説明

移植機

【課題】走行機体の左右の傾きを手動で任意の角度に調整することができ且つ旋回時の操作性のよい移植機を提供する。
【解決手段】振子部材で走行機体の傾きを検出して左右の推進機構をローリングシリンダによって互いに逆方向に上下動させることで走行機体が略水平となるように自動調整可能とし、振子部材にロック部材が係合するようにロックレバーを揺動操作した状態で走行機体を上昇させると振子部材に対するロック部材の係合が解除されるようにロックレバーを揺動操作させる自動ロック解除機構を設け、ロック部材により振子部材を走行機体に対して揺動不能とした状態で走行機体を角度操作レバーの手動操作によって左右に任意の角度に傾けることができるように、ローリングシリンダを制御するローリングバルブを操作することのできる手動角度調整機構を設け、角度操作レバーでロックレバーを揺動操作すべく該ロックレバーに角度操作レバーを取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体の左右両側に前後輪を設けて畝を跨いで走行しながら該畝に苗を植え付ける移植機として、走行機体の左右両側に設けた前後輪を左右同時に上下動させることで該走行機体を昇降可能とし、且つ走行機体に左右揺動自在に設けた振子部材によって鉛直方向に対する走行機体の左右の傾きを検出して左右の前後輪を互いに逆方向に上下動させることで走行機体が略水平となるように自動調整(自動水平制御)可能とした歩行型の移植機がある。
【0003】
この移植機にあっては、傾斜地において、傾斜方向に交叉する方向に形成されている畝に苗を植え付ける場合、山側の前後輪が上昇すると共に谷側の前後輪が下降して走行機体が水平となるように自動的に調整(補正)される。
ところで、例えば、傾斜地において、傾斜方向に交叉する方向に畝を作る場合、畝の上面の畝幅方向の中心が、畝の裾野部分の畝幅方向の中心から山側にずれるように畝が形成される。このため、移植機によって畝を跨いで(移植機の左右前後輪間に畝が位置するようにして)該畝に苗を植え付ける場合、移植機の植付体は走行機体の左右方向の中心(左右前後輪間の左右方向の中心)に設けられているので、畝の上面の畝幅方向の中心に苗が植え付けられないという問題が生じる。
【0004】
そこで、このような場合に、走行機体の自動水平制御がきかないようにして、手動で走行機体を任意の角度で左右に傾けることにより、傾斜地において畝の畝幅方向の中心に植付体を位置させて、畝の上面の略中心に苗を植え付けうるようにすることが考えられる。
この走行機体の左右の傾きを手動により任意の角度に調整することができる歩行型の移植機が特許文献1にて開示されている。
【0005】
この移植機は、走行機体に設けられた振子部材に係脱自在に係合することにより該振子部材の左右揺動を規制するロックピンと、このロックピンを操作する角度操作レバーと、この角度操作レバーと前記ロックピンとを連動連結する連動機構とを備えている。
自動水平制御可能な移植機は、油圧シリンダからなるローリングシリンダによって左右の前後輪を互いに逆方向に上下動させる用に構成されていると共に、このローリングシリンダを制御するローリングバルブを備えている。
【0006】
走行機体が左右いずれかに傾くと、振子部材が傾いた方に揺動してローリングバルブのスプールが操作され、これによってローリングシリンダが作動して走行機体の傾きが補正される(走行機体が水平になる)ように左右の前後輪が上下動するようになっている。
また、前記角度操作レバーは上下及び左右に揺動操作自在に支持されており、この角度操作レバーを上方に揺動操作することによりロックピンが振子部材に係合して該振子部材が左右揺動不能にロックされ、角度操作レバーを下方に揺動操作することによりロックピンが振子部材から離反して該振子部材の左右揺動が許容されるよう構成されている。
【0007】
また、角度操作レバーを左右に揺動操作することによりロックピンが左右に揺動操作されるよう構成されている。
この移植機において、走行機体の左右の傾きを手動で任意の角度に操作するには、角度操作レバーを上方に揺動操作してロックピンを振子部材に係合させ、この状態で角度操作レバーを中立位置から左右一方に揺動することにより走行機体が左右一方に傾き、走行機体が所望の角度に傾くと角度操作レバーを中立位置に戻すことにより、傾けた傾斜角度で走行機体が保持されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3936807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
歩行型の移植機にあっては、畝の端まで苗を植え付けた後、隣接する畝に苗を植え付ける場合、枕地で旋回させるが、このとき走行機体を上昇させるとともに走行機体の後方にある操向ハンドルを押し下げて前輪を浮かせ、この状態で旋回させる。
また、前記特許文献1に記載の移植機によって、傾斜地において、手動で走行機体を任意の角度で左右に傾けて畝の略中心に植付体を一致させて植付作業を行う場合、畝の端部側で移植機を旋回させる際においては、山側の前後輪と谷側の前後輪とが逆になるので、水平制御をきかせて走行機体が自動水平制御されるように、ロックピンによる振子部材のロックを解除しなければならない。
【0010】
したがって、特許文献1の移植機において、傾斜地において傾斜方向に交叉する方向に形成されている畝に苗を植え付ける場合であって、手動で走行機体を任意の角度で左右に傾けて畝の略中心に植付体を一致させるようにした場合において、移植機を畝の端部側で旋回させるのに、走行機体を上昇させる操作をすると共に角度操作レバーを下方に揺動操作してロックピンを振子部材から離反させる操作をしなければならない。
【0011】
したがって、前記特許文献1に記載の移植機にあっては、傾斜地での植付作業において、旋回時における振子部材のロック解除操作が面倒であり、旋回時の操作性に問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、走行機体の左右の傾きを手動で任意の角度に調整することができる移植機でありながら、傾斜地での旋回時の操作性のよい移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、走行機体の左右両側に設けた推進機構によって該走行機体を走行可能に支持してなる走行体を備え、この走行体は、左右の推進機構を同時に上下動させることで走行機体が昇降可能とされ且つ走行機体に左右揺動自在に設けた振子部材によって鉛直方向に対する走行機体の左右の傾きを検出して左右の推進機構を互いに逆方向に上下動させることで走行機体が略水平となるように自動調整可能とされており、
左右の推進機構を互いに逆方向に上下動させるローリングシリンダを設けると共に該ローリングシリンダを制御するローリングバルブを設け、
前記振子部材に係脱自在に係合することにより該振子部材を揺動不能にロックするロック部材を設け、
揺動自在に支持されていて揺動操作することにより振子部材に対してロック部材を係脱動作させるロックレバーを設け、
振子部材にロック部材が係合するようにロックレバーを揺動操作した状態で走行機体を上昇させると振子部材に対するロック部材の係合が解除されるようにロックレバーを揺動操作させる自動ロック解除機構を設け、
前記ロック部材により振子部材を走行機体に対して揺動不能とした状態で走行機体9を角度操作レバーの手動操作によって左右に任意の角度に傾けることができるように、ローリングバルブを操作することのできる手動角度調整機構を設け、
前記角度操作レバーでロックレバーを揺動操作すべく該ロックレバーに角度操作レバーを取り付けたことを特徴とする。
【0013】
また、揺動することによりローリングバルブのスプールを操作するスプール操作レバーと、このスプール操作レバーに振子部材の揺動運動をバネ部材を介して伝達する揺動伝動機構と、角度操作レバーの手動操作によってスプール操作レバーを操作すべく該スプール操作レバーに係合する係合部材とを備え、
