説明

移動装置

【課題】移動形態時においては、移動の邪魔にならずに何度でも使用可能な電磁波が発生する装置の保護を図る機能を持ち、所定場所に設置した設置形態では、電磁波漏洩の対策となるような複数の機能を持つ構造の移動装置を提供する。
【解決手段】移動装置は、電磁波が発生する装置を載置して所定場所に移動させるためのキャスターを備えた移動装置において、前記移動装置本体の四辺のそれぞれに取り付けられ移動時には載置されている電磁波が発生する装置を保護する位置まで持ち上げて固定し設置時には前記キャスターが乗っている床の位置まで降ろして固定する遮蔽板と、前記遮蔽板の下部縁に設けられ前記移動装置本体を固定するための足場と、ガスケットと、導電布と、扉と、クッション付きのガードバンパーとを具備したことを特徴とする移動装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置に関し、詳しくは移動手段としてキャスターなどを持つ移動装置で移動時に製品保護のための処理が必要で且つ装置下部から電磁波などの放射が考えられる移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、移動装置は、図7及び図8に示すように、電磁波が発生する装置11を載せて移動させるものであり、上部開口の箱型形状に形成され、4方向に連設した壁12と、壁12に連設した底部13とからなり、底部13の四方辺にキャスター15を備え、且つキャスター15の近傍位置でコーナー部にレベルフット25を備えた構成になっている。
底部13には、強制空冷の風を送り込むための金網16a、16b、16cを数箇所に分けて設けた構造となっている。
そして、壁12の周囲にはラップなどの緩衝材26で覆い、壁12の外側に木枠等の保護材27を設けて電磁波が発生する装置11の保護を図る構造となっている。
【0003】
このような構成の移動装置においては、移動時は、図7に示すように、移動装置固定用のレベルフット25を持ち上げ、キャスター15で移動する。
所定場所に移動して設置するときには、図9及び図10に示すように、レベルフット25を下げて所定位置に設置する。そして、所定位置に設置後は保護材27や緩衝材26を外す。この状態で電磁波が発生する装置11を駆動させると、電磁波が金網16a、16b、16cを通り越して床で反射して移動装置の外方向に放射することになる。
【特許文献1】特開2003−291454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術で説明した移動装置において、移動時に製品保護に使用する部材のうち木枠等の保護材は再利用可能であるが、ラップ等の緩衝材は、一度の移動で廃棄する必要があるという問題がある。
又、強制空冷のための底部に設けた金網は、遮蔽板などの電磁波漏洩の対策と比較すると、優れたものとはいえないが、移動時の制限があるため、電磁波漏洩の対策として有効的でないという問題もある。
【0005】
従って、移動形態時においては、移動の邪魔にならずに何度でも使用可能な電磁波が発生する装置の保護を図る機能を持ち、所定場所に設置した設置形態では、電磁波漏洩の対策となるような複数の機能を持つ構造を移動装置に取り付けることに解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の移動装置は、次に示す構成にしたことである。
【0007】
(1)移動装置は、電磁波が発生する装置を載置して所定場所に移動させるためのキャスターを備えた移動装置において、前記移動装置本体の四辺のそれぞれに取り付けられ移動時には載置されている電磁波が発生する装置を保護する位置まで持ち上げて固定し設置時には前記キャスターが乗っている床の位置まで降ろして固定する遮蔽板と、前記遮蔽板の下部縁に設けられ前記移動装置本体を固定するための足場と、前記遮蔽板の下部縁の前記足場が設けられた以外の部分に前記遮蔽板が降ろされた場合に前記床との隙間が開かないように取付けられたガスケットと、一方の縁部分が前記遮蔽板の上部縁に他方の縁部分が前記装置本体に取付けられて前記遮蔽板と前記装置本体との電磁が通る隙間をなくすように設けられた導電布と、前記遮蔽板が持ち上げられた状態において開かないように固定された扉と、前記遮蔽板の表面側には前記移動装置を保護でき且つ着脱自在に取付けられたクッション付きのガードバンパーとを具備したことを特徴とする移動装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、移動形態の遮蔽板は、表面に取り付けてあるガードバンパーで移動装置を保護でき、また、扉など、移動時に動いて欲しくないものを固定する機能を持ち、設置形態の遮蔽板は、降ろして固定することで、遮蔽板についている足場でレベルフット代わりに装置を固定することができる。
また、降ろした遮蔽板は、従来移動の障害になるため取り付けることができなかった装置下部の電磁波漏洩を抑制できる。
設置場所の床がアース電位の金属である場合、金属製の足場とそのまわりの隙間を埋めるガスケットを通じて遮蔽板全体を接地させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本願発明に係る移動装置の実施例について図面を参照して説明する。尚、従来技術で説明したものと同じものには同一符号を付与して説明する。
【0010】
本願発明の移動装置は、図1及び図2、図3に示すように、従来技術で説明した移動装置と同様に電磁波が発生する装置11を載置して所定場所に移動させてそのまま設置するものであり、上部が開口した箱型形状に形成され、4方向に連設した壁12と、壁12に連設した底部13とからなり、壁12には扉14を設けた構造となっている。底部13の四方辺にキャスター15を備え、又、底部13には、強制空冷の風を送り込むための金網16a、16b、16cを数箇所に分けた構造となっている
