説明

稲荷充填機における油揚袋空気注入装置

【課題】 定量しゃり間歇供給装置の1つ上流の停止位置において、上記載置部上の油揚袋に空気を注入することにより、注入機構を簡略化し、かつ注入量が少く、底部の両隅部まで充分膨隆し得る空気注入装置を得ること。
【解決手段】 機枠1に水平方向間歇回動板2を設け、該回動板2の外周に沿って複数の油揚袋載置部3を形成し、該載置部3の上面に向う定量しゃり間歇供給装置4を機枠1に設けてなる稲荷充填機において、上記定量しゃり間歇供給装置4の上流側に停止した上記載置部3の直上に垂直昇降金具5を設け、該金具5に油揚袋押え及び下向空気注射針7を発条8,8’を介して昇降摺動自在に設け、上記金具5の昇降により油揚袋9の中程を上記載置部3上に上記押えにより上記発条の力で押圧した状態で該油揚袋9の底部側に上記注射針により空気を注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は従来の稲荷充填機において、機枠に設けた水平方向間歇回動板上の油揚袋載置部上の油揚袋の開口部を開いて定量しゃりを該油揚袋内に定量しゃりを挿入充填する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記稲荷充填機では定量しゃり間歇供給装置の上流側に停止した油揚袋内に空気を注入する機構を備え、一端を支点として上下方向に回動自在な搖動アームに油揚袋内部に空気を注入するエアノズルを設け、油揚袋の開口部を押え板で閉じ、その状態で該エアノズルによって油揚袋の開口部側に空気を注入した(例えば特許文献1)。
【0003】
油揚袋の開口部を押え板で閉鎖し、その状態で搖動アームに固定したエアノズルを搖動させて油揚袋内部に挿入し空気を注入する上記方式では、上記押え板の昇降による開口部閉鎖と、搖動アームの搖動による搖動エアノズルによる空気注入とを同時に行うもので機構が複雑化し、油揚袋の底部両隅部まで充分膨隆させるため多量の空気注入量を要した。
【0004】
【特許文献1】特開平11−75737号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は定量しゃり間歇供給装置の1つ上流の停止位置において、上記載置部上の油揚袋の底部側に空気を注入することにより、注入機構を簡略化し、かつ注入量が少く、しかも底部の両隅部まで充分膨隆し得る空気注入装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明は
第1に機枠に水平方向間歇回動板を設け、該回動板の外周に沿って複数の油揚袋載置部を形成し、該載置部の上面に向う定量しゃり間歇供給装置を機枠に設けてなる稲荷充填機において、上記定量しゃり間歇供給装置の上流側に停止した上記載置部の上方に垂直昇降金具を設け、該金具に油揚袋押え及び下向空気注射針をそれぞれ発条を介して昇降摺動自在に設け、上記金具の昇降により、油揚袋の中程を上記載置部上に上記押えにより上記発条の力で押圧した状態で該油揚袋の底部側に上記注射針により空気を注入するように形成したことを特徴とする稲荷充填機における油揚袋空気注入装置、
第2に上記垂直昇降金具が上記水平方向間歇回動板の外側に設けた直立間歇昇降杆に設けられ、該間歇昇降杆と上記間歇回動板とを連動させた上記第1発明記載の稲荷充填機における油揚袋空気注入装置、
第3に上記油揚袋押えが油揚袋の幅方向であり、かつ上記注射針が2個設けられ、該油揚袋の底部側2ヶ所に空気を注入する上記第1又は第2発明記載の稲荷充填機における油揚袋空気注入装置、
によって構成される。
【0007】
従って上記定量しゃり間歇供給装置の1つ上流側に停止した上記載置部において、上記金具が一定高さ下降して上記押えによって油揚袋の中程を押圧固定し、その状態において上記注射針は固定した油揚袋の底部側に刺入され、空気を底部側及び底部両隅に注入する。
【0008】
その後上記金具を元の高さに上昇させると、上記載置部は下流側に1コマ回動停止して油揚袋の開口部が上下皮クリップで開口され、該開口部から定量のしゃりが上記供給装置によって油揚袋の底部両隅まで押圧挿入され稲荷が形成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述のように構成したので上記定量しゃり間歇供給装置の1つ上流位置において、簡潔な機構によって油揚袋の底部両隅まで予め少量の空気を注入し、次の停止位置において油揚袋の底部まで定量しゃりを挿入し得て品質のよい稲荷を製造し得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は機枠1の前部上面に水平方向間歇回動板2を配設し、間歇駆動減速電動機11の直立駆動軸12の上端に支持する(図3参照)。
