移植機の押圧装置
【課題】植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを容易に調整可能とし、畝上面の苗を傷付けることなく畝上面を鎮圧させる押圧装置を提案することを目的とする。
【解決手段】植付け爪20L・20Rの植付け動作に連動して押圧ローラ34を上下方向に揺動する押圧駆動機構35を設けた甘藷挿苗機1の押圧装置14であって、前記押圧駆動機構35は、一方向に連続的に回転駆動されるアーム部材54と、該アーム部材54に連結固定され、周面部55aの一部に切欠部が形成されるカム部材55と、該カム部材55の周面部55aに沿って係合部62が当接して揺動操作される係合アーム57と、該係合アーム57と押圧ローラ34とをリンクロッド64を介して連結させるリンク機構36と、前記植付け20の上下動に対する押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する第一の調整機構46とを具備する。
【解決手段】植付け爪20L・20Rの植付け動作に連動して押圧ローラ34を上下方向に揺動する押圧駆動機構35を設けた甘藷挿苗機1の押圧装置14であって、前記押圧駆動機構35は、一方向に連続的に回転駆動されるアーム部材54と、該アーム部材54に連結固定され、周面部55aの一部に切欠部が形成されるカム部材55と、該カム部材55の周面部55aに沿って係合部62が当接して揺動操作される係合アーム57と、該係合アーム57と押圧ローラ34とをリンクロッド64を介して連結させるリンク機構36と、前記植付け20の上下動に対する押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する第一の調整機構46とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機の押圧装置に関し、より詳細には、甘藷挿苗機等の移植機本体に対して押圧体を間欠的に上下昇降させる押圧駆動機構を備えた押圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、甘藷等の野菜の苗を移植する苗移植機において、植付け爪を所定の植付け軌跡で上下動させる植付け装置を備えた構成が公知となっている。この植付け爪によって、苗を挟み込んで掴み取り、畝中にある植付け軌跡の最下位置で苗が解放されて、掴み取った苗が畝中へ移植される。このような移植機は、移植部の植付け爪の後方に、押圧ローラ等の押圧体を備えた押圧装置が配設されている。この押圧装置の押圧体が、苗植付け後の畝上の植付け面を押圧し又は転動することによって、畝中に移植された苗の保持を確実とし、苗の根の活性をよくするように構成されている。
【0003】
特許文献1には、係合板が回転するカム部材と係合され、リンク機構を介してアーム先端に取り付けられた押圧体としてのロール状部材が上昇され、カム部材との係合が外れると、ロール状部材が自重で落下するように構成された押圧装置を備えた苗移植機が提案されている。この苗移植機は、カム部材の回動とロール状部材の昇降とを連動させ、ロール状部材を自重で間欠的に落下させることで、植付け爪による苗移植後の畝面をロール状部材で叩いて鎮圧させるものである(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献2には、伝動ケースからの駆動力が駆動軸とカムを一体回転させて、ローラやロッド等を介して揺動アームが揺動され、揺動アームの先端に取り付けられた押圧体としての鎮圧輪が畝上面に間欠的に落下するように構成された押圧装置が開示されている。この押圧装置においても、鎮圧輪が畝上面に落下する直前に植付け爪が畝中から抜けるタイミングで、鎮圧輪の作動機構が構成されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−136205号公報
【特許文献2】特開2003−88212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、上記特許文献1又は特許文献2に記載される押圧装置によれば、係合板若しくはローラとカム部材との係合状態によって押圧体を間欠的に上下動させて、この押圧体によって畝中に移植された苗を傷めることがなく、かつ、良好な鎮圧効果を得ることができる点で好ましい。
【0006】
しかし、植付け爪によって苗の受け渡し位置から畝中までの往復動機構と、植付け爪が畝中で苗を開放して上方へ退いた後に押圧体を畝上面へ落下させる押圧駆動機構とにおいて、植付け爪と押圧体との上下動を連動させるタイミングを調整することが容易ではなかった。そのため、一度植付け爪と押圧体との上下動のタイミングがずれると、押圧体によって苗を傷付けてしまったり、畝中に苗を保持させることができなかったりする場合があった。
【0007】
すなわち、従来、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを調整するには、上記往復動機構や押圧駆動機構等の構成部材を取り換えたり、機体内部に配設された構成部材の取り付け位置を変更したり等する必要があり、作業者にとって煩わしかった。特に、苗の植付けを行う際の畝状態や苗の種類等によっては、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを作業中に微調整しなければならない場合が生じ、従来の装置では迅速な調整が困難であり作業性が悪かった。
【0008】
そこで、本発明は、移植機の押圧装置に関し、前記従来の課題を解決するもので、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを容易に調整可能とし、畝上面の苗を傷付けることなく畝上面を鎮圧させる押圧装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
すなわち、請求項1においては、植付け爪の植付け動作に連動して押圧体を上下方向に揺動する押圧駆動機構を設けた移植機の押圧装置であって、前記押圧駆動機構は、一方向に連続的に回転駆動されるアーム部材と、該アーム部材に連結固定され、周面の一部に切欠部が形成されるカム部材と、該カム部材の周面に沿って当接して揺動操作される係合アームと、該係合アームと押圧体とをリンクアームを介して連結させるリンク機構と、前記植付け爪の上下動に対する押圧体の上下動のタイミングを調整する調整手段とを具備するものである。
【0011】
請求項2においては、前記調整手段は、前記カム部材を円周方向に回転させて、前記アーム部材との固定位置を相対的に変更するものである。
【0012】
請求項3においては、前記調整手段は、前記カム部材に対する取り付け位置を変更して切欠部の切欠き形状を変更させる可動片を備えてなり、押圧体が畝上面に接地される長さを調整するものである。
【0013】
請求項4においては、前記植付け爪による苗の植付け姿勢を変更可能な植付け装置を備えた移植機に配設されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1に示す構成としたので、苗の植付けを行う際の畝状態や苗の種類等応じて、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを作業中に容易に微調整でき、押圧体によって苗を傷付けることなく、畝中に苗を充分に保持させることができる。
【0016】
請求項2に示す構成としたので、植付け爪の上下動と押圧体の上下動のタイミングを容易に略一致させることができる。また、押圧体による鎮圧のタイミングを適宜早めたり遅くしたりすることで、移植された苗を傷付けることがなく、鎮圧のタイミングが遅れて畝中の苗の根元近傍を鎮圧できず畝中に苗を保持できないことを防止ができる。さらに、押圧装置に構成される押圧駆動機構に設けられるため、調整の精度が高く、また作業者において調整作業が容易である。
【0017】
請求項3に示す構成としたので、押圧体が畝上面に接地される長さを変更して、押圧体による鎮圧作業を調整でき、畝の状態や苗の種類・大きさ等に応じて押圧体の鎮圧の長さを変更して畝中の苗をより充分に保持させ、鎮圧効果を向上できる。また、押圧装置に構成される押圧駆動機構に設けられるため、調整の精度が高く、また作業者において調整作業が容易である。
【0018】
請求項4に示す構成としたので、植付け爪の植付け姿勢を変更することによって植付け爪と押圧体との上下動のタイミングが変動しても、これを容易に微調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、図を参照して、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る押圧装置を備えた甘藷挿苗機の全体的な構成を示した側面図、図2は同じく図1の甘藷挿苗機の平面図、図3は植付け装置の側面図、図4は船底植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図、図5は船底植え時の爪往復動機構を示す側面図、図6は斜め植え時の爪往復動機構を示す側面図、図7は斜め植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図、図8は押圧装置の側面図、図9は同じく図8の押圧装置の平面図、図10は押圧駆動機構の側面図、図11は同じく図10の押圧駆動機構の平面図、図12は押圧ローラが畝上面を押圧する状態を示す側面図、図13は押圧ローラが上方に揺動される状態を示す側面図、図14は第一の調整機構におけるアーム部材とカム部材との取り付け状態を示す側面図、図15は第二の調整機構におけるカム部材と可動片との取り付け状態を示す側面図、図16は押圧ローラの支持構造の別実施例を示す平面図である。
【0020】
なお、以下、移植機として、苗搬送台12に載置した甘藷苗を植付け爪20L・20Rによってつかみ取り、これを畝中に植え付ける甘藷挿苗機1について説明する。ただし、移植機としてはこれに限定されない。
【0021】
まず、甘藷挿苗機1の全体構成について、以下に概説する。
図1及び図2に示すように、甘藷挿苗機1は、畝に沿って走行しながら、自動的に甘藷苗(以下苗)を畝中に植え付ける歩行型の自走式作業機であり、畝間の谷部17を走行する左右一対の前輪2・2および後輪3・3と、畝の上方に位置する走行機体4とが配設されている。走行機体4のメインフレームは、前側のエンジンフレーム5と、中央部のミッションケース6と、後側のハンドルフレーム7とを、前後方向に連結固定して構成されており、このメインフレーム上に各種装置が支持されている。
【0022】
走行機体4は、前記各種装置として、走行方向の前方より後方に向けて、畝ガイド装置8、前輪支持装置9、エンジン10、後輪支持装置11、前記ミッションケース6、畝高さ検出装置16、苗搬送台12、植付け装置13、押圧装置14及び運転操作部15が備えられている。なお、これらの各種装置において、ミッションケース6より前側に配置される装置はエンジンフレーム5に支持され、ミッションケース6より後側に配置される装置はハンドルフレーム7に支持されている。
【0023】
次に、図3乃至図16を参照しながら、各装置構成を以下に説明する。
【0024】
<畝ガイド装置8>
畝ガイド装置8は、畝に沿って走行する甘藷挿苗機1の走行方向を案内するための装置であり、畝の左右側面(斜面)に当接させるための畝ガイドローラ8a・8aを左右一対備えている。これらの畝ガイドローラ8a・8a間に畝を挟み込み、または、斜面に当接させながら転動させて、この状態で甘藷挿苗機1を走行させることで、甘藷挿苗機1を運転操作により方向制御することなく、畝に沿って走行させることが可能である。
【0025】
<前輪支持装置9及び後輪支持装置11>
前輪支持装置9は、エンジンフレーム5に位置固定されている前輪支持軸9aと、前輪支持軸9a回りに回転自在で各前輪2・2を支持する前輪アーム9b・9bとが備えられている。後輪支持装置11は、前輪支持装置9と同様に構成され、ミッションケース6に位置固定されている後輪支持軸11aと、後輪支持軸11a回りに回転自在で各後輪3・3を支持するチェーンケース11b・11bとが備えられている。なお、後輪支持軸11aの内部に、後輪3・3の駆動軸が内蔵されており、この駆動軸の回転駆動が、それぞれチェーンケース11b内のチェーンを介して各後輪3・3に伝達される。
【0026】
なお、前輪アーム9bとチェーンケース11bとは図示せぬ連結軸を介して連結され、前輪アーム9b及びチェーンケース11bが平行リンクに構成されている。前輪アーム9b又はチェーンケース11bが回転されることによって、前輪2・2及び後輪3・3に対する走行機体4の上下高さが可変する。チェーンケース11bを走行機体4に対して回転させる手段として、エンジンフレーム5とチェーンケース11bとを連結して伸縮させるアクチュエータ19が設けられている。このアクチュエータ19が伸縮されると上記平行リンクが作動されて、走行機体4が前輪2・2及び後輪3・3に対して上下昇降される。このように構成することで、走行機体4の畝上面18に対する高さ位置が調整可能とされている。
【0027】
<畝高さ検出装置16>
畝高さ検出装置16は、畝上面18と接触するセンサーローラ16aと、センサーローラ16aを支持しエンジンフレーム5に回転自在に設けられるセンサーアーム16bと、が備えられている。このセンサーアーム16bの傾動に応じて、油圧バルブ(図略)のスプールが押し引きされて、油圧式とした前記アクチュエータ19の作動が制御され、エンジンフレーム5と畝上面18との離間距離が一定に保たれるように走行機体4の高さ位置が制御される。走行機体4の上下動は、この畝高さ検出装置16による畝高さの検出に基づいて行なわれる。
【0028】
また、アクチュエータ19とは別に、左右一方のチェーンケース11bを他方のチェーンケース11bに対して回転させる(傾斜させる)アクチュエータ(図示せず)が設けられており、甘藷挿苗機1の左右傾斜制御が可能に構成されている。
【0029】
<苗搬送台12>
苗搬送台12は、図示せぬ苗収容ケースに収容されている苗を、植付け装置13に備える植付け爪20L・20Rに、自動的に搬送して供給する装置である。苗搬送台12には、前後方向で左回りに回転する無端帯状の搬送ベルト21が備えられると共に、この搬送ベルト21外周上には、スポンジ等の弾性体で構成した一対の樹脂材が対向配置されてなる保持部22が、苗を保持する手段として、等間隔に配置されている。搬送ベルト21の上面は、前記苗収容ケースから取り出した苗を保持させる載置部であり、搬送ベルト21の下端位置は、植付け爪20L・20Rに苗を引き継ぐ受渡し位置21dである。苗搬送台12には、ミッションケース6のPTO軸からの動力が伝達される構成であり、後述の植付け装置13と連動して、搬送ベルト21が間欠的に回転駆動されるように構成されている。
