説明

移動通信システムおよび通信制御方法

【課題】端末の移動に伴うトンネルの切り替えを効率よくかつ容易に行なうことのできる移動通信システムを提供する。
【解決手段】端末をサービスネットワークへ接続するための移動通信システムであって、無線アクセスネットワーク装置と、ゲートウェイ装置と、移動管理装置とを備えている。無線アクセスネットワーク装置は、端末と接続する。ゲートウェイ装置は、端末をサービスネットワークに接続する複数のトンネルを構築し、要求に応じて複数のトンネルを切り替える。移動管理装置は、複数のトンネルを一括して切り替える要求をゲートウェイ装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末が複数のサービスネットワークに同時に接続できる移動通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、1つの端末が複数のサービスネットワークに同時に接続できる移動通信システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、移動通信システムはGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)95、SGSN(Serving GPRS Support Node)94、RNC(Radio Network Controller)93、および基地局92を有している。GGSN95、SGSN94はコアネットワークに属し、RNC93、基地局92は無線アクセスネットワークに属する。
【0003】
GGSN95は2つのサービスネットワーク96、97に接続され、移動通信システムとサービスネットワーク96、97の間のゲート装置である。サービスネットワーク96、97はパケットサービスを提供するネットワークである。
【0004】
SGSN94は、GPRSのサービスを提供するためのノード装置であり、端末91と接続したRNC92と接続するとともに、GGSN95との間にトンネル98、99を構築し、端末91によるサービスネットワーク96、97への接続を可能にする。
【0005】
RNC93は、基地局92を管理する制御装置であり、一般的には複数の基地局92を管理する。RNC93は、コアネットワークおよび端末91の双方との間で呼処理を実行し、呼を設定する。
【0006】
基地局92は無線で端末91と接続し、端末91による通信を中継する。
【0007】
図1の状態では、端末91はサービスネットワーク96およびサービスネットワーク97の双方の接続サービスを受けている。このとき端末91の接続のために、SGSN94とGGSN95の間には、サービスネットワーク96への接続に対してGTP(GPRS Tunneling Protocol)トンネル98が構築され、サービスネットワーク97への接続に対してGTPトンネル99が構築される。
【0008】
図2は、図1に示した端末91が移動してSGSN94に変更が生じたときの移動通信システムの動作を説明するための図である。なお、図2では、説明簡略化のため、基地局を省略しているが、図1に示すように、端末91は、基地局92(不図示)を中継してRNC93と接続されているものとする。図2を参照すると、端末91が移動元RNC931から移動先RNC932へ移動している。そのとき端末91の移動を示す信号112が、移動後の端末91もしくは移動先RNC932から新SGSN942に送る。
【0009】
その後、新SGSN942は、サービスネットワーク96に対するGTPトンネル98を切替えるための切り替え要求信号113と、サービスネットワーク97に対するGTPトンネル99を切り替えるための切り替え要求信号114とをGGSN95に送る。
【0010】
GGSN95は2つの切り替え要求信号113、114を受けて、それぞれのGTPトンネル98、99を旧SGSN941から新SGSN942へと切り替える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図2を用いて説明したように、2つのサービスネットワーク96、97に接続している端末91が移動したとき、移動先RNC932を収容する新SGSN942は、1つの端末91の1回の移動のために同一のGGSN95に対して2つの切り替え要求信号を送っている。同一のGGSN95に同一の端末91に関するトンネルの切り替えを要求するのに、トンネル毎に複数の切り替え要求信号を送るのは無駄の多い処理である。
【0012】
また、トンネル毎に要求信号をそれぞれ送ると、一方の要求信号が消失した場合などにはトンネル同士で状態の不一致が生じることになる。また、そのような状態の不一致を想定した設計が必要となり装置の機能が複雑となる。
【0013】
本発明の目的は、端末の移動に伴うトンネルの切り替えを効率よくかつ容易に行なうことのできる移動通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による移動通信システムは、端末をサービスネットワークへ接続するための移動通信システムであって、
前記端末と接続する無線アクセスネットワーク装置と、
前記端末を前記サービスネットワークに接続する複数のトンネルを構築し、要求に応じて前記複数のトンネルを切り替えるゲートウェイ装置と、
前記複数のトンネルを一括して切り替える要求を、前記ゲートウェイ装置に送信する移動管理装置と、
を備えている。
【0015】
