する。
【0034】
そして、ハードディスク装置170には、図2に示したCPU10bと同様の機能を有する送信制御プログラム171が記憶される。また、ハードディスク装置170には、図2に示したメモリ10cに記憶される各種データ(前回送信タイミング、プリアンブル送信データ、送信タイミング等)に対応する送信制御処理関連データ172及び制御履歴ファイル173が記憶される。
【0035】
そして、CPU110が送信制御プログラム171をハードディスク装置170から読み出してRAM160に展開することにより、送信制御プログラム171は、送信制御プロセス161として機能するようになる。そして、送信制御プロセス161は、送信制御処理関連データ172から読み出した情報等を適宜RAM160上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開したデータ等に基づいて各種データ処理を実行する。そして、送信制御プロセス161は、所定の情報を制御履歴ファイル173に出力する。
【0036】
なお、上記の送信制御プログラム171は、必ずしもハードディスク装置170に格納されている必要はなく、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されたこのプログラムを、コンピュータ100が読み出して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等を介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータ(またはサーバ)等にこのプログラムを記憶させておいてもよい。この場合には、コンピュータ100がこれらからプログラムを読み出して実行する。
【0037】
なお、上記実施例では、移動局10は、送信タイミングを決定するためのプリアンブル送信を行う際、前回送信時の送信タイミングを基準として用いるものとした。しかしながら、移動局10は、同一のセル内で過去に一度でも上り方向の同期が確立されていれば、その時の送信タイミングを、参照先のサブフレームとして使用することができる。したがって、移動局10がプリアンブル送信の基準として用いる送信タイミングは、必ずしも前回送信時のものでなくてもよい。すなわち、同一のセル内で過去に一度でも上り同期が確立されている場合には、上記送信タイミングは、過去の何れの時点の送信タイミングでもよく、移動局10は、前々回若しくはそれ以前の送信タイミングを基準とするものとしてもよい。
【0038】
また、上記実施例では、移動局として、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)を想定して説明したが、本発明は、移動局に限らず、送信タイミング制御を行う様々な通信機器に対しても適用可能である。
【0039】
また、図1に示した移動局10の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的態様は、図示のものに限らず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、受信タイミング検出部12と、同期判定部13と、前回送信タイミング取得部14とを1つの構成要素として統合してもよい。反対に、送信タイミング制御部15に関し、上り方向の同期が確立されている場合に制御を行う部分と、上り方向の同期が確立されていない場合に制御を行う部分とに分散してもよい。また、メモリ10cを、移動局10の外部装置としてネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 移動局
10a スイッチ
10b CPU
10c メモリ
10d FPGA
10e DSP
10f RF回路
10g 表示装置
10h アンテナ
11 受信部
12 受信タイミング検出部
13 同期判定部
14 前回送信タイミング取得部
15 送信タイミング制御部
16 送信部
20 基地局
U1〜U7、U11〜U17、U21〜U26 上り方向のサブフレーム
D1〜D7、D11〜D17、D21〜D27 下り方向のサブフレーム
100 コンピュータ
110 CPU
120 入力装置
130 モニタ
140 音声入出力装置
150 無線通信装置
160 RAM
161 送信制御プロセス
170 ハードディスク装置
171 送信制御プログラム
172 送信制御処理関連データ
173 制御履歴ファイル
180 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との間に上り方向の同期が確立されているか否かを判定する判定部と、
前記同期が確立されている場合に、前記基地局へのデータ送信の開始を通知するタイミングを、以前の送信タイミングを基準として決定する制御部と、
前記制御部により決定されたタイミングで、前記データ送信の開始を前記基地局に通知する送信部と
を有することを特徴とする移動局。
【請求項2】
移動局が、
基地局との間に上り方向の同期が確立されているか否かを判定し、
前記同期が確立されている場合に、前記基地局へのデータ送信の開始を通知するタイミングを、以前の送信タイミングを基準として決定し、
決定されたタイミングで、前記データ送信の開始を前記基地局に通知する
ことを特徴とする送信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21496(P2013−21496A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153070(P2011−153070)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】