【0030】
<植付け装置13>
図3及び図4に示すように、植付け装置13は、左右一対の植付け爪20L・20Rと、植付け爪20L・20Rを受渡し位置21dから畝中まで往復運動させる爪往復動機構24とが備えられている。植付け爪20L・20Rは、苗搬送台12の受渡し位置21dより受け渡された苗を畝中に移植し、左右の植付け爪20L・20Rの当接・離間により、苗の保持や、保持した苗の解放が可能となるように構成されている。植付け爪20L・20Rの往復運動の最上位置は、前記受渡し位置21dであって、植付け爪20L・20Rは、この受渡し位置21dにある苗を挟み込んで掴み取り、畝中にある前記往復運動の最下位置で苗を解放し上方へ退くことで畝中へ苗を移植する。
【0031】
爪往復動機構24は、植付け駆動軸25の回転運動を植付け爪20L・20Rの苗搬送台12から畝中に至る往復運動に変換するクランク機構として構成される。植付け駆動軸25には、ミッションケース6のPTO軸からの動力が伝達される。この爪往復動機構24は、植付け駆動軸25と一体的に回転する第一リンクアーム26と、姿勢調整軸27に回動自在に設けられる第二リンクアーム28とが配設される。
【0032】
姿勢調整軸27は、ハンドルフレーム7に支持部材を介して固定され、植付け駆動軸25の上方に配置され、両軸は左右方向に配設されている。第一リンクアーム26の先端には第一支点軸29が固定されるとともに、第二リンクアーム28の先端には第二支点軸30が固定される。第一支点軸29及び第二支点軸30は、植付け爪20L・20Rを支持する爪支持ケース31をそれぞれ回動自在に軸支する。第一支点軸29及び第二支点軸30は、爪支持ケース31に対して回動自在であっても、爪支持ケース31に対して位置固定されているので、第一支点軸29から第二支点軸30までの距離は常に一定とされる。また、植付け駆動軸25から第一支点軸29までの距離や、姿勢調整軸27から第二支点軸30までの距離も一定とされる。
【0033】
植付け駆動軸25が回転されると、爪支持ケース31が植付け駆動軸25周りに回転するとともに、爪支持ケース31の姿勢が変化する。すなわち、第一支点軸29から第二支点軸30までの距離が一定のため、爪支持ケース31の公転(植付け駆動軸25周りの回転)に伴って、第二リンクアーム28が姿勢調整軸27周りの円弧軌道上を往復運動し、第一支点軸29と第二支点軸30との相対位置が変化する。このため、爪支持ケース31の姿勢が変化して、植付け爪20L・20Rの姿勢が変化する。
【0034】
爪往復動機構24によって、植付け爪20L・20Rの先端は、略三日月の外周状の経路R1に沿って往復運動する(図3参照)。そして、本体を走行しながら植え付ける場合の植付け爪20L・20Rの先端は、爪往復動機構24による運動(三日月の外周状の往復運動)と、甘藷挿苗機1の走行による運動(直線運動)とが合成されて、移動経路の中途部の一点で交わった「α」字状の経路R2となる(図4参照)。
【0035】
経路R2の交点位置P1は、植付け作業時における甘藷挿苗機1の走行速度を変化させることにより上下し、畝上面18の付近に交点位置P1が位置するように、甘藷挿苗機1の走行速度が設定されている。このような構成とすることで、植付け穴の畝上面18での開口幅が小さくなるようにしている。マルチフィルムの敷設された畝への植付けにおいては、植付け穴の開口幅(畝表面の開口幅)が小さくなるにつれ、植付けに際してのマルチフィルムの切断幅が小さくて済む。特に、植付け爪20L・20Rの畝への突入位置と、畝からの退出位置とが略一致する場合は、植付け爪20L・20Rの先端に設ける切断刃(図略)により、突入時に植付け穴の表面となる部位のマルチフィルムを切断しておけば、退出時にも問題がない。すなわち、植付け爪20L・20Rとマルチフィルムとの引っ掛かりを防止すべく、マルチフィルムの切断装置を別設するなどの必要がない。
【0036】
植付け爪20L・20Rは、一方の辺が他方の辺よりも三倍程度長い略V字状であり、第一リンクアーム26の回転に伴って畝中へ突入する部分であり、爪支持ケース31内のリンクに接続される部分とで構成される。この植付け爪20L・20Rは、往復運動の最上位置で開から閉状態に移行させて、苗搬送台12より苗を掴み取らせるとともに、前記往復運動の最下位置で閉から開状態に移行させて、畝中に苗を解放させるように開閉される。
【0037】
以上のような構成とすることにより、植付け爪20L・20Rにより、植付け穴の形成が畝の内部でのみ行なわれて、畝上面18を前後方向に切り裂くことがなく、畝上面18での植付け穴の開口幅が最小化される。そのため、植付け爪20L・20Rによる苗移植が行なわれた際に、苗が土中より露出することがなく、苗の植付けが確実となっている。
【0038】
<植付け姿勢の切換機構>
この甘藷挿苗機1は、苗の植付け姿勢を変更可能に構成されており、具体的には、前記爪往復動機構24が、植付け爪20L・20Rの往復運動の経路を複数のパターンで切り替え可能に構成されている。植付け爪20L・20Rの往復運動の経路は、次の三つの位置関係により定められる。すなわち、第一支点軸29の位置、第二支点軸30の位置及び第二支点軸30の揺動範囲を与える姿勢調整軸27の位置の位置関係である。これらの相対位置を変更することにより、異なる植付け姿勢で苗を植え付けることができる。具体的には、苗の植付け姿勢を、船の底面の一端側形状のように横に寝かせるように苗を植え付ける「船底植え」と、斜め方向(例えば45度方向)に沿って苗を植え付ける「斜め植え」とに切り換えて植え付けることができるように構成される。
【0039】
爪往復動機構24には、往復運動の経路を変更する手段として、第二支点軸30及び姿勢調整軸27の位置を変更させる構成が設けられている。一つは、爪支持ケース31に対する第二支点軸30の取り付け位置を変更可能とする構成である。もう一つは、ハンドルフレーム7に対する姿勢調整軸27の取り付け位置を変更可能とする構成である。
【0040】
図5に示すように、爪支持ケース31は、次の三部分、開閉機構ケース37、ボス38及び姿勢調整板39を略一直線状に順に連結固定して形成されている。開閉機構ケース37には、植付け爪20L・20Rを開閉運動させるリンク機構が内蔵されている。ボス38には、第一支点軸29に回動自在に支持させるためのベアリングが内蔵されている。姿勢調整板39には、第二支点軸30の取り付け位置を変更可能とする手段として、取付用長孔39a及び取付用孔39bが形成されている。第二支点軸30を取付用長孔39aや取付用孔39bに挿入した状態で、姿勢調整板39に第二支点軸30をボルト等により枢支することが可能である。取付用長孔39a及び取付用孔39bはボス38の軸心から徐々に離れるように配置し、かつ、ボス38を中心として左回りに所定角度ずつ回転した位置に設けられる。
【0041】
取付用長孔39aは長孔に開口されているため、この取付用長孔39aに第二支点軸30を挿入することで、姿勢調整板39に対する第二支点軸30の取り付け位置を連続的に変更して位置決めすることができる。第二支点軸30の取り付け位置は、取付用長孔39a内の三ヶ所で位置決め固定可能に構成され、姿勢調整板39の反ボス38側端部に位置決め孔39c・39d・30eが形成され、これに位置決め板40を取り付けるように構成されている。位置決め板40には、姿勢調整板39に設けた複数の位置決め孔39c・39d・30eに対応するように位置決め孔40dが形成される。
【0042】
位置決め板40を第一支点軸29周りに回転させることで、位置決め孔39c・39d・30eのいずれかと位置決め孔40dとを合せ、それぞれの位置決め孔を同時にピン43を用いて挿通して、姿勢調整板39に対して位置決め板40を位置決め固定することができる。このようにして、姿勢調整板39に対して、位置決め板40を三つの異なる姿勢で取り付けることが可能である。
【0043】
姿勢調整板39及び位置決め板40には、上述した三つの取付姿勢に応じて、姿勢調整板39及び位置決め板40を第二支点軸30が同時に挿通可能となるように、それぞれ挿通孔が形成されている。姿勢調整板39に形成される挿通孔は、前記取付用長孔39a及び取付用孔39bである。位置決め板40に形成される挿通孔は、受け用長孔40a及び受け用孔40bである。受け用長孔40aは取付用長孔39aに対応するものであり、取付用孔39bは受け用孔40bに対応するものである。
【0044】
姿勢調整板39に対して、上述した三ヶ所のいずれかで位置決め板40を位置決めすると、受け用長孔40aと取付用長孔39aとの合流部が形成されるとともに、この合流部を介して、第二支点軸30を挿通することが可能である。この三ヶ所の位置決めに応じて、それぞれ、受け用長孔40aと取付用長孔39aとの間で異なる合流部が形成されるように、受け用長孔40aおよび取付用長孔39aの形成長さや形成方向が適宜設定されている。特に、前記三ヶ所の一つ、位置決め孔39eで姿勢調整板39に対して位置決め板40を位置決めした場合は、受け用孔40bと取付用孔39bとが重複し、この重複する両孔を介して、第二支点軸30を挿通することも可能である。
【0045】
また、図5及び図6に示すように、姿勢調整軸27は、ハンドルフレーム7に対して、複数の取り付け位置のいずれかで固定され、具体的には、支持アーム41の一端部に固定され、支持アーム41の他端部がハンドルフレーム7に固定される支持板42に取り付けられて固定され、支持板42には支持アーム41の取り付け位置が複数設けられている。支持アーム41に形成された挿通孔(図略)を、支持板42の挿通孔(図略)に合わせてピン44・44を挿入して位置決めして、支持アーム41を支持板42に対して二通りの姿勢で位置決めして固定することができる。具体的には、一方の取り付け位置は、植付け駆動軸25の上方に配置され(図5参照)、他方の取り付け位置は植付け駆動軸25の斜め上後方、つまり、植付け爪20L・20Rと反対側の離れる方向に配置される(図6参照)。
【0046】
以上のように、爪往復動機構24は、爪支持ケース31に対する第二支点軸30の取り付け位置が四ヶ所で変更可能であるとともに、ハンドルフレーム7に対する姿勢調整軸27の取り付け位置が二ヶ所で変更可能となっている。なお、これらの取り付け位置を組み合わせた植付け爪20L・20Rの往復運動の経路は、合計八つの可能なパターンが存在し、特に、この甘藷挿苗機1では、そのうち四パターンが特に有効な植付け姿勢である。
【0047】
図4及び図5に示すように、植付け姿勢が「船底植え」となる場合について説明すると、かかる場合には、姿勢調整軸27が、二ヶ所で変更可能な取り付け位置のうち、より第一支点軸29に近い位置に取り付けられる。第一支点軸29と姿勢調整軸27とが接近すると、植付け爪20L・20Rの姿勢変更幅(前後上下方向の振れ幅)がより大きなものとなる。一例として、図4に、上述した合流部に第二支点軸30が取り付けられた場合における植付け爪20L・20Rの往復運動の経路を示している。なお、合流部から第一支点軸29までの距離が短くなるにつれ、船底植えにおける植付け爪20L・20Rの移動経路がより緩やかとなり、前記α字状経路における交点位置が下降して畝表面に接近するものとなっている。
【0048】
図6及び図7に示すように、植付け姿勢が「斜め植え」となる場合について説明すると、かかる場合には、姿勢調整軸27が、二ヶ所で変更可能な取り付け位置のうちより第一支点軸29に遠い位置に取り付けられる。第一支点軸29と姿勢調整軸27とが離間すると、植付け爪20L・20Rの姿勢変更幅(前後上下方向の振れ幅)がより小さなものとなる。一例として、図7に、第二支点軸30の取り付け位置を取付用孔39bとした場合における植付け爪20L・20Rの往復運動の経路を示している。かかる場合は、上述した往復経路の往路と復路とが略一致するため、植付け爪20L・20Rにより畝中に形成される植付け穴の開口幅が最小化されるものとなる。
【0049】
以上のような構成とすることによって、一台の甘藷挿苗機1において、複数の植付け姿勢で甘藷苗の植付けを行うことが可能となり、例えば、苗の植付け姿勢を「船底植え」と「斜め植え」とで切り替え可能とすることもでき、植付けの作業性が向上できる。すなわち、苗の植付け姿勢を変更できる機構を備えることで、畝状態、苗の種類・大きさ及び気候等の諸条件に応じて植付け作業を行うことができる。
【0050】
<押圧装置14>
押圧装置14は、植付け爪20L・20Rが差し込まれた畝上面18を押圧して、植付け爪20L・20Rにより形成された植付け穴を崩し、苗の畝中への保持を確実とするように構成される。図8及び図9に示すように、押圧装置14は、畝上面18に当接させる押圧体としての押圧ローラ34と、この押圧ローラ34を植付け爪20L・20Rによる苗の移植に連動して上下動させる押圧駆動機構35と、押圧駆動機構35によって押圧ローラ34を揺動自在にリンクするリンク機構36等とが備えられている。
【0051】
前記爪往復動機構24の機体左方のハンドルフレーム7に主フレーム50が配置され、主フレーム50の垂直面50aが、機体前後方向に略平行に配設されている。主フレーム50の機体側方(左方)には、カバー部材(図略)が着脱可能に取り付けられている。押圧駆動機構35は、主フレーム50等によって形成されるカバー体に囲繞され、押圧駆動機構35に砂や泥等が混入しないように構成されている。主フレーム50に揺動アーム56が枢支され、この揺動アーム56は、押圧駆動機構35からリンク機構36を介して上下方向に揺動自在とされ、先端部に略円筒形状の押圧ローラ34が取り付けられている(図9及び図16参照)。
【0052】
押圧装置14は、前記ミッションケース6から後方向に向けて施設される押圧装置14用のチェーンケース51と連設され(図2参照)、具体的には、チェーンケース51の後端部が上記カバー体の内部に挿入されている。チェーンケース51の後側面から出力軸52が側方に突出され、チェーンケース51からの突出端部が押圧駆動機構35の駆動軸53と連結されている。この駆動軸53は、主フレーム50の垂直面50aに対して略水平となるようにチェーンケース51及び出力軸52に支持されている。エンジンからの動力は、チェーンケース51内の図示せぬ動力伝達ベルトを介して出力軸52から駆動軸53に伝達され、押圧駆動機構35が駆動される。
【0053】
押圧駆動機構35は、前記駆動軸53と、駆動軸53に相対回動不能に固設されるアーム部材54と、アーム部材54と同軸の駆動軸53であって、アーム部材54よりも機体外側位置に回動自在に遊嵌されるカム部材55と、アーム部材54及びカム部材55よりもさらに機体外側に位置され、カム部材55の周面に沿って上下方向に揺動される係合アーム57等とで構成されている。このアーム部材54、カム部材55及び係合アーム57は、機体前後方向に沿ってそれぞれ略平行に配設されている。
【0054】
