移動装置並びにこれを用いた帯電装置及び画像形成装置
【課題】例えば帯電装置の放電線材を移動して清掃する清掃装置に適用することが可能であって、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定した回転軸の回転動力を直線運動に変換して移動する移動体を備えた移動装置として、その回転軸における丸棒と螺旋巻き線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが防止され、移動体を安定して移動させることができる移動装置等を提供する。
【解決手段】移動装置は、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受動孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体とを備え、前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されている。
【解決手段】移動装置は、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受動孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体とを備え、前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動装置並びにこれを用いた帯電装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録用紙等の被記録材に画像を形成する画像形成装置としては、電子写真方式等を利用するものがある。この方式を利用する画像形成装置では、例えば、次のようにして画像の形成が行われている。すなわち、回転する感光体の表面をコロナ放電器からなる帯電装置により所要の電位に帯電させ、その帯電した感光体の表面に露光装置から画像情報に応じた露光を行って静電潜像を形成した後、その静電潜像を現像装置から供給する現像剤(例えばトナー)で現像してトナー像とし、次いで、その感光体上のトナー像を被記録材に直接又は中間転写体を介して転写した後に定着することで被記録材に画像が形成される。
【0003】
また、この画像形成装置で使用されるコロナ放電器からなる帯電装置にあっては、感光体の表面に間隔をあけた状態でかつその回転軸の方向に沿った状態で張り渡されているとともに帯電用の電圧が印加される放電ワイヤが存在する。しかし、その放電ワイヤは、トナーや放電生成物等の不要物が付着することで汚染されることがあり、それが原因で帯電むら、帯電不足等の帯電不良を誘発するおそれがある。
【0004】
このため、コロナ放電器からなる帯電装置のなかには、その放電ワイヤに付着する不要物を除去する清掃装置を装備しているものがある。その清掃装置としては、放電ワイヤの張り渡し方向に移動して少なくとも放電ワイヤに接触して不要物を除去する清掃部材を備え、その清掃部材を放電ワイヤの張り渡し方向に移動させる移動装置に支持して移動させるものがある。また、移動装置としては、直線状の丸棒の周面に螺旋巻き線材(コイル状部材)を巻き付けた状態で固定してなる回転軸を用い、その回転軸の回転動力を直線運動の推進力に変換して回転軸に沿った状態で移動する移動体に清掃部材を支持(搭載)したものがある。
【0005】
このような移動装置に支持させた清掃装置を装備する帯電装置としては、例えば以下のものが知られている。
【0006】
1つは、コロナ放電を行う電子写真印刷装置のコロナ放電装置において、コロトロン清掃部材と、スクリュー状の形状をしてコロトロン清掃部材を支持しかつその回転運動により清掃部材を移動させるスクリューシャフトと、スクリューシャフトを駆動するモータと、清掃部材を移動させるためのスクリューシャフトの回転を直進運動に換える伝達部としてワイヤバネ状部材を設けたコロナ放電装置がある(特許文献1)。
特許文献1には、この放電装置によれば、スクリューシャフトの動力伝達を行う清掃部材にトルクリミッタ機能のあるワイヤバネ状部材を用い、一定値以上の荷重を逃がすことにより、ギヤの変形、シャフトのずれをなくし、モータのロック発生を防止させ、これにより安定して清掃動作させ、放電装置の寿命を向上させることができることが示されている。
【0007】
また、シールドケースに移動自在に支持されるとともに電極ワイヤの軸線方向に沿って移動する支持体と、この支持体に支持されて電極ワイヤに接触する清掃パットを備えた清掃ユニットを有し、その清掃ユニットの支持体には、電極ワイヤの軸線方向の貫通孔が設けられているとともに内周面に螺旋状の溝が形成された駆動伝達部が設けられており、その駆動伝達部の貫通孔に、両端が支持されたスクリュー部材が螺合されて貫通し、そのスクリュー部材の回転駆動によって支持体(清掃パット)が電極ワイヤの軸線方向に移動するように構成された帯電装置である(特許文献2)。
特許文献2には、この画像形成装置によれば、一次転写後の転写チリを安定して抑制することができ、中間転写体を二次転写後に効率よく除電することで高品質の画像を得ることができることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−117328号公報
【特許文献2】特開2009−116100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、例えば帯電装置の放電線材を移動して清掃する清掃装置に適用することが可能であって、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定した回転軸の回転動力を直線運動に変換して移動する移動体を備えた移動装置として、その回転軸における丸棒と螺旋巻き線材の間の隙間に埃(塵)等の不要物が付着及び堆積することが防止され、移動体を安定して移動させることができる移動装置を提供するものである。
また、この発明は、その移動装置を用いて、帯電装置における清掃装置を回転軸へのトナー等を含む不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して移動させ、それにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる帯電装置や画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明(A1)の移動装置は、
直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受動孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体と
を備え、
前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されているものである。
【0011】
この発明(A2)の移動装置は、上記発明A1の移動装置において、前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、前記被膜が、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されているものである。
【0012】
この発明(A3)の移動装置は、上記発明A1又はA2の移動装置において、前記被膜がメラミン系樹脂塗料で形成されているものである。
【0013】
この発明(A4)の移動装置は、上記発明A1からA3のいずれかの帯電装置において、前記移動装置における前記被膜が焼付け塗装されて形成されているものである。
【0014】
また、この発明(B1)の帯電装置は、
回転する被帯電体の表面と間隔をあけた状態でかつその被帯電体が回転するときの軸方向に沿う状態で張り渡されるとともに、被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される放電線材と、
前記被帯電体と向き合う部分が少なくとも解放された箱状の形状からなり、その内部の空間に前記放電線材が張り渡された状態で設置されている覆い部材と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に移動して少なくとも当該放電線材に接触して付着物を除去する清掃部材を備えた清掃装置と
を有し、
前記清掃装置は、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿った状態で回転自在に取り付けられ、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿って移動自在に取り付けられ、前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受け孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体とを備えた移動装置に支持されて移動し、
前記移動装置における前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されているものである。
【0015】
この発明(B2)の帯電装置は、上記発明B1の帯電装置において、前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、前記被膜が、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されているものである。
【0016】
この発明(B3)の帯電装置は、上記発明B1又はB2の帯電装置において、前記移動装置における前記被膜がメラミン系樹脂塗料で形成されているものである。
【0017】
この発明(B4)の帯電装置は、上記発明B1からB3のいずれかの帯電装置において、前記移動装置における前記被膜が焼付け塗装されて形成されているものである。
【0018】
さらに、この発明(C1)の画像形成装置は、被帯電体を帯電する帯電装置として、上記発明B1からB4のいずれかの帯電装置が使用されているものである。
【発明の効果】
【0019】
上記発明A1の移動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における丸棒と螺旋巻き線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが防止され、移動体を安定して移動させることができる。
【0020】
上記発明A2の移動装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における丸棒と螺旋線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが確実に防止され、移動体をより安定して移動させることができる。
【0021】
上記発明A3の移動装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における棒と螺旋線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが確実に防止され、移動本体を円滑かつ安定して移動させることができる。
【0022】
上記発明A4の移動装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における棒と螺旋線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが防止され、移動体を長期にわたり安定して移動させることができる。
【0023】
上記発明B1の帯電装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0024】
上記発明B2の帯電装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく確実に安定して移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0025】
上記発明B3の帯電装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して円滑に移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0026】
上記発明B4の帯電装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく長期にわたり安定して移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0027】
上記発明C1の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して移動し、良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができ、これにより帯電不良に起因した画質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1に係る帯電装置の外観を斜め上方から見たときの状態で示す斜視図である。
