説明

種々の固定手段を備えた可動式パレット

海上輸送貨物コンテナ内で用いられるパレット(10)であって、コンテナに転がって出入りできるようにする車輪またはローラ(20)のような移動手段と、コンテナ内でパレットを固定する種々の固定手段とが設けられたシャーシ(19)を有する。第1の固定手段(30)は、前縁(14)に旋回自在に取り付けられ、シャーシから外に向かって回転でき、コンテナの側壁と噛み合う装置である。後縁(14)上の第2の固定手段(40)は、回し出されてコンテナの側壁と噛み合うことのできるねじ部材を有する。第3の固定部材(50)は、コンテナの1つまたはそれ以上の後部ドアと接触する伸長性の部材(51)を有する。これらの固定手段あるいは機構は、パレットを海運コンテナ内の安全な固定位置に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上輸送貨物コンテナに関し、特に、そのようなコンテナの中で用いられるパレット、およびパレットを海上輸送貨物コンテナ内の固定位置に保持する固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
海上輸送貨物で輸送される貨物が、ハンドリングを容易にするためにパレット上に積載されることはよく知られている。
【0003】
近代においては、そのようなコンテナに転がって出入りするパレットが発達している。しかしながら、そのようなパレットの可動性は、コンテナが輸送のために動かされるとき、または、特に、コンテナが海上で船の上にあるときに、コンテナ内でのその移動に関して傷害の原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
明らかに、船上のコンテナは著しく動きやすく、積み降ろしされ輸送されているコンテナもそうである。したがって、コンテナの中にあり、コンテナに対して特定の位置にしっかりと固定されていない、パレットのような装置は動くであろう。これは、言い換えると、パレット上で輸送される貨物の損傷、極端な場合はコンテナ自身の損傷に結びつく問題の原因となる。
【0005】
本発明の目的は、海上輸送貨物コンテナの中で用いられる可動式パレット用の固定手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、海上輸送貨物コンテナとともに使用されるパレットであって、コンテナに転がって出し入れされることができる移動手段と、コンテナ内でパレットを固定する固定手段と、が設けられたシャーシを有するパレットである。
【0007】
移動手段は、複数のローラであることが好ましいが、車輪や他の適切な手段を用いることもできる。パレットは、同じサイズのパレットが互いに重ねられるように、全てのローラの位置を覆って開口部が設けられた、シャーシ上に位置する上面を有することがより好ましい。
【0008】
固定手段は、シャーシの様々な位置での機能に適した複数の固定手段からなることも好ましい。
【0009】
第1の固定手段は、パレットの、コンテナに進入するときの前縁の両側に位置している。この機構は、パレットがコンテナに出入りするときにコンテナの側壁に概ね平行になるように、シャーシ上の軸部材回りに旋回自在に取り付けられた装置である。パレットの前縁がコンテナの内部の後壁に近づくと、その装置はシャーシから外に向かって回転し、コンテナの側壁と噛み合うことができる。旋回自在に取り付けられた装置は、ローラ装置であることが好ましい。しかしながら、任意の適切なマウントを用いたり、その装置のための任意の噛み合い手段も考えられる。
【0010】
第2の固定手段は、シャーシの後縁と関連付けられる。この固定手段は、パレットの後縁の両側上の本体部材からなり、本体部材は、回し出されてコンテナの側壁と噛み合うねじ部材を収容している。本体にねじ込まれる固定ナットが設けられ、それによって、この機構の解除を防止することが好ましい。
【0011】
第3の固定手段は、パレットのシャーシの後縁の概ね中央に位置している。この固定手段は、コンテナの1つ以上の後部ドアを備える近接した接触部へ移動することができる伸長性のある部材であり、ラチェットおよび爪装置によってそこに保持されるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明をより容易に理解するために、限定されない例として図面を参照して本発明の特定の実施形態を述べる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では(図1に示すように)、車輪またはローラ20の形態の移動手段と、パレットをコンテナの内部に対して固定した関係に保持する固定手段とを有する、海上輸送貨物のコンテナ用のパレット10が提供される。