【0011】
上記回動板2の外周に沿って複数(16個)の油揚袋載置部3を区画突起3’,3’間に形成し、一定位置に間歇停止する上記載置部3の上面に向う定量しゃり間歇供給装置4を機枠1に設けて稲荷充填機を形成する(図2、図3、図7、図8(イ)(ロ)図、図9)。
【0012】
本発明では上記定量しゃり間歇供給装置4の1つ上流側に停止した上記載置部3の外側に直立間歇昇降杆10を機枠1に昇降摺動自在に支持し、該昇降杆10の上端に金具5を横腕5’を介して上記回動板2上に突設し、図1に示すように上記載置部3の直上に該金具5を支持し、上記昇降杆10の動作によって該金具5を垂直方向に間歇昇降自在に支持する。
【0013】
上記垂直昇降金具5には4個の直立透孔13,13及び13’,13’を穿設し(図5参照)、これらの透孔13,13,13’,13’にそれぞれ昇降摺動杆14,14及び14’,14’を嵌合し、それぞれ上端に止めネジ15,15及び15’,15を螺着する。
【0014】
外側の昇降摺動杆14,14の下端には油揚袋押え6をコイル発条8を介して油揚袋9の幅方向に設け、上記載置部3上の油揚袋9の中程をコイル発条8の力で該載置部3上に押圧するようになっている。
【0015】
又内側の昇降摺動杆14’,14’の下端にはコイル発条8’を介して内向腕16,16を設け、その下端に横杆17を架設し、該横杆17に2個の下向空気注射針7,7を設け、該注射針7,7の上端に可撓空気チューブ18(図4〜図6)を接続し、これを機枠1に設けた小形コンプレッサ・レシーバーに開閉弁を介して接続する(図示していない)。
【0016】
上記金具5の上昇時においては図5(イ)(ロ)図に示すように押え6の下面よりも上記注射針7,7の下端が高く支持され、図6(イ)(ロ)図に示すように該金具5の下降により押え6の下面が油揚袋9の上面に接した状態において、上記横杆17の支持腕16の下面が上記押え6の上面に接し、該横杆17の内縁に設けた上記注射針7,7の下端が油揚袋9の底部側9’に上下方向(垂直方向)に刺入され、その動作に連動して開閉弁が開き該注射針7,7から空気が注入され、油揚袋9の底部側9’及び底部両隅部9”,9”(図1参照)は注入空気によって膨張する。
【0017】
その後直立間歇昇降杆10の上昇動作によって上記金具5は図5(イ)(ロ)図に示す位置に上昇し、押え6及び注射針7,7も元の位置に上昇し、上記載置部3は下流側の次の停止位置に回動し、該停止位置において図7、図8(イ)(ロ)及び図10に示すように油揚袋9の開口部9aを上下皮クリップ19,19(図7、図8(イ)(ロ)、図10)で上下に開き、定量しゃり挿入溝20から開閉嘴21,21を経てピストン22によって該開口油揚袋9内に定量のしゃりRを圧入することができる(図10参照)。
【0018】
下皮クリップ19は上記載置部3に穿設した透孔3”を経て上記回動板2の下から油揚袋9の開口部9aの下面に至り(図8(イ)(ロ)図)、該下面を挾持し、図7、図10に示すように上下皮クリップ19,19によって開口することができる。
【0019】
直立間歇昇降杆10は図3に示すように上記回動板2の間歇駆動減速電動機11に歯車群23を介して設けた間歇回動カム24によって昇降する横腕25と連動して直立方向に間歇昇降させる。
【0020】
従って、上記回動板2の上記載置部3上に供給された油揚袋9は該回動板2の間歇回動(開き角22.5度又は24度回動)に伴って回動しては数分一定時間停止する動作を繰返す。
【0021】
そして上記定量しゃり間歇供給装置4の上流側(1つ手前)の位置に上記載置部3が停止した際、上記金具5が図5(イ)(ロ)図に示す位置から図6(イ)(ロ)図に示す位置に下降し、その下降によって上記押え6の下面が上記載置部3上の油揚袋9の中程上面をコイル発条16の力で圧下支持し、さらに下降することによって横杆17の下面が上記押え6の上面に圧接停止し、その状態で上記注射針7,7の下端が図6(イ)図に示す油揚袋9の底部側9’に刺入され、コイル発条16’の力でその状態が保持され、該注射針7,7から上記底部9’内に空気が圧入される(その状態を図6(ロ)図に示す)。
