説明

移動用カート

【課題】比較的簡単な構成を用いて、搭乗設備や荷台設備に雨水が侵入し難い移動用カートを提供する。
【解決手段】人が搭乗するための搭乗設備6と、搭乗設備6の上方を覆う屋根部材8と、搭乗設備6の後方に備えられ、荷物を搭載するための荷台設備9と、屋根部材8の下方に備えられ、屋根部材8の後端部分に重ねられるようにして配置されている重複部を有し、荷台設備9の上方を後下がりに傾斜した状態で覆う荷台屋根部材25とを具備することを特徴とする移動用カート1とする。これにより、極めて水捌けが良く、且つ重複部があることにより効果的にカート1車内を防水できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用カートに関するものであり、特に、レジャー施設等の特定施設内で人や荷物を搬送するために用いられる移動用カートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、公道とは異なる限られた特定施設内においては、人や荷物の搬送方法のひとつとして、移動用カート(以下、単に「カート」という)が用いられている。ここで、特定施設としては、ゴルフ場やテーマパーク等のレジャー施設、ショッピングモールやアウトレットモール等の大規模商業施設、工場、病院、学校、ホテル、空港、及び港湾が例示できる。また、ここでいうカートとは、これらの特定施設内において、客や職員が移動するため、もしくは荷物を搬送するための車輌であり、公道を走行する乗用車とは異なる、簡易な構造を持った車輌を示す。
【0003】
こうしたカートのうち、特に野外での使用が想定されているものに関しては、強い日差しや突然の雨、または不慮の落下物などから搭乗者を防護するために、搭乗者の上方を覆う本体屋根が設けられていることが一般的である。また、カートの中には、人と荷物とを同時に搬送させるために、カート本体後部に、荷物を搭載して運搬することのできる荷台設備が設けられたものもある。
【0004】
上記背景技術は、一般的になされている事項であり、本願出願人は、出願時において、この背景技術が記載された文献を特に知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カート本体後部に荷台設備を設けた場合は、荷物が雨などで濡れて痛まないように、荷台設備の上方を覆う荷台屋根を設置したいという要望がある。そこで、本体屋根を取り外し、カート本体だけではなく荷台設備上方をも覆えるような、新たな屋根を取り付け、本体屋根ごとリニューアルすることが考えられるが、このような屋根の解体作業及び取り付け作業は非常に大掛かりであり、煩雑であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、比較的簡単な構成を用いて、搭乗設備に雨水が侵入し難い移動用カートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の採った主要な手段は、
「人が搭乗するための搭乗設備と、
該搭乗設備の上方を覆う本体屋根と、
前記搭乗設備の後方に備えられ、荷物を搭載するための荷台設備と、
前記本体屋根の下方に備えられ、前記本体屋根の後端部分に重ねられるようにして配置されている重複部を有し、前記荷台設備の上方を後下がりに傾斜した状態で覆う荷台屋根とを具備することを特徴とする移動用カート」
である。
【0008】
ここで、「搭乗設備」とは、人がカートに搭乗するための設備全般を示し、座席やステアリングなどが例示できる。
【0009】
上記構成の移動用カートでは、荷台設備の上方を覆う荷台屋根は、本体屋根の下方に備えられている。よって、荷台屋根上に降り落ちた雨水だけではなく、本体屋根上に降り落ちた雨水も、本体屋根上から荷台屋根上へとスムーズに案内される。さらに、荷台屋根は、荷台設備の上方を後下がりに傾斜した状態で覆う構成である。これにより、荷台屋根上に降り落ちた雨水及び本体屋根上より案内された雨水は、この傾斜に案内されてより一層円滑に荷台屋根の後方へと案内される為、極めて水捌けが良い。従って、比較的簡単な構成で、且つ効果的にカート車内を防水することができる。
【0010】
