説明

穀物粉に海藻粉末を添加する麺類の製造法。

【課題】本発明は、米粉、小麦粉や澱粉などの穀物原料に、海藻類の熱帯キリンサイ粉末を添加添加することにより粘性、ヌメリ、歯ごたえ、保湿性などの特性を生かした麺類の製造法。
【解決手段】麺類を製造するにあたり添加するキリンサイ粉末の量は、米粉と小麦粉の混合原料に海藻粉末を添加することにより、食感がよく保湿性の高い麺となる。米粉と小麦粉の混合比により海藻粉末の添加量は異なるので、その添加量は使用目的にあわせて解決する手段の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に用いる熱帯キリンサイ類は、フィリピン、インドネシアなどで事業規模の養殖が広く行われており、抽出されて粘質多糖類のカラギーナンとなる。熱帯海域のハワイ、フィリピン、ポリネシア諸島では、熱帯キリンサイ類は野生しており、伝統的な料理としてこれらを温湯に数秒入れて透明になったら、玉ねぎやトマトと混ぜた海藻サラダがある。ベトナムでは乾燥したキリンサイ類が売られており、これを水で戻して裁断して果汁やシロップ液に入れて清涼食品として食べられている。彼らはキリンサイ食品を健康によいと食用にしている(非特許文献1)。
熱帯キリンサイ類の仲間のネッタイキリンサイKappaphycus alvareziiとキリンサイEuchuema denticulatum の2種が事業的に養殖されているが、単独あるいは混合して養殖されていることが多いので、熱帯産キリンサイ養殖と水産業界では呼ばれている。養殖されているキリンサイ類は、粘質多糖類のカナギーナンの原料として用いられている。
従来、麺類を製造する時は、食感の向上と品質の保存性の向上の目的で種々の添加物が用いられている。麺類では食感をよくするために、寒天成分の添加が行われている(特許文献1)。あるいはグアーガム、タマリンドなどの種子植物粉末などが粘性を高めるための食感改良剤として用いている(特許文献2)。
熱帯キリンサイ粉末は水溶性の食物繊維を含み、温湯で溶解し粘性が高まり、独特の物性的な特性があり食感改良材となる。しかしながら、熱帯キリンサイは日本で生産されていなかったことから、キリンサイ類の海藻粉末を麺類に添加することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2795424号公報
【特許文献2】特開2000−236829号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】大野正夫 2004. 世界の海藻資源の概観. 大野正夫編有用海藻誌、297-330.内田老鶴圃、東京。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱帯キリンサイ粉末には粘性、ヌメリ、歯ごたえ、保湿性などの特性があり、その効果を小麦粉、米粉や澱粉など穀物粉からの麺類に生かす添加量の配合を定めた製造法。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、小麦粉、米粉,澱粉などの穀物粉を用いて麺類の製造するにあたり、白色化した熱帯キリンサイ粉末を添加することを特徴とする製造法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、穀物粉に熱帯キリンサイ粉末の添加によって、ヌメリがでて、粘弾性にすぐれ、しかも、保湿性があり、長く品質が保たれる。特に米粉と小麦粉の混合原料にキリンサイ粉末を添加することにより、食感がよく保湿性のある麺類が製造できる。しかも熱
帯キリンサイ粉末に含まれる水溶性食物繊維が添加されるので健康志向の時代にも合う。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明方法は、小麦粉、米粉、そば粉、澱粉などの穀物粉を麺類の原料とし、これに麺類の種類によって食塩、仕込み水などを加え、さらに熱帯キリンサイ粉末を添加し麺生地を得、これを複合、圧延、引き出しの各工程を経た後に最終麺類形態に整えて、蒸し、あるいは乾燥の工程を行うことにより目的にあった麺類を製造することができる。
【0009】
本発明に用いるキリンサイ粉末添加の特徴は、ネッタイキリンKappaphycus alvareziiはヌメリやコシがでる特徴があり,キリンサイEuchuema denticulatum は特有のコリコリ感の食感があり、用途により単独か混合して用いる。
【0010】
熱帯キリンサイ粉末の製法は、乾燥されている原料を水洗いし、天日乾燥によって脱色し、さらに機械乾燥をさせて水分含有量を20%以下にして、粉砕機に投入する工程を経て脱塩、脱色した粉末になる。麺類の使用目的にあわせたサイズを10ミクロンから100ミクロンの粉末に粉砕する。10ミクロン以下の粉末になると水との混合時に細かい団子になりやすく、100ミクロン以上の粉末では、穀物粉との混合が均一になりにくい。粉末の範囲は10ミクロンから100ミクロンの範囲にする。
【0011】
本発明方法におけるキリンサイ粉末の使用量は、乾物換算で、穀物粉末の1%から5%の範囲で、重量比2%が最も好ましい。この添加量が1%重量比より少ないと本発明の効果が得られず、一方、多すぎると効果が軽減する。
【0012】
本発明の麺類製造法において、キリンサイ類粉末は、少量の場合は最初の段階、穀物粉原料と混合させてから行うが、含有量が多い場合はキリンサイ溶液にしてから添加が必要である。
【0013】
本発明方法により得られる麺類とは、うどん、きしめん、そば、中華麺などを指称するものである。これらの麺類は最終商品形態に応じて生麺、半生麺、乾燥麺の形態に調整することができる。
【実施例】
【0014】
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例をあげるが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0015】
実施例1小麦粉をもちいた麺類の製法
小麦粉68% と仕込み水(キリンサイ粉末を適量加算)32%を混合し横型ミキサーに投入し15分攪拌・混捏した。仕込み水には3.5%の食塩水にキリンサイ粉末(表に示す1〜5%の範囲)とエタノール(食塩水当たり2%)を混合した。混捏後ねかし、圧延して麺生地とした。生麺は、麺厚2.5mmとし、これを切刃#12角で切り出した。この生麺を計量し冷蔵庫に保管し熟成させて包装し出荷する。ゆで麺は圧延して得られた生麺をゆでて軽量して包装して冷蔵庫に保管後出荷した。
【0016】
【表1】

