説明

移報出力器及び警報システム

【課題】外部機器への移報出力の有無を設定できるような移報出力器等を得る。
【解決手段】無線信号を送受信可能な火災警報器10を有する火災警報システムと外部機器との間の中継を行うため、無線信号に基づいて移報信号を出力する移報出力部40と、システム内の機器に連動した警報を行わせるための無線信号に基づく移報信号を、移報出力部40に出力させないようにする移報遮断の設定をするための移報遮断機能設定スイッチ43等とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、警報システムにおける移報出力器等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、無線式警報システムの一例として、複数の火災警報器の間で、環境の異常の一例としての火災に係る信号を送受信することによって、火災警報を連動して行う(報知する)ことができる無線式火災警報システムが開示等されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、火災警報システムによる所定のイベント情報(例えば火災無線信号)を外部機器(外部システム)に移報出力することによって、火災警報システムの状態を、わかりやすく的確に警報を行って報知したいという要望がある。
【0004】
そこで、火災警報器のように、火災に係る検出機能を有していないものの、警報に係る信号を受信すると、外部機器に移報するため、移報信号を出力する移報出力器(移報アダプタ、火災警報用中継器)をシステム内に備えることが考えられる。ここで、外部機器(外部システム)としては、例えば住宅情報盤(インターホンシステム)、フラッシュライト機器等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−004033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような火災警報システムにおいて、例えば点検、設置場所の工事、料理等、あらかじめ火災ではない(非火災)とわかっている煙が発生した(誤報となる)ような場合でも移報信号を出力して外部機器に移報してしまう場合があり得る。このため、実際に火災でないにもかかわらず、例えばドアホンからの音声出力、ライトの点滅等、利用者にとっては迷惑な場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、利用者の利便性を高めることができるような移報出力器及び火災警報システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の移報出力器は、無線信号を送受信可能な警報器を有する警報システムと外部機器との間の中継を行うため、無線信号に基づいて移報信号を出力する移報出力部と、システム内の機器に連動した警報を行わせるための無線信号に基づく移報信号を、移報出力部から出力させないようにする移報遮断の設定をするための移報遮断設定手段とを備えるものである。
【0009】
また、この発明の移報出力器の移報遮断設定手段は、移報遮断機能の有効又は無効を設定する移報遮断機能設定スイッチを有し、移報遮断機能設定スイッチにより移報遮断機能が有効に設定されているときは、移報出力部から移報信号を出力させないようにするものである。
【0010】
また、この発明の移報出力器の移報遮断設定手段は、移報遮断機能の有効又は無効を設定する移報遮断機能設定スイッチと移報遮断の開始を指示するための移報遮断開始スイッチとを有し、移報遮断機能設定スイッチにより移報遮断機能が有効に設定されているときに、移報遮断開始スイッチが操作されると計時を開始し、一定時間を最長として、移報出力部から移報信号を出力させないようにするものである。
【0011】
また、この発明の移報出力器は、移報遮断中に再度移報遮断開始スイッチが操作されるか若しくはシステム内における2以上の異なる機器から連動した警報を行わせるための無線信号を受信するか、一定時間が経過すると、移報遮断を解除するものである。
【0012】
また、この発明の移報出力器の移報遮断機能設定スイッチは、移報信号を出力することができるかどうかを点検するための移報出力点検機能の設定を行うためのスイッチを兼用するものである。
【0013】
