説明

移動端末のライセンス認証システム及びライセンス認証方法

【課題】ライセンス条件に基づくアプリケーションの実行管理を行いつつ、通信の不通等に際してもその利便性を維持することのできる移動端末のライセンス認証システム及びライセンス認証方法を提供する。
【解決手段】ライセンス認証システムは、車載端末10に搭載される配信アプリケーション153の実行が、外部に設けられている認証センタ20との通信により付与されるライセンスキー100に基づいて管理される。車載端末10は、認証センタ20から予め付与される暫定ライセンスキー101を保持する記憶モジュール12を有し、ライセンスキー100が有効ではないとき、記憶モジュール12に保持された暫定ライセンスキー101の有効性の判定を行い、暫定ライセンスキー101が有効であるとの判定に基づいて配信アプリケーション153の実行が許可される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載されるなどして移動する移動端末でのアプリケーションの実行をライセンス認証により管理する移動端末のライセンス認証システム及び、ライセンス認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、車載機器や携帯電話などのいわゆる移動端末にあっては、そこに搭載されたアプリケーションの実行が、当該アプリケーションの実行権限を示すものとしてアプリケーションに付属して配布されるライセンスキーの有効性の判定、すなわちライセンスの認証に基づいて管理されている。このようなライセンス認証によれば、例えば課金性のアプリケーションを、料金が支払われることによって発行されるライセンスキーの登録に基づいて実行可能とするというような管理が実現されるようになる。
【0003】
そして従来、このようなライセンス認証システムの一例として特許文献1に記載されている技術が知られている。この特許文献1に記載のライセンス認証システムでは、アプリケーション(学習コンテンツ)を提供するコンテンツサーバと、アプリケーションのライセンスキーを作成して配布するライセンスサーバと、アプリケーションを利用するユーザの端末手段とがインターネットを介して相互接続されている。そして、ユーザの端末手段は、アプリケーションの利用に先立ち、インターネットを介してライセンスサーバからライセンスキーを受け取ることによって、該ライセンスキーの登録に基づくアプリケーションの利用が可能となる。すなわち、たとえダウンロードや複製の可能なアプリケーションであっても、料金を支払うなどしてライセンスサーバからライセンスキーの配布を受けない限り、その利用ができないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−92188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のライセンス認証システムでは、アプリケーションの実行に先立ってライセンスキーの配布が必要とされるため、アプリケーションを実行しようとするときにライセンスサーバとの通信ができない端末手段は、ライセンスキーを受け取ることができず、ひいてはアプリケーションを実行することすらできなくなる。そして、このような通信の不通は、とりわけ、通信に無線通信を用いるとともに、車両等の移動体に搭載されたり、あるいはユーザに持ち歩かれたりして利用環境が変化する上述の移動端末にとっては、多かれ少なかれ発生する避けられない現象でもある。しかしながら、ライセンスサーバ等では有効なライセンスキーの発行が可能であるにもかかわらず、移動端末では通信が不通であるばかりにその有効なライセンスキーを取得することができないとなると、例えば実行しようとしているアプリケーションが目的地の案内等に用いられるものであった場合、その利便性も著しく損なわれることとなる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ライセンス条件に基づくアプリケーションの実行管理を行いつつ、通信の不通等に際してもその利便性を維持することのできる移動端末のライセンス認証システム及びライセンス認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果を記載する。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、移動端末に搭載されるアプリケーションの実行が、外部に設けられているセンタとの通信により付与されるライセンスキーに基づいて管理される移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記移動端末は、前記センタから予め付与される暫定ライセンスキーを保持する保持部を有し、前記ライセンスキーが有効ではないとき、前記保持部に保持された前記暫定ライセンスキーの有効性の判定を行い、前記暫定ライセンスキーが有効であるとの判定に基づいて前記アプリケーションの実行が許可されることを要旨とする。
【0008】
このような構成によれば、ライセンスキーが有効でないような場合、アプリケーションを暫定ライセンスキーに基づいて実行させることができる。これにより、移動端末とセンタとの間の通信が不通であることなどから有効なライセンスキーの取得ができないような場合であれ、移動端末においてアプリケーションを利用することができるようになるため、アプリケーションの利便性の向上が図られるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記移動端末と前記センタとの間の通信は、無線通信により行われることを要旨とする。
【0010】
このような構成によれば、トンネル、地下、又は山間部など周辺環境により通信が不通になった無線通信により移動端末が有効なライセンスキーを取得できないような場合であれ、移動端末におけるアプリケーションの利用が可能となるため、アプリケーションの利用にかかるユーザの利便性の向上が図られるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記暫定ライセンスキーの有効性の判定は、前記センタとの通信が途絶えているときに行われる事を要旨とする。
【0012】
このような構成によれば、ライセンスキーが有効ではないとともに、センタとの通信が途絶えている場合に、暫定ライセンスキーに基づいてアプリケーションの実行を可能とすることから、暫定ライセンスキーの使用がより適正になされるようになる。例えば、センタと通信が可能な場合、ライセンスキーは最新の情報に基づいて有効か否かが管理されるので、暫定ライセンスキーによるアプリケーションの実行は不必要であることから、そのような場合に暫定ライセンスキーが用いられることを防ぐことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記暫定ライセンスキーは、前記通信が正常であるときに前記センタから付与されるライセンスキーに併せ付与されることを要旨とする。
【0014】
このような構成によれば、暫定ライセンスキーがライセンスキーと同時に移動端末に取得されるので、暫定ライセンスキーの配信の手間が少なくて済む。また、暫定ライセンスキーをライセンスキーの配信状態などに併せて管理することでその管理も容易になる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記暫定ライセンスキーに基づいて実行が許可されるアプリケーションは、所定の制限の下で実行されることを要旨とする。
【0016】
この構成によるように、暫定ライセンスキーに基づいて実行されるアプリケーションに制限を設けることで、暫定ライセンスキーならではの適正な利用を図ることができるよう
になる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記アプリケーションは、前記暫定ライセンスキーのライセンス内容に応じて前記制限される機能が可変に構成されていることを要旨とする。
【0018】
このような構成によれば、アプリケーションの機能が制限されることから、アプリケーションが暫定ライセンスキーにより実行されていることをユーザなどに認識させることができるとともに、暫定ライセンスキーの適正な使用を図ることができるようになる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記暫定ライセンスキーによる制限が前記アプリケーションの実行回数であることを要旨とする。
【0020】
このような構成によれば、アプリケーションの実行回数が制限されることから、アプリケーションの利便性を維持しつつ、暫定ライセンスキーの適正な使用を図ることができるようになる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記暫定ライセンスキーが有効であるとの判定は、一つの暫定ライセンスキーにつき一度だけ行われることを要旨とする。
【0022】
このような構成によれば、有効であると判定されてアプリケーションを実行させた暫定ライセンスキーは、消去されたり、変更されたりして、再利用ができないようになる。これによっても、暫定ライセンスキーならではの適正な利用を図ることができるようになる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記移動端末は、別途に付与される認証コードが入力される入力部をさらに備え、前記暫定ライセンスキーの有効性の判定を、前記入力される認証コードとの照合に基づいて行うことを要旨とする。
【0024】
このような構成によれば、認証コードに基づいて暫定ライセンスキーの有効性が判断されるようになるので、暫定ライセンスキーに基づくアプリケーションの実行がより適正になされるようになる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記認証コードは、前記センタとの間で通信可能な携帯端末に対して付与されるものであり、前記入力部には、前記携帯端末に付与された認証コードが入力されることを要旨とする。
【0026】
このような構成によれば、携帯端末に暫定ライセンスキーの有効性の判定に必要とされる認証コードが保持されているので、暫定ライセンスキーを用いなければならなくなった際における認証コードの利用を容易にする。これにより、ユーザの利便性も向上される。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記認証コードは、前記センタから文字情報として発行されるとともに、前記入力部には文字入力の可能な文字入力装置が設けられており、前記認証コードは、前記文字入力装置を介した文字情報として入力されることを要旨とする。
【0028】
このような構成によれば、認証コードが文字情報として発行されるので、その管理が容易となり、暫定ライセンスキーの有効性の判定に必要とされる際にはその認証コードを容易に提供できる。これによっても、ユーザの利便性が向上される。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記アプリケーションには、前記暫定ライセンスキーを含めた1つのライセンスキーにつき1乃至複数のアカウントが登録可能となっていることを要旨とする。
【0030】
このような構成によれば、アプリケーションの実行、例えば機能の提供をアカウントに応じても制御することができるようになるため、複数のユーザが利用するようなアプリケーションであれ、アカウントに基づいてそれぞれのユーザに適した機能の提供などが行えるようになる。これにより、このようなライセンス認証システムの利用価値が一層高められるようになる。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記1乃至複数のアカウントには、それらアカウントの別に機能的な制限が付与されているとともに、前記移動端末は、前記センタとの通信のもとにそれらアカウントの別に付与されている制限情報を保持する記憶部を有しており、あるアカウントに対する前記アプリケーションの実行の許可に際しては、当該アカウントの情報と前記記憶部に保持されている制限情報との照合に基づいて前記アプリケーションにより提供される機能を決定することを要旨とする。
【0032】
このような構成によれば、アカウントによる提供機能の制限とともに、アカウントに対する制限である制限情報により、アプリケーションの実行により提供する機能をアカウント毎に分けて管理することができるため、アプリケーションにより提供する機能を好適に管理することができるようになる。