表1は麺類製法におけるキリンサイ粉末混合の効果を表した。
この結果は、小麦粉を用いた麺では、総合的な判断ではキリンサイ粉末の添加量は2%が最良であった。
【0017】
実施例2 米粉と小麦粉の混合粉によるうどん麺類の製造方法
1.重量比で米粉92%、米粉62%、米粉52%、米粉42%とそれぞれ小麦粉0%、小麦粉30%、小麦粉40%、小麦粉50%の配合比に混合したものに、小麦たんぱく5%、タピオカ澱粉(アセチル化)3%を混合して総合配合100%原料とした。仕込み水は、まず、水にキリンサイ粉末(表に示す1.0%から4%)の範囲)とトレハロース3%、水で加算して100%となるように加えて加熱溶解しキリンサイ溶液を作った。仕込みは、食塩3%の水にアルコール2%、植物油1%、キリンサイ溶液94%を加えた液を最終仕込み水とした。原料60%と仕込み水40%に調整した。これらを横型ミキサーで20分間混捏した後、常法の複合、圧延し麺体圧2.5mmとし、切刃#12角で切り出して米粉(小麦粉添加)うどんにした。
【0018】
試験結果は米粉42%から62%までの範囲で、米粉と小麦粉混合のつなぎの良いうどんができるが、もっと良好な配合は、米粉62%と小麦粉30%の配合比の麺類が、もっともつなぎがよく、保湿性がよく保たれて、パサパサ感がなかった。
【0019】
【表2】

表2は米粉62%(小麦粉30%)麺類製法におけるキリンサイ粉末混合の効果を表した。
以上の結果から、キリンサイ粉末を添加すると1%から4%の範囲で良好な麺ができるが、米粉麺に関しも小麦粉のみの麺と同様に添加量2%で、最もつなぎが良くなり、つるつる感などの品質もほぼ小麦粉のみの面と変わらない製品が製造できた。
【0020】
実施例3米粉と小麦粉混合原料による中華麺の製造方法
米粉59〜60%、小麦粉30%、小麦タンパク6%、タピオカ澱粉(アセチル化)2%、キリンサイ粉末1〜2%、卵白1%を横型ミキサーで混合した。仕込み水(練り水)は食塩1.5%、トレハロース2%、アルコール(エタノール)2%、棋粉1.5%、植物油1%、クチナシ色素0.2%を溶解して5.5%の仕込み水した。この練り水をミキサ
ーに投入して20分間混捏した後、常法の複合、圧延をして麺帯厚mmにして切刃#18角で切り出して米粉(米つ粉)中華麺とした。
【0021】
【表3】

表3は米粉と小麦粉混合原料にキリンサイ粉末を添加した中華麺製造法の効果を表した。
以上の結果から熱帯キリンサイ粉末の添加量は1〜2%の範囲で品質の高い米粉中華麺が製造できた。
【産業上の利用可能性】
【0022】
食品分野に熱帯キリンサイ粉末の利用の市場が開拓できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物粉に熱帯海藻キリンサイの粉末を添加することを特徴とする麺類の製造法。
【請求項2】
請求項1の製造法の熱帯キリンサイと呼ぶ海藻粉末は、ヌメリの特徴をもつネッタイキリンサイKappaphyus alvareziiとコシの食感に特徴を持つキリンサイEuchuema denticulatumの2種を用い、白色化された粉末で10ミクロンから100ミクロンの範囲にする製造法。
【請求項3】
熱帯海藻キリンサイの添加量は穀物重量比で1%から5%の範囲で粘性、ヌメリ、コシと保湿を保つ製造法。
【請求項4】
重量比で米粉を42%から62%の範囲、小麦粉を30%から50%の範囲、その他の添加物を8%入れた穀物粉(総重量比100%)に、キリンサイ粉末を添加することにより、特徴のある食感と保湿性をもつ麺類の製造法。



【公開番号】特開2010−178713(P2010−178713A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27157(P2009−27157)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(502226988)
【Fターム(参考)】