本発明の一態様による通信制御方法は、端末をサービスネットワークへ接続するための通信制御方法であって、
前記端末を前記サービスネットワークに接続する複数のトンネルを構築し、
前記複数のトンネルを一括して切り替える要求を送信し、
前記要求に応じて前記複数のトンネルを一括して切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】1つの端末が複数のサービスネットワークに同時に接続できる移動通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した端末1が移動してSGSNの変更が生じたときの移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図3】第1の実施形態による移動通信システムの構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態において端末1が移動したときの移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図5】トンネル切り替え要求処理における新SGSN42の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態において端末1が移動したときの移動通信システムの動作を説明するための図である。
【図7】第3の実施形態による移動通信システムの構成と、端末が移動したときの動作を説明するための図である。
【図8】第4の実施形態による移動通信システムの構成と、端末が移動したときの動作を説明するための図である。
【図9】第5の実施形態による移動通信システムの構成と、端末が移動したときの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態による移動通信システムの構成を示すブロック図である。これには1つの端末が複数のサービスネットワークに同時に接続できる移動通信システムが示されている。
【0019】
図3を参照すると、移動通信システムはGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)5、SGSN(Serving GPRS Support Node)4、RNC(Radio Network Controller)3、および基地局2を有している。GGSN5、SGSN4はコアネットワークに属し、RNC3、基地局2は無線アクセスネットワークに属する。
【0020】
GGSN5は2つのサービスネットワーク6、7に接続され、移動通信システムからサービスネットワーク6、7への接続を行うゲート装置である。サービスネットワーク6、7はパケットサービスを提供するネットワークである。
【0021】
SGSN4は、GPRSのサービスを提供するためのノード装置であり、端末1と接続したRNC2と接続するとともに、GGSN5との間にトンネル8、9を構築し、端末1によるサービスネットワーク6、7への接続を可能にする。
【0022】
RNC3は、基地局2を管理する制御装置であり、一般的には複数の基地局2を管理する。RNC3は、コアネットワークおよび端末1の双方との間で呼処理を実行し、呼を設定する。
【0023】
基地局2は無線で端末1と接続し、端末1による通信を中継する。
【0024】
図3の状態では、端末1はサービスネットワーク6およびサービスネットワーク7の双方の接続サービスを受けている。このとき端末1の接続のために、SGSN4とGGSN5の間には、サービスネットワーク6への接続に対してGTP(GPRS Tunneling Protocol)トンネル8が構築され、サービスネットワーク7への接続に対してGTPトンネル9が構築されている。
【0025】
図4は、第1の実施形態において端末1が移動したときの移動通信システムの動作を説明するための図である。なお、図4では、図2と同様、説明簡略化のため、基地局を省略しているが、図3に示すように、端末1は、基地局2(不図示)を中継してRNC3と接続されているものとする。図4を参照すると、端末1が移動元RNC31から移動先RNC32へ移動している。これに伴って旧SGSN41から新SGSN42への接続の変更が行なわれる。
【0026】
そのとき新SGSN42、移動先RNC32、端末1の間では移動に伴う信号の送受信がされる。そして、新SGSN42は所定の信号10を受信するとトンネル切り替え要求処理を開始する。トンネルの切り替え要求処理を開始するための所定の信号10は、端末1からのルートエリア更新信号、あるいは移動先RNC32からのリロケーション完了信号を含む。
【0027】
また、新SGSN42は、端末1に対して構築されているトンネルのトンネル情報を旧SGSN41から、PDP(Packet Data Protocol)コンテキストとして取得する。例えば、新SGSN42が旧SGSN41にPDPコンテキスト要求信号を送り、旧SGSN41がそれに対する応答としてPDPコンテキストを送ってもよく、また、旧SGSN41が転送リロケーション要求信号で自律的に新SGSN42にトンネル情報を通知してもよい。
【0028】
図5は、トンネル切り替え要求処理における新SGSN42の動作を示すフローチャートである。新SGSN42は、旧SGSN41から取得したトンネル情報から切替えるトンネルの数を取得し、そのトンネル数が2つ以上か否か判定する(ステップ101)。トンネル数が2つ以上であれば、新SGSN42は、次に同一のGGSN5との間に2つ以上のGTPトンネルがあるか否か判定する(ステップ102)。
