説明

移動無線通信装置及び通信処理方法

【課題】迅速に通信リンクを確立可能とし、且つ、精度が良好な同期検出を可能とする。
【解決手段】フレームタイミング信号により、制御チャネル110のフレームと物理通信チャネル111のフレームは、同一のタイミングで送出される。そのため、受信対象が制御チャネル110から物理通信チャネル111へと移行するときには、制御チャネル110の受信時と同じフレームタイミングにて物理通信チャネル111を受信するようにすれば、フレーム同期は獲得できるようになっている。これにより、迅速で高精度なフレーム同期の確立が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動無線通信装置及び通信処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制御チャネルや物理通信チャネル、及び直接通信チャネルといった無線チャネルを用いて無線通信を可能にする移動無線通信システムが知られている。ここで、制御チャネルは、移動局における発呼や着呼、その他の通信制御を行うために、基地局と移動局との間で使用される無線チャネルである。物理通信チャネルは、各移動局が移動体通信ネットワークを介して他の移動局や固定端末(例えば固定電話やネットワーク接続されたコンピュータ端末等)などと通話やデータ通信を行うために、基地局と移動局との間で使用される無線チャネルである。直接通信チャネルは、各移動局が基地局を介することなく、他の移動局との間で直接的に通話やデータ通信を行うために使用される無線チャネルである。
【0003】
こうした無線チャネルを用いたデジタル通信においては、送信データを所定のフレーム構造として伝送させることがある(例えば非特許文献1)。図9は、狭帯域デジタル無線システムの標準規格であるARIB STD-T61として、非特許文献1の第2分冊p.115−116にて規定されている制御チャネル(物理制御チャネル)、物理通信チャネル、直接通信チャネルのフレームフォーマットを示している。
【0004】
ここで、フレーム同期に用いられる同期ワードは、制御チャネル、物理通信チャネル、直接通信チャネルのいずれにおいても同一の長さをもつことが多い。図9に示す例では、同期ワードがいずれも20ビットに固定されている。また、移動電話システムであるPDC(Personal Digital Cellular)の標準規格となっているARIB STD-27でも、固定長の同期ワードが定められている。このように同期ワードを同一の長さに統一することで、デジタル信号処理におけるフレーム同期の検出を各チャネルで共通化して、処理を簡単化させることができる。なお、例えば制御チャネルから物理通信チャネルへと移行するような場合や、直接通信チャネルを起動するような場合には、同期性能を向上させるために、同期用の特別なフレーム(同期バースト)が使用される。このときには、通常より長い(例えば32ビットを有する)同期ワードが用いられる。
【0005】
受信側の通信機器において同期ワードを捕捉する方法としては、様々なものが知られている。例えば、受信側において既知である同期ワードと、受信信号から復調したベースバンド信号波形などとの相関値を所定の演算処理によって特定することで同期ワードを捕捉する方法が、数多く使用されている。前述したARIB STD-T61の標準規格では、1フレームを40msec(ミリ秒)として、20ビットの同期ワードを2回受信できた場合に、同期が確立したものと判断している。このため、同期が確立されるまでには、80msecの期間において40ビット分の同期ワードが使用されることになる。
【0006】
なお、PDCなどのマイクロセルシステムでは、制御チャネルと物理通信チャネルが同一の基地局によって提供されるとは限らない。そのため、制御チャネルと物理通信チャネルとの間のタイミングを常に一定に維持することは、技術的に困難である。こうした事実が一因ともなって、前述の標準規格では、制御チャネルと物理通信チャネルとの間でのフレームタイミングについて、特に定められていない。
【0007】
また、物理通信チャネルや直接通信チャネルを用いて無線通信を行うときには、送信側と受信側との間において迅速に通信リンクを確立することが要求される。通信リンクの確立に遅延が発生した場合には、例えば通話における頭切れなどが引き起こされるといった問題が生じる。加えて、デジタル音声データを送受信する場合には、情報量が膨大なものとなり、制御チャネルに比べて物理通信チャネルや直接通信チャネルにて伝送すべき情報量が増大することがある。伝送効率の良好な変調方式としては、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式が知られており、PDCやARIB STD-T61の標準規格に準拠した移動無線通信システムにて採用されている。しかしながら、QPSK変調方式は、1つの基地局で広いエリアをカバーすることが困難であることも知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】社団法人電波産業会著「狭帯域デジタル通信方式(SCPC/FDMA) 標準規格 ARIB STD−T61 1.0版 第2分冊」、平成11年5月27日、p.115−117、p.171−174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
データ通信が行われる移動無線通信システムにおいては、通信速度を向上させるために、占有周波数の広帯域化が進められている。その一方で、音声通話が主な使用目的となる無線機器などでは、周波数の利用効率を向上させるために、無線チャネルの狭帯域化が進められている。狭帯域化がなされた無線チャネルでは、必然的に情報伝送速度(容量)が低下する。そのため、同期ワードの長さ(ビット数)も短い(ビット数が少ない)方が好ましい。しかしながら、同期ワードを短縮するとフレーム同期の性能が悪化する。特に、無線チャネル上でのノイズが多い場合には、正常に同期を確立できる割合が低下し、誤同期の増加を引き起こすという問題がある。