ロック部材によって振子部材が揺動不能とされている状態で角度操作レバーによって前記スプール操作レバーを操作すると前記バネ部材が弾性変形することによりスプール操作レバーの揺動が許容されるよう構成され、
前記係合部材とスプール操作レバーとの間に、角度操作レバーによって係合部材が操作されないときにおいて振子部材の所定範囲の揺動を許容する揺動許容手段が設けられているのがよい。
【0014】
また、前記係合部材又はスプール操作レバーの一方に一対の接当部を設けると共に、他方に前記一対の接当部の間に位置する被接当部を設けており、角度操作レバーによって係合部材を操作したときに前記接当部と被接当部とが接当することにより角度操作レバーの操作力がスプール操作レバーに伝達されるよう構成され、且つ、前記一対の接当部間の間隔を、振子部材の所定範囲の揺動を許容する間隔に形成するのがよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、振子部材で走行機体の左右の傾きを検出して左右の推進機構を互いに逆方向に上下動させることで走行機体が水平となるように自動調整可能とした移植機において、振子部材をロックし走行機体の水平自動制御をきかさないようにして走行機体を左右に任意の角度に手動で傾けることができ、且つ、走行機体を任意の角度に傾けた状態で畝の端部側において移植機を旋回させるべく走行機体を上昇させると振子部材のロックが自動的に解除されて走行機体が自動で水平制御される状態となる。
【0016】
これによって、傾斜地において振子部材をロックして畝の上面の略中心に苗を植え付けうるように走行機体を左右に任意の角度に傾けることができると共に、畝の端部側の枕地等で旋回する際には、振子部材のロックの解除操作をしなくても走行機体を上昇させるだけで自動で水平制御状態に復帰するので旋回動作をスムーズに行うことができる。
したがって、走行機体の左右の傾き角度を手動で任意に変更することができる移植機でありながら、旋回時における操作性のよい移植機を提供することができる。
【0017】
また、振子部材を揺動不能とした状態で(振子部材を揺動させずに)ローリングバルブを直接操作して走行機体を任意の角度に傾斜させることができるので、走行機体を任意の角度に傾斜させる際の操作性がよい。
また、請求項2に係る発明では、振子部材を揺動操作することなく、ローリングバルブのスプールを直接操作することにより走行機体を左右に任意の角度に手動で傾けることができる機構を容易に構築することができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明では、角度操作レバーによって係合部材が操作されないときにおいて振子部材の所定範囲の揺動を許容する揺動許容手段を、係合部材とスプール操作レバーとの間に容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】移植機の全体側面図である。
【図2】走行機体の平面図である。
【図3】走行機体の側面図である。
【図4】移植装置の一部の側面図である。
【図5】走行機体を自動水平制御する機構の正面概略図である。
【図6】走行機体を自動水平制御する機構の側面概略図である。
【図7】ローリングバルブのスプールを操作する機構の側面概略図である。
【図8】ローリングバルブのスプールを操作する機構の正面概略図である。
【図9】ローリングバルブのスプールを操作する機構の平面概略図である。
【図10】ローリングバルブのスプールを操作する機構の要部の側面断面図である。
【図11】ローリングバルブのスプールを操作する機構の要部の正面断面図である。
【図12】ローリングバルブのスプールを操作する機構の要部の他の正面断面図である。
【図13】昇降レバー、ロックレバー、ロック解除レバー、角度操作レバー等の側面概略図である。
【図14】昇降レバー、ロックレバー、ロック解除レバー、角度操作レバー等の平面概略図である。
【図15】昇降レバー、ロックレバー、ロック解除レバー、角度操作レバー等の背面概略図である。
【図16】振子部材のロック解除時における、昇降レバー、ロックレバー、ロック解除レバー、角度操作レバー等の側面拡大図である。
【図17】振子部材のロック時における、昇降レバー、ロックレバー、ロック解除レバー、角度操作レバー等の側面拡大図である。
【図18】(a)は振子部材のロック解除時における、角度操作レバー等の側面概略図、(b)は振子部材のロックにおける、角度操作レバー等の側面概略図である。
【図19】振子部材をロックする機構の概略図である。
【図20】走行機体を手動で傾き調整する機構の概略図である。
【図21】昇降レバーのガイド部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1は、畝Rの長手方向に移動しながら該畝Rに野菜等の苗2(ソイルブロック苗)を所定間隔をおいて植え付ける歩行型の移植機である。
該移植機1は、畝Rを跨いで該畝Rの長手方向に走行する走行体3と、この走行体3の後方側に設けられた移植装置4と、この移植装置4を支持する支持フレーム5と、走行体3を操向する操向ハンドル7とを備えている。
【0021】
走行体3は、図1〜3に示すように、走行機体9と、この走行機体9を走行可能に支持する推進機構10と、走行機体9に搭載されたエンジン11等を有する。
走行機体9は、ミッションケース12と、このミッションケース12の前部に該ミッションケース12から前方突出状に取付固定された架台13とを備えてなり、エンジン11は架台13上の前部に搭載されている。
【0022】
推進機構10は、本実施形態では、畝間溝Mを回転して動く無限回転体として左右一対の前輪14(車輪、前部無限回転体)と左右一対のクローラベルト15(後部無限回転体)とを有する車輪・クローラ複合型の無限回転推進機構が採用されている。
この推進機構10は、前輪14と該前輪14の後方側に配置されたクローラ式走行装置18とを備え、これら前輪14及びクローラ式走行装置18は走行機体9の左右両側に配置されている。
【0023】
なお、走行体3は走行機体9を左右一対の前後輪で走行可能に支持したもの(クローラ式走行装置18の代わりに後輪を採用したもの)であってもよい。
走行機体9の左右両側には前輪14を支持する前輪支持アーム17が配置され、この左右各前輪支持アーム17は、後方に行くに従って上方に移行する傾斜状に配置され、各前輪支持アーム17の後端側(上端側)には左右方向の軸芯を有する六角筒状の取付具20が設けられ、各前輪支持アーム17の前端側(下端側)には前輪14が左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されている。
【0024】
前記架台13の後部下面側には、左右方向の軸芯を有する筒状の軸サポート22が設けられ、この軸サポート22は走行機体9(ミッションケース12及び架台13)に取付固定されたブラケット21に支持されており、該軸サポート22には、左右方向の軸芯を有する左右一対の前輪支軸23の左右方向内端側が挿入されていて、該軸サポート22に左右の前輪支軸23が左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されている。
【0025】
左右の各前輪支軸23の左右方向外端側は左右方向の軸芯を有する六角筒体によって構成されたアーム取付部24とされ、このアーム取付部24に、左右方向で同じ側にある前輪支持アーム17の取付具20を一体回動自在に外嵌することにより、前輪支持アーム17が軸サポート22に前輪支軸23の軸芯回りに上下揺動自在に支持されている。
前記アーム取付部17に対する取付具20の左右方向に関する位置は位置変更自在とされ、アーム取付部17に対して取付具20を左右方向に関して位置変更することにより、前輪14のトレッドが調整可能とされている。