【0022】
その後上記金具5は上昇し上記押え6及び注射針7,7も元の位置(図5(イ)(ロ)図に示す位置)に上昇し、上記回動板2及び上記載置部3は22.5度回動して次の位置(1つ下流側)に間歇回動して停止し、図7に示すように油揚袋9の開口部9aが上下皮クリップ19,19によって挟持されて開口する。
【0023】
上記クリップ19,19によって開口部9aが開口すると油揚袋9の底部側も既に上記注射針7,7による空気注入によって膨張状態であったため図7に示すように油揚袋9は開口部9aのみならず底部側9’及び底部両隅9”,9”も注入空気によって充分空間を生じ、上記定量しゃり間歇供給装置4によって定量のしゃりRが図10に示すように油揚袋9の内部空間内にピストン22によって押込まれ、稲荷が形成される。上記押込み力を受ける稲荷の移動は稲荷受け26によって阻止され、稲荷の成形後該受け26は図2、図3及び図9に示す位置から矢印a側に回動する。
【0024】
その後上記載置部3の上記稲荷は2つ下流位置において内側移送手段27によって該載置部3の内側に移送され、機外に取卸される。
【0025】
尚図2中28は稲荷を上記載置部3の内側に案内する案内ガイドであるが使用しなくてもよい。29は上記空気注入部及び定量しゃり間歇供給装置4を被覆する機函である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
稲荷充填機における油揚袋押え6の昇降と空気注射針7,7の昇降とを1個の垂直昇降金具5によって上記回動板2の間歇回動とに連動し得るばかりでなく、構造を簡略化し得るばかりでなく、油揚袋9内への空気注入量が少く作業が迅速であり、油揚袋9の底部側9’及びその両隅部9”,9”に空間を充分形成し、定量しゃりを油揚袋9の底部両隅まで確実に充填し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の稲荷充填機における油揚袋空気注入装置を示す斜視図である。
【図2】上記装置の全体平面図である。
【図3】図2A−A線による側面図である。
【図4】垂直昇降金具の平面図である。
【図5】(イ)図は図4を左方から見た正面図、(ロ)図は図4の側面図である。
【図6】(イ)図は上記金具の下降状態側面図、(ロ)図は上記注射針による空気注入状態の側面図、(ハ)図は注射針刺入状態の縦断側面図である。
【図7】油揚袋の上下皮クリップによる油揚袋開口状態の側面図である。
【図8】(イ)図は上下皮クリップの昇降状態側面図、(ロ)図は該クリップの近接状態の側面図である。
【図9】定量しゃり間歇供給装置の平面図である。
【図10】稲荷にしゃりを充填する状態を示す定量しゃり間歇供給装置の側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 機枠
2 水平方向間歇回動板
3 油揚袋載置部
4 定量しゃり間歇供給装置
5 垂直昇降金具
6 油揚袋押え
7 下向空気注射針
8,8’ 発条
9 油揚袋
9’ 底部側
10 直立間歇昇降杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠に水平方向間歇回動板を設け、該回動板の外周に沿って複数の油揚袋載置部を形成し、該載置部の上面に向う定量しゃり間歇供給装置を機枠に設けてなる稲荷充填機において、
上記定量しゃり間歇供給装置の上流側に停止した上記載置部の上方に垂直昇降金具を設け、該金具に油揚袋押え及び下向空気注射針をそれぞれ発条を介して昇降摺動自在に設け、上記金具の昇降により、油揚袋の中程を上記載置部上に上記押えにより上記発条の力で押圧した状態で該油揚袋の底部側に上記注射針により空気を注入するように形成したことを特徴とする稲荷充填機における油揚袋空気注入装置。
【請求項2】
上記垂直昇降金具が上記水平方向間歇回動板の外側に設けた直立間歇昇降杆に設けられ、該間歇昇降杆と上記間歇回動板とを連動させた請求項1記載の稲荷充填機における油揚袋空気注入装置。
【請求項3】
上記油揚袋押えが油揚袋の幅方向であり、かつ上記注射針が2個設けられ、該油揚袋の底部側2ヶ所に空気を注入する請求項1又は2記載の稲荷充填機における油揚袋空気注入装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate