説明

移植機

【課題】苗搬送台を標準位置から外方位置に姿勢変更させることにより、肥料タンクへの肥料供給作業を行い易くすることができる移植機を提供する。
【解決手段】植付装置を備えた走行機体2の前部側方に配設される肥料タンク12の上方で、予備苗を後方に搬送供給する苗搬送台7を設けた移植機1であって、前記苗搬送台7を、支持フレーム19の肥料タンク12の上方で前後方向に位置する標準位置と、肥料タンク12の上方から退避させた外方位置に姿勢変更自在に構成すると共に、苗搬送台7に、肥料供給口の後部に設けた回動支点14aを中心に上下回動するタンク蓋14を起立姿勢に接当保持するストッパ42を設けるにあたり、該ストッパ42は苗搬送台7の上記姿勢変更に伴い、前記苗搬送台7の標準位置ではタンク蓋14よりも機体内方に位置し、外方位置ではタンク蓋14の開動軌跡内に位置するように設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の前部側方に設置される肥料タンクの上方で、予備苗を前方から後方に搬送供給する苗搬送台を備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植付装置を後部に備えた走行機体の前部側方に肥料タンクを配設し、該肥料タンクの上方に走行機体の前部側方に立設した支持フレームに支持されて、予備苗を機体前方から後方に向けて供給する苗搬送台(搬送装置)を設けた移植機は既に公知である(例えば特許文献1。)。
上記移植機の苗搬送台は、後支持杆を支点に前方を上方に回動させて肥料供給姿勢に姿勢変更した状態で、肥料タンクへの肥料供給作業を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―153423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される移植機は、苗搬送台を肥料供給姿勢に姿勢変更したとき、肥料タンクの上方に広いスペースを形成することができ、ここからペースト肥料を収容したバケツ等による肥料供給作業を行い易くすることができる。
然しながら、苗搬送台は後方に向けて大きく傾斜された姿勢になるため、予備苗を載置したままで姿勢変更をすると予備苗が後方にずれ落ちるので、肥料供給を行う際には苗搬送台上の予備苗を無くした状態で姿勢変更をしなければならず、肥料供給作業が煩雑になる等の欠点がある。
また上記のように苗搬送台の前部を高く変更させた肥料供給姿勢において、肥料タンクの前方から肥料供給を行おうとするとき、苗搬送台は作業者の頭部に接触するため、肥料の供給作業は肥料タンクの側方に限定される等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は係る課題を解決するために、植付装置6を備えた走行機体2の前部側方に肥料タンク12を配設し、該肥料タンク12の上方に、走行機体2から立設した支持フレーム19に支持されて予備苗を機体前方から後方に向けて搬送供給する苗搬送台7を設けた移植機1において、前記苗搬送台7を、支持フレーム19の回動支点部25を介して肥料タンク12の上方で前後方向に位置する標準位置と、肥料タンク12の上方から退避させた外方位置に姿勢変更自在に構成すると共に、苗搬送台7に、肥料供給口の後部に設けた回動支点14aを中心に上下回動するタンク蓋14を起立姿勢に接当保持するストッパ42を設けるにあたり、該ストッパ42は苗搬送台7の上記姿勢変更に伴い、前記苗搬送台7の標準位置ではタンク蓋14よりも機体内方に位置し、外方位置ではタンク蓋14の開動軌跡内に位置するように設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、苗搬送台を、肥料タンクの上方で前後方向に位置する標準位置と、肥料タンクの上方から退避させた外方位置に姿勢変更自在にすると共に、苗搬送台に、タンク蓋を起立姿勢に接当保持するストッパを設けるにあたり、該ストッパは苗搬送台の上記姿勢変更に伴い、前記苗搬送台の標準位置ではタンク蓋よりも機体内方に位置し、外方位置ではタンク蓋の開動軌跡内に位置するように設けたことにより、苗搬送台の標準位置から外方位置への姿勢変更に伴い、ストッパがタンク蓋の機体内方位置からタンク蓋の回動軌跡内に自動的に移動して、ストッパにタンク蓋を接当させて起立姿勢に保持し肥料供給口を開けることができるので、肥料タンクの前方に広いスペースを形成し肥料の供給作業を行い易くすることができる。
