説明

移植可能なデバイスのための熱離脱システム

【課題】インプラントデバイス送達装置および関連する使用の方法であって、改良された移植可能なデバイスのための熱離脱システムを提供する。
【解決手段】塞栓コイルのようなインプラントデバイス112を有利に伸張抵抗性にする伸張抵抗性チューブを取り込み、その一方、送達システムは、インプラントデバイス112を所望の標的部位に位置決めするために用いられている。インプラント送達システムは、送達プッシャー102、この送達プッシャー102に連結されたインプラント112、このインプラント112を送達プッシャーに連結するテザー104、ヒーター106を備え、このテザー104は、ヒーター106の能動化の後1秒以内にインプラントデバイス112が送達プッシャー102から放出されるような予備伸張状態であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「移植可能なデバイスのための熱離脱システム」と題する2004年8月25日に出願された米国仮出願第60/604、671号への、および「移植可能なデバイスのための熱離脱システム」と題する2005年5月27日に出願された米国仮出願第60/685、342号への優先権を主張しており、これら両方は、本明細書によって参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、患者の身体内の標的部位に移植デバイスを送達するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
より少ない侵襲性手段による移植可能な治療デバイスの送達が、多くの臨床的状況で所望され得ることが示されている。例えば、血管塞栓が、血管出血を制御するため、腫瘍への血液供給を閉塞するため、輸卵管を閉塞するため、および血管動脈瘤、特に頭蓋内動脈瘤を閉塞するために用いられている。最近、動脈瘤の処置のための血管塞栓が多くの注目を受けている。別の例として、ブロックされた血管を開くため、または塞栓コイルを保持するためにステントのようなメッシュまたは足場デバイスの使用もまた多くの注目を受けている。
【0004】
いくつかの異なる処置様式が、インプラントデバイスを展開するために先行技術で採用されている。例えば、インプラントデバイスのための多くの再位置決め可能な離脱システムが、Guglielmiらによる特許文献1およびGeremiaらによる特許文献2を含む先行技術に記載されており、これらの内容は、本明細書によって参考として援用される。本明細書によって参考として援用される、Gandhiらによる特許文献3およびHandaらによる特許文献4に開示されるようないくつかのシステムは、インプラントデバイスを離脱および展開するためのヒーターの使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,895,385明細書
【特許文献2】米国特許第5,108,407明細書
【特許文献3】米国特許第6,500,149明細書
【特許文献4】米国特許第4,346,712明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の目的および要旨)
本発明は、コイル、ステント、フィルターなどのような移植可能なデバイスを、制限されないで、血管、輸卵管、痩管および動脈管のような奇形、心臓欠陥(例えば、左心房心耳および萼片開口部)、およびその他の管腔器官を含む身体腔内に位置決めおよび展開するために用いられるインプラント送達および離脱システムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このシステムは、インプラント、送達カテーテル(一般に、プッシャーまたは送達プッシャーと称される)、このプッシャーをインプラントに連結するための離脱可能なジョイント、熱生成装置(一般に、ヒーターと称される)、およびこのヒーターにエネルギーを付与するための電源を備える。
【0008】
本発明の1つの局面では、上記インプラントは、テザー、紐、ワイヤ、フィラメント、ファイバなどを用いてプッシャーに連結される。包括的に、これはテザーと称される。このテザーは、モノフィラメント、ロッド、リボン、中空のチューブなどの形態であり得る。多くの材料が、このインプラントをプッシャーに離脱可能に接続するために用いられ得る。1つのクラスの材料は、商標名EngageまたはExxonの下で市販され、商標名Affinityの下で市販される、Dowによって作製されるようなポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマーのようなポリマー、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリアミド(Nylon)、ポリウレタン、ポリプロピレン、PEBAXまたはHytrelのようなブロックコポリマー、およびエチレンビニルアルコール(EVA);または、シリコーン、ラテックス、およびKratonのような弾性材料である。いくつかの場合には、このポリマーはまた、その引っ張り強さ、および融解温度を操作するために照射で架橋され得る。別のクラスの材料は、ニッケルチタン合金(Nitinol)、金、および鋼(スチール)のような金属である。この材料の選択は、位置エネルギーを貯蔵するための材料の能力、融点温度または軟化温度、離脱のために用いられる電力、および身体の処置部位に依存する。テザーは、インプラントおよび/またはプッシャーに、溶接、結び目糸結び、はんだ、接着剤結合、または当該技術分野で公知のその他の手段によって接続され得る。インプラントがコイルである1つの実施形態では、このテザーは、コイルの管腔の内側を通って通り抜け得、そしてこのコイルの遠位端に取り付けられ得る。この設計は、インプラントをプッシャーに接続するのみならず、二次的な伸張抵抗性部材の使用なくしてコイルに伸張抵抗性を与える。インプラントがコイル、ステント、またはフィルターであるその他の実施形態では;このテザーは、インプラントの近位端に取り付けられる。
【0009】
本発明の別の局面では、上記テザーは、インプラントをプッシャーに離脱可能に連結するテザーは、離脱の間に放出される貯蔵された(すなわち、位置)エネルギーのリザーバーとして作用する。これは、インプラントを離脱するために必要な時間およびエネルギーを有利に低下する。なぜなら、それは、テザーが、上記材料をかならずしも完全に溶融することなく、熱の付与によって切断されることを可能にするからである。この貯蔵されたエネルギーはまた、インプラントを送達カテーテルから離して押す力をこのインプラントに対して奏し得る。この分離は、システムをより信頼性のあるものにする傾向にある。なぜなら、それは、テザーが再固化することを防ぎ得、そして離脱後インプラントを保持するからである。貯蔵されたエネルギーは、いくつかの方法で付与され得る。1つの実施形態では、スプリングがインプラントとプッシャーとの間に配置される。このスプリングは、インプラントがプッシャーにテザーの1つの端部をプッシャーまたはインプラントいずれか1つに接続することよってプッシャーに取り付けられとき圧縮され、テザーの自由端をこのスプリングが少なくとも部分的に圧縮されるまで引っ張り、次に、テザーの自由端部をインプラントまたはプッシャーの他方に固定する。テザーの両端部が拘束されるので、このテザー上の張力(またはスプリング中の圧縮)の形態にある位置エネルギーが、システム内に貯蔵される。別の実施形態では、テザーの1つの端部が、先の実施形態におけるように固定され、そして次にテザーは、テザーの自由端部に対し所定の力または位置ずれで引くことにより引張りに配置される。テザーの自由端部が次いで固定されるとき、テザー材料の伸長(すなわち、弾性変形)自体がエネルギーを貯蔵する。
【0010】
本発明の別の局面によれば、ヒーターが、プッシャー上またはその中、必ずしもそうである必要はないが、プッシャーの遠位端近傍に配置される。このヒーターは、プッシャーに、例えば、はんだ、溶接、接着剤結合、機械的結合、または当該分野で公知のその他の技法によって取り付けられ得る。このヒーターは、巻かれたコイル、熱パイプ、中空のチューブ、バンド、ハイポチューブ、中実の棒、トロイド、または類似の形態であり得る。このヒーターは、鋼、クロムコバルト合金、白金、銀、金、タンタル、タングステン、マンガリン(mangalin)、California Fine Wire Companyから商標名Stable Ohmの下で入手可能なクロムニッケル合金、導電性ポリマーなどのような種々の材料から作製され得る。上記テザーは、このヒーターの近傍に配置される。このテザーは、中空またはコイル型のヒーターの管腔を通過し得るか、またはヒーターの周りを包む。テザーは、ヒーターと直接接触して配置され得るが、これは層である必要はない。組み立ての容易さのため、テザーは、ヒーターの近傍に配置され得るが、実際には接触しない。
【0011】
送達カテーテルまたはプッシャーは、細長い部材であり、遠位端および近位端は、インプラントが処置部位に操縦されることを可能にするに適合されている。このプッシャーは、コアマンドレルおよび上記ヒーターに電力を供給する1つ以上の電気配線を備える。このプッシャーは、寸法がテーパー状であり得、そして/またはその長さに沿って剛直性であり、通常、遠位端は近位端より可撓性である。1つの実施形態では、プッシャーは、ガイドカテーテルまたはマイクロカテーテルのような送達導管内に、入れ子式に配置されるよう適合されている。別の実施形態では、このプッシャーは、それがガイドワイヤ上で操縦されることを可能にする内部管腔を含む。なお別の実施形態では、このプッシャーは、第2のデバイスなくして処置部位に直接操縦され得る。このプッシャーは、蛍光透視法でシステムを見えるようにする放射線不透過性マーキングシステムを有し得、これは、それが、マイクロカテーテルまたはその他の付属的デバイス上の放射線不透過性マーキングと組み合わせて用いられることを可能にする。
【0012】