そして、押圧駆動機構35には、前記植付け爪20L・20Rの上下動に対して押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する調整手段として、アーム部材54に対するカム部材55の取り付け位置を変更して押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する第一の調整機構46と、カム部材55に形成される切欠部55bの切欠き形状を変更して押圧ローラ34の畝上面18への接地長さを調整する第二の調整機構47とがそれぞれ構成されている。この第一の調整機構46及び第二の調整機構47の詳細は、後述する(図14及び図15参照)。
【0055】
図10及び図11に示すように、アーム部材54は、側面視略卵形に形成されて基部側に挿通孔54aが穿設され、挿通孔54aに駆動軸53が挿通され、相対回動不能に固設されている。このように、アーム部材54と駆動軸53とを固定することで、駆動軸53と連動してアーム部材54を一定方向(図10において左方向)に連続回転駆動するように構成されている。このアーム部材54は、駆動軸53の半径方向に延出され、先端部に取付孔54bが穿設され、取付孔54bに位置決め用のボルト58が挿通され、ボルト58はナット59で締結される。この取付孔54bは、側面視においてアーム部材54とカム部材55とが重なる位置に穿設される。
【0056】
カム部材55は、円板を一部切り欠いて略円弧状に形成された円周部55aと、円周部55aから内周方向に切欠き形成される切欠部55bとが形成されている。カム部材55は、駆動軸53を中心として円周部55aの形状が略円弧状とされ、その中心となる位置に貫通孔55cが穿設され、貫通孔55cに駆動軸53が挿通され、駆動軸53に対して相対回動自在に遊嵌されている。切欠部55bは、円周部55aとの交点から半径方向(回転軸心方向)に向けて垂直に切り欠かれた垂直部55fと、垂直部55fから円周部55aに向けてなだらかに半径方向に凸状に湾曲して切り欠かれた斜面部55gとが形成されている。なお、カム部材55には、取り付け位置を変更して切欠部55bの切欠き形状を変更する可動片61が配設され、この可動片61の斜面61dが、カム部材55の斜面部55gを構成する(図15参照)。
【0057】
カム部材55には、駆動軸53を中心とした円弧状の長孔55dが穿設されている。長孔55dは、取付孔54bに前記ボルト58を挿通可能な位置及び形状に穿設されている。カム部材55は、長孔55dを介してアーム部材54の取付孔54bにボルト58が締結されて、アーム部材54に固定される。このように、カム部材55とアーム部材54とをボルト58によって一体に連結させることで、カム部材55は、駆動軸53を回動中心としてアーム部材54と同一方向に連動して回転駆動されるように構成されている。なお、アーム部材54に対するカム部材55の取り付け構造の詳細は後述する(図14参照)。
【0058】
係合アーム57は、下端部が主フレーム50の垂直面50aの下部から略水平に突出された支持軸50bに回動自在に枢支されている。係合アーム57は、この下端部から上方に延出され、前記アーム部材54及びカム部材55よりも機体外側方に位置されるとともに、これらと略平行になるように配設される。この係合アーム57の上下略中途部から機体内側に向けて係合部62が突設され、係合部62は、カム部材55の円周部55aに略直角に当接している。該係合部62はローラ等により構成して抵抗を小さくすることもできる。
【0059】
係合アーム57は、カム部材55の回転駆動によって、カム部材55の円周面55aに沿って係合部62が摺接する。かかる係合アーム57の位置を位置P4とする(図8参照)。係合アーム57は、位置P4にある状態を維持しながら、やがて係合部62が切欠部55bの垂直部55fに到達すると、係合部62とカム部材55との係合が一時的に解除されて、支持軸50bを揺動中心として後方(図10において右方)に揺動され、係合部62が斜面部55gに係合される(図12参照)。そして、カム部材55の回転駆動に伴って、係合部62が斜面部55gに沿って摺動され、係合アーム57は、徐々に前方(図10で左方)に揺動されて元位置P4に戻る(図13参照)。なお、カム部材55において、係合アーム57の係合部62が垂直部55fに到達した際に、係合部62とカム部材55との係合が解除されず、係合部62が垂直部55fの斜面に沿って摺動するように、垂直部55fを形成してもよい。ただし、係合部62を揺動アーム56の基部側の側面に配置し、前記カム部材55をその下後方に配置することも可能である。
【0060】
図10及び図11に戻って、リンク機構36は、端部が係合アーム57の上端部に揺動自在に軸支されたリンクロッド64と、該リンクロッド64の他端と連結されるとともに、主フレーム50に揺動自在に固定される揺動アーム56と、揺動アーム56の前後略中途部に係合されて、上方に揺動操作された揺動アーム56を下方向に付勢する付勢アーム65等とから構成されている。
【0061】
リンクロッド64は、上端部に挿通孔64aが穿設され、この挿通孔64aと係合アーム57の上端部に穿設された取付孔57aとにピン軸66が連通される。このようにして、リンクロッド64の上端部が、係合アーム57に上下方向に揺動自在に軸支されている。また、リンクロッド64の下端部には挿通孔64bが穿設され、挿通孔64bと揺動アーム56に配設された取付ステー67の取付孔67aとにピン軸68が連通される。このようにして、リンクロッド64の下端部が、揺動アーム56に揺動自在に軸支されている。すなわち、リンクロッド64によって、係合アーム57と揺動アーム56とが連結され、係合アーム57が上下方向に揺動されると、リンクロッド64を介して揺動アーム56が連動して上下方向に揺動される。
【0062】
揺動アーム56は、一端部が主フレーム50の垂直面50aから略左右水平方向に突出された支持軸50cに回動自在に枢支され、主フレーム50等によって形成されるカバー体から機体後方に向けて延出されている。揺動アーム56は、平面視略クランク状に形成され、支持軸50cから機体前後方向に沿って機体後方に延出されてから機体内側方向に屈曲され、他端部において再び機体前後方向軸に沿うように屈曲されている(図9参照)。この他端部にローラ軸69が配設され、ローラ軸69に押圧ローラ34が軸支されている。押圧ローラ34は、略円柱状に形成され、ローラ軸69に回動自在に軸支され、畝上面18に当接した状態で機体前進に合わせて転動可能となるように構成されている(図9参照)。
【0063】
なお、図9に示すように、ローラ軸69の一端のみに揺動アーム56が取り付けられ、このローラ軸69に押圧ローラ34が軸支される構成に限らず、図16に示すように、ローラ軸69の両端に略同一形状に形成した一対の揺動アーム56・56が取り付けられ、このローラ軸69に押圧ローラ34が軸支されるように構成してもよい。かかる場合には、揺動アーム56・56のうち、一方は押圧駆動機構35を構成し、他方はハンドルフレーム7等に揺動自在に枢支される。
【0064】
揺動アーム56は、支持軸50cを揺動中心として上下揺動自在であり、先端部に配設される押圧ローラ34が上下動される。このとき、揺動アーム56は、上述のようにリンクロッド64によって係合アーム57とリンクされ、このリンクロッド64によって上下方向における最下位置と最上位置とが規制されている。以下、揺動アーム56に配設された押圧ローラ34が最も下方にある状態を揺動アーム56の最下位置P2とし(図12参照)、押圧ローラ34が最も上方にある状態を揺動アーム56の最上位置P3とする(図8参照)。
【0065】
揺動アーム56の最下位置P2及び最上位置P3は、リンクロッド64や揺動アーム56等の各部材の大きさや形状を変更して決定される。この押圧装置14では、揺動アーム56の最下位置P2は、揺動アーム56に取り付けられた押圧ローラ34の下面が畝上面18より畝中に最大深さL1だけ沈み込む位置に調整される。この最大深さL1は、畝状態によってその大きさが変動する。最下位置P2を押圧ローラ34が畝中に沈み込むように調整することで、畝上面18に落下される押圧ローラ34によって、植付け爪20L・20Rによる苗移植後の畝を確実に押圧することができ、さらに押圧ローラ34を畝上面18に沿って連動させることで、畝中に移植された苗の保持を確実とし、苗の根の活性をよくすることができる。一方、揺動アーム56の最上位置P3は、押圧ローラ34の下面が畝上面18に移植された苗の垂直高さより高い位置となるように調整される。
【0066】
図8、図11及び図12に示すように、付勢アーム65は、平面視略L字状に形成され、一端部が主フレーム50の垂直面50aに上下方向に揺動自在に枢支され、屈曲部65aにおいて、機体後方に略直角に屈曲され、他端部が主フレーム50等によって形成されるカバー体から機体後方に延出されている。付勢アーム65の他端部は、揺動アーム56の前後略中途部に形成された係合部70に係合されている。
【0067】
係合部70は、揺動アーム56から上方に突設された取付部材70aと、取付部材70aから機体内方に突出して取り付けられる接続部材70bとから構成されている。接続部材70bは、取付部材70aに前後回動自在に枢支されている。取付部材70aからの突出した部分に貫通孔70cが上下方向に貫通して穿設され、付勢アーム65の他端部が貫通孔70cに摺動自在に挿通されている。揺動アーム56が上下動されると、付勢アーム65が接続部材70bの貫通孔70cを摺動され、接続部材70bが前後方向に回動される。付勢アーム65は、この揺動アーム56の上下動に連動して、垂直面50aとの枢支部を揺動中心として上下方向に揺動される。
【0068】
なお、接続部材70bを貫通した付勢アーム65の他端部の突出部には、ストッパ部材71が取り付けられる。ストッパ部材71を設けることで、特に、揺動アーム56が最上位置P3から最下位置P2に急操作された場合であっても、ストッパ部材71が接続部材70bに当接して、付勢アーム65が貫通孔70cから抜けることがない。
【0069】
付勢アーム65は、屈曲部65aと係合部70との間に付勢バネ72が介装されている。付勢バネ72の上端部は、付勢アーム65に固設された止め部材73に当接され、下端部は、付勢アーム65に沿って摺動自在に遊嵌された止め部材74に当接されている(図10参照)。この付勢バネ65は、揺動アーム56が最下位置P2にある状態では、最伸長状態となっている。(図12参照)。一方、揺動アーム56が最上位置P3にある状態では、止め部材74が係合部70に当接して上方に押圧され、すなわち、付勢バネ72によって揺動アーム56が下方に付勢されている(図8参照)。
【0070】
このように、付勢バネ72を介装した付勢アーム65によって、揺動アーム56を下方向に付勢する構成とすることで、押圧ローラ34を自重落下させるだけでなく、揺動アーム56を確実に下方向に揺動させて、押圧ローラ34による畝上面18の鎮圧を確実に行うことができる。なお、この付勢バネ62の配置は、上述した構成に限定されず、例えば、揺動アーム56が最下位置P2にある状態であっても、止め部材74が係合部70に当接して、付勢バネ62によって揺動アーム56が、その上下位置に拘らず常時下方に付勢されるように構成してもよい。また、付勢アーム65への付勢バネ72の取り付け構造は上述した構造に限定されない。
【0071】
以上のように構成される押圧装置14において、押圧ローラ34による畝上面18の鎮圧動作について説明する。爪往復動機構24によって植付け爪20L・20Rは、受渡し位置21dにある苗を挟み込んで掴み取り、畝中にある前記往復運動の最下位置で苗を解放し上方へ退いて、畝中へ苗を移植するように往復動されている。そこで、押圧ローラ34は、植付け爪20L・20Rが畝中へ苗を移植した直後の畝上面18を叩くように上方から落下して鎮圧し、植付け爪20L・20Rの往復動と連動するように上下方向に揺動される。
【0072】
図8に示す押圧装置14の状態は、押圧駆動機構35において、カム部材55はアーム部材54によって一定方向に連続回転されている。カム部材55の円周部55aに沿って係合アーム57の係合部70が摺接されており、係合アーム57は位置P4にある状態で静止される。揺動アーム56は、係合アーム57の上端部に枢支されるリンクロッド64によって上方に引きあげられた最上位置P3で保持されている。また、揺動アーム56が最上位置P3にある状態において、付勢アーム65に介装された付勢バネ72によって、揺動アーム56が下方に付勢されている。
【0073】
図12に示すように、カム部材55が回動されて、係合部70がカム部材55の切欠部55bに到達すると、係合アーム57は、カム部材55との係合が解除されて、位置P4にある状態から右方(下方)に傾くように揺動され、係合部70が垂直部55fから斜面部55gの端部に係合されて揺動が停止される。係合アーム57とカム部材55との係合が解除されると、揺動アーム56は、先端部に取り付けた押圧ローラ34の自重と、付勢バネ72の付勢力によって下方に揺動される。揺動アーム56の下方への揺動は、リンクロッド64によって規制されて、揺動アーム56は最下位置P2で停止され、押圧ローラ34によって畝上面18が鎮圧される。この押圧ローラ34が畝上面18に落下して鎮圧するタイミングは、植付け爪20L・20Rが畝中から引き抜かれた直後となるように調整されている。
【0074】
そして、図13に示すように、カム部材55が継続して回動され、係合アーム57の係合部62が切欠部55bの斜面部55gの形状に沿って摺動されて、係合アーム57が徐々に左方(上方)に揺動される。この係合アーム57の揺動操作に連動して、リンクロッド64を介して揺動アーム56が上方に揺動される。係合アーム57の係合部62が斜面部55gから円周部55aに到達するまで、係合アーム57及び揺動アーム56が上方に揺動され、やがて円周部55aに到達すると、係合アーム57は再び位置P4に状態に復帰して静止され、揺動アーム56も最上位置P3まで上昇された状態で静止される。
【0075】
このように押圧装置14は、押圧駆動機構35によって揺動アーム56を上下動させて、押圧ローラ34を畝上面18に落下させる操作を繰り返し行うように構成されている。押圧ローラ34を自重及び付勢バネ72の付勢力によって畝上面18に叩きつけることで、畝上面18を鎮圧して、畝中に穿設された植付け爪20L・20Rによる開口を塞ぎ、また苗の根を活性にすることができる。さらに、押圧ローラ34は、上下方向に間欠的に揺動されるため、植付けられた苗が押圧ローラ34に押し潰されることがなく、作業効率を向上できる。
【0076】
そして、この甘藷挿苗機1における押圧装置14には、以下に説明するように、押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する第一の調整機構46と第二の調整機構47とがそれぞれ構成されているのである。