【0010】
米国の郊外などに設置された移動無線通信システムでは、1つの基地局で広いエリアをカバーできるようにするため、基地局における送信出力段に高出力の電力増幅器を使用することがある。被変調波信号の包絡線が非直線となる変調方式(例えばQAM;Quadraple Amplitude Modulation)では、電力増幅器の入出力特性における直線性が維持できる部分のみを用いて増幅を行う必要があり、電力増幅器における電力効率が低下する。そのため、被変調波信号の包絡線が実質的な直線となるFM(Frequency Modulation)やPM(Phase Modulation)などの変調方式を用いることが好ましい。ただし、FSK(Frequency Shift Keying)変調方式は、QPSK変調方式を用いた場合に比べて半分程度の伝送効率となってしまい、情報転送速度(容量)が低下する。この場合にも、同期ワードの長さは短い方が好ましい。しかしながら、同期ワードを短縮すると、前述した問題が生じることになる。
【0011】
この発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、同期ワードの長さを短縮して同期の確立に要する時間を短縮することで迅速に通信リンクを確立可能とし、且つ、精度が良好な同期検出を可能とする移動無線通信装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、この発明の第1の観点に係る移動無線通信装置は、
所定の無線チャネル上にて伝送される無線信号を受信してベースバンド信号を復調する復調手段と、
前記復調手段により復調されたベースバンド信号からデジタルデータを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成されたデジタルデータに基づいてフレーム同期を獲得するフレーム同期手段を備え、
前記データ生成手段は、
前記復調手段により前記無線チャネルのうちで基地局から提供される制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に所定のコードパターンからなる同期ワードが配置される一方で各フレームの末尾には同期ワードとは異なるコードパターンからなるプレワードを含んだポストフィールドが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記復調手段により前記無線チャネルのうちで基地局から提供される物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に同期ワードが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記制御チャネルのフレームと、前記物理通信チャネルのフレームは、互いに同一のタイミングで送出され、
前記フレーム同期手段は、受信対象が前記制御チャネルから前記物理通信チャネルへと移行するときに、前記制御チャネルの受信時と同じフレームタイミングにて前記物理通信チャネルを受信することにより、フレーム同期を獲得する、
ことを特徴とする。
【0013】
前記フレーム同期手段は、
前記復調手段により前記制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と再同期のいずれかである場合には、同期ワード及びプレワードの両方を1回検出できたときに、また、同期の状態が同期維持である場合には、同期ワードを1回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定し、
前記復調手段により前記物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と同期維持のいずれかである場合には、同期ワードを1回検出できたときに、また、同期の状態が再同期である場合には、同期ワードを複数回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定する。
【0014】
上記目的を達成するために、この発明の第2の観点に係る通信処理方法は、
所定の無線チャネル上にて伝送される無線信号を受信してベースバンド信号を復調する復調ステップと、
前記復調ステップで復調されたベースバンド信号からデジタルデータを生成するデータ生成ステップと、
前記データ生成ステップで生成されたデジタルデータに基づいてフレーム同期を獲得するフレーム同期ステップを備え、
前記データ生成ステップは、
前記復調ステップで前記無線チャネルのうちで基地局から提供される制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に所定のコードパターンからなる同期ワードが配置される一方で各フレームの末尾には同期ワードとは異なるコードパターンからなるプレワードを含んだポストフィールドが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記復調ステップで前記無線チャネルのうちで基地局から提供される物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に同期ワードが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記制御チャネルのフレームと、前記物理通信チャネルのフレームは、互いに同一のタイミングで送出され、
