移動局及び無線基地局
【課題】CAを行う際に、移動局UEがPDCCHの検出を行うDLキャリアを限定する。
【解決手段】本発明に係る移動局UEは、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリアにおいてRAプリアンブルを送信した場合に、複数のDLキャリアの中から、かかるULキャリアに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部12を具備する。
【解決手段】本発明に係る移動局UEは、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリアにおいてRAプリアンブルを送信した場合に、複数のDLキャリアの中から、かかるULキャリアに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部12を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)のFDD方式では、1つのDL(Downlink)キャリアと1つのUL(Uplink)キャリアとがペアを成している。LTE方式の移動通信システムでは、複数のDLキャリア及びULキャリアを用いて運用することが可能であるが、DLキャリアとULキャリアとの対応関係は、1対1である。
【0003】
図5に示すように、移動局UEは、無線基地局eNBとの間で無線リンクを介して通信を行う一時点においては、1つのDLキャリア及びULキャリアのペアのみを使用するように構成されている。
【0004】
IDLE(待ち受け)状態の移動局UEは、3GPPのTS36.304に規定されているセル選択動作に従って待ち受けるDLキャリアを選択するように構成されている。
【0005】
そして、移動局UEは、待ち受けを行っているDLキャリアにおける報知情報(具体的には、SIB2)から、かかるDLキャリアとペアを成すULキャリアを特定するように構成されている。
【0006】
ここで、移動局UEは、IDLE状態からCONNECTED(接続)状態に遷移する際には、待ち受けを行っているDLキャリア及び当該DLキャリアとペアを成すULキャリアにて無線リンクを確立するように構成されている。
【0007】
無線基地局eNBは、CONNECTEDの移動局UEに対して、所定タイミングで、移動局UEごとに、レイヤ3(RRC:Radio Resource Control)メッセージを送信することにより、無線リンクを確立するDLキャリア及びULキャリアのペアを変更可能である。
【0008】
LTE方式では、レイヤ1/MACサブレイヤにて終端されるRACH手順(RACH Procedure)が規定されている。移動局UEは、RACH手順を起動すると、上りリンクにて、無線基地局eNBに対して、RAプリアンブル(RA preamble)を送信し、RAプリアンブルを検出した無線基地局eNBは、下りリンクにてRAレスポンス(RA response)を送信し、移動局UEは、RAプリアンブルを送信した後に、RAレスポンスの検出を試みる(非特許文献2及び3参照)。
【0009】
図6に示すように、移動局UEは、待ち受けを行っているDLキャリア又は接続しているDLキャリアとペアを成しているULキャリアにて、RAプリアンブルを送信し、待ち受けを行っているDLキャリア又は接続しているDLキャリアにて、RAレスポンスの検出を試みる。
【0010】
また、図6に示すように、無線基地局eNBは、RAプリアンブルを検出した場合、RAプリアンブルを検出したULキャリアとペアを成しているDLキャリアにて、RAレスポンスを送信する。
【0011】
また、図7に示すように、DLキャリアにおける報知情報(SIB2)には、かかるDLキャリアとペアを成すULキャリアにおける「PRACH(Physical Random Access Channel) configuration(RAプリアンブル用の周波数・時間リソース)」が含まれており、移動局UEは、かかる「PRACH configuration」にて指定される周波数・時間リソースを用いて、RAプリアンブルを送信するように構成されている。
【0012】
RAプリアンブルには、「サイクリックシフト(cyclic shift)」の異なる64個の「プリアンブルシーケンス(preamble sequence)」 があり、方式的には、PRACHの1周波数・時間リソースにおいて、64個のRAプリアンブルを多重することができる。
【0013】
システムとしては、さらに、64個のプリアンブルシーケンスを、Contention用のプリアンブルシーケンスとContention free用のプリアンブルシーケンスとに分類して運用することができる。
【0014】
Contention用のプリアンブルシーケンスは、移動局UEがRAプリアンブルとして送信するプリアンブルシーケンスを自ら選択する際に選択することの可能なプリアンブルシーケンスであり、Contention free用のプリアンブルシーケンスは、移動局UEがRAプリアンブルとして送信するプリアンブルシーケンスを自ら選択する際には選択することができないが、無線基地局eNBから個別にプリアンブルシーケンスを割り当てられた際にRAプリアンブルとして送信するプリアンブルシーケンスである。
【0015】
なお、Contention free用のプリアンブルシーケンスの割り当ては、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)又はRRCメッセージにて行われる。
【0016】
ここで、図8に示すように、64個のプリアンブルシーケンスのうち、Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲がDLキャリアにおける報知情報(SIB2)に含まれているため、移動局UEは、Contention用のプリアンブルシーケンスとContention free用のプリアンブルシーケンスとを区別することができる。
【0017】
検出したRAプリアンブルが、Contention free用のプリアンブルシーケンスであれば、無線基地局eNBは、かかるプリアンブルシーケンスを移動局UEに対して個別に割り当てているので、RAレスポンスを送信する時点で、既にRAレスポンスを送信すべき移動局UEを特定することが可能である。
【0018】
一方で、検出したRAプリアンブルが、Contention用のプリアンブルシーケンスであれば、移動局UEが選択したプリアンブルシーケンスであるため、無線基地局eNBは、RAレスポンスを送信する時点ででは、未だ、どの移動局UEに対してRAレスポンスを送信すべきであるのかについて特定することができない。
【0019】
RAレスポンスを送信するPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)上のリソースは、RA-RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identifier)によりCRCマスキングされたPDCCHにて指定される。
【0020】
そのため、RAプリアンブルを送信した移動局UEは、RAレスポンスを検出するために、RA-RNTIによりCRCマスキングされたPDCCHの検出を試みる。
【0021】
図9に示すように、PDCCHの検出を行うリソースは、「サーチスペース(Search Space)」と呼ばれ、無線基地局eNBは、サーチスペースの中でも、システムで固定されている「共通サーチスペース(Common Search Space)」にて、RA-RNTIによりCRCマスキングされたPDCCHを送信することになっている。
【0022】
共通サーチスペース以外のサーチスペースは、「移動局専用サーチスペース(UE Specific Search Space)」として、「UL grant」や「DL assignment」を移動局UEごとに個別に割り当てるPDCCHの送信に使用することが可能である。
【0023】
ここで、共通サーチスペースは小さいため、共通サーチスペースにおいては、比較的、PDCCHリソース不足が発生しやすいという問題がある。
【0024】
仮に共通サーチスペース上のPDCCHリソースが埋まってしまうと、無線基地局eNBは、RAレスポンスを送信することができなくなり、RACH手順の完了が遅延してしまう。
【0025】
なお、共通サーチスペース上で送信される他のPDCCHとしては、報知情報のリソース割り当てを通知するPDCCH(SI-RNTIでCRCマスキングされたPDCCH)やPaging(着信)メッセージのリソース割り当てを通知するPDCCH(P-RNTIでCRCマスキングされたPDCCH)等がある。
【0026】
一方で、LTE方式からの更なる周波数利用効率の改善やピークスループットの向上及び伝送遅延の短縮を目的として、3GPPで、現在、LTE-A方式の検討及び仕様化が進められている。
【0027】
LTE-A方式の主な機能として、1つの移動局UEに対して同時に複数のDLキャリア及びULキャリアを設定して通信を行うことにより、ユーザスループットの向上を実現する「CA:Carrier Aggregation」がある(非特許文献2及び4参照)。
【0028】
なお、LTE-A方式は、LTE方式とバックワードコンパチビリティ(backward compatibility)を保ったまま同じシステムとして運用できるように検討されており、図10に示すように、CAを適用する場合も、それぞれのDLキャリアは、DLキャリアにおける報知情報(SIB2)から特定されるULキャリアとペアを成す。
【0029】
CAのシナリオとして、移動局UEにおいて同時に使用するDLキャリアの数とULキャリアの数とが非対称であるシナリオについても検討されている。
【0030】
特に、ユーザデータトラヒックとしてULよりもDLの方が多いことが一般的であるため、システムとして提供するDLキャリアの数又は移動局UEの実装としてサポートするDLキャリアの数がULキャリアの数より多いシナリオが重視されている。
【0031】
この場合、DLキャリアの数がULキャリアの数よりも多いため、図11に示すように、DLキャリアにおける報知情報(SIB2)から特定されるDLキャリアとULキャリアとの対応関係も、1対1の対応関係のみの運用だけでなく、N対1の対応関係としての運用も想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】3GPP TS36.304
【非特許文献2】3GPP TS36.300
【非特許文献3】3GPP TS36.321
【非特許文献4】3GPP TS36.912
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
このように、DLキャリアの数がULキャリアの数より多いCAのシナリオを想定する場合、先に述べた共通サーチスペース上のPDCCHリソース不足の問題を低減するために、RAレスポンスの送信をなるべくシステムで有している複数のDLキャリアに分散することが望ましい。
【0034】
例えば、図11におけるULキャリア#2にて送信されるRAプリアンブルに対するRAレスポンスを、DLキャリア#2とDLキャリア#3とに分散させることが望ましい。
【0035】
また、CAを行っている移動局UEが、複数のDLキャリアにて受信を行う際に、それぞれのDLキャリアでPDCCHを検出する必要がある場合、PDCCHの検出や複号に要する処理能力が、移動局UEに設定されているDLキャリアの数に比例して増えてしまい、移動局UEの実装コスト増につながってしまうという問題がある。
【0036】
よって、CAを行う際にも、可能であれば、移動局UEがPDCCHの検出を行うDLキャリアを限定することが望ましい。
【0037】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、CAを行う際に、移動局UEがPDCCHの検出を行うDLキャリアを限定することができる移動局及び無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明の第1の特徴は、無線基地局との間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信を行うことができるように構成されている移動局であって、前記通信を行っている場合で、かつ、上りリンクキャリアにおいてRAプリアンブルを送信した場合に、複数の下りリンクキャリアの中から、該上りリンクキャリアに対応する下りリンクキャリアでのみ、該RAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部を具備することを要旨とする。
【0039】
本発明の第2の特徴は、無線基地局であって、上りリンクキャリアにおいて、PRACHリソース及びプリアンブルシーケンスを用いてRAプリアンブルを検出した場合に、該上りリンクキャリアと、該PRACHリソース及び該プリアンブルシーケンスの少なくとも一方とに対応する下りリンクキャリアでのみ、該RAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信するように構成されているRACH手順部を具備することを要旨とする。
【0040】
本発明の第3の特徴は、無線基地局であって、前記無線基地局との間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信を行っている移動局に対して、個別RAプリアンブルと共に、該移動局において該個別RAプリアンブルを送信すべき上りリンクキャリアを通知するための通知情報を送信するように構成されている送信部を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本発明によれば、CAを行う際に、移動局UEがPDCCHの検出を行うDLキャリアを限定することができる移動局及び無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明するための図である。
【図5】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図6】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図7】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図8】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図9】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図10】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図11】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0044】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、2つのULキャリアと3つのDLキャリアが提供されている。そして、CAを行っている移動局UE#aとCAを行っていない移動局UE#b〜UE#dとが混在している。
【0045】
さらに、ULキャリア#1及びULキャリア#2のそれぞれにおいて、RAプリアンブルを送受信(送信=移動局UE、受信=無線基地局eNB)するためのリソースが設定されており、それぞれに対応するDLキャリアにおける報知情報(SIB2)において、「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」が含まれていることを前提とする。
【0046】
具体的には、DLキャリア#1にて、ULキャリア#1の「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」が報知され、DLキャリア#2及びDLキャリア#3にて、ULキャリア#2の「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」が報知されている。
【0047】
図2に示すように、移動局UEは、受信部11と、RACH手順部12とを具備しており、図3に示すように、無線基地局eNBは、送信部21と、RACH手順部22とを具備している。
【0048】
<ケース1>
第1に、移動局UE#aが、ULキャリア#1にて、Contention用のRAプリアンブル(共通RAプリアンブル)を送信するケースについて説明する。
【0049】
かかるケースでは、無線基地局eNBは、ULキャリア#1にて、Contention用のRAプリアンブルを検出した時点では、どの移動局UEが、かかるRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0050】
すなわち、図1の例では、無線基地局eNBは、移動局UE#a又は移動局UE#bのどちらがRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0051】
CAを行っている移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RAレスポンスの検出を試みていたとしても、CAを行っていない移動局UE#bは、DLキャリア#1でのみRAレスポンスの受信を試みるため、無線基地局eNBとしては、RAプリアンブルの送信を行ったのが、CAを行っていない移動局UE#bであったとしても、RAレスポンスが受信されるように、ULキャリア#1とペアを成しているDLキャリア#1でRAレスポンスを送信する。
【0052】
このため、移動局UE#aが、ULキャリア#1にて、Contention用のRAプリアンブルを送信した際に、RAレスポンスの検出を、ULキャリア#1とペアを成していないDLキャリア#2〜#3で試みるのは無駄であり、移動局UE#aは、DLキャリア#1でのみRAレスポンスの検出を行えばよい。
【0053】
具体的には、移動局UEのRACH手順部12は、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリア#1においてRAプリアンブル(Contention用のRAプリアンブル、又は、Contention free用のRAプリアンブル)を送信した場合に、複数のDLキャリア#1〜#3の中から、かかるULキャリア#1に対応するDLキャリア#1でのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されている。
【0054】
すなわち、かかる場合、移動局UEのRACH手順部12は、DLキャリア#2〜#3では、RAレスポンスの検出を試みないように構成されている。
【0055】
<ケース2>
第2に、移動局UE#aが、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを送信するケースについて説明する。
【0056】
かかるケースでは、無線基地局eNBは、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを検出した時点では、どの移動局UEが、かかるRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0057】
すなわち、図1の例では、無線基地局eNBは、移動局UE#a、移動局UE#c又は移動局UE#dのどれがRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0058】
CAを行っている移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RAレスポンスの検出を試みていたとしても、無線基地局eNBは、ULキャリア#2とペアを成していないDLキャリア#1では、RAレスポンスを送信しないので、移動局UE#aが、DLキャリア#1で、RAレスポンスの検出を行うのは無駄である。
【0059】
一方で、ULキャリア#2とペアを成しているDLキャリアは、DLキャリア#2〜#3の2つがある。ここで、CAを行っていない移動局UE#cが、DLキャリア#2のみを使用すること、及び、CAを行っていない移動局UE#dが、DLキャリア#3のみを使用することを考慮すると、無線基地局eNBとしては、RAプリアンブルの送信を行ったのが移動局UE#a、移動局UE#c又は移動局UE#dのどれであっても、RAレスポンスが受信されるように、RAレスポンスを、DLキャリア#2及びDLキャリア#3の双方に送信する必要がある。
【0060】
しかし、実際に、RAプリアンブルの送信を行ったのは移動局UE#a、移動局UE#c又は移動局UE#dのいずれか1つであるため、RAレスポンスを2重に送信することは、共通サーチスペース上のPDCCHリソースを浪費してしまうことになる。
【0061】
ここで、無線基地局eNBは、図4に示すように、ULキャリア#2におけるPRACHリソース及びContention用のRAプリアンブルシーケンスの少なくとも一方を2分割して管理し、DLキャリア#2及びDLキャリア#3で、SIB2によって、それぞれ別の「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」を報知することにより、この浪費を回避できる。
【0062】
この場合、移動局UE#cは、DLキャリア#2のみを使用しているので、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを送信する際に、DLキャリア#2における報知情報(SIB2)で指定されているULキャリア#2のPRACHリソース(PRACHの時間・周波数リソース)及びContention用のRAプリアンブルシーケンスしか適用しない。
【0063】
同様に、移動局UE#dは、DLキャリア#3のみを使用しているので、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを送信する際に、DLキャリア#3における報知情報(SIB2)で指定されているULキャリア#2のPRACHリソース(PRACHの時間・周波数リソース)及びContention用のRAプリアンブルシーケンスしか適用しない。
【0064】
よって、無線基地局eNBは、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを検出した場合においても、移動局UEがどのDLキャリアにおける報知情報に従って当該Contention用のRAプリアンブルを送信したかについて特定できるので、かかるDLキャリアにおいてのみRAレスポンスを送信することができる。
【0065】
また、この場合、移動局UE#aが、ULキャリア#2にて、DLキャリア#2における報知情報で指定されているPRACHの周波数・時間リソース及びプリアンブルシーケンスを用いてContention用のRAプリアンブルを送信した際に、RAレスポンスの検出を、DLキャリア#3で試みるのは無駄であり、移動局UE#aは、DLキャリア#2でのみRAレスポンスの検出を行えばよい。
【0066】
<ケース3>
第3に、移動局UE#aが、Contention free用のRAプリアンブル(個別RAプリアンブル)を送信するケースについて説明する。
【0067】
無線基地局eNBは、Contention free用のRAプリアンブルを検出した時点で、移動局UE#aが、かかるRAプリアンブルを送信したことを特定できる。
【0068】
ここで、移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RAレスポンスを検出するために、共通サーチスペース上にて、RA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHの検出を試みるなら、無線基地局eNBは、検出した移動局UE#aからのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを、DLキャリア#1〜#3のどこでも送信できる。
【0069】
この時、無線基地局eNBは、RAレスポンスの送信に用いるDLキャリアは、その時点における各DLキャリアの品質(例えば、最も伝搬損失の少ないDLキャリアを選択する)や、その時点における各DLキャリアにおけるPDCCHの使用状況(例えば、PDCCH送信数の最も少ないDLキャリア、又は、共通サーチスペース上のPDCCH送信数の最も少ないDLキャリア)等によって選択できる。
【0070】
一方で、移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHの検出を試みたところで、無線基地局eNBは、そのうちの1つのDLキャリアでのみRAレスポンスを送信するので、移動局UE#aは、無駄に他の2つのDLキャリアで、RA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHを検出することになり、移動局UEの実装コスト増を招いてしまう。
【0071】
逆に、CAを行っている移動局UEが、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを待ち受けるべきDLキャリアを予め決めておけば、移動局UEは、このような無駄なRA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHの検出を回避することができる。
【0072】
以下に、その方法を複数示す。
【0073】
<方法1>
無線基地局eNBは、Contention用のRAプリアンブルを送信する場合と同様に、RAプリアンブルを検出したULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)を報知情報(SIB2)で指定しているDLキャリアでのみ、RAレスポンスを送信するように構成されていてもよい。
【0074】
この際、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てると同時に、かかるContention free用のRAプリアンブルの送信を許可するULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)を通知することにより、システムトータルで送信されるRAレスポンスを、システムにおけるDLキャリアに分散されるように制御することが可能となる。
【0075】
例えば、無線基地局eNBは、移動局UE#aからのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスが、DLキャリア#1にて送信されるように、移動局UE#aに対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てる際には、ULキャリア#1を指定する。
【0076】
また、無線基地局eNBは、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#1からのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスが、DLキャリア#2にて送信されるように、かかる移動局UE#1に対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てる際には、ULキャリア#2、及び、DLキャリア#2における報知情報(SIB2)に含まれているPRACHの周波数・時間リソースを指定する。
【0077】
さらに、無線基地局eNBは、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#2からのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスが、DLキャリア#3にて送信されるように、かかる移動局UE#2に対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てる際には、ULキャリア#2、及び、DLキャリア#3における報知情報(SIB2)に含まれているPRACHの周波数・時間リソースを指定する。
【0078】
この結果、RAレスポンスを送信するDLキャリアを、システムで運用されている複数のDLキャリアに分散することができる。
【0079】
ここで、Contention free用のRAプリアンブルの送信を許可するULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)の通知方法としては、当該ULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)を報知情報(SIB2)で指定しているDLキャリアを特定する情報(例えば、DLキャリアの中心周波数情報)を通知することが考えられる。
【0080】
<方法2>
無線基地局eNBは、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信する場所を、予め移動局UEに対して通知しておくように構成されていてもよい。
【0081】
具体的には、無線基地局eNBは、RRCメッセージにて、かかる情報を予め通知しておく。かかるRRCメッセージを移動局UEに対して送信するタイミングとしては、複数のDLキャリアの使用を指示する際や、複数のDLキャリアの使用をしている状態にてハンドオーバする際等が考えられる。
【0082】
無線基地局eNBは、CAを行っている移動局UEに指定するContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信するDLキャリアを通知することにより、システムトータルで送信されるRAレスポンスを、システムで運用されている複数のDLキャリアに分散されるように制御することが可能となる。
【0083】
例えば、無線基地局eNBは、移動局UE#aに対して、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスがDLキャリア#1にて送信されるべきであることを通知し、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#1に対しては、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスがDLキャリア#2にて送信されるべきであることを通知し、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#2に対しては、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスがDLキャリア#3にて送信されるべきであることを通知してもよい。
【0084】
この結果、RAレスポンスの送信を、システムで運用されている複数のDLキャリアに分散することができる。
【0085】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0086】
本実施形態の第1の特徴は、無線基地局eNBとの間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信(CA)を行うことができるように構成されている移動局UEであって、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリア(上りリンクキャリア)においてRAプリアンブルを送信した場合に、複数のDLキャリア(下りリンクキャリア)の中から、かかるULキャリアに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部12を具備することを要旨とする。
【0087】
本実施形態の第1の特徴において、上述のDLキャリアにおいて、かかるDLキャリアに対応するULキャリアを指定する報知情報(SIB2)を受信するように構成されている受信部11を具備していてもよい。
【0088】
本実施形態の第1の特徴において、RACH手順部12は、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリアにおいてPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスを用いてRAプリアンブルを送信した場合に、複数のDLキャリアの中から、かかるULキャリアと、かかるPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAレスポンスの検出を試みるように構成されていてもよい。
【0089】
本実施形態の第1の特徴において、上述の下りリンクキャリアにおいて、かかるDLキャリアに対応する当該ULキャリアと当該PRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とを指定する報知情報(SIB2)を受信するように構成されている受信部11を具備していてもよい。
【0090】
本実施形態の第1の特徴において、上述のRAプリアンブルは、「Contention用RAプリアンブル(共通RAプリアンブル)」であってもよい。
【0091】
本実施形態の第2の特徴は、無線基地局eNBであって、ULキャリアにおいて、PRACHリソース及びプリアンブルシーケンスを用いてRAプリアンブルを検出した場合に、かかるULキャリアと、かかるPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信するように構成されているRACH手順部22を具備することを要旨とする。
【0092】
本実施形態の第2の特徴において、上述のDLキャリアにおいて、かかる下りリンクキャリアに対応するULキャリアとPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とを指定する報知情報(SIB2)を送信するように構成されている送信部21を具備してもよい。
【0093】
本実施形態の第2の特徴において、上述のRAプリアンブルは、「Contention用RAプリアンブル」であってもよい。
【0094】
本実施形態の第3の特徴は、無線基地局eNBであって、CAを行っている移動局UEに対して、「Contention free用RAプリアンブル(個別RAプリアンブル)」と共に、移動局UEにおいて「Contention free用RAプリアンブル」を送信すべきULキャリアを通知するための通知情報を送信するように構成されている送信部21を具備することを要旨とする。
【0095】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、上述の通知情報として、報知情報によって当該ULキャリアを指定しているDLキャリアを特定する情報を送信するように構成されていてもよい。
【0096】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、上述の通知情報によって、上述のULキャリアに加えて、移動局UEにおいて「Contention free用RAプリアンブル」を送信すべきPRACHリソースを通知するように構成されていてもよい。
【0097】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、上述の通知情報として、報知情報によって当該ULキャリア及び当該PRACHリソースを指定しているDLキャリアを特定する情報を送信するように構成されていてもよい。
【0098】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、RRCメッセージによって、上述の通知情報を送信するように構成されていてもよい。
【0099】
なお、上述の移動局UE及び無線基地局eNBの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0100】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0101】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UE及び無線基地局eNB内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UE及び無線基地局eNB内に設けられていてもよい。
【0102】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0103】
UE…移動局
11…受信部
12…RACH手順部
eNB…無線基地局
21…送信部
22…RACH手順部
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)のFDD方式では、1つのDL(Downlink)キャリアと1つのUL(Uplink)キャリアとがペアを成している。LTE方式の移動通信システムでは、複数のDLキャリア及びULキャリアを用いて運用することが可能であるが、DLキャリアとULキャリアとの対応関係は、1対1である。
【0003】
図5に示すように、移動局UEは、無線基地局eNBとの間で無線リンクを介して通信を行う一時点においては、1つのDLキャリア及びULキャリアのペアのみを使用するように構成されている。
【0004】
IDLE(待ち受け)状態の移動局UEは、3GPPのTS36.304に規定されているセル選択動作に従って待ち受けるDLキャリアを選択するように構成されている。
【0005】
そして、移動局UEは、待ち受けを行っているDLキャリアにおける報知情報(具体的には、SIB2)から、かかるDLキャリアとペアを成すULキャリアを特定するように構成されている。
【0006】
ここで、移動局UEは、IDLE状態からCONNECTED(接続)状態に遷移する際には、待ち受けを行っているDLキャリア及び当該DLキャリアとペアを成すULキャリアにて無線リンクを確立するように構成されている。
【0007】
無線基地局eNBは、CONNECTEDの移動局UEに対して、所定タイミングで、移動局UEごとに、レイヤ3(RRC:Radio Resource Control)メッセージを送信することにより、無線リンクを確立するDLキャリア及びULキャリアのペアを変更可能である。
【0008】
LTE方式では、レイヤ1/MACサブレイヤにて終端されるRACH手順(RACH Procedure)が規定されている。移動局UEは、RACH手順を起動すると、上りリンクにて、無線基地局eNBに対して、RAプリアンブル(RA preamble)を送信し、RAプリアンブルを検出した無線基地局eNBは、下りリンクにてRAレスポンス(RA response)を送信し、移動局UEは、RAプリアンブルを送信した後に、RAレスポンスの検出を試みる(非特許文献2及び3参照)。
【0009】
図6に示すように、移動局UEは、待ち受けを行っているDLキャリア又は接続しているDLキャリアとペアを成しているULキャリアにて、RAプリアンブルを送信し、待ち受けを行っているDLキャリア又は接続しているDLキャリアにて、RAレスポンスの検出を試みる。
【0010】
また、図6に示すように、無線基地局eNBは、RAプリアンブルを検出した場合、RAプリアンブルを検出したULキャリアとペアを成しているDLキャリアにて、RAレスポンスを送信する。
【0011】
また、図7に示すように、DLキャリアにおける報知情報(SIB2)には、かかるDLキャリアとペアを成すULキャリアにおける「PRACH(Physical Random Access Channel) configuration(RAプリアンブル用の周波数・時間リソース)」が含まれており、移動局UEは、かかる「PRACH configuration」にて指定される周波数・時間リソースを用いて、RAプリアンブルを送信するように構成されている。
【0012】
RAプリアンブルには、「サイクリックシフト(cyclic shift)」の異なる64個の「プリアンブルシーケンス(preamble sequence)」 があり、方式的には、PRACHの1周波数・時間リソースにおいて、64個のRAプリアンブルを多重することができる。
【0013】
システムとしては、さらに、64個のプリアンブルシーケンスを、Contention用のプリアンブルシーケンスとContention free用のプリアンブルシーケンスとに分類して運用することができる。
【0014】
Contention用のプリアンブルシーケンスは、移動局UEがRAプリアンブルとして送信するプリアンブルシーケンスを自ら選択する際に選択することの可能なプリアンブルシーケンスであり、Contention free用のプリアンブルシーケンスは、移動局UEがRAプリアンブルとして送信するプリアンブルシーケンスを自ら選択する際には選択することができないが、無線基地局eNBから個別にプリアンブルシーケンスを割り当てられた際にRAプリアンブルとして送信するプリアンブルシーケンスである。
【0015】
なお、Contention free用のプリアンブルシーケンスの割り当ては、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)又はRRCメッセージにて行われる。
【0016】
ここで、図8に示すように、64個のプリアンブルシーケンスのうち、Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲がDLキャリアにおける報知情報(SIB2)に含まれているため、移動局UEは、Contention用のプリアンブルシーケンスとContention free用のプリアンブルシーケンスとを区別することができる。
【0017】
検出したRAプリアンブルが、Contention free用のプリアンブルシーケンスであれば、無線基地局eNBは、かかるプリアンブルシーケンスを移動局UEに対して個別に割り当てているので、RAレスポンスを送信する時点で、既にRAレスポンスを送信すべき移動局UEを特定することが可能である。
【0018】
一方で、検出したRAプリアンブルが、Contention用のプリアンブルシーケンスであれば、移動局UEが選択したプリアンブルシーケンスであるため、無線基地局eNBは、RAレスポンスを送信する時点ででは、未だ、どの移動局UEに対してRAレスポンスを送信すべきであるのかについて特定することができない。
【0019】
RAレスポンスを送信するPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)上のリソースは、RA-RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identifier)によりCRCマスキングされたPDCCHにて指定される。
【0020】
そのため、RAプリアンブルを送信した移動局UEは、RAレスポンスを検出するために、RA-RNTIによりCRCマスキングされたPDCCHの検出を試みる。
【0021】
図9に示すように、PDCCHの検出を行うリソースは、「サーチスペース(Search Space)」と呼ばれ、無線基地局eNBは、サーチスペースの中でも、システムで固定されている「共通サーチスペース(Common Search Space)」にて、RA-RNTIによりCRCマスキングされたPDCCHを送信することになっている。
【0022】
共通サーチスペース以外のサーチスペースは、「移動局専用サーチスペース(UE Specific Search Space)」として、「UL grant」や「DL assignment」を移動局UEごとに個別に割り当てるPDCCHの送信に使用することが可能である。
【0023】
ここで、共通サーチスペースは小さいため、共通サーチスペースにおいては、比較的、PDCCHリソース不足が発生しやすいという問題がある。
【0024】
仮に共通サーチスペース上のPDCCHリソースが埋まってしまうと、無線基地局eNBは、RAレスポンスを送信することができなくなり、RACH手順の完了が遅延してしまう。
【0025】
なお、共通サーチスペース上で送信される他のPDCCHとしては、報知情報のリソース割り当てを通知するPDCCH(SI-RNTIでCRCマスキングされたPDCCH)やPaging(着信)メッセージのリソース割り当てを通知するPDCCH(P-RNTIでCRCマスキングされたPDCCH)等がある。
【0026】
一方で、LTE方式からの更なる周波数利用効率の改善やピークスループットの向上及び伝送遅延の短縮を目的として、3GPPで、現在、LTE-A方式の検討及び仕様化が進められている。
【0027】
LTE-A方式の主な機能として、1つの移動局UEに対して同時に複数のDLキャリア及びULキャリアを設定して通信を行うことにより、ユーザスループットの向上を実現する「CA:Carrier Aggregation」がある(非特許文献2及び4参照)。
【0028】
なお、LTE-A方式は、LTE方式とバックワードコンパチビリティ(backward compatibility)を保ったまま同じシステムとして運用できるように検討されており、図10に示すように、CAを適用する場合も、それぞれのDLキャリアは、DLキャリアにおける報知情報(SIB2)から特定されるULキャリアとペアを成す。
【0029】
CAのシナリオとして、移動局UEにおいて同時に使用するDLキャリアの数とULキャリアの数とが非対称であるシナリオについても検討されている。
【0030】
特に、ユーザデータトラヒックとしてULよりもDLの方が多いことが一般的であるため、システムとして提供するDLキャリアの数又は移動局UEの実装としてサポートするDLキャリアの数がULキャリアの数より多いシナリオが重視されている。
【0031】
この場合、DLキャリアの数がULキャリアの数よりも多いため、図11に示すように、DLキャリアにおける報知情報(SIB2)から特定されるDLキャリアとULキャリアとの対応関係も、1対1の対応関係のみの運用だけでなく、N対1の対応関係としての運用も想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】3GPP TS36.304
【非特許文献2】3GPP TS36.300
【非特許文献3】3GPP TS36.321
【非特許文献4】3GPP TS36.912
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
このように、DLキャリアの数がULキャリアの数より多いCAのシナリオを想定する場合、先に述べた共通サーチスペース上のPDCCHリソース不足の問題を低減するために、RAレスポンスの送信をなるべくシステムで有している複数のDLキャリアに分散することが望ましい。
【0034】
例えば、図11におけるULキャリア#2にて送信されるRAプリアンブルに対するRAレスポンスを、DLキャリア#2とDLキャリア#3とに分散させることが望ましい。
【0035】
また、CAを行っている移動局UEが、複数のDLキャリアにて受信を行う際に、それぞれのDLキャリアでPDCCHを検出する必要がある場合、PDCCHの検出や複号に要する処理能力が、移動局UEに設定されているDLキャリアの数に比例して増えてしまい、移動局UEの実装コスト増につながってしまうという問題がある。
【0036】
よって、CAを行う際にも、可能であれば、移動局UEがPDCCHの検出を行うDLキャリアを限定することが望ましい。
【0037】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、CAを行う際に、移動局UEがPDCCHの検出を行うDLキャリアを限定することができる移動局及び無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明の第1の特徴は、無線基地局との間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信を行うことができるように構成されている移動局であって、前記通信を行っている場合で、かつ、上りリンクキャリアにおいてRAプリアンブルを送信した場合に、複数の下りリンクキャリアの中から、該上りリンクキャリアに対応する下りリンクキャリアでのみ、該RAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部を具備することを要旨とする。
【0039】
本発明の第2の特徴は、無線基地局であって、上りリンクキャリアにおいて、PRACHリソース及びプリアンブルシーケンスを用いてRAプリアンブルを検出した場合に、該上りリンクキャリアと、該PRACHリソース及び該プリアンブルシーケンスの少なくとも一方とに対応する下りリンクキャリアでのみ、該RAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信するように構成されているRACH手順部を具備することを要旨とする。
【0040】
本発明の第3の特徴は、無線基地局であって、前記無線基地局との間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信を行っている移動局に対して、個別RAプリアンブルと共に、該移動局において該個別RAプリアンブルを送信すべき上りリンクキャリアを通知するための通知情報を送信するように構成されている送信部を具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本発明によれば、CAを行う際に、移動局UEがPDCCHの検出を行うDLキャリアを限定することができる移動局及び無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明するための図である。
【図5】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図6】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図7】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図8】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図9】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図10】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【図11】一般的な移動通信システムについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0044】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、2つのULキャリアと3つのDLキャリアが提供されている。そして、CAを行っている移動局UE#aとCAを行っていない移動局UE#b〜UE#dとが混在している。
【0045】
さらに、ULキャリア#1及びULキャリア#2のそれぞれにおいて、RAプリアンブルを送受信(送信=移動局UE、受信=無線基地局eNB)するためのリソースが設定されており、それぞれに対応するDLキャリアにおける報知情報(SIB2)において、「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」が含まれていることを前提とする。
【0046】
具体的には、DLキャリア#1にて、ULキャリア#1の「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」が報知され、DLキャリア#2及びDLキャリア#3にて、ULキャリア#2の「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」が報知されている。
【0047】
図2に示すように、移動局UEは、受信部11と、RACH手順部12とを具備しており、図3に示すように、無線基地局eNBは、送信部21と、RACH手順部22とを具備している。
【0048】
<ケース1>
第1に、移動局UE#aが、ULキャリア#1にて、Contention用のRAプリアンブル(共通RAプリアンブル)を送信するケースについて説明する。
【0049】
かかるケースでは、無線基地局eNBは、ULキャリア#1にて、Contention用のRAプリアンブルを検出した時点では、どの移動局UEが、かかるRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0050】
すなわち、図1の例では、無線基地局eNBは、移動局UE#a又は移動局UE#bのどちらがRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0051】
CAを行っている移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RAレスポンスの検出を試みていたとしても、CAを行っていない移動局UE#bは、DLキャリア#1でのみRAレスポンスの受信を試みるため、無線基地局eNBとしては、RAプリアンブルの送信を行ったのが、CAを行っていない移動局UE#bであったとしても、RAレスポンスが受信されるように、ULキャリア#1とペアを成しているDLキャリア#1でRAレスポンスを送信する。
【0052】
このため、移動局UE#aが、ULキャリア#1にて、Contention用のRAプリアンブルを送信した際に、RAレスポンスの検出を、ULキャリア#1とペアを成していないDLキャリア#2〜#3で試みるのは無駄であり、移動局UE#aは、DLキャリア#1でのみRAレスポンスの検出を行えばよい。
【0053】
具体的には、移動局UEのRACH手順部12は、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリア#1においてRAプリアンブル(Contention用のRAプリアンブル、又は、Contention free用のRAプリアンブル)を送信した場合に、複数のDLキャリア#1〜#3の中から、かかるULキャリア#1に対応するDLキャリア#1でのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されている。
【0054】
すなわち、かかる場合、移動局UEのRACH手順部12は、DLキャリア#2〜#3では、RAレスポンスの検出を試みないように構成されている。
【0055】
<ケース2>
第2に、移動局UE#aが、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを送信するケースについて説明する。
【0056】
かかるケースでは、無線基地局eNBは、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを検出した時点では、どの移動局UEが、かかるRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0057】
すなわち、図1の例では、無線基地局eNBは、移動局UE#a、移動局UE#c又は移動局UE#dのどれがRAプリアンブルを送信したのかについて特定できない。
【0058】
CAを行っている移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RAレスポンスの検出を試みていたとしても、無線基地局eNBは、ULキャリア#2とペアを成していないDLキャリア#1では、RAレスポンスを送信しないので、移動局UE#aが、DLキャリア#1で、RAレスポンスの検出を行うのは無駄である。
【0059】
一方で、ULキャリア#2とペアを成しているDLキャリアは、DLキャリア#2〜#3の2つがある。ここで、CAを行っていない移動局UE#cが、DLキャリア#2のみを使用すること、及び、CAを行っていない移動局UE#dが、DLキャリア#3のみを使用することを考慮すると、無線基地局eNBとしては、RAプリアンブルの送信を行ったのが移動局UE#a、移動局UE#c又は移動局UE#dのどれであっても、RAレスポンスが受信されるように、RAレスポンスを、DLキャリア#2及びDLキャリア#3の双方に送信する必要がある。
【0060】
しかし、実際に、RAプリアンブルの送信を行ったのは移動局UE#a、移動局UE#c又は移動局UE#dのいずれか1つであるため、RAレスポンスを2重に送信することは、共通サーチスペース上のPDCCHリソースを浪費してしまうことになる。
【0061】
ここで、無線基地局eNBは、図4に示すように、ULキャリア#2におけるPRACHリソース及びContention用のRAプリアンブルシーケンスの少なくとも一方を2分割して管理し、DLキャリア#2及びDLキャリア#3で、SIB2によって、それぞれ別の「PRACH configuration」及び「Contention用のプリアンブルシーケンスの範囲」を報知することにより、この浪費を回避できる。
【0062】
この場合、移動局UE#cは、DLキャリア#2のみを使用しているので、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを送信する際に、DLキャリア#2における報知情報(SIB2)で指定されているULキャリア#2のPRACHリソース(PRACHの時間・周波数リソース)及びContention用のRAプリアンブルシーケンスしか適用しない。
【0063】
同様に、移動局UE#dは、DLキャリア#3のみを使用しているので、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを送信する際に、DLキャリア#3における報知情報(SIB2)で指定されているULキャリア#2のPRACHリソース(PRACHの時間・周波数リソース)及びContention用のRAプリアンブルシーケンスしか適用しない。
【0064】
よって、無線基地局eNBは、ULキャリア#2にて、Contention用のRAプリアンブルを検出した場合においても、移動局UEがどのDLキャリアにおける報知情報に従って当該Contention用のRAプリアンブルを送信したかについて特定できるので、かかるDLキャリアにおいてのみRAレスポンスを送信することができる。
【0065】
また、この場合、移動局UE#aが、ULキャリア#2にて、DLキャリア#2における報知情報で指定されているPRACHの周波数・時間リソース及びプリアンブルシーケンスを用いてContention用のRAプリアンブルを送信した際に、RAレスポンスの検出を、DLキャリア#3で試みるのは無駄であり、移動局UE#aは、DLキャリア#2でのみRAレスポンスの検出を行えばよい。
【0066】
<ケース3>
第3に、移動局UE#aが、Contention free用のRAプリアンブル(個別RAプリアンブル)を送信するケースについて説明する。
【0067】
無線基地局eNBは、Contention free用のRAプリアンブルを検出した時点で、移動局UE#aが、かかるRAプリアンブルを送信したことを特定できる。
【0068】
ここで、移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RAレスポンスを検出するために、共通サーチスペース上にて、RA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHの検出を試みるなら、無線基地局eNBは、検出した移動局UE#aからのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを、DLキャリア#1〜#3のどこでも送信できる。
【0069】
この時、無線基地局eNBは、RAレスポンスの送信に用いるDLキャリアは、その時点における各DLキャリアの品質(例えば、最も伝搬損失の少ないDLキャリアを選択する)や、その時点における各DLキャリアにおけるPDCCHの使用状況(例えば、PDCCH送信数の最も少ないDLキャリア、又は、共通サーチスペース上のPDCCH送信数の最も少ないDLキャリア)等によって選択できる。
【0070】
一方で、移動局UE#aが、DLキャリア#1〜#3の全てにおいて、RA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHの検出を試みたところで、無線基地局eNBは、そのうちの1つのDLキャリアでのみRAレスポンスを送信するので、移動局UE#aは、無駄に他の2つのDLキャリアで、RA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHを検出することになり、移動局UEの実装コスト増を招いてしまう。
【0071】
逆に、CAを行っている移動局UEが、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを待ち受けるべきDLキャリアを予め決めておけば、移動局UEは、このような無駄なRA-RNTIでCRCマスキングされたPDCCHの検出を回避することができる。
【0072】
以下に、その方法を複数示す。
【0073】
<方法1>
無線基地局eNBは、Contention用のRAプリアンブルを送信する場合と同様に、RAプリアンブルを検出したULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)を報知情報(SIB2)で指定しているDLキャリアでのみ、RAレスポンスを送信するように構成されていてもよい。
【0074】
この際、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てると同時に、かかるContention free用のRAプリアンブルの送信を許可するULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)を通知することにより、システムトータルで送信されるRAレスポンスを、システムにおけるDLキャリアに分散されるように制御することが可能となる。
【0075】
例えば、無線基地局eNBは、移動局UE#aからのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスが、DLキャリア#1にて送信されるように、移動局UE#aに対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てる際には、ULキャリア#1を指定する。
【0076】
また、無線基地局eNBは、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#1からのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスが、DLキャリア#2にて送信されるように、かかる移動局UE#1に対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てる際には、ULキャリア#2、及び、DLキャリア#2における報知情報(SIB2)に含まれているPRACHの周波数・時間リソースを指定する。
【0077】
さらに、無線基地局eNBは、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#2からのContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスが、DLキャリア#3にて送信されるように、かかる移動局UE#2に対して、Contention free用のRAプリアンブルを割り当てる際には、ULキャリア#2、及び、DLキャリア#3における報知情報(SIB2)に含まれているPRACHの周波数・時間リソースを指定する。
【0078】
この結果、RAレスポンスを送信するDLキャリアを、システムで運用されている複数のDLキャリアに分散することができる。
【0079】
ここで、Contention free用のRAプリアンブルの送信を許可するULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)の通知方法としては、当該ULキャリア(又は、ULキャリア及びPRACHの周波数・時間リソース)を報知情報(SIB2)で指定しているDLキャリアを特定する情報(例えば、DLキャリアの中心周波数情報)を通知することが考えられる。
【0080】
<方法2>
無線基地局eNBは、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信する場所を、予め移動局UEに対して通知しておくように構成されていてもよい。
【0081】