【0033】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記制限情報にはアカウント別の有効期間情報もしくは有効回数情報が含まれるとともに、前記移動端末は、前記アプリケーションが実行される都度、同アプリケーションを実行させたアカウントの利用状況を前記記憶部に記憶するものであり、前記制限情報に基づきアカウントの有効期間もしくは有効回数が超過したと判断されるとき、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行履歴があることを条件に、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行を許可することを要旨とする。
【0034】
このような構成によれば、アカウントが無効になったとしても、そのアカウントによりアプリケーションが前回実行された際の制限と同様の制限によりアプリケーションが実行されるようになるため、ユーザの利便性が高められるようになる。また例えば、アカウントにユーザIDが対応付けられているような場合、当該ユーザIDに基づいて前回実行されたアプリケーションのアカウントを取得するような構成とすることもできる。
【0035】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記移動端末は、前記有効期間もしくは有効回数が超過したと判断されるアカウントについては、前記実行を許可するアプリケーションの機能制限を最大レベルに引き上げることを要旨とする。
【0036】
このような構成によれば、アカウントが無効になったとしても、アプリケーションから最低限の機能は提供されるようになるため、これによってもユーザの利便性が高められるようになる。
【0037】
請求項16に記載の発明は、請求項13〜15のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記記憶部に保持されているアカウントの取得が、前記センタとの通信が途絶えているときに行われることを要旨とする。
【0038】
このような構成によれば、アカウントが無効であるとともに、通信が途絶えているために、それを更新することも難しいようなときであれ、アプリケーションを適切なアカウントにより実行することができるようになり、アプリケーションの実行管理、及びユーザの利便性の向上が図られるようになる。
【0039】
請求項17に記載の発明は、請求項12〜16のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記移動端末は、前記アカウントの識別コード及びパスワードが入力される入力部をさらに備え、前記アカウントの有効性の判定を、前記入力される識別コード及びパスワードとの照合に基づいて行うことを要旨とする。
【0040】
このような構成によれば、アカウントが無効であるときであれ、無効とされたアカウントの識別コードによりユーザなどを識別して、その識別されたユーザなどに対して適切なアカウントによりアプリケーションが実行できるようになり、アプリケーションの実行管理、及びユーザの利便性の向上が図られるようになる。
【0041】
請求項18に記載の発明は、請求項1〜17のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システムにおいて、前記移動端末は、車両に搭載された車載情報端末であることを要旨とする。
【0042】
このような構成によれば、移動速度が速く、特に無線通信であればその通信環境が大きく変化するおそれの高い車両にあっても、例えば、ナビゲーションシステム等の車載情報端末は、ライセンスキーが有効ではないアプリケーションを暫定ライセンスキーにより実行させて、当該アプリケーションの利便性を維持することができるようになる。
【0043】
上記課題を解決するため、請求項19に記載の発明は、移動端末に搭載されたアプリケーションの実行を、外部に設けられているセンタとの通信により付与されるライセンスキーに基づいて管理する移動端末のライセンス認証方法において、前記移動端末に前記センタから予め付与された暫定ライセンスキーを保持する工程と、前記ライセンスキーが有効ではないとき、前記保持された暫定ライセンスキーの有効性の判定を行う工程と、前記暫定ライセンスキーが有効であるとの判定に基づいて前記アプリケーションを実行を許可する工程とを備えることを要旨とする。
【0044】
このような方法によれば、センタとの通信が不通で有効なライセンスキーが取得できない場合であれ、アプリケーションを暫定ライセンスキーに基づいて実行させることができる。これにより、有効なライセンスキーの取得が、移動端末とセンタとの間の通信の状態により不可能な場合であれ、移動端末においてアプリケーションを利用することができるようになるため、アプリケーションの利便性の向上が図られるようになる。
【0045】
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の移動端末のライセンス認証方法において、前記移動端末と前記センタとの間の通信を無線通信により行うことを要旨とする。
このような方法によれば、トンネルや、地下や、山間部など周辺環境により通信が不安定になった無線通信により移動端末が有効なライセンスキーを取得できないような場合であれ、移動端末におけるアプリケーション利用が可能となるため、アプリケーションの利便性の向上が図られるようになる。
【0046】
請求項21に記載の発明は、請求項19又は20に記載の移動端末のライセンス認証方法において、前記暫定ライセンスキーの有効性の判定を行う工程は、前記センタとの通信が途絶えていることを条件に行なわれることを要旨とする。
【0047】
このような方法によれば、ライセンスキーが有効ではないとともに、センタとの通信が途絶えている場合に、暫定ライセンスキーに基づいてアプリケーションの実行を可能とすることから、暫定ライセンスキーの使用がより適正になされるようになる。例えば、センタと通信が可能な場合、ライセンスキーは最新の情報に基づいて有効か否かが管理されるので、暫定ライセンスキーによるアプリケーションの実行は不必要なことから、そのような場合に暫定ライセンスキーが用いられることを防ぐことができる。
【0048】
請求項22に記載の発明は、請求項19〜21のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証方法において、前記アプリケーションには、前記暫定ライセンスキーを含めた1つのライセンスキーにつき1乃至複数のアカウントを登録可能とすることを要旨とする。
【0049】
このような方法によれば、アプリケーションの実行、例えば機能の提供をアカウントに応じても制御することができるようになるため、複数のユーザが利用するようなアプリケーションであれ、アカウントに基づいてそれぞれのユーザに適した機能の提供などが行えるようになる。これにより、このようなライセンス認証方法の利用価値が一層高められるようになる。
【0050】
請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の移動端末のライセンス認証方法において、前記1乃至複数のアカウントには、それらアカウントの別に機能的な制限を付与しておくとともに、前記移動端末は、前記センタとの通信のもとにそれらアカウントの別に付与されている制限情報を記憶部に保持させ、あるアカウントに対する前記アプリケーションの実行の許可に際し、当該アカウントの情報と前記記憶部に保持されている制限情報とを照合することに基づいて前記アプリケーションにより提供される機能を決定することを要旨とする。
【0051】
このような方法によれば、アカウントによる提供機能の制限とともに、アカウントに対する制限である制限情報により、アプリケーションの実行により提供する機能をアカウント毎に分けて管理することができるため、アプリケーションにより提供する機能を好適に管理することができるようになる。
【0052】
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の移動端末のライセンス認証方法において、前記制限情報にはアカウント別の有効期間情報もしくは有効回数情報を含ませるとともに、前記移動端末は、前記アプリケーションが実行される都度、同アプリケーションを実行させたアカウントの利用状況を前記記憶部に記憶させるようにし、前記制限情報に基づきアカウントの有効期間もしくは有効回数が超過したと判断したとき、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行履歴があることを条件に、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行を許可することを要旨とする。
【0053】
このような方法によれば、アカウントが無効になったとしても、そのアカウントによりアプリケーションが前回実行された際の制限と同様の制限によりアプリケーションが実行されるようになるため、ユーザの利便性が高められるようになる。また例えば、アカウントにユーザIDが対応付けられているような場合、当該ユーザIDに基づいて前回実行されたアプリケーションのアカウントを取得するような構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る移動端末のライセンス認証システムを具体化した第1の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。
【図2】同移動端末について、暫定ライセンスに基づいてアプリケーションを実行させる処理などを含む認証処理について、その処理工程を示すフローチャート。
【図3】本発明に係る移動端末のライセンス認証システムを具体化した第2の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。
【図4】同移動端末について、暫定ライセンスに基づいてアプリケーションを実行させる処理などを含む認証処理について、その処理工程を示すフローチャート。
【図5】同移動端末について、アカウント情報に基づいてアプリケーションが提供する機能を定める処理などを含む処理について、その処理工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(第1の実施形態)
本発明にかかる移動端末のライセンス認証システムを具体化した第1の実施形態について、図1及び図2に従って説明する。
【0056】
まず、本実施形態のライセンス認証システムの概要について説明する。
ライセンス認証システムには、車両10Aに搭載される移動端末としての車載端末10と、車載端末10との間で無線通信が可能な認証センタ20とが設けられている。車載端末10には、実行に際してライセンスの認証が必要とされる配信アプリケーション153が搭載されている。
【0057】
認証センタ20は、アプリケーションの購入などに基づいてユーザに与えられた同アプリケーションに対する実行権限に応じて、当該アプリケーションのライセンスの認証に必要とされるライセンスキー100を発行するとともに、当該発行したライセンスキー100をユーザの所有する車載端末10などに配信する。これにより車載端末10では、実行したい配信アプリケーション153に対して、認証センタ20により発行されたライセンスキー100に基づいてのライセンスの認証を行い、そのライセンスが認証されることに応じて当該配信アプリケーション153の実行を許可するようになっている。
【0058】
また本実施形態では、ライセンス認証システムには、車載端末10及び認証センタ20とのそれぞれの間で相互に情報を通信することが可能な携帯端末としての携帯電話30と、認証センタ20から発行される認証コードカード31とが含まれている。なおこれに限らず、ライセンス認証システムには、携帯電話30及び認証コードカード31の少なくとも一方が含まれていればよい。
【0059】
次に、本実施形態のライセンス認証システムの構成について説明する。
認証センタ20は、車両10Aに対してその外部に設けられている。認証センタ20には、無線通信により各種データを車両10Aに伝送することのできる図示しない無線通信装置、又はそのような無線通信装置に接続される図示しない通信装置が設けられている。また、認証センタ20は、車載端末10に搭載されているとともに、ライセンスにより実行権限などが管理される配信アプリケーション153に対して、そのライセンスの認証に用いられるライセンスキー100を生成して、それを管理及び配布する。そのため、認証センタ20には、配信アプリケーション153の実行権限を含むライセンスキー100を作成するとともに、当該ライセンスキー100を維持管理し、各車載端末10に付与(配布)するライセンスキー管理部21が設けられている。また、認証センタ20には、所定の条件下でライセンスキー100に代わりライセンスの認証に使用できる暫定ライセンスキー101と、当該暫定ライセンスキー101の使用に際して権利確認のための照合に用いられる認証コード102とを併せ生成するとともに、維持管理及び配布する暫定ライセンスキー管理部22が設けられている。
