説明

穀物香味シロップ及びそれを使用した飲料

【課題】穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した高香味を有する穀物香味シロップ、その製造方法、及び、該穀物香味シロップを用いて製造した新規香味を有する容器詰飲料を提供すること。
【解決手段】糖類を水に溶解して調製された糖液に、焙煎穀物を添加し、加熱により熱水中で穀物を煮出し・可溶成分を抽出した後、濾過して穀物抽出残渣を取り除いて製造することにより、穀物由来の香ばしい香立ちとほどよい甘味、すなわち、香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した新規な穀物香味シロップを製造する。本発明の方法によって調製された穀物香味シロップを原料として用いることにより、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した新規な高香味を有する容器詰め飲料を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物由来の香ばしい香立ちとほどよい甘み、すなわち、香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した高香味を有する穀物香味シロップ、その製造方法、及び、該穀物香味シロップを用いて製造した新規香味を有する容器詰飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の嗜好の多様化に伴って、様々な風味、香味を有する加工飲食品へのニーズが高まり、多種の風味、香味を有する加工飲食品が提供されている。該加工飲食品においては、香料や調味材料を添加する等により風味や香味の付与が行なわれるが、昨今は、香料や調味材料を外部から添加することによって香味を向上させるのではなく、その飲食品原料そのものの味によって調味・調香したものが好まれるという傾向がある。
【0003】
ところで、清涼飲料などを初めとする一般に市販される加工食品は、添加可能な原料や原料費用に限界があることもあって、原料素材の味を主体にして、多種の風味、香味を有する加工飲食品を提供しようとしても、香味設計されうる製品の範囲はそれほど広くはない。したがって、このような場合には、適宜、原料素材に適合する天然の香料や調味材料が用いられている。その様な調味材料の一つとして、糖類が用いられている。
【0004】
糖類は、基本的には甘味料として利用されているが、糖類を飲食品の調製に用いて、飲食品の香味付け等を行なうことも開示されている。例えば、麦茶の製造に際しては、焙焼する原料麦に、単糖類、二糖類、水飴、蜂蜜等の溶液を含浸させ、これを加熱焙焼することにより香味の高い麦茶を製造することが開示されている(特公昭50−3399号公報、特公昭63−16116号公報)。また、糖液をシロップの形態で用いて、飲食品の香味付けを行なう方法も開示されている。例えば、シロップに穀物を漬け込んでそれをパンやベーカリー製品に利用し、該食品の風味や食味の良好な製品を提供する方法が開示されている(特開2004−201593号公報)。しかし、これはあくまでも穀類をそのままパン等に配合する便宜上、シロップ漬けにしたものにとどまるものであり、シロップを用いて穀類の香味を抽出し利用しようというものではない。
【0005】
ここで、シロップとは一般的に糖類の濃厚水溶液を指す。加工飲食品でよく用いられる液糖はシロップの一種であり、デンプンを酵素分解、或いは、酸分解して製造されることが多い。通常、それらは製造工程中にイオン交換処理等の精製処理が組み込まれているため、当該糖分が有する甘味以外は無味無臭の製品として製造販売されている。シロップは、製菓、製パン、果実缶詰、飲料工業、ビール等の醸造工業等、多方面の食品製造原料として多用されており、また、アイスコーヒーやアイスティー等の甘味料としても用いられている。
【0006】
シロップは、通常無色透明ないしは淡黄色、無臭であるが、シロップの用途に応じ、色や香味付けをした各種のシロップ類が知られている。例えば、香味が付与されたシロップ類としては、カエデの樹液から製造したメイプルシロップやハチミツなど天然から得られるシロップ類や、イチゴやマーマレードなどの果実をシロップで煮詰めたジャム類などが市販、流通されている。また、特開平5−56759号公報には、液糖にアルコール飲料を添加混合した後、加熱し、アルコールを蒸発除去させた味付きシロップが、特開2005−102573号公報には、糖液に細片化した野菜その他の動植物性食品を加え、加熱して動植物性食品の香味成分を糖液中に抽出した香味シロップが開示されている。
【0007】
このように従来、シロップの用途に応じ、色や香味付けをした各種のシロップ類が知られているが、しかしながら、穀物由来の香味成分を利用した香味シロップについては知られていなかった。
【0008】
【特許文献1】特公昭50−3399号公報。
【特許文献2】特公昭63−16116号公報。
【特許文献3】特開平5−56759号公報。
【特許文献4】特開2004−201593号公報。