【0026】
ミッションケース12の左右両側には伝動ケース19が配置され、該左右の各伝動ケース19はミッションケース12の側面から後方に向けて延出状とされて配置されている。各伝動ケース19の前端側(一端側)は、ミッションケース12の側面にケース支持体25を介して左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されていて、該伝動ケース19の後部が上下に揺動可能とされている。この伝動ケース19の後端側(他端側)にクローラ式走行装置18が設けられている。
【0027】
左右の各前輪支軸23には後方側に向けて突出する第1連動ブラケット26が設けられ、左右の各ケース支持体25には前方側に突出する第2連動ブラケット27が設けられており、左右方向で同じ側にある第1・2ブラケット26,27は連動リンク28によって連動連結されている。
また、左右の各ケース支持体25には上方側に延出された第3連動ブラケット29が設けられている。
【0028】
また、走行機体9の架台13の左右両側に形成された前後方向のガイド溝に左右方向の軸芯を有する軸サポート30が前後方向移動可能に支持され、この軸サポート30にはローリング軸31が左右両側から突出するように挿通されていると共に、該ローリング軸31は軸サポート30に左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されている。
ローリング軸31の左右一方には上方側に向けて突出する上レバー32が設けられ、ローリング軸31の左右他方には下方側に向けて突出する下レバー33が設けられており、上下のレバー32,33と、これら上下のレバー32,33と左右方向で同じ側にある第3連動ブラケット29とは連結リンク34で連動連結されている。
【0029】
また、架台13には、昇降シリンダ36とローリングシリンダ37とが設けられ、これら昇降シリンダ36とローリングシリンダ37とは油圧シリンダによって構成されている。
昇降シリンダ36のチューブ36aは架台13に固定され、ピストンロッド36bは後方側に向けて突出されていて軸サポート30に連結されている。
【0030】
また、ローリングシリンダ37のチューブ37aは架台13に前部側の枢支部46を中心として左右軸回りに回動自在に支持され、ピストンロッド37bは後方側に向けて突出されていて、ローリング軸31の左側に下方側に突出するように設けられたアーム39に枢着されている。
前記昇降シリンダ36のピストンロッド36bを進退させると軸サポート30及びローリング軸31が前後に移動し、左右の連結リンク34によって左右の第3連動ブラケット29が押し引きされて左右の伝動ケース19が共に上下に揺動すると共に、左右の第2連動ブラケット27が上下に揺動して左右の連動リンク28を介して左右の第1連動ブラケット26が押し引きされて左右の前輪支持アーム17が共に上下に揺動する(左右の伝動ケース19の上下揺動に連動して左右の前輪支持アーム17が上下揺動する)。
【0031】
これによって、左右の前輪14と左右のクローラ式走行装置18とが、同時に、走行機体9に対して相対的に上下動し且つ前輪14及びクローラベルト15が接地していることから、必然的に走行機体9が接地面に対して昇降するよう構成されている。
また、ローリングシリンダ37のピストンロッド37bを進退させるとローリング軸31が回動して、一方の連結リンク34が一方の第3連動ブラケット29を押動すると共に他方の連結リンク34が他方の第3連動ブラケット29を引動する。
【0032】
これによって、左右一方の前輪14及びクローラ式走行装置18が走行機体9に対して相対的に上昇すると共に、左右他方の前輪14及びクローラ式走行装置18が走行機体9に対して相対的に下降し、走行機体9の左右方向に対する傾きを自動的に修正(自動調整)することができるよう構成されている。
したがって、例えば、走行機体9が右上がりに傾くと、左側の前輪14及びクローラ式走行装置18が下がり、右側の前輪14及びクローラ式走行装置18がが上がるように走行機体9が水平制御される。
【0033】
前記支持フレーム5はミッションケース12の後部上部側に取付固定されていて、ミッションケース12から後方側に向けて延出されると共に後端側で上方側に向けて延出されており、この支持フレーム5の後端側に操向ハンドル7が連結されている。
ミッションケース12の左右の側部にはミッションケース12内の動力伝達機構を介してエンジン11からの動力が伝達される出力軸が設けられ、左右の各伝動ケース19の後端側(他端側)にはクローラ式走行装置18を駆動する駆動軸40が左右方向の軸芯回りに回動自在に支持され、前記出力軸から伝動ケース19内に設けられた動力伝達機構を介して左右各駆動軸40に伝達されて該駆動軸40が回転駆動されるよう構成されている。
【0034】
前記クローラ式走行装置18は、前記駆動軸40によって駆動される上部の駆動輪41(スプロケット)と、駆動輪41の前方側で且つ下方側に配置された前アイドラ42と、駆動輪41の後方側で且つ下方側に配置された後アイドラ43と、これら駆動輪41、前後アイドラ42,43にわたって巻き掛けられた無端帯状の前記クローラベルト15と、前後アイドラ42,43が取り付けられていると共に前記駆動軸40の軸芯X回りに前後に揺動自在な揺動フレーム44とを有する。
【0035】
前記駆動軸40により駆動輪41が回転駆動されることにより該駆動輪41と係合するクローラベルト15が周方向(長手方向)に循環回走(回転)され、クローラ式走行装置18が前進又は後進するよう構成されている。
移植装置4は、苗トレイを載置して支持する苗載せ台46と、この苗載せ台46上の苗トレイから苗2を取り出す苗取出し装置47と、この苗取出し装置47から供給された苗2を畝Rに植え付ける植付体48と、畝Rに植え付けられた苗2の左右両側を鎮圧する鎮圧輪49(覆土輪)と、植付体48の前方側で畝Rの上面を転動する整地ローラ50(検出ローラ)とを備えている。
【0036】
苗トレイは、プラスチック製で薄肉に形成されていて可撓性を有し、縦横に所定ピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部を備えており、各ポット部の開口縁部は平板状の薄肉壁部で相互に接続されている。
この苗トレイには、各ポット部に供給された床土に播種して育苗された苗2(ソイルブロック苗)が育成されている。
【0037】
苗載せ台46は、操向ハンドル7の前方側に位置しており、前方に行くに従って下方に移行する傾斜状に設けられていて苗トレイの底部が載置されて該苗トレイを支持する載置板を有し、支持フレーム5に左右方向移動可能に支持されている。
また、苗載せ台46は横送り機構によって、苗トレイのポット部の横方向の1ピッチ分、間欠的に左右方向に往復横送り可能とされ、また、苗載せ台46には、その左右方向の移動域の左右両側の端部において、苗トレイをポット部の縦方向の1ピッチ分、下方側に縦送りする縦送り機構が備えられている。
【0038】
苗取出し装置47は、ポット部から苗2を取り出す苗取出爪51を備えると共にミッションケース12内の植付動力伝達機構からの動力によって駆動されて苗取出爪51を動作させる運動機構を備え、ポット部内の床土に対して前側から苗取出爪51を進行させて該床土を突き刺すと共に突き刺した後に苗取出爪51を後退させることによりポット部から苗2を取り出し可能としている。
【0039】
また、ポット部から取り出された苗2は、苗受取り位置に位置する植付体48の上方に移送されて植付体48へと放出可能とされている。
植付体48は、上側から苗2が供給できるように上端が開放状とされ、内部に苗2を保持でき且つ該苗2を下方に放出できるように下部が開閉自在とされている。