前記フレーム同期ステップは、受信対象が前記制御チャネルから前記物理通信チャネルへと移行するときに、前記制御チャネルの受信時と同じフレームタイミングにて前記物理通信チャネルを受信することにより、フレーム同期を獲得する、
ことを特徴とする。
【0015】
前記フレーム同期ステップは、
前記復調ステップで前記制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と再同期のいずれかである場合には、同期ワード及びプレワードの両方を1回検出できたときに、また、同期の状態が同期維持である場合には、同期ワードを1回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定し、
前記復調ステップで前記物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と同期維持のいずれかである場合には、同期ワードを1回検出できたときに、また、同期の状態が再同期である場合には、同期ワードを複数回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、迅速に通信リンクを確立可能とし、且つ、精度が良好な同期検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る移動無線通信システムの一構成例を示す図である。
【図2】制御チャネル、物理通信チャネル、及び直接通信チャネルのそれぞれにて伝送されるデジタルデータにおけるフレーム構造の一例を示す図である。
【図3】同期検出回路の一構成例を示す図である。
【図4】無線通信制御装置の一構成例を示す図である。
【図5】移動無線通信装置において同期を獲得するための設定例を示す図である。
【図6】同期を確立するために実行される演算処理の具体例を説明するための図である。
【図7】同期ワードのみを用いて同期を獲得する動作の具体例を説明するための図である。
【図8】プレワード及び同期ワードの両方を用いて同期を獲得する動作の具体例を説明するための図である。
【図9】従来におけるフレームフォーマットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、この発明の実施の形態に係る移動無線通信システム100について詳細に説明する。この移動無線通信システム100は、例えば図1に示すように、複数の移動局としての移動無線通信装置101と、少なくとも1つ(一般的には複数)の基地局としての無線通信制御装置102とを含んでいる。図1では、一例として、2つの移動無線通信装置101と、1つの無線通信制御装置102とが示されている。例えば、移動無線通信システム100は、基地局としての無線通信制御装置102がPDCなどのマイクロセルシステムに比べて広いエリアをカバーする大ゾーン方式の陸上移動無線通信システムであればよい。
【0019】
各移動無線通信装置101は、基地局としての無線通信制御装置102との間で無線周波数(RF;Radio Frequency)信号を送受信することによって、他の移動無線通信装置101や無線通信制御装置102にネットワーク接続された他の通信端末装置などとの間にて、音声通話(会話)を可能にする。各移動無線通信装置101と無線通信制御装置102との間における無線通信では、制御チャネル110や物理通信チャネル111が使用される。また、各移動無線通信装置101は、直接通信チャネル112を使用することで、基地局を介することなく他の移動無線通信装置101との間で直接的にRF信号を送受信して、音声通話などを行うこともできる。
【0020】
制御チャネル110、物理通信チャネル111、及び直接通信チャネル112などの無線チャネル上では、所定のデジタル変調方式(例えば4値FSK[Frequency Shift Keying])により変調されたRF信号が送受信されることにより、所定のフレーム構造を有するデジタルデータが伝送される。図2(A)〜(C)は、制御チャネル110、物理通信チャネル111、及び直接通信チャネル112のそれぞれにて伝送されるデジタルデータにおけるフレーム構造の一例を示す図である。
【0021】
図2(A)及び(B)に示すフレーム構造を有するデジタルデータは、基地局としての無線通信制御装置102から各移動無線通信装置101に対して送信される。ここで、無線通信制御装置102から送信されるデジタルデータにおけるフレーム長は80msecとなっており、通信速度は4800bpsとなっているものとする。図2(A)に示すように、制御チャネル110上では、フレームの先頭に、所定のコードパターンからなる20ビットの同期ワードSWが配置され、末尾に20ビットのポストフィールドPFが配置されたフレーム構造のデジタルデータが伝送される。この構成では、ARIB STD-T61の標準規格に比べて、通信速度が1/2になっており、フレーム長が2倍になっている一方で、同期ワードSWは80msecあたり20ビットで半分になっている。
【0022】
無線通信制御装置102は、制御チャネル110を用いて、図2(A)に示すようなフレーム構造を有するデジタルデータを、複数のフレームにわたり連続して送出する。そのため、各フレームの同期ワードSWの前方には、1つ前に送出されたフレームにおけるポストフィールドPFが配置されることになる。
【0023】
図2(B)に示すように、物理通信チャネル111上では、フレームの先頭に同期ワードSWが配置される一方で、制御チャネル110とは異なりポストフィールドPFが含まれていないフレーム構造のデジタルデータが伝送される。図2(C)に示すように、直接通信チャネル112上では、送信開始時におけるフレームの先頭に20ビットのプリアンブルPAが配置され、各フレームの先頭に(送信開始時のフレームではプリアンブルPAに後続して)20ビットの同期ワードSWが配置されたフレーム構造のデジタルデータが伝送される。