また、この発明の移報出力器は、移報遮断中である旨を報知する第1の報知と、移報遮断中に連動した警報を行わせるための無線信号を受信した旨を報知する第2の報知とを行うものである。
【0014】
また、この発明の警報システムは、環境の異常検出を行うための1又は複数の警報器と、上記のような1又は複数の移報出力器とを、無線信号の送受信により、連動した警報動作を行わせることが可能となるように構成するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、移報遮断設定手段により、移報信号を移報出力部に出力させない移報遮断に関する設定を行えるようにしたので、あらかじめ環境の異常ではないこと、例えば非火災であることがわかっている(想定される)場合に、移報を遮断しておくことで、外部機器を連動して動作させずにすみ、利便性を高めることができる。
【0016】
また、移報遮断機能設定スイッチにより移報遮断機能を有効に設定しているときに、移報信号を移報出力部に出力させないようにしたので、常に外部機器に移報信号を出力せずに対応したいような場合において有用である。
【0017】
また、移報遮断開始スイッチが操作されると移報遮断を行う所定の時間(一定時間)の計時を開始するようにし、所定時間移報遮断を行うようにしたので、設定された時間内において移報遮断を行うことができる。
【0018】
また、移報遮断中に再度移報遮断開始スイッチが操作されるか若しくはシステム内における2以上の異なる機器から前記連動した警報を行わせるための無線信号を受信するか、所定の時間が経過すると前記移報遮断を解除するようにしたので、外部機器への移報が必要な場合にすばやく対応させることができる。
【0019】
また、移報遮断中である旨を報知する第1の報知と、移報遮断中に連動した警報を行わせるための無線信号を受信した旨を報知する第2の報知とを行うようにすることで、移報遮断状態であることと、他の機器が環境の異常、例えば火災に係る警報等を行っていることを各報知を区別しながら行うことができる。
【0020】
そして、以上のような移報出力器を警報器と共にシステム化したので、利便性の高い警報システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る火災警報システムの構成を表す図である。
【図2】火災警報器10の回路構成等を示すための図である。
【図3】中継器30の回路構成等を示すための図である。
【図4】火災警報器10の火災に係る警報処理のフローチャートを表す図である。
【図5】中継器30の火災に係る警報処理のフローチャートを表す図である。
【図6】主として移報遮断機能に係る制御回路31の処理を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る火災警報システムの構成を表す図である。本実施の形態の火災警報システムは、警報システムの一例であり、1又は複数の火災警報器10(警報器の一例)及び1又は複数の移報出力器30(以下、中継器30という)で構成している。システム内において、無線信号の送受信を行うことができる機器によりグループを構成しており、本実施の形態では、親となる火災警報器10をグループ内に1台設け、残りの機器を子としている。図1ではシステム内を1グループとしているが、例えばシステム内に複数のグループを構成することもできる。また、特に限定するものではないが、基本的には親となる火災警報器10は、グループ内のすべての機器と通信できる位置に設けられている。そして、他の火災警報器10等からの火災に係る警報信号(環境の異常に係る警報信号の一例)等を受信すると、グループ内の他の機器に対して再送信して確実に連動させるようにする。また、例えばグループ内の各機器は、通信元、通信先を特定するために、グループ内において固有に設定されたアドレスをそれぞれ有する。
【0023】
火災警報器10は、例えば警報システムの一例としての火災等を検出すると音、表示等による警報を行い、利用者(例えば居住者)に報知する。また、グループ内の他の火災警報器10から火災に係る警報信号(連動制御信号)を受信すると、連動して警報を発する。
【0024】