【0060】
ライセンスキー管理部21は、配信アプリケーション153を購入することなどに伴いユーザに付与されるライセンスに基づいて、該配信アプリケーション153の車載端末10における実行を許可させるライセンスキー100を生成する。ライセンスキー100は、対応する配信アプリケーション153の識別番号とともに、ユーザにライセンスされた内容としてライセンスの有効期間やライセンスの有効回数などの情報を含む符号として所定のアルゴリズムに基づいて作成される。
【0061】
暫定ライセンスキー管理部22は、所定の条件下で配信アプリケーション153のライセンスの認証に用いられる暫定ライセンスキー101と、該暫定ライセンスキー101に対応する認証コード102を生成する。所定の条件としては、例えば、車載端末10において、ライセンスキー100が有効ではなくなったときにあって、一時的な理由によりそのライセンスキー100を更新できなくなることにより対応するアプリケーションを実行できなくなるような場合が想定されている。このような状況は、ライセンスキー100の更新に無線通信を用いるようにしている車載端末10にあっては、該車載端末10が無線通信のできないような環境下にある場合に発生する。またこのような状況は、ライセンスキー100の更新に無線通信を用いる場合には多かれ少なかれ発生し、その発生を避けることが難しいものである。
【0062】
暫定ライセンスキー101は、対応する配信アプリケーション153の識別番号とともに、暫定ライセンスキー101に与えられる制限内容などの情報を含む符号として所定のアルゴリズムにより生成される。制限内容には、例えば、制限された配信アプリケーション153の実行可能な回数である実行回数や、配信アプリケーション153の制限される機能などの制限が1つもしくは複数含まれる。また、暫定ライセンスキー101には、アプリケーションの識別番号など以外にも、ライセンスキー100に含まれる他の情報が一つ、もしくは複数含まれていてもよい。なお、本実施形態では、暫定ライセンスキー101は、文字情報として表示することが可能な符号として生成される。
【0063】
認証コード102は、併せ生成された暫定ライセンスキー101に対応していることを所定の照合処理で判定できるように生成されるコードであり、暫定ライセンスキー管理部22において暫定ライセンスキー101の生成に伴って、該暫定ライセンスキー101に所定の関連性を有するコードとして所定のアルゴリズムに基づき生成される。所定の関連性とは、例えば、認証コード102は、暫定ライセンスキー101との組み合わせで予め定められている所定のキーを生成させるような関連性などが含まれるが、本実施形態では、文字情報として表示できる符号として生成された暫定ライセンスキー101と同じ文字情報として表示することができる符号として生成される。これにより、暫定ライセンスキー101の使用に際して、暫定ライセンスキー101を構成する文字情報からなる符号と認証コード102を構成する文字情報からなる符号とが一致するか否かを照合することにより、照合された認証コード102が照合した暫定ライセンスキー101に対応するか否かが判定できる。
【0064】
暫定ライセンスキー管理部22は、作成した暫定ライセンスキー101を対応する配信アプリケーション153のライセンスキー100に含ませるべく、ライセンスキー管理部21に伝達する。またライセンスキー管理部21は、暫定ライセンスキー管理部22から受け取った暫定ライセンスキー101を、それが対応する配信アプリケーション153のライセンスキー100に含ませる。すなわち、認証センタ20では、配信アプリケーション153に対して暫定ライセンスキー101を含むライセンスキー100が作成される。
【0065】
携帯電話30は、配信アプリケーション153のライセンスを有するユーザにより所有されているものであり、無線通信もしくは接続ケーブル等を用いた有線通信などで認証セ
ンタ20との間でデータ通信が可能となっている。携帯電話30は、認証センタ20との間のデータ通信により暫定ライセンスキー管理部22から認証コード102を配布(付与)される。また、携帯電話30は、配布された認証コード102を内部メモリーなどの記憶媒体に認証コード文字情報32として一時的に保持する。
【0066】
認証コードカード31は、認証センタ20から配信アプリケーション153のライセンスを所有するユーザに対して発行されるカードであり、暫定ライセンスキー管理部22により作成された認証コード102が紙などの記録媒体に認証コード文字情報32として記載されている。
【0067】
車載端末10は、例えば車載情報端末としてのナビゲーションシステムである。すなわちこの車載端末10は、図示しない全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)等を利用して車両10Aの現在位置を検出する。そして、検出された現在位置に基づいて予め記憶された地図情報を参照することにより、運転者に走行目的地までの車両10Aの走行経路等の案内を行う。また、車載端末10には、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、メモリ(不揮発性メモリを含む記憶装置)等を有するマイクロコンピュータ(図示略)が設けられている。すなわち、このマイクロコンピュータを用いてナビゲーションシステムにかかる各種の情報処理が行われる。
【0068】
車載端末10には、ナビゲーションシステムに必要とされる様々な機能を、それら機能に対応する各アプリケーションソフトウェア150のマイクロコンピュータにおける実行を通じて提供させるようにするアプリケーション実行モジュール15が設けられている。
【0069】
そして、マイクロコンピュータの記憶装置などに記憶された各アプリケーションソフトウェア150には、ナビゲーションシステムに必須であるため車載端末10に当初から搭載されている基本アプリケーション151や、同様に当初から搭載されておりナビゲーションシステムに付属機能を提供する複数の付属アプリケーション152が含まれる。また本実施形態では、各アプリケーションソフトウェア150には、車載端末10に当初からは搭載されていない配信アプリケーション153が複数含まれる。すなわち配信アプリケーション153は、配信センタ(図示略)などからユーザが必要に応じて選択して配信を受けることで車載端末10に追加搭載させることのできるアプリケーションである。各配信アプリケーション153は、無線通信を介して当該配信アプリケーション153を保持している配信センタから配信されたり、有線通信を介して配信アプリケーション153を保持する機器から付与(配信)されたりすることにより車載端末10に搭載される。
【0070】
このような配信アプリケーション153は、その配布の自由度が高く利用者の利用権限を管理する必要性が高いため、それに対応するライセンスキー100によりその実行権限が管理されるようになっている。このため、アプリケーション実行モジュール15は、配信アプリケーション153の実行に先立って同配信アプリケーション153に対応するライセンスキー100が有効であることを確認、すなわちライセンスの認証を受けるようにする。すなわちアプリケーション実行モジュール15は、ライセンスの認証が受けられた場合、配信アプリケーション153の実行権限があると判断して同配信アプリケーション153を実行させる。一方、アプリケーション実行モジュール15は、ライセンスの認証が受けられない場合、配信アプリケーション153の実行権限がないと判断して同配信アプリケーション153を実行させないようにする。そのうえ、アプリケーション実行モジュール15は、制限付きのライセンスの認証を受けた場合、配信アプリケーション153の実行権限に当該制限(条件)があると判断して同配信アプリケーション153を該制限の下で実行させるようにする。これにより配信アプリケーション153は、その機能の一
部の利用が制限されたりする。なおこのような場合、配信アプリケーション153には予め機能制限に必要な機能が設けられているため、同配信アプリケーション153に対応するライセンスキー100には、同配信アプリケーション153に設けられた機能を制限する機能を用いるような設定がなされる。また、このような機能を制限する機能は、ライセンスによる制限に応じて可変とされるように制限の種類が複数設けられていてもよい。他方、実行回数が制限されるような場合、アプリケーション実行モジュール15は、ライセンスが認証されたか否かに応じて配信アプリケーション153を実行させるか否かを定めるのみであることから、配信アプリケーション153そのものに実行回数制限のための機能が無くてもよい。
【0071】
車載端末10には、アプリケーション実行モジュール15にユーザの操作情報などを入力させる操作ボタン161と、タッチパネル162とが設けられているとともに、アプリケーション実行モジュール15から出力される文字情報や画像情報を画面に表示する表示画面171と、音声情報を音として出力するスピーカ172とが設けられている。これにより、アプリケーション実行モジュール15は、各アプリケーションソフトウェア150に入力させるユーザからの操作を操作ボタン161やタッチパネル162を介して入力させるようにする。一方アプリケーション実行モジュール15は、各アプリケーションソフトウェア150から出力される文字や画像を表示画面171を介して、音声をスピーカ172を介してそれぞれユーザに対して出力することができる。
【0072】
また、車載端末10には、ライセンスキーに基づいてライセンスの認証を行うライセンス管理モジュール11と、ライセンスキー100を保持する保持部としての記憶モジュール12が設けられている。さらに、車載端末10には、認証センタ20との間で無線通信することができる無線通信モジュール13と、ライセンス管理モジュール11に認証コード102を入力させる入力部としての認証コード入力モジュール14とが設けられている。
【0073】
記憶モジュール12は、各種データを記録することのできる公知の記録装置を含み構成された装置であるとともに、ライセンス管理モジュール11による読み込み及び書き込みが可能になっている。これにより記憶モジュール12は、ライセンス管理モジュール11から受けたライセンスキー100を保持したり、保持しているライセンスキー100をライセンス管理モジュール11に伝達したりする。
【0074】
認証コード入力モジュール14は、携帯電話30や認証コードカード31に保持されている認証コード102を取得してライセンス管理モジュール11に入力させるものである。認証コード入力モジュール14は、文字入力装置を有し、この文字入力装置から入力される認証コード文字情報32を取得する。なお、認証コード入力モジュール14に短距離無線装置を設けて、認証コード入力モジュール14が短距離無線装置を用いて短距離無線装置を有する機器に保持されている認証コード102を自動検索して、検索された認証コード102を自動的に取得するようにしてもよい。
【0075】
ライセンス管理モジュール11は、アプリケーション実行モジュール15と、記憶モジュール12と、無線通信モジュール13とにそれぞれ相互通信可能に接続されるとともに、認証コード入力モジュール14に入力された認証コード102が入力されるように同認証コード入力モジュール14に接続されている。
【0076】
ライセンス管理モジュール11は、アプリケーション実行モジュール15からの要求に応じて同アプリケーション実行モジュール15により指定された配信アプリケーション153に対するライセンスを認証する処理を行う。すなわち、ライセンス管理モジュール11は、アプリケーション実行モジュール15から配信アプリケーション153の実行に先