【0029】
ステップ102の判定の結果、同一のGGSN5との間に2つ以上のGTPトンネルがあれば、新SGSN42は、それら複数のGTPトンネルについての旧SGSN41から新SGSN42への切り替えの要求を含む切り替え要求信号11をGGSN5に送信する(ステップ103)。
【0030】
その切り替え要求信号は、切り替える複数のGTPトンネルに関するTEID(Tunnel Endpoint Identifier)のペアを含み、1つの更新PDPコンテキスト要求信号に乗せて送られる。
【0031】
ステップ101の判定にて、切り替えるGTPトンネルの数が1つ以下か、ステップ102の判定にて、同一のGGSN5との間に2つ以上のGTPトンネルがなければ、新SGSN42は、各GTPトンネルを切り替えるための各々の切り替え要求信号を、それぞれのGTPトンネルに対応するGGSN5に送信する(ステップ104)。
【0032】
このように新SGSN42から送信された切り替え要求信号を受信したGGSN5は、その切り替え要求信号を解析し、TEIDで示されたGTPトンネルの旧SGSN41から新SGSN42への切り替えを行なう。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、端末1が移動してSGSN4の切り替えが生じたとき、新SGSN42からGGSN5へ、同一の端末1に関する同一のGGSN5とSGSN4との間の複数のGTPトンネルについての切り替えを1つの切り替え要求信号でまとめて要求する。そのため、新SGSN42とGGSN5の間の通信量が低減され、GTPトンネルの切り替えを回線の利用効率を良くして行なうことができる。また、1つの切り替え要求信号で複数のGTPトンネルの切り替えが要求できるので、GTPトンネルの切り替えにかかる時間が短縮される。また、SGSN4からGGSN5へのGTPトンネルの切り替えの要求がトンネル毎に異なる状態になることがないので、GGSN5やSGSN4の機能が単純化され、切り替えが容易となる。
【0034】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の移動通信システムは、RNCとGGSNの間で直接GTPトンネルを構築するDirect Tunnel拡張構成を採ることが可能である。本実施形態の移動通信システムの構成は図3に示した第1の実施形態と同様である。ただしGTPトンネル8、9はRNC3とGGSN5の間に構築される。また、本実施形態の移動通信システムのDirect Tunnel拡張構成を構築するための動作以外の動作は第1の実施形態と同様である。
【0035】
図6は、第2の実施形態において端末1が移動したときの移動通信システムの動作を説明するための図である。なお、図6では、説明簡略化のため、基地局を省略しているが、図4と同様、端末1は、基地局2(不図示)を中継してRNC3と接続されているものとする。図6を参照すると、端末1は1つのGGSN5を利用して、複数のサービスネットワーク6、7に接続している。そして、その状態で端末1が移動元RNC31から移動先RNC32へ移動している。それにより移動元RNC31とGGSN5の間に構築されていたGTPトンネル8、9を、移動先RNC32とGGSN5の間に切り替える必要が生じる。
【0036】
そのときSGSN4、移動先RNC32、端末1の間では移動に伴う信号の送受信がされる。そして、SGSN4は端末1の移動完了通知21を移動先RNC32から受信するとトンネル切り替え要求処理を開始する。
【0037】
トンネル切り替え要求処理は、図5に示した第1の実施形態と同様である。ただし、SGSN4は自身の保持しているトンネル情報をステップ101の判定に用いればよい。第2の実施形態によるトンネル切り替え要求処理によれば、SGSN4は、同一のGGSN5について切り替えが必要なGTPトンネルが複数あれば、それら複数のGTPトンネルの切り替えを1つの切り替え要求信号22で要求することになる。
【0038】
一般的にSGSN4は複数のRNC3を収容するので、SGSN4とGGSN5の間でGTPトンネルを構築する場合に比べて、RNC3とGGSN5の間でGTPトンネルを構築するDirect Tunnel拡張構成を採った場合の方がGTPトンネルを切り替える数が多くなる。そのため、本実施形態により得られる効果はさらに大きくなる。
【0039】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、GPRSシステムを拡張したSAE(System Architecture Evolution)システムを例示する。
【0040】
図7は、第3の実施形態による移動通信システムの構成と、端末が移動したときの動作を説明するための図である。なお、図7では、説明簡略化のため、基地局を省略しているが、図4と同様、端末1は、基地局2(不図示)を中継してRNC3と接続されているものとする。図7を参照すると、旧SGSN41および新SGSN42は、サービングSAE GW 31に接続されている。
【0041】