この植付体48は、図4に示すように、植付フレーム52に支持された昇降機構53によって昇降自在に支持され、植付フレーム52は、前端側がミッションケース12の側面に左右軸回りに回動自在に支持されていて上下揺動自在とされている。
【0040】
ミッションケース12には、植付フレーム52の前端の回動軸芯と同芯状に動力取出軸54が設けられ、この動力取出軸54に前記植付動力伝達機構から動力が伝達されると共に、該動力取出軸54から、植付フレーム52に設けられた伝動ケース55内のチェーン巻掛伝動機構を介して前記昇降機構53に動力が伝達されて該昇降機構53が駆動される。
【0041】
植付体48は上下移動範囲の上死点又はその付近の苗受取り位置において閉じた状態で苗取出し装置47から苗2が供給され、内部に苗2を保持した状態で下降し、上下移動範囲の下死点側で畝Rに突入し且つ開くことにより、畝Rに植え穴を形成する共に該植え穴に苗2を放出する。これにより苗2が畝Rに植え付けられる。
鎮圧輪49は、植付体48の後方側に左右一対設けられていて、畝R上面の苗2の植付け位置の左右両側を転動し、植付体48で形成された植え穴に投入された苗2の左右両側の土を押圧する。
【0042】
また、鎮圧輪49は、植付フレーム52の後部側に支持機構56を介して支持されていて、該鎮圧輪49によって植付フレーム52の後部側を支持しており、鎮圧輪49と植付フレーム52との上下方向に関する距離を変えることにより、植付け深さを変更することができるよう構成されている。
整地ローラ50は、植付体48の前方側の畝R上面を転動し、畝R上面を整地すると共に畝R高さを検出するものである。
【0043】
ミッションケース12の前部下端側には、その前部が支軸57を介して左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されて上下揺動自在とされた揺動アーム58が設けられ、この揺動アーム17の後部側に整地ローラ50が左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されていて、畝R上面に追従して該畝R上面を転動する。
ミッションケース12に対する整地ローラ50の上下方向に関する動きは、揺動アーム58と一体揺動する第1、第2センサアーム59,60によって、ミッションケース12の上面側に設けた昇降バルブ61に伝えられ、この昇降バルブ61によって前記昇降シリンダ36を制御することにより、畝R上面との距離が一定に保たれるように走行機体9が昇降制御され、これによって植付フレーム52が畝R高さに追従して上下動して設定された植付深さで苗2が植え付けられるように構成されている。
【0044】
一方、ミッションケース12に対する鎮圧輪49の上下方向に関する動きは、植付フレーム52から連動機構62を介して昇降バルブ61に伝えられ、鎮圧輪49の動きによっても畝R上面との距離が一定に保たれるように走行機体9を昇降制御できるように構成されているが、整地ローラ50が畝R高さを検知している状態では、鎮圧輪49の動きは昇降バルブ61には伝わらないようになっている。
【0045】
前記構成の移植機1にあっては、畝Rの終端にまで苗2が植え付けられると、圃場の枕地等で旋回し、進行方向を逆向きにして、隣接する畝Rに苗2を植え付ける。圃場の枕地等において旋回する場合、走行機体9を上昇させ、操向ハンドル7を押し下げて前輪14を地面から浮かせ、旋回したい側のクローラ式走行装置18の動力を切ると共にブレーキを効かせて走行させることにより旋回させる。
【0046】
図1、図5〜図12に示すように、前記ローリングシリンダ36はミッションケース12の上方側に配置されたローリングバルブ63によって制御される。
また、ミッションケース12の前方側には、走行機体9が左右に傾いたときに、該走行機体9の傾きを検出する振子部材66が配置され、この振子部材66の動きは揺動伝動機構67を介してローリングバルブ63に伝達されるよう構成されている。
【0047】
ローリングバルブ63は、4ポート3位置切換弁等からなり、ミッションケース12(走行機体9側)に取付固定され、前方に突出したスプール68を備えている。
振子部材66は、走行機体9の左右方向中央部に配置され、振子板69と、この振子板69の下部に取付固定されたウエイト70と、振子板69の上部に固定された筒部71とを有し、該振子部材66は振子支持ブラケット72を介して走行機体9側に支持されている。
【0048】
振子支持ブラケット72は、下部が架台13に取付固定された左右の側壁72aと、該左右側壁72aの上端同士を連結する上壁72bと、左右側壁72a間の上部後端側に固定された支持板73とを有し、支持板73には前後方向の軸芯を有する支軸74が前方突出状に設けられている。
振子部材66は振子支持ブラケット72の左右側壁72a間に配置されていて、筒部71内に設けられたベアリングを介して該筒部71が振子支持ブラケット72上部の支軸74に軸芯廻りに回動自在に支持されている。
【0049】
したがって、振子部材66が走行機体9に対して支軸74の軸芯廻りに左右揺動自在とされており、走行機体9が左右いずれか一方に傾くと、振子部材66が揺動して走行機体9の左右の傾きが検出される。
ローリングバルブ63の前面側にはレバー支持ブラケット76が取付固定され、このレバー支持ブラケット76には、揺動することによりローリングバルブ63のスプール68を操作するスプール操作レバー77が支持されている。
【0050】
レバー支持ブラケット76は、ローリングバルブ63の前面側に取付固定された取付壁76aと、この取付壁76aの左右両端側から前方に延出された左右の支持壁76bとを有する。
レバー支持ブラケット76は、ローリングバルブ63のスプール68の右側方に位置し、右側の支持壁76bは取付壁76aの上端から下端にわたって形成され、左側の支持壁76bは取付壁76aの下部に形成され、スプール68の下方側に位置している。
【0051】
このレバー支持ブラケット76の左右の支持壁76b間には、左右方向の軸芯を有する左右一対の回動筒78,79(回動部材)が配置され、これら回動筒78,79は、レバー支持ブラケット76の左右支持壁76b及び左右回動筒78,79を貫通する枢支軸80によって左右方向の軸芯廻り回動自在に支持されている。
前記枢支軸80は、レバー支持ブラケット76の右側の支持壁76bの右側面に配置された取付プレート81の下部に固定され、前記取付プレート81の上部は前記右側の支持壁76bにボルト・ナットによって取付固定されている。
【0052】
スプール操作レバー77は、前記左側の回動筒78と該回動筒78に固定されたレバー本体82とから構成されていて、レバー支持ブラケット76に前記枢支軸80の軸芯廻りに揺動自在に支持されている。
レバー本体82は、左側回動筒78から上方側に延出していてスプール68の右側に位置する第1アーム83と、この第1アーム83の下部及び左側回動筒78から前斜め上方側に延出した第2アーム84と、スプール68の左側に位置する係合壁85と、この係合壁85と第1アーム83の上端同士を連結する連結壁86とを有し、板材によって一体形成されている。
【0053】
第1アーム83とスプール68と係合壁85とにわたって連結ピン87が左右方向に貫通されており、スプール操作レバー77が枢支軸80の軸芯廻りに揺動すると、スプール68が前後に押し引き操作されるよう構成されている。
第1アーム83及び係合壁85に形成された、連結ピン87挿通用の挿通孔88は上下に長い長孔に形成されている。
【0054】
また、第2アーム84の延出端側には、左右方向の軸芯を有する係合ピン89(被接当部)が左方突出状に設けられている。
揺動伝動機構67は、振子部材66の揺動動作をスプール操作レバー77に伝達するものであって、振子部材66と一体揺動する第1揺動部材91と、前記右側の回動筒79と一体回動して枢支軸80廻りに揺動する第2揺動部材92と、第1揺動部材91の揺動運動を第2揺動部材92に伝達する連動ロッド93と、スプール操作レバー77と一体揺動する第3揺動部材94と、第2揺動部材92の揺動運動を第3揺動部材94に伝達する伝達手段95とを有する。