また、中継器30は、本火災警報システムの火災に係る警報信号等を外部機器(外部システムも含む)に移報(出力)するため、外部機器との通信を行う際の中継を行う装置である。中継器30にも火災警報器10と同様に固有のアドレスが設定されており、通信においては子の機器として扱われる。ここで、本実施の形態の中継器30は、火災等を検出する機能は有していないが、火災警報器10等からの連動制御信号に基づいて、連動して警報を行うことができるものとする。
【0025】
図2は実施の形態1に係る火災警報器10の回路構成等を示すための図である。図2において、火災警報器10は、制御回路1、電池2、電源回路3、電池電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、環境の異常を検出する異常検出回路の一例としての火災検出回路7、警報音制御回路8、表示回路9及び警報停止スイッチ20を備える。
【0026】
制御回路1は、入力される信号等に基づいて処理を行い、火災警報器10が有する回路等の制御を行う。例えば、火災検出回路7からの信号に基づいて、警報音制御回路8、表示回路9を動作させて音、表示によって火災に係る警報等を行う。送受信回路5を介して、システム(グループ)内における他の機器との通信処理を行う。制御回路1が有する記憶素子21は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリであり、例えば制御回路1が実行する処理に係るプログラム、自己及びグループ内の他の機器に設定されたアドレス、属するグループのグループID等の各種データを格納している。
【0027】
電池2は、電源回路3に直流電源を供給する。電源回路3は、電池2の電圧を所定電圧に制御し、火災警報器10の各回路に供給する。電池電圧検出回路4は、電池2の印加に係る電圧を検出し、検出した電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路1に出力する。
【0028】
電池電圧検出回路4からの電圧検出信号に基づいて、電池残量が低下したこと、電池切れの閾値を超えたことを判断すると、制御回路1は、警報音制御回路8と表示回路9を駆動させて電池切れ等を報知させる。
【0029】
送受信回路5は、無線信号を送受信するためのアンテナ6と接続し、アンテナ6を介して入力された(送られた)無線信号を処理し、自己のアドレスが通信先のデータとして含まれている(通信先としてすべてのアドレスとしている場合も含む)と判断した場合には受信処理を行う。また、送受信回路5は、制御回路1の処理に係る状態信号等の送信処理を行う。
【0030】
火災検出回路7は、火災現象に基づく煙や熱等の物理的変化を検出して検出内容に応じた信号を制御回路1に出力する。ここでは、特に詳細に区別することなく、火災の検出に係る信号を出力するものとして説明する。
【0031】
警報音制御回路8は、ブザー・スピーカ等(音発生手段、報知手段。図示せず)から警報音等を発生させる動作を制御する回路である。表示回路9は、例えば発光ダイオード等の表示灯(表示手段、報知手段。図示せず)の点灯動作を制御する回路である。ここでは、表示灯の点灯制御を行う回路であるものとして説明するが、例えば文字、数字等を表示できる表示手段を有している場合には、文字等表示の制御を行うようにしてもよい。指示入力手段となる警報停止スイッチ20は、火災に係る警報時において、利用者が火災に係る警報を停止させるためのスイッチも兼ねているものとする。
【0032】
図3は実施の形態1に係る中継器30の回路構成等を示すための図である。図3において、中継器30は、制御回路31、電池32、電源回路33、電池電圧検出回路34、送受信回路35、アンテナ36、警報音制御回路38、表示回路39及び点検・警報停止スイッチ41を備える。
【0033】
制御回路31は、入力される信号等に基づいて処理を行い、中継器30が有する回路等の制御を行う。例えば、火災警報器10からの警報信号等に基づいて、警報音制御回路38、表示回路39を動作させて音、表示によって火災に係る警報等を行う。また、送受信回路35を介して、システム(グループ)内における他の機器との通信処理を行う。記憶素子44は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリであり、例えば制御回路31が実行する処理に係るプログラム、自己及びグループ内の他の機器に設定されたアドレス、属するグループのグループID等の各種データを格納している。また、制御回路31は、本実施の形態では、計時を行うためのタイマ45を有している。