立ち当該配信アプリケーション153に対するライセンスの認証を要求されると、同配信アプリケーション153に対応するライセンスキー100に基づいて該配信アプリケーション153のライセンスの認証を行う。そしてライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100が有効であると判定される場合、ライセンスが認証される旨を、ライセンスキー100が有効ではないと判定される場合、ライセンスが認証されない旨をそれぞれ、アプリケーション実行モジュール15に伝達する。例えば、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100に含まれる有効期間122を参照して、現在の日時が当該有効期間122内であるか否かを判定する。そして、現在の日時が有効期間122内にあるときにはライセンスキーが有効であると判定しライセンスを認証する一方、現在の日時が有効期間122内にないときにはライセンスキーは有効ではないと判定してライセンスを認証しない。また例えば、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100に含まれる有効回数123を参照して、今回の実行が有効回数以下か否かを判定する。そして、今回の実行が有効回数123以下であるときにはライセンスキーは有効であると判定しライセンスを認証する一方、今回の実行が有効回数123を超えるときにはライセンスキーは有効ではないと判定してライセンスを認証しない。なお、配信アプリケーション153に対応するライセンスキー100がないときにはライセンスキー100が有効ではないと判定しライセンスを認証しない。
【0077】
ライセンス管理モジュール11は、認証センタ20から受け取ったライセンスキー100を保存するようになっている。すなわち、ライセンス管理モジュール11は、認証センタ20から無線通信モジュール13に伝送されたライセンスキー100を受け取るとともに、受け取ったライセンスキー100を記憶モジュール12に保存させる。
【0078】
ライセンス管理モジュール11は、認証センタ20に、ライセンスキー100の更新を要求するようになっている。すなわち、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100が有効ではない場合、認証センタ20にライセンスキー100の更新を要求する。また、ライセンスの認証を要求された配信アプリケーション153に対応するライセンスキー100が記憶モジュール12に記憶されていない場合、認証センタ20に当該配信アプリケーション153に対するライセンスキー100の発行を要求する。そして、ライセンス管理モジュール11は、当該配信アプリケーション153に対する有効なライセンスキー100を受け取るか、又はライセンスキー100が発行できない旨を受け取る。通常、認証センタ20は、配信アプリケーション153の発行が要求されてもその配信アプリケーション153に対する利用権限がある旨が設定されていない場合、ライセンスキー100を発行しない。
【0079】
また、ライセンス管理モジュール11は、所定の条件において、暫定ライセンスキー101に基づくライセンスの認証を試みる。所定の条件とは、まず、ライセンス管理モジュール11が配信アプリケーション153のライセンスの認証を要求された場合である。それに加えて、記憶モジュール12のライセンスキー100が有効ではないとともに、無線通信が不通である(途絶えている)ために認証センタ20にライセンスキー100を更新する要求もできない、かつ、有効ではなかったライセンスキー100に暫定ライセンスキー101が含まれているような条件である。すなわち、ライセンス管理モジュール11は、携帯電話30や認証コードカード31に認証コード文字情報32として記憶されている認証コード102を認証コード入力モジュール14を介して受け取るとともに、当該認証コード102を有効ではなかったライセンスキー100に含まれている暫定ライセンスキー101と照合する。本実施形態では、暫定ライセンスキー101は文字情報であり、その暫定ライセンスキー101に対応する認証コード102も同暫定ライセンスキー101と同じ文字情報であることから、照合により、暫定ライセンスキー101と認証コード102とが同一であるか否かが判定される。そして、暫定ライセンスキー101と認証コード102とが同一であると判定されると、暫定ライセンスキー101が有効であると判定
して暫定ライセンスキー101に基づくライセンスが認証される。一方、暫定ライセンスキー101と認証コード102とが同一ではないと判定されると、暫定ライセンスキー101を有効ではないと判定して暫定ライセンスキー101に基づくライセンスが認証されない。
【0080】
さらに、ライセンス管理モジュール11は、暫定ライセンスキー101に基づくライセンスが認証されたとき、暫定ライセンスキー101に配信アプリケーション153に対する機能制限が設定されていると、制限付きでライセンスを認証するとともに、その機能制限に関する情報をアプリケーション実行モジュール15に伝達する。これにより、アプリケーション実行モジュール15において、配信アプリケーション153が暫定ライセンスキー101に設定される機能制限の下で実行されるようになる。
【0081】
また、ライセンス管理モジュール11は、一つの暫定ライセンスキー101につき当該暫定ライセンスキー101が有効であることを一度だけしか判定しないようになっている。すなわち、ライセンス管理モジュール11は、一旦有効判定した暫定ライセンスキー101を無効処理して再利用できないようにする。無効化処理として、暫定ライセンスキー101をライセンスキー100から消去する処理が行われるが、これに限らず、暫定ライセンスキー101を再利用できないようにできるのであれば、暫定ライセンスキー101の内容を書き換えるなど、内容を修正する処理などでもよい。これにより、暫定ライセンスキー101に基づいてライセンスが認証される一方、その暫定ライセンスキー101は無効化されて一旦ライセンスが認証された後の再利用ができなくなる。なお、暫定ライセンスキー101に含まれている制限事項が実行回数制限である場合、ライセンス管理モジュール11は、暫定ライセンスキー101に基づくライセンスの認証回数、いわゆる実行を許可した累積回数を管理する。そして、管理している実行回数の累積が暫定ライセンスキー101に含まれている実行回数制限に達した後、当該暫定ライセンスキー101を無効化する。
【0082】
さらに、ライセンス管理モジュール11は、暫定ライセンスキー101が無効化された後、新たな暫定ライセンスキー101を取得するようになっている。すなわち、ライセンス管理モジュール11は無線通信が回復すると、無効化された暫定ライセンスキー101に替わる新たな暫定ライセンスキー101の発行を認証センタ20に要求する。そして、認証センタ20から新たな暫定ライセンスキー101を含むライセンスキー100を受け取り、既存のライセンスキー100に置き換える。このとき、新たな暫定ライセンスキー101の発行に伴いそれに対応する新たな認証コード102を発行することとなる認証センタ20は、新たに発行した認証コード102をユーザの携帯電話30に通知したり、認証コードカード31に記載してユーザに送付したりする。
【0083】
次に、図2を参照して、ライセンス管理モジュール11にて行われるライセンスの認証処理について説明する。
まず、アプリケーション実行モジュール15にて配信アプリケーション153が実行されることに先立って、アプリケーション実行モジュール15は当該配信アプリケーション153のライセンスの認証をライセンス管理モジュール11に要求する。これにより、ライセンス管理モジュール11にて、アプリケーション実行モジュール15により指定された配信アプリケーション153に対するライセンスの認証処理が行われる。
【0084】
図2に示すように、ライセンスの認証処理が開始されると、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスの認証の対象となる配信アプリケーション153に対応するライセンスキー100を記憶モジュール12から検索し、その検索にて見付けられた対応するライセンスキー100が有効であるか否かを判定する(図2のステップS10)。そして、見付けられた対応するライセンスキー100が有効であると判定された場合(図2のステッ
プS10でYES)、ライセンス管理モジュール11は、当該配信アプリケーション153のライセンスを認証する、すなわち配信アプリケーション153の機能制限等のない通常モードでの実行を許可する(図2のステップS11)。これにより、ライセンスが認証された配信アプリケーション153はアプリケーション実行モジュール15にて通常実行されるようになる。
【0085】
一方、対応するライセンスキー100が有効ではないと判定された場合(図2のステップS10でNO)、ライセンス管理モジュール11は、認証センタ20との間の無線通信が利用可能か否かを判断する(図2のステップS12)。認証センタ20との間の無線通信が利用可能であると判断された場合(図2のステップS12でYES)、ライセンス管理モジュール11は、無線通信を介して認証センタ20に当該ライセンスキー100の更新を要求する(図2のステップS13)。そしてその結果を受け、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100が更新されたか否かを判断する(図2のステップS14)。このとき、認証センタ20から更新されたライセンスキー100を受け取った場合(図2のステップS14でYES)、ライセンス管理モジュール11は、ステップS10に戻ってその更新されたライセンスキー100に基づいて、ライセンスキー100の有効性を判定する。他方、認証センタ20からライセンスキー100を更新できない旨を受け取った場合(図2のステップS14でNO)、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100は有効ではないと判定して、ライセンスを認証しない、すなわち配信アプリケーション153を起動不可とする(図2のステップS20)。これにより、ライセンスが認証されない配信アプリケーション153はアプリケーション実行モジュール15にて実行されないようになる。そして、ライセンス管理モジュール11におけるライセンスの認証処理が終了する。
【0086】
その一方、認証センタ20との無線通信が利用できないと判断した場合(図2のステップS12でNO)、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100に暫定ライセンスキー101が含まれているか否かを判断する(図2のステップS15)。そして、暫定ライセンスキー101が含まれていないと判断した場合(図2のステップS15でNO)、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100は有効ではないと判定して、ライセンスを認証せず、配信アプリケーション153を起動不可とする(図2のステップS20)。そして、ライセンス管理モジュール11におけるライセンスの認証処理が終了する。
【0087】
一方、ライセンスキー100に暫定ライセンスキー101が含まれていると判断した場合(図2のステップS15でYES)、ライセンス管理モジュール11は、認証コード入力モジュール14を介して認証コード102を受け付ける(図2のステップS16)。このとき認証コード102を受け付けていることが、表示画面171に表示される文字情報や、スピーカ172から出力される音声情報などによりユーザに通知される。そして、受け付けられた認証コード102と暫定ライセンスキー101との照合を通じて暫定ライセンスキー101の有効性を判定する(図2のステップS17)。ここで暫定ライセンスキー101は有効ではないと判定されると(図2のステップS17でNO)、ライセンス管理モジュール11は、ライセンスキー100は有効ではないと判定して、ライセンスを認証せず、配信アプリケーション153を起動不可とする(図2のステップS20)。これにより、ライセンス管理モジュール11のライセンスを認証処理が終了する。
【0088】
その一方、暫定ライセンスキー101が有効であると判定されると(図2のステップS17でYES)、ライセンス管理モジュール11は、暫定ライセンスキー101を再利用できないように無効化する(図2のステップS18)。さらに、ライセンス管理モジュール11は、暫定ライセンスキー101に基づいて配信アプリケーション153に対するライセンスを認証する、すなわち暫定ライセンスキー101に与えられている制限の下にお
ける緊急モードでの配信アプリケーション153の実行を可能とする(図2のステップS19)。なお、暫定ライセンスキー101の無効化(図2のステップS18)は、ライセンス管理モジュール11によるライセンスの認証処理が終了するまでになされるのであれば、ステップS19の後に行われてもよい。そして、ライセンス管理モジュール11によるライセンスを認証する処理が終了される。
【0089】
以下に、上記のように構成されるライセンス認証システムの作用について述べる。
まず、この車載端末10には、ユーザなどの選択により任意のタイミングで配信アプリケーション153が導入される。また、配信アプリケーション153の導入に伴い、配信アプリケーション153に対応するライセンスキー100が、認証センタ20から配布(付与)されて記憶モジュール12に記憶される。なお、ライセンスキー100は、配信アプリケーション153の導入に併せ配布されてもよいし、導入された配信アプリケーション153の最初の実行の際に配布されるようにしてもよいし、導入された配信アプリケーション153の実行の毎に配布されるようにしてもよい。
