説明

種間雑種ニューギニアインパチェンスおよびその育種方法

【課題】 生育力が強く、低温耐性と高温耐性を保持し、優れた開花習性と開花持続性を有するニューギニアインパチェンスを提供する。
【解決手段】 Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親として交配することにより得られる、ニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育力が強く、低温耐性と高温耐性を保持し、優れた開花習性と開花持続性を有するニューギニアインパチェンスおよびその育種方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューギニアインパチェンスは、米国農務省(USDA)とロング・ウッド・ガーデン(Long Wood Garden)の合同探検隊により、ニューギニアの標高1200〜2000mの高地で採取した多くの原種が素材となり、多くの園芸種が育成されている。これらの原種の中には、既知のリネアリフォリア(Impatiens linearifolia)、シュレクテリー(Impatiens shclecteri)、ヘルゾギー(Impatiens herzogii)のほか、スンダ列島など熱帯アジアの島にも分布するハウケリー(Impatiens hawkeri)や種名不明の新発見種も含まれていた。非特許文献1によると、これらの原種の染色体数は標高2700mの高地で採取された種名不明の1種が2n=64のほかは、いずれも2n=32であり、種間交雑が可能であった。また、ジャワ島の原種として、プラティペタラ(Impatiens platypetala Lindl)、スラウェシュ原産の亜種としてオーランティアカ(Impatiens platypetala aurantiaca)が発見されている。非特許文献3によると、Impatiens Hawkeri(2n=32)は、Impatiens platypetala(2n=16)とImpatiens aurantiaca(2n=8)との種間交雑が可能である。その後代はたいていの場合不稔であるが、コルヒチン処理による倍化を行うことにより、稔性を持たせることが可能で、ニューギニアインパチェンスの栽培種の改良に用いられている。しかし、本発明のように、低温耐性と高温耐性を併せ持ち、かつ生育力が極めて強く、高日照条件や低日照条件下でも開花習性、開花持続性の良い栽培種の報告はない。また、種間雑種同士の交雑を用いたニューギニアインパチェンスの育成方法の報告はされていない。
【0003】
特許文献13では、Impatiens hawkeriとImpatiens flaccidaの種間交雑が報告されている。これは、乾燥耐性を目的とした改良であり、地這い性であるため、本発明のニューギニアインパチェンスの草姿と異なり、高温または低温における耐性については明らかにされていない。
【0004】
通常、ニューギニアインパチェンスの成育適温は、昼間気温25℃、夜間気温15℃〜18℃で、最低気温10℃である(非特許文献2)。従来のニューギニアインパチェンスは、高温に弱く、夏の太陽光下では生育や開花が阻害されるために、屋外で栽培する時には半日陰で栽培するのが一般的であるが、高温に弱く日陰でも咲きにくい。一方、平均最低気温が12℃未満の低温環境下でも咲きにくい。また、光の少ない室内でも咲きにくい。
【0005】
低温に耐えるニューギニアインパチェンスとしては、昼間気温10℃かつ夜間気温5℃の環境で耐えうるものが、例えば、特許文献1〜3に報告されている。また、夜間気温約5℃〜10℃で開花が続くニューギニアインパチェンスが、例えば、特許文献4〜6に報告されている。しかし、これらの特許文献には高温耐性の改善および開花習性、開花持続性については報告されていない。
【0006】
夏の高温、太陽光下、および夜の低温(5℃〜10℃)で開花するため、栽培期間が長くなるニューギニアインパチェンスとしては、例えば、特許文献7〜9に報告されている。しかしこれらの特許文献には地温の温度については具体的に記載されているが、具体的な気温を示して改善の結果を報告しているものはない。
【0007】
例えば、特許文献10では、32℃〜38℃の夏の高温に耐性を有し、かつ約5℃〜10℃の夜の低温に対し耐性を有するニューギニアインパチェンスが報告されている。しかし、その開花持続性、開花習性および生育力については報告されていない。
【0008】
例えば、特許文献11〜12では、32〜38℃の夏の高温に耐性を有し、かつ5〜10℃の夜間の低温に対し抵抗性および開花持続性を有するニューギニアインパチェンスが報告されている。しかし、その生育力については報告されていない。
【0009】
【特許文献1】米国植物特許第14833 P2号明細書
【特許文献2】米国植物特許第14864 P2号明細書
【特許文献3】米国植物特許第14812 P2号明細書
【特許文献4】米国植物特許第12695 P2号明細書
【特許文献5】米国植物特許第12694 P2号明細書
【特許文献6】米国植物特許第12653 P2号明細書
【特許文献7】米国植物特許第12545 P2号明細書
【特許文献8】米国植物特許第12346 P2号明細書
【特許文献9】米国植物特許第12345 P2号明細書
【特許文献10】米国植物特許第 15005号明細書
【特許文献11】米国植物特許第13042 P2号明細書
【特許文献12】米国植物特許第13043 P2 号明細書
【特許文献13】米国特許公開公報 US 2002/0138883A1
【非特許文献1】T.Arisumi, J.hered,64:77-79(1973)
【非特許文献2】花卉園芸の辞典 朝倉書店1986年10月26日初版発行
【非特許文献3】New Guinea Impatiens, A Ball Guide, edited by W. Banner and M. Klopmeyer, Ball Publishing(1995) P.15
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、生育力が強く、低温耐性と高温耐性を保持し、優れた開花習性と開花持続性を有するニューギニアインパチェンスおよびその育種方法に関する。
【0011】
本発明において生育力とは、根の生育力が旺盛で生育速度が速いため高温、低温および低日照条件においても、開花習性および開花持続性に優れることを意味する。開花習性は、開花持続性の上位概念で(温度条件や日照条件などの環境条件に関わらず)、花がよく咲くことを意味し、開花持続性は次々に花が咲き続けることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala、Impatiens platypetala aurantiaca、種名未同定種(染色体数2n=28)を組み合わせて交配を行うことにより、優れた特性を有するニューギニアインパチェンスが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親として交配することにより得られる、ニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【0014】
(2)Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種を雌親として交配することにより得られる、ニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【0015】
(3)Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親とし、Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られる四倍体を雄親として交配することにより得られる種間雑種である、(2)記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【0016】