【図2】図1の帯電装置の外観を斜め下方から見たときの状態で示す斜視図である。
【図3】図1の帯電装置の要部(両端部の端部カバーを取り外した状態の構造部分)を示す斜視図である。
【図4】図1の帯電装置を用いた画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図5】図4の画像形成装置における作像ユニットを示す断面説明図である。
【図6】図1の帯電装置(清掃装置を装備するもの)の要部の構成を模式的に示す説明図である。
【図7】図1の帯電装置におけるQ−Q線に沿う部分の断面図である。
【図8】図1又は図3の帯電装置の一端部の構成(特に清掃装置及び移動装置)を示す斜視図である。
【図9】図9の帯電装置の一端部を矢印A2の方向から見たときの状態を示す正面図である。
【図10】待機停止位置にあるときの帯電装置の清掃装置及び移動装置の状態を示す説明図である。
【図11】待機停止位置から抜け出たとき(又は待機停止位置に戻る)ときの帯電装置の清掃装置及び移動装置の状態を示す説明図である。
【図12】移動装置における回転軸の構成を示す要部断面図である。
【図13】回転軸の丸棒とコイル状線材との構成例を示し、(a)はそれらの側面側から見たときの状態を示す断面説明図、(b)はそれらの正面(端部)側から見たときの状態を示す断面説明図である。
【図14】回転軸の丸棒とコイル状線材との他の構成例を示し、(a)はそれらの側面側から見たときの状態を示す断面説明図、(b)はそれらの正面(端部)側から見たときの状態を示す断面説明図である。
【図15】回転軸の丸棒とコイル状線材の境界部分を示し、(a)はコイル状線材が丸棒から離れた状態にある構成例における境界部分を示す断面概念図、(b)はコイル状線材が丸棒と接触した状態にある構成例における境界部分を示す断面概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1から図3は実施の形態1に係る帯電装置及びそれを用いた画像形成装置を示すものであり、図1はその帯電装置を斜め上方から見たときの外観を示し、図2はその帯電装置を斜め下方から見たときの外観を示し、図3はその帯電装置の要部を示し、図4はその帯電装置を用いた画像形成装置の要部をそれぞれ示している。
【0031】
画像形成装置100は、図4に示すように、支持部材、外装材等で構成される筐体101の内部空間に、トナー像を形成して用紙Pに転写する作像ユニット102と、作像ユニット102に供給する用紙Pを収容するとともに搬送する給紙装置103と、作像ユニット102で転写されたトナー像を用紙Pに定着する定着装置104を設置している。
【0032】
上記作像ユニット102は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものである。この作像ユニット102は、図4や図5に示すように、矢印で示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム111と、感光体ドラム111の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置1と、帯電後の感光体ドラム111の表面に画像情報(信号)に基づく光(Bm)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置113と、その静電潜像を現像剤としてのトナーにより現像してトナー像にする現像装置114と、そのトナー像を用紙Pに転写する転写装置115と、転写後の感光体ドラム111の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置116とで主に構成されている。
【0033】
このうち感光体ドラム111は、例えば接地された円筒状の導電性基体の外周面に有機感光材料等からなる光誘電層を形成したものである。帯電装置1は、コロナ放電形式の帯電器である。この帯電装置1の詳細については後述する。露光装置113は、画像形成装置100に接続又は装備される原稿読取装置、外部接続機器、記憶媒体読取装置等の画像生成源から入力される画像情報を図示しない画像処理装置で所要の処理をして得られる画像情報に基づく露光を行う。
【0034】
また、現像装置114は、例えばトナーとキャリアを含む現像剤を用い、その現像剤を収容部で回転する攪拌搬送部材114bにより攪拌しながら現像ロール114aを通過させるように搬送して感光体ドラム111と対向する現像領域に供給するものである。転写装置115は、帯電部材として感光体ドラム111に接触して回転する転写ロールを適用したものである。清掃装置116は、感光体ドラム111の周面に接触するクリーニングブレード116aと回転ブラシ116bを接触させる方式のものである。この他、帯電装置2(の放電ワイヤ)、現像装置114(の現像ロール114a)及び転写装置115(の転写ロール)には、作像時(画像形成動作実行時)になると、図示しない電源装置から帯電用電圧、現像用電圧、転写用電圧がそれぞれ供給される。
【0035】
給紙装置103は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙Pを積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体131と、その用紙収容体131に収容される用紙Pを1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置132とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙Pを1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体131は、利用態様に応じて複数装備される。図3における矢付き一点鎖線は、用紙Pの主な搬送路を示す。その搬送路は、図示しない複数の用紙搬送ロール対、搬送ガイド部材等で構成されている。
【0036】
定着装置104は、矢印方向に回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体141と、この加熱回転体141の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体142とを備え、その加熱回転体141と加圧回転体142との間に形成される定着部にトナー像転写後の用紙Pを通過させて定着を行うようになっている。
【0037】
この画像形成装置100による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙Pの片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
【0038】
画像形成装置100では画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット102において、回転始動する感光体ドラム111の周面が帯電装置1により所定の極性及び電位に帯電された後、その帯電した感光体ドラム111の周面に露光装置113により画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム111に形成された静電潜像が、現像装置114を通過する際に、その現像ロール114aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
【0039】
しかる後、感光体ドラム111上に形成されたトナー像は、感光体ドラム111の回転により転写装置115と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置103により搬送路を通して供給される用紙Pに対し転写装置115により転写される。この転写後の感光体ドラム111の周面は、清掃装置116で清掃される。
【0040】
続いて、トナー像が転写された用紙Pは、感光体ドラム111から剥離されて定着装置104に導入されるよう搬送され、その定着装置104における加熱回転体141と加圧回転体142との間の定着部を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が定着される。この定着が終了した後の用紙Pは、定着装置104から排出されて図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
【0041】
以上により、1枚の用紙Pの片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作を実行する指示要求がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0042】
次に、帯電装置1について説明する。
【0043】
帯電装置1は、図1から図5等に示すように、長方形状の天板とその天板の長手方向における両端部から下方に垂れ下がった状態の側板を有した形状からなるシールドケース(覆い部材)10と、シールドケース10の両端部に取り付けられる端部支持体11,12と、この2つの端部支持体11,12との間に、シールドケース10の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる放電線材としてのコロナ放電ワイヤ13と、シールドケース10の下部開口部に、その開口部を覆い、コロナ放電ワイヤ13と感光体ドラム111の周面との間に存在する状態で取り付けられる格子状の電界調整板(グリッド電極)14とを備える、いわゆるスコロトロン型の帯電装置である。図1等における符号15、16は端部支持体11,12の一部を覆う状態で取り付けられる端部カバーを示し、図4における符号17a,17bは放電ワイヤ13の両端部をそれぞれ取り付ける取付け部を示す。
【0044】
この帯電装置1は、そのコロナ放電ワイヤ13が、感光体ドラム111の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム111の回転軸方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態となるように配置される。また、帯電装置1は、図示しない電源装置から放電ワイヤ13(と感光体ドラム111との間)に帯電用の電圧が印加される。放電ワイヤ13については、コロナ放電を発生して被帯電体である感光体ドラム111の周面を帯電させることができる線材であればよく、例えば、断面の外径が30〜60μmφのタングステン等の金属線が使用される。
【0045】
そして、帯電装置1は、作像時になると、放電ワイヤ13に帯電用の電圧が印加され、これにより放電ワイヤ13と感光体ドラム111の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生し、その結果、感光体ドラム111の周面を帯電させる。この際、感光体ドラム111の帯電電位は電界調整材14により調整される。
【0046】
また、帯電装置1は、その使用に伴ってコロナ放電ワイヤ13に放電生成物、トナーの外添剤等の物質(不要物)が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら、帯電不足等の帯電不良が発生することがある。このため、帯電装置1には、少なくとも放電ワイヤ13に付着する付着物を除去して清掃する清掃装置3が装備されている。
【0047】
以下、帯電装置1における清掃装置3について説明する。
【0048】
清掃装置3は、図5〜図7等に示すように、コロナ放電ワイヤ13に接触する第1の清掃パッド31と、放電ワイヤ13を挟んで第1の清掃パッド31(の一方)に接触する第2の清掃パッド32と、この第1の清掃パッド31及び第2の清掃パッド32を支持して放電ワイヤ13の張り渡し方向(矢印Aで示す方向)に沿って往復移動させる移動装置4とを備えている。実施の形態1では、第1の清掃パッド31を2つの清掃パッド31A及び31Bで構成している。
【0049】
また、清掃装置3は、その清掃をする時期でない非清掃時には、帯電装置1における一方(例えば帯電装置後方側)の端部支持体11に接近した待機停止位置(ホームポジション)HPに移動して停止している。一方、その清掃をする清掃時期には、待機停止位置HPから帯電装置1の他方の端部支持体12に接近した折返し位置TPまで移動した後、再び待機停止位置HPまで戻るように移動するという往復移動がなされる。ここで、清掃装置1の待機停止位置HPから折返し位置TPに向かう矢印A1で示す方向の移動を「往路移動」とし、反対にその折返し位置TPから待機停止位置HPにまで至る矢印A2で示す方向の移動を「復路移動」とする。
【0050】
この清掃装置3の移動を実現する移動装置4は、放電ワイヤ13の張り渡し方向Aとほぼ平行する状態となるようシールドケース10(又は端部支持体11,12)に回転自在に取り付けられた回転軸41と、この回転軸41の回転動力を直線運動の推進力に変換して回転軸5に沿った状態で移動する移動フレーム45とで構成されている。図2における符号44は、回転軸41の一端部と接続して回転動力を伝達する回転駆動装置である。