また、荷台屋根の前端部分は、本体屋根の後端部分に対して下側に重ねられている構成である。よって、本体屋根の後端部分が、荷台屋根の前端部分に対して所謂傘のように働くことで、本体屋根と荷台屋根との重複部内部に雨水が浸水することを防止し、一層カート車内に雨水が侵入し難くなっている。
【0011】
上述した手段において、
「前記荷台屋根から垂設され、前記荷台設備の側方の少なくとも上部を覆う側方垂幕と、
前記荷台屋根から垂設され、前記側方垂幕との間にスリットを介して配置されて、前記荷台設備の後方の少なくとも上部を覆う後方垂幕とをさらに具備することを特徴とする移動用カート」
としてもよい。
【0012】
上記構成の移動用カートでは、荷台設備側方の少なくとも上部を覆う側方垂幕と、荷台設備後方の少なくとも上部を覆う後方垂幕とをさらに具備する構成である。よって、本体屋根と荷台屋根との隙間から侵入してくる雨水だけではなく、荷台設備の側方や後方の上方より回り込んで車内へと侵入してくる雨水も効果的に遮断することができる。
【0013】
さらに、後方垂幕は、側方垂幕との間にスリットを介して配置される構成である。よって、搭乗者が荷物を取り出す場合において、側方垂幕または後方垂幕の一方のみを独立に動かすことができるため、より簡単に荷物を取り出すことが可能となり、簡便である。
【0014】
上述した手段において、
「前記荷台屋根に着脱自在に設けられ、前記荷台設備の側方の全面を覆うサイドカバーをさらに具備することを特徴とする移動用カート」
としてもよい。
【0015】
上記構成の移動用カートでは、荷台設備の側方の全面を覆うサイドカバーをさらに備える構成とする。よって、荷台設備の側方から降り込んでくる雨水を、より確実に遮断することが可能である。また、着脱が自在であることより、防水の必要が無い場合、例えば晴天下の走行時などは、サイドカバーを取り外すことができる。このようにすることで、荷台に載置された荷物の出し入れがより容易になるから効果的である。
【0016】
「前記荷台屋根は、前記本体屋根に収納可能に取り付けられていることを特徴とする移動用カート」
としてもよい。
【0017】
ここで、「荷台屋根」の取り付けられる位置は、特に限定されるものではなく、本体屋根の上部であっても良いし、下部であっても良いし、本体屋根の内部に取り付けるものであっても良い。要するに、本体屋根に対して収納可能とする構成であれば、如何なるものであっても良い。また、「収納可能に取り付けられている」構成とは、荷台屋根を使用しない場合において、邪魔にならない位置且つ何時でも取り出せる位置に備え付けておく構成を示すものであり、例えば、本体屋根に対して二つ折りに折畳んで収納したり、本体屋根の下部に荷台屋根全体をスライドさせたり、本体屋根から荷台屋根を取り外した状態で金具などで固定して保管しておいたりする構成等が例示できる。
【0018】
上記構成の移動用カートでは、荷台屋根が必要とされない場合は、荷台屋根を収納することができるため、荷台に載置された荷物の出し入れがより容易になる。また、荷台屋根を脱着するだけの場合に比べ、収納可能に取り付ける構成とすることで、必要に応じて迅速且つ簡便に荷台屋根を構成することができるから効果的である。
【発明の効果】
【0019】
上述した通り、本発明に係る移動用カートによれば、比較的簡単な構成にて、搭乗設備や荷台設備に雨水が侵入し難い構成を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る移動用カート(以下、カートと称す)の実施形態としての一例を、以下、図面に従って詳細に説明する。なお、本例では、カートとして、ゴルフ場で使用されるものを例示する。より詳細には、4人乗りで、雨天でも使用可能なように屋根を備え、ゴルフバッグを搭載するスペースとして荷台を備えるものを示すが、本発明に係るカートとは、このような用途に限定されるものではなく、他の種々の特定施設で使用される他のタイプのカートとしても採用することが可能である。
【0021】
まず、本発明のカート1の構成について、図1に基づき説明をする。カート1は、主に、骨組みを構成する車体フレーム2、車体フレーム2に取り付けられ、外観を構成する外装部品3、車体フレーム2に取り付けられ、人が搭乗するための座席4やステアリング5を有する搭乗設備6、搭乗設備6の前方を覆うフロントパネル7、搭乗設備6の上方を覆う屋根部材8、及び車体フレーム2の後部に取り付けられ、荷物を搭載するための荷台設備9などから構成される。
