説明

種子生産性が安定化された高妊性ラパノブラシカ新品種植物

本発明は、種子生産性が安定化された高妊性ラパノブラシカ新品種植物の育種方法に係り、突然変異誘発物質NMUを0.01μg/L処理してラパノブラシカ種子を突然変異処理して種まきして採種してまた種まき後室内で人工交配して種子生産性を確認して続いてAFLPプライマー(primer)を利用して品種の均一性を確認することを特徴とするラパノブラシカ新品種植物の育種方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラパノブラシカ(Raphanobrassica)植物の種子生産性が改善されたラパノブラシカ(Raphanobrassica)新品種植物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者はハクサイとダイコン間の属間雑種植物である"ラパノブラシカ(属名:xBrassicoraphanus, genome:aarr, 2n = 38)"を育成してこれを特許取得したことがある(特許文献1、発明の名称:新種ラパノブラシカ変種植物及びその育種方法、登録日:2005年5月23日)。その後、本発明者が確認したことによれば、この植物は芽野菜、幼野菜、安さ野菜、若大根野菜、キムチ野菜及び健康補助食品の原料、材料などで広く利用されるが、遠縁間雑種が共通的に持つ二つの種類問題点が完全に解決されなかったことを知ることになった。
【0003】
一番目、種子生産性が低いことである。この植物がたとえ農業経営上利益が創出されるほどの種子が生産されるが(400〜600L/ha)、一つの莢に10個余りの種子が生ずることができるにも1〜3個程度だけ実を結んで残りは中間に退化して種子数量が少ないことである。二番目、形質が継続的に分離して均一性が比較的低いという事実である。農業的に実用上支障ないほどの均一性はあるが世代が度重なっても引き続き特性が少しずつ分離するので採種栽培の時に形質が違う個体をよく間引いてくれなければならない問題点が確認された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許第0492518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明は、植物学的に既存の植物らと一緒に莢内のすべての種子が退化なしで熟して適当な育種的方法で1代雑種品種の親で利用できるほどの均一性が保障される新系統を育成してこれを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、突然変異処理する段階と;採種段階と;人工交配して種子生産性を確認する段階と;AFLPプライマー(primer)を利用して均一性を確認する段階を介して達成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ラパノブラシカの莢内のすべての種子が退化なしで熟して種子生 産性が向上して品種形質が分離することがなしで均一性を維持する優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ラパノブラシカ露地採種された系統別莢内の種子状態を見せた写真である。
【図2】図2は、ラパノブラシカ新品種植物園芸特性調査のための栽培写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実験材料及び方法
新系統のラパノブラシカ新品種植物の育種方法で小胞子突然変異法を用いようにした。本発明者などによって開発された小胞子培養では胚発生率が培養皿当たり0.9個しかならないので(洪と李、1995)突然変異誘導手段で適合しない状態だ。したがってもう少し胚発生量が多い培養法を確立することと同時に突然変異剤NMUを0.01μg/Lで処理する試験を遂行した。多くの試験中胚がたくさん出るある一つの試験で由来した胚を植物に誘導して後代を採種した。その結果従来のラパノブラシカより室内人工交配で採種量が多い個体があった(農林部課題(ARPC)、"新野菜作物ラパノブラシカの主要形質改善及び安さ野菜で年中生産研究"の最終報告書(2006)、31-38ページの表15-23参照)。
【0010】
前記試験研究結果に鼓舞されて2007年から集中的な研究を遂行した結果、先に2007年度に採種量が多かった4個体の後代をまた室内人工交配で種子生産能力を確認して秋には圃場に栽培して均一性を調査した。そしてまた2008年度には露地畑にこれら系統を栽培して自然状態での種子能力を確認した。そしてその系統らの均一性を肉眼検定だけでは不足だと考えてAFLPで比較した。AFLPはプライマー(primer)を-AAC/M-CAA〜CGGまで9個を用いした。
均一性及び種子生産性確認評価
種子生産能力を確認するための室内交配試験でやはり突然変異剤が処理された系統は前年度と同じように種子がたくさん収穫された(表1)。
【0011】
【表1】