【0051】
回転軸41は、図1から図3や図6から図8等に示すように、直線状の丸棒42に螺旋巻き線材としてのコイル状線材43を巻き付けた状態で固定した構造のものである。この回転軸41は、例えば、予め一定のピッチ(巻き間隔)Eで螺旋状に巻かれた状態の線材43の巻き中央空間に丸棒42を貫通させて存在させた状態のものでもあり、コイル状線材43の両端部を丸棒42に固定している。
【0052】
また、回転軸41は、その丸棒42の両端部が軸受け部18A,18Bに回転自在に支持されている(図3)。また、回転軸41は、丸棒42の一端部42aに固定される連結材49を介して回転駆動装置44(駆動軸)と接続されるようになっており、その接続により回転駆動装置44の回転動力が伝達されて所要の方向に回転する。ちなみに、回転軸41は、回転駆動装置44により回転方向が切り替えられて両方向に回転する。さらに、丸棒42とコイル状線材43はいずれも金属材料で形成されたものであり、例えばステンレス製のものが使用される。これ以外の回転軸41の詳細については後述する。
【0053】
移動フレーム45は、図8や図9等に示すように、シールドケース10の内側空間に嵌め入れられる形状及び寸法からなる断面形状がほぼコ字状の本体部45Aと、本体部45Aの片側の側面部45Aaの下部から延びてシールドケース10の一方の側面部10aの外側において立ち上がる形態の受動支持部45Bと、本体部45Aの上面部45Abに本体部45Aをシールドケースの上面部10bに移動自在に支持させる移動支持部45Cとで構成されている。移動支持部45Cは、断面L字状に屈曲させた形状のものであり、ケース上面部10bに放電ワイヤ13の張り渡し方向Aとほぼ平行する状態で形成されたスリット状のガイド孔19から突出させたうえで、その屈曲させた部分をケース上面部10bの一部に摺擦し得る状態で取り付けるようになっている。
【0054】
受動支持部45Bは、シールドケース10の外側において立ち上がる上部に円筒状の部位を設け、その円筒状の部位の筒内を回転軸41が貫通する円柱状の動力受け孔46として形成している。動力受け孔46は、その内周面に、コイル状線材43の隣り合う部分の間に入り込む(位置する)突起46aを形成している。突起46aは、例えば、コイル状線材43のピッチEよりも少し狭い幅で且つ線材43の外径とほぼ同じ高さからなり、またコイル状線材43の螺旋の傾きと対応した角度で傾斜した螺旋状に曲がる板状の形状で形成されている。
【0055】
移動フレーム45の本体部45Aには、その解放された下部に、清掃装置3の各清掃パットを設置するための台座枠33が合体した状態で取り付けられている。
【0056】
第1の清掃パッド31は、その一方の清掃パッド31Aを、台座枠33の側板部において放電ワイヤ13に対し接近及び離間する方向に変位する状態で取り付けている。これは、清掃装置3が非清掃時に待機停止位置TPで停止したときに、清掃パッド31Aが放電ワイヤ13及び第2の清掃パッド32から離れた状態に保たれる一方で、清掃時のときだけ、清掃パッド31Aが放電ワイヤ13を挟んで第2の清掃パッド32と接触した状態に保たれるようにするためである。具体的には、図9から図11等に示すように、台座枠33の側板部に、軸35を中心にして自由端部が放電ワイヤ13に対して接近する方向C1及び離間する方向2に揺動する揺動材36を設置し、その揺動材36の自由端部36aの下部に形成した保持板部36Bに清掃パッド31Aを取り付けている。
【0057】
また、第1の清掃パッド31は、その他方の清掃パッド31Bを、一方の清掃パッド31Aの端部支持体11から離れる側にあって一方の清掃パッド31Aから所要の間隔をあけた状態で、台座枠33に固定した状態で取り付けている。具体的には、図8から図10等に示すように、台座枠33の放電ワイヤ13と対向する底面部33aにおけるほぼ中央部付近に、清掃パッド31Bを取り付けている。第1の清掃パッド31は、その一方の清掃パッド31Aと他方の清掃パッド31Bを、放電ワイヤ13を挟んで反対側の位置にあって、放電ワイヤ13の張り渡し方向Aに間隔をあけて互いにずれた位置に存在する状態で配置している。
【0058】
第2の清掃パッド32は、台座枠33に固定した状態で取り付けている。具体的には、図8から図10等に示すように、台座枠33のうち一方の清掃パッド31Aと放電ワイヤ13を挟んだ状態で接触し得る部位に底面部33aよりも一段下げた形状の凹面部33cを形成し、その凹面部33cに第2の清掃パッド32を取り付けている。
【0059】
ここで、前記した清掃パッド31Aを揺動自在に支持する揺動材36は、清掃時に清掃パッド31Aが放電ワイヤ13を挟んで第2の清掃パッド32と接触した状態に保たれるようにするため、コイルバネ37により、放電ワイヤ13に接近する方向C2に弾性的に押される力を受けた状態に保たれている。コイルバネ37は、そのコイル部を軸35に装着したうえで、その一方の端部58aを上部枠体51に固定し、その他方の端部58bを保持板部56aの背面側を押さえるように配置するという状態で取り付けられている。
【0060】
また、揺動材36は、非清掃時に清掃パッド31Aが放電ワイヤ13及び第2の清掃パッド32から離れた状態に保たれるようにするため、清掃装置3が待機停止位置TPにむけて矢印A2で示す方向に移動して停止する過程で、コイルバネ37の押す力に抗して放電ワイヤ13から離間する方向C1に揺動させられる。
【0061】
このときの揺動材36の揺動を実現するため、例えば、揺動材36の軸35で支持される端部から自由端部にむかう下面部に、感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に徐々に突出した状態になる傾斜面部38aを有する突出部38を形成している。また、帯電装置1の端部支持体11に、放電ワイヤ13の張り渡し方向Aとほぼ平行する方向に突出した形態のガイド突片39を形成している。
【0062】
これにより、清掃装置3が待機停止位置TPにむけて矢印A2の方向に移動するときに、突出部38の傾斜面部38aがガイド突片39の曲面状の先端部39aに接触しながら移動することで、揺動材36の自由端部36a側が上方に(感光体ドラム111から離間する方向C1)持ち上げられるように揺動し始め、また、最終的に突出部38(の頂点部)がガイド突片39の水平保持ガイド面部39bに乗り上げて保持されることで、揺動材36の自由端部側が上方に持ち上げられた状態に保たれる。
【0063】
放電ワイヤ13は、清掃装置3が非清掃時において待機停止位置TPに停止しているときには、図8から図10等に示すように、第1の清掃パッド31A,31Bと第2の清掃パッド32のいずれにも接触しない状態に保たれる。これにより、放電ワイヤ13が、帯電動作時等において感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになっている。
【0064】
次に、清掃装置3及び移動装置4の動作について説明する。
【0065】
清掃装置3は、非清掃時には、図8から図10等に示すように帯電装置1の一方の端部支持体11に接近した待機停止位置HPに停止している。この待機停止位置HPへの移動は、移動装置4の移動動作により行われる。
【0066】
この際、清掃装置3における第1の清掃パッド31の一方の清掃パッド31Aは、前述したように、それを保持する揺動材36が端部支持体11のガイド突片39との接触により感光体ドラム111の周面から離間する方向C1に揺動した状態となることにより、図10に示すように放電ワイヤ13及び第2の清掃パッド31の双方から離れた非接触の状態になっている。これにより、放電ワイヤ13については、清掃装置3の3つの清掃パッド31A、31B、32のいずれとも接触しない状態となって(図10)、帯電装置1の2つの端部支持体11,12に張り渡された自然の状態におかれ、感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになる(図6等)。
【0067】
一方、清掃時になると、清掃装置1は、図6に示すように、待機停止位置HPと折返し位置TPとの間で往復移動する。清掃時期としては、例えば、帯電装置1の帯電動作の前後の時期や、画像形成動作が設定枚数に達した時点や、画質不良の解消を行う作業時期などが挙げられる。
【0068】
この際、まず、移動装置4における回転駆動伝達装置44が移動フレーム45を矢印A1で示す方向に移動させることができる回転方向の回転動力を回転軸41に伝達する。これにより、回転する回転軸41のコイル状線材43の一部が、移動フレーム45の受動支持部45Bにおける動力受け孔46の突起46に接触して矢印A1で示す方向に向く推進力を与えることなり、その推進力によって移動フレーム45の全体がシールドケース10内を回転軸41に沿った状態で移動し始める。この結果、移動フレーム45に支持された清掃装置3(各清掃パット等)が折返し位置TPにむけて移動し始める。つまり、清掃装置3の往路移動が開始される。
【0069】
この際、清掃装置3における第1の清掃パッド31の一方の清掃パッド31Aは、前述したように、それを保持する揺動材36が端部支持体11のガイド突片39との接触から開放されて感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に揺動した状態となることにより、図11に示すように放電ワイヤ13を挟んで第2の清掃パッド32と接触した状態になる。
【0070】
詳しくは、清掃パッド31Aは、最初に、放電ワイヤ13にその上側から接触し、その放電ワイヤ13を第2の清掃パッド31の上面に接近させるような状態で下方に押し下げる。この際、清掃パッド31Aは、放電ワイヤ13が第1の清掃パッドとしての他方の清掃パッド31Bの上面に接触するまで押し下げる。引き続き、清掃パッド31Aは、コイルバネ37の押す力を受けて矢印C2の方向に揺動する揺動材36により押されて、放電ワイヤ13を挟んだ状態で更に第2の清掃パッド31を押して加圧した状態で下方に変位する。
【0071】
そして、清掃装置3は、その第1の清掃パッド31A,32Bと第2の清掃パッド32が上記したような状態になったうえで折返し位置TPまで矢印A1で示す方向に往時移動した後、再び待機停止位置HPに戻るように矢印A2で示す方向に復路移動する。
【0072】
この際、移動装置4では、移動フレーム45が帯電装置1における他方の端部支持体12に到達すると、回転駆動装置44が回転方向を逆転させた回転動力に切り替える。これにより、回転軸41が往時移動のときとは反対の方向に回転する。この逆方向に回転する回転軸41のコイル状線材43の一部が、移動フレーム45の受動支持部45Bにおける動力受け孔46の突起46に接触して矢印A2で示す方向に向く推進力を与えることなり、その推進力によって移動フレーム45の全体がシールドケース10内を回転軸41に沿った状態で往時移動のときとは反対側の方向(矢印A2の方向)に移動し始める。この結果、移動フレーム45に支持された清掃装置3(各清掃パット等)が待機停止位置HPにむけて移動し始める。つまり、清掃装置3の復路移動が開始される。
【0073】
最後に、清掃装置3は、往路移動により待機停止位置HPまで移動すると、移動装置4の移動動作が終了して停止する。これにより、清掃装置3による清掃動作が終了する。また、清掃装置3は、待機停止位置HPに戻ると、前述したように清掃パット31Aが矢印C1の方向に揺動することにより、3つの清掃パット31A,31B,32のいずれもが放電ワイヤ13から離れた状態になる(図9、図10)。
【0074】
このように清掃装置3が移動装置4の駆動により帯電装置1において復路移動及び復路移動をすることで、帯電装置1の放電ワイヤ13が次のように清掃される。すなわち、放電ワイヤ13は、第1の清掃パッドとしての2つの清掃パッド31A,31Bにより屈曲した状態にされつつ、その清掃パッド31A,31Bが放電ワイヤ13の上側及び下側から接触した状態で移動することにより、そのワイヤの表面が摺擦されて清掃される。また、放電ワイヤ13は、第2の清掃パッド32が清掃パッド31Aにより圧縮された状態でワイヤの下側から接触して移動するので、これによってもそのワイヤの表面が摺擦されて清掃される。
【0075】
このようにして清掃装置3で清掃された帯電装置1は、その放電ワイヤ13に付着する放電生成物等の不要物が良好に取り除かれる。この結果、この清掃後の帯電装置1によって行われる帯電では、放電ワイヤ13に付着又は残留する不要物の存在に起因した帯電ムラ、帯電不足等の帯電不良が発生することが殆どない。
【0076】
またこれにより、この清掃装置3を備えた帯電装置1を使用する画像形成装置100においても、上記の帯電不良に起因した筋、背景部へのかぶり等の画像不良が発生することが殆どない。
【0077】
そして、この帯電装置1の清掃装置3に使用する移動装置4においては、図12に示すように、回転軸41として、その軸の表面に被膜47を形成しており、その被膜47により丸棒42とコイル状線材43の境界部分を被覆したものを適用している。
【0078】
被膜47は、メラミン系樹脂塗料を用いて焼付け塗装法により形成している。メラミン系樹脂塗料としては、例えば、エポキシ(変性)メラミン樹脂を主成分とする塗料(大東ペイント株式会社製/商品名ルブリダイト:♯3260)を使用した。焼付け塗装は、丸棒42にコイル状線材43を固定したものを塗料液に浸漬して回転させながら引き上げた後、加熱処理(例えば170℃×20分)をして塗膜の塗料を熱硬化させるという工程で行った。
【0079】
また、被膜47は、その膜厚について以下の条件を満たすように形成している。すなわち、図13に示すように、回転軸41の基材(被膜を除いた構成部分)としてコイル状線材43の仮想内径D1が丸棒42の外径D2よりも大きい値(D1>D2)に設定されたものを使用する場合には、被膜47は、コイル状線材43の仮想内径D1から丸棒42の外径D2を減算したときの値Δd(=D1−D2)よりも大きい値の膜厚M1(>Δd)となるよう形成している。実施の形態1では、丸棒42として外径D2が約3.0mmのステンレス製の丸棒を使用し、コイル状線材43として仮想内径D1が約3.1〜3.2mm、ピッチEが約6.1〜7.1mmのステンレス製線材(線の直径D3:約1.0mm)のものを使用したとき、仮想内径D1と外径D2の減算値Δdが0.1〜0.2mmとなるが、被膜47として膜厚M1が約20〜30μmのものを形成した。
【0080】
ここで、仮想内径D2とは、図13(b)に例示するように、線材43の螺旋状に巻いた状態を端部方向から見たときに線材が描く円環の内側に存在する円の直径を内径として想定したものである。膜厚Mは、乾燥時における厚さである。また、この回転軸41(の基材)における境界部分とは、例えば、図15(a)に示すように、2本の二点鎖線の縦線J1,J2と丸棒42及びコイル状線材43の表面部分との間で囲まれる空間部分K1と、その空間部分K1に存在する丸棒42及びコイル状線材43の表面部分とする。この場合の境界部分は、丸棒42の表面とコイル状線材43の表面が完全に離間した状態となるので、その両者間に明白な空間となる隙間S(図13)が存在するものとなる。また、2本の縦線J1,J2は、線材43の丸棒42との接点を中心として、例えば、お互いが線材の径D3の1/3〜2/3の値(W)だけ離れたものとすることがよい。したがって、被膜47は、この境界部分を被覆して外部から見えない状態になるよう形成されるものとなる。
【0081】
このような回転軸41を使用する移動装置4を利用した清掃装置3においては、その清掃時になると、前述したように回転軸41が回転して移動装置4の移動フレーム45を往復移動させる。この際、被膜47を形成していない回転軸41を使用していた場合には、その丸棒42とコイル状線材43の隙間(前記境界部分にほぼ相当する)に、その隙間をきっかけとして埃、トナー等の不要物が付着し、徐々に堆積することがある。このため、この不要物の存在により、例えば回転軸41の不要物が付着及び堆積している部分と移動フレーム45の受動支持部45Bにおける動力受け孔46の突起46aとが引っ掛かった状態になることで、移動フレーム45の移動が阻害される(最悪の場合は停止する)。
【0082】
しかし、被膜47を形成した回転軸41を使用した場合には、丸棒42とコイル状線材43の隙間が被膜47で被覆された(換言すれば埋められた)状態になっているため、その隙間に不要物が付着及び堆積するということが発生しない。
【0083】
以上のことから、まず、移動装置4においては、移動フレーム45が不要物の付着及び堆積により阻害されることなく安定して移動するようになる。
また、メラミン系樹脂塗料で形成されている被膜47は、動摩擦係数が比較的小さい値になる。これにより、回転軸41が動力受け孔46に対しても大きな負荷を受けることなく円滑に回転するようになり、この結果、移動フレーム45も回転軸41の回転により良好に移動する。
さらに、焼付け塗装されて形成されている被膜47は、回転軸41(丸棒42及び線材43)に対して強固に固着したものとなる。これにより、回転軸41が動力受け孔46を介して移動フレーム45の受動支持部45Bとの間で回転摩擦を長期にわたって受けても剥がれにくくなり、この結果、移動フレーム45も回転軸41の回転により長期にわたって良好に移動する。
【0084】
そして、移動装置4における移動フレーム45が安定して移動することにより、その移動フレーム45に搭載された清掃装置3も安定して移動することとなるので、その清掃装置3による放電ワイヤ13等の清掃が良好に行われる。また、この清掃装置3による放電ワイヤ13等の清掃が良好に行われることにより、その帯電ワイヤ13を備えた帯電装置1による帯電も良好に行われるようになる。
【0085】
[他の実施の形態]
実施の形態1では、移動装置4における回転軸41の基材として、図14に示すようにコイル状線材43の仮想内径D1が丸棒42の外径D2以下の値(D1≦D2)に設定されたものを使用する場合には、被膜47は、その丸棒42と線材43の境界部分を被覆できる値の膜厚M2とすればよい。このような回転軸41の基材として、例えば、外径D2が約3.0mmのステンレス製の丸棒42に、仮想内径D1が約2.9〜3.0mmのステンレス製線材(線の直径D3:約1.0mm)のものを使用した場合、被膜47として膜厚M2が約20〜30μmのものを形成することができる。
【0086】
この回転軸41(の基材)における境界部分とは、例えば、図15(b)に示すように、2本の二点鎖線の縦線J1,J2と丸棒42及びコイル状線材43の表面部分との間で囲まれる空間部分K2、K3と、その空間部分K2、K3に存在する丸棒42及びコイル状線材43の表面部分とする。この場合の境界部分は、丸棒42の表面とコイル状線材43の表面が互いに接触した状態となるので、その両者間に空間となる隙間が存在しないものとなるが、断面形状で見たときに丸棒42と線材43の接点の両側に存在する楔状の隙間空間(K2,K3)が存在したものとなる。また、この回転軸41の基材を使用した場合の被膜47の膜厚M2は、前記したコイル状線材43の仮想内径D1が丸棒42の外径D2よりも大きい値に設定されたものを使用した場合における被膜47の膜厚M1に比べて、丸棒42とコイル状線材43が接触していないことで形成される隙間が存在しない分だけ、薄い膜厚(M2<M1)とすることができる。
【0087】
したがって、このときの被膜47は、上記の境界部分を被覆して外部から見えない状態になるよう形成されるものとなる。これにより、この被膜47を形成した回転軸41を使用した場合も、丸棒42とコイル状線材43の隙間(K2,K3)が被膜47で被覆された状態になるため、その隙間に不要物が付着及び堆積するということが発生しない。
【0088】
また、回転軸41における被膜47は、他の熱硬化性樹脂を主成分とする塗料で形成することもできる。熱硬化性樹脂系の塗料としては、例えば、アクリルメラミン樹脂を主成分とする塗料(大東ペイント株式会社製/商品名ルブリダイト:♯2250、♯2270)、ポリイミド樹脂を主成分とする塗料(大東ペイント株式会社製/商品名ルブリダイト:♯5250)等が挙げられる。
【0089】
また、回転軸41における被膜47は、焼付け塗装して形成したものが好ましいが、他の塗装法を適用して形成することも可能である。焼付け塗装の場合は、乾燥むらがなく非常に強固な塗膜を形成することができる。
【0090】
この他、清掃装置4は、実施の形態1では帯電装置1の清掃装置3に適用した場合を例示したが、画像形成装置1における直線移動を要する他の構成部分に適用したり、あるいは、画像形成装置1以外の装置における直線移動を要する他の構成部分に適用することができる。清掃装置4における移動フレーム45は、実施の形態1で例示した形態のものに限定されず、回転軸41の回転動力を利用して移動することができるものであれば、他の形態からなる移動体を適用することができる。
【0091】
また、帯電装置1については、グリッド電極14を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置として構成することもできる。また、帯電装置については、感光体ドラム以外の被帯電体を帯電させる帯電装置として使用することができる他、コロナ放電を利用する転写装置、記録用紙の剥離装置等として使用することもできる。
【0092】
さらに、画像形成装置100については、作像ユニット102として複数のものを使用して異なる色のトナー像を作像するように構成することもできる。この場合、各作像ユニット102における感光体ドラムの周面に形成されるトナー像は、例えば、その各作像ユニット102における感光体ドラムと転写装置の間の転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の中間転写体に重ね合わせるように転写した後に、その中間転写体から用紙に一括して転写する、いわゆる中間転写方式を採用して被記録材に転写する構成を適用することができる。また、各作像ユニット102における上記転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の用紙搬送転写体で搬送される用紙に重ね合わせるように転写する形態として構成することもできる。これ以外にも、1つの作像ユニット102として、異なる色のトナーによる現像を行うことができる現像装置を複数設置し、1つの感光体ドラムに色の異なる複数トナー像を順次形成する形態の作像ユニットを適用することもできる。
【符号の説明】
【0093】
1 …帯電装置
3 …清掃装置
4 …移動装置
10…シールドケース(覆い部材)
13…放電ワイヤ(放電線材)
31、32…清掃パッド(清掃部材)
41…回転軸
42…丸棒
43…コイル状線材(螺旋巻き線材)
45…移動フレーム(移動体)
46…動力受け孔
46a…突起
47…被膜
D1…線材の仮想内径
D2…丸棒の外径
M1,M2…膜厚
Δd…減算値(減算したときの値)
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動装置並びにこれを用いた帯電装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録用紙等の被記録材に画像を形成する画像形成装置としては、電子写真方式等を利用するものがある。この方式を利用する画像形成装置では、例えば、次のようにして画像の形成が行われている。すなわち、回転する感光体の表面をコロナ放電器からなる帯電装置により所要の電位に帯電させ、その帯電した感光体の表面に露光装置から画像情報に応じた露光を行って静電潜像を形成した後、その静電潜像を現像装置から供給する現像剤(例えばトナー)で現像してトナー像とし、次いで、その感光体上のトナー像を被記録材に直接又は中間転写体を介して転写した後に定着することで被記録材に画像が形成される。
【0003】
また、この画像形成装置で使用されるコロナ放電器からなる帯電装置にあっては、感光体の表面に間隔をあけた状態でかつその回転軸の方向に沿った状態で張り渡されているとともに帯電用の電圧が印加される放電ワイヤが存在する。しかし、その放電ワイヤは、トナーや放電生成物等の不要物が付着することで汚染されることがあり、それが原因で帯電むら、帯電不足等の帯電不良を誘発するおそれがある。
【0004】
このため、コロナ放電器からなる帯電装置のなかには、その放電ワイヤに付着する不要物を除去する清掃装置を装備しているものがある。その清掃装置としては、放電ワイヤの張り渡し方向に移動して少なくとも放電ワイヤに接触して不要物を除去する清掃部材を備え、その清掃部材を放電ワイヤの張り渡し方向に移動させる移動装置に支持して移動させるものがある。また、移動装置としては、直線状の丸棒の周面に螺旋巻き線材(コイル状部材)を巻き付けた状態で固定してなる回転軸を用い、その回転軸の回転動力を直線運動の推進力に変換して回転軸に沿った状態で移動する移動体に清掃部材を支持(搭載)したものがある。
【0005】
このような移動装置に支持させた清掃装置を装備する帯電装置としては、例えば以下のものが知られている。
【0006】
1つは、コロナ放電を行う電子写真印刷装置のコロナ放電装置において、コロトロン清掃部材と、スクリュー状の形状をしてコロトロン清掃部材を支持しかつその回転運動により清掃部材を移動させるスクリューシャフトと、スクリューシャフトを駆動するモータと、清掃部材を移動させるためのスクリューシャフトの回転を直進運動に換える伝達部としてワイヤバネ状部材を設けたコロナ放電装置がある(特許文献1)。
特許文献1には、この放電装置によれば、スクリューシャフトの動力伝達を行う清掃部材にトルクリミッタ機能のあるワイヤバネ状部材を用い、一定値以上の荷重を逃がすことにより、ギヤの変形、シャフトのずれをなくし、モータのロック発生を防止させ、これにより安定して清掃動作させ、放電装置の寿命を向上させることができることが示されている。
【0007】