またタンク蓋は肥料供給口の後方に大きく倒れることなくストッパによって起立姿勢に保持されるので、タンク蓋を閉める際に手を後方に大きく伸ばす等の無理な姿勢をとることなく、タンク蓋を起立姿勢から手前に引き倒すだけの簡単な動作によって蓋閉め操作を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る移植機の側面図。
【図2】図1の平面図である。
【図3】移植機の左側の苗搬送台を外方位置に姿勢変更した状態を示す平面図である。
【図4】左側の苗搬送台及び肥料タンクの構成を示す正面図である。
【図5】苗搬送台の支持構造を示す斜視図である。
【図6】左側の苗搬送台を外方位置に姿勢変更した状態を示す正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において符号1は移植機(乗用田植機)であって、前輪1aと後輪1bを左右に有する走行機体2の前側にエンジンを搭載してボンネット3で覆い、後方にハンドル4a及び座席4b等からなる操縦部4を設置し、機体後部に構成される3点リンク方式の昇降機構5に植付装置6を装着している。この移植機1は、苗箱やスクレーパ等の苗トレーに収容されたマット苗(予備苗)を畔から機体後部に補給するための予備苗載台(以下苗搬送台と言う)7を、肥料タンク9の上方に設置している。また肥料タンク12はボンネット3の左右に設置されており、内部に収容されるペースト肥料を肥料ポンプを介して施肥ノズル8から圃場に供給(施肥)する。
【0009】
図示例の植付装置6は、8条分の予備苗を左右並列状に載置する苗載台10を前高後低状に傾斜させて設けており、該苗載台10の下端部において植付爪11によって1株毎の苗の掻取りを行った苗を圃場に植付けることができる。
そして、上記苗載台10に対して畔側から行う予備苗の補給は、走行機体2を畔に横付けすることなく機体前部を畔に向けて接近させた状態で、機体前部から機体後部に亘って伸展姿勢で設置される苗搬送台7の前端部に、予備苗を載置する動作によって行うことができる。
【0010】
肥料タンク9は、走行機体2の前部左右に突設されるタンク支持フレーム13に底部側を載せて支持されており、フラットな天井面の前部寄りに形成される肥料供給口を覆うタンク蓋14を、該肥料供給口の後部に設けた回動支点14aを中心に上下回動自在に設けている。これにより図7で示すようにタンク蓋14は、前方から後方に向けて略180度の開動軌跡を描いて肥料供給口を開けることができる。
またタンク蓋14は、肥料供給口の前部側で肥料タンク12側のフック片に蓋側の係合リングを係脱自在に係止する蓋閉部14bによって開閉自在に閉じることができる。
【0011】
次に、図1〜図7を参照し苗搬送台7について説明をする。この苗搬送台7は、梯子状に枠組みされたコンベアフレーム15に、複数の搬送ローラ16を搬送方向に並設したローラコンベア方式としている。そして、苗搬送台7は走行機体2の前部左右の外側寄りに設けるに当たり、前方を高くし後方がやや低くなるように後傾斜状に配設される。
これにより苗搬送台7は、例えば補助作業者が畦側から数箱分の予備苗を載置供給することができ、該予備苗をローラ16上を転がり移動させ後端に到達させて予備苗を搬送することができる。
【0012】
図示例の苗搬送台7は、前後に等しい大きさに3分割して形成されており、前後に配設される前側コンベア7aと後側コンベア7bとを、中側コンベア7cに対してそれぞれヒンジ部7dを介して上方側に折畳み回動自在に接続している。そして、苗載台10は、走行機体2から肥料タンク12の内側で上方に向けて立設される下向きU字状のパイプ材からなる支持フレーム19に、中側コンベア7cを後述する構成よって支持している。
これにより苗搬送台7は、図示する苗を供給する搬送姿勢から、後側コンベア7bをヒンジ部7dを支点に折畳み、次いで前側コンベア7aを折畳むことにより、両者を中側コンベア7cの上に重ねた格納姿勢に切換えることができる。
【0013】
即ち、図5で示すように走行機体2から立設される前記支持フレーム19の機体外側には、略コ字状をなすフレームブラケット20がハンドル4aの側方位置に固設されている。このフレームブラケット20には、上板20aと下板20bとの間に支点パイプ21を縦向きに固設している。支点パイプ21には、中側コンベア7cが取付けられる苗搬送台ステー22の後端部に形成された軸部をベアリングを介し回転自在に差し込み、留具23によって抜止めしている。