【0077】
<第一の調整機構46>
図11及び図14に示すように、第一の調整機構46は、カム部材55を、アーム部材54に対して円周方向に回動させて取り付け位置を変更し、押圧ローラ34の下動のタイミングを調整するように構成されている。上述のように、カム部材55とアーム部材54とは、長孔55dを介してアーム部材54の取付孔54bにボルト58を挿通し、ボルト58をナット59にて締結して固定される(図10参照)。長孔55dは、側面視においてアーム部材54に穿設された取付孔54bの回動軌跡上に沿って円弧状にされる。カム部材55は、このナット59を緩めることで、駆動軸53を回動中心としてアーム部材54に対して円周方向に相対回動させることができ、アーム部材54に対する固定位置を相対的に変更して、長孔55dの穿設範囲内の所定位置で位置決めして固定することができるように構成されている。
【0078】
図14(a)乃至図14(c)に示すように、カム部材55の固定位置において、アーム部材54が長孔55dの略中間部で固定される場合を位置P5、長孔55dの両端部の内カム部材55の切欠部55bに遠い側の端部で固定される場合を位置P6、同じく長孔55dの両端部の内カム部材55の切欠部55bに近い側の端部で固定される場合を位置P7とする。そして、アーム部材54に対してカム部材55が位置P5で固定される場合に、植付け爪20L・20Rの上下動に対する押圧ローラ34の上下動のタイミングが略一致するように固定されている。なお、植付け爪20L・20Rの上下動に対する押圧ローラ34の上下動のタイミングが略一致するとは、押圧ローラ34が、植付け爪20L・20Rが畝中へ苗を移植した直後に下動して、畝上面18を叩くように調整されていることをいう。
【0079】
植付け爪20L・20Rに対して押圧ローラ34の下動のタイミングが早くなった場合、すなわち、植付け爪20L・20Rがまだ畝中から十分に引き抜かれていない状態で押圧ローラ34が下方向に揺動される場合には、アーム部材54に対するカム部材55の固定位置を位置P5から位置P6の方向に変更するように、カム部材55を回動させて、押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する(図14(b)参照)。カム部材55の固定位置を位置P5から位置P6に変更させると、カム部材55の固定位置が位置P5にある場合と比べて、係合アーム57の係合部62が切欠部55bに到達するタイミングが遅くなるように変更することができる。押圧駆動機構35において係合アーム57を介して押圧ローラ34の揺動を遅らせて、植付け爪20L・20Rに対する押圧ローラ34の上下動のタイミングを略一致させることができる。
【0080】
一方、植付け爪20L・20Rに対して押圧ローラ34の下動のタイミングが遅くなった場合、すなわち、植付け爪20L・20Rが畝中から引き抜かれた直後ではなく所定時間経過後に押圧ローラ34が下方向に揺動される場合には、アーム部材54に対するカム部材55の固定位置を位置P5から位置P7の方向に変更するように、カム部材55を回動させる(図14(c)参照)。カム部材55の固定位置を位置P5から位置P7に変更させると、カム部材55の固定位置が位置P5にある場合と比べて、係合アーム57の係合部62が切欠部55bに到達するタイミングを早めることができる。そのため、植付け爪20L・20Rに対する押圧ローラ34の上下動のタイミングを略一致させることができる。
【0081】
このように第一の調整機構46を設けることで、植付け爪20L・20Rの上下動と押圧ローラ34の下動のタイミングの調整が容易となり、これらのタイミングを略一致させることができる。そのため、押圧ローラ34による鎮圧のタイミングを適宜早めたり遅くしたりすることで、移植された苗を傷付けることがなく、鎮圧のタイミングが遅れて畝中の苗の根元近傍を鎮圧できず畝中に苗を保持できないことを防ぐことができる。植付け爪20L・20R及び押圧ローラ34の上下動のタイミングがすれる原因としては、移植する苗の種類・大きさや、圃場・畝の状態及び機体本体の移動速度等が異なることによるが、これらの変化に充分に対応することができ、作業性が向上する。
【0082】
また、第一の調整機構46は、押圧装置14に構成される押圧駆動機構35に設けられるため、カム部材55が、押圧ローラ34を上下動させる押圧駆動機構35の構成部材を兼ねるため、これらの調整の精度が高く、部品点数を低減してコンパクトに形成できる。さらに、押圧駆動機構35は、機体左方のハンドルフレーム7に配設された前記カバー体に囲繞され、このカバー体が機体外側に向けて開閉自在とされているため、作業者において機体側方から容易に操作することができる。この第一の調整機構46の操作は、アーム部材54に固定されたカム部材55の固定位置を変更するだけでよく、ボルト58を締めたり弛めたりしてカム部材55を回動させればよいため、迅速かつ的確に操作を行うことができ、圃場での作業性が向上する。
【0083】
<第二の調整機構47>
図11及び図15に示すように、第二の調整機構47は、カム部材55に対して揺動自在に取り付けられた可動片61を設け、カム部材55に対する可動片61の取り付け位置を変更することで、切欠部55bの切欠き形状を変更可能とし、押圧ローラ34の上動のタイミングを調整するように構成されている。可動片61は、カム部材55よりも機体側方であってカム部材55に近接して配設され、カム部材55、アーム部材54及び係合アーム57等とそれぞれ略平行に配設されて、可動片61とアーム部材54はカム部材55に対して左右反対側に配置して回動時に干渉しないようにしている。また、可動片61は、端部に挿通孔61aが穿設され、該挿通孔54aに駆動軸53が挿通されてアーム部材54に対して相対回転可能に遊嵌される。
【0084】
可動片61には、駆動軸53を中心とした円弧状の長孔61bが穿設され、前記長孔55dとは駆動軸53に対して上下反対方向に配置してコンパクトに配置できるようにしている。一方、カム部材55には取付孔55hが穿設され、取付孔55hに長孔61bを介してボルト75が挿通され、ボルト75がナット76で締結される。長孔61bは、取付孔55hにボルト75を挿通可能な位置及び形状に穿設され、すなわち、側面視において取付孔55hの回動軌跡上に沿って円弧状に形成される。このように、可動片61は、ナット76を緩めることで、駆動軸53を回動中心としてカム部材55に対して円周方向に相対回動させて、カム部材55に対する固定位置を相対的に変更することができるように構成されている。なお、可動片61は、長孔61bの穿設範囲内の所定位置で位置決めして固定される。
【0085】
可動片61は、カム部材55の円周部55aと略同じ曲率となるように形成された円周面61cと、切欠部55bにおける斜面部55gを形成する斜面61dとが形成されている。円周面61cは、可動片61がカム部材55に位置決めして固定された状態では、カム部材55の円周部55aと一致するように形成される。そのため、カム部材55に当接する係合アーム57の係合部62は、円周部55a若しくは円周部55aと円周面61cに沿って摺接される。斜面61dは、カム部材55の切欠部55bに凸状に湾曲して突出され、係合部62が斜面61dに沿って摺動される。
【0086】
カム部材55に対する可動片61の固定位置が変更されると、カム部材55の切欠部55bに突出する斜面61dが変更され、切欠部55bの斜面部55gの切欠き形状が変更される。ここで、可動片61の固定位置において、切欠部55bへの斜面61dの突出が最大となる場合、換言すると、切欠部55bの切欠き形状において斜面部55gが大きく凸設される場合を位置P8とする(図15(a)参照)。一方で、斜面61dの突出が最小となる場合、換言すると斜面部55gが緩やかに突出される場合を位置P9とする(図15(b)参照)。
【0087】
可動片61が位置P8にある場合には、係合部62が可動片61の斜面61dに沿って摺動し始めるのと略同時に、係合アーム57が左方向に揺動され始める。そのため、押圧ローラ34は、下方向に揺動されて畝上面18を鎮圧した後、直ちに押圧ローラ34と畝上面18とが離間するように上方向に揺動される。すなわち、かかる場合は、押圧ローラ34が畝上面18へ接地される長さ(時間)が短い。なお、押圧装置14では、揺動アーム56の最下位置P2で、押圧ローラ34の下面が畝上面18より畝中に所定深さL1だけ沈み込むように構成されていることから(図12参照)、押圧ローラ34が畝上面18に接地した状態から上方向に揺動されても、直ちに、押圧ローラ34と畝上面18とが離間しない。
【0088】
一方、可動片61が位置P9にある場合には、係合部62が可動片61の斜面61dに沿って摺動され始めても、斜面61dの凸形状が緩やかなため、係合アーム57は前方(左方向)へ揺動されないか、若しくは揺動されても、可動片61が位置P8にある場合と比べてその大きさ(揺動角度)は小さい。そのため、押圧ローラ34は、畝上面18を鎮圧した後、畝上面18を鎮圧しながらしばらく転動される。すなわち、かかる場合には、押圧ローラ34が畝上面18に接地される長さ(時間)が、上述した場合と比べて長くなるように構成される。
【0089】
以上のように、第二の調整機構47は、切欠部55bの切欠き形状を変更することで、押圧ローラ34が畝上面18に接地する長さを調節して、押圧ローラ34の上動のタイミングを調整するように構成されている。具体的には、可動片61は、長孔61bの穿設範囲内でカム部材55に対して相対回動させ、切欠部55bの切欠き形状を変更して、切欠部55bへの斜面61dの突出が変更される。そのため、押圧ローラ34が畝上面18に接地される長さを変更して、押圧ローラ34による鎮圧作業を容易に調整することができる。特に、畝の状態や苗間の植え付け距離や、苗の種類・大きさ等に応じて押圧ローラ34の上動のタイミングを変更することで、畝への鎮圧効果を向上できる。また、第二の調整機構47を設けても、植付け爪20L・20R及び押圧ローラ34の下動のタイミングは変更されないので、押圧駆動機構35の作業性を損なうことがない。
【0090】
さらに、第二の調整機構47を押圧駆動機構35に設けることで、カム部材55が、押圧ローラ34を上下動させる押圧駆動機構35の構成部材を兼ねるため、これらの調整の精度が高く、部品点数を低減してコンパクトに形成できる。さらに、押圧駆動機構35は、機体左方のハンドルフレーム7に配設された配設されるため、作業者において容易に取り付け・変更等できる。そして、この第二の調整機構47の操作は、カム部材55に固定された可動片61の固定位置を変更するだけでよく、ボルト75を締めたり弛めたりして可動片61を回動させればよいため、迅速かつ的確に操作を行うことができ、圃場での作業性が向上する。
【0091】
なお、上述した第一の調整機構46及び第二の調整機構47を構成するカム部材55等の形状は、これに限定するものではなく、同様の機能を奏する形状や構成を用いることができる。例えば、第一の調整機構46において、カム部材55に穿設される長孔55dの代わりに、複数の孔を穿設し、アーム部材54に対して所定位置で位置決めできるように構成してもよく、孔を穿設する部材や位置等も適宜変更してもよい。また、第二の調整機構47においても、同様に、可動片61に穿設される長孔61bの代わりに、複数の孔を穿設してもよい。
【0092】
以上のように、この甘藷挿苗機1の押圧装置14に、第一の調整機構46と第二の調整機構47が設けることで、苗の植付けを行う際の畝状態や苗の種類等応じて、植付け爪20L・20Rと押圧ローラ34との上下動のタイミングを作業中に微調整することが容易となり、鎮圧効果を向上させて、押圧ローラ34によって苗を傷付けることなく、畝中に苗を充分に保持させることができる。特に、この甘藷挿苗機1には、植付け爪20L・20Rによる苗の植付け姿勢を変更可能に構成した爪往復動機構24が設けられているため、植付け爪20L・20Rの植付け姿勢を変更することによって植付け爪20L・20Rと押圧ローラ34との上下動のタイミングが変動しても、容易に微調整することができる。また、第一の調整機構46と第二の調整機構47は同じカム部材55に対して調整するようにしてコンパクトに配置し、部品点数も少なくするととにも、両者を近接した位置に配置することで、調整する部材を集中して配置して調整が場所が判り易く容易にできるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施例に係る押圧装置を備えた甘藷挿苗機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく図1の甘藷挿苗機の平面図。
【図3】植付け装置の側面図。
【図4】船底植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図。
【図5】船底植え時の爪往復動機構を示す側面図。
【図6】斜め植え時の爪往復動機構を示す側面図。
【図7】斜め植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図。
【図8】押圧装置の側面図。
【図9】同じく図8の押圧装置の平面図。
【図10】押圧駆動機構の側面図。
【図11】同じく図10の押圧駆動機構の平面図。
【図12】押圧ローラが畝上面を押圧する状態を示す側面図。
【図13】押圧ローラが上方に揺動される状態を示す側面図。
【図14】第一の調整機構におけるアーム部材とカム部材との取り付け状態を示す側面図。
【図15】第二の調整機構におけるカム部材と可動片との取り付け状態を示す側面図。
【図16】押圧ローラの支持構造の別実施例を示す平面図。
【符号の説明】
【0094】
1 甘藷挿苗機
14 押圧装置
20L・20R 植付け爪
34 押圧ローラ(押圧体)
35 押圧駆動機構
36 リンク機構
46 第一の調整機構(調整手段)
47 第二の調整機構(調整手段)
54 アーム部材
55 カム部材
55a 周面部
57 係合アーム
64 リンクロッド(リンクアーム)
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機の押圧装置に関し、より詳細には、甘藷挿苗機等の移植機本体に対して押圧体を間欠的に上下昇降させる押圧駆動機構を備えた押圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、甘藷等の野菜の苗を移植する苗移植機において、植付け爪を所定の植付け軌跡で上下動させる植付け装置を備えた構成が公知となっている。この植付け爪によって、苗を挟み込んで掴み取り、畝中にある植付け軌跡の最下位置で苗が解放されて、掴み取った苗が畝中へ移植される。このような移植機は、移植部の植付け爪の後方に、押圧ローラ等の押圧体を備えた押圧装置が配設されている。この押圧装置の押圧体が、苗植付け後の畝上の植付け面を押圧し又は転動することによって、畝中に移植された苗の保持を確実とし、苗の根の活性をよくするように構成されている。