【0090】
それから、ユーザの操作により操作ボタン161やタッチパネル162から配信アプリケーション153の実行が指示されると、アプリケーション実行モジュール15は、当該配信アプリケーション153の実行に先立ち、該配信アプリケーション153のライセンスの認証をライセンス管理モジュール11に要求する。そしてライセンスの認証の要求に応じてライセンス管理モジュール11はライセンスキー100に基づいて対象となる配信アプリケーション153のライセンスの認証を行うとともに、ライセンスが認証されたか否かをアプリケーション実行モジュール15に伝達する。そして、アプリケーション実行モジュール15は、ライセンスが認証された場合、配信アプリケーション153を実行させる一方、ライセンスが認証されなかった場合、配信アプリケーション153を実行させない。これにより、配信アプリケーション153の実行がライセンス認証の結果により管理されるようになる。
【0091】
ところで、ライセンス管理モジュール11に配信アプリケーション153のライセンスの認証が要求されたとき、通信状態を原因としてライセンスの認証が上手くできない場合がある。すなわち、記憶モジュール12のライセンスキー100が有効ではなく、トンネル、地下、山間部などの周辺環境により無線通信が不通であるため認証センタ20にライセンスキー100を更新する要求ができない場合である。このときさらに、該有効ではないライセンスキー100に暫定ライセンスキー101が含まれているような場合、ライセンス管理モジュール11は、表示画面171やスピーカ172を介して暫定ライセンスキー101により配信アプリケーション153の実行が可能である旨をユーザ等に伝達する。そしてライセンス管理モジュール11は、予め定められた待機期間などの間、認証コード102が認証コード入力モジュール14を介して入力されることを待つ。なお待機期間に入力がない場合、例えば入力された文字はないものとして扱われる。そして、認証コード102が認証コード入力モジュール14を介して入力されるか待機期間が過ぎると、当該入力された認証コード102を暫定ライセンスキー101との照合することを通じて、認証コード102が暫定ライセンスキー101とともに生成されたものであるか否かを判定する。例えば、本実施形態では、認証コード102としての文字情報と、暫定ライセンスキー101としての文字情報とが一致するか否かが照合される。照合の結果、認証コード102が暫定ライセンスキー101に対応するものであると判断される場合、暫定ライセンスキー101に基づくライセンスの認証がなされて、アプリケーション実行モジュール15にて、配信アプリケーション153が実行されるようになる。一方、照合の結果、認証コード102が暫定ライセンスキー101に対応しないと判断される場合、暫定ライセンスキー101に基づくライセンスの認証がなされず、アプリケーション実行モジュール15において配信アプリケーション153は実行されない。
【0092】
このとき暫定ライセンスキー101に機能制限が設定されている場合、アプリケーション実行モジュール15は、その機能制限の下で配信アプリケーション153を実行させて、車載端末10では制限された機能によるサービスが提供されるようになる。また、暫定ライセンスキー101に実行回数の制限が設定されている場合、予め定められた実行回数を越えるまでは配信アプリケーション153がアプリケーション実行モジュール15で実行されるようになる。なお、暫定ライセンスキー101による機能制限と、実行回数制限は両方が設定されていてもよい。
【0093】
以上説明したように、本実施形態の移動端末のライセンス認証システムによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)ライセンスキー100が有効でないような場合、配信アプリケーション153を暫定ライセンスキー101に基づいて実行させることができるようにした。これにより、車載端末10と認証センタ20との間の通信が不通であることなどから有効なライセンスキー100の取得ができないような場合であれ、車載端末10において配信アプリケーション153を利用することができるようになる。このため、配信アプリケーション153の利便性の向上が図られるようになる。
【0094】
(2)トンネル、地下、又は山間部など周辺環境により通信が不通になった無線通信により車載端末10が有効なライセンスキー100を取得できないような場合であれ、車載端末における配信アプリケーション153の利用が可能となるため、配信アプリケーション153の便性の向上が図られるようになる。
【0095】
(3)ライセンスキー100が有効ではないとともに、認証センタ20との通信が途絶えている場合に、暫定ライセンスキー101に基づいて配信アプリケーション153の実行を可能とすることから、暫定ライセンスキー101の使用がより適正になされるようになる。例えば、認証センタ20と通信が可能な場合、ライセンスキー100は最新の情報に基づいて有効か否かが管理されるので、暫定ライセンスキー101による配信アプリケーション153の実行は不必要であることから、そのような場合に暫定ライセンスキー101が用いられることを防ぐことができる。
【0096】
(4)暫定ライセンスキー101がライセンスキー100と同時に車載端末10に取得されるので、暫定ライセンスキー101の配信の手間が少なくて済む。また、暫定ライセンスキー101をライセンスキー100の配信状態などに併せて管理することでその管理も容易になる。
【0097】
(5)暫定ライセンスキー101に基づいて実行される配信アプリケーション153に制限を設ける、例えば制限される機能を可変とすることで、暫定ライセンスキー101ならではの適正な利用を図ることができるようになる。
【0098】
(6)配信アプリケーション153の機能を制限する場合、配信アプリケーション153が暫定ライセンスキー101により実行されていることをユーザなどに認識させることができるとともに、暫定ライセンスキー101の適正な使用を図ることができるようになる。
【0099】
(7)配信アプリケーション153の実行回数を制限する場合、配信アプリケーション153の利便性を維持しつつ、暫定ライセンスキー101の適正な使用を図ることができるようになる。
【0100】
(8)有効判定されて配信アプリケーション153を実行させた後、暫定ライセンスキー101は、消去されたり、変更されたりなどして、再利用ができないようになる。これ
によっても、暫定ライセンスキー101ならではの適正な利用を図ることができるようになる。
【0101】
(9)認証コード102に基づいて暫定ライセンスキー101の有効性を判断するので、暫定ライセンスキー101に基づく配信アプリケーション153の実行がより適正になされるようになる。
【0102】
(10)携帯電話30(携帯端末)に暫定ライセンスキー101の有効性の判定に必要である認証コード102を保持させるようにしているので、暫定ライセンスキー101を用いなければならなくなった際における認証コード102の利用を容易にする。これにより、ユーザの利便性も向上される。
【0103】
(11)認証コード102が文字情報として発行されるので、その管理が容易となり、暫定ライセンスキー101の有効性の判定に必要とされる際には認証コード102を容易に提供できる。これによっても、ユーザの利便性が向上される。
【0104】
(12)車両10Aは、移動速度が速く、特に無線通信であればその通信環境が大きく変化するおそれが高い。しかしそのような車両10Aにあっても、例えば、ナビゲーションシステム等の車載端末10(車載情報端末)は、ライセンスキー100が有効ではない配信アプリケーション153を暫定ライセンスキー101により実行させて、当該配信アプリケーション153の利便性を維持することができるようになる。
【0105】
(第2の実施形態)
本発明にかかる移動端末のライセンス認証システムを具体化した第2の実施形態について、図3〜5に従って説明する。
【0106】
なお、本実施形態のライセンス認証システムは、第1の実施形態と同様にライセンスキーによるライセンス認証した後、アカウント情報に基づいて配信アプリケーションにより提供する機能を定める点が、同第1の実施形態に対して相違する点である。そこで以下では、主に、第1の実施形態に対して相違する点について説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を割愛する。
【0107】
図3に示すように、本実施形態の配信アプリケーション153に対しては、複数のアカウントを設けることができる。すなわち、1つのライセンスキー100に対して1乃至複数のアカウントを設定することができる。各アカウントは配信アプリケーション153に機能的な制限を付与するようになっているため、これにより配信アプリケーション153が提供する機能が規定される。例えば、アカウントには、配信アプリケーション153を利用させる態様に応じた規定、例えば機能制限が設定される。例えば、カーシェアリングのように、同一の車載端末10を複数のユーザが利用するような場合、「オーナユーザアカウント」、「一般ユーザアカウント」及び「ゲストユーザアカウント」などのアカウントが設けられる。「オーナユーザアカウント」は、配信アプリケーション153の全ての機能を利用可能なアカウントであり、例えば、配信アプリケーション153に設けられている全ての機能、「ユーザ管理機能」、「アプリケーション設定機能」及び「アプリケーション利用機能」が利用可能になっている。「一般ユーザアカウント」は、「オーナユーザアカウント」にて利用可能な機能の一部の利用が制限されたアカウントである。そして、例えば配信アプリケーション153に設けられている「アプリケーション設定機能」及び「アプリケーション利用機能」が利用可能である一方、「オーナユーザアカウント」にて利用可能な「ユーザ管理機能」が利用できないようになっている。「ゲストユーザアカウント」は、「一般ユーザアカウント」にて利用可能な機能の一部の利用が制限されたアカウントである。そして、例えば配信アプリケーション153に設けられている「アプリ
ケーション利用機能」が利用可能である一方、「ユーザ管理機能」と「一般ユーザアカウント」にて利用可能な「アプリケーション設定機能」とが利用できないようになっている。本実施形態では、「ゲストユーザアカウント」は、最も機能制限がされていることから、機能制限が最大レベルのアカウントとなっている。このようにユーザは、アカウントにより許可された配信アプリケーション153の機能を利用できるようになっている。
【0108】
認証センタ20には、ユーザに対して配信アプリケーション153により提供する機能を設定するアカウント情報管理部23が設けられている。アカウント情報管理部23は、配信アプリケーション153を購入することなどに伴いユーザに付与されるアカウントとして、車載端末10において配信アプリケーション153に対して適切な機能制限を行うアカウントを設定するとともに、その設定したアカウントに対応するアカウント証明書111を生成する。アカウント証明書111は、対応する配信アプリケーション153の識別番号や、ユーザを識別するための識別コードとしてのユーザIDや、そのユーザに対して付与するために選択された同配信アプリケーション153に対するアカウント等を含む符号として、所定のアルゴリズムに基づいて作成される。アカウント情報管理部23は、アカウント証明書111の生成とともに、当該アカウント証明書111が有効である期間を示す有効期間112や、有効である回数を示す有効回数113も生成する。すなわち、アカウント証明書111は、有効期間112に含まれる日時において有効とされる一方、有効期間112に未達もしくは有効期間112を超過する日時において無効とされる。また、アカウント証明書111は、配信アプリケーション153の起動回数が有効回数113かそれ以下において有効とされる一方、同起動回数が有効回数113を超過することにおいて無効とされる。
【0109】