【0022】
車体フレーム2は、鋼材を枠状に溶接した溶接構造となっており、表面に錆止め剤や塗料が塗布されている。フロントピラー12には、フロントパネル7が取り付けられている。フロントパネル7は、風やゴミなどを遮断して搭乗者の視界を確保するためのものであり、透明なポリカーボネートなどの樹脂や強化ガラス等、適宜の材質により形成されている。バックピラー13は、棒状の鋼材であり、一端側がベースフレーム11の後部側に、他端側がルーフフレーム14の後部側に溶接されており、車体の後部側を形成すると共にルーフフレーム14を支持している。
【0023】
ルーフフレーム14は、枠状の鋼材であり、図2に示すように、後端部分には、公知の摺動機構Sを介して荷台屋根フレーム24(後述する)が取り付けられている。ルーフフレーム14には、屋根部材8が取り付けられている。なお、ルーフフレーム14及び屋根部材8が、本発明の「本体屋根」に該当する。ルーフフレーム14及び屋根部材8の構成としては、これに限定されるものではなく、適宜の金具や面ファスナーなどを用いて互いに着脱自在な構成としても良いし、別体として構成せず一体的に構成しても良いが、本実施例においては、ルーフフレーム14の上面に対してリベット等で固定されている構成を例示する。また、屋根部材8の左右側面側には、樹脂シートや布シートなど適宜の材質で形成された屋根側部シート19が垂設されている。
【0024】
搭乗設備4は主に、座席4、ステアリング5、及び各種内装パーツから構成されている。座席4は、前部座席20と後部座席21とから構成されるものである。カート1の後部側には、荷台フレーム23や、後述するサイドカバー26の収納設備、及び図略の小物入れなどから構成される荷台設備9が備えられており、搭乗者が荷物を搭載できるようになっている。また、本発明のカート1には、荷台設備9の上方を覆う荷台屋根フレーム24及び荷台屋根部材25や、荷台設備9の側方を覆うサイドカバー26などがさらに備えられている。なお、荷台屋根フレーム24及び荷台屋根部材25が、本発明の「荷台屋根」に該当する。
【0025】
荷台フレーム23は、搭乗者が荷物を載置する場所を提供するものであり、鋼材により形成されると共に、適宜の色で塗装されている。なお、サイドカバー26を折り畳んだ状態で収納できる収納設備(図示しない)を備える構成とすると、使用しない状態のサイドカバー26をコンパクトに収納し、持ち運ぶことが容易となるため、好適である。
【0026】
荷台屋根フレーム24は、略コ字形状に湾曲した鋼材であり、開放されている両端部が、ルーフフレーム14の後端部下面に対して、収納可能に取り付けられている。収納可能とする構成の一例として、本例では、図2に示すように、ルーフフレーム14の後端部に取り付けられた公知の摺動機構S(ボールベアリングなどを利用したリニアガイド等)によって、矢印Xの方向及び矢印Yの方向にスライド可能に取り付けられている構成を適用している。荷台屋根フレーム24及びルーフフレーム14には、穴41a及び穴41bが穿設されており、荷台屋根フレーム24をルーフフレーム14より取り出した状態(矢印Yの方向に摺動させた状態)において、これら穴41a及び穴41bにピンPを貫通させ、荷台屋根フレーム24の取り出し状態を保持できるよう構成されている。また、荷台屋根フレーム24及びルーフフレーム14には、さらに穴42a及び穴42bが穿設されており、荷台屋根フレーム24を矢印Xの方向に摺動させ、収納した状態において、これらの穴41a及び穴41bにピンPを貫通させることにより、収納した状態を維持できるよう構成されている。なお、摺動機構Sの構成としては、特に限定されるものではなく、ルーフフレーム14に対して荷台屋根フレーム24を摺動させ、収納させることができるものであれば、如何なるものであっても良い。荷台屋根フレーム24の後端側には、把持手段40が備えられており、荷台屋根フレーム24を摺動させる際に掴んで操作しやすいよう構成されている。
【0027】
荷台屋根部材25は、荷台設備9の上方を、後方に傾斜した状態で覆うものであり、不透明の樹脂シートや布シートにより形成され、公知の面ファスナー等を用いて、荷台屋根フレーム24の上面に着脱可能に取り付けられている。また、使用しない際には、丸めるなどして折畳んだ状態で、屋根部材8に対して仮留めされ、収納されている。