第3の実施形態の移動通信システムは、図3に示した第1の実施形態におけるGGSN5の代わりに、サービングSAE GW31およびPDN SAE GW321、322を有している。RNC3および基地局2(不図示)はUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)に含まれ、SGSN4、サービングSAE GW31、およびPDN SAE GW321、322がコアネットワークに含まれる。SAEシステムでは、UTRANからのアクセスはSGSN4からGTPトンネルにてサービングSAE GW31に接続される。
【0042】
サービングSAE GW 31とPDN SAE GW 321は一体に構成されていてもよく、サービングSAE GW 31はPDN SAE GW 321を介してサービスネットワーク6に接続している。図の例では、サービングSAE GW 31とPDN SAE GW 321とが一体に構成されているため、サービングSAE GW 31とPDN SAE GW 321の間にはGTPトンネルが構築されていない。
【0043】
また、サービングSAE GW 31はPDN SAE GW 322を介してサービスネットワーク7に接続している。サービングSAE GW 31とPDN SAE GW 322の間にはGTPトンネル35が構築されている。
【0044】
サービングSAE GW(Gateway)31は、SGSN4との間のGTPトンネル33、34を終端する装置である。
【0045】
PDN(Packet Domain Network) SAE GW321、322は、サービスネットワーク6、7への接続を行うゲート装置である。
【0046】
図7を参照すると、端末1が移動元RNC31から移動先RNC32へ移動している。これに伴って旧SGSN41から新SGSN42への接続の変更が行なわれる。
【0047】
そのとき新SGSN42、移動先RNC32、端末1の間では移動に伴う信号の送受信がされる。そして、新SGSN42は端末1の移動完了通知36を移動先RNC32から受信するとトンネル切り替え要求処理を開始する。
【0048】
トンネル切り替え要求処理は、図5に示した第1の実施形態と同様である。SAEシステムでは、1つの端末1が複数のサービスネットワーク6、7へ接続する場合、1つのサービングSAE GW 31にトンネルが集約される。そして、その上でサービングSAE GW 31とPDN SAE GW 322の間のトンネル35を構築することになる。新SGSN42は、サービングSAE GW 31に複数のトンネルがあれば、それら複数のトンネルの切り替えを要求するための1つの切り替え要求信号37をサービングSAE GW 31に送信する。
【0049】
SAEシステムでは、1つの端末1が複数のサービスネットワーク6、7へ接続する場合、1つのサービングSAE GW 31にトンネルが集約されるので、第1の実施形態と比べて、第3の実施形態は、複数のトンネルの切り替えの要求を1つの切り替え要求信号にまとめることができる可能性が高くなり、得られる効果が大きくなる。
【0050】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第3の実施形態に示したSAEシステムであり、第2の実施形態に示したDirect Tunnel拡張構成を採ることが可能なシステムを例示する。
【0051】
図8は、第4の実施形態による移動通信システムの構成と、端末が移動したときの動作を説明するための図である。なお、図8では、説明簡略化のため、基地局を省略しているが、図4と同様、端末1は、基地局2(不図示)を中継してRNC3と接続されているものとする。図8を参照すると、トンネル33、34はRNC3とサービングSAE GW 31の間に構築される。また、本実施形態の移動通信システムのDirect Tunnel拡張構成を構築するための動作以外の動作は第3の実施形態と同様である。
【0052】
図8を参照すると、端末1が移動元RNC31から移動先RNC32へ移動している。そのときSGSN4、移動先RNC32、端末1の間では移動に伴う信号の送受信がされる。そして、SGSN4は端末1の移動完了通知41を移動先RNC32から受信するとトンネル切り替え要求処理を開始する。
【0053】
トンネル切り替え要求処理は、図5に示した第1の実施形態と同様である。SAEシステムでは、1つの端末1が複数のサービスネットワーク6、7へ接続する場合、1つのサービングSAE GW 31にトンネルが集約される。そして、その上でサービングSAE GW 31とPDN SAE GW 322の間のトンネル35を構築することになる。
【0054】
また、本実施形態では、Direct Tunnel拡張構成を採るため、SGSN4は自身の保持しているトンネル情報を用いればよい。
【0055】
SGSN4は、サービングSAE GW 31に複数のトンネルがあれば、それら複数のトンネルの切り替えを要求するための1つの切り替え要求信号42をサービングSAE GW 31に送信する。
【0056】
本実施形態においても、第3の実施形態と同様、第1の実施形態と比べて、複数のトンネルの切り替えの要求を1つの切り替え要求信号にまとめることができる可能性が高くなり、得られる効果が大きくなる。また、本実施形態では第2の実施形態と同様の効果も得られる。
【0057】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、RNCと基地局(eNB(evolved Node−B))が一体的に構成され、SGSNの代わりにMME(Mobile Management Entity)を備えたSAEシステムを例示する。eNBがEUTRAN(Evolved UTRAN)に含まれる。