本発明の別の局面では、上記コアマンドレルは、中実または中空シャフト、ワイヤ、チューブ、ハイポチューブ、コイル、リボン、またはそれらの組み合わせの形態である。このコアマンドレルは、PEEK、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、Teflon(登録商標)、アクリル、ポリエステル、PEBAXのようなブロックコポリマーのようなプラスチック材料から作製され得る。プラスチック部材(単数または複数)は、金属、ガラス、カーボンファイバ、編組コイルなどから作製される補強ファイバまたはワイヤでその長さに沿って選択的に堅くされ得る。それに代わって、またはプラスチック構成要素と組み合わせて、ステンレス鋼、タングステン、クロムコバルト合金、銀、銅、金、白金、チタン、ニッケルチタン合金(Nitinol)などのような金属材料が上記コアマンドレルを形成するために用いられ得る。それに代わって、またはプラスチックおよび/または金属構成要素と組み合わせて、ガラス、光ファイバ、ジルコニウムなどのようなセラミック構成要素が、上記コアマンドレルを形成するために用いられ得る。コアマンドレルはまた、材料のコンポジットであり得る。1つの実施形態では、コアマンドレルは、白金またはタンタルのような放射線不透過性材料の内部コア、および鋼またはクロムコバルトのような、ねじれ耐性材料の外部カバーを備える。この内部コアの厚みを選択的に変えることにより、放射線不透過性識別子が、第2のマーカーを用いることなく、このプッシャー上に提供され得る。別の実施形態では、コア材料、ねじれ耐性および/または圧縮強度のような所望の材料性質をもつ、例えば、ステンレス鋼は、(例えば、メッキ、延伸、または当該技術分野で公知の類似の方法によって)銅、アルミニウム、金、または銀のような低電気抵抗材料で選択的に覆われ、その電気的伝導性を増大し、それ故、このコアマンドレルを電気伝導体として用いられることを可能にする。別の実施形態では、コア材料、例えば、磁気共鳴像(MRI)との適合性のような所望の性質をもつガラスまたは光ファイバは、PERBAXまたはポリイミドのようなプラスチック材料で覆われ、このガラスが破砕またはねじれることを防ぐ。
【0013】
本発明の別の局面では、上記ヒーターはプッシャーに取り付けられ、そして次に、1つ以上の電気伝導体がヒーターに取り付けられる。1つの実施形態では、一対の伝導性ワイヤがこのプッシャーの実質的長さを通り、そしてプッシャーの遠位端近傍でヒーターに、かつプッシャーの近位端近傍で電気コネクターに連結される。別の実施形態では、1つの伝導性ワイヤが、プッシャーの実質的長さを通り、そしてコアマンドレル自体が伝導性材料から作製されるか、または第2の電気配線として作用する伝導性材料で覆われる。ワイヤおよびマンドレルは、プッシャーの遠位端近傍でヒーターに、そして近位端近傍で1つ以上のコネクターに接続される。別の実施形態では、双極性伝導体がヒーターに連結され、そしてヒーターに電力を与えるために高周波(RF)エネルギーと組み合わせて用いられる。いずれの実施形態においても、伝導体(単数または複数)は、コアマンドレルと平行に通るか、または実質的に中空のコアマンドレル(例えば、ハイポチューブ)の内部管腔を通過し得る。
【0014】
本発明の別の局面では、電気および/または熱絶縁カバーまたはスリーブがヒーター上に配置され得る。このスリーブは、ポリエステル(PET)、Teflon(登録商標)、ブロックコポリマー、シリコーン、ポリイミド、ポリアミドなどのような絶縁性材料から作製され得る。
【0015】
本発明の別の局面では、電気コネクター(単数または複数)が、プッシャーの近位端近傍に、ヒーターが上記伝導体を通って電源に電気的に連結され得るように配置される。1つの実施形態では、これらコネクターは、1つ以上の雄ピンまたは雌ピンを備えたプラグの形態である。別の実施形態では、これらコネクター(単数または複数)は、クリップ型コネクターで連結され得るチューブ、ピン、またはホイルである。別の実施形態では、これらコネクター(単数または複数)は、外部電源と嵌合するように適合されるチューブ、ピン、またはホイルである。
【0016】
本発明の別の実施形態では、上記プッシャーは、外部電源に、ヒーターが電源に電気的に接続されるように外部電源に連結する。この電源は、バッテリー(単数また複数)からであるか、または壁出口によって電気的グリッドに連結される。この電源は、直流(DC)、交流(AC)、変調直流、または高周波数もしくは低周波数いずれかのラジオ波(RF)の形態の電流を供給する。電源は、滅菌場の外側で作動するコントロールボックスであり得るか、または滅菌場内で作動するよう適合されたハンドヘルドデバイスであり得る。この電源は、使い捨て、受電可能であり得るか、または使い捨てもしくは充電可能なバッテリーとともに再使用可能であり得る。
【0017】
本発明の別の局面では、上記電源は、使用者を離脱で支援する電気回路を備え得る。1つの実施形態では、この回路は、インプラントの離脱を検出し、そして離脱が起こったとき、使用者に信号を提供する。別の実施形態では、この回路は、予備設定長さの時間が経過したとき使用者に信号を提供するタイマーを備える。別の実施形態では、この回路は、離脱の数をモニターし、そして予備設定された数の離脱が実施されたとき、信号を提供するか、またはシステムをロックして切るような作動をする。別の実施形態では、この回路は、取り付け試行の数をモニターし、そして成功する離脱の可能性を増加するために、電流、電圧、および/または離脱時間を増加するフィードバックループを備える。
【0018】
本発明の別の局面では、上記システムの構築は、極度に短い離脱時間を可能にする。1つの実施形態では、離脱時間は1秒より少ない。
【0019】
本発明の別の局面では、上記システムの構築は、離脱の間に上記デバイスの表面温度を最小にする。1つの実施形態では、離脱の間の上記ヒーターでの表面温度は50℃を下回る。別の実施形態では、離脱の間の上記ヒーターでの表面温度は42℃を下回る。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
インプラント送達システムであって:
a.送達プッシャー;
b.上記送達プッシャーに連結されたインプラント;
c.上記インプラントを上記送達プッシャーに連結するテザー;
d.ヒーター;を備え、
e.ここで、上記テザーが、上記ヒーターの能動化の後1秒以内に上記インプラントデバイスが上記送達プッシャーから放出されるような予備伸張状態にある、インプラント送達システム。
(項目2)
上記テザー内の予備伸張が、約250グラムより少ない、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目3)
上記テザー内の予備伸張が、上記送達システムにほぼ同軸である方向にある、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目4)
上記ヒーターの能動化が、位置エネルギーを放出する、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目5)
上記テザーが:ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、ポリエチレン、およびポリオレフィンエラストマーからなる群から選択される材料からなる、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目6)
上記送達プッシャーの温度が、上記インプラントが上記送達プッシャーから離脱するとき、約50℃より低い、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目7)
上記送達プッシャーの温度が、上記インプラントが上記送達プッシャーから離脱するとき、約42℃より低い、項目6に記載のインプラント送達システム。
(項目8)
上記インプラントがコイルである、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目9)
上記インプラントがステントである、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目10)
上記テザーが、約0.001〜0.007インチ(0.00254〜0.01778センチメートル)の範囲内の直径を有する、項目1に記載のインプラント送達システム。
(項目11)
インプラントを送達デバイスから放出する方法であって:
a.テザーで送達デバイスに連結されたインプラントを有する送達デバイスを提供する工程;
b.上記インプラントを患者の管腔内の標的位置に位置決めする工程;
c.上記送達デバイスのヒーターを、上記ヒーターの能動化の後約1秒以内に上記送達デバイスから放出されるように能動化する工程、を包含する、方法。
(項目12)
上記インプラントが、上記ヒーターが能動化された後約0.75秒で上記送達デバイスから放出される、項目11に記載の方法。
(項目13)
上記送達デバイスを提供する工程が、上記テザーを予備伸張状態で提供することを含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
上記テザー内の予備伸張が、約250グラムより少ない、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記テザー内の予備伸張が、上記送達システムにほぼ同軸である方向にある、項目13に記載の方法。
(項目16)
上記ヒーターの能動化が、上記ヒーターに、交流、直流、および高周波電流からなる群から選択される電流を付与することを含む、項目11に記載の方法。
(項目17)
上記ヒーターを能動化する工程が、上記送達デバイスの表面温度を約50℃未満にする、項目11に記載の方法。
(項目18)
上記ヒーターを能動化する工程が、上記送達デバイスの表面温度を約42℃未満にする、項目17に記載の方法。
(項目19)
インプラント送達システムであって:
a.外面を有する送達プッシャー;
b.上記送達プッシャーに連結されたインプラント;
c.上記インプラントを上記送達プッシャーに連結するテザー;
d.ヒーター;を備え、
e.ここで、上記テザーが、上記ヒーターの能動化の後、および上記送達プッシャーの外面の温度が約50℃を超える前に上記インプラントデバイスが上記送達プッシャーから放出されるような予備伸張状態にある、インプラント送達システム。
(項目20)