【0028】
そして、図1に示すように、荷台屋根部材25には、荷台設備9の側方の上部を覆う側方垂幕27と、荷台設備9の後方の上部を覆う後方垂幕28とが垂設されている。側方垂幕27及び後方垂幕28の材質としては、特に限定されるものではないが、本実施形態においては荷台屋根部材25と同材質のものが適用されており、縫合することにより荷台屋根部材25に取り付けられている。
【0029】
ここで、図3(図1のC矢視図)に示すように、側方垂幕27と後方垂幕28との間には、スリット31が設けられている。スリット31の大きさとしては、特に限定されるものではないが、図3に示すように、側方垂幕27と後方垂幕28とを完全に分離するものであっても良いし、一部を分離させるものであっても良い。ただし、本実施形態のように、少なくとも上下方向の長さの半分以上を分離させる大きさのスリット31を適用すると、側方垂幕27と後方垂幕28とを別個独立に動かすことが容易である為、好適である。
【0030】
サイドカバー26は、図1に示すように、荷台設備9の側方の全面を覆うものであり、可撓性を有する半透明または透明な樹脂や布シートにより形成されている。また、サイドカバー26の上部には、樹脂や布シートなどで形成したタッセル(図示しない)などが取り付けられており、サイドカバー26を折り畳んだ際に、仮止めできるように配慮されている。さらに、サイドカバー26の上端部には、幅方向にファスナー32が備えられており、側方垂幕27に対して着脱自在に取り付けられるよう構成されている。そして、サイドカバー26の前側の下端部には、リアカウル17に対して固定させるためのフック付きロープ33が備えられており、リアカウル17の対応する位置に穿設されている図略の穴に、フックを引っ掛けることで、下端部を固定できるようになっている。
【0031】
次に、カート1の使用方法を説明する。晴天時にカート1を使用する場合は、荷台屋根フレーム24は、ルーフフレーム14に収納され、ピンPなどを用いてスライドしないよう固定されている(図略)。サイドカバー26は取り外され、丸められて荷台設備9に載置されている。
【0032】
走行中に天候が崩れそうな時は、ピンPを取り外し、把持手段40を掴んで荷台屋根フレーム24を矢印Yの方向に摺動させる。そして、穴42a及び穴42bにピンPを貫通させ、荷台屋根フレーム24を取り出した状態で固定する。そして、荷台屋根部材25を荷台屋根フレーム24に対して取り付け、さらにファスナー32を用いてサイドカバー26を側方垂幕27に取り付け、丸めた状態で図略のタッセルにて仮止めしておく。こうすることで、いざ雨が降り出したときに、素早くサイドカバー26を装着することができ、且つ、荷台設備9側方からの荷物の出し入れも容易である。また、カート1の走行中に、突然雨が降り出した場合、または、少雨の中走行を続行するような場合であっても、荷台屋根部材25、側方垂幕27、及び後方垂幕28によって、雨が遮断される。
【0033】
雨足が強い場合の走行時や、より防水効果を確実にしたいような場合には、前述のタッセルを取り外し、サイドカバー26を展開させる。そして、下端部の前方に取り付けられているフック付きロープ33を、リアカウル17の図略の穴に向かって引っ張り、フックを穴に嵌合させ、サイドカバー26を展開した状態で固定させる。以上の作業を、荷台設備9の左右側方の双方について行う。なお、サイドカバー26を折り畳む場合は、以上の作業を逆順に執り行う。
【0034】
以上のように、上記のカート1によれば、荷台屋根部材25は、屋根部材8の下方に備えられている構成のため、屋根部材8上に降り落ちた雨水は、荷台屋根部材25上に円滑に案内される。さらに、荷台屋根部材25は、後下がりに傾斜した状態で荷台設備9上を覆う構成であるため、荷台屋根シート上25に降り落ちた雨水及び屋根部材8上から案内されてきた雨水は、この傾斜に案内されてより円滑に荷台屋根部材25の後部側へと流れていくため、極めて水捌けが良い。
【0035】
また、上記の構成によれば、荷台屋根部材25の前端部分は、屋根部材8の後端部分に対して下側に重ねられている重複部を有する。よって、屋根部材8と荷台屋根部材25との間に空隙があっても、屋根部材8の後端部分が、荷台屋根部材25の前端部分に対して所謂傘のように働き、この重複部(空隙)の内部に雨水が侵入することを効果的に防止できる。このように、比較的簡単な構成を用いて、搭乗設備6や荷台設備9内部に雨水が侵入し難い構成を実現できる。