(4)Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens platypetalaの二倍体を雌親としImpatiens hawkeriの二倍体を雄親として交配して得られる不稔性種間雑種を、染色体倍加処理することにより得られる四倍体の稔性種間雑種である、(1)〜(3)のいずれかに記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【0017】
(5)Impatiens hawkeriを雌親とし、種名未同定のニューギニアインパチェンス種(染色体数2n=28)を雄親として交配することにより得られる、ニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【0018】
(6)Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られるImpatiens hawkeriの四倍体を雌親とする、(5)記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【0019】
(7)平均最高気温30℃〜35℃かつ平均最低気温20℃〜25℃の条件下で生育可能である、ニューギニアインパチェンスまたはその一部。
【0020】
(8)平均最低気温8℃〜15℃の条件下で開花する、(7)記載のニューギニアインパチェンスまたはその一部。
(9)80000Lux〜750Luxの光で開花する、(7)または(8)記載のニューギニアインパチェンスまたはその一部。
【0021】
(10)(1)〜(9)のいずれか一つに記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代またはその一部からクローン成長させることにより得られる、ニューギニアインパチェンスまたはその一部。
(11)(1)〜(10)のいずれか一つに記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代またはその一部から得られるニューギニアインパチェンスを増殖する方法。
【0022】
(12)Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaの種間雑種を雌親として交配することを含む、ニューギニアインパチェンスの育種方法。
【0023】
(13)Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種を雌親として交配することを含む、ニューギニアインパチェンスの育種方法。
【0024】
(14)Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親とし、Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られる四倍体を雄親として交配することにより得られる種間雑種である、(13)記載の育種方法。
【0025】
(15)Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens platypetalaの二倍体を雌親としImpatiens hawkeriの二倍体を雄親として交配して得られる不稔性種間雑種を、染色体倍加処理して得られる四倍体の稔性種間雑種である、(12)〜(14)のいずれか一つに記載の育種方法。
【0026】
(16)Impatiens hawkeriを雌親とし、種名未同定のニューギニアインパチェンス種(染色体数2n=28)を雄親として交配することを含む、ニューギニアインパチェンスの育種方法。
【0027】
(17)Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られるImpatiens hawkeriの四倍体を雌親とする、(16)記載の育種方法。
ここで温度とは、人工的な環境(温室、部屋など)における大気の温度をさし、気温については屋外等の自然条件における大気の温度のことをさす。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、生育力が強く、低温耐性と高温耐性を保持し、優れた開花習性と開花持続性を有するニューギニアインパチェンスおよびその育種方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
ニューギニアインパチェンスは、英名がNew Guinea Impatiensであり、学名がImpatiens New Guinea Hybridsである。
【0030】
通常、ニューギニアインパチェンスの草丈は、50〜60 cm、茎は赤く多肉であるが、太くしっかりしており、よく分岐する。葉は対生または輪生し長楕円形で鋸歯があり、葉脈の主脈にそって黄、赤などの班が入り、美しいものがある。茎頂に近い葉脈から花梗を伸ばし1花つける。花は4〜7.5 cmの大輪で、花色は白、桃、サーモン、ローズ、ラベンダー、赤、紫紅、橙赤と多彩である。花弁は5枚、顎片は3片、側片は小さく後ろの1片は大きく袋状となり5〜6 cm伸びて距となる。
【0031】
本発明のニューギニアインパチェンスは、以下の方法により育種できる。
育種方法I
育種方法Iでは、Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親として交配することにより、本発明のニューギニアインパチェンスを得る。図1に育種方法Iの好適な実施形態の概要を示す。
【0032】
育種方法Iにおける本発明ニューギニアインパチェンスの両親の育成方法:
雌親:
このImpatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaの種間雑種は、以下のような特徴を有する:
草姿はやや大柄なマウンドタイプである。花は5 cmで一重のオレンジ色(The Royal Horticulural Society Color Chart:R.H.S 30B)。花は完全に開花した時には平らな形状で芳香は無い。最低温度12℃に保った温室では1年中咲き、屋外においては霜の降りない温度以上であれば春から秋まで咲き続けられる開花持続性を持つ。距は5 cm、花梗は6 cm。
【0033】
(選抜方法)種を200穴セルトレイに播種し、播種後30日での子葉の生育状態で生育が緩慢なものを取り除くことによって選抜を加える。
【0034】
また、播種後45日で10.5 cm ポット(620 ml)に鉢上げをし、その後の生育状態・草姿・葉色・花色・花弁の質・開花持続性によって選抜を加える。生育状態は生育力が旺盛であるもの、草姿についてはドーム状にまとまったもの、花色については色が鮮やかであるもの、花弁の質は厚いもの、開花持続性については30℃〜33℃の高温条件においても咲き続けるものを選ぶ。
【0035】
なお、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaの種間雑種種子は、受領番号FERM AP-20430で、2005年3月2日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受領されている。
雄親:
雄親であるImpatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種としては、Impatiens platypetalaの二倍体を雌親としImpatiens hawkeriの二倍体を雄親として交配して得られる不稔性種間雑種を、染色体倍加処理することにより得られる四倍体の稔性種間雑種を用いるのが好ましい。
【0036】
ここでImpatiens platypetalaとしては、以下のような特徴を有する:
草姿は枝の付きが粗く立ち上がったエレクトタイプである。花は3 cmで一重のラベンダー色(R.H.S 75A)。花は完全に開花した時には平らな形状で芳香は無い。根の生育力が強く、従来のニューギニアインパチェンス(Impatiens hawkeri)より生育力と開花持続性に優れ、12℃〜30℃に保った温室では咲き、屋外においては最高平均気温18℃〜28℃、最低平均気温が13℃〜20℃の条件であれば咲き続ける。1花あたり5枚の花弁で構成される。距は3 cm、花梗は4 cm。特に生育力の旺盛なものを選抜するのが好ましい。