【0034】
電池32は、電源回路33に直流電源を供給する。電源回路33は、電池32の電圧を所定電圧に制御し、中継器30の各回路に供給する。電池電圧検出回路34は、電池32の印加に係る電圧を検出し、電池電圧検出信号を制御回路31に出力する。制御回路31は、電池電圧検出信号に基づいて警報音制御回路38と表示回路39を駆動させて電池切れ等を報知させる。
【0035】
送受信回路35は、無線信号を送受信するためのアンテナ36を介して入力された(送られた)無線信号を処理し、自己のアドレスが通信先のデータとして含まれている(通信先としてすべてのアドレスとしている場合も含む)と判断した場合には受信処理を行う。自己のアドレス以外の無線信号と判断した場合には受信処理を行わない。受信処理した信号は、制御回路31へ出力する。また、送受信回路35は、制御回路31の処理に係る状態信号等の送信処理を行う。
【0036】
警報音制御回路38は、ブザー・スピーカ等(音発生手段、報知手段。図示せず)から警報音を発生させる動作を制御する回路である。表示回路39は、例えば発光ダイオード等の表示灯(表示手段、報知手段。図示せず)の点灯動作を制御する回路である。例えば、中継器30が文字、数字等を表示できる表示手段を有している場合には、文字等を表示させる制御を行うようにしてもよい。
【0037】
また、指示入力手段となる点検・警報停止スイッチ41は、火災に係る警報時において、利用者が火災に係る警報を停止させるための、例えばボタン式のスイッチである。ここで点検・警報停止スイッチ41は、例えば半押し又は全押し、短押し又は長押し等で区別することにより、スイッチの使い分けを行うことができるものとする。特に、本実施の形態では、例えば、利用者が2秒以上の長押し操作をすることで、一定時間(所定時間)、移報出力部40から移報信号を出力させないようにするための移報遮断開始スイッチとして機能させることができるものとする。また、後述するように、移報信号を出力することができるかどうかを点検するために、移報出力部40から移報信号を出力させる移報出力点検スイッチとして機能させることができる。
【0038】
また、本実施の形態の中継器30は、さらに、移報出力部40、警報停止信号送信設定スイッチ42及び移報遮断機能設定スイッチ43を有している。移報出力部40は、システム外の外部機器等に火災に係る警報信号等を含む移報信号を出力(送信)する。ここで、本実施の形態においては移報出力部40は外部機器等に有線接続するが、無線接続するようにしてもよい。
【0039】
また、警報停止信号送信設定手段となる警報停止信号送信設定スイッチ42は、利用者により点検・警報停止スイッチ41が操作されたときに、他の機器に対して警報停止信号を送信するか否かを設定するためのスイッチ(例えばディップスイッチ等の設定手段)である。ここで、例えば本実施の形態の警報停止信号送信設定スイッチ42による設定の変更は、電源が投入されたとき、リセットボタン(図示せず)等によりリセットされた際に有効となる。このため、通常時にスイッチを切り換えても設定は変更されないものとするが、通常時に設定が変更されるものであってもよい。
【0040】
そして、移報遮断機能設定手段となる移報遮断機能設定スイッチ43は、点検・警報停止スイッチ41を移報遮断開始スイッチとして機能させるか否かを設定するためのスイッチである。例えば、本実施の形態では、移報遮断機能設定スイッチ43は、点検・警報停止スイッチ41を移報出力点検スイッチとして機能させるスイッチとして兼用するものとする。例えば、ディップスイッチにおいて、移報遮断機能がオンであれば移報出力点検機能はオフとして点検・警報停止スイッチ41を移報遮断開始スイッチとして機能させる。また、移報遮断機能がオフであれば移報出力点検機能をオンとして点検・警報停止スイッチ41を移報出力点検スイッチとして機能させる。ここで、本実施の形態では移報遮断機能設定手段をスイッチで構成するが、例えば要求に合わせて施した設定を記憶素子44にデータベースとして記憶させておく等、特にスイッチに限定するものではない。これについては警報停止信号送信設定スイッチ42についても同様である。
【0041】