【0055】
第1揺動部材9157は左右方向に長い板材によって形成され、右端側が振子部材66の筒部71に固着されていて該筒部71から左方に突出している。
連動ロッド93は上下方向に配置されており、上下に球継手96が設けられていると共に長さ調整自在に構成されている。また、この連動ロッド93の下端側の球継手96は第1揺動部材91の突出端側(左端側)に連結されている。
【0056】
第2揺動部材92は、板材によって形成され、右側回動筒79から前方側に突出する揺動アーム部97と、この揺動アーム部97の前後中途部から上方側に延出する延出壁98と、この延出壁98の上端から左方に延出する軸支壁99とを有する。
揺動アーム部97の突出端側には、連動ロッド93の上端側の球継手96が連結されている。
【0057】
第3揺動部材94は、上壁94aと、該上壁94aの下方に位置する下壁94bと、これら上下壁94a,94bの後端同士を連結する背面壁94cとから側面視コ字形に形成されている。
この第3揺動部材94は前記軸支壁99の下方で且つスプール操作レバー77の第1アーム83の右側に配置され、該第1アーム83又は左側回動筒78に固着されている(したがって、第3揺動部材94は、枢支軸80廻りに上下に揺動自在である)。
【0058】
伝達手段95は、上端側が第2揺動部材92の軸支壁99に固着されていて第3揺動部材94の上下壁を貫通する支持ピン100と、この支持ピン100の上下に外嵌されたバネ受け部材101と、上下バネ受け部材101の間に設けられたバネ部材102とを有する。
支持ピン100の下端側には雄ネジ100aが形成され、この雄ネジ部100aには一対のナット103が螺合されている。
【0059】
バネ受け部材101は、支持ピン100に軸芯方向移動自在に外嵌された筒部101aと、この筒部101aの端部から径外方向に延出されたバネ受け部101bとから構成され、上側のバネ受け部材101は第2揺動部材92の軸支壁99の下側に位置し、下側のバネ受け部材101は前記ナットの上側に位置し、上下のバネ受け部材101はバネ受け部101bが対向するように設けられている。
【0060】
バネ部材102は、コイルバネによって形成され、上下のバネ受け部101b間で支持ピン100に套嵌されていて、該上下のバネ受け部101b間に圧縮状に介装されている。
第3揺動部材94の上下壁94a,94bに形成された、支持ピン100挿通用の挿通孔104は、前記バネ受け部材101の筒部101aが挿通可能であり、且つバネ受け部101bが挿通不能であると共に、前後に長い長孔状に形成されている。
【0061】
走行機体9が水平状態の場合は、ローリングバルブ63のスプール68が中立位置に位置している。
走行機体2が左右どちらかに傾くと、振子部材66が傾いた方に揺動し、振子部材66が左右に揺動すると、図5、7に矢示で示すように、第1揺動部材91が上下に揺動して連動ロッド93を介して第2揺動部材92の揺動アーム部97が上下に揺動する。
【0062】
第2揺動部材92の揺動アーム部97が上下に揺動すると伝達手段95を介して第3揺動部材94が枢支軸80廻りに上下に揺動して、スプール操作レバー77が該第3揺動部材94と一体揺動する。これにより、ローリングバルブ63のスプール68が前後方向に押し引きされ、走行機体9を水平に戻すようにローリングシリンダ36が制御される。
前記振子板69には係合穴105が前後方向に貫通形成されている。この係合穴105の下部は左右方向一定幅の長溝105aとされ、上部は上方に行くにしたがって左右方向外方に漸次広がるように形成されている。
【0063】
また、係合穴105の下部前方には左右方向に配置された回動軸106が設けられている。この回動軸106は、振子支持ブラケット72の左右の側壁72aに左右方向の軸芯廻り回動自在に支持されている。
また、回動軸106には、該回動軸106を回動させることによって係合穴105の長溝105aに挿脱自在に挿入されて振子部材66の支軸74廻りの左右揺動を規制する(振子部材66を左右揺動不能にロックする)ロックピン107(ロック部材)が固着されている。
【0064】
したがって、前記ロックピン107によって振子部材66が左右揺動不能にロックされると、走行機体の9自動水平制御がきかない状態となる。
このロックピン107は、路上走行時あるいは手動によって走行機体9の傾きを任意角度に調整をする場合等において、振子部材66の左右揺動を規制するのに使用される。
回動軸106の、振子支持ブラケット72の右側の側壁72aから突出した部分にはクランクハンドル部108が形成され、振子支持ブラケット72の右側の側壁外面には、前記ロックピン107が起立した状態(係合穴105から離脱した状態)で、クランクハンドル部108の下方揺動を規制する受け部材109が設けられている。
【0065】
また、クランクハンドル部108は受け部材109に接当する方向にバネによって付勢されている。
図13〜図18に示すように、操向ハンドル7の右側部には、走行機体9を昇降操作する昇降レバー116と、ロックピン107を操作するためのロックレバー117と、ロックレバー117のロックを解除するためのロック解除レバー118と、走行機体9の傾きを手動で任意角度に調整するための角度操作レバー119とが設けられている。
【0066】
また、操向ハンドル7の右側部には、該操向ハンドル7に固定されたレバーブラケット120に左右方向の軸芯を有する回動支軸121が軸芯廻りに回動自在に支持されている。
この回動支軸121の左側には左右一対の筒状のボス部122,123が同芯状に外嵌されている。左側ボス部122は回動支軸121に相対回動自在に支持され、右側ボス部123は回動支軸121にピンを介して固定されていて該回動支軸121と一体回動する。
【0067】
前記回動支軸121の下方側には左右方向の軸芯を有する支持筒124が配置され、この支持筒124は、前記レバーブラケット120に固定されたステー125に固定されている。
昇降レバー116は、その下端側が前記回動支軸121の右側に取付固定された取付ブラケット126に左右揺動自在に支持され、該回動支軸121の軸芯廻りに前後に揺動操作自在であると共に左右にも揺動操作自在とされている。
【0068】
また、昇降レバー116は操向ハンドル7に設けられたガイド部材127のガイド溝128を挿通しており、該昇降レバー116は、図21に示すガイド溝128内を、植付位置P、下降位置D、固定位置F、第1上昇位置U1及び第2上昇位置U2に移動操作可能に構成されている。
昇降レバー116は、ケーブルや連結杆等を介して前記昇降バルブ61側に連動連結されており、昇降レバー116が固定位置Fに操作されると、昇降バルブ61のスプールを中立位置に切り替える。
【0069】
また、昇降レバー116が上昇側、即ち第1上昇位置U1又は第2上昇位置U2に操作されると、昇降バルブ61のスプールが上昇位置に切り替わる。また、昇降レバー116が下降側、即ち植付位置P又は下降位置Dに操作されると、昇降バルブ61のスプールが、下降、中立、上昇に自由に動ける状態になる。このため、整地ローラ50及び鎮圧輪49の動きが昇降バルブ61に伝わり、これらの動きに応じて昇降バルブ61のスプールが上昇位置、中立位置、下降位置に切り替わる。
【0070】
従って、昇降レバー116を固定位置Fに操作すると、昇降シリンダ36が伸縮動作しなくなり、走行機体9が昇降不能に固定される。また、昇降レバー116を第1上昇位置U1又は第2上昇位置U2に操作すると、昇降バルブ61の制御により昇降シリンダ36が伸長動作して、走行機体9が上昇する。また、昇降レバー116を植付位置P又は下降位置Dに操作すると、昇降バルブ61のスプールがまず下降位置に切り替わり、昇降バルブ61の制御により昇降シリンダ36が縮小動作し、走行機体9が下降して、整地ローラ50及び鎮圧輪49が接地され、その後、昇降バルブ61のスプールが中立位置に切り替わる。
【0071】
また、昇降レバー116を植付位置Pに操作すると、植付クラッチが接続されて、走行機体9の走行に連動して、植付体48が上下動して苗を圃場に植え付ける動作をし、昇降レバー116が植付位置Pから外れると、植付クラッチが切断されて、植付体48は停止したままで植え付け動作をしなくなるように構成されている。
ロックレバー117は左側のボス部122に固着され、回動支軸121の軸芯廻りに廻りに揺動自在に支持され、回動支軸121の軸芯廻りに回動させることにより、図17に示すロック位置と図16に示すロック解除位置とに揺動操作可能とされている。
【0072】
このロックレバー117は、板材によって形成され、板厚方向を左右方向に一致させて配置して左側ボス部122に固着されたレバー本体129と、このレバー本体129から左方に延出された取付壁130とを有する。
取付壁130は板厚方向が回動支軸121の軸芯Yに直交するように設けられている。
図19にも示すように、ロックレバー117のレバー本体129は連動部材131及び操作ケーブル132等を介して回動軸106のクランクハンドル部108に連結されている。
【0073】
連動部材131の後端側はロックレバー117のレバー本体129に枢支連結され、連動部材131の前端側には、引張りコイルバネからなるロックレバー付勢部材133の一端側(後端側)が引っ掛けられ、このロックレバー付勢部材133の他端側(前端側)は、支持フレーム5の後端側に設けられたアウタ受け134に引っ掛けられている。
このロックレバー付勢部材133によって連動部材131が前方側に引っ張られることにより、ロックレバー117がロック解除位置とされている。
【0074】
操作ケーブル132は、ボーデンケーブルによって構成され、該操作ケーブル132のインナケーブル132aの一端側が連動部材131の前端側に連結されている。
操作ケーブル132のインナケーブル132aの他端側は回動軸106のクランクハンドル部108に連結されている。
操作ケーブル132のアウタケーブル132bの一端側は支持フレーム5後端側のアウタ受け134に取付固定され、該アウタケーブル132bの他端側は振子支持ブラケット72に固定されたアウタ受け135に取付固定されている。
【0075】
したがって、ロックレバー117を、図16に示すロック解除位置から図17に示すロック位置に揺動操作すると、図19に矢示で示すように、連動部材131が後方移動して操作ケーブル132のインナケーブル132aが引動操作され、この操作ケーブル132によって回動軸106のクランクハンドル部108が引かれることによりロックピン107が後方に回動して振子板69の係合穴105に挿入し、振子部材66が左右揺動不能にロックされる。
【0076】
一方、ロックレバー117を、ロック位置からロック解除位置に揺動操作すると、連動部材131が前方移動して操作ケーブル132の操作力が解除され、ロックピン107が前方側に回動して振子板69の係合穴105から離脱して、振子部材66の左右揺動が許容される。
また、ロックレバー117にはロック解除レバー118に係合するピンにより構成した係合部136が設けられている。
【0077】
ロック解除レバー118は、前記支持筒124に枢軸137を介して左右方向の軸芯廻りに揺動自在に支持されている。
このロック解除レバー118は、枢軸137から後方側に延出された操作レバー部138と、枢軸から前斜め上方側に延出された係合レバー部139とを備えている。
また、ロック解除レバー118は支持筒124に套嵌された捩りコイルバネからなる解除レバー付勢手段140によって図16の反時計回りに付勢されている。
【0078】
また、ロック解除レバー118は、図16、17に示す位置から解除レバー付勢手段140の付勢力に抗して時計回りに揺動操作可能であり、操作力を解除すると解除レバー付勢手段140の付勢力によって元の位置に戻るよう構成されている。
また、ロック解除レバー118の係合レバー部139には、ロックレバー117をロック位置に保持すべくロックレバー117の係合部136を係止する第1係止部141と、ロックレバー117をロック解除位置に保持すべくロックレバー117の係合部136を係止する第2係止部142とが設けられている。
【0079】
前記ロックレバー117をロック解除位置からロック位置へと揺動操作すると、図16に矢示で示すように、係合部136がロック解除レバー118の係合レバー部139を押圧しながらロックレバー117が揺動し、ロックレバー117がロック位置に位置すると、図17に示すように、ロック解除レバー118が復帰して係合部136が第1係止部141によって係止されてロックレバー118がロック位置に保持される。
【0080】
そして、ロックレバー117がロック位置に位置して係合部136が第1係止部141に係止されている状態で、ロック解除レバー118の操作レバー部138を押し下げる(図17に矢示で示す解除方向に揺動させる)と、ロックレバー117の係合部136が第1係止部141から外れると共に、ロックレバー付勢手段153の付勢によりロックレバー117がロック解除位置に揺動して、ロックレバー117の係合部136がロック解除レバー118の第2係止部142に係合するように構成されている。
【0081】
前記右側ボス部123には連動片143が径外方向に突出状に設けられ、この連動片143の突出端側には連結部材144の一端側が枢支連結されている。
前記連結部材144の他端側には、回動支軸121の軸芯を中心とする円弧状の長孔145が形成され、この長孔145にロック解除レバー118に設けられた係合ピン146が挿入されている。
【0082】
したがって、昇降レバー116が上昇位置側(第1上昇位置U1又は第2上昇位置U2、図17に矢示で示す方向)に揺動操作されたとき、連結部材144が係合ピン146を介してロック解除レバー118を解除方向(ロック解除レバー118の操作レバー部138を押し下げる方向)に揺動させるようになっている。
すなわち、ロックレバー117がロック位置に位置しているときに、昇降レバー116を上昇位置側に揺動操作すると、走行機体9が上昇すると共にこれに連動してロックレバー117が自動的にロック解除位置に揺動し、振子部材のロックが解除されるよう構成されている。
【0083】
前記ロック解除レバー118、連動片143、連結部材144等によって自動ロック解除機構が構成されている。
前記角度操作レバー119は、前記スプール操作レバー77を遠隔操作することにより、手動によって走行機体9の左右の傾きを任意の角度に調整するものである。
また、この角度操作レバー119は前記ロックレバー117の取付壁130に取り付けられており、該角度操作レバー119によってロックレバー117を揺動操作可能としている。
【0084】
取付壁130には、板厚方向の軸芯(回動支軸121の軸芯に直交する方向の軸芯)を有する保持筒147が設けられ、この保持筒147に角度操作レバー119の基部に固着されたレバー取付部材148が軸芯廻りに回動自在に支持されている。
レバー取付部材148は、四角ブロック状のブロック部148aと、このブロック部148aから突出する軸部148bとを有し、前記軸部148bが保持筒147に軸芯廻り回動自在に挿通されている。前記軸部148bの先端側にはネジ部149が設けられ、このネジ部149にナット150を螺合することにより軸部148bが抜け止めされている。
【0085】
ロックレバー117が、図16、図18(a)に示すロック解除位置に位置している状態で、保持筒147の軸芯は前斜め上方を指向しており、ブロック部148aはロックレバー117の取付壁130の前側に位置しており、このブロック部148aの前面側に角度操作レバー119の基部が固着されている。
また、この状態において、角度操作レバー119は、その基部からブロック部148aの下方側を通って取付壁130を横切って該取付壁130の後方側に延出された後、斜め上方に向けて延出され、且つ先端側にグリップ部151が後斜め上方に向けて延出状に設けられている。
【0086】
このロックレバー117がロック解除位置に位置している状態で、角度操作レバー119を図16に矢示で示す方向に押し下げると、ロックレバー117がロック位置に揺動操作される。
また、角度操作レバー119は、レバー取付部材148の軸部148bの軸芯廻りに左右に揺動操作自在とされている。
【0087】
また、前記保持筒147にはバネ掛け部材152のボス部153が同芯状に外嵌されていて、該バネ掛け部材152が保持筒147の軸芯廻りに回動自在に支持されている。
このバネ掛け部材152には引張りコイルバネからなる第1付勢部材154の一端側(右端側)が引っ掛けられ、該第1付勢部材154の他端側(左端側)はロックレバー117の取付壁130の左端側に設けられたバネ掛け部155に引っ掛けられている。
【0088】
また、バネ掛け部材152は、角度操作レバー119が中立位置に位置している状態で該角度操作レバー119に右側から接当していると共に、この状態において、角度操作レバー119が第1付勢部材154の引っ張り方向へ回動しないように取付壁130に接当する当り部156が該角度操作レバー119に設けられている。
前記レバー取付部材148のブロック部148aには、回動軸157が回動支軸121の軸芯と同芯状に貫通されて軸芯廻りに回動自在に支持されている。この回動軸157の左側には、ケーブル連結部158が設けられている。
【0089】
このケーブル連結部158には、ボーデンケーブルから構成された操作ケーブル159のインナケーブル159aの一端側が、回動軸157の軸芯に直交する方向の軸芯廻りに回動自在に枢支連結されている。
この操作ケーブル159のアウタケーブル159bの一端側は、操向ハンドル7に設けられたアウタ受け部材160に取り付けられ、該アウタケーブル159bの他端側は、ローリングバルブ63に固定の前記レバー支持ブラケット76に取付固定されたアウタ受け部材161に取り付けられている。
【0090】
また、操作ケーブル159のインナケーブル159aの他端側は、長方形状の板材からなる係合部材162の長手方向一端側に枢支連結され、この係合部材162の長手方向他端側には引張りコイルバネからなる第2付勢部材163の一端側が引っ掛けられ、この第2付勢部材163の他端側は振子支持ブラケット72の上壁72b上面に固定されたバネ受け部材164に引っ掛けられている。
【0091】
この係合部材162には円形の係合孔165が形成されている。この係合孔165は、操作ケーブル159のインナケーブル159aが枢支連結される部分と、第2付勢部材163が引っ掛けられる部分との間(係合部材162の長手方向中央部)に形成されている。
また、この係合部材162はスプール操作レバー77の第2アーム84の先端側の左側方に位置していて、前記係合孔165にスプール操作レバー77の第2アーム84の先端側の係合ピン89が挿通されている。
【0092】
前記角度操作レバー119、バネ掛け部材152、第1付勢部材154、操作ケーブル159、係合部材162、第2付勢部材163等によって、ロックピン107により振子部材66を走行機体9に対して揺動不能とした状態で走行機体9を前記角度操作レバー119の手動操作によって左右に任意の角度に傾けることができるようにローリングバルブ63を操作することのできる手動角度調整機構が構成されている。
【0093】
この手動角度調整機構にあっては、前記第2付勢部材163の付勢力は第1付勢部材154の付勢力より弱く設定されており、これによって、角度操作レバー119は操作がされない位置(中立位置)においては、図14に示すようにバネ受け部材152に接当した状態で保持され、この状態で、ローリングバルブ63のスプール68が中立位置に位置し且つ係合ピン89は係合孔165の中心に位置している。
【0094】
また、係合孔165は、係合部材162が操作されない状態(角度操作レバー119が中立位置に位置している状態)でスプール操作レバー77が所定範囲揺動しても、スプール操作レバー77の該揺動を許容すべく係合ピン89が係合孔165内を動きうるような大きさに形成されている。
すなわち、振子部材66の左右揺動が自由な状態で、該振子部材66の左右揺動に連動してスプール操作レバー77が揺動しうるようになっている(走行機体9の自動水平制御が可能とされている)。
【0095】
この係合部材162の係合孔165と係合ピン89との関係により、角度操作レバー119によって係合部材162が操作されないときにおいて振子部材66の所定範囲の揺動を許容する揺動許容手段が構成されている。
なお、係合ピン89を係合部材162側に設けると共に係合孔165をスプール操作レバー77の第2アーム84側に設けてもよい。
【0096】
また、前記手動角度調整機構によって、手動によって走行機体9の左右の傾きを任意の角度に調整する場合は、先ず、角度操作レバー119が中立位置に位置している状態で且つロックレバー117がロック解除位置にある状態から角度操作レバー119を押し下げて、ロックピン107を振子部材66の係合穴105に挿入して振子部材66をロックし、走行機体9の自動水平制御をきかさないようにする。
【0097】
この状態で、角度操作レバー119を中立位置から左側(図20の矢示a方向)に揺動させると、回動軸157の連結部158が前方側に揺動して操作ケーブル159のインナケーブル159aの一端側が前方(図20の矢示b方向)に移動し、第2付勢部材163の付勢力によって係合部材162が引っ張られて、該係合部材162が図20の矢示c方向に移動する。
【0098】
すると、係合孔165の上側の縁部166(接当部)が係合ピン89に接当して該係合ピン89を押動することにより、スプール操作レバー77の第2アーム84が下方側に揺動すると共に第1アーム83が前方側に揺動して、ローリングバルブ63のスプール68が前方側に引動される。
このとき、振子部材66がロックされていることにより、揺動伝動機構67の、第1揺動部材91、連動ロッド93、第2揺動部材92は動かないが、第3揺動部材94は、バネ部材102が弾性変形することによりスプール操作レバー77の第2アーム84と一緒に下方に揺動して、スプール操作レバー77の前記揺動を許容する。
【0099】
すなわち、第3揺動部材94がスプール操作レバー77の第2アーム84と一緒に下方揺動すると、第3揺動部材94の上壁94aによって上側のバネ受け部材101が押し下げられてバネ部材102を押圧する。このとき、下側のバネ受け部材101はナット103に接当していて動かないことから、バネ部材102が弾性変形する。これにより、第3揺動部材94の下方揺動が許容されるのである。
【0100】
角度操作レバー119が左方に揺動操作されてローリングバルブ63のスプール68が前方側に引動されると、走行機体9はその左側が下がるように傾斜する。
このとき、角度操作レバー119は、第1付勢部材154の付勢力に抗してバネ掛け部材152を押動しているので、角度操作レバー119の操作力を解除すると(例えば、角度操作レバー119から手を放すと)、第1付勢部材154の付勢力によって角度操作レバー119が中立位置に戻されると共に係合部材162が元の位置に戻ることにより、ローリングバルブ63のスプール68が中立位置に戻って走行機体9が傾斜させた任意の角度で保持される。
【0101】
また、ロックレバー117をロック位置に操作した状態で、角度操作レバー119を中立位置から右側(図20の矢示d方向)に揺動させると、回動軸157の連結部158が後方側に揺動して操作ケーブル159のインナケーブル159aの一端側が後方(図20の矢示e方向)に移動し、このインナケーブル159aによって係合部材162が引っ張られて、該係合部材162が図20の矢示f方向に移動する。