【0058】
図9は、第5の実施形態による移動通信システムの構成と、端末が移動したときの動作を説明するための図である。図9を参照すると、第5の実施形態の移動通信システムの構成は、図3で示される基地局2とRNC3がeNB51として一体的に構成されている点と、図8で示されるSGSN4の代わりにMME52が存在する点で図8のシステムと異なる。またMME52はユーザプレーンを処理する機能を持たないので、図8のDirect Tunnel拡張構成と同様に、eNB51とサービングSAE GW31の間で直接にトンネルが構築される。
【0059】
図9を参照すると、端末1が移動元eNB511から移動先eNB512へ移動している。そのときMME52、移動先eNB512、端末1の間では移動に伴う信号の送受信がされる。そして、MME52は端末1の移動完了通知53を移動先eNB512から受信するとトンネル切り替え要求処理を開始する。
【0060】
トンネル切り替え要求処理は、図5に示した第1の実施形態と同様である。SAEシステムでは、1つの端末1が複数のサービスネットワーク6、7へ接続する場合、1つのサービングSAE GW 31にトンネルが集約される。そして、その上でサービングSAE GW 31とPDN SAE GW 322の間のトンネル35を構築することになる。
【0061】
また、本実施形態のSAEシステムはeNB51とサービングSAE GW 31の間にトンネルが構築される構成なので、MME52は自身の保持しているトンネル情報を用いればよい。
【0062】
MME52は、サービングSAE GW 31に複数のトンネルがあれば、それら複数のトンネルの切り替えを要求するための1つの切り替え要求信号54をサービングSAE GW 31に送信する。
【0063】
本実施形態においても、第5の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0064】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。各実施形態に記載の内容を組み合わせて用いたり、取り込んだりすることも可能である。クレームに定義された本発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0065】
この出願は、2007年3月12日に出願された日本出願特願2007−061935を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末をサービスネットワークへ接続するための移動通信システムであって、
前記端末と接続する無線アクセスネットワーク装置と、
前記端末を前記サービスネットワークに接続する複数のトンネルを構築し、要求に応じて前記複数のトンネルを切り替えるゲートウェイ装置と、
前記複数のトンネルを一括して切り替える要求を、前記ゲートウェイ装置に送信する移動管理装置と、
を備える移動通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動通信システムであって、
前記要求は、前記複数のトンネルに関する複数のTEID(Tunnel Endpoint Identifier)を含む、移動通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の移動通信システムであって、
前記移動管理装置は、MME(Mobile Management Entity)である、移動通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の移動通信システムであって、
前記ゲートウェイ装置は、サービングゲートウェイである。
【請求項5】
請求項1に記載の移動通信システムであって、
前記アクセスネットワーク装置は、前記端末と接続するeNB(evolved Node−B)をさらに備える、移動通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の移動通信システムであって、
前記トンネルは、前記ゲートウェイ装置と前記eNBとの間に構築される、移動通信システム。
【請求項7】
端末をサービスネットワークへ接続するための通信制御方法であって、
前記端末を前記サービスネットワークに接続する複数のトンネルを構築し、
前記複数のトンネルを一括して切り替える要求を送信し、
前記要求に応じて前記複数のトンネルを一括して切り替える通信制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の通信制御方法であって、
前記要求は、前記複数のトンネルに関する複数のTEID(Tunnel Endpoint Identifier)を含む、通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−93916(P2013−93916A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−33162(P2013−33162)
【出願日】平成25年2月22日(2013.2.22)
【分割の表示】特願2011−158912(P2011−158912)の分割
【原出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】