例えば、料理等を原因として、あらかじめ環境の異常でないこと(非火災報)であることがわかっている(想定される)ような場合等、外部機器に対して中継器30から移報信号を出力する必要がない場合等がある。そこで、本実施の形態における火災警報システム内の中継器30は、外部機器に対して移報信号を出力させないように設定できるようにしたものである。そのため、中継器30においては、点検・警報停止スイッチ41を、移報出力部40から移報信号を出力させないようにする移報遮断開始スイッチとして機能させるようにする。そして、点検・警報停止スイッチ41を移報遮断開始スイッチとして機能させるための設定を行う移報遮断機能設定スイッチ43を設けるようにする。
【0042】
また、制御回路31は、移報遮断開始スイッチが操作されたと判断してから一定時間、移報出力部40から移報信号を出力させないようにするために、移報遮断開始スイッチが操作されたものと判断すると計時を開始する。そして、計時中において再度移報遮断開始スイッチが操作されたものと判断するか若しくは最初の火災に係る警報信号を含めて2以上の火災に係る連動制御信号を送受信回路35が受信したものと判断するか又は一定時間が経過したものと判断すると移報遮断を解除処理するようにしたものである。
【0043】
図4は実施の形態1に係る火災警報器10の火災に係る警報処理のフローチャートを表す図である。ここでは図4に基づいて、火災警報器10の制御回路1が行う火災に係る警報処理について説明する。
【0044】
まず、火災検出回路7から信号が入力されたかどうかを判断する(S1)。火災検出による信号が入力されたものと判断すると、自身が設置された場所が火元の火災警報器10となる。そこで、警報音制御回路8を動作させて、火元となる火災である旨の音声等を発生させ、表示回路9を動作させて火災である旨を表示させる火元警報を行わせる(S2)。ここで火元警報については、警報音制御回路8を動作させて、例えば「ピー、ヒュー、ヒュー、火事です、火事です」という音声を発生させ、表示回路9を動作させて、例えば赤色で表示灯を点滅させる。そして、送受信回路5に、グループ内の他の機器に警報を連動させるための連動制御信号を、アンテナ6を介して送信させる(S3)。
【0045】
一方、S1において、火災検出回路7から火災検出による信号が入力されていないと判断すると、アンテナ6、送受信回路5を介して、他の機器からの連動制御信号を受信したかどうかを判断する(S4)。連動制御信号を受信したものと判断すると、警報音制御回路8を動作させて他の場所での火災である旨の音等を発生させ、表示回路9を動作させて火災である旨を表示させる連動警報を行わせる(S5)。ここで連動警報については、警報音制御回路8を動作させて、例えば「ピー、ヒュー、ヒュー、他の場所で火事です」という音声を発生させ、表示回路9を動作させて、例えば橙色で表示灯を点滅させる。連動制御信号を受信していないものと判断するとS1に戻り、火災検出回路7からの信号入力、連動制御信号受信の判断を所定時間毎に行うようにする。
【0046】
そして、警報を行った後、警報停止スイッチ20が押下され、警報停止の指示がなされたかどうかを判断する(S6)。警報停止スイッチ20が押下されたと判断すると、警報音制御回路8による音の発生、表示回路9による表示を停止させ、火元警報又は連動警報を停止させる(S7)。ここで、連動警報を停止させる場合には、警報音制御回路8による音の発生、表示回路9による表示を共に停止させる。一方、火元警報を停止させる場合には、警報音制御回路8による音の発生は停止させるが、表示回路9には表示灯の点滅を継続させる。そして、送受信回路5に、他の機器の警報を停止させるための警報停止信号を、アンテナ6を介して送信させて(S8)、S1に戻って再度処理を行う。
【0047】
S6において、警報停止スイッチ20が押下されていないと判断すると、アンテナ6、送受信回路5を介して、他の機器から警報停止信号を受信したかどうかを判断する(S9)。警報停止信号を受信したものと判断すると、警報音制御回路8による音の発生、表示回路9による表示を停止させ、連動警報を停止させて(S10)、S1に戻って再度処理を行う。このとき、警報停止信号により停止するのは連動警報のみであるため、火元警報を行っている火災警報器10では火元警報が停止しないこととなる。他の機器からの警報停止信号を受信していないものと判断すると、S6に戻り、警報停止スイッチ20が押下されるか、他の機器からの警報停止信号を受信するまで警報を継続する。
【0048】