【0012】
これらを秋に栽培した結果均一性が既存系統よりはるかに良かった。したがって翌年には既存系統2個と新系統4個を同じ露地畑に栽培して自然状態で同じ条件で種子生産能力を比較した(表2及び図1参照)。
【0013】
【表2】

【0014】
従来系統BB1号とBB4号は、全体生産量を10a当たりで換算した時約60L程度で過去の試験結果ととても似ていた。ところで突然変異剤が処理された4系統、BB11号、BB12号、BB13号、BB14号は、100L以上でたくさん生産された。特にBB12号は160L以上でダイコンやハクサイの固定種と似た量だった。このような結果は、莢内の種子が大部分退化しないで熟するからなのを図1の写真で確認することができた。BB1号とBB4号は、大部分の種子が茶色で退化しているのにBB12号は、退化する種子がほとんどなくて大部分がまだ緑色を浮かんでいる。このように種子生産性は、遠縁間雑種であるのに完全に既存植物と同じように改良された。すなわち遠縁間雑種が持つ一つの問題点が完全に解決されたことである。
【0015】
二番目問題点である低い均一性に対し対して気づかわざるを得なかったが実際に二度にかけた圃場栽培で既存系統より飛び切り高い均一性を見せた。すなわち外観上で見る時ダイコンやハクサイなどの1代雑種とほとんど似た水準の均一性を現わした。このような結果をもう少しはっきりと証明しようとAFLP技術を適用した。一系統のすべての公示個体をAFLPで電気泳動した時、もし彼らが皆等しい遺伝子を持ったら彼らは全部同じバンドを現わすだろう。そして一遺伝子だけでも他の個体があればその個体は他の個体らとは他のバンド、すなわち多形成バンドを現わすだろう。このような理論によりAFLPを遂行してみたことなのに予想したことと同じように均一性が最も低いと考えられたBB4号は多形成バンド率が5.4%でその中最も高く現れた。
【0016】
【表3】

【0017】
ところで既存保有系統中均一性が最も良いと考えられたBB1号は4.5%でやはり低く現れた。そして突然変異剤処理後得られた系統中種子生産性が画期的に改善された系統たちは4.0%から4.9%にすべて5.0%以下で現れた。品種の均一性を現わす基準でこのAFLP技術を利用しようとする研究がいくつかの所であったが均一性が最も高いという1代雑種とその雑種の両親までも多形成バンド率が材料と試験時期により違うが概して5%までは現れる場合が多いという。したがってBB1号をはじめとするBB11号、BB12号、BB13号、BB14号は、外観上で現れたこと(図2参照)と同一に均一性が改良されたことを分かる。すなわち二番目問題点である低い均一性も完全に解決されたのだ。
【0018】
ここで変異剤が処理されて突然変異されたことと考えられる4個の系統がどのように変異第1世代(M1)ですべての形質が固定されて均一なことがあるのかする疑問がおこることができる。これはSwansonなど(1989)が油菜の小胞子培養の時突然変異剤を処理して除草剤抵抗性固定系統を育成できたという報告により試験した結果である。すなわち小胞子を培養する培養液に突然変異誘発剤を混合して処理することによって半数体の小胞子ないしは小胞子由来半数性細胞の分裂期に突然変異が生じてそれが胚で育って植物に分化する過程に2倍数体になるからであることだ。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上説明したところのように、本発明は、ハクサイとダイコンの遠縁間雑種植物ラパノブラシカが小胞子突然変異という育種法で種子生産性が安定化されて高妊性の新系統を改良した優れた効果があり今後同じ育種法でラパノブラシカのまた他の新系統変種植物を育種できる優れた効果があるので園芸植物育種産業上非常に流用した発明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
突然変異誘発物質NMUを0.01μg/L処理してラパノブラシカ種子を突然変異処理する段階と;種まきの後採種する段階と;室内人工交配で種子生産を確認する段階と;AFLPプライマー(primer)を利用して品種の均一性を確認する段階を結合したことが特徴の種子生産性が安定化された高妊性ラパノブラシカ新品種植物の育種方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−523832(P2012−523832A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505803(P2012−505803)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001568
【国際公開番号】WO2010/150968
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(511251906)バイオブリーディング カンパニー, リミテッド (1)
【Fターム(参考)】