【0037】
なお、Impatiens platypetalaの種子は、受領番号FERM AP-20431で、2005年3月2日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受領されている。
【0038】
Impatiens hawkeriの二倍体は、好ましくは以下のような特徴を有するものを用いる。
草姿はドーム状にまとまったコンパクトタイプである。花は6.5 cmで一重の様々な色がある(赤、オレンジ、ピンク、ラベンダー、パープル、白)。花は完全に開花した時には平らな形状で芳香は無い。12℃〜30℃に保った温室では1年中咲き、屋外においては最高平均気温20℃〜25℃、最低平均気温が15℃〜20℃の条件であれば咲き続ける。距は5 cm、花梗は4 cm。
【0039】
このようなImpatiens hawkeriの二倍体は、例えば、株式会社サカタのタネ、三郷試験場(長野県南安曇郡三郷村小倉6412)の栽培種として入手できる。また、PanAmerican Seed Co. (アメリカ合衆国)からJava(商標)として販売されている。
【0040】
なお、Impatiens hawkeriの種子は、受領番号FERM AP-20432で、2005年3月2日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受領されている。
【0041】
染色体倍加処理は、当技術分野で通常用いられる方法により実施でき、特に制限されないが、例えば、Arisumiら(Arisumi T., 1973, J. Am. Soc. Hortic. Sci., 98:599-601)の方法に従ってコルヒチンで処理することにより実施できる。尚、本発明では、種間雑種の稔性回復や種間交雑を行うのに、染色体倍化処理を用いているが、染色体倍化方法はこれに限定されるものではない。
【0042】
得られるImpatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種は、以下のような特徴を有する:
草姿はやや大柄なマウンドタイプである。花は6 cmで一重のマジェンタ、ラベンダー、パープル色(R.H.S 44B、75A、77B)。花は完全に開花した時には平らな形状で芳香は無い。12℃〜30℃に保った温室では咲き、屋外においては最高平均気温18℃〜28℃、最低平均気温が13℃〜20℃の条件であれば咲き続ける。距は5 cm、花梗は6 cm。生育力が非常に旺盛である。好ましくは、この種間雑種の優良系統から種を採り、生育が旺盛で、あるていどドーム状にまとまった草姿に関して選抜を加える。
【0043】
(選抜方法)種を200穴セルトレイに播種し、播種後30日での子葉の生育状態で生育が緩慢なものを取り除くことによって選抜を加える。また、播種後45日で10.5 cmポット(体積620 ml)に鉢上げをし、その後の生育状態・草姿・葉色・花色・花弁の質・開花持続性によって選抜を加える。生育状態は生育力が旺盛であるもの、草姿についてはドーム状にまとまったもの、花色については色が鮮やかであるもの、花弁の質は厚いもの、開花持続性については高温条件においても咲き続けるものを選ぶ。
【0044】
育種方法Iにおける本発明ニューギニアインパチェンスの育成方法:
続いて、上記の雌親であるImpatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaの種間雑種と、雄親であるImpatiens platypetalaとImpatiens hawkeriの種間雑種との種間雑種を交配し、実生を得る。育成した株から生育力が旺盛な個体を選び挿木、例えば挿し芽をし、定植する。ここで、挿木とは、例えば挿芽、挿葉、および挿根等を意味し、挿穂とは、挿木に用いる母体の一部を意味する。その後、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良いものを本発明のニューギニアインパチェンスとして選抜する。
【0045】
(選抜方法)200穴セルトレイに挿木をし、40日後にセルトレイから直接露地に定植する。その後夏の高温条件下(平均最高気温30〜33℃)における株の生育状況、咲き続ける開花持続性、厚い花弁、鮮やかな花色、ある程度ドーム状にまとまった草姿のものを本発明のニューギニアインパチェンスとして選抜する。
【0046】
育種方法Iによって得られる本発明のニューギニアインパチェンスは、以下のような特徴を有する:
200穴セルトレイに挿木をして40日後、屋外に直接植えると、平均最高気温が30℃の条件においては従来のニューギニアインパチェンスが枯死寸前なのに対し、育種方法Iで得られるニューギニアインパチェンスは生育旺盛で非常に大きな株になり、その上開花持続性にも優れる高温耐性を持つ。本発明で用いた200穴セルトレイは東罐興産株式会社(http://www.tokan.co.jp/tokankousan/company/jigyou.html)のセルトップトレー(トーカンセルトレー(商標))#200であり、幅278mm、長さ542mm、高さ45mm、配列(穴)10x20、容積15 mlのプラスティック製であり、通常生体重2〜6gの植物を育成できる。
【0047】
一般に生育力の旺盛な植物ほど生体重を小さくすることができる。その結果植物の定植作業の工数が減り苗の生産効率が大幅に上昇する。
【0048】
本発明の植物の生体重は、3g〜7gが適しており、生体重3g〜5gであっても生育可能である。また、平均最低気温が10℃の低温条件においては従来のニューギニアインパチェンスは全く咲かないのに対し、育種方法Iで得られるニューギニアインパチェンスは花が咲き続けることから低温時における開花習性も良い。その上室内の低日照条件下における開花習性も従来のニューギニアインパチェンスより格段に優れる。
【0049】
育種方法II
育種方法IIでは、Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種を雌親として交配することにより、本発明のニューギニアインパチェンスを得る。図2に育種方法IIの好適な実施形態の概要を示す。
【0050】
育種方法IIにおける本発明ニューギニアインパチェンスの両親の育成方法:
雌親:
雌親であるImpatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種は、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親とし、Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られる四倍体を雄親として交配することにより得られる種間雑種を用いるのが好ましい。
【0051】
ここで、雌親として用いるニューギニアインパチェンスの種間雑種(I. hawkeri x I. platypetala aurantiaca)は、育種方法Iにおいて雌親として用いられたImpatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaの種間雑種と同様である。
【0052】
また、雄親として用いるImpatiens hawkeriの二倍体は、育種方法Iにおいて雄親の育成に使用したImpatiens hawkeriと同様のものを使用できる。Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理し、倍加した花から種子を得ることにより、Impatiens hawkeriの四倍体を得る。Impatiens hawkeriの四倍体は、例えば、株式会社サカタのタネ、三郷試験場(長野県南安曇郡三郷村小倉6412)の栽培種として入手できる。
【0053】
続いて、上記Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を上記Impatiens hawkeriの四倍体と交配し、開花習性が良く色が鮮やかなものを選抜することにより、育種方法IIにおける雌親を得る。この雌親は以下のような特徴を有する:
草姿はやや大柄なマウンドタイプである。花は6.5 cmで一重の非常に鮮やかなオレンジ色(R.H.S 28A)。花は完全に開花した時には平らな形状で芳香は無い。開花持続性に優れ、最低温度12℃に保った温室では1年中咲き、屋外においては霜の降りない気温以上であれば春から秋まで咲き続けられる。距は5 cm、花梗は6 cm。開花習性が良く色が鮮やかなものを選抜するのが好ましい。
【0054】
(選抜方法)種を200穴セルトレイに播種し、播種後30日での子葉の生育状態で生育が緩慢なものを取り除くことによって選抜を加える。また、播種後45日で10.5 cmポット(620 ml)に鉢上げをし、その後の生育状態・草姿・葉色・花色・花弁の質・開花持続性によって選抜を加える。生育状態は生育力が旺盛であるもの、草姿についてはドーム状にまとまったもの、花色については色が鮮やかであるもの、花弁の質は厚いもの、開花持続性については高温条件においても咲き続けるものを選ぶ。
【0055】
雄親:
雄親については、育種方法Iと同様である。
育種方法IIにおける本発明ニューギニアインパチェンスの育成方法:
続いて、上記の雌親と雄親を交配し、実生を得る。育成した株から生育力が旺盛な個体を選抜し挿木、例えば挿芽をし、定植する。
その後、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良いものを本発明のニューギニアインパチェンスとして選抜する。
【0056】
(選抜方法)200穴セルトレイに挿木をした40日後、セルトレイから直接露地に定植した。その後、夏の高温条件下(平均最高気温30℃〜33℃)における株の生育状況、咲き続ける開花持続性、厚い花弁、鮮やかな花色、ある程度ドーム状にまとまった草姿のものを本発明のニューギニアインパチェンスとして選抜した。
【0057】
育種方法IIによって得られる本発明のニューギニアインパチェンスは、以下のような特徴を有する:
200穴セルトレイに挿木をして40日後、屋外に直接植えると、平均最高気温が30℃の条件においては従来のニューギニアインパチェンスが枯死寸前なのに対し、育種方法IIで得られるニューギニアインパチェンスは生育旺盛で非常に大きな株になり、その上開花持続性にも優れる高温耐性を持つ。また、平均最低気温が10℃の低温条件においては従来のニューギニアインパチェンスは全く咲かないのに対し、育種方法IIで得られるニューギニアインパチェンスは花が咲き続けることから低温時における開花習性も良い。その上室内の低日照条件下における開花習性も従来のニューギニアインパチェンスより格段に優れる。
【0058】
育種方法III
育種方法IIIでは、Impatiens hawkeriを雌親とし、種名未同定ニューギニアインパチェンス種(染色体数2n=28)を雄親として交配することにより、本発明のニューギニアインパチェンスを得る。図3に育種方法IIIの好適な実施形態の概要を示す。
【0059】
育種方法IIIにおける本発明のニューギニアインパチェンスの両親の育成方法:
雌親:
雌親であるImpatiens hawkeriとしては、好ましくは、Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られるImpatiens hawkeriの四倍体を用いる。ここで、Impatiens hawkeriの二倍体と四倍体は、育種方法IIの雌親について記載したのと同様の方法により得られる。
【0060】
好ましくは、以下のような特徴を有するものを選抜する:
草姿はドーム状にまとまったコンパクトタイプである。花は7 cmで一重の様々な色(赤、オレンジ、ピンク、ラベンダー、パープル、白)がある。花は完全に開花した時には平らな形状で芳香は無い。最低温度12℃〜25℃に保った温室であれば1年中咲き、屋外においては最低平均気温が15℃〜20℃、最高平均気温が20℃〜25℃の条件であれば咲き続ける。距は5 cm、花梗は4 cm。
雄親:
雄親である種名未同定ニューギニアインパチェンス種(染色体数2n=28)は、以下のような特徴を有する:
草姿は枝の付きが粗く立ち上がるエレクトタイプで,非常に生育力が旺盛である。花は3.5 cmで一重のピンキッシュな白色(R.H.S 36A)。花は完全に開花した時には平らな形状で芳香は無い。最低温度12℃に保った温室では1年中咲き、屋外においては霜の降りない温度以上であれば春から秋まで咲き続けられる開花持続性を持つ。距は4 cm、花梗は4.5 cm。特に、生育力に優れたものを選抜する。具体的には、種を200穴セルトレイに播種し、播種後30日での子葉の生育状態で生育が緩慢なものを取り除くことによって選抜を加える。
【0061】
また、播種後45日で10.5 cmポット(620 ml)に鉢上げをし、その後の生育状態・草姿・葉色・花色・花弁の質・開花持続性によって選抜を加える。生育状態は生育力が旺盛であるもの、草姿についてはある程度まとまったもの、花色については色が鮮やかであるもの、花弁の質は厚いもの、開花持続性については30℃以上においても咲き続けるものを選ぶ。
【0062】
この種名未同定ニューギニアインパチェンス種(染色体数2n=28)の種子は、受領番号FERM AP-20433で、2005年3月2日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受領されている。
【0063】
育種方法IIIにおける本発明ニューギニアインパチェンスの育成方法:
続いて、上記の雌親と雄親を交配し、実生を得る。育成した株から生育力が旺盛な個体を選抜し挿木、例えば挿し芽をし、定植する。その後、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良いものを本発明のニューギニアインパチェンスとして選抜する。具体的には、200穴セルトレイに挿木をした40日後、セルトレイから直接露地に定植する。その後夏の高温条件下における株の生育状況、花つき、花弁の質、花色、草姿が良いものを本発明のニューギニアインパチェンスとして選抜する。
【0064】
育種方法IIIによって得られる本発明のニューギニアインパチェンスは、以下のような特徴を有する:
200穴セルトレイに挿木をして40日後屋外に直接植えると、平均最高気温が30℃の条件においては従来のニューギニアインパチェンスが枯死寸前なのに対し、育種方法IIIで得られるニューギニアインパチェンスは生育旺盛で株幅60 cm、草丈40 cm程の非常に大きな株になり、その上開花持続性にも優れる高温耐性を持つ。また、平均最低気温が10℃の低温条件においては従来のニューギニアインパチェンスは全く咲かないのに対し、育種方法IIIで得られるニューギニアインパチェンスは花が咲き続けることから低温時における開花習性も良い。その上室内の低日照条件下における開花習性も従来のニューギニアインパチェンスより格段に優れる。
【0065】
本発明のニューギニアインパチェンスの特性
本発明のニューギニアインパチェンスは、低温耐性、高温耐性および開花習性、開花持続性を有し、かつ生育力が高い。
【0066】
本発明のニューギニアインパチェンスは、平均最低気温8℃〜15℃の低温条件下で開花する。
【0067】
また本発明のニューギニアインパチェンスは、平均最高気温25℃〜30℃かつ平均最低気温15〜20℃が生育に適しており、平均最高気温30℃〜35℃かつ平均最低気温20〜25℃の条件下であっても生育可能で、開花持続性に優れる。以上のことから、本発明のニューギニアインパチェンスは優れた耐暑性を有する。
【0068】
また、高温条件、例えば、平均最高気温25℃〜30℃の条件下で早生、好ましくは極早生を示す。ここで早生とは、開花が従来のニューギニアインパチェンス(Impatiens hawkeri)の一般的な品種、たとえばParadise((商標)Kientzler社)よりも早いことを意味する。すなわち、本発明のニューギニアインパチェンスは、低温条件でも高温条件でも開花可能であり、優れた開花習性、開花持続性を有する。
【0069】