【0014】
そして、これらフレームブラケット20、支点パイプ21及び苗搬送台ステー22の軸部によって苗搬送台7の回動支点(回動中心)Rを形成する回動支点部25を構成し、苗搬送台7は軸部の中心を回動支点Rとして機体左右方向に回動自在に支持フレーム19(走行機体2)に支持されている。言い換えれば、回動支点部25は、苗搬送台ステー22を支持フレーム19に回動自在に支持することによって、苗搬送台7の回動支点Rを形成している。
【0015】
また、上記フレームブラケット20の上板20aには回動支点Rを中心に同芯状に湾曲した長孔26が穿設されていると共に、苗搬送台ステー22の後端部に溶接されたステーブラケット27に、上記長孔26に嵌挿される案内ピン29が取付けられ、この案内ピン29が長孔26の両端に当接することによって、苗搬送台7の回動範囲が規制されている。
【0016】
更に、フレームブラケット20の上板20aには、長孔26の他に少なくとも3個のロック孔30が回動支点Rを中心とする円周上に穿孔されており、ロックピン31が各ロック孔30 に嵌挿されることにより、苗搬送台7は図2,図5で示す標準位置から、図3の左側苗載台10を外側回動させた実線で示す外方位置と、図3の右側苗載台10を内側回動させて点線で示す内方位置との各位置に、姿勢変更自在に位置決めできるように構成されている。
上記ロックピン31は、その中途部に一体に取付けられた座板31aをステーブラケット27側に縮設されるコイルスプリング32によってロック孔30側に常に付勢されていると共に、座板31aには1対のプレート部材33が対設されている。
【0017】
上記プレート部材33は、機体外方端がステーブラケット27のブラケット片27aと苗搬送台ステー22に設けられた耳部22aとにより回動自在に支承された操作レバー35に取付けられており、該操作レバー35を中心として上下に回動してロックピン31をロック孔 30に抜き差しできるようにしている。これにより苗搬送台7を上記標準位置及び外方位置並びに内方位置に位置決めすることができるように、位置決め部36を構成している。尚、操作レバー35は、その前後端に下向きに屈曲させた畦側レバー35aと操縦部側レバー35bとを形成しており、機体前部側及び操縦部4側とから操作することができる。
【0018】
また上記支持フレーム19、苗搬送台ステー22、回動支点部25及び位置決め部36等により、苗搬送台7を走行機体2に取付ける苗搬送台取付部37が構成され、苗搬送台7は上述した位置決め部36が肥料タンク12の後部上方に配置されることにより、苗搬送台7は回動支点部25を中心に機体左右方向に回動自在に走行機体2に取付けられる。
上記苗搬送台ステー22は、中側コンベア7cのコンベアフレーム15に設けた前後のステー部15aの内側端に固設し、上記コンベアフレーム15の内側寄りに平行状をなし、走行機体2と肥料タンク12との間で上方に位置して延設されている。また苗搬送台ステー22は、前端を下向きに屈曲した把手22aを形成している。
【0019】
そして、苗搬送台取付部37は回動支点部25の前方において、苗搬送台ステー22の前部側とステーブラケット27とを接続する補強用のステーフレーム39と、支持フレーム19の前部寄りにストッパ支持機構40を構成することにより、苗搬送台7の標準位置における自重を、ストッパ支持機構40と回動支点部25とで安定よく分担して支持するようにしている。またストッパ支持機構40は苗搬送台7側の構成部材をして、該苗搬送台7が外方位置に移動した回動姿勢(肥料供給姿勢)において、前記肥料タンク12のタンク蓋14を起立姿勢に保持させるストッパ部材となるようにしている。
【0020】
即ち、図5で示すようにストッパ支持機構40は、ステーフレーム39に突設した下向きの取付片41に、前後方向の取付軸を介して枢支したローラ状のストッパ42と、支持フレーム19から外向きに突設した取付片43に着脱自在に取付けられるストッパ支持片45とによって構成している。そして、正面視においてストッパ支持片45は上辺を上向きの半円弧状となし、その中央部に前記ストッパ42を係合させて苗搬送台7を標準位置に位置決めする凹溝状の位置決め部45aを形成している。
【0021】