また、シールドケースに移動自在に支持されるとともに電極ワイヤの軸線方向に沿って移動する支持体と、この支持体に支持されて電極ワイヤに接触する清掃パットを備えた清掃ユニットを有し、その清掃ユニットの支持体には、電極ワイヤの軸線方向の貫通孔が設けられているとともに内周面に螺旋状の溝が形成された駆動伝達部が設けられており、その駆動伝達部の貫通孔に、両端が支持されたスクリュー部材が螺合されて貫通し、そのスクリュー部材の回転駆動によって支持体(清掃パット)が電極ワイヤの軸線方向に移動するように構成された帯電装置である(特許文献2)。
特許文献2には、この画像形成装置によれば、一次転写後の転写チリを安定して抑制することができ、中間転写体を二次転写後に効率よく除電することで高品質の画像を得ることができることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−117328号公報
【特許文献2】特開2009−116100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、例えば帯電装置の放電線材を移動して清掃する清掃装置に適用することが可能であって、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定した回転軸の回転動力を直線運動に変換して移動する移動体を備えた移動装置として、その回転軸における丸棒と螺旋巻き線材の間の隙間に埃(塵)等の不要物が付着及び堆積することが防止され、移動体を安定して移動させることができる移動装置を提供するものである。
また、この発明は、その移動装置を用いて、帯電装置における清掃装置を回転軸へのトナー等を含む不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して移動させ、それにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる帯電装置や画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明(A1)の移動装置は、
直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受動孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体と
を備え、
前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されているものである。
【0011】
この発明(A2)の移動装置は、上記発明A1の移動装置において、前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、前記被膜が、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されているものである。
【0012】
この発明(A3)の移動装置は、上記発明A1又はA2の移動装置において、前記被膜がメラミン系樹脂塗料で形成されているものである。
【0013】
この発明(A4)の移動装置は、上記発明A1からA3のいずれかの帯電装置において、前記移動装置における前記被膜が焼付け塗装されて形成されているものである。
【0014】
また、この発明(B1)の帯電装置は、
回転する被帯電体の表面と間隔をあけた状態でかつその被帯電体が回転するときの軸方向に沿う状態で張り渡されるとともに、被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される放電線材と、
前記被帯電体と向き合う部分が少なくとも解放された箱状の形状からなり、その内部の空間に前記放電線材が張り渡された状態で設置されている覆い部材と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に移動して少なくとも当該放電線材に接触して付着物を除去する清掃部材を備えた清掃装置と
を有し、
前記清掃装置は、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿った状態で回転自在に取り付けられ、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿って移動自在に取り付けられ、前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受け孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体とを備えた移動装置に支持されて移動し、
前記移動装置における前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されているものである。
【0015】
この発明(B2)の帯電装置は、上記発明B1の帯電装置において、前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、前記被膜が、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されているものである。
【0016】
この発明(B3)の帯電装置は、上記発明B1又はB2の帯電装置において、前記移動装置における前記被膜がメラミン系樹脂塗料で形成されているものである。
【0017】
この発明(B4)の帯電装置は、上記発明B1からB3のいずれかの帯電装置において、前記移動装置における前記被膜が焼付け塗装されて形成されているものである。
【0018】
さらに、この発明(C1)の画像形成装置は、被帯電体を帯電する帯電装置として、上記発明B1からB4のいずれかの帯電装置が使用されているものである。
【発明の効果】
【0019】
上記発明A1の移動装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における丸棒と螺旋巻き線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが防止され、移動体を安定して移動させることができる。
【0020】
上記発明A2の移動装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における丸棒と螺旋線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが確実に防止され、移動体をより安定して移動させることができる。
【0021】
上記発明A3の移動装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における棒と螺旋線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが確実に防止され、移動本体を円滑かつ安定して移動させることができる。
【0022】
上記発明A4の移動装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、回転軸における棒と螺旋線材の間の隙間に埃等の不要物が付着及び堆積することが防止され、移動体を長期にわたり安定して移動させることができる。
【0023】
上記発明B1の帯電装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0024】
上記発明B2の帯電装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく確実に安定して移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0025】
上記発明B3の帯電装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して円滑に移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0026】
上記発明B4の帯電装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく長期にわたり安定して移動し、これにより良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができる。
【0027】
上記発明C1の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、帯電装置における清掃装置が移動装置の回転軸への不要物の付着及び堆積によって阻害されることなく安定して移動し、良好な清掃ひいては良好な帯電を行うことができ、これにより帯電不良に起因した画質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1に係る帯電装置の外観を斜め上方から見たときの状態で示す斜視図である。
【図2】図1の帯電装置の外観を斜め下方から見たときの状態で示す斜視図である。
【図3】図1の帯電装置の要部(両端部の端部カバーを取り外した状態の構造部分)を示す斜視図である。
【図4】図1の帯電装置を用いた画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図5】図4の画像形成装置における作像ユニットを示す断面説明図である。
【図6】図1の帯電装置(清掃装置を装備するもの)の要部の構成を模式的に示す説明図である。
【図7】図1の帯電装置におけるQ−Q線に沿う部分の断面図である。
【図8】図1又は図3の帯電装置の一端部の構成(特に清掃装置及び移動装置)を示す斜視図である。
【図9】図9の帯電装置の一端部を矢印A2の方向から見たときの状態を示す正面図である。
【図10】待機停止位置にあるときの帯電装置の清掃装置及び移動装置の状態を示す説明図である。
【図11】待機停止位置から抜け出たとき(又は待機停止位置に戻る)ときの帯電装置の清掃装置及び移動装置の状態を示す説明図である。
【図12】移動装置における回転軸の構成を示す要部断面図である。
【図13】回転軸の丸棒とコイル状線材との構成例を示し、(a)はそれらの側面側から見たときの状態を示す断面説明図、(b)はそれらの正面(端部)側から見たときの状態を示す断面説明図である。
【図14】回転軸の丸棒とコイル状線材との他の構成例を示し、(a)はそれらの側面側から見たときの状態を示す断面説明図、(b)はそれらの正面(端部)側から見たときの状態を示す断面説明図である。
【図15】回転軸の丸棒とコイル状線材の境界部分を示し、(a)はコイル状線材が丸棒から離れた状態にある構成例における境界部分を示す断面概念図、(b)はコイル状線材が丸棒と接触した状態にある構成例における境界部分を示す断面概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1から図3は実施の形態1に係る帯電装置及びそれを用いた画像形成装置を示すものであり、図1はその帯電装置を斜め上方から見たときの外観を示し、図2はその帯電装置を斜め下方から見たときの外観を示し、図3はその帯電装置の要部を示し、図4はその帯電装置を用いた画像形成装置の要部をそれぞれ示している。
【0031】
画像形成装置100は、図4に示すように、支持部材、外装材等で構成される筐体101の内部空間に、トナー像を形成して用紙Pに転写する作像ユニット102と、作像ユニット102に供給する用紙Pを収容するとともに搬送する給紙装置103と、作像ユニット102で転写されたトナー像を用紙Pに定着する定着装置104を設置している。
【0032】
上記作像ユニット102は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものである。この作像ユニット102は、図4や図5に示すように、矢印で示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム111と、感光体ドラム111の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置1と、帯電後の感光体ドラム111の表面に画像情報(信号)に基づく光(Bm)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置113と、その静電潜像を現像剤としてのトナーにより現像してトナー像にする現像装置114と、そのトナー像を用紙Pに転写する転写装置115と、転写後の感光体ドラム111の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置116とで主に構成されている。
【0033】
このうち感光体ドラム111は、例えば接地された円筒状の導電性基体の外周面に有機感光材料等からなる光誘電層を形成したものである。帯電装置1は、コロナ放電形式の帯電器である。この帯電装置1の詳細については後述する。露光装置113は、画像形成装置100に接続又は装備される原稿読取装置、外部接続機器、記憶媒体読取装置等の画像生成源から入力される画像情報を図示しない画像処理装置で所要の処理をして得られる画像情報に基づく露光を行う。