【0003】
特許文献1には、係合板が回転するカム部材と係合され、リンク機構を介してアーム先端に取り付けられた押圧体としてのロール状部材が上昇され、カム部材との係合が外れると、ロール状部材が自重で落下するように構成された押圧装置を備えた苗移植機が提案されている。この苗移植機は、カム部材の回動とロール状部材の昇降とを連動させ、ロール状部材を自重で間欠的に落下させることで、植付け爪による苗移植後の畝面をロール状部材で叩いて鎮圧させるものである(特許文献1参照)。
【0004】
また、特許文献2には、伝動ケースからの駆動力が駆動軸とカムを一体回転させて、ローラやロッド等を介して揺動アームが揺動され、揺動アームの先端に取り付けられた押圧体としての鎮圧輪が畝上面に間欠的に落下するように構成された押圧装置が開示されている。この押圧装置においても、鎮圧輪が畝上面に落下する直前に植付け爪が畝中から抜けるタイミングで、鎮圧輪の作動機構が構成されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−136205号公報
【特許文献2】特開2003−88212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、上記特許文献1又は特許文献2に記載される押圧装置によれば、係合板若しくはローラとカム部材との係合状態によって押圧体を間欠的に上下動させて、この押圧体によって畝中に移植された苗を傷めることがなく、かつ、良好な鎮圧効果を得ることができる点で好ましい。
【0006】
しかし、植付け爪によって苗の受け渡し位置から畝中までの往復動機構と、植付け爪が畝中で苗を開放して上方へ退いた後に押圧体を畝上面へ落下させる押圧駆動機構とにおいて、植付け爪と押圧体との上下動を連動させるタイミングを調整することが容易ではなかった。そのため、一度植付け爪と押圧体との上下動のタイミングがずれると、押圧体によって苗を傷付けてしまったり、畝中に苗を保持させることができなかったりする場合があった。
【0007】
すなわち、従来、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを調整するには、上記往復動機構や押圧駆動機構等の構成部材を取り換えたり、機体内部に配設された構成部材の取り付け位置を変更したり等する必要があり、作業者にとって煩わしかった。特に、苗の植付けを行う際の畝状態や苗の種類等によっては、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを作業中に微調整しなければならない場合が生じ、従来の装置では迅速な調整が困難であり作業性が悪かった。
【0008】
そこで、本発明は、移植機の押圧装置に関し、前記従来の課題を解決するもので、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを容易に調整可能とし、畝上面の苗を傷付けることなく畝上面を鎮圧させる押圧装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
すなわち、請求項1においては、植付け爪の植付け動作に連動して押圧体を上下方向に揺動する押圧駆動機構を設けた移植機の押圧装置であって、前記押圧駆動機構は、一方向に連続的に回転駆動されるアーム部材と、該アーム部材に連結固定され、周面の一部に切欠部が形成されるカム部材と、該カム部材の周面に沿って当接して揺動操作される係合アームと、該係合アームと押圧体とをリンクアームを介して連結させるリンク機構と、前記植付け爪の上下動に対する押圧体の上下動のタイミングを調整する調整手段とを具備するものである。
【0011】
請求項2においては、前記調整手段は、前記カム部材を円周方向に回転させて、前記アーム部材との固定位置を相対的に変更するものである。
【0012】
請求項3においては、前記調整手段は、前記カム部材に対する取り付け位置を変更して切欠部の切欠き形状を変更させる可動片を備えてなり、押圧体が畝上面に接地される長さを調整するものである。
【0013】
請求項4においては、前記植付け爪による苗の植付け姿勢を変更可能な植付け装置を備えた移植機に配設されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1に示す構成としたので、苗の植付けを行う際の畝状態や苗の種類等応じて、植付け爪と押圧体との上下動のタイミングを作業中に容易に微調整でき、押圧体によって苗を傷付けることなく、畝中に苗を充分に保持させることができる。
【0016】
請求項2に示す構成としたので、植付け爪の上下動と押圧体の上下動のタイミングを容易に略一致させることができる。また、押圧体による鎮圧のタイミングを適宜早めたり遅くしたりすることで、移植された苗を傷付けることがなく、鎮圧のタイミングが遅れて畝中の苗の根元近傍を鎮圧できず畝中に苗を保持できないことを防止ができる。さらに、押圧装置に構成される押圧駆動機構に設けられるため、調整の精度が高く、また作業者において調整作業が容易である。
【0017】
請求項3に示す構成としたので、押圧体が畝上面に接地される長さを変更して、押圧体による鎮圧作業を調整でき、畝の状態や苗の種類・大きさ等に応じて押圧体の鎮圧の長さを変更して畝中の苗をより充分に保持させ、鎮圧効果を向上できる。また、押圧装置に構成される押圧駆動機構に設けられるため、調整の精度が高く、また作業者において調整作業が容易である。
【0018】
請求項4に示す構成としたので、植付け爪の植付け姿勢を変更することによって植付け爪と押圧体との上下動のタイミングが変動しても、これを容易に微調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、図を参照して、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る押圧装置を備えた甘藷挿苗機の全体的な構成を示した側面図、図2は同じく図1の甘藷挿苗機の平面図、図3は植付け装置の側面図、図4は船底植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図、図5は船底植え時の爪往復動機構を示す側面図、図6は斜め植え時の爪往復動機構を示す側面図、図7は斜め植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図、図8は押圧装置の側面図、図9は同じく図8の押圧装置の平面図、図10は押圧駆動機構の側面図、図11は同じく図10の押圧駆動機構の平面図、図12は押圧ローラが畝上面を押圧する状態を示す側面図、図13は押圧ローラが上方に揺動される状態を示す側面図、図14は第一の調整機構におけるアーム部材とカム部材との取り付け状態を示す側面図、図15は第二の調整機構におけるカム部材と可動片との取り付け状態を示す側面図、図16は押圧ローラの支持構造の別実施例を示す平面図である。
【0020】
なお、以下、移植機として、苗搬送台12に載置した甘藷苗を植付け爪20L・20Rによってつかみ取り、これを畝中に植え付ける甘藷挿苗機1について説明する。ただし、移植機としてはこれに限定されない。
【0021】
まず、甘藷挿苗機1の全体構成について、以下に概説する。
図1及び図2に示すように、甘藷挿苗機1は、畝に沿って走行しながら、自動的に甘藷苗(以下苗)を畝中に植え付ける歩行型の自走式作業機であり、畝間の谷部17を走行する左右一対の前輪2・2および後輪3・3と、畝の上方に位置する走行機体4とが配設されている。走行機体4のメインフレームは、前側のエンジンフレーム5と、中央部のミッションケース6と、後側のハンドルフレーム7とを、前後方向に連結固定して構成されており、このメインフレーム上に各種装置が支持されている。
【0022】
走行機体4は、前記各種装置として、走行方向の前方より後方に向けて、畝ガイド装置8、前輪支持装置9、エンジン10、後輪支持装置11、前記ミッションケース6、畝高さ検出装置16、苗搬送台12、植付け装置13、押圧装置14及び運転操作部15が備えられている。なお、これらの各種装置において、ミッションケース6より前側に配置される装置はエンジンフレーム5に支持され、ミッションケース6より後側に配置される装置はハンドルフレーム7に支持されている。
【0023】
次に、図3乃至図16を参照しながら、各装置構成を以下に説明する。
【0024】
<畝ガイド装置8>
畝ガイド装置8は、畝に沿って走行する甘藷挿苗機1の走行方向を案内するための装置であり、畝の左右側面(斜面)に当接させるための畝ガイドローラ8a・8aを左右一対備えている。これらの畝ガイドローラ8a・8a間に畝を挟み込み、または、斜面に当接させながら転動させて、この状態で甘藷挿苗機1を走行させることで、甘藷挿苗機1を運転操作により方向制御することなく、畝に沿って走行させることが可能である。
【0025】
<前輪支持装置9及び後輪支持装置11>
前輪支持装置9は、エンジンフレーム5に位置固定されている前輪支持軸9aと、前輪支持軸9a回りに回転自在で各前輪2・2を支持する前輪アーム9b・9bとが備えられている。後輪支持装置11は、前輪支持装置9と同様に構成され、ミッションケース6に位置固定されている後輪支持軸11aと、後輪支持軸11a回りに回転自在で各後輪3・3を支持するチェーンケース11b・11bとが備えられている。なお、後輪支持軸11aの内部に、後輪3・3の駆動軸が内蔵されており、この駆動軸の回転駆動が、それぞれチェーンケース11b内のチェーンを介して各後輪3・3に伝達される。
【0026】
なお、前輪アーム9bとチェーンケース11bとは図示せぬ連結軸を介して連結され、前輪アーム9b及びチェーンケース11bが平行リンクに構成されている。前輪アーム9b又はチェーンケース11bが回転されることによって、前輪2・2及び後輪3・3に対する走行機体4の上下高さが可変する。チェーンケース11bを走行機体4に対して回転させる手段として、エンジンフレーム5とチェーンケース11bとを連結して伸縮させるアクチュエータ19が設けられている。このアクチュエータ19が伸縮されると上記平行リンクが作動されて、走行機体4が前輪2・2及び後輪3・3に対して上下昇降される。このように構成することで、走行機体4の畝上面18に対する高さ位置が調整可能とされている。
【0027】
<畝高さ検出装置16>
畝高さ検出装置16は、畝上面18と接触するセンサーローラ16aと、センサーローラ16aを支持しエンジンフレーム5に回転自在に設けられるセンサーアーム16bと、が備えられている。このセンサーアーム16bの傾動に応じて、油圧バルブ(図略)のスプールが押し引きされて、油圧式とした前記アクチュエータ19の作動が制御され、エンジンフレーム5と畝上面18との離間距離が一定に保たれるように走行機体4の高さ位置が制御される。走行機体4の上下動は、この畝高さ検出装置16による畝高さの検出に基づいて行なわれる。
【0028】
また、アクチュエータ19とは別に、左右一方のチェーンケース11bを他方のチェーンケース11bに対して回転させる(傾斜させる)アクチュエータ(図示せず)が設けられており、甘藷挿苗機1の左右傾斜制御が可能に構成されている。
【0029】
<苗搬送台12>
苗搬送台12は、図示せぬ苗収容ケースに収容されている苗を、植付け装置13に備える植付け爪20L・20Rに、自動的に搬送して供給する装置である。苗搬送台12には、前後方向で左回りに回転する無端帯状の搬送ベルト21が備えられると共に、この搬送ベルト21外周上には、スポンジ等の弾性体で構成した一対の樹脂材が対向配置されてなる保持部22が、苗を保持する手段として、等間隔に配置されている。搬送ベルト21の上面は、前記苗収容ケースから取り出した苗を保持させる載置部であり、搬送ベルト21の下端位置は、植付け爪20L・20Rに苗を引き継ぐ受渡し位置21dである。苗搬送台12には、ミッションケース6のPTO軸からの動力が伝達される構成であり、後述の植付け装置13と連動して、搬送ベルト21が間欠的に回転駆動されるように構成されている。
【0030】
<植付け装置13>
図3及び図4に示すように、植付け装置13は、左右一対の植付け爪20L・20Rと、植付け爪20L・20Rを受渡し位置21dから畝中まで往復運動させる爪往復動機構24とが備えられている。植付け爪20L・20Rは、苗搬送台12の受渡し位置21dより受け渡された苗を畝中に移植し、左右の植付け爪20L・20Rの当接・離間により、苗の保持や、保持した苗の解放が可能となるように構成されている。植付け爪20L・20Rの往復運動の最上位置は、前記受渡し位置21dであって、植付け爪20L・20Rは、この受渡し位置21dにある苗を挟み込んで掴み取り、畝中にある前記往復運動の最下位置で苗を解放し上方へ退くことで畝中へ苗を移植する。
【0031】
爪往復動機構24は、植付け駆動軸25の回転運動を植付け爪20L・20Rの苗搬送台12から畝中に至る往復運動に変換するクランク機構として構成される。植付け駆動軸25には、ミッションケース6のPTO軸からの動力が伝達される。この爪往復動機構24は、植付け駆動軸25と一体的に回転する第一リンクアーム26と、姿勢調整軸27に回動自在に設けられる第二リンクアーム28とが配設される。
【0032】
姿勢調整軸27は、ハンドルフレーム7に支持部材を介して固定され、植付け駆動軸25の上方に配置され、両軸は左右方向に配設されている。第一リンクアーム26の先端には第一支点軸29が固定されるとともに、第二リンクアーム28の先端には第二支点軸30が固定される。第一支点軸29及び第二支点軸30は、植付け爪20L・20Rを支持する爪支持ケース31をそれぞれ回動自在に軸支する。第一支点軸29及び第二支点軸30は、爪支持ケース31に対して回動自在であっても、爪支持ケース31に対して位置固定されているので、第一支点軸29から第二支点軸30までの距離は常に一定とされる。また、植付け駆動軸25から第一支点軸29までの距離や、姿勢調整軸27から第二支点軸30までの距離も一定とされる。
【0033】
植付け駆動軸25が回転されると、爪支持ケース31が植付け駆動軸25周りに回転するとともに、爪支持ケース31の姿勢が変化する。すなわち、第一支点軸29から第二支点軸30までの距離が一定のため、爪支持ケース31の公転(植付け駆動軸25周りの回転)に伴って、第二リンクアーム28が姿勢調整軸27周りの円弧軌道上を往復運動し、第一支点軸29と第二支点軸30との相対位置が変化する。このため、爪支持ケース31の姿勢が変化して、植付け爪20L・20Rの姿勢が変化する。
【0034】
爪往復動機構24によって、植付け爪20L・20Rの先端は、略三日月の外周状の経路R1に沿って往復運動する(図3参照)。そして、本体を走行しながら植え付ける場合の植付け爪20L・20Rの先端は、爪往復動機構24による運動(三日月の外周状の往復運動)と、甘藷挿苗機1の走行による運動(直線運動)とが合成されて、移動経路の中途部の一点で交わった「α」字状の経路R2となる(図4参照)。
【0035】
経路R2の交点位置P1は、植付け作業時における甘藷挿苗機1の走行速度を変化させることにより上下し、畝上面18の付近に交点位置P1が位置するように、甘藷挿苗機1の走行速度が設定されている。このような構成とすることで、植付け穴の畝上面18での開口幅が小さくなるようにしている。マルチフィルムの敷設された畝への植付けにおいては、植付け穴の開口幅(畝表面の開口幅)が小さくなるにつれ、植付けに際してのマルチフィルムの切断幅が小さくて済む。特に、植付け爪20L・20Rの畝への突入位置と、畝からの退出位置とが略一致する場合は、植付け爪20L・20Rの先端に設ける切断刃(図略)により、突入時に植付け穴の表面となる部位のマルチフィルムを切断しておけば、退出時にも問題がない。すなわち、植付け爪20L・20Rとマルチフィルムとの引っ掛かりを防止すべく、マルチフィルムの切断装置を別設するなどの必要がない。
【0036】
植付け爪20L・20Rは、一方の辺が他方の辺よりも三倍程度長い略V字状であり、第一リンクアーム26の回転に伴って畝中へ突入する部分であり、爪支持ケース31内のリンクに接続される部分とで構成される。この植付け爪20L・20Rは、往復運動の最上位置で開から閉状態に移行させて、苗搬送台12より苗を掴み取らせるとともに、前記往復運動の最下位置で閉から開状態に移行させて、畝中に苗を解放させるように開閉される。
【0037】
以上のような構成とすることにより、植付け爪20L・20Rにより、植付け穴の形成が畝の内部でのみ行なわれて、畝上面18を前後方向に切り裂くことがなく、畝上面18での植付け穴の開口幅が最小化される。そのため、植付け爪20L・20Rによる苗移植が行なわれた際に、苗が土中より露出することがなく、苗の植付けが確実となっている。
【0038】
<植付け姿勢の切換機構>
この甘藷挿苗機1は、苗の植付け姿勢を変更可能に構成されており、具体的には、前記爪往復動機構24が、植付け爪20L・20Rの往復運動の経路を複数のパターンで切り替え可能に構成されている。植付け爪20L・20Rの往復運動の経路は、次の三つの位置関係により定められる。すなわち、第一支点軸29の位置、第二支点軸30の位置及び第二支点軸30の揺動範囲を与える姿勢調整軸27の位置の位置関係である。これらの相対位置を変更することにより、異なる植付け姿勢で苗を植え付けることができる。具体的には、苗の植付け姿勢を、船の底面の一端側形状のように横に寝かせるように苗を植え付ける「船底植え」と、斜め方向(例えば45度方向)に沿って苗を植え付ける「斜め植え」とに切り換えて植え付けることができるように構成される。
【0039】
爪往復動機構24には、往復運動の経路を変更する手段として、第二支点軸30及び姿勢調整軸27の位置を変更させる構成が設けられている。一つは、爪支持ケース31に対する第二支点軸30の取り付け位置を変更可能とする構成である。もう一つは、ハンドルフレーム7に対する姿勢調整軸27の取り付け位置を変更可能とする構成である。
【0040】
図5に示すように、爪支持ケース31は、次の三部分、開閉機構ケース37、ボス38及び姿勢調整板39を略一直線状に順に連結固定して形成されている。開閉機構ケース37には、植付け爪20L・20Rを開閉運動させるリンク機構が内蔵されている。ボス38には、第一支点軸29に回動自在に支持させるためのベアリングが内蔵されている。姿勢調整板39には、第二支点軸30の取り付け位置を変更可能とする手段として、取付用長孔39a及び取付用孔39bが形成されている。第二支点軸30を取付用長孔39aや取付用孔39bに挿入した状態で、姿勢調整板39に第二支点軸30をボルト等により枢支することが可能である。取付用長孔39a及び取付用孔39bはボス38の軸心から徐々に離れるように配置し、かつ、ボス38を中心として左回りに所定角度ずつ回転した位置に設けられる。
【0041】
取付用長孔39aは長孔に開口されているため、この取付用長孔39aに第二支点軸30を挿入することで、姿勢調整板39に対する第二支点軸30の取り付け位置を連続的に変更して位置決めすることができる。第二支点軸30の取り付け位置は、取付用長孔39a内の三ヶ所で位置決め固定可能に構成され、姿勢調整板39の反ボス38側端部に位置決め孔39c・39d・30eが形成され、これに位置決め板40を取り付けるように構成されている。位置決め板40には、姿勢調整板39に設けた複数の位置決め孔39c・39d・30eに対応するように位置決め孔40dが形成される。
【0042】
位置決め板40を第一支点軸29周りに回転させることで、位置決め孔39c・39d・30eのいずれかと位置決め孔40dとを合せ、それぞれの位置決め孔を同時にピン43を用いて挿通して、姿勢調整板39に対して位置決め板40を位置決め固定することができる。このようにして、姿勢調整板39に対して、位置決め板40を三つの異なる姿勢で取り付けることが可能である。
【0043】
姿勢調整板39及び位置決め板40には、上述した三つの取付姿勢に応じて、姿勢調整板39及び位置決め板40を第二支点軸30が同時に挿通可能となるように、それぞれ挿通孔が形成されている。姿勢調整板39に形成される挿通孔は、前記取付用長孔39a及び取付用孔39bである。位置決め板40に形成される挿通孔は、受け用長孔40a及び受け用孔40bである。受け用長孔40aは取付用長孔39aに対応するものであり、取付用孔39bは受け用孔40bに対応するものである。
【0044】
姿勢調整板39に対して、上述した三ヶ所のいずれかで位置決め板40を位置決めすると、受け用長孔40aと取付用長孔39aとの合流部が形成されるとともに、この合流部を介して、第二支点軸30を挿通することが可能である。この三ヶ所の位置決めに応じて、それぞれ、受け用長孔40aと取付用長孔39aとの間で異なる合流部が形成されるように、受け用長孔40aおよび取付用長孔39aの形成長さや形成方向が適宜設定されている。特に、前記三ヶ所の一つ、位置決め孔39eで姿勢調整板39に対して位置決め板40を位置決めした場合は、受け用孔40bと取付用孔39bとが重複し、この重複する両孔を介して、第二支点軸30を挿通することも可能である。
【0045】
また、図5及び図6に示すように、姿勢調整軸27は、ハンドルフレーム7に対して、複数の取り付け位置のいずれかで固定され、具体的には、支持アーム41の一端部に固定され、支持アーム41の他端部がハンドルフレーム7に固定される支持板42に取り付けられて固定され、支持板42には支持アーム41の取り付け位置が複数設けられている。支持アーム41に形成された挿通孔(図略)を、支持板42の挿通孔(図略)に合わせてピン44・44を挿入して位置決めして、支持アーム41を支持板42に対して二通りの姿勢で位置決めして固定することができる。具体的には、一方の取り付け位置は、植付け駆動軸25の上方に配置され(図5参照)、他方の取り付け位置は植付け駆動軸25の斜め上後方、つまり、植付け爪20L・20Rと反対側の離れる方向に配置される(図6参照)。
【0046】
以上のように、爪往復動機構24は、爪支持ケース31に対する第二支点軸30の取り付け位置が四ヶ所で変更可能であるとともに、ハンドルフレーム7に対する姿勢調整軸27の取り付け位置が二ヶ所で変更可能となっている。なお、これらの取り付け位置を組み合わせた植付け爪20L・20Rの往復運動の経路は、合計八つの可能なパターンが存在し、特に、この甘藷挿苗機1では、そのうち四パターンが特に有効な植付け姿勢である。
【0047】
図4及び図5に示すように、植付け姿勢が「船底植え」となる場合について説明すると、かかる場合には、姿勢調整軸27が、二ヶ所で変更可能な取り付け位置のうち、より第一支点軸29に近い位置に取り付けられる。第一支点軸29と姿勢調整軸27とが接近すると、植付け爪20L・20Rの姿勢変更幅(前後上下方向の振れ幅)がより大きなものとなる。一例として、図4に、上述した合流部に第二支点軸30が取り付けられた場合における植付け爪20L・20Rの往復運動の経路を示している。なお、合流部から第一支点軸29までの距離が短くなるにつれ、船底植えにおける植付け爪20L・20Rの移動経路がより緩やかとなり、前記α字状経路における交点位置が下降して畝表面に接近するものとなっている。
【0048】
図6及び図7に示すように、植付け姿勢が「斜め植え」となる場合について説明すると、かかる場合には、姿勢調整軸27が、二ヶ所で変更可能な取り付け位置のうちより第一支点軸29に遠い位置に取り付けられる。第一支点軸29と姿勢調整軸27とが離間すると、植付け爪20L・20Rの姿勢変更幅(前後上下方向の振れ幅)がより小さなものとなる。一例として、図7に、第二支点軸30の取り付け位置を取付用孔39bとした場合における植付け爪20L・20Rの往復運動の経路を示している。かかる場合は、上述した往復経路の往路と復路とが略一致するため、植付け爪20L・20Rにより畝中に形成される植付け穴の開口幅が最小化されるものとなる。
【0049】
以上のような構成とすることによって、一台の甘藷挿苗機1において、複数の植付け姿勢で甘藷苗の植付けを行うことが可能となり、例えば、苗の植付け姿勢を「船底植え」と「斜め植え」とで切り替え可能とすることもでき、植付けの作業性が向上できる。すなわち、苗の植付け姿勢を変更できる機構を備えることで、畝状態、苗の種類・大きさ及び気候等の諸条件に応じて植付け作業を行うことができる。
【0050】
<押圧装置14>
押圧装置14は、植付け爪20L・20Rが差し込まれた畝上面18を押圧して、植付け爪20L・20Rにより形成された植付け穴を崩し、苗の畝中への保持を確実とするように構成される。図8及び図9に示すように、押圧装置14は、畝上面18に当接させる押圧体としての押圧ローラ34と、この押圧ローラ34を植付け爪20L・20Rによる苗の移植に連動して上下動させる押圧駆動機構35と、押圧駆動機構35によって押圧ローラ34を揺動自在にリンクするリンク機構36等とが備えられている。
【0051】
前記爪往復動機構24の機体左方のハンドルフレーム7に主フレーム50が配置され、主フレーム50の垂直面50aが、機体前後方向に略平行に配設されている。主フレーム50の機体側方(左方)には、カバー部材(図略)が着脱可能に取り付けられている。押圧駆動機構35は、主フレーム50等によって形成されるカバー体に囲繞され、押圧駆動機構35に砂や泥等が混入しないように構成されている。主フレーム50に揺動アーム56が枢支され、この揺動アーム56は、押圧駆動機構35からリンク機構36を介して上下方向に揺動自在とされ、先端部に略円筒形状の押圧ローラ34が取り付けられている(図9及び図16参照)。
【0052】
押圧装置14は、前記ミッションケース6から後方向に向けて施設される押圧装置14用のチェーンケース51と連設され(図2参照)、具体的には、チェーンケース51の後端部が上記カバー体の内部に挿入されている。チェーンケース51の後側面から出力軸52が側方に突出され、チェーンケース51からの突出端部が押圧駆動機構35の駆動軸53と連結されている。この駆動軸53は、主フレーム50の垂直面50aに対して略水平となるようにチェーンケース51及び出力軸52に支持されている。エンジンからの動力は、チェーンケース51内の図示せぬ動力伝達ベルトを介して出力軸52から駆動軸53に伝達され、押圧駆動機構35が駆動される。
【0053】
押圧駆動機構35は、前記駆動軸53と、駆動軸53に相対回動不能に固設されるアーム部材54と、アーム部材54と同軸の駆動軸53であって、アーム部材54よりも機体外側位置に回動自在に遊嵌されるカム部材55と、アーム部材54及びカム部材55よりもさらに機体外側に位置され、カム部材55の周面に沿って上下方向に揺動される係合アーム57等とで構成されている。このアーム部材54、カム部材55及び係合アーム57は、機体前後方向に沿ってそれぞれ略平行に配設されている。
【0054】
そして、押圧駆動機構35には、前記植付け爪20L・20Rの上下動に対して押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する調整手段として、アーム部材54に対するカム部材55の取り付け位置を変更して押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する第一の調整機構46と、カム部材55に形成される切欠部55bの切欠き形状を変更して押圧ローラ34の畝上面18への接地長さを調整する第二の調整機構47とがそれぞれ構成されている。この第一の調整機構46及び第二の調整機構47の詳細は、後述する(図14及び図15参照)。
【0055】
図10及び図11に示すように、アーム部材54は、側面視略卵形に形成されて基部側に挿通孔54aが穿設され、挿通孔54aに駆動軸53が挿通され、相対回動不能に固設されている。このように、アーム部材54と駆動軸53とを固定することで、駆動軸53と連動してアーム部材54を一定方向(図10において左方向)に連続回転駆動するように構成されている。このアーム部材54は、駆動軸53の半径方向に延出され、先端部に取付孔54bが穿設され、取付孔54bに位置決め用のボルト58が挿通され、ボルト58はナット59で締結される。この取付孔54bは、側面視においてアーム部材54とカム部材55とが重なる位置に穿設される。
【0056】
カム部材55は、円板を一部切り欠いて略円弧状に形成された円周部55aと、円周部55aから内周方向に切欠き形成される切欠部55bとが形成されている。カム部材55は、駆動軸53を中心として円周部55aの形状が略円弧状とされ、その中心となる位置に貫通孔55cが穿設され、貫通孔55cに駆動軸53が挿通され、駆動軸53に対して相対回動自在に遊嵌されている。切欠部55bは、円周部55aとの交点から半径方向(回転軸心方向)に向けて垂直に切り欠かれた垂直部55fと、垂直部55fから円周部55aに向けてなだらかに半径方向に凸状に湾曲して切り欠かれた斜面部55gとが形成されている。なお、カム部材55には、取り付け位置を変更して切欠部55bの切欠き形状を変更する可動片61が配設され、この可動片61の斜面61dが、カム部材55の斜面部55gを構成する(図15参照)。
【0057】
カム部材55には、駆動軸53を中心とした円弧状の長孔55dが穿設されている。長孔55dは、取付孔54bに前記ボルト58を挿通可能な位置及び形状に穿設されている。カム部材55は、長孔55dを介してアーム部材54の取付孔54bにボルト58が締結されて、アーム部材54に固定される。このように、カム部材55とアーム部材54とをボルト58によって一体に連結させることで、カム部材55は、駆動軸53を回動中心としてアーム部材54と同一方向に連動して回転駆動されるように構成されている。なお、アーム部材54に対するカム部材55の取り付け構造の詳細は後述する(図14参照)。