【0024】
図2(A)に示すフレームに含まれるポストフィールドPFと、図2(C)に示すフレームに含まれるプリアンブルPAは、同一のコードパターンからなるプレワードPWで構成されている。プレワードPWは、例えば同期ワードSWとは異なるコードパターンとして予め定められたものであればよい。一例として、ポストフィールドPFと、プリアンブルPAは、全てが同一のプレワードPWで構成されていればよい。他の一例として、ポストフィールドPFとプリアンブルPAにおける後半の数ビットに、同一のコードであるプレワードPWが含まれていてもよい。
【0025】
各移動無線通信装置101が基地局を介して通信を行うときには、基地局である無線通信制御装置102によって提供される制御チャネル110から物理通信チャネル111を割り当てるFDMA(Frequency Division Multiple Access)方式が用いられる。その一方で、複数(例えば2つ)の移動無線通信装置101が基地局を介することなく直接的に通信を行うときには、割当てのないSCPC(Single Channel Per Carrier)方式が用いられる。
【0026】
各移動無線通信装置101は、いずれも実質的に同一の構成を有しており、例えば図1に示すように、ベースバンド信号処理部1と、送信処理部2と、アンテナ3と、受信処理部4と、送受分離部5とを備えている。
【0027】
ベースバンド信号処理部1は、外部から送信データを入力してデジタル伝送用のベースバンド信号を生成したり、受信処理部4からのベースバンド信号を入力して受信データを取り出して外部へと出力したりする。ここで、ベースバンド信号処理部1に入力される送信データは、移動無線通信装置101の外部から取り込まれたものであってもよいし、移動無線通信装置101内の図示せぬデータ処理部などによって生成されたものであってもよい。例えば、移動無線通信装置101は、外部から取り込んだ音声や画像を示す情報データを生成するデータ処理部などを備えていてもよい。
【0028】
送信処理部2は、ベースバンド信号処理部1にて生成されたデジタル伝送用のベースバンド信号に対応した送信用の無線信号を生成するためのものである。例えば、送信処理部2は、デジタル伝送用のベースバンド信号に応答して所定のデジタル変調(例えば4値FSK[Frequency Shift Keying]変調)を行う。また、送信処理部2は、変調動作により生成された被変調波信号の周波数変換(アップコンバート)や電力増幅などを行った後、送受分離部5を介してアンテナ3に供給することで、移動無線通信装置101から無線信号を送出させる。
【0029】
受信処理部4は、アンテナ3による受信信号に対して低雑音増幅や周波数変換(ダウンコンバート)などを行った後、所定のデジタル復調を行ってベースバンド信号を再生する。受信処理部4により再生されたベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部1に供給される。送受分離部5は、送信処理部2の出力が受信処理部4の側へ回り込まないようにしたり、受信処理部4への入力が送信処理部2の側へ回り込まないようにしたりするデュプレクサである。
【0030】
上記の構成において、ベースバンド信号処理部1は、受信処理部4からのベースバンド信号が入力される同期検出回路10を備えている。図3は、同期検出回路10の一構成例を示す図である。図3に示すように、同期検出回路10は、サンプリング回路11と、A/D(Analog-to-Digital)変換器12と、フレームメモリ13と、同期ワード格納部14と、プレワード格納部15と、同期演算部16と、動作制御部17とを備えている。
【0031】
サンプリング回路11は、受信処理部4から入力されたベースバンド信号を所定のサンプリングレートでサンプリングするためのものである。例えば、サンプリング回路11では、ベースバンド信号によって伝送されるシンボルデータ列における1シンボルを複数回サンプリングできるように、サンプリング周波数が予め設定されていればよい。A/D変換器12は、サンプリング回路11にてサンプリングされたベースバンド信号をデジタルデータに変換する。A/D変換器12にて生成されたデジタルデータは、フレームメモリ13に格納される。フレームメモリ13は、A/D変換器12にて生成されたデジタルデータを、例えばFIFO(First In First Out)方式によって一時的に格納する。
【0032】
同期ワード格納部14は、図2(A)〜(C)に示すような制御チャネル110、物理通信チャネル111、及び直接通信チャネル112の各フレームに含まれる同期ワードSWのコードパターンを示すデータを、予め格納している。プレワード格納部15は、図2(A)に示す制御チャネル110のフレームに含まれるポストフィールドPFと、図2(C)に示す直接通信チャネル112のフレームに含まれるプリアンブルPAにて用いられるプレワードPWのコードパターンを示すデータを、予め格納している。
【0033】
同期演算部16は、フレームメモリ13に格納されたデジタルデータと、同期ワード格納部14に格納されているデータあるいはプレワード格納部15に格納されているデータとに基づき、ビット同期やフレーム同期を確立するための演算処理を実行する。例えば、同期演算部16は、フレームメモリ13に格納されたデジタルデータと、同期ワード格納部14に格納されているデータあるいはプレワード格納部15に格納されているデータとに基づく相関演算を実行し、演算の結果として得られた相関値が所定の閾値を超えているか否かを判定する。そして、所定の閾値を超えて、且つ相関値が極大値となるタイミングにて、所定の同期タイミング信号を出力する。同期演算部16から出力された同期タイミング信号は、例えばベースバンド信号処理部1や、その他のデジタル信号処理回路などにて、フレーム構造のデジタルデータを処理するために用いられる。
