説明

移動式一体型火葬設備

【課題】簡易火葬設備を死体の現場に直接設置する必要がなく、死体の現場に移動して簡便に死体を火葬するとともに、死体の火葬過程で発生する廃熱、粉塵及び悪臭による各種環境汚染を防止する移動式一体型火葬設備を提供する。
【解決手段】牽引及び停車が可能なトレーラー100と、死体を燃消させるための焼却炉200と、前記焼却炉から排出される廃熱を冷却させるための冷却装置300と、前記排出される廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去するための集塵装置400と、前記粉塵及び悪臭が除去された廃熱を排出させるための廃熱排出装置500と、前記焼却炉の燃焼に必要な燃料を供給するためのガス供給装置600と、前記各構成の運転に使用される電力を供給するための電気供給装置700と、を含んでなるもので、車両を利用した牽引が可能であり、火葬の際に自然に発生する高温の廃熱を冷却させ、廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去して排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は死体を火葬するための火葬設備に係り、より詳しくは車両を利用した牽引が可能であるだけでなく、火葬の際に発生する高温の廃熱を冷却させ、廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去して排出するようにした移動式一体型火葬設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、死体を火葬するためには、別の決まった火葬場に移送することが普通であるが、死体が伝染病などに感染している、あるいは感染される危険に露出された特別な状況では、伝染病の拡散を防ぐために、死体の移動が極めて制限されるしかなくなる。
【0003】
このような場合、死体の火葬が遅延するしかないので、現場で直接感染した死体を火葬することができる移動式火葬設備が要求されている実情がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は火葬設備を死体がある現場に移動することが非常に困難である従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、簡易火葬設備を死体がある現場に直接設置する必要なしに、死体がある現場に移動して簡便に死体を火葬することはもちろんのこと、死体の火葬過程で発生する廃熱、粉塵及び悪臭による各種環境汚染を防止する移動式一体型火葬設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明による移動式一体型火葬設備は、牽引及び停車が可能なトレーラーと、死体を燃消させるための焼却炉と、前記焼却炉から排出される廃熱を冷却させるための冷却装置と、前記排出される廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去するための集塵装置と、前記粉塵及び悪臭が除去された廃熱を排出させるための廃熱排出装置と、前記焼却炉の燃焼に必要な燃料を供給するためのガス供給装置と、前記各構成の運転に使用される電力を供給するための電気供給装置と、を含んでなる。
【0006】
本発明において、トレーラーは死体を焼却炉の入口に引き上げるためのリフトを備え、2台以上を備えて、前記各構成を分けて搭載した状態で連結して稼動するように構成される。
【0007】
焼却炉は、死体を燃消させるための一つ以上のバーナーと、焼却の時燃焼空気を供給するための第1ブロワーと、を備える。
【0008】
冷却装置は、前記焼却炉から発生した廃熱を1次冷却させる空冷式冷却装置、及び前記空冷式冷却装置で冷却された廃熱を2次冷却させる水冷式冷却装置からなり、前記空冷式冷却装置は、冷風を供給して熱交換を行うようにする第2ブロワーを備え、前記水冷式冷却装置は、水を貯蔵するための水槽と、前記水槽から前記水冷式冷却装置に水を供給するためのポンプと、を備える。
【0009】
集塵装置は、前記廃熱中に含まれた粉塵を除去するためのパルス集塵装置、及び前記廃熱中に含まれた悪臭を除去するための電気集塵装置からなる。
【0010】
前記廃熱排出装置は、廃熱を排出させるための煙突と、前記煙突を通じて廃熱を強制に排出させるための第3ブロワーと、前記第3ブロワーの排出口側に設置され、騷音を減らすためのマフラーと、からなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、それぞれの構成装置が移動可能なトレーラーに搭載されることで、一般道路を利用して死体がある現場に速かに牽引することができるので、死体の処理を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明は、死体の火葬の際に自然に発生する廃熱を冷却させた後、廃熱中に含まれた各種粉塵及び悪臭を除去して排出させることにより、周辺の環境が汚染されることを防止しながら安全に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施例を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0014】
図1は本発明が適用された移動式火葬設備を示す斜視図、図2は本発明が適用された移動式火葬設備を示す平面図、図3は本発明が適用された移動式火葬設備を示す左側面図、図4は本発明が適用された移動式火葬設備を示す右側面図、図5は本発明が適用された移動式火葬設備のリフトを示す作用図である。
【0015】
本発明の移動式火葬設備は、図1〜図5に示すように、牽引及び停車が可能なトレーラー100a、100bと、死体を燃消させるための焼却炉200と、前記焼却炉200から排出される廃熱を冷却させるための冷却装置300a、300bと、前記排出される廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去するための集塵装置400a、400bと、前記粉塵及び悪臭が除去された廃熱を排出させるための廃熱排出装置500と、前記焼却炉200の燃焼に必要な燃料を供給するためのガス供給装置600と、前記各構成装置の運転に使用される電力を供給するための電気供給装置700と、を含んでなる。
【0016】
本発明において、トレーラー100a、100bはトラックやコンバインなどの牽引車両に連結して牽引することができ、牽引車両を分離した状態で独立的に停車可能になるように形成されたもので、搭載された火葬設備の移送及び設置が便利になるようにする。
【0017】
前記トレーラー100a、100bは、死体を焼却炉200の入口に引き上げるためのリフト110を備える。このリフト110は、移動時に折り畳まれるが使用時に展開されて昇降可能になるように設置される。
【0018】
前記トレーラー100a、100bは、図面に示すように、2台またはそれ以上を備えて、各構成装置をそれぞれのトレーラー100a、100bに分けて搭載することができる。この場合、死体がある現場でトレーラー100a、100bを並んで停車させた後、各構成装置を互いに連結して稼動するようにする。
【0019】
この際、前記リフト110は焼却炉が設置されたトレーラー100aにだけ設置することができる。
【0020】
本発明において、焼却炉200は死体を燃消させるためのものであって、図面に示すように、死体を燃消させるための一つ以上のバーナー210と、焼却の際に燃焼空気を供給するための第1ブロワー220と、を備えている。
【0021】
前記焼却炉200は、内部温度が850℃以上に加熱されるため、その内面を断熱材と耐火ブロックで仕上げることで、焼却炉200を保護するとともに外部に熱が発散されることを遮断する。
【0022】
本発明において、冷却装置300a、300bは焼却炉200で死体を焼却した後に排出される高温の廃熱を冷却させるためのもので、850℃以上の廃熱を200℃以下に低めるように構成される。
【0023】
前記冷却装置300a、300bは、図面に示すように、焼却炉200から発生した廃熱を600℃以下に1次冷却させる空冷式冷却装置300aと、前記空冷式冷却装置300aによって冷却された廃熱を200℃以下に2次冷却させる水冷式冷却装置300bとから構成されることにより、段階的に円滑な冷却がなされるようにすることが好まししい。
【0024】
前記空冷式冷却装置300aは、水冷式冷却装置300bで処理する負荷を減らして、安定な運転が行われるようにする。
【0025】
前記空冷式冷却装置300aは、冷風を供給して熱交換を引き起こす第2ブロワー310を備え、前記水冷式冷却装置300bは、水を貯蔵するための水槽320と水槽320から水冷式冷却装置300bに水を供給するためのポンプ330とを備える。
【0026】
前記水冷式冷却装置300bの水槽320は、円滑な冷却水の供給のために、少なくとも8トン以上の水を貯蔵するように構成される。
【0027】
本発明において、前記第1ブロワー220は、一側が焼却炉200に連結され、他側が空冷式冷却装置300aに連結されることにより、空冷式冷却装置300aで熱交換された熱風(加熱された空気)が焼却炉200の燃焼空気に供給されるように構成されることが好まししい。
【0028】
すなわち、第2ブロワー310によって外部の冷風(空気)が空冷式冷却装置300a内に流入し、冷たい外部の風(空気)が熱交換されて熱風(加熱された空気)に変換される。この熱風(加熱された空気)が第1ブロワー220によって焼却炉200の内側に供給されることにより、焼却炉200の内部温度が低下することを防止することができるものである。
【0029】
焼却炉200の内部温度は850℃以上に加熱される。この焼却炉200の内側に外部の冷風(空気)を供給する場合、死体を燃消させるために一層多くのバーナーを設置しなければならない。
【0030】
本発明において、集塵装置400a、400bは冷却装置300a、300bから排出される廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去するためのものであって、図面に示すように、廃熱中に含まれた粉塵を1次に除去するためのパルス集塵装置400aと、廃熱中に含まれた悪臭を2次に除去するための電気集塵装置400bと、を含んでなり、粉塵とにおいが段階的に除去されるようにする。
【0031】
前記パルス集塵装置400aは、流入する廃熱がバッグフィルターを介して通過するようにすることでバッグフィルターに粉塵が濾過されるようにする。この際、前記バッグフィルターに過量の粉塵が濾されて廃熱の通過が難しくなれば、空気圧力を利用したパルスで粉塵を振り落とすことにより長期的な使用が可能になる。
【0032】
前記電気集塵装置400bは、雨季や低気圧の条件で換気が円滑ではないとき、火葬設備から発生する特有のにおいを除去し、磁場が形成された金属板の間に廃熱を通過させることにより、廃熱中にバッグフィルターを通過した微細粉塵とにおい粒子を電気の力で集めて除去する。
【0033】
本発明において、廃熱排出装置500は前記集塵装置400a、400bを通過して粉塵及び悪臭が除去された廃熱を排出させるためのものであって、煙突510と、前記煙突510を通じて廃熱を強制に排出させるための第3ブロワー520と、前記第3ブロワーの排出口側に設置され、騷音を減らすためのマフラー530と、を含んでなる。
【0034】
本発明において、ガス供給装置600は焼却炉200の燃焼に必要な燃料を供給するためのもので、通常ガスタンクを連結して使用する。
【0035】
前記ガス供給装置600は、100kg以上の気化器容量と100kg以上の重圧調整器を設置して、ガスが安定して供給されるようにする。
【0036】
本発明において、電気供給装置700は、焼却炉200、冷却装置300a、300b、集塵装置400a、400b、及び廃熱排出装置500を運転させるための電力を供給するためのもので、50Kw以上の発電容量を持つように設置する。
【0037】
このように構成された本発明の移動式一体型火葬設備は、リフト110が設置された一つのトレーラー100a上に、焼却炉200、冷却装置300a、300b及びガス供給装置600を設置し、他のトレーラー100b上に水槽320、廃熱排出装置500、集塵装置400a、400b、及び発電装置700をそれぞれ設置し、両トレーラーが移動して死体がある現場で並んで停車した後、連結されて作動することもできる。
【0038】
本発明は各構成装置が移動可能なトレーラーに搭載されているため、一般道路を利用して死体がある現場に速かに牽引することができるので、死体の処理が一層容易になり、死体の火葬の際に発生する廃熱を冷却させた後、廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去して排出させることにより、周辺の環境が汚染することを防止するとともに安全に使用することができる。
【0039】
以上説明したように、本発明は図面に示された一実施例に基づいて説明したが、これは例示的なものに過ぎなく、本技術分野の通常の知識を持った者であればこれから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることが理解可能であろう。したがって、本発明の真正な技術的な保護範囲は特許請求範囲の技術的思想によって決まるものであろう。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、車両を利用した牽引が可能であり、火葬の際に発生する高温の廃熱を冷却させ、廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去して排出する移動式一体型火葬設備に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明が適用された移動式火葬設備を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された移動式火葬設備を示す平面図である。
【図3】本発明が適用された移動式火葬設備を示す左側面図である。
【図4】本発明が適用された移動式火葬設備を示す右側面図である。
【図5】本発明が適用された移動式火葬設備のリフトを示す作用図である。
【符号の説明】
【0042】
100a、100b トレーラー
110 リフト
200 焼却炉
210 バーナー
220 第1ブロワー
300a 空冷式冷却装置
300b 水冷式冷却装置
310 第2ブロワー
320 水槽
330 ポンプ
400a パルス集塵装置
400b 電気集塵装置
500 廃熱排出装置
510 煙突
520 第3ブロワー
530 マフラー
600 ガス供給装置
700 電気供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引及び停車が可能なトレーラーと、死体を燃消させるための焼却炉と、前記焼却炉から排出される廃熱を冷却させるための冷却装置と、前記排出される廃熱中に含まれた粉塵及び悪臭を除去するための集塵装置と、前記粉塵及び悪臭が除去された廃熱を排出させるための廃熱排出装置と、前記焼却炉の燃焼に必要な燃料を供給するためのガス供給装置と、前記各構成装置の運転に使用される電力を供給するための電気供給装置と、を含んでなり、前記焼却炉は、死体を燃消させるための一つ以上のバーナーと、焼却の際に燃焼空気を供給するための第1ブロワーと、を備え、前記冷却装置は、冷風を供給して熱交換を行うようにする第2ブロワーを備え、前記焼却炉から発生した廃熱を1次冷却させる空冷式冷却装置と、水を貯蔵するための水槽と前記水槽から水を供給するためのポンプを備え、前記空冷式冷却装置で冷却された廃熱を2次冷却させる水冷式冷却装置と、を備える移動式一体型火葬設備において、
前記第1ブロワーの一側が焼却炉に連結され、他側が空冷式冷却装置に連結されることにより、空冷式冷却装置で熱交換された熱風(加熱された空気)を焼却炉の燃焼空気として供給するように構成されることを特徴とする、移動式一体型火葬設備。
【請求項2】
死体を引き上げるためのリフトが設置された一つのトレーラー上に焼却炉、冷却装置及びガス供給装置を設けられ、他のトレーラー上に冷却装置の水槽、廃熱排出装置、集塵装置、及び発電装置がそれぞれ設けられ、両トレーラーは移動して死体がある現場で並んで停車した後に連結されて作動することを特徴とする、請求項1に記載の移動式一体型火葬設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−133693(P2010−133693A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161584(P2009−161584)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(509193290)
【出願人】(509193315)
【Fターム(参考)】