また、本発明のニューギニアインパチェンスは、室内などの光の少ないところでも開花する。具体的には、80000Lux以下、好ましくは3000Lux以下、より好ましくは1000Lux〜750Luxの条件下でも開花する。このような条件下でも開花することから、日陰や室内でも鑑賞することができ、有利である。
【0070】
本発明のニューギニアインパチェンスは、従来のニューギニアインパチェンスよりも花梗が長いという特徴を有する。具体的には、一株における平均の花梗長さが5 cm以上、好ましくは5.5 cm以上、より好ましくは6 cm以上である。
【0071】
本発明のニューギニアインパチェンスは、生育力が旺盛である。特に、根の発育が旺盛で、挿木をした後の生体重増加および根重量増加が著しい。従って、挿穂の生産性が高く、栽培期間も短縮できる。また、60穴セルトレイから定植しても生存しかつ開花する。特に、平均最高気温30℃〜33℃かつ平均最低気温20℃〜25℃の条件下で、60穴セルトレイから屋外に定植しても生存しかつ開花する。
【0072】
本発明で用いた60穴セルトレイはDillen Products社(http://www.dillen.com/)の製品のものを用い、縦37.5mm×横37.5mm×深さ50mmの直方体で29 mlの土の容量が入る大きさのものであり、通常生体重4〜10gの植物を育成できる。
【0073】
本発明の植物の生体重は、5g〜10gが適しており、生体重5g〜7gであっても生育可能である。
【0074】
従来のニューギニアインパチェンスでは、生育力が弱いためこのような条件で屋外に定植しても、開花しないだけでなく、枯死するのが通常である。本発明のニューギニアインパチェンスは、生育力が高いことから、屋外に定植後に雹やハリケーンといった過酷な条件に曝された場合でも、地上部が全滅したとしても、しばらくすると元の状態に回復することができる。
【0075】
本発明のニューギニアインパチェンスは、栄養繁殖により繁殖させることができる。従って、本発明のニューギニアインパチェンスは、後代や、ニューギニアインパチェンスの一部、ならびにクローン成長させることにより得られる植物体をも包含する。ここで、後代としては、F1〜F8が好ましく、F1〜F5がより好ましい。一部としては、特に制限されないが、例えば、花、挿穂、花粉、胚珠および細胞等が挙げられる。
【実施例】
【0076】
実施例1 M2-63の育種
上記育種方法Iに従って、M2-63を育種した。育種方法の概要を図4に示す。
♀:雌親)
特徴:開花習性に優れる。やや大柄な草姿。
来歴:2001年に、I. platypetala aurantiacaを使ったニューギニアインパチェンスの種間雑種(I. hawkeri x I. platypetala aurantiaca)から開花習性の良い個体(2K-MC-1)を選んだ。
【0077】
この種間雑種は、受領番号FERM AP-20430で、2005年3月2日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受領されている。この種間雑種の写真を図19に示す。
♂:雄親)
特徴:生育力が旺盛である。30℃以上の高温において開花持続性が悪い。
来歴:1998年に、I. platypetalaで生育力が旺盛なもの(81T-1)に、I. hawkeri栽培種で、大輪で草姿がコンパクトなもの(8ES-1)を交配し、生育力の良い系統(8B-6)を選んだ。上記I. platypetalaの種子は、受領番号FERM AP-20431で、2005年3月2日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受領されている。このI. platypetalaの写真を図20に示す。また、I. hawkeri栽培種は、株式会社サカタのタネ三郷試験場(長野県南安曇郡三郷村小倉642)のものを使用した。その雑種は不稔であったため1999年、株に0.04%のコルヒチンを噴霧したところ、稔性を回復し、雑種の複二倍体種子を得た。コルヒチン処理については、以下のArisumiら(Arisumi T., 1973, J. Am. Soc. Hortic. Sci. 98:599-601)に従った。以下の実施例においても同様である。この複二倍体の雑種は、栽培種の持つ6 cm以上の大輪で鮮やかな花色の花弁の鑑賞価値を維持しつつ、従来の栽培種にない旺盛な生育力を示した。複二倍体の雑種は稔性を回復したため優良系統から種を採り、その後も生育力と草姿等に関して選抜を加え世代を進め、8B-6Aとした。
育種方法)
2001年に2K-MC-1を♀系統、8B-6Aを♂系統として交配し、実生を得た。2001年にその実生から育成した株から生育力が旺盛な個体を選び、2002年4月200穴セルトレイに挿木をし、2002年5月に株式会社サカタのタネの三郷試験場の露地に定植した。2002年7月、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良いものをM2-63とした(図22)。
【0078】
実施例2 M2-80の育種
上記育種方法Iに従って、M2-80を育種した。育種方法の概要を図5に示す。
♀:雌親)
特徴:開花習性に優れる。やや大柄な草姿。
来歴:2001年に、I. platypetala aurantiacaを使ったニューギニアインパチェンスの種間雑種(I. hawkeri x I. platypetala aurantiaca)(実施例1の雌親に使用した種間雑種)から開花習性の良い個体(2K-MC-1)を選んだ。
♂:雄親)
特徴:生育力が旺盛である。30℃以上の高温条件において開花持続性が悪い。
来歴:1998年に、実施例1で使用した、I. platypetalaで生育力が旺盛なもの(81T-1)に、実施例1で使用した、I. hawkeri栽培種で、大輪で草姿がコンパクトなもの(8ER-1)を交配し、生育力の良い系統(8B-4)選んだ。その雑種は不稔であったため1999年、株に0.04%のコルヒチンを噴霧したところ、稔性を回復し、雑種の複二倍体種子を得た。この複二倍体の雑種は栽培種の保持する大輪で草姿のまとまった営利的に求められる性質を維持しつつ、従来の栽培種にない旺盛な生育力を示した。複二倍体の雑種は稔性を回復したため優良系統から種を採り、その後も生育力と草姿等に関して選抜を加え世代を進め、8B-4C-1とした。
育成方法)
2001年に2K-MC-1を♀系統、8B-4C-1を♂系統として交配し、実生を得た。2001年にその実生から育成した株から生育力が旺盛な個体を選び2002年4月に200穴セルトレイに挿木をし、2002年5月に株式会社サカタのタネの三郷試験場の露地に定植した。2002年7月、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良く鮮やかなオレンジ色で草姿がコンパクトにまとまるものをM2-80とした(図23)。
【0079】
実施例3 M2-95の育種
上記育種方法Iに従って、M2-95を育種した。育種方法の概要を図6に示す。
♀:雌親)
特徴:開花習性に優れる。やや大柄な草姿。
来歴:2001年に、I. platypetala aurantiacaを使ったニューギニアインパチェンスの種間雑種(I. hawkeri x I. platypetala aurantiaca)(実施例1の雌親に使用した種間雑種)から開花習性の良い個体(2K-MC-1)を選んだ。
♂:雄親)
特徴:生育力が旺盛である。30℃以上の高温条件において開花持続性が悪い。
来歴:1998年に、実施例1で使用したI. platypetalaで、生育力が旺盛なもの(81T-1)に、実施例1で使用したI. hawkeri栽培種で、大輪で草姿がコンパクトなもの(8ER-1)を交配し、生育力の良い系統(8B-4)を選んだ。その雑種は不稔であったため1999年、株に0.04%のコルヒチンを噴霧したところ、稔性を回復し、雑種の複二倍体種子を得た。この複二倍体の雑種は栽培種の保持する大輪で草姿のまとまった営利的に求められる性質を維持しつつ、従来の栽培種にない旺盛な生育力を示した。複二倍体の雑種は稔性を回復したため優良系統から種を採り、その後も生育力と草姿等に関して選抜を加え世代を進め、8B-4C-1とした。