これによりストッパ支持片45は、位置決め部45aにストッパ42を係合させた状態で、肥料タンク12の上方で前後方向に位置する標準位置にある苗搬送台7の前部側重量を安定よく分担支持することができ、また操作レバー35を操作し位置決め部36のロックピン31をロック孔 30から抜き、且つ苗搬送台ステー22を把手22aを回動方向に操作する動作によって、ストッパ42を位置決め部45aから離脱させて苗搬送台7を外方に向け回動移動させ、外方位置にスムーズに姿勢変更することができる。
【0022】
このとき図3で示すように、苗搬送台7は肥料タンク12の上方から退避させた外方位置において、ボンネット3と苗搬送台7との間に広いスペースを形成し肥料タンク12の前部及びその上方を開放することができる。また上記姿勢変更に伴い、自動的に苗搬送台7に設けたストッパ42を、肥料供給口の後部に設けた回動支点14aを中心に上下回動するタンク蓋14の開動軌跡上で肥料供給口の後部に臨ませることができる。
これにより作業者又は補助作業者は、苗搬送台7が存在しない広いスペースが形成された、肥料タンク12の前側に接近して立つことができ、無理な姿勢をとることなく蓋閉部14bを解除操作しタンク蓋14を開けることができ、また肥料供給口後部の回動支点14aを中心に後方上方に回動させる動作によって、タンク蓋14をストッパ42に接当させて肥料供給口を開けた起立姿勢に保持することができる。
【0023】
また苗搬送台7は下部に突設したストッパ支持機構40のストッパ42を、該苗搬送台7の標準位置において支持フレーム19の前部側で係脱自在に支持させる支持部材とし、且つ外方位置に姿勢変更したとき肥料タンク12のタンク蓋14を起立姿勢に接当保持させるストッパ部材となし、且標準位置への姿勢変更に伴い肥料タンク12の上方から自動的に退避させるので、肥料タンク12側に特別なストッパ部材を要することなく、蓋支持構造を簡単な構成にすることができる等の特徴がある。
尚、ストッパ支持機構40は、例えばストッパ42のタンク蓋14と接当する部分に、エンジン回転を低速又は停止させるように検知作動する接当センサを設けることもでき、この場合には肥料供給作業時において誤操作に伴う機体の急発進を防止することができる。
【0024】
次に以上のように構成した移植機1の作業及び肥料供給作業等について説明する。先ず作業者は、苗載台10及び苗搬送台7に予備苗を充填載置すると共に、肥料タンク12に肥料を満タンにした状態において作業を開始する。これにより移植機1は、植付爪11によって1株毎の苗の掻取りを圃場に植付けると共に、同時に肥料タンク12に貯留されたペースト肥料を施肥ノズル8から移植苗に対し施肥をする。次いで、作業に伴い苗載台10に載置された予備苗が少なくなると、各苗搬送台7に載せてある予備苗を順次苗載台10に供給することによって連続した移植作業を行う。
【0025】
そして、苗載台10上の苗もなくなる頃合を見はかり、苗補給のために畦に対して走行機体2をつける。このとき、 整地された矩形圃場の場合、作業者は畦際のトラックに対して垂直に走行機体2を停止させる。また補助者は伸展状態で標準位置の苗搬送台7の前端部から予備苗を供給することができる。これにより苗搬送台7に供給された予備苗は、傾斜に沿って搬送ローラ16上を機体後方側に自走し苗搬送台7の後端部まで搬送されて、作業者によって苗載台10に充填載置される。
【0026】
一方、補助者が三角圃場(変形圃場)の頂点部にいる場合や、畦側のトラックに対して走行機体2がずれて停車していた場合、補助者が畦側レバー35aを介して操作レバー35を時計周りに回動させロックピン31をロック孔30から抜くと共に、苗搬送台7の内側縁に対して走行機体側にオフセットしている苗搬送台ステー22の把持部22aを掴んで、苗搬送台7を標準位置(図2)から、図3の実線で示す外方位置並びに図3の点線で示す内方位置とを選択して回動することができ、適正姿勢変更後に操作レバー35の復帰操作によって回動位置を固定することができる。
【0027】
従って、移植機1は圃場の形状或いは走行機体2の停止位置の状況に応じ、畦側から予備苗の補給が行い易い適応した苗搬送台7の苗補給姿勢を選択することができ、左右の苗搬送台7に苗補給作業を能率よく簡単に行うことができ、植付作業を速やかに再開することができる。
【0028】
次いで、図3の実線で示す苗搬送台7の外方位置において、苗補給作業に合わせて肥料を補給する場合には、ストッパ支持機構40のストッパ42がタンク蓋14の開動軌跡上に自動的に臨んでいるため、作業者又は補助作業者は肥料タンク12の前方からタンク蓋14を開けると、該タンク蓋14は背後のストッパ42に接当して後方に倒れることなく支持される。これにより肥料タンク12は、タンク蓋14が図7の点線で示すやや後傾斜状の起立姿勢に保持されて、肥料供給口を肥料供給可能に開けることができる。