このように、アカウント情報管理部23にて作成されたアカウント証明書111や有効期間112又は有効回数113は、配信アプリケーション153が実行される車載端末10からの要求に応じて当該車載端末10に対して送信される。例えば、アカウント情報管理部23は、配信アプリケーション153を初めて実行させる車載端末10からの要求に応じて、ライセンスキー100とともに、アカウント証明書111及び有効期間112を該車載端末10に送信する。また例えば、アカウント情報管理部23は、アカウント証明書111の有効期間112が過ぎたことなどにより車載端末10からアカウント証明書111の更新が要求されることに応じて、更新されたアカウント証明書111及び有効期間112を該車載端末10に送信する。なお、アカウント情報管理部23は、アカウント証明書111の更新が要求された際、該要求とともに車載端末10から送られてくるユーザIDとパスワードに基づいてユーザとそのアカウントを判別する。ユーザIDは、ユーザ毎に付与されるユーザを識別可能な識別符号であり、パスワードは、ユーザが配信アプリケーション153を購入した際、ユーザ自身で登録した符号である。これにより認証センタ20では、ユーザIDとパスワードに対応付けられるようにして、配信アプリケーション153に対するユーザのアカウント、有効期間112及び有効回数113が管理されている。
【0110】
車載端末10には、ライセンスキー100に基づくライセンス認証を行うとともに、アカウント情報110に基づくアカウント判別を行うためのユーザ登録情報管理モジュール11Aが設けられている。ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、先の第1の実施形態のライセンス管理モジュール11に代わって設けられたものである。そしてユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アプリケーション実行モジュール15と、保持部及び記憶部としての記憶モジュール12と、無線通信モジュール13とにそれぞれ相互通信可能に接続されているとともに、入力装置としての認証コード入力モジュール14が接続されている。
【0111】
記憶モジュール12は、ユーザ登録情報管理モジュール11Aによるユーザ登録情報1
20などの読み込み及び書き込みが可能になっている。これにより記憶モジュール12は、ユーザ登録情報管理モジュール11Aから受けたライセンスキー100やアカウント情報110を保持したり、保持しているライセンスキー100やアカウント情報110がユーザ登録情報管理モジュール11Aに読み出されたりする。なおユーザ登録情報120には、各配信アプリケーション153のそれぞれ対応するように、ライセンスキー100と、アカウント情報110とがそれぞれ設けられている。各アカウント情報110には、認証センタ20から取得されたアカウント証明書111と、同アカウント証明書111に関連付けられた有効期間112及び有効回数113とがそれぞれ設定されている。また、各アカウント情報110には、配信アプリケーション153が前回起動されたときのアカウントを特定することのできる情報である実行履歴としての前回起動情報114が保持されている。なお、アカウント情報110には、複数のアカウント証明書111がそれに関連付けられた有効期間112及び有効回数113とともに設定されてもよい。また、アカウント情報110には、各アカウント証明書111に対応するように前回起動情報114がそれぞれ設けられてもよい。
【0112】
前回起動情報114は、ユーザ登録情報管理モジュール11Aにより設定されるものであり、配信アプリケーション153が起動される都度、対応するアカウントの利用状況としてユーザが実行のために入力したユーザIDやパスワードが格納される。なお、このようなユーザIDやパスワードは、都度ユーザが入力するばかりでなく、一旦ユーザの有する電子キーとの関係を車載端末10に登録することで、車両10Aの始動に使われた電子キーなどに対応して自動的に入力されるようにしてもよい。
【0113】
認証コード入力モジュール14は、上述した第1の実施形態と同様に認証コード102を取得してライセンス管理モジュール11に入力させるとともに、ユーザIDや同ユーザIDに対応するパスワードを取得してライセンス管理モジュール11に入力させる。認証コード入力モジュール14は、そこに有する文字入力装置のユーザの操作を通じてユーザIDやパスワードが入力されることにより、ユーザIDやパスワードを取得する。なお、認証コード入力モジュール14に短距離無線装置を設けて、認証コード入力モジュール14が短距離無線装置を用いて短距離無線装置を有する機器に保持されているユーザID又はパスワードの少なくとも一方を自動検索して、検索されたユーザID又はパスワードを自動的に取得するようにしてもよい。
【0114】
ユーザ登録情報管理モジュール11Aにあってライセンス認証のための構成は、上述した第1の実施形態のライセンス管理モジュール11と同様の構成を有している。
また、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウント判定のため、アプリケーション実行モジュール15からの要求に応じて同アプリケーション実行モジュール15により実行された配信アプリケーション153に対するアカウントの判別処理を行う。すなわち、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アプリケーション実行モジュール15から配信アプリケーション153の実行に伴い当該配信アプリケーション153のアカウントの判定を要求される。すると、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、同配信アプリケーション153に対応するアカウント情報110とユーザのユーザIDに基づいて該配信アプリケーション153のアカウントの判別を行う。アカウントの判別では、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウント情報110に含まれるアカウント証明書111を有効と判定した場合、アカウント証明書111に設定されているアカウント、例えばオーナユーザアカウントや一般ユーザアカウントを配信アプリケーション153の機能制限に用いるアカウントと認定する。そしてユーザ登録情報管理モジュール11Aは、前記認定されたアカウントをアプリケーション実行モジュール15に伝達する。他方、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウント情報110に含まれるアカウント証明書111を有効ではないと判定した場合、最低限の機能を提供するアカウント、例えばゲストユーザアカウントを配信アプリケーション153の機能制限に用いるアカウントと認定して
アプリケーション実行モジュール15に伝達する。アカウント証明書111が有効であるか否かは、ユーザ登録情報管理モジュール11Aがアカウント証明書111と、同アカウント証明書111に関連付けられた有効期間112を照合(参照)して、現在の日時が当該有効期間112内であるか否かにより判定する。すなわち、現在の日時が有効期間112の範囲内にあるとき、アカウント証明書111が有効であると判定されてアカウント証明書111に含まれるアカウントが配信アプリケーション153の機能制限に用いられるアカウントとして認定される。一方、現在の日時が有効期間112の範囲内にない(例えば、超過している)とき、アカウント証明書111は有効ではないと判定されて最低限の機能のアカウントが配信アプリケーション153の機能制限に用いられるアカウントとして認定される。また、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウント証明書111に関連付けられた有効回数113を参照して、今回の起動が当該有効回数113の範囲内であるか否かを判定する。すなわち、今回の実行が有効回数113の範囲内にあるとき、アカウント証明書111が有効であると判定されてアカウント証明書111に含まれるアカウントが配信アプリケーション153の機能制限に用いるアカウントとして認定される。一方、今回の実行が有効回数113の範囲内にないとき、アカウント証明書111は有効ではないと判定されて最低限の機能のアカウントが配信アプリケーション153の機能制限に用いるアカウントとして認定される。
【0115】
また、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、例えば配信アプリケーション153が初めて実行される場合など、配信アプリケーション153に対応するアカウント情報110がないとき、同配信アプリケーション153に対応するアカウント情報110を作成する。そしてアカウント情報110の作成に伴って、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、認証センタ20にアカウント証明書111の発行を要求し、同認証センタ20から発行されたアカウント証明書111やその有効期間112など受信して、それら受信したアカウント証明書111や有効期間112などをアカウント情報110に格納する。
【0116】
さらに、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウント情報110に含まれるアカウント証明書111が有効ではないと判定した場合、認証センタ20にアカウント証明書111の更新を要求する。そしてユーザ登録情報管理モジュール11Aは、同認証センタ20から更新されたアカウント証明書111やその有効期間112など受信して、それら受信したアカウント証明書111や有効期間112などをアカウント情報110に格納する。
【0117】
なおユーザ登録情報管理モジュール11Aは、車両10Aが無線通信モジュール13を通じて認証センタ20と無線通信が行えない山間部や、地下駐車場などにある場合、認証センタ20に対してアカウント証明書111の要求をしても、認証センタ20からアカウント証明書111や有効期間112などを受信することができない。すなわち、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、認証センタ20に、アカウント証明書111や有効期間112などを発行してもらうことや、更新してもらうことができない。
【0118】
次に、図4及び5を参照して、ユーザ登録情報管理モジュール11Aにて行われるライセンスの認証処理及びアカウントの判別処理について説明する。なお、ライセンスの認証処理については、上述の第1の実施形態と同様なので、同様の符号を付しその説明を割愛する。
【0119】
まず、ユーザ登録情報管理モジュール11Aにて、アプリケーション実行モジュール15により指定された配信アプリケーション153に対するライセンスの認証処理(図4のステップS10〜S20)が行われる。そして、ライセンスが認証されない場合、配信アプリケーション153を起動不可とする(図4のステップS20)。これにより、ユーザ登録情報管理モジュール11Aによるライセンスを認証する処理がアカウントの判別処理
を行うことなく終了する。
【0120】
一方、配信アプリケーション153が通常モードの実行を許可された場合(図4のステップS11)、又は緊急モードの実行を許可された場合(図4のステップS19)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウントの判別処理を行う。すなわち、図5に示すように、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、配信アプリケーション153を起動させるようにする(図5のステップS30)。これにより、ユーザ登録情報管理モジュール11Aから配信アプリケーション153の実行許可を受けたアプリケーション実行モジュール15は、許可を受けた実行モードに基づいて同配信アプリケーション153を起動させる。この配信アプリケーション153の起動に伴いアプリケーション実行モジュール15から同配信アプリケーション153に対するアカウントの判別がユーザ登録情報管理モジュール11Aに要求され、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは同配信アプリケーション153のアカウントが有効か否かを判断する(図5のステップS31)。アカウントが有効か否かは、配信アプリケーション153に対応するアカウント情報110に含まれているアカウント証明書111が有効か否かにより判断される。例えば、ユーザIDに対応するアカウント証明書111が存在するとともに、現在の日時が有効期間112内であり、かつ、起動回数が有効回数113を超えていない場合、アカウント証明書111が有効であると判断される。他方、アカウント証明書111が存在しない場合、現在の日時が有効期間112外である場合、起動回数が有効回数113を超えている場合などには、アカウント証明書111が無効であると判断される。
【0121】