【0058】
係合アーム57は、下端部が主フレーム50の垂直面50aの下部から略水平に突出された支持軸50bに回動自在に枢支されている。係合アーム57は、この下端部から上方に延出され、前記アーム部材54及びカム部材55よりも機体外側方に位置されるとともに、これらと略平行になるように配設される。この係合アーム57の上下略中途部から機体内側に向けて係合部62が突設され、係合部62は、カム部材55の円周部55aに略直角に当接している。該係合部62はローラ等により構成して抵抗を小さくすることもできる。
【0059】
係合アーム57は、カム部材55の回転駆動によって、カム部材55の円周面55aに沿って係合部62が摺接する。かかる係合アーム57の位置を位置P4とする(図8参照)。係合アーム57は、位置P4にある状態を維持しながら、やがて係合部62が切欠部55bの垂直部55fに到達すると、係合部62とカム部材55との係合が一時的に解除されて、支持軸50bを揺動中心として後方(図10において右方)に揺動され、係合部62が斜面部55gに係合される(図12参照)。そして、カム部材55の回転駆動に伴って、係合部62が斜面部55gに沿って摺動され、係合アーム57は、徐々に前方(図10で左方)に揺動されて元位置P4に戻る(図13参照)。なお、カム部材55において、係合アーム57の係合部62が垂直部55fに到達した際に、係合部62とカム部材55との係合が解除されず、係合部62が垂直部55fの斜面に沿って摺動するように、垂直部55fを形成してもよい。ただし、係合部62を揺動アーム56の基部側の側面に配置し、前記カム部材55をその下後方に配置することも可能である。
【0060】
図10及び図11に戻って、リンク機構36は、端部が係合アーム57の上端部に揺動自在に軸支されたリンクロッド64と、該リンクロッド64の他端と連結されるとともに、主フレーム50に揺動自在に固定される揺動アーム56と、揺動アーム56の前後略中途部に係合されて、上方に揺動操作された揺動アーム56を下方向に付勢する付勢アーム65等とから構成されている。
【0061】
リンクロッド64は、上端部に挿通孔64aが穿設され、この挿通孔64aと係合アーム57の上端部に穿設された取付孔57aとにピン軸66が連通される。このようにして、リンクロッド64の上端部が、係合アーム57に上下方向に揺動自在に軸支されている。また、リンクロッド64の下端部には挿通孔64bが穿設され、挿通孔64bと揺動アーム56に配設された取付ステー67の取付孔67aとにピン軸68が連通される。このようにして、リンクロッド64の下端部が、揺動アーム56に揺動自在に軸支されている。すなわち、リンクロッド64によって、係合アーム57と揺動アーム56とが連結され、係合アーム57が上下方向に揺動されると、リンクロッド64を介して揺動アーム56が連動して上下方向に揺動される。
【0062】
揺動アーム56は、一端部が主フレーム50の垂直面50aから略左右水平方向に突出された支持軸50cに回動自在に枢支され、主フレーム50等によって形成されるカバー体から機体後方に向けて延出されている。揺動アーム56は、平面視略クランク状に形成され、支持軸50cから機体前後方向に沿って機体後方に延出されてから機体内側方向に屈曲され、他端部において再び機体前後方向軸に沿うように屈曲されている(図9参照)。この他端部にローラ軸69が配設され、ローラ軸69に押圧ローラ34が軸支されている。押圧ローラ34は、略円柱状に形成され、ローラ軸69に回動自在に軸支され、畝上面18に当接した状態で機体前進に合わせて転動可能となるように構成されている(図9参照)。
【0063】
なお、図9に示すように、ローラ軸69の一端のみに揺動アーム56が取り付けられ、このローラ軸69に押圧ローラ34が軸支される構成に限らず、図16に示すように、ローラ軸69の両端に略同一形状に形成した一対の揺動アーム56・56が取り付けられ、このローラ軸69に押圧ローラ34が軸支されるように構成してもよい。かかる場合には、揺動アーム56・56のうち、一方は押圧駆動機構35を構成し、他方はハンドルフレーム7等に揺動自在に枢支される。
【0064】
揺動アーム56は、支持軸50cを揺動中心として上下揺動自在であり、先端部に配設される押圧ローラ34が上下動される。このとき、揺動アーム56は、上述のようにリンクロッド64によって係合アーム57とリンクされ、このリンクロッド64によって上下方向における最下位置と最上位置とが規制されている。以下、揺動アーム56に配設された押圧ローラ34が最も下方にある状態を揺動アーム56の最下位置P2とし(図12参照)、押圧ローラ34が最も上方にある状態を揺動アーム56の最上位置P3とする(図8参照)。
【0065】
揺動アーム56の最下位置P2及び最上位置P3は、リンクロッド64や揺動アーム56等の各部材の大きさや形状を変更して決定される。この押圧装置14では、揺動アーム56の最下位置P2は、揺動アーム56に取り付けられた押圧ローラ34の下面が畝上面18より畝中に最大深さL1だけ沈み込む位置に調整される。この最大深さL1は、畝状態によってその大きさが変動する。最下位置P2を押圧ローラ34が畝中に沈み込むように調整することで、畝上面18に落下される押圧ローラ34によって、植付け爪20L・20Rによる苗移植後の畝を確実に押圧することができ、さらに押圧ローラ34を畝上面18に沿って連動させることで、畝中に移植された苗の保持を確実とし、苗の根の活性をよくすることができる。一方、揺動アーム56の最上位置P3は、押圧ローラ34の下面が畝上面18に移植された苗の垂直高さより高い位置となるように調整される。
【0066】
図8、図11及び図12に示すように、付勢アーム65は、平面視略L字状に形成され、一端部が主フレーム50の垂直面50aに上下方向に揺動自在に枢支され、屈曲部65aにおいて、機体後方に略直角に屈曲され、他端部が主フレーム50等によって形成されるカバー体から機体後方に延出されている。付勢アーム65の他端部は、揺動アーム56の前後略中途部に形成された係合部70に係合されている。
【0067】
係合部70は、揺動アーム56から上方に突設された取付部材70aと、取付部材70aから機体内方に突出して取り付けられる接続部材70bとから構成されている。接続部材70bは、取付部材70aに前後回動自在に枢支されている。取付部材70aからの突出した部分に貫通孔70cが上下方向に貫通して穿設され、付勢アーム65の他端部が貫通孔70cに摺動自在に挿通されている。揺動アーム56が上下動されると、付勢アーム65が接続部材70bの貫通孔70cを摺動され、接続部材70bが前後方向に回動される。付勢アーム65は、この揺動アーム56の上下動に連動して、垂直面50aとの枢支部を揺動中心として上下方向に揺動される。
【0068】
なお、接続部材70bを貫通した付勢アーム65の他端部の突出部には、ストッパ部材71が取り付けられる。ストッパ部材71を設けることで、特に、揺動アーム56が最上位置P3から最下位置P2に急操作された場合であっても、ストッパ部材71が接続部材70bに当接して、付勢アーム65が貫通孔70cから抜けることがない。
【0069】
付勢アーム65は、屈曲部65aと係合部70との間に付勢バネ72が介装されている。付勢バネ72の上端部は、付勢アーム65に固設された止め部材73に当接され、下端部は、付勢アーム65に沿って摺動自在に遊嵌された止め部材74に当接されている(図10参照)。この付勢バネ65は、揺動アーム56が最下位置P2にある状態では、最伸長状態となっている。(図12参照)。一方、揺動アーム56が最上位置P3にある状態では、止め部材74が係合部70に当接して上方に押圧され、すなわち、付勢バネ72によって揺動アーム56が下方に付勢されている(図8参照)。
【0070】
このように、付勢バネ72を介装した付勢アーム65によって、揺動アーム56を下方向に付勢する構成とすることで、押圧ローラ34を自重落下させるだけでなく、揺動アーム56を確実に下方向に揺動させて、押圧ローラ34による畝上面18の鎮圧を確実に行うことができる。なお、この付勢バネ62の配置は、上述した構成に限定されず、例えば、揺動アーム56が最下位置P2にある状態であっても、止め部材74が係合部70に当接して、付勢バネ62によって揺動アーム56が、その上下位置に拘らず常時下方に付勢されるように構成してもよい。また、付勢アーム65への付勢バネ72の取り付け構造は上述した構造に限定されない。
【0071】
以上のように構成される押圧装置14において、押圧ローラ34による畝上面18の鎮圧動作について説明する。爪往復動機構24によって植付け爪20L・20Rは、受渡し位置21dにある苗を挟み込んで掴み取り、畝中にある前記往復運動の最下位置で苗を解放し上方へ退いて、畝中へ苗を移植するように往復動されている。そこで、押圧ローラ34は、植付け爪20L・20Rが畝中へ苗を移植した直後の畝上面18を叩くように上方から落下して鎮圧し、植付け爪20L・20Rの往復動と連動するように上下方向に揺動される。
【0072】
図8に示す押圧装置14の状態は、押圧駆動機構35において、カム部材55はアーム部材54によって一定方向に連続回転されている。カム部材55の円周部55aに沿って係合アーム57の係合部70が摺接されており、係合アーム57は位置P4にある状態で静止される。揺動アーム56は、係合アーム57の上端部に枢支されるリンクロッド64によって上方に引きあげられた最上位置P3で保持されている。また、揺動アーム56が最上位置P3にある状態において、付勢アーム65に介装された付勢バネ72によって、揺動アーム56が下方に付勢されている。
【0073】
図12に示すように、カム部材55が回動されて、係合部70がカム部材55の切欠部55bに到達すると、係合アーム57は、カム部材55との係合が解除されて、位置P4にある状態から右方(下方)に傾くように揺動され、係合部70が垂直部55fから斜面部55gの端部に係合されて揺動が停止される。係合アーム57とカム部材55との係合が解除されると、揺動アーム56は、先端部に取り付けた押圧ローラ34の自重と、付勢バネ72の付勢力によって下方に揺動される。揺動アーム56の下方への揺動は、リンクロッド64によって規制されて、揺動アーム56は最下位置P2で停止され、押圧ローラ34によって畝上面18が鎮圧される。この押圧ローラ34が畝上面18に落下して鎮圧するタイミングは、植付け爪20L・20Rが畝中から引き抜かれた直後となるように調整されている。
【0074】
そして、図13に示すように、カム部材55が継続して回動され、係合アーム57の係合部62が切欠部55bの斜面部55gの形状に沿って摺動されて、係合アーム57が徐々に左方(上方)に揺動される。この係合アーム57の揺動操作に連動して、リンクロッド64を介して揺動アーム56が上方に揺動される。係合アーム57の係合部62が斜面部55gから円周部55aに到達するまで、係合アーム57及び揺動アーム56が上方に揺動され、やがて円周部55aに到達すると、係合アーム57は再び位置P4に状態に復帰して静止され、揺動アーム56も最上位置P3まで上昇された状態で静止される。
【0075】
このように押圧装置14は、押圧駆動機構35によって揺動アーム56を上下動させて、押圧ローラ34を畝上面18に落下させる操作を繰り返し行うように構成されている。押圧ローラ34を自重及び付勢バネ72の付勢力によって畝上面18に叩きつけることで、畝上面18を鎮圧して、畝中に穿設された植付け爪20L・20Rによる開口を塞ぎ、また苗の根を活性にすることができる。さらに、押圧ローラ34は、上下方向に間欠的に揺動されるため、植付けられた苗が押圧ローラ34に押し潰されることがなく、作業効率を向上できる。
【0076】
そして、この甘藷挿苗機1における押圧装置14には、以下に説明するように、押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する第一の調整機構46と第二の調整機構47とがそれぞれ構成されているのである。
【0077】
<第一の調整機構46>
図11及び図14に示すように、第一の調整機構46は、カム部材55を、アーム部材54に対して円周方向に回動させて取り付け位置を変更し、押圧ローラ34の下動のタイミングを調整するように構成されている。上述のように、カム部材55とアーム部材54とは、長孔55dを介してアーム部材54の取付孔54bにボルト58を挿通し、ボルト58をナット59にて締結して固定される(図10参照)。長孔55dは、側面視においてアーム部材54に穿設された取付孔54bの回動軌跡上に沿って円弧状にされる。カム部材55は、このナット59を緩めることで、駆動軸53を回動中心としてアーム部材54に対して円周方向に相対回動させることができ、アーム部材54に対する固定位置を相対的に変更して、長孔55dの穿設範囲内の所定位置で位置決めして固定することができるように構成されている。
【0078】
図14(a)乃至図14(c)に示すように、カム部材55の固定位置において、アーム部材54が長孔55dの略中間部で固定される場合を位置P5、長孔55dの両端部の内カム部材55の切欠部55bに遠い側の端部で固定される場合を位置P6、同じく長孔55dの両端部の内カム部材55の切欠部55bに近い側の端部で固定される場合を位置P7とする。そして、アーム部材54に対してカム部材55が位置P5で固定される場合に、植付け爪20L・20Rの上下動に対する押圧ローラ34の上下動のタイミングが略一致するように固定されている。なお、植付け爪20L・20Rの上下動に対する押圧ローラ34の上下動のタイミングが略一致するとは、押圧ローラ34が、植付け爪20L・20Rが畝中へ苗を移植した直後に下動して、畝上面18を叩くように調整されていることをいう。
【0079】
植付け爪20L・20Rに対して押圧ローラ34の下動のタイミングが早くなった場合、すなわち、植付け爪20L・20Rがまだ畝中から十分に引き抜かれていない状態で押圧ローラ34が下方向に揺動される場合には、アーム部材54に対するカム部材55の固定位置を位置P5から位置P6の方向に変更するように、カム部材55を回動させて、押圧ローラ34の上下動のタイミングを調整する(図14(b)参照)。カム部材55の固定位置を位置P5から位置P6に変更させると、カム部材55の固定位置が位置P5にある場合と比べて、係合アーム57の係合部62が切欠部55bに到達するタイミングが遅くなるように変更することができる。押圧駆動機構35において係合アーム57を介して押圧ローラ34の揺動を遅らせて、植付け爪20L・20Rに対する押圧ローラ34の上下動のタイミングを略一致させることができる。
【0080】