上記テザー内の予備伸張が、約200グラムより少ない、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目21)
上記テザー内の予備伸張が、上記送達プッシャーにほぼ同軸である方向にある、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目22)
上記ヒーターの能動化が、位置エネルギーを放出する、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目23)
上記テザーが:ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、ポリエチレン、およびポリオレフィンエラストマーからなる群から選択される材料からなる、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目24)
上記送達プッシャーの外面温度が、上記インプラントが上記送達プッシャーから離脱するとき、約42℃より低い、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目25)
上記送達システムが、上記送達プッシャーから上記インプラントを上記ヒーターの能動化後約1秒以内で放出するように適合される、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目26)
上記送達システムが、上記送達プッシャーから上記インプラントを上記ヒーターの能動化後約0.75秒以内で放出するように適合される、項目25に記載のインプラント送達システム。
(項目27)
上記インプラントがコイルである、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目28)
上記インプラントがステントである、項目19に記載のインプラント送達システム。(項目29)
上記テザーが、約0.001〜0.007インチ(0.00254〜0.01778センチメートル)の範囲内の直径を有する、項目19に記載のインプラント送達システム。
(項目30)
インプラント送達システムであって:
a.送達プッシャー;
b.上記送達プッシャーに連結されたインプラント;
c.上記インプラントを上記送達プッシャーに連結するテザー;
d.ヒーター;を備え、
ここで、上記テザーが、上記インプラントの上記送達プッシャーからの放出が、位置エネルギーを放出することによって生じ、それによって上記インプラント上に力を付与するように予備伸張される、インプラント送達システム。
(項目31)
上記上記力が、約250グラムより少ない、項目30に記載のインプラント送達システム。
(項目32)
上記力が、上記送達プッシャーにほぼ同軸である方向に付与される、項目30に記載のインプラント送達システム。
(項目33)
上記テザーが、約0.001〜0.007インチ(0.00254〜0.01778センチメートル)の範囲内の直径を有する、項目30に記載のインプラント送達システム。
(項目34)
送達プッシャー構成要素、第1の端部および第2の端部を規定するテザー、およびインプラント構成要素を備えるインプラント送達システムを製造する方法であって:
a.上記テザーの第1の端部を上記インプラント送達システムの第1の構成要素に取付ける工程;
b.第1の構成要素の一部分を、第2の構成要素の一部分の近傍に配置する工程;
c.上記テザー上に張力を配置する工程;
d.上記テザーの第2の端部を上記第2の構成要素に取付ける工程、を包含する、方法。
(項目35)
上記第1の構成要素が上記インプラント構成要素であり、そして上記第2の構成要素が上記送達プッシャー構成要素である、項目34に記載の方法。
(項目36)
上記第1の構成要素が上記送達プッシャー構成要素であり、そして上記第2の構成要素が上記インプラント構成要素である、項目34に記載の方法。
(項目37)
上記インプラント構成要素が、内部管腔、遠位端、および近位端を規定するコイルである、項目34に記載の方法。
(項目38)
上記テザーが、上記コイルの近位端近傍に取り付けられる、項目37に記載の方法。
(項目39)
上記テザーが、上記コイルの内部管腔を実質的に通過し、そして上記コイルの遠位端近傍に取り付けられる、項目37に記載の方法。
(項目40)
上記インプラント構成要素がステントである、項目34に記載の方法。
(項目41)
上記テザーが、ヒーターの近傍に配置される、項目34に記載の方法。
(項目42)
上記インプラントが、上記ヒーターの能動化により上記送達プッシャーから放出される、項目41に記載の方法。
(項目43)
上記テザーが、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、ポリエチレン、およびポリオレフィンエラストマーからなる群から選択される材料を含む、項目34に記載の方法。
(項目44)
上記張力が、上記送達プッシャーとほぼ同軸の方向にある、項目34に記載の方法。
(項目45)
上記張力が、約250グラムより小さい、項目34に記載の方法。
(項目46)
インプラント送達システムであって:
近位端および遠位端を有する送達プッシャーと、
上記送達プッシャーの遠位端に配置されたインプラントと、
上記インプラントを上記送達プッシャーに連結する熱により能動化される取り付け部材と、
上記取り付け部材に連結される加熱要素とを備え、そして
上記熱により能動化される取り付け部材が、上記加熱要素の能動化の後1秒以内で上記送達プッシャーから上記インプラントデバイスを放出するようなサイズである、インプラント送達システム。
(項目47)
上記熱により能動化される取り付け部材が、上記インプラントを上記送達プッシャーに連結するときストレス状態にある、項目46に記載のインプラント送達システム。
(項目48)
上記熱により能動化される取り付け部材のストレス状態が、伸張状態である、項目47に記載のインプラント送達システム。
(項目49)
上記熱により能動化される取り付け部材が:ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、およびPETからなる群から選択される材料を含む、項目46に記載のインプラント送達システム。
(項目50)
上記加熱要素が、上記熱により能動化される取り付け部材と接触する加熱コイルを備える、項目46に記載のインプラント送達システム。
(項目51)
上記熱により能動化される取り付け部材が、上記加熱要素の能動化の1秒以内に溶けるサイズの直径を有する細長いフィラメントを含む、項目46に記載のインプラント送達システム。
(項目52)
上記熱により能動化される取り付け部材が、上記加熱要素から熱を受けるに際し、1秒以内に溶ける材料を含む、項目46に記載のインプラント送達システム。
(項目53)
送達デバイスからインプラントを放出する方法であって:
上記送達デバイスに係合部材で連結されたインプラントを有する送達デバイスを提供する工程;
患者の管腔内の標的位置に上記送達デバイスの遠位端を位置決めする工程;
上記送達デバイスの加熱部材を、上記係合部材が、上記加熱部材の能動化の後、約1秒以内に上記送達デバイスから上記インプラントを放出するように能動化する工程、を包含する、方法。
(項目54)
上記係合部材が、上記インプラントを、上記送達デバイスから、上記加熱部材の能動化の後約0.75秒で放出する、項目53に記載の方法。
(項目55)
上記送達デバイスを提供する工程が、上記係合部材を、上記イプラントと上記送達デバイスの間として、予備ストレス状態で提供することを含む、項目53に記載の方法。
(項目56)
上記加熱部材を能動化する工程が、交流、直流、および高周波電流からなる群から選択される電流を上記加熱部材に付与することを含む、項目53に記載の方法。
(項目57)
インプラント送達システムであって:
送達プッシャー;を備え、
上記送達プッシャーが、上記送達プッシャーの長さの部分に沿って配置された第1の放射線不透過性層を含み;そして
上記送達プッシャーが、上記第1の放射線不透過性層を重層する第2の放射線不透過性層を含み;
ここで、上記第2の放射線不透過性層が第1の厚みを有する第1の領域および第2の厚みを有する第2の領域を含み、上記第1の厚みが上記第2の厚みとは異なる、インプラント送達システム。
(項目58)
上記第2の放射線不透過性層が第3の厚みを有する第3の領域を含み、上記第3の厚みが上記第1および第2の厚みとは異なる、項目57に記載のインプラント送達デバイス。
(項目59)
上記第1の放射線不透過性層が第1の放射線不透過性値を有し、そして上記第2の放射線不透過性層が、上記第1の放射線不透過性値とは異なる第2の放射線不透過性値を有する、項目57に記載のインプラント送達デバイス。
(項目60)
上記第1の放射線不透過性値が、上記第2の放射線不透過性値より高い、項目59に記載のインプラント送達デバイス。
(項目61)
上記第1の放射線不透過性層が、タングステン、タンタル、白金、および金からなる群から選択される材料を含む、項目59に記載のインプラント送達デバイス。
(項目62)
上記第2の放射線不透過性層が、Elgiloy、Nitinol、およびステンレス鋼からなる群から選択される材料を含む、項目59に記載のインプラント送達デバイス。
(項目63)
上記第2の領域が約3cmの長さを有し、そして上記送達プッシャーの遠位端に向かって位置決めされる、項目57に記載のインプラント送達デバイス。
(項目64)
インプラントを送達する方法であって:
第1の放射線不透過性層および第2の放射線不透過性層を備えるインプラント送達デバイスを提供する工程であって、上記第2の放射線不透過性層が、第1の直径を有する第1の領域および第2の直径を有する第2の層の間の遷移領域を有する、工程;
放射線不透過性マーカーを有する送達カテーテルを提供する工程;
上記送達カテーテルの遠位端を、患者内の標的位置に位置決めする工程;
上記インプラント送達デバイスを、上記送達カテーテルの管腔中に導入する工程;
上記インプラント送達デバイスの上記遷移領域を、上記送達カテーテル上の上記放射線不透過性マーカーと整列する工程;および
インプラントを送達する工程、を包含する、方法。
(項目65)
インプラントデバイス送達システムであって:
近位端および遠位端およびヒーター部材を有する送達プッシャー;