【0034】
動作制御部17は、移動無線通信装置101における通信状態や動作状態などに基づき、ベースバンド信号処理部1における各部位の動作を制御する。例えば、動作制御部17は、同期演算部16が同期を確立するために実行する演算処理を、同期ワード格納部14に格納されたデータを用いた演算処理とするか、同期ワード格納部14及びプレワード格納部15の両方に格納されたデータを用いた演算処理とするかの切り替えを行う。
【0035】
図1に示す無線通信制御装置102は、例えば図4に示すように、制御チャネル用送信ユニット120と、複数の通信チャネル用送信ユニット121−1〜121−n(nは2以上の整数)とを備えている。制御チャネル用送信ユニット120は、制御チャネル110を用いて、各移動無線通信装置101に対してデジタルデータを伝送するためのRF信号を送出する。各通信チャネル用送信ユニット121−1〜121−nは、物理通信チャネル111を用いて、各移動無線通信装置101に対してデジタルデータを伝送するためのRF信号を送出する。制御チャネル用送信ユニット120から各通信チャネル用送信ユニット121−1〜121−nに対しては、制御チャネル110と物理通信チャネル111とで送信されるフレームの同期をとるためのフレームタイミング信号が送られる。このフレームタイミング信号により、制御チャネル110のフレームと物理通信チャネル111のフレームは、図2(A)及び(B)にて点線で示すように、同一のタイミングで送出されることになる。
【0036】
以下に、この発明の実施の形態に係る移動無線通信システム100において、移動無線通信装置101が同期を獲得する動作を説明する。ここで、移動無線通信装置101における同期に関する動作状態(同期の状態)としては、ビット同期やフレーム同期を確立するための初期同期状態と、同期確立後にフレームタイミングを維持するための同期維持状態と、同期が一旦外れた後に再び同期を確立するための再同期状態という、3つの動作状態がある。各移動無線通信装置101では、同期検出回路10が備える動作制御部17により、通信状態などに応じて同期に関する動作状態を特定し、特定した動作状態に応じて同期演算部16の動作を制御する。
【0037】
より詳細には、動作制御部17は、特定した同期に関する同期状態に応じて、同期ワードSWのみを用いて同期を獲得するか、同期ワードSWとプレワードPWの両方を用いて同期を獲得するかの判定を行う。図5は、受信対象となる無線チャネルと、移動無線通信装置101における同期に関する動作状態、同期を獲得する方法、及び同期が確立したと判定するための同期条件との対応関係を示す図である。
【0038】
図5に示すように、制御チャネル110が受信対象である場合に、初期同期状態あるいは再同期状態であるときには、プレワードPWと同期ワードSWの両方を用いて同期獲得を行う。このときには、実質的には同期ワードSWとして長いコードパターンを用いてフレームタイミングを検出することと等価であることから、同期の精度は向上する。そこで、このときには、同期条件として、同期演算部16における演算結果が所定の閾値を1回超えるだけで、プレワードPWと同期ワードSWの両方を1回検出できたと判定して、同期が確立したものとすればよい。なお、同期条件は、移動無線通信システム100の仕様に応じて変更可能であり、従来に比べて確実に少なくなるような設定となっていればよい。
【0039】
制御チャネル110が受信対象である場合に、同期維持状態であるときには、既に移動無線通信装置101の側にてフレーム同期の獲得が完了している。従って、各フレームの同期ワードSWが予め定められたタイミングで受信できたことを確認するだけでよい。そこで、このときには、同期ワードSWのみを用いて同期獲得を行い、また、同期条件としても、演算結果が所定の閾値を1回超えるだけで、同期ワードSWを検出できたと判定して、同期が維持されているとすればよい。
【0040】
物理通信チャネル111が受信対象である場合には、同期に関する動作状態によらず、同期ワードSWのみを用いて同期獲得を行う。ここで、物理通信チャネル111のフレームには、図2(B)に示すようにプレワードPWを含んだ部位が配置されていない。その一方で、図4に示すように、制御チャネル用送信ユニット120から各通信チャネル用送信ユニット121−1〜121−nに対してフレームタイミング信号が送られることで、制御チャネル110のフレームと物理通信チャネル111のフレームが同一のタイミングで送出されている。そのため、移動無線通信装置101にて受信対象が制御チャネル110から物理通信チャネル111へと移行するときには、制御チャネル110の受信時と同じフレームタイミングにて物理通信チャネル111を受信するようにすれば、フレーム同期は獲得できるようになっている。
【0041】
物理通信チャネル111が受信対象である場合の同期条件としては、初期同期状態あるいは同期維持状態であるときに、同期演算部16における演算結果が所定の閾値を1回超えるだけで、同期ワードSWを検出できたと判定して、同期が確立した(あるいは維持されている)とすればよい。その一方で、同期外れにより再同期を行う再同期状態や、グループ呼出時の後追い参入時には、同期精度が悪くなることがある。そこで、このときには、同期条件として、演算結果が所定の閾値を複数回(例えば2回)連続で超えることで、同期ワードSWを複数回(例えば2回)検出できたと判定して、同期が確立したとすればよい。再同期状態や後追い参入時には、物理通信チャネル111を用いた通話が成立する限界に近い環境に移動無線通信装置101が存在する。このため、上記のように同期条件を初期同期状態や同期維持状態に比べて厳しくしたことにより同期の確立に多少の遅延が発生したとしても、大きな問題とはなりにくい。