【0036】
さらに、上記のカート1によれば、荷台設備9の側方及び後方の上部を覆う側方垂幕27及び後方垂幕28を備える構成である。よって、荷台屋根部材25の側方及び後方の端部より滴り落ち、荷台設備9側方の上部より回り込んで荷台設備9内部へと浸水しようとする雨水をも効果的に防水でき、より効果的である。
【0037】
なお、側方垂幕27及び後方垂幕28は、荷台設備9の側方及び後方の一部を覆うものであっても良いし、全面を覆うものであっても良い。ただし、本実施形態のように、カート1をゴルフカートとして使用する場合などは、荷台設備9にはゴルフバッグなどの長尺物を搭載することが想定される。その場合、荷台設備9の前後方向に対して長尺な方向に荷物を搭載することが一般的であるから、荷物の出し入れは、荷台設備9の後方から行うことが多いと考え得る。よって、上記構成のように、少なくとも後方垂幕28は、荷台設備9の全面ではなく一部を覆う構成とすることで、上述の防水効果に加え荷物の出し入れの邪魔にもならず、簡便であるからより効果的である。
【0038】
また、上記のカート1によれば、側方垂幕27と後方垂幕28との間には、スリット31が配置されている。このように構成することで、搭乗者が荷物を取り出す際に、側方垂幕27または後方垂幕28の一方のみを独立して動かすことができるため、荷物の取り出しがより容易になり、効果的である。
【0039】
一方、上記の構成において、着脱が自在であり、荷台設備9の側方の全面を覆うサイドカバー26をさらに備える構成となっている。よって、荷台設備9の側方から降り込んでくる雨水を、より確実に遮断し、防水することが可能となる。また、着脱が自在であることにより、防水の必要が無い場合の走行時は、サイドカバー26を取り外してカート1を使用することも可能である。これにより、荷台設備9の内部に搭載された荷物の出し入れがより一層容易となる。
【0040】
また、上記の構成において、荷台屋根部材25及び/またはこれを支持する荷台屋根フレーム24を収納可能に取り付ける構成とすることで、荷物の出し入れの邪魔にならないよう荷台屋根部材25を収納できるばかりではなく、陽射しや雨が強い場合は迅速に荷台屋根部材25を取り付けることも可能となり、より簡便且つ快適な移動用カートを提供できる。
【0041】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0042】
上記の例では、サイドカバー26は、側方垂幕27に対して着脱自在に取り付けられることで、荷台屋根部材25に間接的に取り付けられる構成としたが、荷台屋根部材25に対して直接的に取り付ける構成としても良いし、荷台屋根フレーム24に対して取り付ける構成としても良い。また、ファスナー32に換えて、公知の面ファスナーやボタンなど、反復して着脱動作が行える他の部材を適用することも可能である。また、材質としては、樹脂や布シートなど、可撓性のある材質としたが、木材や樹脂、金属等から構成されるパネル材としても良い。ただし、上記構成のように、可撓性を有する構成とすれば、折り畳んでコンパクトに収納することができるため、好適である。
【0043】
また、上記の例では、荷台屋根部材25に取り付けられた側方垂幕27と、この側方垂幕27に着脱自在に備えられたサイドカバー26をさらに具備する構成としたが、これに換えて、荷台屋根部材25に着脱可能に取り付けられ、荷台設備9側方の全面を覆うサイドカバー26のみを備える構成としても良い。ただし、上記の構成のように、側方垂幕27及びサイドカバー26の双方を具備する構成とすることで、サイドカバー26を取り外した状態においても、荷台設備9側方における防水効果が期待できるため、より好適である。
【0044】
また、上記の例では、荷台屋根は、荷台屋根フレーム24と荷台屋根部材25とが別体であるものを例示したが、この構成に限定されるものではなく、一体的に構成されたものであっても良い。また、荷台屋根フレーム25が本体屋根に対して収納可能である構成を例示したが、荷台屋根フレーム24及び荷台屋根部材25が同時に(一体的に)本体屋根に収納される構成としても良い。さらに、荷台屋根を収納させる場所として、ルーフフレーム14の後端部下面を例示したが、ルーフフレーム14と屋根部材8との間であっても良く、屋根部材8の上面であっても良く、また、ルーフフレーム14の内部に収納スペースを設ける構成としても良い。要するに、本体屋根に対して荷台屋根を収納する構成であれば、如何なるものであっても良い。
【0045】
また、上記の例では、本体屋根に荷台屋根を収納させる構成として、摺動機構Sを用いるものを例示したが、この構成に限定されるものではなく、荷台屋根フレーム24(または/及び荷台屋根部材25)を折畳んで本体屋根側に収納させる構成としても良いし、本体屋根から荷台屋根を取り外し、本体屋根に金具などで固定して保管しておく構成としても良い。さらに、荷台屋根を本体屋根から完全に取り外す構成としても良い。但し、本例のように、本体屋根に収納可能に取り付ける構成とすると、簡単に且つ迅速に荷台屋根を取り付けることができるため、より好適である。
【0046】
また、上記の例では、荷台屋根フレーム24はルーフフレーム14に対して収納可能な構成としてが、この構成に限定されるものではなく、ルーフフレーム14及び荷台屋根フレーム24とを一体物として形成しても良い。また、別体にて形成し、互いに溶接などで接合し、固定させる構成としても良い。このように、ルーフフレーム14及び荷台屋根フレーム24とを別体にて形成し、ルーフフレーム14に対して荷台屋根フレーム24を後付けにて接合する構成とすれば、荷台屋根部材25を備えていない既存のカートの荷台に荷台屋根部材25を取り付ける場合であっても、既設の屋根部材8やルーフフレーム14などを取り替えるような大掛かりなリニューアルを必要とせず、比較的簡単な構成を用いて荷台屋根部材25を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の移動用カートを示す斜視図である。
【図2】荷台屋根フレームの収納構造を示す模式図である。
【図3】側方垂幕と後方垂幕との間のスリットを示す、図1のC矢視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 カート(移動用カート)
6 搭乗設備
8 屋根部材(本体屋根)
9 荷台設備
14 ルーフフレーム(本体屋根)
24 荷台屋根フレーム(荷台屋根)
25 荷台屋根部材(荷台屋根)
26 サイドカバー
27 側方垂幕
28 後方垂幕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が搭乗するための搭乗設備と、
該搭乗設備の上方を覆う本体屋根と、
前記搭乗設備の後方に備えられ、荷物を搭載するための荷台設備と、
前記本体屋根の下方に備えられ、前記本体屋根の後端部分に重ねられるようにして配置されている重複部を有し、前記荷台設備の上方を後下がりに傾斜した状態で覆う荷台屋根と
を具備することを特徴とする移動用カート。
【請求項2】
前記荷台屋根から垂設され、前記荷台設備の側方の少なくとも上部を覆う側方垂幕と、
前記荷台屋根から垂設され、前記側方垂幕との間にスリットを介して配置されて、前記荷台設備の後方の少なくとも上部を覆う後方垂幕と
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の移動用カート。
【請求項3】
前記荷台屋根に着脱自在に設けられ、前記荷台設備の側方の全面を覆うサイドカバーをさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項2の少なくともいずれか一つに記載の移動用カート。
【請求項4】
前記荷台屋根は、前記本体屋根に収納可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の少なくともいずれか一つに記載の移動用カート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−199226(P2006−199226A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15401(P2005−15401)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(500316630)株式会社ゼロスポーツ (4)
【Fターム(参考)】