育成方法)
2001年に2K-MC-1を♀系統、8B-4C-1を♂系統として交配し、実生を得た。2001年にその実生から育成した株から生育力が旺盛な個体を選び2002年4月200穴セルトレイに挿木をし、2002年5月に株式会社サカタのタネの三郷試験場の露地に定植した。2002年7月、試作系統の中から生育力が極めて優れ、マジェンタ色で草姿はM2-80より少し大柄だが良く咲くものをM2-95とした(図24)。
【0080】
実施例4 M3-58の育種
上記育種方法IIIに従って、M3-58を育種した。育種方法の概要を図7に示す。
♀:雌親)
特徴:大輪で草姿がコンパクトにまとまる。
来歴:2001年に、実施例1で使用した三郷試験場所有のI. hawkeri栽培種のうち1系統(系統名NG-01-W)に0.04%のコルヒチンを噴霧した花から種子を得ることにより倍加した栽培種(NG-01WD)を得た。
♂:雄親)
特徴:生育力が旺盛である。枝が上向きに立ち上がった大柄な草姿。
来歴:2002年に、種名未同定ニューギニアインパチェンス種(染色体数2n=28)を播種し生育力に優れた個体(EL-1A-2)を選抜した。この未同定種の種子は受領番号FERM AP-20433で、2005年3月2日付で独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に受領されている。この種の写真を図21に示す。
育成方法)
2001年にNG-01-WDを♀系統、EL-1A-2を♂系統として交配し、実生を得た。2001年にその実生から育成した株から生育力が旺盛な個体を選び2002年4月に200穴セルトレイに挿木をし、2002年5月に株式会社サカタのタネの三郷試験場の露地に定植した。2002年7月、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良いものをM3-58とした(図25)。
【0081】
実施例5 M3-90の育種
育種方法IIに従って、M3-90を育種した。育種方法の概要を図8に示す。
♀:雌親)
特徴:開花習性に優れる。やや大柄な草姿。
来歴:2000年に、実施例1で使用したI. hawkeri栽培種の色が鮮やかなもの(8ES-1)を選択し、0.04%のコルヒチンを噴霧した花から種子を得ることにより倍加した四倍体栽培種を得た。2001年にこの四倍体栽培種(8ES-1A)と、I. platypetala aurantiacaを使ったニューギニアインパチェンスの種間雑種(I. hawkeri x I. platypetala aurantiaca)(実施例1の雌親に使用した種間雑種)の開花習性の良い個体(2K-MC-1)とを交配し、開花習性が良く色が鮮やかな雑種NG-02SM-1-1を得た。
♂:雄親)
特徴:生育力が旺盛である。30℃以上の高温条件において開花持続性が悪い。
来歴:2000年に、実施例1で使用したI. platypetalaで、生育力が旺盛なもの(81T-1)に、実施例1で使用したI. hawkeri栽培種で、大輪で草姿がコンパクトなもの(8LS-1)を交配し、生育力の良い系統(NG-01H-9)を選んだ。その雑種は不稔であったため2001年、株に0.04%のコルヒチンを噴霧したところ、稔性を回復し、雑種の複二倍体種子を得た。この複二倍体の雑種は栽培種の保持する大輪で草姿のまとまった営利的に求められる性質を維持しつつ、従来の栽培種にない旺盛な生育力を示した。複二倍体の雑種は稔性を回復したため優良系統から種を採り、その後も生育力と草姿等に関して選抜を加え世代を進め、NG-01H-9Aとした。
育成方法)
2002年に、NG-02SM-1-1を♀系統、NG-01H-9Aを♂系統として交配し、実生を得た。2002年に、その実生から育成した株から生育力が旺盛な個体を選び2003年4月200穴セルトレイに挿木をし、2003年5月に株式会社サカタのタネの三郷試験場の露地に定植した。2003年7月、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良いものをM3-90とした(図26)。
【0082】
実施例6 M3-99の育種
育種方法IIに従って、M3-99を育種した。育種方法の概要を図9に示す。
♀:雌親)
特徴:開花習性に優れる。やや大柄な草姿。
来歴:2000年に、実施例1で使用したI. hawkeri栽培種の色が鮮やかなもの(8ES-1)を選択し、0.04%のコルヒチンを噴霧した花から種子を得ることにより倍加した四倍体栽培種を得た。2001年にこの四倍体栽培種(8ES-1A)と、I.platypetala aurantiacaを使ったニューギニアインパチェンスの種間雑種(I.hawkeri x I. platypetala aurantiaca)(実施例1の雌親に使用した種間雑種)の開花習性の良い個体(2K-MC-1)とを交配し、開花習性が良く色が鮮やかな雑種NG-02SM-1-2を得た。
♂:雄親)
特徴:生育力が旺盛である。30℃以上の高温条件において開花持続性が悪い。
来歴:2000年に、実施例1で使用した、I. platypetalaで生育力が旺盛なもの(81T-1)に、実施例1で使用した、I. hawkeri栽培種で、大輪で草姿がコンパクトなもの(8LS-1)を交配し、生育力の良い系統(NG-01H-9)を選んだ。その雑種は不稔であったため、2001年、株に0.04%のコルヒチンを噴霧したところ、稔性を回復し、雑種の複二倍体種子を得た。この複二倍体の雑種は栽培種の保持する大輪で草姿のまとまった営利的に求められる性質を維持しつつ、従来の栽培種にない旺盛な生育力を示した。複二倍体の雑種は稔性を回復したため優良系統から種を採り、その後も生育力と草姿等に関して選抜を加え世代を進め、NG-01H-9Aとした。
育成方法)
2002年に、NG-02SM-1-2を♀系統、NG-01H-9Aを♂系統として交配し、実生を得た。2002年に、その実生から育成した株から生育力が旺盛な個体を選び2003年4月、200穴セルトレイに挿木をし、2003年5月に株式会社サカタのタネの三郷試験場の露地に定植した。2003年7月、試作系統の中から生育力が極めて優れ、開花習性が良いものをM3-99とした(図27)。
【0083】
実施例7 発根試験
長野県南安曇郡三郷試験場において2004年9月3日(2004/9/3)に、上記で育種した本発明のニューギニアインパチェンス(M2-95、M2-80、M3-58)および従来のニューギニアインパチェンス(Paradise(商標)、Kientzler社)を、22℃の発芽室において200穴セルトレイに挿し、2週間後および4週間後の生体重の増加、根数および根重量を調査した。結果を以下の表1および2に示す。ここで、生体重(fresh weight)は、植物体全体(根、葉、茎および花等)すべての重さとする。また根数は、目で見える1mm以上の長さの根の数とする。根重量は、1mm以上のすべての根を根元から切断してその重さを測定した値とする。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
本発明のニューギニアインパチェンスの生体重の増加率は、2週間後において、Paradiseに比べ2倍以上であった。また、発根数はほぼ同程度であったが根の伸張性および生育が良くParadiseに比べ格段に根重量の増加が認められた。また挿し木4週間後の生体重に占める根重量について、本発明のニューギニアインパチェンスはParadiseに比べ1.5倍以上であった。以上から、本発明のニューギニアインパチェンスは、従来のニューギニアインパチェンスより生育力が著しく高いことが認められた。
【0087】
すなわち、通常の挿木条件において、本発明のニューギニアインパチェンスと従来のニューギニアインパチェンスとでは、その生育力において有意な差が認められ、本発明により、挿穂の生産性の大幅な向上および栽培期間の短縮が可能になる。
【0088】
実施例8 高温耐性の試験