【0042】
直接通信チャネル112が受信対象である場合には、送信開始時のフレームの先頭に限ってプレワードPWを含んだプリアンブルPAが配置されている。そこで、同期を獲得する方法として、同期ワードSWのみを用いる方法と、プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いる方法のいずれも使用できるようにする。そして、使用した方法に応じて、同期条件を選択するようにすればよい。具体的には、プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いたときには、同期演算部16における演算結果が所定の閾値を1回超えるだけで、プレワードPW及び同期ワードSWの両方を1回検出できたと判定して、同期が確立したとすればよい。これに対して、同期ワードSWのみを用いたときには、演算結果が所定の閾値を複数回(例えば2回)連続して超えることで、同期ワードSWを複数回(例えば2回)検出できたと判定して、同期が確立したとすればよい。
【0043】
次に、同期演算部16にて同期を確立するために実行される演算処理の具体例について説明する。ここで、同期ワードSWのシンボル数をn+1、同期ワードSWのデータをS0〜Sn、移動無線通信装置101にて復調されたベースバンド信号における受信時点から過去に数シンボルまで遡ったサンプリングデータをa〜aとする。この場合の相関値は数式1のような演算によって得ることができる。この相関値が最大となるタイミングに基づいてフレーム同期を獲得することができる。
【0044】
【数1】

【0045】
具体的な一例として、同期ワードS0〜S3がそれぞれ、−3、+1、−3、+3であるものとする。そして、移動無線通信装置101にて復調されたベースバンド信号が図6に示すような波形を有しているものとする。なお、図6に示す例では、1シンボルあたり1回のサンプリングが行われているものとする。
【0046】
この場合、タイミングT4〜T11にて得られた相関値を、予め定められた閾値と比較する。そして、閾値よりも大きな値となった極大点に基づいて、フレーム同期を確立することができる。図6に示す例では、タイミングT8にて相関値が「28」となって最大であることから、同期ワードSWの受信タイミングであると判定して、フレーム同期を確立することができる。
【0047】
また、移動無線通信装置101にて復調されたベースバンド信号における受信時点から過去に20シンボルまで遡ったサンプリングデータをa〜a19とし、同期ワード格納部14に格納された同期ワードSWをS〜S、プレワード格納部15に格納されたプレワードPWをP〜Pとする。同期判定用の閾値は、同期ワードSWのみを用いたときにはTh1とし、プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いたときにはTh2とする。ここで、相関値はワード長が長くなるほど大きくなる。そこで、Th1<Th2となるように、予め設定を行っておく。
【0048】
同期ワードSWのみを用いて同期を獲得するときには、同期演算部16が数式2を用いた演算を実行することにより、サンプリングデータa10〜a19と同期ワードSWを示すデータS〜Sとの相関値C1を特定する。
【0049】
【数2】

【0050】
例えば、受信処理部4によって図7(A)に示すようなベースバンド信号が復調された場合、矢印ar1で示される期間にてサンプリング回路11によってサンプリングされたデータが、サンプリングデータa10〜a19としてフレームメモリ13へと順次に格納される。同期ワード格納部14には、図7(B)に示すような同期ワードSWの波形に対応したコードパターンを示すデータS〜Sが、予め格納されている。同期演算部16は、フレームメモリ13に格納されたサンプリングデータa10〜a19と同期ワード格納部14に格納された同期ワードSWを示すデータS〜Sとの相関値C1を特定するための演算処理を実行する。なお、矢印ar1で示される期間は、時間の経過とともに図7(A)で矢印ar2により示されるように、右方向(時間軸上で後方)へと移動して行く。フレームメモリ13には、サンプリングされたデータがFIFO方式で格納される。
【0051】
こうして同期演算部16にて特定された相関値C1は、図7(C)に示すように時間の経過に従って変動する。そして、相関値C1が閾値Th1を超えたタイミングT21において、同期ワードSWを受信したと判定されることにより、フレーム同期の確立が可能になる。
【0052】
プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いて同期を獲得するときには、同期演算部16が数式2を用いた演算を実行することにより、サンプリングデータa10〜a19と同期ワードSWを示すデータS〜Sとの相関値C1を特定する。また、同期演算部16は、数式3を用いた演算を実行することにより、サンプリングデータa〜aとプレワードPWを示すデータP〜Pとの相関値C2を特定する。
【0053】
【数3】

【0054】
例えば、受信処理部4によって図8(A)に示すようなベースバンド信号が復調された場合、矢印ar3で示される期間にてサンプリング回路11によってサンプリングされたデータが、サンプリングデータa〜a19としてフレームメモリ13へと順次に格納される。なお、矢印ar3で示される期間は、時間の経過とともに図8(A)で矢印ar4により示されるように、右方向(時間軸上で後方)へと移動して行く。同期ワード格納部14には、図8(B)に示すような同期ワードSWの波形に対応したコードパターンを示すデータS〜Sが、予め格納されている。プレワード格納部15には、図8(B)に示すようなプレワードPWの波形に対応したコードパターンを示すデータP〜Pが、予め格納されている。