以上の処理を行うことにより、火元警報に係る火災警報器10において、警報停止スイッチ20が押下された場合には、自己の火元警報と他の機器における連動警報が停止する。一方、連動警報に係る火災警報器10において、警報停止スイッチ20が押下された場合には、自己と他の機器における連動警報が停止する(火元警報は停止しない)。
【0049】
図5は実施の形態1に係る中継器30の火災に係る警報処理のフローチャートを表す図である。次に図5に基づいて、中継器30の制御回路31が行う火災に係る警報処理について説明する。ここでは中継器30は移報遮断しない設定がなされているものとする。
【0050】
まず、アンテナ36、送受信回路35を介して、他の火災警報器10等から連動制御信号を受信したかどうかを判断する(S21)。連動制御信号を受信していないものと判断すると、連動制御信号受信の判断を所定時間毎に行うようにする。
【0051】
連動制御信号を受信したものと判断すると、警報音制御回路38、表示回路39を動作させて連動警報を行わせる(S22)。連動警報については、警報音制御回路38を動作させて、例えば「ピー、ヒュー、ヒュー、火事です、火事です」という音声を発生させ、表示回路39を動作させて、例えば橙色で表示灯を点滅させる。また、移報出力部40に火災に係る警報の移報信号を出力させる(S23)。
【0052】
そして、点検・警報停止スイッチ41が押下され、警報停止の指示がなされたかどうかを判断する(S24)。点検・警報停止スイッチ41が押下されたと判断すると、さらに警報停止信号送信設定スイッチ42が警報停止信号を送信する設定になっているかどうかを判断する(S25)。送信する設定になっていると判断すると、送受信回路35に、他の機器の連動警報を停止させるための警報停止信号を、アンテナ36を介して送信させる(S26)。送信しない設定の場合には警報停止信号は送信させないようにする。
【0053】
そして、連動警報を停止させる(S27)。ここで、中継器30において連動警報を停止させる場合には、例えば警報音制御回路38による音の発生は停止させるが、表示回路39は表示灯の点滅を継続させる。そして、移報出力部40には火災に係る警報の移報信号の出力を継続して行わせる(S28)。
【0054】
一方、S24において、点検・警報停止スイッチ41が押下されていないと判断すると、アンテナ36、送受信回路35を介して、他の機器からの警報停止信号を受信したかどうかを判断する(S29)。警報停止信号を受信したものと判断すると、受信に係る警報停止信号に基づいて、信号の送信元が火元に係る火災警報器10であるかどうかを判断する(S30)。火元に係る火災警報器10であると判断すると、連動警報を停止させる(S31)。ここでは、火元に係る火災警報器10からの警報停止信号の場合には、警報音制御回路38による音の発生、表示回路39による表示を共に停止させる。そして、移報出力部40に火災警報に係る信号の出力を停止させて(S32)、S21に戻って再度処理を行う。火元に係る火災警報器10でないと判断すると、警報音制御回路38による音の発生は停止させるが、表示回路39は表示灯の点滅を継続させる(S27)。そして、移報出力部40には火災に係る警報の移報信号の出力を継続して行わせる(S28)。
【0055】
図6は、主として移報遮断機能に係る制御回路31の処理を表す図である。まず、利用者により2秒以上点検・警報停止スイッチ41が押された(長押しされた)ものと判断すると(S41)、移報遮断機能設定スイッチ43において移報遮断機能がオン(有効)であるかどうかを判断する(S42)。ここで、オフ(無効)であると判断すると、移報出力点検機能に係る処理を行う。
【0056】
移報出力点検機能に関しては、警報音制御回路38を動作させて移報出力点検時における音声等を発生させ、また、表示回路39を動作させて表示させる移報出力点検警報(本実施の形態においては、連動警報と同様の警報)を行わせる(S61)。また、移報出力部40に移報出力点検警報に係る移報信号を出力させる処理を行って(S62)、終了する。
【0057】
一方、移報遮断機能がオンであると判断すると、タイマ45により計時を開始する(S43)。そして、表示回路39を動作させて、移報遮断状態であることを示す旨の表示(第1の報知)を行わせる(S44)。表示については、表示灯を赤色で2回点滅させ、これを周期的に行う。
【0058】