【0014】
パレットは、シャーシ19上に位置した上面11を有し、その上面には、同じサイズのパレットを互いに重ねることができるように、各ローラの位置を覆って開口部12が設けられている。
【0015】
固定手段は、シャーシ上の様々な位置で働くのに適した複数の固定手段からなることも好ましい。
【0016】
第1の固定機構30(図2)は、パレットがコンテナに進入するときのパレットの前縁14の両側に位置している。この機構30は、パレットのシャーシ上に取り付けられた軸部材31の回りで旋回自在に取り付けられた装置である。
【0017】
本発明の実施形態では、パレットの前縁14および後縁16は、溝形状の押出し成形品からなり、軸部材31は、向き合っている溝の面の間でパレットの前縁の隅部近傍に取り付けられている。
【0018】
固定部材30は、31に旋回自在に連結され、かつ、ローラ33が回りを回転できる部材34によって隔てられた2つの平行な面32からなっている。装置30は、パレットがコンテナに出し入れされるときにコンテナの側壁15にほぼ平行であるような配置となっている。パレットの前縁がコンテナの内部の後壁に近づくと、装置30は、シャーシから外向きに回転し、コンテナの側壁に噛み合うことができる。
【0019】
旋回自在に取り付けられた装置はローラ装置であることが好ましい。しかしながら、いかなる適切なマウントを用いること、あるいは装置のためのいかなる噛み合い手段も考えられる。
【0020】
第2の固定手段40は、パレットのシャーシの後縁16と関連している。この固定手段40は、パレットの後部の両側で後縁の溝の内側に溶接された本体部材41からなり、その本体部材は、端43がコンテナの側壁と噛み合うように回し出すことができるねじ部材42を収容している。
【0021】
端43が噛み合ったとき、耳45付きの固定ねじ44が本体部材41に締め付けられ、それによってこの機構の解除が防止されることが好ましい。
【0022】
第3の固定手段50は、パレットのシャーシの後縁16の溝内の概ね中央に位置している。この固定手段は、コンテナの1つまたはそれ以上の後部ドアを備える近接した接触部へ移動することができる、伸長性の部材51を有している。
【0023】
部材51は、支持部材58を介して回転できるロッド52に溶接されている。部材51は、それぞれ爪55,56と噛み合う2連ラチェット53,54の間でこれらに近接して位置している。これらの爪の歯は互いにずれており、部材51が後縁16から外に向かって回転したときに、その微調整を提供する。
【0024】
固定部材50は、パレットの後縁をコンテナの後部ドアに確実に噛み合せるのに用いられる。実際には、1つのコンテナドアが閉じられ、部材51が回転してそのドアに接触し、その後、残りのドアが閉じられる。ラチェット爪機構は、ドアが再び開かれると容易に解除できる。
【0025】
固定部材30は、パレットの前縁の隅部をコンテナの内部に自動的に位置付けるように作動する。しかし、この位置は絶対的な固定機構ではなく、解除は、パレットがコンテナから引き出されたときに自動的に行われる。この装置の利点は、解除するためにコンテナ内に入る必要がないことである。
【0026】
固定部材30を全てのパレットに用いること、および固定部材40および50の一方または両方を、パレットをコンテナ内の所定の位置に確実に位置させるために用いることが好ましい。特に、固定部材50は、1つまたはそれ以上のパレットが1つのコンテナ内に積み込まれたときに、残った空間を塞ぐために用いることができる。
【0027】
自明の強度に関する一般的な要求がない限り、これら固定機構の部品の構造用に如何なる適切な材料を用いることもできる。本発明の好ましい実施形態では、おそらくこれらは、通常、高強度の金属製品から作られるが、ローラの材料は、必要であれば緩衝性を有するものとすることができる。
【0028】
したがって、本発明は、海上輸送貨物コンテナの外で荷積みおよび荷降ろしされ、次いで、フォークリフトなどによって、そのようなコンテナの中および外に転がされることができるパレットを提供する。パレットと関連して用いられる固定機構は、種々の製品を航行中に損傷のおそれなくパレット上で安全に輸送できることを意味する。パレットの積み込みも、荷の積み降ろしを海上輸送貨物コンテナの外で行うことができるという点で、極めて安全にすることができる。