上記送達プッシャー上に、上記送達プッシャーの近位端に向かって配置された伝導性コア部材;
上記伝導性コア部材の少なくとも一部分上に配置された絶縁層;
上記絶縁層の少なくとも一部分上に配置された伝導層;
上記伝導性コアを上記ヒーター部材に連結する第1のワイヤ;および
上記伝導性層を上記ヒーター部材に連結する第2のワイヤ、を備える、インプラントデバイス送達システム。
(項目66)
上記伝導性層が、銀、金、白金、鋼、銅、導電性ポリマー、または導電性材料からなる群から選択される材料を含む、項目65に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目67)
上記伝導性コアの一部分が剥き出る、項目65に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目68)
送達プッシャーからのインプラントの離脱を検出する方法であって:
送達プッシャーに連結されるインプラントを、上記送達プッシャーの遠位端に提供する工程;
害送達プッシャーの第1のインダクタンス値を決定する工程;
上記送達プッシャーから上記インプラントを離脱することが意図された操作を実行する工程;
上記送達プッシャーの第2のインダクタンス値を決定する工程;
上記送達プッシャーからの上記インプラントの離脱が、上記第1のインダクタンス値と第2のインダクタンス値との評価に基づき生じたか否かを決定する工程、を包含する、方法。
(項目69)
上記第1のインダクタンス値を決定する工程が、第1の誘導抵抗を測定することを含む、項目68に記載の方法。
(項目70)
上記第2のインダクタンス値を決定する工程が、第2の誘導抵抗を測定することを含む、項目69に記載の方法。
(項目71)
上記第1の誘導抵抗値および上記第2の誘導抵抗値が、上記送達プッシャー中に配置されたヒーターコイルに対して測定される、項目70に記載の方法。
(項目72)
送達プッシャーからのインプラントの離脱を検出する方法であって:
ヒーター部材および離脱可能なインプラントを収容する送達プッシャーを提供する工程;
上記ヒーター部材の第1の電気的性質の測定を実施する工程;
上記ヒーター部材を、上記送達プッシャーから上記インプラントを切断するように温度を増加するようにする工程;
上記ヒーター部材の第2の電気的性質の測定を実施する工程;
上記送達プッシャーからの上記インプラントの切断を、上記ヒーター部材の第1および第2の電気的性質の測定の評価を基づき決定する工程、を包含する、方法。
(項目73)
上記第1の電気的性質の測定を実施する工程が、上記ヒーター部材の第1の誘導耐性を測定することを含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
上記第2の電気的性質の測定を実施する工程が、上記ヒーター部材の第2の誘導耐性を測定することを含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
上記第1の電気的性質の測定を実施する工程が、上記ヒーター部材の第1の時定数を測定することを含む、項目72に記載の方法。
(項目76)
上記第2の電気的性質の測定を実施する工程が、上記ヒーター部材の第2の時定数を測定することを含む、項目72に記載の方法。
(項目77)
インプラントデバイス送達システムであって:
近位端および遠位端を有する送達プッシャー;
上記送達プッシャーの遠位端に連結された伸張抵抗性チューブ;
上記伸張抵抗性チューブの近位端に連結された加熱要素;および
上記加熱要素から遠位方向にある上記伸張抵抗性チューブに連結されたインプラントデバイス、を備える、インプラントデバイス送達システム。
(項目78)
上記加熱要素が、上記伸張抵抗性チューブの外面上に配置される、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目79)
上記加熱要素に連結された正の電気ワイヤ;および
上記加熱要素に連結された負の電気ワイヤ;をさらに備え、
ここで、上記正の電気ワイヤが、上記加熱要素に電流を付与するような形態である、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目80)
上記正の電気ワイヤおよび上記負の電気ワイヤに連結された電源をさらに備える、項目79に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目81)
非外傷性遠位端をさらに備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目82)
上記インプラントデバイスが、コイルを備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目83)
上記送達プッシャーが、中空のチューブを備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目84)
上記送達プッシャーが、中実のコアワイヤを備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目85)
上記送達プッシャーが、中空のチューブおよび可撓性コイルを備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目86)
上記送達プッシャーが、プラスチック、鋼、白金、および鋼コイルからなる群から選択される材料を備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目87)
上記伸張抵抗性チューブが、中空のチューブを備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目88)
上記伸張抵抗性チューブが、中空の部材を備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目89)
上記伸張抵抗性チューブが、ポリマーから形成される、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目90)
上記加熱要素が、タンタル、タングステン、鋼、白金、およびマンガリンからなる群から選択される材料から形成される、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。(項目91)
上記加熱要素が、コイル、バンド、パイプ、およびハイポチューブから選択される構造を含む、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目92)
上記加熱要素を取り囲むインサルトスリーブをさらに備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目93)
上記インプラントデバイスを、上記インプラントデバイス送達システムから離脱するような形態の圧縮スプリングをさらに備える、項目77に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目94)
インプラントデバイス送達システムであって:
近位端、遠位端、それらの間の管腔、および上記管腔中に配置されるコアワイヤを備える送達プッシャーを有する送達プッシャー;
上記送達プッシャーの遠位端に連結された伸張抵抗性チューブ;
上記送達プッシャーの管腔内に配置され、そして正の電気ワイヤ、負の電気ワイヤ、およびコアワイヤによって形成される加熱要素;および
上記加熱要素から遠位方向にある上記伸張抵抗性チューブに連結されたインプラントデバイス、を備える、インプラントデバイス送達システム。
(項目95)
上記正の電気ワイヤおよび上記負の電気ワイヤに連結される電源をさらに備え、上記正の電気ワイヤおよび上記負の電気ワイヤが上記コアワイヤに連結される、項目94に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目96)
上記インプラントデバイスが、コイルを備える、項目94に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目97)
上記インプラントデバイスの近位方向にある上記伸張抵抗性チューブに連結される圧縮スプリングをさらに備え、ここで、上記圧縮スプリングが、上記インプラントデバイス送達システムから上記インプラントデバイスを離脱するような形態である、項目94に記載のインプラントデバイス送達システム。
(項目98)
非外傷性遠位端をさらに備える、項目94に記載のインプラントデバイス送達システム。
【0020】
本発明のこれらおよびその他の目的は、以下の図面および詳細な説明を考慮する際に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明による離脱システムの第1の実施形態の側方断面図を示す。
【図2】図2は、本発明による離脱システムの第2の実施形態の側方断面図を示す。
【図3A】図3Aは、本発明による例示の信号伝達する直流を示す。
【図3B】図3Bは、本発明による例示の信号伝達する交流を示す。
【図4】図4は、本発明による離脱システムの第3の実施形態の側方断面図を示す。
【図5】図5は、本発明による離脱システムの表面の例示の温度データを示す。
【図6】図6は、本発明による離脱システムの電気コネクターの側方断面図を示す。
【図7】図7は、本発明による離脱システムの放射線不透過性層の側方断面図を示す。
【図8】図8は、本発明によるステントを含む離脱システムの側方断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
図1を参照して、本発明の離脱システム100、そしてより特定すれば、離脱システム100の遠位部分が示される。この離脱システム100は、好ましくは可撓性であるプッシャー102を含む。このプッシャー102は、インプラントデバイス112を、インプラントデバイス112の移植および送達のために、患者の身体中およびその中に、そしてより特定すれば、標的の腔部位中に進めることにおける使用のための形態である。可能な標的の腔部位は、制限されないで、例えば、動脈瘤および痩管(フィステル)、心臓開口部、および例えば、左心房心耳のような血管または血管部位、ならびにその他の管腔器官、例えば、輸卵管を含む。