アメリカ合衆国ジョージア州において、上記で育種した本発明のニューギニアインパチェンス(M2-95、M2-63、M2-80)および従来のニューギニアインパチェンス(Paradise(商標)、Kientzler社)を、2004年5月25日(2004/5/25)に、60穴セルトレイから露地に定植し、2004年7月9日に生存率および株幅(株の直径)を調査した。
【0089】
調査結果を表3に示す。なお、調査時のアメリカ合衆国ジョージア州の気候を表4に示す。また、2004年7月9日に撮影した各種Paradiseの写真を図10および11に、本発明のニューギニアインパチェンスの写真の図12〜14に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
平均最高気温30℃〜33℃かつ平均最低気温20℃〜25℃の条件において、60穴のセルトレイから露地に定植すると従来のニューギニアインパチェンスは生存率が低いが、本発明のニューギニアインパチェンスは、全て生存した。また、株幅が示すように、本発明のニューギニアインパチェンスの株は、生育力も生存率に比例して旺盛であり、高温においても、生育阻害されずに成長できることが明らかとなった。
【0093】
すなわち、上記のような条件において従来のニューギニアインパチェンスは露地に定植しても枯れてしまうが、本発明のニューギニアインパチェンスは生存し、問題なく生育することができる。従って、暖地においても花壇材料として用いることができる。
【0094】
本発明のニューギニアインパチェンスは6月下旬から全ての株で咲き始め、その後も咲き続けているが、Paradiseは8月下旬になってもほとんどの株が咲かない状態であった。従って、平均最高気温30℃〜33℃かつ平均最低気温20℃〜25℃の条件においては、従来のニューギニアインパチェンスは咲かないが、本発明のニューギニアインパチェンスは咲くことが示された。本発明のニューギニアインパチェンスは、従来のニューギニアインパチェンスより高温で咲くことから、長期間にわたり鑑賞することができ、有利である。
【0095】
実施例9 雹に対する耐性の試験
神奈川県長後市において、2004年2月27日に、上記で育種した本発明のニューギニアインパチェンス(M2-95、M2-80、M3-58、M3-99)および従来のニューギニアインパチェンス(Paradise Grenada、Paradise Logia、Paradise Timor、Paradise Moonea(Kientzler社))を200穴のセルトレイに挿木を行い、4月下旬に9 cmのポット(400 ml)にポット上げし、5月上旬に、それぞれ2株を2区性で合計4株露地に定植した。2004年7月11日に雹が降り、試験した全てのニューギニアインパチェンスの地上部が全滅した。しかし従来のニューギニアインパチェンスは、すべてがそのまま枯死したのに対し、本発明のニューギニアインパチェンスは回復し1月後には開花した。
【0096】
本発明のニューギニアインパチェンスは、露地定植2ヶ月後に雹による損傷を受けても枯れないことから、生育力が旺盛な根を有すること、すなわち地上部が枯れても回復するだけの根量を発達させていることが示された。本発明のニューギニアインパチェンスは、定植後2ヶ月も経てば、地上部が枯れるほどのストレス条件下におかれても回復するだけの生育力を保持することから、従来にない回復力を持つ花壇材料として有利である。
【0097】
実施例10 早生性の試験
スペイン国バルセロナ近郊のMataroにおいて、上記で育種した本発明のニューギニアインパチェンス(M2-95、M2-63、M2-80、M3-90、M3-58、M3-99)および従来のニューギニアインパチェンス(Paradise(商標)Kientzler社)を、2004年、24週目(6月の第2週)に200穴セルトレイに挿木をし、その2週間後の26週目(6月の第4週)に16個の1リッターポットにポット上げしてパイプハウスに置き、その後、開花日までの期間を調査した。本実施例においては、ポット上げした16ポットのうち半分について開花が観察されたときを開花日とした。結果を以下の表5に示す。また、試験期間中におけるスペイン国バルセロナ近郊のMataroの気候を表6に示す。
【0098】
【表5】

【0099】
【表6】

【0100】
従来のニューギニアインパチェンスは高温により開花が抑制されたが、本発明のニューギニアインパチェンスは影響を受けず極早生であり、その後も咲き続けた。このように高温条件下でも早生性が認められることから、栽培から出荷までの期間が短縮され、栽培者のメリットだけでなく、鑑賞期間が延びるという消費者のメリットにつながる。
【0101】
実施例11 低温条件における開花持続性の試験
静岡県掛川市において、2003年7月17日に、上記で育種した本発明のニューギニアインパチェンス(M2-95、M2-80、M3-58、M3-99)および従来のニューギニアインパチェンス(Paradise Grenada、Paradise Logia、Paradise Timor、Paradise Moonea(Kientzler社))の挿木を行い、8月下旬に9 cmのポット(400 ml)に上げ、9月下旬に露地に定植した。試験期間中における静岡県掛川市の気候を表7に示す。
【0102】
【表7】

【0103】
また、本発明のニューギニアインパチェンスは、露地では12月1日まで咲いていたが従来のニューギニアインパチェンスは、10月下旬からほとんど咲かなかった。以上から、本発明のニューギニアインパチェンスは従来のニューギニアインパチェンスに比べ、低温時における開花持続性に優れていることが分かる。すなわち、従来のニューギニアインパチェンスより秋の鑑賞期間が格段に長くなるという点で有利である。
【0104】
実施例12 室内における開花持続性の試験
長野県南安曇郡三郷試験場において、上記で育種した本発明のニューギニアインパチェンス(M2-95、M2-80、M3-58、M3-99)および従来のニューギニアインパチェンス(Paradise(商標)Kientzler社およびSonic(商標)Fischer社)を、2004年3月12日に挿木を行い、2004年4月15日に10.5 cm(620 ml)のポットに上げ、さらに5月中旬に18 cm(2900 ml)のポットに上げた。そして、2004年8月27日に温室(80000Lux)から室内(750Lux)へ移動させ、8時間日長条件とした。そして、2004年9月15日(19日後)に開花持続性について調査した。調査期間中において、温室の最低温度は14℃、最高温度は32℃、平均最低温度は17.8℃、平均最高温度は29℃であった。また、室内は、平均最低温度が20℃、平均最高温度が30℃であった。結果を以下の表8に示す。また、撮影した写真を図15〜17に示す。
【0105】
【表8】

【0106】
以上から、18 cm(2900 ml)ポットを温室から室内に移動して20日後の花数の生存率の平均は、Paradiseで39.2%、Sonicで48.4%、本発明のニューギニアインパチェンスで84.4%であった。本発明のニューギニアインパチェンスは、従来のニューギニアインパチェンスより室内でもよく咲くことが明らかとなった。植物の生育には通常60000Lux必要とされるのに対し、室内の照明下でも咲くことは、ホームセンター等の店で販売しやすいとともに、日陰や室内で鑑賞できるという点で非常に有利である。
【0107】
実施例13 花梗長さの試験
長野県南安曇郡三郷試験場において、本発明のニューギニアインパチェンスおよび従来のニューギニアインパチェンス(Paradise(商標)Kientzler社、Sonic(商標)Fischer社およびFan Fare(商標)Ball社)について、2004年4月200穴セルトレイに挿木をし、5月に露地に定植した後、7月に花梗の長さを調査した。結果を以下の表9に示す。
【0108】
【表9】

【0109】
表9の結果から、従来のニューギニアインパチェンスに比べ、本発明のニューギニアインパチェンスは、花梗が約1 cm長い。花梗が長いと花が潜らずに、表に出て咲くためにより多くの花が鑑賞できるため、営利的価値が高まる(図18参照)。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】育種方法Iの好適な実施形態の概要を示す。