【0029】
ここでは本発明の1つの特定の実施形態を説明したが、上述した特徴や用いる材料について本発明の範囲内で変更や改良がさらにあってもよいということが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のパレットの概略図である。
【図2】パレットの前縁の固定手段の一例の斜視図である。
【図3】パレットの後縁での横固定機構の一例の斜視図である。
【図4】パレットの後縁をコンテナのドアを備えた近接した接触部に位置させる手段の一例の説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上輸送貨物のコンテナに用いられるパレットであって、前記コンテナに転がって出入りするのを可能にする移動手段と、前記コンテナ内で固定する固定手段と、が設けられたシャーシを有するパレット。
【請求項2】
前記移動手段は、前記シャーシに取り付けられた少なくとも1つのローラである、請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記パレットが前記コンテナに入るときに前記パレットの前縁の両側に位置した第1の固定手段を有し、前記固定手段は、前記パレットが前記コンテナに出入りするときは前記コンテナの側壁に概ね平行であるが、一度、前記コンテナの内部の後壁に接触すると前記シャーシから外に向かって回転し前記コンテナの側壁に噛み合うように、前記シャーシ上の軸部材の回りで旋回可能に取り付けられた第1の固定装置である、請求項1に記載のパレット。
【請求項4】
前記第1の固定装置は、前記軸部材の一端に隣接して旋回可能に連結され、かつ、コンテナ壁噛み合い部材で隔てられた2つの平行な面を含んでいる、請求項3に記載のパレット。
【請求項5】
前記コンテナ壁噛み合い部材は、前記平行な面間の、ローラ部材が回りを回転する軸部材である、請求項4に記載のパレット。
【請求項6】
前記パレットの後縁の隅部の近傍に、コンテナの側面に噛み合う第2の固定装置が設けられている、請求項1、3、4、および5のいずれか1項に記載のパレット。
【請求項7】
前記第2の固定装置は、前記パレットの後縁に溶接された、外側の端が前記コンテナの側壁と噛み合うように回し出されるねじ部材を収容している本体部材含んでいる、請求項6に記載のパレット。
【請求項8】
前記ねじ部材は、前記ねじ部材に取り付けられた固定ナットによって、コンテナ壁との強固な噛み合い状態に保たれる、請求項7に記載のパレット。
【請求項9】
第3の固定装置が、前記パレットのシャーシの後縁の概ね中央に位置しており、該第3の固定装置は、前記コンテナの1つまたはそれ以上の後部ドアを備える近接した接触部へ移動することができる伸長性の部材を有している、請求項1、および3から8のいずれか1項に記載のパレット。
【請求項10】
前記伸張性の部材は水平なロッドに連結されており、該ロッドは、前記パレットの後縁に位置している支持部材の間で回転することができ、前記ロッドは、前記伸長性の部材が固定されて回転して前記パレットの後縁から出て、少なくとも1つのコンテナドアに接触することができるように、爪との噛み合いに適合した少なくとも1つのラチェット部材を有する、請求項9に記載のパレット。
【請求項11】
ずれた2連ラチェットが前記ロッドに設けられており、該ラチェットは、対応する爪とともに、前記伸長性の部材の両端近傍にある、請求項10に記載のパレット。
【請求項12】
実質的に添付の図面を参照してここで説明したとおりのパレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−506290(P2006−506290A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570244(P2004−570244)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001355
【国際公開番号】WO2004/045988
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(505182823)
【氏名又は名称原語表記】BAKER, Maurice
【Fターム(参考)】