アカウント証明書111が有効であると判断した場合(図5のステップS31でYES)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウント証明書111に設定されたアカウントにて配信アプリケーション153を実行させるようにアプリケーション実行モジュール15に通知する(図5のステップS32)。これにより、アプリケーション実行モジュール15では、通知されたアカウントによる機能制限に基づいて配信アプリケーション153が実行されるようになる。
【0122】
アカウント証明書111が有効でないと判断した場合(図5のステップS31でNO)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、認証センタ20との間の無線通信が利用可能か否かを判断する(図5のステップS33)。認証センタ20との間の無線通信を利用可能であると判断した場合(図5のステップS33でYES)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、無線通信を介して認証センタ20に当該アカウント証明書111の更新を要求することにより、同認証センタ20から更新されたアカウント証明書111を取得する(図5のステップS34)。アカウント証明書111が取得されるとユーザ登録情報管理モジュール11Aは、同アカウント証明書111に設定されたアカウントをアプリケーション実行モジュール15に通知し、同通知したアカウントによる機能制限に基づいて配信アプリケーション153が実行されるようにする。
【0123】
その一方、認証センタ20との無線通信が利用できないと判断した場合(図5のステップS33でNO)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、アカウント情報110に前回起動情報114が含まれているか否かを判断する(図5のステップS35)。そして、前回起動情報114が含まれていないと判断した場合(図5のステップS35でNO)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、利用可能なアカウントを特定できないため、配信アプリケーション153の機能を最低限にするアカウントをアプリケーション実行モジュール15に通知する(図5のステップS36)。これにより、アプリケーション実行モジュール15では、通知されたアカウントに基づいて配信アプリケーション153を起動させるようにする。なお、配信アプリケーション153の機能を最低限にするアカウントとしては、例えばゲストユーザアカウントである。
【0124】
アカウント情報110に前回起動情報114が含まれていると判断した場合(図5のステップS35でYES)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、認証コード入力モジュール14を介してユーザID及びパスワードの入力を受け付ける(図5のステップS37)。そして、入力されたユーザID及びパスワードと、アカウント情報110に保持されている前回起動情報114の内容を比較して、前回起動時にアカウント証明書111が有効であったか否かを判断する(図5のステップS38)。前回起動時にアカウント証明書111が有効であったと判断した場合(図5のステップS38でYES)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、そのアカウント証明書111に設定されたアカウントの機能制限に基づいて配信アプリケーション153を実行させるようにアプリケーション実行モジュール15に通知する(図5のステップS32)。これにより、アカウント証明書111を更新できないような場合であれ、配信アプリケーション153を更新前のアカウント証明書111に基づいて一時的に起動させることができるようになる。
【0125】
逆に、前回起動時にアカウント証明書111が有効ではなかったと判断した場合(図5のステップS38でNO)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、利用可能なアカウントを特定できないため、上述のように、最低限の機能を提供するアカウントに基づいて配信アプリケーション153を起動させるようにする(図5のステップS36)。
【0126】
なお、前回起動時にアカウント証明書111が有効であったと判断した場合(図5のステップS38でYES)、ユーザ登録情報管理モジュール11Aは、前回起動情報114を削除してもよいし、前回起動情報114の内容をアカウント証明書111が無効であった旨の内容に書き換えてもよい。これによりこの後、アカウント証明書111が更新されずに再び、ステップS35やステップS38の判定が実行されるようなとき、配信アプリケーション153を起動させるアカウントを最低限の機能を提供するアカウントに制限することができる。
【0127】
以上説明したように、本実施形態の移動端末のライセンス認証システムによれば、先の第1の実施形態に記載の効果(1)〜(12)に加え、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0128】
(13)配信アプリケーション153の実行、例えば機能の提供をアカウントに応じても制御(制限)することができるようになるため、複数のユーザが利用するような配信アプリケーション153であれ、それぞれのユーザに適した機能の提供などが行えるようになる。これにより、このようなライセンス認証システムの利用価値が一層高められるようになる。
【0129】
(14)アカウントによる提供機能の制限とともに、アカウントに対する制限である制限情報(有効期間112や、有効回数113)により、配信アプリケーション153の実行により提供する機能をアカウント毎に分けて管理することができる。このため、配信アプリケーション153により提供する機能を好適に管理することができるようになる。
【0130】
(15)アカウントが無効になったとしても、そのアカウントにより配信アプリケーション153が前回実行された際の機能制限と同様の機能制限により該配信アプリケーション153が実行されるようになるため、ユーザの利便性が高められるようになる。すなわち、アカウントに対応付けられているユーザIDに基づいて前回実行された配信アプリケーション153のアカウントを取得して、同取得されたアカウントを配信アプリケーション153の機能制限に用いることができる。
【0131】
(16)アカウントが無効になったとしても、配信アプリケーション153からゲストユーザアカウントなどによる最低限の機能は提供されるようになるため、これによっても
ユーザの利便性が高められるようになる。
【0132】
(17)アカウントが無効であるとともに、通信が途絶えているために、それを更新することも難しいようなときであれ、配信アプリケーション153を適切なアカウントにより実行することができるようになり、配信アプリケーション153の実行管理、及びユーザの利便性の向上が図られるようになる。
【0133】
(18)アカウントが無効であるときであれ、ユーザID・パスワード35に基づいて無効とされたアカウントのユーザを識別して、当該ユーザに対して適切なアカウントにより配信アプリケーション153が実行できるようになり、配信アプリケーション153の実行管理、及びユーザの利便性の向上が図られるようになる。
【0134】
(その他の実施形態)
なお上記各実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記第2の実施形態では、ライセンスキー100とアカウント情報110とが1つの記憶モジュール12に保持されている場合について例示した。しかしこれに限らず、ライセンスキーと、アカウント情報とがそれぞれ異なる記憶モジュールに保持されていてもよい。これにより、このライセンス認証システムの設計自由度が高められる。
【0135】
・上記第2の実施形態では、配信アプリケーション153に機能制限に用いるアカウントとして、オーナユーザアカウントと、一般ユーザアカウントと、ゲストユーザアカウントとが設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、機能制限に用いるアカウントは2つや3つ以上であってもよいし、また、機能制限に用いるアカウントに割り当てられる機能は用途に応じて自由に割り振るようにしてもよい。例えば、機能の割り当てを、ライセンス購入時の金額に応じて割り当てたい機能に対応させるようにするようにしてもよい。これにより、複数のアカウントの設定自由度が高められるため、ライセンス認証システムの利用価値も高められるようになる。
【0136】
・上記第2の実施形態では、アカウント証明書111の有効性を有効期間112及び有効回数113に基づいて判断する場合について例示した。しかしこれに限らず、アカウント証明書の有効性を有効期間又は有効回数のいずれか一方に基づいて判断するようにしてもよい。これにより、ライセンス認証システムの設計自由度が高められるようになる。
【0137】
・上記各実施形態では、配信アプリケーション153をソフトウェアにより提供する場合について例示した。しかしこれに限らず、配信アプリケーションをカスタムLSIなどハードウェア(電子回路)によって提供するようにしてもよい。これにより、このライセンス認証システムを適用することできるアプリケーションが拡げられるようになる。
【0138】
・上記各実施形態では、配信アプリケーション153は図示しない配信センタより配信される場合について例示したが、これに限らず、配信アプリケーションは、認証センタから配信されてもよい。これにより、このライセンス認証システムの設計自由度が向上されるようになる。
【0139】
・上記各実施形態では、ライセンス認証システムには携帯電話30と認証コードカード31とが設けられている場合について例示した。しかしこれに限らず、ライセンス認証システムには、携帯電話及び認証コードカードの少なくとも一方が設けられていてもよい。
【0140】
・上記各実施形態では、携帯端末として携帯電話30が用いられる場合について例示したが、これに限らず、携帯端末は、認証コードを保持することのできるものであれば、メモリーカードなどの各種の記憶機器であってもよい。この場合、認証センタや車載端末と
の通信を接続スロットを介しての有線通信とするとよい。これにより、このライセンス認証システムの設計自由度の向上が図られるようになる。
【0141】
・上記各実施形態では、一つの暫定ライセンスキー101につき一度だけしか暫定ライセンスキー101が有効であると判定しない場合について例示した。しかしこれに限らず、暫定ライセンスキーを複数回利用できるようにしてもよい。これにより、暫定ライセンスキーに基づくライセンスの認証についての自由度が向上されるようになる。
【0142】
・上記各実施形態では、認証センタ20から車載端末10に暫定ライセンスキー101の含まれたライセンスキー100が付与(配信)される場合について例示した。しかしこれに限らず、認証センタから車載端末には、ライセンスキーとは別途に暫定ライセンスキーが送られてもよい。また、別途送られる暫定ライセンスキーは、認証コードと同様に、認証センタから携帯電話や認証コードカードなどを介して車載端末に入力されてもよい。この場合であれ、別途送られる暫定ライセンスキーの対応する配信アプリケーションが明らかになるようになっていれば、配信アプリケーションの実行時に暫定ライセンスキーを用いることができるようになる。
【0143】
・上記各実施形態では、車載端末10と認証センタ20との通信が途絶えている場合に暫定ライセンスキー101を用いる場合について例示した。しかしこれに限らず、車載端末と認証センタとの通信が可能であっても、認証センタから適切な応答が得られないような場合に暫定ライセンスキーを用いるようにしてもよい。これにより、認証センタにて生じた不都合などによって配信アプリケーションが利用できないようなことを防止することができるようになり配信アプリケーションの利便性が高められるようになる。
【0144】
・上記各実施形態では、通信状態を原因としてライセンスの認証が上手くできない場合に暫定ライセンスキー101に基づくライセンス認証を行うようにした。しかしこれに限らず、必要に応じて、通信により認証センタから適切な応答がえられる場合でも、暫定ライセンスキーに基づくライセンス認証を行うようにしてもよい。例えば、認証コードを有する携帯電話などの携帯端末を有する場合、ライセンス認証を行うようにしてもよい。これにより、暫定ライセンスキーに基づいてライセンスを認証することのできる態様が拡がり、このライセンス認証システムを適用したシステムの利便性を向上させることができるようになる。
【0145】
・上記各実施形態では、車載端末10と認証センタ20との間の通信は無線通信により行なわれる場合について例示した。しかしこれに限らず、有線通信などにおいて通信が不安定になるような場合に用いてもよい。これにより、ライセンス認証システムの利用可能性が高められる。