【0034】
また、現像装置114は、例えばトナーとキャリアを含む現像剤を用い、その現像剤を収容部で回転する攪拌搬送部材114bにより攪拌しながら現像ロール114aを通過させるように搬送して感光体ドラム111と対向する現像領域に供給するものである。転写装置115は、帯電部材として感光体ドラム111に接触して回転する転写ロールを適用したものである。清掃装置116は、感光体ドラム111の周面に接触するクリーニングブレード116aと回転ブラシ116bを接触させる方式のものである。この他、帯電装置2(の放電ワイヤ)、現像装置114(の現像ロール114a)及び転写装置115(の転写ロール)には、作像時(画像形成動作実行時)になると、図示しない電源装置から帯電用電圧、現像用電圧、転写用電圧がそれぞれ供給される。
【0035】
給紙装置103は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙Pを積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体131と、その用紙収容体131に収容される用紙Pを1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置132とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙Pを1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体131は、利用態様に応じて複数装備される。図3における矢付き一点鎖線は、用紙Pの主な搬送路を示す。その搬送路は、図示しない複数の用紙搬送ロール対、搬送ガイド部材等で構成されている。
【0036】
定着装置104は、矢印方向に回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体141と、この加熱回転体141の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体142とを備え、その加熱回転体141と加圧回転体142との間に形成される定着部にトナー像転写後の用紙Pを通過させて定着を行うようになっている。
【0037】
この画像形成装置100による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙Pの片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
【0038】
画像形成装置100では画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット102において、回転始動する感光体ドラム111の周面が帯電装置1により所定の極性及び電位に帯電された後、その帯電した感光体ドラム111の周面に露光装置113により画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム111に形成された静電潜像が、現像装置114を通過する際に、その現像ロール114aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
【0039】
しかる後、感光体ドラム111上に形成されたトナー像は、感光体ドラム111の回転により転写装置115と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置103により搬送路を通して供給される用紙Pに対し転写装置115により転写される。この転写後の感光体ドラム111の周面は、清掃装置116で清掃される。
【0040】
続いて、トナー像が転写された用紙Pは、感光体ドラム111から剥離されて定着装置104に導入されるよう搬送され、その定着装置104における加熱回転体141と加圧回転体142との間の定着部を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が定着される。この定着が終了した後の用紙Pは、定着装置104から排出されて図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
【0041】
以上により、1枚の用紙Pの片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作を実行する指示要求がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0042】
次に、帯電装置1について説明する。
【0043】
帯電装置1は、図1から図5等に示すように、長方形状の天板とその天板の長手方向における両端部から下方に垂れ下がった状態の側板を有した形状からなるシールドケース(覆い部材)10と、シールドケース10の両端部に取り付けられる端部支持体11,12と、この2つの端部支持体11,12との間に、シールドケース10の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる放電線材としてのコロナ放電ワイヤ13と、シールドケース10の下部開口部に、その開口部を覆い、コロナ放電ワイヤ13と感光体ドラム111の周面との間に存在する状態で取り付けられる格子状の電界調整板(グリッド電極)14とを備える、いわゆるスコロトロン型の帯電装置である。図1等における符号15、16は端部支持体11,12の一部を覆う状態で取り付けられる端部カバーを示し、図4における符号17a,17bは放電ワイヤ13の両端部をそれぞれ取り付ける取付け部を示す。
【0044】
この帯電装置1は、そのコロナ放電ワイヤ13が、感光体ドラム111の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム111の回転軸方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態となるように配置される。また、帯電装置1は、図示しない電源装置から放電ワイヤ13(と感光体ドラム111との間)に帯電用の電圧が印加される。放電ワイヤ13については、コロナ放電を発生して被帯電体である感光体ドラム111の周面を帯電させることができる線材であればよく、例えば、断面の外径が30〜60μmφのタングステン等の金属線が使用される。
【0045】
そして、帯電装置1は、作像時になると、放電ワイヤ13に帯電用の電圧が印加され、これにより放電ワイヤ13と感光体ドラム111の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生し、その結果、感光体ドラム111の周面を帯電させる。この際、感光体ドラム111の帯電電位は電界調整材14により調整される。
【0046】
また、帯電装置1は、その使用に伴ってコロナ放電ワイヤ13に放電生成物、トナーの外添剤等の物質(不要物)が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら、帯電不足等の帯電不良が発生することがある。このため、帯電装置1には、少なくとも放電ワイヤ13に付着する付着物を除去して清掃する清掃装置3が装備されている。
【0047】
以下、帯電装置1における清掃装置3について説明する。
【0048】
清掃装置3は、図5〜図7等に示すように、コロナ放電ワイヤ13に接触する第1の清掃パッド31と、放電ワイヤ13を挟んで第1の清掃パッド31(の一方)に接触する第2の清掃パッド32と、この第1の清掃パッド31及び第2の清掃パッド32を支持して放電ワイヤ13の張り渡し方向(矢印Aで示す方向)に沿って往復移動させる移動装置4とを備えている。実施の形態1では、第1の清掃パッド31を2つの清掃パッド31A及び31Bで構成している。
【0049】
また、清掃装置3は、その清掃をする時期でない非清掃時には、帯電装置1における一方(例えば帯電装置後方側)の端部支持体11に接近した待機停止位置(ホームポジション)HPに移動して停止している。一方、その清掃をする清掃時期には、待機停止位置HPから帯電装置1の他方の端部支持体12に接近した折返し位置TPまで移動した後、再び待機停止位置HPまで戻るように移動するという往復移動がなされる。ここで、清掃装置1の待機停止位置HPから折返し位置TPに向かう矢印A1で示す方向の移動を「往路移動」とし、反対にその折返し位置TPから待機停止位置HPにまで至る矢印A2で示す方向の移動を「復路移動」とする。
【0050】
この清掃装置3の移動を実現する移動装置4は、放電ワイヤ13の張り渡し方向Aとほぼ平行する状態となるようシールドケース10(又は端部支持体11,12)に回転自在に取り付けられた回転軸41と、この回転軸41の回転動力を直線運動の推進力に変換して回転軸5に沿った状態で移動する移動フレーム45とで構成されている。図2における符号44は、回転軸41の一端部と接続して回転動力を伝達する回転駆動装置である。
【0051】
回転軸41は、図1から図3や図6から図8等に示すように、直線状の丸棒42に螺旋巻き線材としてのコイル状線材43を巻き付けた状態で固定した構造のものである。この回転軸41は、例えば、予め一定のピッチ(巻き間隔)Eで螺旋状に巻かれた状態の線材43の巻き中央空間に丸棒42を貫通させて存在させた状態のものでもあり、コイル状線材43の両端部を丸棒42に固定している。
【0052】
また、回転軸41は、その丸棒42の両端部が軸受け部18A,18Bに回転自在に支持されている(図3)。また、回転軸41は、丸棒42の一端部42aに固定される連結材49を介して回転駆動装置44(駆動軸)と接続されるようになっており、その接続により回転駆動装置44の回転動力が伝達されて所要の方向に回転する。ちなみに、回転軸41は、回転駆動装置44により回転方向が切り替えられて両方向に回転する。さらに、丸棒42とコイル状線材43はいずれも金属材料で形成されたものであり、例えばステンレス製のものが使用される。これ以外の回転軸41の詳細については後述する。
【0053】
移動フレーム45は、図8や図9等に示すように、シールドケース10の内側空間に嵌め入れられる形状及び寸法からなる断面形状がほぼコ字状の本体部45Aと、本体部45Aの片側の側面部45Aaの下部から延びてシールドケース10の一方の側面部10aの外側において立ち上がる形態の受動支持部45Bと、本体部45Aの上面部45Abに本体部45Aをシールドケースの上面部10bに移動自在に支持させる移動支持部45Cとで構成されている。移動支持部45Cは、断面L字状に屈曲させた形状のものであり、ケース上面部10bに放電ワイヤ13の張り渡し方向Aとほぼ平行する状態で形成されたスリット状のガイド孔19から突出させたうえで、その屈曲させた部分をケース上面部10bの一部に摺擦し得る状態で取り付けるようになっている。
【0054】
受動支持部45Bは、シールドケース10の外側において立ち上がる上部に円筒状の部位を設け、その円筒状の部位の筒内を回転軸41が貫通する円柱状の動力受け孔46として形成している。動力受け孔46は、その内周面に、コイル状線材43の隣り合う部分の間に入り込む(位置する)突起46aを形成している。突起46aは、例えば、コイル状線材43のピッチEよりも少し狭い幅で且つ線材43の外径とほぼ同じ高さからなり、またコイル状線材43の螺旋の傾きと対応した角度で傾斜した螺旋状に曲がる板状の形状で形成されている。
【0055】
移動フレーム45の本体部45Aには、その解放された下部に、清掃装置3の各清掃パットを設置するための台座枠33が合体した状態で取り付けられている。
【0056】
第1の清掃パッド31は、その一方の清掃パッド31Aを、台座枠33の側板部において放電ワイヤ13に対し接近及び離間する方向に変位する状態で取り付けている。これは、清掃装置3が非清掃時に待機停止位置TPで停止したときに、清掃パッド31Aが放電ワイヤ13及び第2の清掃パッド32から離れた状態に保たれる一方で、清掃時のときだけ、清掃パッド31Aが放電ワイヤ13を挟んで第2の清掃パッド32と接触した状態に保たれるようにするためである。具体的には、図9から図11等に示すように、台座枠33の側板部に、軸35を中心にして自由端部が放電ワイヤ13に対して接近する方向C1及び離間する方向2に揺動する揺動材36を設置し、その揺動材36の自由端部36aの下部に形成した保持板部36Bに清掃パッド31Aを取り付けている。
【0057】
また、第1の清掃パッド31は、その他方の清掃パッド31Bを、一方の清掃パッド31Aの端部支持体11から離れる側にあって一方の清掃パッド31Aから所要の間隔をあけた状態で、台座枠33に固定した状態で取り付けている。具体的には、図8から図10等に示すように、台座枠33の放電ワイヤ13と対向する底面部33aにおけるほぼ中央部付近に、清掃パッド31Bを取り付けている。第1の清掃パッド31は、その一方の清掃パッド31Aと他方の清掃パッド31Bを、放電ワイヤ13を挟んで反対側の位置にあって、放電ワイヤ13の張り渡し方向Aに間隔をあけて互いにずれた位置に存在する状態で配置している。