【0023】
伸張抵抗性テザー104は、インプラント112をプッシャー102に離脱可能に連結する。この例では、テザー104は、プッシャー102に結合されるプラスチックチューブである。実質的に中実のシンリンダーがまた、テザー104のための設計選択であり得る。この伸張抵抗性テザー104は、インプラントデバイス102の内部管腔を少なくとも部分的に通って延びる。
【0024】
プッシャー102の遠位端近傍には、ヒーター106が、伸張抵抗性テザー104に近接して配置される。このヒーター106は、伸張抵抗性テザー104の周りに、このヒーター106が血液または環境に曝されるか、またはそうでなければそれと直接接触するように覆われ得るか、またはそれに代わって、スリーブ、ジャケット、エポキシ、接着剤などによって絶縁され得る。このプッシャー102は、一対の電気ワイヤ、正の電気ワイヤ108および負の電気ワイヤ110を備える。これらワイヤ108および110は、例えば、溶接またははんだによるような、任意の適切な手段によってヒーター106に連結される。
【0025】
電気ワイヤ108、110は、電気電源(図示されず)の供給源に連結され得る。示されるように、負の電気ワイヤ110は、ヒーター106の遠位端に連結され、そして正の電気ワイヤ108は、ヒーター106の近位端に連結される。別の実施形態では、この形態は逆であり得、すなわち、負の電極ワイヤ110がヒーター106の近位端に連結され、その一方、正の電気ワイヤ108は、ヒーター106の遠位端に連結される。
【0026】
エネルギーは、ヒーター106の近傍でテザー104の一部分を切断するために、電気ワイヤ108、110からヒーター106に印加される。ヒーター106がテザー104と直接接触している必要は必ずしもない。ヒーター106は、テザー104と、単に、ヒーター106によって発生される熱がテザー104を切断するようにするに十分近接しているべきであるに過ぎない。ヒーター106の能動化の結果として、ヒーター106からほぼ遠位方向に、そしてインプラントデバイス112の管腔内にある伸張抵抗性テザー104のセクションは、インプラントデバイス112とともにプッシャー102から離脱される。
【0027】
示されるように、このインプラントデバイス112は、塞栓コイルである。インプラントデバイス112としての使用に適切な塞栓コイルは、らせんマイクロコイルに成形される適切な長さのワイヤを備え得る。このコイルは、白金、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、金、銀、タンタル、およびこれら金属の種々の合金、ならびに種々の外科用グレードのステンレス鋼を含む生体適合性材料から形成され得る。特定の材料は、Platinum479(92%白金、8%タングステン、Mount Vernon、N.Y.のSigmund Cohnから入手可能)として公知の白金/タングステン合金、および(Nitinolとして知られるニッケル/チタン合金のような)ニッケル/チタン合金を含む。
【0028】
コイルを形成するために有利であり得る別の材料は、高度に放射線不透過性の金属とともに高度に弾性の金属を含むバイメタルワイヤである。このようなバイメタルワイヤはまた、永久的変形に抵抗性であり得る。このようなバイメタルワイヤの例は、Mount Vernon、N.Y.のSigmund CohnおよびShrewsbury、MassのAnomet Productsから入手可能な、Nitinol外側層および純粋基準グレードの白金の内側コアを備える製品である。
【0029】
同一出願人に譲渡された米国特許第6,605,101号は、インプラントデバイス112としての使用に適切な塞栓コイルのさらなる説明を提供し、一次形態および二次形態を備えたコイルを含み、ここで、この二次形態は、展開後のコイルの所望されない圧密化の程度を最小にする。米国特許第6,605,101号の開示は、本明細書中に参考として全体が援用される。さらに、このインプラントデバイス112は、必要に応じて、ヒドロゲルまたは当該技術分野で公知の生物活性コーティングで被覆または覆われ得る。
【0030】
コイル型のインプラントデバイス112は、巻き戻しに抵抗性である。なぜなら、インプラントデバイス112の管腔を通って延びる伸張抵抗性テザー104は、インプラントデバイス112自体よりも塑性的に変形するために実質的により大きい力を必要とするからである。この伸張抵抗性テザー104は、それ故、インプラントデバイス112が、そうでなければこのインプラントデバイス112が巻き戻る状況で巻き戻ることを防ぐのを支援する。
【0031】
組み立ての間に、離脱を容易にするために位置エネルギーがこのデバイス内に貯蔵され得る。1つの実施形態では、随意のスプリング116が、ヒーター106とインプラントデバイス112との間に配置される。このスプリングは、組み立ての間に圧縮され、そしてテザー104の遠位端は、インプラントデバイス112の遠位端に結ばれるか、もしくは連結され得るか、または、非外傷性遠位端114に溶融もしくはそうでなければ成形され得る。
【0032】
1つの実施形態では、伸張抵抗性テザー104は、ポリオレフィンエラストマー、ポリエチレン、またはポリプロピレンのような材料から作製される。テザー104の1つの端部はプッシャー102に取り付けられ、そしてテザー104の自由端部は、インプラント112の近位端を、ヒーター106(スプリング116が存在しない場合)または圧縮されたスプリング116のいずれかと同一平面にして、インプラント112を通って引っ張られる。予備設定された力または位置ずれがテザー104を予め張力を与えるために用いられ、それ故、テザー104内には、軸方向の配向(すなわち、プッシャー102の長軸と同一直線上または平行)にエネルギーを貯蔵する。この力または位置ずれは、テザー材料性質、テザー104の長さ(それ自体、プッシャー上のテザーの取り付け点およびインプラントの長さに依存する)に依存する。一般に、この力は、テザー材料の弾性限界未満であるが、熱が付与されるときテザーを迅速に切断させるに十分である。展開されるインプラントが脳のコイルである1つの好ましい実施形態では、このテザーは、約0.001〜0.007インチ(約0.00254〜0.01778cm)の範囲内の直径を有する。勿論、このテザーのサイズは、必要に応じて、異なるタイプおよびサイズのその他のインプラントを収容するために変更され得る。
【0033】
図2を参照して、本発明の離脱システムの別の実施形態である離脱システム200が示される。離脱システム200は、離脱システム100といくつかの共通要素を共有する。例えば、離脱システム100とのインプラントデバイス112と同じ使用可能なデバイスがまた、離脱システム200とのインプラントデバイスとして使用可能である。これらは、例えば、種々の塞栓マイクロコイルおよびコイルを含む。このインプラントデバイス112は、離脱システム100に関して先に説明されている。インプラントデバイス112とのように、離脱システム100のその他の要素/構成要素を識別するために用いられるのと同じ識別番号が、離脱システム200の要素/構成要素に対応し得る。離脱システム100の説明におけるこれら要素の説明へ参照がなされる。なぜなら、その説明はまた、離脱システム200におけるこれらの共通の要素に適用されるからである。
【0034】
離脱システム200では、内部加熱要素206を用いて伸張抵抗性チューブ104および関連するインプラントデバイス112のセクションを、離脱システム200から分離する。離脱システム200は、コアマンドレル218を取り込む送達プッシャー202を含む。この離脱システム200は、送達プッシャー202の管腔を通って延びる正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210をさらに含む。
【0035】
内部加熱要素206を形成するために、正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210は、送達プッシャー202のコアマンドレル218に連結され得る。好ましくは、これら電気ワイヤ208、210は、コアマンドレル218の遠位部分に連結される。
【0036】
1つの実施形態では、この正の電気ワイヤ208は、コアワイヤ218上の第1の遠位位置に連結され、そして負の電気ワイヤ210は、コアワイヤ218上の第2の遠位位置に連結され、この第2の遠位位置は、第1の遠位位置の近位方向にある。別の実施形態では、この形態は逆、すなわち、コアワイヤ218上で、正の電気ワイヤ208が第2の遠位位置に連結され、そして負の電気ワイヤ210が第1の遠位位置に連結される。この正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210がコアマンドレル218の遠位部分に連結されるとき、電気ワイヤ208、210に沿ったコアマンドレル218の遠位部分が、内部加熱要素206である回路を形成する。
【0037】
ヒーター206は、正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210に連結される電源(図示されず)から電流が付与されるとき温度が増加する。温度/より高い程度の熱におけるより大きい増加が必要または所望される場合、白金またはタングステンのような比較的高い抵抗の材料が、コアマンドレル218の遠位端に連結され得、コアマンドレル218の抵抗を増加する。結果として、電流がヒーター206に付与されるとき、より低い抵抗の材料で生成され得るより高い温度増加が生成される。このコアマンドレル218の遠位端に連結される、さらなる比較的高い抵抗の材料は、例えば、中実ワイヤ、コイル、または上記のような任意のその他の形状または材料のような、任意の適切な形態をとり得る。
【0038】
ヒーター206は、チューブ形状のテザー104の管腔内に位置されるので、このヒーター206は、患者の身体から絶縁される。結果として、このヒーター206の加熱に起因する周辺身体組織へ不注意の損傷の可能性は低減され得る。
【0039】
電流が、コアマンドレル218、正の電気ワイヤ208、および負の電気ワイヤ210によって形成されたヒーター206に印加されるとき、ヒーター206は温度を増加する。結果として、ヒーター206に近接する伸張抵抗性テザー104の部分は切断し、そしてテザー104に連結されているインプラントデバイス112とともに、この離脱システム200から離脱される。
【0040】
離脱システム200の1つの実施形態では、伸張抵抗性テザー104の近位端(または、伸張抵抗性テザー104の近位端に連結されるより大きなチューブ(図示されず)の遠位端)は、サイズ制約を取り扱うためにフレア状であり得る。
【0041】
離脱システム100を用いてと類似の様式で、先に記載のように組み立ての間に、エネルギーが、システム内で、例えば、随意の圧縮スプリング116で、またはテザー104に予め張力を与えることにより貯蔵され得る。存在するとき、このシステム中に貯蔵された位置エネルギーの放出は、インプラントデバイス112を分離するためにさらなる圧力を付与するように作用し、そしてインプラントデバイス112が連結される伸張抵抗性テザー104の部分は、インプラントデバイス112が展開されるとき、ヒーター206から離れる。これは、有利なことに、テザー104を切断および破壊するようにすることによって、必要な離脱時間および温度を低下する。
【0042】
離脱システム100でのように、離脱システム200の伸張抵抗性テザー104の遠位端は、インプラントデバイス112の遠位端の結ばれ、もしくは連結され得るか、または非外傷性遠位端114に溶融され、もしくはそうでなければ成形され得る。
【0043】
図4は、離脱システム300である別の好ましい実施形態を示す。多くの点で、この離脱システム300は、図2に示される離脱システム200および図1に示される離脱システム100と類似している。例えば、この離脱システム300は、インプラントデバイス302を離脱するヒーター306を含む送達プッシャー301を含む。離脱システム300はまた、インプラントデバイス302を送達プッシャー301に連結するテザー310を利用する。
【0044】
図4の断面図では、送達プッシャー301の遠位端は、電気ワイヤ308および309に電気的に接続されているコイル形状ヒーター306を有することが観察される。これらのワイヤ308、309は、送達プッシャー301内に配置され、送達プッシャー301の近位端を出て、そして電源(図示されず)に連結される。テザー310はヒーター306に近接して配置され、送達プッシャー301内に固定される近位端およびインプラントデバイス302に連結される遠位端を有する。電流がワイヤ308および309を通って印加されるとき、ヒーター306は、テザー310が破壊されるまで温度を増加し、インプラントデバイス302を放出する。
【0045】
ヒーター306から患者の周辺組織への熱の移入を低減するため、そして電気的絶縁を提供するため、絶縁カバー304が少なくとも送達プッシャー301の外面の遠位端の周りに含められる。カバー304の厚みが増加するとき、熱隔離性質もまた増加する。しかし、増加し厚みはまた、送達手順を実施する困難性を増加し得る送達プッシャー301への増加した剛直性およびより大きな直径をもたらす。それ故、このカバー304は、その剛直性を過度に増加することなく十分な熱隔離性質を提供する厚みを備えて設計される。
【0046】
テザー310のインプラントデバイス302への取り付けを促進するために、このインプラントデバイス302は、溶接点318でインプラントデバイス302に溶接され、そして送達プッシャー301の外部補強周縁312内に適合するサイズであるカラー部材322を含み得る。テザー310は、インプラントデバイス302の近位端の周りで結ばれ、結び目316を形成する。さらなる補強は、この結び目316の周りに配置されている接着剤314によって提供され、解きまたはそうでなければ所望されない脱連結を防ぐ。
【0047】
離脱システム100および200でと類似の様式で、エネルギーが、システム内に、例えば、(図4では示されていないが、図1中の圧縮スプリング116に類似の)随意の圧縮スプリング116で、または組み立ての間にテザー104に予め軸方向に張力を与えることにより貯蔵され得る。この実施形態では、テザー310の1つの端部が、先に記載されたようにインプラントデバイス302の近位端の近傍に取り付けられる。テザー310の自由端部は、送達プッシャー301の遠位部分を、それが送達プッシャー301の出口点(図示されず)に到達するまで通って辿る。例えば、所定の力をテザー310の自由端部に対して置くこと、または張りつめたテザー310を所定の位置ずれで移動することによって、張力が、テザー材料内の弾性変形の形態でエネルギーを貯蔵するために付与される。テザー310の自由端部は、次いで、送達プッシャー301に、例えば、結び目を縛ること、接着剤を付与すること、または当該技術分野で公知の類似の方法によって接続される。
【0048】
存在するとき、このシステム中に貯蔵された位置エネルギーの放出は、インプラントデバイス302を分離するためにさらなる圧力を付与するように作動し、そしてインプラントデバイス302が連結されるテザー310の部分は、インプラントデバイス302が展開されるとき、ヒーター306から離れる。これは、有利なことに、テザー310を切断および破壊するようにすることによって、必要な離脱時間および温度を低下する。
【0049】
本発明はまた、離脱システム100、200、または300のような離脱システムを用いる方法を提供する。以下の例は、脳の動脈瘤を閉塞するための離脱システム100、200、または300の使用に関する。しかし、離脱システム100、200、または300の寸法およびその構成要素パーツの寸法を改変すること、および/またはインプラントデバイス112、302の形態を改変することは、離脱システム100、200、または300が、身体内の種々のその他の奇形を処置するために用いられることを可能にすることが認識される。
【0050】
この特定の例では、離脱システム100、200、または300の送達プッシャー102、202、または301は、直径が約0.010インチ〜0.030インチ(0.0254cm〜0.0726cm)であり得る。送達プッシャー102、202、または301の遠位端の近傍に連結され、そしてインプラントデバイス112、302に連結されるテザー104、310は、直径が0.0002インチ〜0.020インチ(0.000508cm〜0.0508cm)であり得る。コイルであり得るインプラントデバイス112、302は、直径が0.005インチ〜0.020インチ(0.0127cm〜0.0508cm)であり得、そして0.0005インチ〜0.005インチ(0.00127cm〜0.0127cm)のワイヤから巻かれ得る。
【0051】
位置エネルギーが、離脱システム100、200、または300内に貯蔵される場合、インプラントデバイス112、302を分離するために用いられる力は、代表的には、250グラムまでの範囲である。
【0052】
送達プッシャー102、202、または301は、コアマンドレル218および少なくとも1つの電気的に伝導性のワイヤ108、110、208、210、308、または309を備え得る。先に記載されるように、このコアマンドレル218は、電気伝導体として用いられ得るか、または一対の伝導性ワイヤが用いられ得るか、または双極性ワイヤが用いられ得る。
【0053】
離脱システム100、200、または300は、コイルを送達するとして示されているが、その他のインプラントデバイスが本発明で企図される。例えば、図8は、ステント390であるインプラントを有する、図4で先に説明された離脱システム300を示す。このステント390は、離脱システム100、200、または300に関して先に説明されたのと類似の方法によって同様に離脱され得る。さらなる例では、これら離脱システム100、200、または300は、フィルター、メッシュ、足場または患者内の送達のために適切なその他の医療用インプラントを送達するために用いられ得る。
【0054】
図7は、送達プッシャー102、202、または301として任意の実施形態で用いられ得る、送達プッシャー350の実施形態を提示し、これは、使用者に送達プッシャー350の位置を伝えるための放射線不透過性材料を含む。詳細には、放射線不透過性材料は、送達プッシャー350中に組み込まれ、そして所望の位置で厚みを変化し、最終の送達プッシャー350のより容易で、かつより正確な製造を容易にする。
【0055】
Guglielmiによる米国特許第5,895,385号に見られるもののような、先行技術の送達プッシャー設計は、環状バンドまたはコイルの形態にある、金、タンタル、タングステン、または白金のよう高密度材料に依存する。放射線不透過性マーカーが、次いで、ステンレス鋼のようなその他のより少ない密度の材料に結合され、放射線不透過性セクションを鑑別する。この放射線不透過性マーカーは、送達プッシャーの先端部から特定された距離(しばしば約3cm)に配置される別個の要素であるので、この配置は正確でなければならず、そうでなければ、送達プッシャー350の遠位先端部は、動脈瘤またはその他の合併症への損傷を生じ得る。例えば、この送達プッシャー350は、マイクロカテーテルから延び過ぎ得、動脈瘤を破裂する。さらに、先行技術の送達プッシャーを作製する製造プロセスは、特に、異なる材料を結合するとき、困難および高価であり得る。
【0056】
本発明の放射線不透過性システムは、これらの欠点を、第2の放射線不透過性材料の厚みを変化させながら、大部分の送達プッシャー350中に第1の放射線不透過性材料を組み込むことにより克服し、それ故、複数セクションを一緒に結合する必要性をなくする。図7に見られるように、送達プッシャー350は、(鋼、Nitinol、Elgiloyのような先行技術設計のほとんどが放射線半透過性の材料に対して)タングステン、タンタル、白金、または金のような放射線不透過性材料から作製されるコアマンドレル354(すなわち、第1の放射線不透過性材料)を備える。
【0057】