そして、アンテナ36、送受信回路35を介して連動制御信号を受信したかどうかを判断する(S45)。連動制御信号を受信したものと判断すると、最初の連動制御信号であるかどうかを判断する(S46)。最初の連動制御信号であると判断すると、移報遮断状態における連動警報(第2の報知)を行わせる(S47)。ここで移報遮断状態における連動警報については、表示回路39を動作させて、表示灯を橙色で2回点滅させ、これを周期的に行う。
【0059】
また、最初の連動制御信号でないと判断すると、最初の連動制御信号を送信した機器以外の他の機器からの連動制御信号であるかどうかを判断する(S48)。
【0060】
S45において連動制御信号を受信していない又はS48において他の機器からの連動制御信号でないと判断すると、タイマ45の計時開始から一定時間が経過したかどうかを判断する(S49)。ここで、本実施の形態では一定時間を1時間とする。一定時間が経過していないと判断すると、点検・警報停止スイッチ41が再度長押しされたかどうかを判断する(S50)。点検・警報停止スイッチ41が再度長押しされなかったものと判断すると、アンテナ36、送受信回路35を介して他の機器から警報停止信号を受信したかどうかを判断する(S51)。警報停止信号を受信していないものと判断すると、S45に戻って処理を継続する。また、警報停止信号を受信したものと判断すると、S44に戻って移報遮断状態であることを示す旨の表示に戻して処理を継続する。
【0061】
S48において他の機器からの連動制御信号である、S49において計時開始から所定時間が経過した又はS50において点検・警報停止スイッチ41が再度長押しされたものと判断すると、移報遮断状態を解除して(S52)、処理を終了する。処理を終了した後、アンテナ36、送受信回路35を介して、他の火災警報器10等から連動制御信号を受信したものと判断すると、前述した警報処理を行う。
【0062】
以上のように、実施の形態1のシステムにおける中継器30によれば、移報遮断機能設定スイッチ43により移報遮断機能を設定し、例えば利用者が点検・警報停止スイッチ41を押すことにより、一定時間、移報信号を移報出力部40に出力させずに遮断することができるようにしたので、あらかじめ非火災であることがわかっている(想定される)場合に、移報を遮断しておくことで、外部機器を連動して動作させずにすむため、利便性を高めることができる。
【0063】
点検・警報停止スイッチ41を移報遮断開始スイッチとして機能させるようにし、利用者の押下により移報遮断を行う一定時間の計時を開始するようにしたので、設定された時間において移報遮断を行うことができる。
【0064】
また、移報遮断機能設定スイッチ43を、切り替えにより移報出力点検機能の設定を行うスイッチと兼用できるようにしたので、機能の拡充をはかりつつ、スイッチ数の削減による部品の簡素化、コストの低減、誤動作の防止等をはかることができる。
【0065】
さらに、制御回路31が、計時中において再度移報遮断開始スイッチが操作されたものと判断するか若しくは2以上の異なる機器から連動制御信号を受信したものと判断するか又は一定時間が経過したものと判断すると移報遮断を解除処理するようにしたので、外部機器への移報が必要な場合にすばやく対応させることができる。
【0066】
また、制御回路31は、点検・警報停止スイッチ41(移報遮断開始スイッチ)が押されると、表示回路39を動作させて、表示手段に移報遮断状態であることを示す旨の表示となる第1の報知を行わせるようにするようにしたので、移報遮断状態であることを利用者に報知(教示)することができる。また、最初の連動制御信号を受信した場合には、移報遮断状態における連動警報(第2の報知)を行わせるようにしたので、他の機器が火災に係る警報等を行っていることを第1の報知とは区別して利用者に報知することができる。
【0067】
そして、以上のような中継器30を火災警報器10と共にシステムとして構成することで、利便性の高い火災警報システムを得ることができる。
【0068】
実施の形態2.
上述の実施の形態1では、スイッチ数の削減等のため、移報遮断機能設定スイッチ43を、移報遮断機能と移報出力点検機能との切り替えを行うスイッチとしたが、これに限定するものではない。例えば移報出力点検機能設定用のディップスイッチを別に設け、2つのディップスイッチでそれぞれの機能のオンオフを設定するようにしてもよい。
【0069】
実施の形態3.