【0058】
第2の清掃パッド32は、台座枠33に固定した状態で取り付けている。具体的には、図8から図10等に示すように、台座枠33のうち一方の清掃パッド31Aと放電ワイヤ13を挟んだ状態で接触し得る部位に底面部33aよりも一段下げた形状の凹面部33cを形成し、その凹面部33cに第2の清掃パッド32を取り付けている。
【0059】
ここで、前記した清掃パッド31Aを揺動自在に支持する揺動材36は、清掃時に清掃パッド31Aが放電ワイヤ13を挟んで第2の清掃パッド32と接触した状態に保たれるようにするため、コイルバネ37により、放電ワイヤ13に接近する方向C2に弾性的に押される力を受けた状態に保たれている。コイルバネ37は、そのコイル部を軸35に装着したうえで、その一方の端部58aを上部枠体51に固定し、その他方の端部58bを保持板部56aの背面側を押さえるように配置するという状態で取り付けられている。
【0060】
また、揺動材36は、非清掃時に清掃パッド31Aが放電ワイヤ13及び第2の清掃パッド32から離れた状態に保たれるようにするため、清掃装置3が待機停止位置TPにむけて矢印A2で示す方向に移動して停止する過程で、コイルバネ37の押す力に抗して放電ワイヤ13から離間する方向C1に揺動させられる。
【0061】
このときの揺動材36の揺動を実現するため、例えば、揺動材36の軸35で支持される端部から自由端部にむかう下面部に、感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に徐々に突出した状態になる傾斜面部38aを有する突出部38を形成している。また、帯電装置1の端部支持体11に、放電ワイヤ13の張り渡し方向Aとほぼ平行する方向に突出した形態のガイド突片39を形成している。
【0062】
これにより、清掃装置3が待機停止位置TPにむけて矢印A2の方向に移動するときに、突出部38の傾斜面部38aがガイド突片39の曲面状の先端部39aに接触しながら移動することで、揺動材36の自由端部36a側が上方に(感光体ドラム111から離間する方向C1)持ち上げられるように揺動し始め、また、最終的に突出部38(の頂点部)がガイド突片39の水平保持ガイド面部39bに乗り上げて保持されることで、揺動材36の自由端部側が上方に持ち上げられた状態に保たれる。
【0063】
放電ワイヤ13は、清掃装置3が非清掃時において待機停止位置TPに停止しているときには、図8から図10等に示すように、第1の清掃パッド31A,31Bと第2の清掃パッド32のいずれにも接触しない状態に保たれる。これにより、放電ワイヤ13が、帯電動作時等において感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになっている。
【0064】
次に、清掃装置3及び移動装置4の動作について説明する。
【0065】
清掃装置3は、非清掃時には、図8から図10等に示すように帯電装置1の一方の端部支持体11に接近した待機停止位置HPに停止している。この待機停止位置HPへの移動は、移動装置4の移動動作により行われる。
【0066】
この際、清掃装置3における第1の清掃パッド31の一方の清掃パッド31Aは、前述したように、それを保持する揺動材36が端部支持体11のガイド突片39との接触により感光体ドラム111の周面から離間する方向C1に揺動した状態となることにより、図10に示すように放電ワイヤ13及び第2の清掃パッド31の双方から離れた非接触の状態になっている。これにより、放電ワイヤ13については、清掃装置3の3つの清掃パッド31A、31B、32のいずれとも接触しない状態となって(図10)、帯電装置1の2つの端部支持体11,12に張り渡された自然の状態におかれ、感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになる(図6等)。
【0067】
一方、清掃時になると、清掃装置1は、図6に示すように、待機停止位置HPと折返し位置TPとの間で往復移動する。清掃時期としては、例えば、帯電装置1の帯電動作の前後の時期や、画像形成動作が設定枚数に達した時点や、画質不良の解消を行う作業時期などが挙げられる。
【0068】
この際、まず、移動装置4における回転駆動伝達装置44が移動フレーム45を矢印A1で示す方向に移動させることができる回転方向の回転動力を回転軸41に伝達する。これにより、回転する回転軸41のコイル状線材43の一部が、移動フレーム45の受動支持部45Bにおける動力受け孔46の突起46に接触して矢印A1で示す方向に向く推進力を与えることなり、その推進力によって移動フレーム45の全体がシールドケース10内を回転軸41に沿った状態で移動し始める。この結果、移動フレーム45に支持された清掃装置3(各清掃パット等)が折返し位置TPにむけて移動し始める。つまり、清掃装置3の往路移動が開始される。
【0069】
この際、清掃装置3における第1の清掃パッド31の一方の清掃パッド31Aは、前述したように、それを保持する揺動材36が端部支持体11のガイド突片39との接触から開放されて感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に揺動した状態となることにより、図11に示すように放電ワイヤ13を挟んで第2の清掃パッド32と接触した状態になる。
【0070】
詳しくは、清掃パッド31Aは、最初に、放電ワイヤ13にその上側から接触し、その放電ワイヤ13を第2の清掃パッド31の上面に接近させるような状態で下方に押し下げる。この際、清掃パッド31Aは、放電ワイヤ13が第1の清掃パッドとしての他方の清掃パッド31Bの上面に接触するまで押し下げる。引き続き、清掃パッド31Aは、コイルバネ37の押す力を受けて矢印C2の方向に揺動する揺動材36により押されて、放電ワイヤ13を挟んだ状態で更に第2の清掃パッド31を押して加圧した状態で下方に変位する。
【0071】
そして、清掃装置3は、その第1の清掃パッド31A,32Bと第2の清掃パッド32が上記したような状態になったうえで折返し位置TPまで矢印A1で示す方向に往時移動した後、再び待機停止位置HPに戻るように矢印A2で示す方向に復路移動する。
【0072】
この際、移動装置4では、移動フレーム45が帯電装置1における他方の端部支持体12に到達すると、回転駆動装置44が回転方向を逆転させた回転動力に切り替える。これにより、回転軸41が往時移動のときとは反対の方向に回転する。この逆方向に回転する回転軸41のコイル状線材43の一部が、移動フレーム45の受動支持部45Bにおける動力受け孔46の突起46に接触して矢印A2で示す方向に向く推進力を与えることなり、その推進力によって移動フレーム45の全体がシールドケース10内を回転軸41に沿った状態で往時移動のときとは反対側の方向(矢印A2の方向)に移動し始める。この結果、移動フレーム45に支持された清掃装置3(各清掃パット等)が待機停止位置HPにむけて移動し始める。つまり、清掃装置3の復路移動が開始される。
【0073】
最後に、清掃装置3は、往路移動により待機停止位置HPまで移動すると、移動装置4の移動動作が終了して停止する。これにより、清掃装置3による清掃動作が終了する。また、清掃装置3は、待機停止位置HPに戻ると、前述したように清掃パット31Aが矢印C1の方向に揺動することにより、3つの清掃パット31A,31B,32のいずれもが放電ワイヤ13から離れた状態になる(図9、図10)。
【0074】
このように清掃装置3が移動装置4の駆動により帯電装置1において復路移動及び復路移動をすることで、帯電装置1の放電ワイヤ13が次のように清掃される。すなわち、放電ワイヤ13は、第1の清掃パッドとしての2つの清掃パッド31A,31Bにより屈曲した状態にされつつ、その清掃パッド31A,31Bが放電ワイヤ13の上側及び下側から接触した状態で移動することにより、そのワイヤの表面が摺擦されて清掃される。また、放電ワイヤ13は、第2の清掃パッド32が清掃パッド31Aにより圧縮された状態でワイヤの下側から接触して移動するので、これによってもそのワイヤの表面が摺擦されて清掃される。
【0075】
このようにして清掃装置3で清掃された帯電装置1は、その放電ワイヤ13に付着する放電生成物等の不要物が良好に取り除かれる。この結果、この清掃後の帯電装置1によって行われる帯電では、放電ワイヤ13に付着又は残留する不要物の存在に起因した帯電ムラ、帯電不足等の帯電不良が発生することが殆どない。
【0076】
またこれにより、この清掃装置3を備えた帯電装置1を使用する画像形成装置100においても、上記の帯電不良に起因した筋、背景部へのかぶり等の画像不良が発生することが殆どない。
【0077】
そして、この帯電装置1の清掃装置3に使用する移動装置4においては、図12に示すように、回転軸41として、その軸の表面に被膜47を形成しており、その被膜47により丸棒42とコイル状線材43の境界部分を被覆したものを適用している。
【0078】
被膜47は、メラミン系樹脂塗料を用いて焼付け塗装法により形成している。メラミン系樹脂塗料としては、例えば、エポキシ(変性)メラミン樹脂を主成分とする塗料(大東ペイント株式会社製/商品名ルブリダイト:♯3260)を使用した。焼付け塗装は、丸棒42にコイル状線材43を固定したものを塗料液に浸漬して回転させながら引き上げた後、加熱処理(例えば170℃×20分)をして塗膜の塗料を熱硬化させるという工程で行った。
【0079】
また、被膜47は、その膜厚について以下の条件を満たすように形成している。すなわち、図13に示すように、回転軸41の基材(被膜を除いた構成部分)としてコイル状線材43の仮想内径D1が丸棒42の外径D2よりも大きい値(D1>D2)に設定されたものを使用する場合には、被膜47は、コイル状線材43の仮想内径D1から丸棒42の外径D2を減算したときの値Δd(=D1−D2)よりも大きい値の膜厚M1(>Δd)となるよう形成している。実施の形態1では、丸棒42として外径D2が約3.0mmのステンレス製の丸棒を使用し、コイル状線材43として仮想内径D1が約3.1〜3.2mm、ピッチEが約6.1〜7.1mmのステンレス製線材(線の直径D3:約1.0mm)のものを使用したとき、仮想内径D1と外径D2の減算値Δdが0.1〜0.2mmとなるが、被膜47として膜厚M1が約20〜30μmのものを形成した。
【0080】
ここで、仮想内径D2とは、図13(b)に例示するように、線材43の螺旋状に巻いた状態を端部方向から見たときに線材が描く円環の内側に存在する円の直径を内径として想定したものである。膜厚Mは、乾燥時における厚さである。また、この回転軸41(の基材)における境界部分とは、例えば、図15(a)に示すように、2本の二点鎖線の縦線J1,J2と丸棒42及びコイル状線材43の表面部分との間で囲まれる空間部分K1と、その空間部分K1に存在する丸棒42及びコイル状線材43の表面部分とする。この場合の境界部分は、丸棒42の表面とコイル状線材43の表面が完全に離間した状態となるので、その両者間に明白な空間となる隙間S(図13)が存在するものとなる。また、2本の縦線J1,J2は、線材43の丸棒42との接点を中心として、例えば、お互いが線材の径D3の1/3〜2/3の値(W)だけ離れたものとすることがよい。したがって、被膜47は、この境界部分を被覆して外部から見えない状態になるよう形成されるものとなる。
【0081】
このような回転軸41を使用する移動装置4を利用した清掃装置3においては、その清掃時になると、前述したように回転軸41が回転して移動装置4の移動フレーム45を往復移動させる。この際、被膜47を形成していない回転軸41を使用していた場合には、その丸棒42とコイル状線材43の隙間(前記境界部分にほぼ相当する)に、その隙間をきっかけとして埃、トナー等の不要物が付着し、徐々に堆積することがある。このため、この不要物の存在により、例えば回転軸41の不要物が付着及び堆積している部分と移動フレーム45の受動支持部45Bにおける動力受け孔46の突起46aとが引っ掛かった状態になることで、移動フレーム45の移動が阻害される(最悪の場合は停止する)。
【0082】
しかし、被膜47を形成した回転軸41を使用した場合には、丸棒42とコイル状線材43の隙間が被膜47で被覆された(換言すれば埋められた)状態になっているため、その隙間に不要物が付着及び堆積するということが発生しない。
【0083】
以上のことから、まず、移動装置4においては、移動フレーム45が不要物の付着及び堆積により阻害されることなく安定して移動するようになる。
また、メラミン系樹脂塗料で形成されている被膜47は、動摩擦係数が比較的小さい値になる。これにより、回転軸41が動力受け孔46に対しても大きな負荷を受けることなく円滑に回転するようになり、この結果、移動フレーム45も回転軸41の回転により良好に移動する。
さらに、焼付け塗装されて形成されている被膜47は、回転軸41(丸棒42及び線材43)に対して強固に固着したものとなる。これにより、回転軸41が動力受け孔46を介して移動フレーム45の受動支持部45Bとの間で回転摩擦を長期にわたって受けても剥がれにくくなり、この結果、移動フレーム45も回転軸41の回転により長期にわたって良好に移動する。