この送達プッシャー350はまた、異なる放射線不透過性レベルを有する第2の外側層352を含む。好ましくは、外側層352は、Elgiloy、Nitinol、またはステンレス鋼(商標名DFTの下、Fort Wayne Metalsから市販され入手可能)のような、コアマンドレル354より低い放射線不透過性値を有する材料を含む。この点について、コアマンドレル354および外側層352は、蛍光透視法の下で見え、かつ互いから区別可能である。この外側層352は、送達プッシャー350の長さに沿って厚みを変化し、増加した可撓性および放射線密度における区別を提供する。従って、この外側層352のより厚い領域は、蛍光透視法の下、より薄い領域より使用者により明確である。
【0058】
外側層352の厚みにおける遷移は、研磨、延伸、または鍛造のような自動化プロセスで所望の位置に正確に生成され得る。このような自動化プロセスは、マーカーの手動測定および配置の必要性をなくし、そしてさらにその他の放射線半透過性セクションに別個のマーカー要素を結合する必要性をなくし、それ故、製造コストおよびシステムの複雑さを減少する。
【0059】
この実施形態では、送達プッシャー350は、外側層352の3つの主要な指標領域を含む。近位領域356は、3つの内で最も長く137cmであり、その一方、中央領域358は10cmおよび遠位領域360は3cmである。各領域の長さは、送達プッシャー350の使用に基づいて決定され得る。例えば、この3cm遠位領域360は、当該技術分野で公知のようなコイル移植手順の間で用いられ得、使用者が、遠位領域360の近位エッジを、送達プッシャー350がその中に位置決めされるマイクロカテーテル上の放射線不透過性マーカーと整列することを可能にする。各々の領域の直径は、適用およびインプラントのサイズに依存する。例えば、代表的な脳の動脈瘤適用には、近位領域356は、代表的には0.005〜0.015インチ(0.0127〜0.0381cm)の寸法であり得、中央領域358は、代表的には0.001〜0.008インチ(0.00254〜0.02032cm)であり、その一方、遠位領域360は、代表的には、0.0005〜0.010インチ(0.00127〜0.254cm)の寸法であり得る。コアマンドレル354は、代表的には、任意の点で、送達プッシャー350の総直径の約10〜80%の間を含む。
【0060】
あるいは、この送達プッシャー350は、図7に示される3より多いか、または少ない任意の数の異なる領域を含み得る。さらに、コアマンドレル354の放射線不透過性材料は、送達プッシャー350を部分的に通ってのみ延び得る。例えば、この放射線不透過性材料は、コアマンドレル354の近位端から、送達プッシャー350の遠位端から3cmまで延び得、蛍光透視法の下で見えるなお別の所定の位置のマーカーを提供する。
【0061】
この点で、送達プッシャー350の領域356、358、および360は、容易に製造され、蛍光透視法の下でなお容易に見える、より正確な放射線不透過性マーキングシステムを提供する。さらに、これらマーカーの増加した正確さは、手順の間の送達プッシャーの不適正な位置決めに関連する合併症を減少し得る。
【0062】
操作において、マイクロカテーテルが、患者内に、マイクロカテーテルの遠位端が標的領域または管腔の近傍にあるように位置決めされる。送達プッシャー350は、マイクロカテーテルの近位端中に挿入され、そしてコアマンドレル354および外側層352は、蛍光透視法の下で見える。使用者は、マイクロカテーテル上の放射線不透過性マーカーを、遠位領域360の開始部と整列し、これは、マイクロカテーテルの先端部に対するインプラント112、302の位置を伝える。
【0063】
いくつかの状況、例えば、送達プッシャー350の剛直性から血管損傷の高められたリスクが存在し得る小動脈瘤では、使用者は、インプラントの近位端を、離脱の間に、マイクロカテーテルの遠位端内にわずかに位置決めし得る。使用者は、次いで、インプラント112、302の近位端を、次のコイル、ガイドワイヤのような付属のデバイス、または送達プッシャー102、202、301、または350でマイクロカテーテルから外に押し得る。別の実施形態では、使用者は、放射線不透過性マーキングシステムを用い得、マイクロカテーテルの遠位端の外側に送達プッシャーの遠位端を配置する。
【0064】
一旦、離脱システム100、200、または300のインプラントデバイス112、302が標的部位中、またはその周りに配置されると、操作者は、必要に応じて、または所望のように、このインプラントデバイス112、302を繰り返して再位置決めし得る。
【0065】
標的部位において、インプラントデバイス112、302の離脱が所望されるとき、操作者は、電気ワイヤ108、110、208、210、308、または309により、ヒーター106、206、または306にエネルギーを付与する。このエネルギーのための電源は、壁コンセント、キャパシター、バッテリーなどのような任意の適切な供給源であり得る。この方法の1つの局面では、約1ボルト〜100ボルトの電位の電気が、離脱システム100、200、または300の抵抗に依存して、1ミリアンペア〜5000ミリアンペアの電流を生成するために用いられる。
【0066】
離脱システム100、200、または300を電源に電気的に連結するために用いられ得るコネクターシステム400の1つの実施形態が図6に示される。このコネクターシステム400は、絶縁層404によって取り囲まれた近位端を有する電気的に伝導性のコアマンドレル412を含む。好ましくは、この絶縁層404は、ポリオレフィン、PET、Nylon、PEEK、Teflon、またはポリイミドのような絶縁性スリーブである。絶縁層404はまた、ポリウレタン、シリコーン、Teflon、パリレン(paralyene)のような被覆であり得る。電気伝導性バンド406が絶縁層404の上部に配置され、そしてバンド414、接着剤、またはエポキシによってその場に固定される。それ故、コアマンドレル412および伝導性バンド406は、互いから電気的に絶縁される。この伝導性バンド406は、好ましくは、銀、金、白金、鋼、銅、導電性ポリマー、導電性接着剤、または類似の材料のような任意の伝導性材料を含み、そしてバンド、コイル、またはホイルであり得る。金は、伝導性バンド406の伝導性材料として特に好ましい。なぜなら、薄壁に伸展される金の能力およびその容易な利用可能性のためである。コアマンドレル412は、先に説明され、そして、例えば、金、銀、銅、またはアルミニウムでメッキされ得、その電気的導電性を増大する。
【0067】
コネクターシステム400はまた、電導性バンド406およびコア部材412にそれぞれ、そして図1、2、および4に記載されるような(図6には示されていない)送達システムの遠位端にある加熱要素に連結される、2つの電気ワイヤ408および410を含む。これらのワイヤ408および410は、好ましくは、はんだ、蝋付け、溶接、レーザー結合、または導電性接着剤、または類似の技法によって連結される。
【0068】
一旦、使用者が、患者内にインプラント112、302を放出する準備が整うと、電源からの第1の電気クリップまたはコネクターがコアマンドレル412の非絶縁セクション402に接続され、そして電源からの第2の電気クリップまたはコネクターが伝導性バンド406に連結される。電力が、この第1の電気クリップおよび第2の電気クリップに印加され、離脱システム100、200、または300内に電気回路を形成し、ヒーター106、206、または306に温度を増加させ、そしてテザー104、310を切断する。
【0069】
一旦、離脱システム100、200、または300が電源に連結されると、使用者は、電圧または電流を先に説明されたように付与し得る。これは、ヒーター106、206、または306に温度を増加させる。加熱されるとき、予め張力を与えられたテザー104、310は、熱で誘導されたクリープに起因してそのストレスのない(より短い)長さに回復する傾向になる。この点で、テザー104、310が、ヒーター106、206、または306によって加熱されるとき、その全体のサイズは収縮する。しかし、テザー104、310の各端部は先に説明されたようにその場に固定されているので、テザー104、310は長さが短縮化され得ず、採取的に壊れ、インプラントデバイス112、302を放出する。
【0070】
スプリング116またはテザー104、310の変形の形態でシステム内に既に張力が存在するので、テザー104、310を破壊するために必要な収縮の量は、予め張力を与えられたテザーなくしてシステムのそれより少ない。それ故、インプラントデバイス112、302を遊離するために必要な温度および時間はより低い。
【0071】
図5は、離脱システム300のPETカバー304の表面での温度と時間の関係を示すグラフである。観察されるように、離脱の間の離脱システム300の表面温度は、時間とともに直線的に変化しない。詳細には、加熱コイル306によって生成される熱が、絶縁性カバー304を貫通するために1秒弱を要するに過ぎない。1秒後、絶縁性カバー304の表面温度は劇的に増加する。異なる外側絶縁性材料は、この1秒の表面温度窓をわずずかに増加または減少し得るけれども、離脱システム100、200、または300の小直径は、必然的に、より顕著に表面温度増加を遅延し得る厚い絶縁層を提供することを防ぐ。
【0072】
離脱システム100、200、または300の実施形態は、種々の可能な構築を含むことが理解されるべきである。例えば、絶縁性カバー304は、Teflon、PET、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン、ポリウレタン、PEEK、または類似の特徴をもつ材料を含み得る。実施形態100、200、または300では、絶縁性カバーの代表的な厚みは、0.0001〜0.040インチ(0.000254〜0.1016cm)である。この厚みは、デバイスが、近位奇形における使用に適合されるとき、増加し、そしてこのデバイスが、例えば、脳の動脈瘤のようなより遠位の、曲がりくねった位置における使用のために適合されるとき増加する傾向にある。
【0073】
このような表面温度増加によって引き起こされる損傷および可能な合併症を最小にするために、本発明は、表面温度が有意に増加する前に、インプラントデバイス112、302を離脱する。好ましくは、このインプラントデバイス112、302は、1秒より短く、そしてより好ましくは、0.75秒より短い時間で離脱される。これは、上記表面温度が、50℃(122゜F)、そしてより好ましくは42℃(107゜F)を超えることを防ぐ。