一方、植付け爪20L・20Rに対して押圧ローラ34の下動のタイミングが遅くなった場合、すなわち、植付け爪20L・20Rが畝中から引き抜かれた直後ではなく所定時間経過後に押圧ローラ34が下方向に揺動される場合には、アーム部材54に対するカム部材55の固定位置を位置P5から位置P7の方向に変更するように、カム部材55を回動させる(図14(c)参照)。カム部材55の固定位置を位置P5から位置P7に変更させると、カム部材55の固定位置が位置P5にある場合と比べて、係合アーム57の係合部62が切欠部55bに到達するタイミングを早めることができる。そのため、植付け爪20L・20Rに対する押圧ローラ34の上下動のタイミングを略一致させることができる。
【0081】
このように第一の調整機構46を設けることで、植付け爪20L・20Rの上下動と押圧ローラ34の下動のタイミングの調整が容易となり、これらのタイミングを略一致させることができる。そのため、押圧ローラ34による鎮圧のタイミングを適宜早めたり遅くしたりすることで、移植された苗を傷付けることがなく、鎮圧のタイミングが遅れて畝中の苗の根元近傍を鎮圧できず畝中に苗を保持できないことを防ぐことができる。植付け爪20L・20R及び押圧ローラ34の上下動のタイミングがすれる原因としては、移植する苗の種類・大きさや、圃場・畝の状態及び機体本体の移動速度等が異なることによるが、これらの変化に充分に対応することができ、作業性が向上する。
【0082】
また、第一の調整機構46は、押圧装置14に構成される押圧駆動機構35に設けられるため、カム部材55が、押圧ローラ34を上下動させる押圧駆動機構35の構成部材を兼ねるため、これらの調整の精度が高く、部品点数を低減してコンパクトに形成できる。さらに、押圧駆動機構35は、機体左方のハンドルフレーム7に配設された前記カバー体に囲繞され、このカバー体が機体外側に向けて開閉自在とされているため、作業者において機体側方から容易に操作することができる。この第一の調整機構46の操作は、アーム部材54に固定されたカム部材55の固定位置を変更するだけでよく、ボルト58を締めたり弛めたりしてカム部材55を回動させればよいため、迅速かつ的確に操作を行うことができ、圃場での作業性が向上する。
【0083】
<第二の調整機構47>
図11及び図15に示すように、第二の調整機構47は、カム部材55に対して揺動自在に取り付けられた可動片61を設け、カム部材55に対する可動片61の取り付け位置を変更することで、切欠部55bの切欠き形状を変更可能とし、押圧ローラ34の上動のタイミングを調整するように構成されている。可動片61は、カム部材55よりも機体側方であってカム部材55に近接して配設され、カム部材55、アーム部材54及び係合アーム57等とそれぞれ略平行に配設されて、可動片61とアーム部材54はカム部材55に対して左右反対側に配置して回動時に干渉しないようにしている。また、可動片61は、端部に挿通孔61aが穿設され、該挿通孔54aに駆動軸53が挿通されてアーム部材54に対して相対回転可能に遊嵌される。
【0084】
可動片61には、駆動軸53を中心とした円弧状の長孔61bが穿設され、前記長孔55dとは駆動軸53に対して上下反対方向に配置してコンパクトに配置できるようにしている。一方、カム部材55には取付孔55hが穿設され、取付孔55hに長孔61bを介してボルト75が挿通され、ボルト75がナット76で締結される。長孔61bは、取付孔55hにボルト75を挿通可能な位置及び形状に穿設され、すなわち、側面視において取付孔55hの回動軌跡上に沿って円弧状に形成される。このように、可動片61は、ナット76を緩めることで、駆動軸53を回動中心としてカム部材55に対して円周方向に相対回動させて、カム部材55に対する固定位置を相対的に変更することができるように構成されている。なお、可動片61は、長孔61bの穿設範囲内の所定位置で位置決めして固定される。
【0085】
可動片61は、カム部材55の円周部55aと略同じ曲率となるように形成された円周面61cと、切欠部55bにおける斜面部55gを形成する斜面61dとが形成されている。円周面61cは、可動片61がカム部材55に位置決めして固定された状態では、カム部材55の円周部55aと一致するように形成される。そのため、カム部材55に当接する係合アーム57の係合部62は、円周部55a若しくは円周部55aと円周面61cに沿って摺接される。斜面61dは、カム部材55の切欠部55bに凸状に湾曲して突出され、係合部62が斜面61dに沿って摺動される。
【0086】
カム部材55に対する可動片61の固定位置が変更されると、カム部材55の切欠部55bに突出する斜面61dが変更され、切欠部55bの斜面部55gの切欠き形状が変更される。ここで、可動片61の固定位置において、切欠部55bへの斜面61dの突出が最大となる場合、換言すると、切欠部55bの切欠き形状において斜面部55gが大きく凸設される場合を位置P8とする(図15(a)参照)。一方で、斜面61dの突出が最小となる場合、換言すると斜面部55gが緩やかに突出される場合を位置P9とする(図15(b)参照)。
【0087】
可動片61が位置P8にある場合には、係合部62が可動片61の斜面61dに沿って摺動し始めるのと略同時に、係合アーム57が左方向に揺動され始める。そのため、押圧ローラ34は、下方向に揺動されて畝上面18を鎮圧した後、直ちに押圧ローラ34と畝上面18とが離間するように上方向に揺動される。すなわち、かかる場合は、押圧ローラ34が畝上面18へ接地される長さ(時間)が短い。なお、押圧装置14では、揺動アーム56の最下位置P2で、押圧ローラ34の下面が畝上面18より畝中に所定深さL1だけ沈み込むように構成されていることから(図12参照)、押圧ローラ34が畝上面18に接地した状態から上方向に揺動されても、直ちに、押圧ローラ34と畝上面18とが離間しない。
【0088】
一方、可動片61が位置P9にある場合には、係合部62が可動片61の斜面61dに沿って摺動され始めても、斜面61dの凸形状が緩やかなため、係合アーム57は前方(左方向)へ揺動されないか、若しくは揺動されても、可動片61が位置P8にある場合と比べてその大きさ(揺動角度)は小さい。そのため、押圧ローラ34は、畝上面18を鎮圧した後、畝上面18を鎮圧しながらしばらく転動される。すなわち、かかる場合には、押圧ローラ34が畝上面18に接地される長さ(時間)が、上述した場合と比べて長くなるように構成される。
【0089】
以上のように、第二の調整機構47は、切欠部55bの切欠き形状を変更することで、押圧ローラ34が畝上面18に接地する長さを調節して、押圧ローラ34の上動のタイミングを調整するように構成されている。具体的には、可動片61は、長孔61bの穿設範囲内でカム部材55に対して相対回動させ、切欠部55bの切欠き形状を変更して、切欠部55bへの斜面61dの突出が変更される。そのため、押圧ローラ34が畝上面18に接地される長さを変更して、押圧ローラ34による鎮圧作業を容易に調整することができる。特に、畝の状態や苗間の植え付け距離や、苗の種類・大きさ等に応じて押圧ローラ34の上動のタイミングを変更することで、畝への鎮圧効果を向上できる。また、第二の調整機構47を設けても、植付け爪20L・20R及び押圧ローラ34の下動のタイミングは変更されないので、押圧駆動機構35の作業性を損なうことがない。
【0090】
さらに、第二の調整機構47を押圧駆動機構35に設けることで、カム部材55が、押圧ローラ34を上下動させる押圧駆動機構35の構成部材を兼ねるため、これらの調整の精度が高く、部品点数を低減してコンパクトに形成できる。さらに、押圧駆動機構35は、機体左方のハンドルフレーム7に配設された配設されるため、作業者において容易に取り付け・変更等できる。そして、この第二の調整機構47の操作は、カム部材55に固定された可動片61の固定位置を変更するだけでよく、ボルト75を締めたり弛めたりして可動片61を回動させればよいため、迅速かつ的確に操作を行うことができ、圃場での作業性が向上する。
【0091】
なお、上述した第一の調整機構46及び第二の調整機構47を構成するカム部材55等の形状は、これに限定するものではなく、同様の機能を奏する形状や構成を用いることができる。例えば、第一の調整機構46において、カム部材55に穿設される長孔55dの代わりに、複数の孔を穿設し、アーム部材54に対して所定位置で位置決めできるように構成してもよく、孔を穿設する部材や位置等も適宜変更してもよい。また、第二の調整機構47においても、同様に、可動片61に穿設される長孔61bの代わりに、複数の孔を穿設してもよい。
【0092】
以上のように、この甘藷挿苗機1の押圧装置14に、第一の調整機構46と第二の調整機構47が設けることで、苗の植付けを行う際の畝状態や苗の種類等応じて、植付け爪20L・20Rと押圧ローラ34との上下動のタイミングを作業中に微調整することが容易となり、鎮圧効果を向上させて、押圧ローラ34によって苗を傷付けることなく、畝中に苗を充分に保持させることができる。特に、この甘藷挿苗機1には、植付け爪20L・20Rによる苗の植付け姿勢を変更可能に構成した爪往復動機構24が設けられているため、植付け爪20L・20Rの植付け姿勢を変更することによって植付け爪20L・20Rと押圧ローラ34との上下動のタイミングが変動しても、容易に微調整することができる。また、第一の調整機構46と第二の調整機構47は同じカム部材55に対して調整するようにしてコンパクトに配置し、部品点数も少なくするととにも、両者を近接した位置に配置することで、調整する部材を集中して配置して調整が場所が判り易く容易にできるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施例に係る押圧装置を備えた甘藷挿苗機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく図1の甘藷挿苗機の平面図。
【図3】植付け装置の側面図。
【図4】船底植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図。
【図5】船底植え時の爪往復動機構を示す側面図。
【図6】斜め植え時の爪往復動機構を示す側面図。
【図7】斜め植え時の植付け爪の移動経路を示す側面図。
【図8】押圧装置の側面図。
【図9】同じく図8の押圧装置の平面図。
【図10】押圧駆動機構の側面図。
【図11】同じく図10の押圧駆動機構の平面図。
【図12】押圧ローラが畝上面を押圧する状態を示す側面図。
【図13】押圧ローラが上方に揺動される状態を示す側面図。
【図14】第一の調整機構におけるアーム部材とカム部材との取り付け状態を示す側面図。
【図15】第二の調整機構におけるカム部材と可動片との取り付け状態を示す側面図。
【図16】押圧ローラの支持構造の別実施例を示す平面図。
【符号の説明】
【0094】
1 甘藷挿苗機
14 押圧装置
20L・20R 植付け爪
34 押圧ローラ(押圧体)
35 押圧駆動機構
36 リンク機構
46 第一の調整機構(調整手段)
47 第二の調整機構(調整手段)
54 アーム部材
55 カム部材
55a 周面部
57 係合アーム
64 リンクロッド(リンクアーム)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植付け爪の植付け動作に連動して押圧体を上下方向に揺動する押圧駆動機構を設けた移植機の押圧装置であって、前記押圧駆動機構は、一方向に連続的に回転駆動されるアーム部材と、該アーム部材に連結固定され、周面の一部に切欠部が形成されるカム部材と、該カム部材の周面に沿って当接して揺動操作される係合アームと、該係合アームと押圧体とをリンクアームを介して連結させるリンク機構と、前記植付け爪の上下動に対する押圧体の上下動のタイミングを調整する調整手段とを具備することを特徴とする移植機の押圧装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記カム部材を円周方向に回転させて、前記アーム部材との固定位置を相対的に変更することを特徴とする請求項1に記載の移植機の押圧装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記カム部材に対する取り付け位置を変更して切欠部の切欠き形状を変更させる可動片を備えてなり、押圧体が畝上面に接地される長さを調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移植機の押圧装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の移植機の押圧装置は、前記植付け爪による苗の植付け姿勢を変更可能な植付け装置を備えた移植機に配設されることを特徴とする移植機の押圧装置。
【請求項1】
植付け爪の植付け動作に連動して押圧体を上下方向に揺動する押圧駆動機構を設けた移植機の押圧装置であって、前記押圧駆動機構は、一方向に連続的に回転駆動されるアーム部材と、該アーム部材に連結固定され、周面の一部に切欠部が形成されるカム部材と、該カム部材の周面に沿って当接して揺動操作される係合アームと、該係合アームと押圧体とをリンクアームを介して連結させるリンク機構と、前記植付け爪の上下動に対する押圧体の上下動のタイミングを調整する調整手段とを具備することを特徴とする移植機の押圧装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記カム部材を円周方向に回転させて、前記アーム部材との固定位置を相対的に変更することを特徴とする請求項1に記載の移植機の押圧装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記カム部材に対する取り付け位置を変更して切欠部の切欠き形状を変更させる可動片を備えてなり、押圧体が畝上面に接地される長さを調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移植機の押圧装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の移植機の押圧装置は、前記植付け爪による苗の植付け姿勢を変更可能な植付け装置を備えた移植機に配設されることを特徴とする移植機の押圧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−141262(P2006−141262A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334813(P2004−334813)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
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