上述した実施の形態では、移報遮断機能設定スイッチ43を、点検・警報停止スイッチ41を移報遮断開始スイッチとして機能させるためのスイッチとした。例えば移報遮断機能設定スイッチ43をオンに設定している間は、点検・警報停止スイッチ41が押されたか否かに関係なく、他の機器からの連動制御信号に対して、常に移報出力部40から移報信号を出力させない設定にするためのスイッチとしてもよい。例えば、システムの設置場所が、非火災の煙が発生しやすい(誤報が生じやすい)ような環境に変化した場合等、中継器30の音、表示だけを行い、外部機器に移報信号を出力せずに対応したいような場合において有用である。
【0070】
また、移報遮断機能設定スイッチ43を設けることなく、移報遮断開始スイッチ(点検・警報停止スイッチ41)のみで移報遮断設定手段を構成してもよい。この場合、移報遮断開始スイッチが、例えば、長押し操作で押されたときに、移報遮断設定が有効となり、移報遮断を行う一定時間の計時を開始し、設定された時間において移報遮断を行うようにする。
【0071】
また、タイマ45による計時に基づく、移報出力部40から移報信号を出力させない期間として、記憶素子44は、一定期間として、例えば1時間を記憶するようにしたが、設置環境等に合わせて、それ以外の一定期間を記憶するようにしてもよい。
【0072】
そして、前記全ての実施の形態において、火災警報器10と中継器30とで構成される火災警報システムを挙げて説明したが、火災に限らず、ガス漏れなど、その他の環境の異常を検出する警報器と中継器30とで構成される警報システムにも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0073】
1,31 制御回路、2,32 電池、3,33 電源回路、4,34 電池電圧検出回路、5,35 送受信回路、6,36 アンテナ、7 火災検出回路、8,38 警報音制御回路、9,39 表示回路、10 火災警報器、20 警報停止スイッチ、21,44 記憶素子、30 中継器、40 移報出力部、41 点検・警報停止スイッチ、42 警報停止信号送信設定スイッチ、43 移報遮断機能設定スイッチ、45 タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を送受信可能な警報器を有する警報システムと外部機器との間の中継を行うため、前記無線信号に基づいて移報信号を出力する移報出力部と、
前記システム内の機器に連動した警報を行わせるための無線信号に基づく移報信号を、移報出力部から出力させないようにする移報遮断の設定をするための移報遮断設定手段と
を備えることを特徴とする移報出力器。
【請求項2】
前記移報遮断設定手段は、前記移報遮断機能の有効又は無効を設定する移報遮断機能設定スイッチを有し、該移報遮断機能設定スイッチにより前記移報遮断機能が有効に設定されているときは、前記移報出力部から前記移報信号を出力させないようにすることを特徴とする請求項1記載の移報出力器。
【請求項3】
前記移報遮断設定手段は、前記移報遮断機能の有効又は無効を設定する移報遮断機能設定スイッチと前記移報遮断の開始を指示するための移報遮断開始スイッチとを有し、
前記移報遮断機能設定スイッチにより前記移報遮断機能が有効に設定されているときに、前記移報遮断開始スイッチが操作されると計時を開始し、一定時間を最長として、前記移報出力部から前記移報信号を出力させないようにすることを特徴とする請求項1記載の移報出力器。
【請求項4】
前記移報遮断中に再度移報遮断開始スイッチが操作されるか若しくは前記システム内における2以上の異なる機器から前記連動した警報を行わせるための無線信号を受信するか、前記一定時間が経過すると、前記移報遮断を解除することを特徴とする請求項3記載の移報出力器。
【請求項5】
前記移報遮断機能設定スイッチは、前記移報信号を出力することができるかどうかを点検するための移報出力点検機能の設定を行うためのスイッチを兼用することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の移報出力器。
【請求項6】
前記移報遮断中である旨を報知する第1の報知と、
前記移報遮断中に前記連動した警報を行わせるための無線信号を受信した旨を報知する第2の報知とを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の移報出力器。
【請求項7】
環境の異常検出を行うための1又は複数の警報器と、
請求項1〜6のいずれかに記載した1又は複数の移報出力器と
を無線信号の送受信により、連動した警報動作を行わせることが可能となるように構成することを特徴とする警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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