【0084】
そして、移動装置4における移動フレーム45が安定して移動することにより、その移動フレーム45に搭載された清掃装置3も安定して移動することとなるので、その清掃装置3による放電ワイヤ13等の清掃が良好に行われる。また、この清掃装置3による放電ワイヤ13等の清掃が良好に行われることにより、その帯電ワイヤ13を備えた帯電装置1による帯電も良好に行われるようになる。
【0085】
[他の実施の形態]
実施の形態1では、移動装置4における回転軸41の基材として、図14に示すようにコイル状線材43の仮想内径D1が丸棒42の外径D2以下の値(D1≦D2)に設定されたものを使用する場合には、被膜47は、その丸棒42と線材43の境界部分を被覆できる値の膜厚M2とすればよい。このような回転軸41の基材として、例えば、外径D2が約3.0mmのステンレス製の丸棒42に、仮想内径D1が約2.9〜3.0mmのステンレス製線材(線の直径D3:約1.0mm)のものを使用した場合、被膜47として膜厚M2が約20〜30μmのものを形成することができる。
【0086】
この回転軸41(の基材)における境界部分とは、例えば、図15(b)に示すように、2本の二点鎖線の縦線J1,J2と丸棒42及びコイル状線材43の表面部分との間で囲まれる空間部分K2、K3と、その空間部分K2、K3に存在する丸棒42及びコイル状線材43の表面部分とする。この場合の境界部分は、丸棒42の表面とコイル状線材43の表面が互いに接触した状態となるので、その両者間に空間となる隙間が存在しないものとなるが、断面形状で見たときに丸棒42と線材43の接点の両側に存在する楔状の隙間空間(K2,K3)が存在したものとなる。また、この回転軸41の基材を使用した場合の被膜47の膜厚M2は、前記したコイル状線材43の仮想内径D1が丸棒42の外径D2よりも大きい値に設定されたものを使用した場合における被膜47の膜厚M1に比べて、丸棒42とコイル状線材43が接触していないことで形成される隙間が存在しない分だけ、薄い膜厚(M2<M1)とすることができる。
【0087】
したがって、このときの被膜47は、上記の境界部分を被覆して外部から見えない状態になるよう形成されるものとなる。これにより、この被膜47を形成した回転軸41を使用した場合も、丸棒42とコイル状線材43の隙間(K2,K3)が被膜47で被覆された状態になるため、その隙間に不要物が付着及び堆積するということが発生しない。
【0088】
また、回転軸41における被膜47は、他の熱硬化性樹脂を主成分とする塗料で形成することもできる。熱硬化性樹脂系の塗料としては、例えば、アクリルメラミン樹脂を主成分とする塗料(大東ペイント株式会社製/商品名ルブリダイト:♯2250、♯2270)、ポリイミド樹脂を主成分とする塗料(大東ペイント株式会社製/商品名ルブリダイト:♯5250)等が挙げられる。
【0089】
また、回転軸41における被膜47は、焼付け塗装して形成したものが好ましいが、他の塗装法を適用して形成することも可能である。焼付け塗装の場合は、乾燥むらがなく非常に強固な塗膜を形成することができる。
【0090】
この他、清掃装置4は、実施の形態1では帯電装置1の清掃装置3に適用した場合を例示したが、画像形成装置1における直線移動を要する他の構成部分に適用したり、あるいは、画像形成装置1以外の装置における直線移動を要する他の構成部分に適用することができる。清掃装置4における移動フレーム45は、実施の形態1で例示した形態のものに限定されず、回転軸41の回転動力を利用して移動することができるものであれば、他の形態からなる移動体を適用することができる。
【0091】
また、帯電装置1については、グリッド電極14を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置として構成することもできる。また、帯電装置については、感光体ドラム以外の被帯電体を帯電させる帯電装置として使用することができる他、コロナ放電を利用する転写装置、記録用紙の剥離装置等として使用することもできる。
【0092】
さらに、画像形成装置100については、作像ユニット102として複数のものを使用して異なる色のトナー像を作像するように構成することもできる。この場合、各作像ユニット102における感光体ドラムの周面に形成されるトナー像は、例えば、その各作像ユニット102における感光体ドラムと転写装置の間の転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の中間転写体に重ね合わせるように転写した後に、その中間転写体から用紙に一括して転写する、いわゆる中間転写方式を採用して被記録材に転写する構成を適用することができる。また、各作像ユニット102における上記転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の用紙搬送転写体で搬送される用紙に重ね合わせるように転写する形態として構成することもできる。これ以外にも、1つの作像ユニット102として、異なる色のトナーによる現像を行うことができる現像装置を複数設置し、1つの感光体ドラムに色の異なる複数トナー像を順次形成する形態の作像ユニットを適用することもできる。
【符号の説明】
【0093】
1 …帯電装置
3 …清掃装置
4 …移動装置
10…シールドケース(覆い部材)
13…放電ワイヤ(放電線材)
31、32…清掃パッド(清掃部材)
41…回転軸
42…丸棒
43…コイル状線材(螺旋巻き線材)
45…移動フレーム(移動体)
46…動力受け孔
46a…突起
47…被膜
D1…線材の仮想内径
D2…丸棒の外径
M1,M2…膜厚
Δd…減算値(減算したときの値)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受け孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体と
を備え、
前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されていることを特徴とする移動装置。
【請求項2】
前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、
前記被膜は、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されている請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記被膜はメラミン系樹脂塗料で形成されている請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記被膜は焼付け塗装されて形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
回転する被帯電体の表面と間隔をあけた状態でかつその被帯電体が回転するときの軸方向に沿う状態で張り渡されるとともに、被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される放電線材と、
前記被帯電体と向き合う部分が少なくとも解放された箱状の形状からなり、その内部の空間に前記放電線材が張り渡された状態で設置されている覆い部材と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に移動して少なくとも当該放電線材に接触して付着物を除去する清掃部材を備えた清掃装置と
を有し、
前記清掃装置は、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿った状態で回転自在に取り付けられ、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿って移動自在に取り付けられ、前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受け孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体とを備えた移動装置に支持されて移動し、
前記移動装置における前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、
前記被膜は、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されている請求項5に記載の帯電装置。
【請求項7】
前記移動装置における前記被膜はメラミン系樹脂塗料で形成されている請求項5又は6に記載の帯電装置。
【請求項8】
前記移動装置における前記被膜は焼付け塗装されて形成されている請求項5乃至7のいずれか1項に記載の帯電装置。
【請求項9】
被帯電体を帯電する帯電装置として、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の帯電装置が使用されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受け孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体と
を備え、
前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されていることを特徴とする移動装置。
【請求項2】
前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、
前記被膜は、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されている請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記被膜はメラミン系樹脂塗料で形成されている請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記被膜は焼付け塗装されて形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
回転する被帯電体の表面と間隔をあけた状態でかつその被帯電体が回転するときの軸方向に沿う状態で張り渡されるとともに、被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される放電線材と、
前記被帯電体と向き合う部分が少なくとも解放された箱状の形状からなり、その内部の空間に前記放電線材が張り渡された状態で設置されている覆い部材と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に移動して少なくとも当該放電線材に接触して付着物を除去する清掃部材を備えた清掃装置と
を有し、
前記清掃装置は、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿った状態で回転自在に取り付けられ、直線状の丸棒に螺旋巻き線材を巻き付けた状態で固定してなる回転軸と、
前記覆い部材に前記放電線材の張り渡し方向に沿って移動自在に取り付けられ、前記回転軸が貫通するとともに前記螺旋巻き線材の隣り合う部分の間に入り込む突起が内周面に形成された動力受け孔を有し、前記回転軸が回転して前記螺旋巻き線材の一部が前記動力受け孔の突起に接触することにより当該回転軸に沿って移動する移動体とを備えた移動装置に支持されて移動し、
前記移動装置における前記回転軸の表面に被膜が形成され、その被膜により前記丸棒と前記螺旋巻き線材の境界部分が被覆されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
前記螺旋巻き線材の仮想内径が前記丸棒の外径よりも大きい値に設定されている場合、
前記被膜は、前記線材の仮想内径から前記丸棒の外径を減算したときの値よりも大きい値の膜厚で形成されている請求項5に記載の帯電装置。
【請求項7】
前記移動装置における前記被膜はメラミン系樹脂塗料で形成されている請求項5又は6に記載の帯電装置。
【請求項8】
前記移動装置における前記被膜は焼付け塗装されて形成されている請求項5乃至7のいずれか1項に記載の帯電装置。
【請求項9】
被帯電体を帯電する帯電装置として、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の帯電装置が使用されていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−88659(P2012−88659A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237579(P2010−237579)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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