具体的には、無線基地局eNBは、RRCメッセージにて、かかる情報を予め通知しておく。かかるRRCメッセージを移動局UEに対して送信するタイミングとしては、複数のDLキャリアの使用を指示する際や、複数のDLキャリアの使用をしている状態にてハンドオーバする際等が考えられる。
【0082】
無線基地局eNBは、CAを行っている移動局UEに指定するContention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信するDLキャリアを通知することにより、システムトータルで送信されるRAレスポンスを、システムで運用されている複数のDLキャリアに分散されるように制御することが可能となる。
【0083】
例えば、無線基地局eNBは、移動局UE#aに対して、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスがDLキャリア#1にて送信されるべきであることを通知し、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#1に対しては、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスがDLキャリア#2にて送信されるべきであることを通知し、移動局UE#aと同様にCAを行っている他の移動局UE#2に対しては、Contention free用のRAプリアンブルに対するRAレスポンスがDLキャリア#3にて送信されるべきであることを通知してもよい。
【0084】
この結果、RAレスポンスの送信を、システムで運用されている複数のDLキャリアに分散することができる。
【0085】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0086】
本実施形態の第1の特徴は、無線基地局eNBとの間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信(CA)を行うことができるように構成されている移動局UEであって、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリア(上りリンクキャリア)においてRAプリアンブルを送信した場合に、複数のDLキャリア(下りリンクキャリア)の中から、かかるULキャリアに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部12を具備することを要旨とする。
【0087】
本実施形態の第1の特徴において、上述のDLキャリアにおいて、かかるDLキャリアに対応するULキャリアを指定する報知情報(SIB2)を受信するように構成されている受信部11を具備していてもよい。
【0088】
本実施形態の第1の特徴において、RACH手順部12は、CAを行っている場合で、かつ、ULキャリアにおいてPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスを用いてRAプリアンブルを送信した場合に、複数のDLキャリアの中から、かかるULキャリアと、かかるPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAレスポンスの検出を試みるように構成されていてもよい。
【0089】
本実施形態の第1の特徴において、上述の下りリンクキャリアにおいて、かかるDLキャリアに対応する当該ULキャリアと当該PRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とを指定する報知情報(SIB2)を受信するように構成されている受信部11を具備していてもよい。
【0090】
本実施形態の第1の特徴において、上述のRAプリアンブルは、「Contention用RAプリアンブル(共通RAプリアンブル)」であってもよい。
【0091】
本実施形態の第2の特徴は、無線基地局eNBであって、ULキャリアにおいて、PRACHリソース及びプリアンブルシーケンスを用いてRAプリアンブルを検出した場合に、かかるULキャリアと、かかるPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とに対応するDLキャリアでのみ、かかるRAプリアンブルに対するRAレスポンスを送信するように構成されているRACH手順部22を具備することを要旨とする。
【0092】
本実施形態の第2の特徴において、上述のDLキャリアにおいて、かかる下りリンクキャリアに対応するULキャリアとPRACHリソース及びプリアンブルシーケンスの少なくとも一方とを指定する報知情報(SIB2)を送信するように構成されている送信部21を具備してもよい。
【0093】
本実施形態の第2の特徴において、上述のRAプリアンブルは、「Contention用RAプリアンブル」であってもよい。
【0094】
本実施形態の第3の特徴は、無線基地局eNBであって、CAを行っている移動局UEに対して、「Contention free用RAプリアンブル(個別RAプリアンブル)」と共に、移動局UEにおいて「Contention free用RAプリアンブル」を送信すべきULキャリアを通知するための通知情報を送信するように構成されている送信部21を具備することを要旨とする。
【0095】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、上述の通知情報として、報知情報によって当該ULキャリアを指定しているDLキャリアを特定する情報を送信するように構成されていてもよい。
【0096】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、上述の通知情報によって、上述のULキャリアに加えて、移動局UEにおいて「Contention free用RAプリアンブル」を送信すべきPRACHリソースを通知するように構成されていてもよい。
【0097】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、上述の通知情報として、報知情報によって当該ULキャリア及び当該PRACHリソースを指定しているDLキャリアを特定する情報を送信するように構成されていてもよい。
【0098】
本実施形態の第3の特徴において、送信部21は、RRCメッセージによって、上述の通知情報を送信するように構成されていてもよい。
【0099】
なお、上述の移動局UE及び無線基地局eNBの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0100】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0101】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UE及び無線基地局eNB内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UE及び無線基地局eNB内に設けられていてもよい。
【0102】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0103】
UE…移動局
11…受信部
12…RACH手順部
eNB…無線基地局
21…送信部
22…RACH手順部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局との間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信を行うことができるように構成されている移動局であって、
前記通信を行っている場合で、かつ、上りリンクキャリアにおいてRAプリアンブルを送信した場合に、複数の下りリンクキャリアの中から、該上りリンクキャリアに対応する下りリンクキャリアでのみ、該RAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部を具備することを特徴とする移動局。
【請求項1】
無線基地局との間で搬送波周波数が異なる複数のキャリアを用いた通信を行うことができるように構成されている移動局であって、
前記通信を行っている場合で、かつ、上りリンクキャリアにおいてRAプリアンブルを送信した場合に、複数の下りリンクキャリアの中から、該上りリンクキャリアに対応する下りリンクキャリアでのみ、該RAプリアンブルに対するRAレスポンスの検出を試みるように構成されているRACH手順部を具備することを特徴とする移動局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−166808(P2011−166808A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90376(P2011−90376)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【分割の表示】特願2010−30752(P2010−30752)の分割
【原出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【分割の表示】特願2010−30752(P2010−30752)の分割
【原出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]