【0011】
移動装置の四辺のそれぞれに金属性部材で生成された遮蔽板17を固定ネジ18で締め付けて取付けられている。この固定ネジ18で取り付けられている遮蔽板17の位置は、載置されている電磁波が発生する装置11を保護する位置であり、移動時の位置で、持ち上げた位置である。そして、遮蔽板17を固定ネジ18で取り付けているときには移動装置の扉14が開かないように固定されている。
この遮蔽板17の下部縁には移動装置を固定するための足場19を備え、残りの部分は遮蔽板17を降ろしたときに隙間が開かないようにするガスケット20を取り付けた構成になっている。
更に、遮蔽板17の上辺には隙間をなくすように導電布21を取り付けた構成になっている。
また、遮蔽版17の表面側には移動装置を保護するためのクッション付きのガードバンパー22を着脱自在に取り付けた構成になっている。
【0012】
このような構成からなる移動装置において、先ず、移動するときには、図1、図2、図3に示すように、電磁波が発生する装置11を載せ、壁12の周囲に遮蔽板17を固定ネジ18で締め付け固定する。この遮蔽板17には足場19が取付けられ、下部縁にはガスケット20が取付けられている。遮蔽板17の表面側にはガードバンパー22が着脱自在に取付けられ、移動装置の移動のときに生じる接触等の緩衝として機能する。
このような状態で、設置場所まで移動すると、その場所で、図4、図5、図6に示すように、遮蔽板17を固定している固定ネジ18を外し、遮蔽板17が床23に着くまで降ろして固定する。
このとき、遮蔽板17の下部縁にはガスケット21が嵌まり込んでいるため、ガスケット21が床23に着座し、着座しているガスケット21により移動装置の外側への電磁波の放射を遮蔽することができる。又、遮蔽板17に取付けられている足場19を床23に固定することで移動装置自体を設置場所に固定する。
そして、設置場所の床23がアース電位の金属である場合、金属製の足場19と、その周りの隙間を埋めるガスケット20を通じて遮蔽板17全体を接地することができる。
この状態で、移動の際に必要であったガードバンパー22を取り外し、他の移動装置と連結する場合には、図5に示すように、ガードバンパー22が取付けられている遮蔽板17を取り外す。
【0013】
このようにして設置後においては、遮蔽板17を装置下部まで降ろすことにより、電磁波が発生する装置11から発生する電磁波が金網16a、16b、16cを通り越して床23にあたり反射しても、その反射した電磁波は遮蔽板17で遮られるため、外部に漏洩することはない。そして、遮蔽板17の下縁に設けたガスケット20、遮蔽板17の上部に設けた導電布21により、金網16a、16b、16cを通り越した電磁波は完全に遮られる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
移動形態の遮蔽板は、表面に取り付けてあるガードバンパーで移動装置を保護でき、また、扉など、移動時に動いて欲しくないものを固定する機能を持ち、設置形態の遮蔽板は、降ろして固定することで、遮蔽板についている足場でレベルフット代わりに装置を固定し、降ろした遮蔽板は、装置下部の電磁波漏洩を抑制できる移動装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の移動装置に取り付けられている遮蔽板を一部破断して示した説明図である。
【図2】同、移動装置の底面図である。
【図3】同、移動装置に取り付けられている遮蔽板を部分的に拡大して示した説明図である。
【図4】同、移動装置を設置したときの様子を示した説明図である。
【図5】同、移動装置を設置したときの底面図である。
【図6】同、移動装置に取り付けられている遮蔽板を部分的に拡大して示した説明図である。
【図7】従来技術における移動装置を略示的に示した説明図である。
【図8】同、移動装置の底面図である。
【図9】同、移動装置を設置したときの様子を示した説明図である。
【図10】同、移動装置を設置したときの底面図である。
【符号の説明】
【0016】
11 電磁波が発生する装置
12 壁
13 底部
14 扉
15 キャスター
16a 金網
16b 金網
16c 金網
17 遮蔽板
18 固定ネジ
19 足場
20 ガスケット
21 導電布
22 ガードバンパー
23 床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波が発生する装置を載置して所定場所に移動させるためのキャスターを備えた移動装置において、
前記移動装置本体の四辺のそれぞれに取り付けられ移動時には載置されている電磁波が発生する装置を保護する位置まで持ち上げて固定し設置時には前記キャスターが乗っている床の位置まで降ろして固定する遮蔽板と、
前記遮蔽板の下部縁に設けられ前記移動装置本体を固定するための足場と、
前記遮蔽板の下部縁の前記足場が設けられた以外の部分に前記遮蔽板が降ろされた場合に前記床との隙間が開かないように取付けられたガスケットと、
一方の縁部分が前記遮蔽板の上部縁に他方の縁部分が前記装置本体に取付けられて前記遮蔽板と前記装置本体との電磁が通る隙間をなくすように設けられた導電布と、
前記遮蔽板が持ち上げられた状態において開かないように固定された扉と、
前記遮蔽板の表面側には前記移動装置を保護でき且つ着脱自在に取付けられたクッション付きのガードバンパーと
を具備したことを特徴とする移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−101735(P2010−101735A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273037(P2008−273037)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】