【0055】
同期演算部16は、フレームメモリ13に格納されたサンプリングデータa〜aとプレワード格納部15に格納されたプレワードPWを示すデータP〜Pとの相関値C2を特定するための演算処理を実行する。これとともに、同期演算部16は、フレームメモリ13に格納されたサンプリングデータa10〜a19と同期ワード格納部14に格納された同期ワードSWを示すデータS〜Sとの相関値C1を特定するための演算処理を実行する。同期演算部16にて特定された相関値C1は、図8(C)に示すように時間の経過に従って変動する。また、相関値C1と相関値C2との和C1+C2も、図8(D)に示すように時間の経過に従って変動する。そして、C1+C2の値が閾値Th2を超えたタイミングT22において、同期ワードSWを受信したと判定することにより、フレーム同期の確立が可能になる。
【0056】
制御チャネル110が受信対象である場合に、移動無線通信装置101が同期を確立するための初期同期状態であるときには、プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いて同期を獲得する処理のみを実行すればよい。そこで、図8(A)〜(D)に例示したようにして、相関値の和C1+C2の値が閾値Th2を超えた極大点を同期ポイントとすることで、同期を確立することができる。
【0057】
また、直接通信チャネル112が受信対象である場合に、移動無線通信装置101が初期同期状態であるときには、プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いて同期を獲得する処理と、同期ワードSWだけを用いて同期を獲得する処理の両方が考慮されなければならない。この場合でも、相関値C1と閾値Th1との比較、及び相関値の和C1+C2と閾値Th2との比較に基づいて同期ポイントを特定することができる。このような簡単な計算により同期ポイントを特定することで、同期演算部16による演算処理における処理量が増大することを抑制できる。なお、相関値C1が閾値Th1を超えて極大値に達するとともに、相関値の和C1+C2が閾値Th2を超えて極大値に達したときには、プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いた同期の獲得における同期条件を優先的に適用し、例えば閾値Th2を1回超えただけで、同期が確立したと判定すればよい。
【0058】
無線チャネルの狭帯域化や大ゾーンへの対応により、同期ワードにおけるワード長が短縮される場合がある。本発明では、同期ワードが80msecあたり20ビットに低減された場合でも、移動無線通信装置101における同期に関する動作状態に応じて、適宜プレワードPW及び同期ワードSWの両方を用いたり、同期ワードSWのみを用いて同期を獲得する。これにより、同期ワードにおけるワード長が短縮された場合でも、精度が良好な同期検出が可能になる。また、同期ワードにおけるワード長が短縮されることで、移動無線通信装置101と無線通信制御装置102との間や、複数の移動無線通信装置101の間において、迅速に通信リンクを確立することができる。
【0059】
また、同期ワードSWのみを用いて同期を確立あるいは維持するときには、同期演算部16にて相関値C1と閾値Th1とを比較するための演算処理を実行することで、処理量を低減して消費電力を抑制することができる。さらに、制御チャネル110のフレームと物理通信チャネル111のフレームは同一のタイミングで送出されており、物理通信チャネル111のフレームにはプレワードPWを含んだ部位が配置されていない。加えて、直接通信チャネル112のフレームには、送信開始時に限ってプレワードPWを含んだプリアンブルPAが配置され、その後に送出されるフレームには、プリアンブルPAが配置されていない。これにより、情報伝送速度(容量)による制約を受けやすい物理通信チャネル111や直接通信チャネル112において、制御用に伝送されるデータ量を削減することができ、情報伝送速度による制約を緩和することができる。
【0060】
なお、同期演算部16は、同期を確立するために相関演算を実行するものに限定されず、任意の演算処理を実行して同期を確立できるものであればよい。例えば、予め定義された同期ワードと復調されたベースバンド信号のサンプリングデータとのユークリッド距離を特定し、特定した距離の差を二乗して同期ワードに対応する分量だけ加算するようにしてもよい。
【0061】
また、移動無線通信システム100は、大ゾーン方式の陸上移動無線通信システムに限定されず、マイクロセルシステムであってもよい。さらに、変調方式は、4値FSK変調方式に限定されるものではなく、任意のデジタル多値変調方式であればよい。移動無線通信装置101と無線通信制御装置102との間での通信方式は、FDMA方式に限定されるものではなく、TDMA方式であってもそのまま本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 ベースバンド信号処理部
2 送信処理部
3 アンテナ
4 受信処理部
5 送受分離部
10 同期検出回路
11 サンプリング回路
12 A/D変換器
13 フレームメモリ
14 同期ワード格納部
15 プレワード格納部
16 同期演算部
17 動作制御部
100 移動無線通信システム
101 移動無線通信装置
102 無線通信制御装置
110 制御チャネル
111 物理通信チャネル
112 直接通信チャネル
120 制御チャネル用送信ユニット
121−1〜121−n 通信チャネル用送信ユニット
PA プリアンブル
PF ポストフィールド
PW プレワード