【0146】
・上記各実施形態では、ライセンスキー100により配信アプリケーション153のライセンスが認証される場合について例示した。しかしこれに限らず、配信アプリケーション以外のアプリケーション、例えば基本アプリケーションや、付属アプリケーションなどのライセンスの認証をライセンスキーにより管理してもよい。また、配信アプリケーションにはその実行にライセンスキーによるライセンスの認証が必要ないものが1つ以上含まれていてもよい。これにより、ライセンス認証システムの利用にかかる柔軟性の向上が図られるようになる。
【0147】
・上記各実施形態では、暫定ライセンスキー101と認証コード102とが同一であることに基づいて暫定ライセンスキー101に基づくライセンスを認証する場合にて例示した。しかしこれに限らず、認証コードが暫定ライセンスキーに対応するものであることが識別できるようになっているのであれば、認証コードが暫定ライセンスキーと異なる情報
からなるものであってもよい。
【0148】
例えば、車載端末におけるライセンスキーの照合処理において暗号化や復合化などの処理を行なったり、照合用に各種の算術を用いることで携帯電話に保持される認証コードを車載端末に保持されている暫定ライセンスキーと異なるものとすることができるようになる。このようにすることで、このライセンス認証システムの設計自由度が向上されるとともに、暫定ライセンスキーの適正な取り扱いを促進させることができるようにもなる。
【0149】
・上記各実施形態では、暫定ライセンスキー101の有効性を認証コード102と照合して判定する場合について例示した。しかしこれに限らず、無線通信の不通などによりライセンスキーの更新ができないときなど暫定ライセンスキーが必要とされる際、認証コードと照合せずに、暫定ライセンスキーに設定されている制限の下で、配信アプリケーションを実行できるようにしてもよい。これにより、暫定ライセンスキーが用いられる際の利便性が高められるようになる。
【0150】
・上記各実施形態では、車載端末10がナビゲーションシステムである場合について例示した。しかしこれに限らず、車載端末としては、車両に備えられている各種の車両制御装置や、音響製品などの情報処理装置などでもよい。これにより、このライセンス認証システムを、車載機器に対して広く適用することができるようになる。
【0151】
・上記各実施形態では、車載端末10を移動端末とする場合について例示した。しかしこれに限らず、移動端末としては、人が持ち運ぶ携帯電話や情報端末などでもよい。これにより、このライセンス認証システムを提供することのできる移動端末の種類が拡がり、それら移動端末の利便性を向上させることができるようになる。
【符号の説明】
【0152】
10…車載端末、10A…車両、11…ライセンス管理モジュール、11A…ユーザ登録情報管理モジュール、12…記憶モジュール、13…無線通信モジュール、14…認証コード入力モジュール、15…アプリケーション実行モジュール、20…認証センタ、21…ライセンスキー管理部、22…暫定ライセンスキー管理部、23…アカウント情報管理部、30…携帯電話、31…認証コードカード、32…認証コード文字情報、35…ユーザID・パスワード、100…ライセンスキー、101…暫定ライセンスキー、102…認証コード、110…アカウント情報、111…アカウント証明書、112…有効期間、113…有効回数、114…起動情報、120…ユーザ登録情報、122…有効期間、123…有効回数、150…アプリケーションソフトウェア、151…基本アプリケーション、152…付属アプリケーション、153…配信アプリケーション、161…操作ボタン、162…タッチパネル、171…表示画面、172…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末に搭載されるアプリケーションの実行が、外部に設けられているセンタとの通信により付与されるライセンスキーに基づいて管理される移動端末のライセンス認証システムにおいて、
前記移動端末は、前記センタから予め付与される暫定ライセンスキーを保持する保持部を有し、前記ライセンスキーが有効ではないとき、前記保持部に保持された前記暫定ライセンスキーの有効性の判定を行い、前記暫定ライセンスキーが有効であるとの判定に基づいて前記アプリケーションの実行が許可される
ことを特徴とする移動端末のライセンス認証システム。
【請求項2】
前記移動端末と前記センタとの間の通信は、無線通信により行われる
請求項1に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項3】
前記暫定ライセンスキーの有効性の判定は、前記センタとの通信が途絶えているときに行われる
請求項1又は2に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項4】
前記暫定ライセンスキーは、前記通信が正常であるときに前記センタから付与されるライセンスキーに併せ付与される
請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項5】
前記暫定ライセンスキーに基づいて実行が許可されるアプリケーションは、所定の制限の下で実行される
請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項6】
前記アプリケーションは、前記暫定ライセンスキーのライセンス内容に応じて前記制限される機能が可変に構成されている
請求項5に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項7】
前記暫定ライセンスキーによる制限が前記アプリケーションの実行回数である
請求項5に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項8】
前記暫定ライセンスキーが有効であるとの判定は、一つの暫定ライセンスキーにつき一度だけ行われる
請求項1〜7のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項9】
前記移動端末は、別途に付与される認証コードが入力される入力部をさらに備え、
前記暫定ライセンスキーの有効性の判定を、前記入力される認証コードとの照合に基づいて行う
請求項1〜8のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項10】
前記認証コードは、前記センタとの間で通信可能な携帯端末に対して付与されるものであり、前記入力部には、前記携帯端末に付与された認証コードが入力される
請求項9に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項11】
前記認証コードは、前記センタから文字情報として発行されるとともに、前記入力部には文字入力の可能な文字入力装置が設けられており、
前記認証コードは、前記文字入力装置を介した文字情報として入力される
請求項9に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項12】
前記アプリケーションには、前記暫定ライセンスキーを含めた1つのライセンスキーにつき1乃至複数のアカウントが登録可能となっている
請求項1〜11のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項13】
前記1乃至複数のアカウントには、それらアカウントの別に機能的な制限が付与されているとともに、
前記移動端末は、前記センタとの通信のもとにそれらアカウントの別に付与されている制限情報を保持する記憶部を有しており、
あるアカウントに対する前記アプリケーションの実行の許可に際しては、当該アカウントの情報と前記記憶部に保持されている制限情報との照合に基づいて前記アプリケーションにより提供される機能を決定する
請求項12に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項14】
前記制限情報にはアカウント別の有効期間情報もしくは有効回数情報が含まれるとともに、前記移動端末は、前記アプリケーションが実行される都度、同アプリケーションを実行させたアカウントの利用状況を前記記憶部に記憶するものであり、
前記制限情報に基づきアカウントの有効期間もしくは有効回数が超過したと判断されるとき、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行履歴があることを条件に、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行を許可する
請求項13に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項15】
前記移動端末は、前記有効期間もしくは有効回数が超過したと判断されるアカウントについては、前記実行を許可するアプリケーションの機能制限を最大レベルに引き上げる
請求項14に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項16】
前記記憶部に保持されているアカウントの取得が、前記センタとの通信が途絶えているときに行われる
請求項13〜15のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項17】
前記移動端末は、前記アカウントの識別コード及びパスワードが入力される入力部をさらに備え、前記アカウントの有効性の判定を、前記入力される識別コード及びパスワードとの照合に基づいて行う
請求項12〜16のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項18】
前記移動端末は、車両に搭載された車載情報端末である
請求項1〜17のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証システム。
【請求項19】
移動端末に搭載されたアプリケーションの実行を、外部に設けられているセンタとの通信により付与されるライセンスキーに基づいて管理する移動端末のライセンス認証方法において、
前記移動端末に前記センタから予め付与された暫定ライセンスキーを保持する工程と、
前記ライセンスキーが有効ではないとき、前記保持された暫定ライセンスキーの有効性の判定を行う工程と、
前記暫定ライセンスキーが有効であるとの判定に基づいて前記アプリケーションを実行を許可する工程とを備える
ことを特徴とする移動端末のライセンス認証方法。
【請求項20】
前記移動端末と前記センタとの間の通信を無線通信により行う
請求項19に記載の移動端末のライセンス認証方法。
【請求項21】
前記暫定ライセンスキーの有効性の判定を行う工程は、前記センタとの通信が途絶えていることを条件に行なわれる
請求項19又は20に記載の移動端末のライセンス認証方法。
【請求項22】
前記アプリケーションには、前記暫定ライセンスキーを含めた1つのライセンスキーにつき1乃至複数のアカウントを登録可能とする
請求項19〜21のいずれか一項に記載の移動端末のライセンス認証方法。
【請求項23】
前記1乃至複数のアカウントには、それらアカウントの別に機能的な制限を付与しておくとともに、
前記移動端末は、前記センタとの通信のもとにそれらアカウントの別に付与されている制限情報を記憶部に保持させ、あるアカウントに対する前記アプリケーションの実行の許可に際し、当該アカウントの情報と前記記憶部に保持されている制限情報とを照合することに基づいて前記アプリケーションにより提供される機能を決定する
請求項22に記載の移動端末のライセンス認証方法。
【請求項24】
前記制限情報にはアカウント別の有効期間情報もしくは有効回数情報を含ませるとともに、前記移動端末は、前記アプリケーションが実行される都度、同アプリケーションを実行させたアカウントの利用状況を前記記憶部に記憶させるようにし、
前記制限情報に基づきアカウントの有効期間もしくは有効回数が超過したと判断したとき、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行履歴があることを条件に、当該アカウントによる当該アプリケーションの実行を許可する
請求項23に記載の移動端末のライセンス認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−123773(P2012−123773A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33232(P2011−33232)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】