【図2】育種方法IIの好適な実施形態の概要を示す。
【図3】育種方法IIIの好適な実施形態の概要を示す。
【図4】M2-63の育種方法の概要を示す。
【図5】M2-80の育種方法の概要を示す。
【図6】M2-95の育種方法の概要を示す。
【図7】M3-58の育種方法の概要を示す。
【図8】M3-90の育種方法の概要を示す。
【図9】M3-99の育種方法の概要を示す。
【図10】実施例8で撮影した従来のニューギニアインパチェンスの写真である。
【図11】実施例8で撮影した従来のニューギニアインパチェンスの写真である。
【図12】実施例8で撮影した本発明のニューギニアインパチェンスの写真である。
【図13】実施例8で撮影した本発明のニューギニアインパチェンスの写真である。
【図14】実施例8で撮影した本発明のニューギニアインパチェンスの写真である。
【図15】実施例12で撮影した従来のニューギニアインパチェンスの写真である。
【図16】実施例12で撮影した本発明のニューギニアインパチェンスの写真である。
【図17】実施例12で撮影した従来のニューギニアインパチェンスと本発明のニューギニアインパチェンスを比較した写真である。
【図18】実施例13で撮影した従来のニューギニアインパチェンスと本発明のニューギニアインパチェンスの花梗長さを比較した写真である。
【図19】左が、本発明に使用されたI. platypetala aurantiacaであり、右側がI. platypetala aurantiacaを使ったニューギニアインパチェンスの種間雑種(I. hawkeri x I. platypetala aurantiaca)である。
【図20】本発明に使用されたImpatiens platypetalaの写真である。
【図21】種名不明であり、本発明に使用された四倍体種の写真である。
【図22】本発明のニューギニアインパチェンス(M2-63)の写真である。
【図23】本発明のニューギニアインパチェンス(M2-80)の写真である。
【図24】本発明のニューギニアインパチェンス(M2-95)の写真である。
【図25】本発明のニューギニアインパチェンス(M3-58)の写真である。
【図26】本発明のニューギニアインパチェンス(M3-90)の写真である。
【図27】本発明のニューギニアインパチェンス(M3-99)の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親として交配することにより得られる、ニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【請求項2】
Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種を雌親として交配することにより得られる、ニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【請求項3】
Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親とし、Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られる四倍体を雄親として交配することにより得られる種間雑種である、請求項2記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【請求項4】
Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens platypetalaの二倍体を雌親としImpatiens hawkeriの二倍体を雄親として交配して得られる不稔性種間雑種を、染色体倍加処理することにより得られる四倍体の稔性種間雑種である、請求項1〜3のいずれか1項記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【請求項5】
Impatiens hawkeriを雌親とし、ニューギニアインパチェンスの四倍体種を雄親として交配することにより得られる、ニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【請求項6】
Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られるImpatiens hawkeriの四倍体を雌親とする、請求項5記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代、またはその一部。
【請求項7】
平均最高気温30℃〜35℃かつ平均最低気温20℃〜25℃の条件下で生育可能である、ニューギニアインパチェンスまたはその一部。
【請求項8】
平均最低気温8℃〜15℃の条件下で開花する請求項7記載のニューギニアインパチェンスまたはその一部。
【請求項9】
80000Lux〜750Luxの光で開花する、請求項7または8記載のニューギニアインパチェンスまたはその一部。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代またはその一部からクローン成長させることにより得られる、ニューギニアインパチェンスまたはその一部。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載のニューギニアインパチェンスもしくはその後代またはその一部から得られるニューギニアインパチェンスまたはその一部を増殖する方法。
【請求項12】
Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaの種間雑種を雌親として交配することを含む、ニューギニアインパチェンスの育種方法。
【請求項13】
Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種を雄親とし、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種を雌親として交配することを含む、ニューギニアインパチェンスの育種方法。
【請求項14】
Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種とImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens hawkeriとImpatiens platypetala aurantiacaとの種間雑種を雌親とし、Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られる四倍体を雄親として交配することにより得られる種間雑種である、請求項13記載の育種方法。
【請求項15】
Impatiens platypetalaとImpatiens hawkeriとの種間雑種が、Impatiens platypetalaの二倍体を雌親としImpatiens hawkeriの二倍体を雄親として交配して得られる不稔性種間雑種を、染色体倍加処理して得られる四倍体の稔性種間雑種である、請求項12〜14のいずれか1項記載の育種方法。
【請求項16】
Impatiens hawkeriを雌親とし、種名未同定ニューギニアインパチェンス種を雄親として交配することを含む、ニューギニアインパチェンスの育種方法。
【請求項17】
Impatiens hawkeriの二倍体を染色体倍加処理して得られるImpatiens hawkeriの四倍体を雌親とする、請求項16記載の育種方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−167656(P2008−167656A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82345(P2005−82345)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(591042403)株式会社サカタのタネ (10)
【Fターム(参考)】