【0029】
従って、苗搬送台7とボンネット3の間に広く形成された開放スペースから、作業者は肥料袋又は肥料を入れたバケツを持って肥料タンク12の前方に接近して立ち、無理な姿勢をとることなく肥料補給を速やか且つ確実に行うことができる。
また肥料補給後にタンク蓋14を閉めるとき、該タンク蓋14は起立姿勢にあるため、手を後方に大きく伸ばして蓋閉めするような無理な姿勢をとることなく、例えばバケツ等を持ったまま他方の手で、タンク蓋14を手前に引き倒すだけの簡単な動作によって、蓋閉め操作を速やかに行うことができる。
【0030】
そして、移植機1は苗搬送台7が標準位置にあるとき肥料補給を行う場合には、前記ストッパ42はタンク蓋14よりも機体内方に位置し、従来のものと同様に苗搬送台7の伸展姿勢又は折畳姿勢において、肥料タンク12の側方からタンク蓋14を開くと、該タンク蓋14は図7の点線で示すように後方に向け略180度回動し肥料供給口を開けることができ、肥料タンク12の上方を広く解放してタンク蓋14に邪魔されることなく、肥料タンク12の側方から肥料補給を行うことができる。
【0031】
また苗搬送台7が上記の標準位置にあるとき肥料補給作業を前方から行いたい場合には、前記したと同様に操作レバー35の固定解除操作と苗搬送台ステー22による外方回動操作とを行い苗搬送台7を外方位置に固定すると、肥料タンク12の前方及び上方を広く開放することができる。また苗搬送台7は回動支点部25を中心に平面的に外方位置に回動させるので、予備苗が載置された状態であっても予備苗を滑落させたりすることなく、外方位置にスムーズに姿勢変更することができる。
従って、苗搬送台7は予備苗を載置したまま外方位置に姿勢変更することができるので、肥料補給作業を作業が行い易い肥料タンク12の前方から随時楽な姿勢で能率よく行うことができる等の特徴がある。
【0032】
また苗搬送台7は回動支点部25を支持フレーム19の後方側に設ける簡単な構成によって、苗搬送台7の後端部に比して畦側の前端部を大きく回動させることができ、補助者等が苗を供給する畦側の回動範囲を大きくすることができると共に、苗搬送台7を外方位置に姿勢変更して行う肥料補給作業時に、肥料タンク12の前方により広いスペースを形成して肥料補給を行い易くすることができる。
また苗搬送台7を標準位置において、支持フレーム19の前部側で係脱自在に支持させるように苗搬送台7の下部に突設したストッパ42を、苗搬送台7を外方位置にしたとき、肥料タンク12のタンク蓋14を起立姿勢で保持させるので、簡単な構成によって肥料タンク12の前方から行う肥料供給作業を行い易くすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 移植機(乗用田植機)
2 走行機体
6 植付装置
7 苗搬送台
12 肥料タンク
14 タンク蓋
19 支持フレーム
25 回動支点部
37 苗搬送台取付部
40 ストッパ支持機構
42 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植付装置(6)を備えた走行機体(2)の前部側方に肥料タンク(12)を配設し、該肥料タンク(12)の上方に、走行機体(2)から立設した支持フレーム(19)に支持されて予備苗を機体前方から後方に向けて搬送供給する苗搬送台(7)を設けた移植機(1)において、前記苗搬送台(7)を、支持フレーム(19)の回動支点部(25)を介して肥料タンク(12)の上方で前後方向に位置する標準位置と、肥料タンク(12)の上方から退避させた外方位置に姿勢変更自在に構成すると共に、苗搬送台(7)に、肥料供給口の後部に設けた回動支点(14a)を中心に上下回動するタンク蓋(14)を起立姿勢に接当保持するストッパ(42)を設けるにあたり、該ストッパ(42)は苗搬送台(7)の上記姿勢変更に伴い、前記苗搬送台(7)の標準位置ではタンク蓋(14)よりも機体内方に位置し、外方位置ではタンク蓋(14)の開動軌跡内に位置するように設けたことを特徴とする移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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