【0102】
すると、係合孔165の下側の縁部167(接当部)が係合ピン89に接当して該係合ピン89を押動することにより、スプール操作レバー77の第2アーム84が上方側に揺動すると共に第1アーム83が後方側に揺動して、ローリングバルブ63のスプール68が後方側に押動される。
このとき、振子部材66がロックされていることにより、揺動伝動機構67の、第1揺動部材91、連動ロッド93、第2揺動部材92は動かないが、第3揺動部材94は、バネ部材102が弾性変形することによりスプール操作レバー77の第2アーム84と一緒に上方に揺動して、スプール操作レバー77の前記揺動を許容する。
【0103】
すなわち、第3揺動部材94がスプール操作レバー77の第2アーム84と一緒に上方揺動すると、第3揺動部材94の下壁94bによって上側のバネ受け部材101が押し上げられてバネ部材102を押圧する。このとき、上側のバネ受け部材101は第3揺動部材92の軸支壁99に接当していて動かないことから、バネ部材102が弾性変形する。これにより、第3揺動部材94の上方揺動が許容されるのである。
【0104】
角度操作レバー119が右方に揺動操作されてローリングバルブ63のスプール68が後方側に押動されると、走行機体9はその右側が下がるように傾斜する。
この状態から、角度操作レバー119の操作力を解除すると、第2付勢部材163の付勢力によって係合部材162が元の位置に戻されると共に角度操作レバー119が中立位置に戻ることにより、ローリングバルブ63のスプール68が中立位置に戻って走行機体9が傾斜させた任意の角度で保持される。
【0105】
傾斜地において、傾斜方向に交叉する方向に畝Rを作る場合、畝Rの上面の畝幅方向の中心が、畝Rの裾野部分の畝幅方向の中心から山側にずれるように畝Rが形成される。このため、移植機1によって畝Rを跨いで(移植機1の左右前後輪間に畝Rが位置するようにして)且つ走行機体9の自動水平制御をきかせた状態で畝Rに苗2を植え付ける場合、移植機1の植付体48は走行機体9の左右方向の中心(左右推進機構10の間の中心)に設けられているので、畝Rの上面の畝幅方向の中心に苗2が植え付けられないという問題が生じる。
【0106】
このような場合に、前述したように、走行機体9の自動水平制御がきかないようにして、手動で走行機体9を任意の角度で左右に傾けることにより、傾斜地において畝Rの畝幅方向の略中心に植付体48を位置させて、畝Rの上面の略中心に苗2が植え付けられるようにすることができる。
また、畝Rの端まで苗2を植え付けた後、隣接する畝Rに苗2を植え付ける場合、移植機1を枕地等で旋回させるが、このとき、傾斜地においては、旋回させると山側の推進機構10と谷側の推進機構10とが逆になるので、走行機体9が自動水平制御されるように、ロックピン107による振子部材66のロックを解除しなければならない。
【0107】
また、歩行型の移植機1にあっては、旋回させる際にあっては、走行機体9を上昇させるとともに操向ハンドル7を押し下げて前輪14を浮かせ、この状態で旋回させるが、前述したように前記移植機1にあっては、走行機体9を上昇させると、自動ロック解除機構によって、ロックピン107による振子部材66のロックが自動的に解除されるので、旋回時において面倒な振子部材66のロック解除が不要であり、旋回動作をスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0108】
3 走行体
9 走行機体
10 推進機構
37 ローリングシリンダ
63 ローリングバルブ
66 振子部材
67 揺動伝動機構
68 スプール
77 スプール操作レバー
89 被接当部
102 バネ部材
107 ロック部材
117 ロックレバー
119 角度操作レバー
162 係合部材
166 接当部
167 接当部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(9)の左右両側に設けた推進機構(10)によって該走行機体(9)を走行可能に支持してなる走行体(3)を備え、この走行体(3)は、左右の推進機構(10)を同時に上下動させることで走行機体(9)が昇降可能とされ且つ走行機体(9)に左右揺動自在に設けた振子部材(66)によって鉛直方向に対する走行機体(9)の左右の傾きを検出して左右の推進機構(10)を互いに逆方向に上下動させることで走行機体(9)が略水平となるように自動調整可能とされており、
左右の推進機構(10)を互いに逆方向に上下動させるローリングシリンダ(37)を設けると共に該ローリングシリンダ(37)を制御するローリングバルブ(63)を設け、
前記振子部材(66)に係脱自在に係合することにより該振子部材(66)を揺動不能にロックするロック部材(107)を設け、
揺動自在に支持されていて揺動操作することにより振子部材(66)に対してロック部材(107)を係脱動作させるロックレバー(117)を設け、
振子部材(66)にロック部材(107)が係合するようにロックレバー(117)を揺動操作した状態で走行機体(9)を上昇させると振子部材(66)に対するロック部材(107)の係合が解除されるようにロックレバー(117)を揺動操作させる自動ロック解除機構を設け、
前記ロック部材(107)により振子部材(66)を走行機体(9)に対して揺動不能とした状態で走行機体(9)を角度操作レバー(119)の手動操作によって左右に任意の角度に傾けることができるように、ローリングバルブ(63)を操作することのできる手動角度調整機構を設け、
前記角度操作レバー(119)でロックレバー(117)を揺動操作すべく該ロックレバー(117)に角度操作レバー(119)を取り付けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
揺動することによりローリングバルブ(63)のスプール(68)を操作するスプール操作レバー(77)と、このスプール操作レバー(77)に振子部材(66)の揺動運動をバネ部材(102)を介して伝達する揺動伝動機構(67)と、角度操作レバー(119)の手動操作によってスプール操作レバー(77)を操作すべく該スプール操作レバー(77)に係合する係合部材(162)とを備え、
ロック部材(107)によって振子部材(66)が揺動不能とされている状態で角度操作レバー(119)によって前記スプール操作レバー(77)を操作すると前記バネ部材(102)が弾性変形することによりスプール操作レバー(77)の揺動が許容されるよう構成され、
前記係合部材(162)とスプール操作レバー(77)との間に、角度操作レバー(119)によって係合部材(162)が操作されないときにおいて振子部材(66)の所定範囲の揺動を許容する揺動許容手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記係合部材(162)又はスプール操作レバー(77)の一方に一対の接当部(166,167)を設けると共に、他方に前記一対の接当部(166,167)の間に位置する被接当部(89)を設けており、角度操作レバー(119)によって係合部材(162)を操作したときに前記接当部(166,167)と被接当部(89)とが接当することにより角度操作レバー(119)の操作力がスプール操作レバー(77)に伝達されるよう構成され、且つ、前記一対の接当部(166,167)間の間隔を、振子部材(66)の所定範囲の揺動を許容する間隔に形成したことを特徴とする請求項2に記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−130739(P2011−130739A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295150(P2009−295150)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】