【0074】
一旦、使用者が、インプラントデバイス112、302を離脱することを試みると、この離脱が成功したことを確認することがしばしば必要である。電源に組み込まれた回路が、この離脱が成功したか否かを決定するために用いられ得る。本発明の1つの実施形態では、初期信号伝達電流が、離脱電流(すなわち、インプラント112、302を離脱するためにヒーター106、206、または306を能動化するための電流)を印加する前に提供される。この信号伝達電流は、使用者がインプラントを離脱することを試みる前、それ故、永久的な離脱を引き起こさないように、離脱電流より低い値を有する、システム中でインダクタンスを決定するために用いられる。試みられた離脱の後、類似の信号伝達電流が、初期インダクタンス値と比較される第2のインダクタンス値を決定するために用いられる。初期インダクタンスと第2のインダクタンス値との間の実質的差異は、インプラント112、302が成功して離脱されたことを示し、その一方、そのような差異のないことは、不成功離脱を示す。この点について、使用者は、図1、2、および4に見られるもののように、インプラントを取り付けるために非伝導性の温度感受性ポリマーを利用する送達システムについてさえ、インプラント112、302が離脱されたか否かを容易に決定し得る。
【0075】
以下の説明および例では、用語「電流」および「電気流れ」は、最も一般的な意味で用いられ、そして他であることが注記されなければ、交流(AC)、直流(DC)、および高周波電流(RF)を包含することが理解される。用語「変化する」は、高周波および低周波の両方を含む電流におけるゼロを超える周波数での任意の変化として規定される。値が測定され、算出され、そして/または保存されるとき、これは、手動で、または制限されないで、電子回路、半導体、EPROM、コンピューターチップ、RAM、ROM、またはフラッシュなどのようなコンピューターメモリを含む任意の公知の電子的方法によるいずれかで行われ得ることが理解される。最後に、ワイヤ巻き、およびトロイド形状は、広範な意味を保持し、そして、円形、楕円形、球形、四辺形、三角形、および台形形状のような種々の幾何学的形状を含む。
【0076】
変化する電流が、ワイヤ巻き、またはトロイドのような目的物を通過するとき、それは、磁場を設定する。この電流が増加または減少するとき、この磁場の強度は、同じ様式で増加または減少する。磁場のゆらぎは、インダクタンスとして知られる影響を引き起こし、これは、電流における任意のさらなる変化に対抗する傾向にある。コアの周りに巻かれたコイルにおけるインダクタンス(L)は、以下の式1に従って、巻き(N)の数、コアの断面積(A)、コアの磁気透過性(μ)、およびコイルの長さ(l)に依存する:
L=4πNAμ/l 式1
ヒーター106または306は、電源に取り付けられる、近位および遠位の電気伝導性ワイヤ108、110、308、または309と、巻かれたコイルから形成される。テザー104、310は、磁気透過性μを有し、そして長さl、断面積A、およびN巻きを有する抵抗ヒーターの中央を通って位置決めされ、先の等式に記載されるようなコアを形成する。離脱の前に、図3Aおよび3Bに示されるような波形のような周波数fで変化する信号伝達電流iが、コイル巻きを通って送られる。この信号伝達電流は、一般に、インプラントを離脱するには不十分である。この信号伝達電流に基づき、誘導抵抗X(すなわち、システム内のインダクタンスに起因する電気抵抗)が、オームメーターのような電子回路によって測定される。このシステムLの初期インダクタンスは、次いで、以下の式に従って算出される:
=X/2πf 式2
インダクタンスLの初期値は、式1に従ってテザー104、310のコアの磁気透過性μに依存し、そして参照のために保存される。離脱が所望されるとき、上記信号伝達より高い電流/またはそれとは異なる周波数を有する電流が、抵抗ヒーターコイルを通じて印加され、先に記載のように、テザー104、310がインプラント112、302を放出するようにする。離脱が成功するとき、このテザー104、310は、もはやヒーター106、306内に存在せず、そしてヒーター106、306の内側は、患者の血液、造影媒体、生理食塩水、または空気のような別の材料で充填される。ここで、このヒーターコア内の材料は、テザーコア磁気透過性μとは異なる磁気透過性μを有する。
【0077】
第2の信号伝達電流および周波数fが、ヒーター106、306を通って送られ、そして好ましくは第1の信号伝達電流および周波数と同じであるが、1つまたは両方は、システムの作動に影響することなく異なり得る。この第2の信号伝達電流に基づき、第2のインダクタンスLが算出される。離脱が成功した場合、この第2のインダクタンスLは、コア磁気透過性μおよびμにおける差異に起因して第1のインダクタンスLとは異なる(より高いか、またはより低い)。離脱が不成功であった場合、このインダクタンス値は、相対的に類似のままである(測定誤差についてある程度の許容誤差をともなう)。一旦、離脱が、2つのインダクタンス間の差異を比較することによって確認されると、アラームまたは信号が能動化され得、使用者に成功した離脱を伝える。例えば、このアラームは、ビープ音または指示光を含み得る。
【0078】
好ましくは、本発明に従って用いられる送達システム100、300は、所望の時間にインダクタンスを自動的に測定し、必要な算出を実施し、そしてインプラントデバイスが送達カテーテルから離脱したとき、使用者に信号を送るデバイスを連結する。しかし、これらステップの一部またはすべては、同じ結果を達成するために手動で実施され得ることが理解されるべきである。
【0079】
取り付けられた状態と離脱された状態との間のインダクタンスはまた、好ましくは、インダクタンスを直接算出することなくして決定され得る。例えば、誘導抵抗Xが測定され得、そして離脱の前後で比較される。別の例では、離脱は、電流がその公証値の所定の%に到達するために必要な時間である、システムの時定数を測定および比較することにより決定され得る。この時定数は、インダクタンスに依存するので、時定数における変化は、同様に、インダクタンスにおける変化を示し得る。
【0080】
本発明はまた、上記に記載の離脱検出と組み合わせて用いられるフィードバックアルゴリズムを含み得る。例えば、このアルゴリズムは、先行する試みがインプラントデバイスを離脱しなかった後に自動的に離脱電圧または電流を自動的に増加する。測定、試みられた離脱、測定、および増加された離脱電圧/電流のこのサイクルは、離脱が検出されるか、または所定の電流または電圧限界が達成されるまで継続する。この点について、低電力離脱が最初に試みられ、次いで、離脱が生じるまで、増加した電力または時間が自動的に続く。従って、離脱電力を提供する機構のためのバッテリー寿命が増加され、その一方、平均コイル離脱時間は、大いに減少される。
【0081】
本発明を、特定の実施形態および適用に関して説明されているが、当業者は、この教示を考慮して、請求項に記載の発明の思想から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、さらなる実施形態および改変を生成し得る。従って、本明細書における図面および説明は、本発明の理解を容易にするために例を提供し、そしてその範囲を制限するために解釈されるべきではないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント送達システムであって:
送達プッシャー;を備え、
該送達プッシャーが、該送達プッシャーの長さの部分に沿って配置された第1の放射線不透過性層を含み;そして
該送達プッシャーが、該第1の放射線不透過性層を重層する第2の放射線不透過性層を含み;
ここで、該第2の放射線不透過性層が第1の厚みを有する第1の領域および第2の厚みを有する第2の領域を含み、該第1の厚みが該第2の厚みとは異なる、インプラント送達システム。
【請求項2】
前記第2の放射線不透過性層が第3の厚みを有する第3の領域を含み、該第3の厚みが前記第1および第2の厚みとは異なる、請求項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項3】
前記第1の放射線不透過性層が第1の放射線不透過性値を有し、そして前記第2の放射線不透過性層が、該第1の放射線不透過性値とは異なる第2の放射線不透過性値を有する、請求項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項4】
前記第1の放射線不透過性値が、前記第2の放射線不透過性値より高い、請求項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項5】
前記第1の放射線不透過性層が、タングステン、タンタル、白金、および金からなる群から選択される材料を含む、請求項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項6】
前記第2の放射線不透過性層が、Elgiloy、Nitinol、およびステンレス鋼からなる群から選択される材料を含む、請求項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項7】
前記第2の領域が約3cmの長さを有し、そして前記送達プッシャーの遠位端に向かって位置決めされる、請求項に記載のインプラント送達デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−235135(P2011−235135A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−156145(P2011−156145)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【分割の表示】特願2007−530254(P2007−530254)の分割
【原出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(500285576)マイクロベンション インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】