SW 同期ワード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線チャネル上にて伝送される無線信号を受信してベースバンド信号を復調する復調手段と、
前記復調手段により復調されたベースバンド信号からデジタルデータを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成されたデジタルデータに基づいてフレーム同期を獲得するフレーム同期手段を備え、
前記データ生成手段は、
前記復調手段により前記無線チャネルのうちで基地局から提供される制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に所定のコードパターンからなる同期ワードが配置される一方で各フレームの末尾には同期ワードとは異なるコードパターンからなるプレワードを含んだポストフィールドが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記復調手段により前記無線チャネルのうちで基地局から提供される物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に同期ワードが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記制御チャネルのフレームと、前記物理通信チャネルのフレームは、互いに同一のタイミングで送出され、
前記フレーム同期手段は、受信対象が前記制御チャネルから前記物理通信チャネルへと移行するときに、前記制御チャネルの受信時と同じフレームタイミングにて前記物理通信チャネルを受信することにより、フレーム同期を獲得する、
ことを特徴とする移動無線通信装置。
【請求項2】
前記フレーム同期手段は、
前記復調手段により前記制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と再同期のいずれかである場合には、同期ワード及びプレワードの両方を1回検出できたときに、また、同期の状態が同期維持である場合には、同期ワードを1回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定し、
前記復調手段により前記物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と同期維持のいずれかである場合には、同期ワードを1回検出できたときに、また、同期の状態が再同期である場合には、同期ワードを複数回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動無線通信装置。
【請求項3】
所定の無線チャネル上にて伝送される無線信号を受信してベースバンド信号を復調する復調ステップと、
前記復調ステップで復調されたベースバンド信号からデジタルデータを生成するデータ生成ステップと、
前記データ生成ステップで生成されたデジタルデータに基づいてフレーム同期を獲得するフレーム同期ステップを備え、
前記データ生成ステップは、
前記復調ステップで前記無線チャネルのうちで基地局から提供される制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に所定のコードパターンからなる同期ワードが配置される一方で各フレームの末尾には同期ワードとは異なるコードパターンからなるプレワードを含んだポストフィールドが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記復調ステップで前記無線チャネルのうちで基地局から提供される物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したときに、各フレームの先頭に同期ワードが配置された複数のフレーム構造を有するデジタルデータを生成し、
前記制御チャネルのフレームと、前記物理通信チャネルのフレームは、互いに同一のタイミングで送出され、
前記フレーム同期ステップは、受信対象が前記制御チャネルから前記物理通信チャネルへと移行するときに、前記制御チャネルの受信時と同じフレームタイミングにて前記物理通信チャネルを受信することにより、フレーム同期を獲得する、
ことを特徴とする通信処理方法。
【請求項4】
前記フレーム同期ステップは、
前記復調ステップで前記制御チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と再同期のいずれかである場合には、同期ワード及びプレワードの両方を1回検出できたときに、また、同期の状態が同期維持である場合には、同期ワードを1回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定し、
前記復調ステップで前記物理通信チャネル上にて伝送される無線信号からベースバンド信号を復調したことに対応して、同期の状態が初期同期と同期維持のいずれかである場合には、同期ワードを1回検出できたときに、また、同期の状態が再同期である場合には、同期ワードを複数回検出できたときに、フレーム同期を獲得できたと判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−93850(P2010−93850A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288982(P2009−288982)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【分割の表示】特願2009−266107(P2009−266107)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】