【特許文献5】特開2005−102573号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、穀物由来の香ばしい香り立ちとほどよい甘み、すなわち、香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した高香味を有する穀物香味シロップ、その製造方法、及び、該穀物香味シロップを用いて製造した新規香味を有する容器詰飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、天然素材を用いた香味シロップの開発について、鋭意検討する中で、思いがけずも焙煎穀物を糖類が含まれる熱水中で煮出し・可溶成分を抽出した後、濾過して穀物抽出残渣を取り除いてシロップを製造することによって、単に穀物の熱水抽出物とシロップをそれぞれ別個に調製して、組合せただけでは得られなかった、新規な特徴ある香味を有するシロップが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、糖類を水に溶解して調製された糖液に、焙煎穀物を添加し、加熱により熱水中で穀物を煮出し・可溶成分を抽出した後、濾過して穀物抽出残渣を取り除いて製造することにより、穀物由来の香ばしい香立ちとほどよい甘み、すなわち、香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した新規な穀物香味シロップを製造することよりなる。本発明において、使用する焙煎穀物は、いわゆる焙煎処理、すなわち水分量を減少させ、香ばしい風味を付与するために加熱処理を行なった穀物である。特に焙煎した大麦の全粒を用いることが好ましい。
【0012】
本発明において、使用する糖類は、単糖類、二糖類、水飴、蜂蜜等の種々の糖類を用いることができるが、飲料等に用いる香味シロップの調製には、蔗糖又は黒糖を用いることが特に好ましい。本発明において、穀物香味シロップの調製に際しては、煮出し液の初発糖度を、ブリックス度で、5〜70゜Bxに調製することが好ましい。本発明においては、本発明の方法によって調製された穀物香味シロップを原料として用いることにより、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した新規な高香味を有する容器詰め飲料を製造することができる。
【0013】
すなわち具体的には本発明は、(1)糖類を水に溶解して調製された糖液に、焙煎穀物を添加し、加熱により熱水中で穀物を煮出し・可溶成分を抽出した後、濾過して穀物抽出残渣を取り除いて製造することを特徴とする穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した穀物香味シロップの製造方法や、(2)糖液に添加する焙煎穀物として、焙煎した大麦の全粒を用いることを特徴とする上記(1)記載の穀物香味シロップの製造方法からなる。
【0014】
また本発明は、(3)上記(1)又は(2)記載の穀物香味シロップの製造方法によって製造された、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した穀物香味シロップや、(4)上記(3)記載の穀物香味シロップを原料として製造した、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した高香味を有する容器詰め飲料からなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、天然素材である、穀物由来の香ばしい香立ちとほどよい甘み、すなわち、香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した従来のシロップにはない新規な特徴のある高香味を有する穀物香味シロップを提供することができる。本発明の穀物香味シロップは、その香味を生かして、種々の飲食品の製造原料として用いることができるが、特に、該穀物香味シロップを原料として容器詰め飲料を製造することにより、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した新規な高香味を有する嗜好性の高い容器詰め飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、糖類を水に溶解して調製された糖液に、焙煎穀物を添加し、加熱により熱水中で穀物を煮出し・可溶成分を抽出した後、濾過して穀物抽出残渣を取り除いて製造することにより、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した穀物香味シロップを製造することからなる。
【0017】
(穀物)
(1)本発明で使用する焙煎穀物の原料は、例えば大麦、小麦、ライ麦、米、そば、とうもろこし等食用の穀物を用いることができ、特に、食用の穀物の特定のものに限定されない。
(2)本発明の穀物香味シロップを、容器詰め飲料に用いるに際して、その香ばしさや、飲料としての調和された香味を付与する点では、麦類、特に大麦を原料とすることが望ましい。
(3)本発明で使用する焙煎穀物は、上記穀物を焙煎処理したものである。焙煎処理条件には特に限定がなく、水分量が減少し、香ばしい香味が付与する程度に加熱処理が行なわれていればよい。具体的な表面温度範囲の例としては150℃以上270℃以下程度を指し、処理時間は5分間程度から30分間程度である。より具体的には、表面温度230℃〜250℃で10分間程度処理するのが好ましい。また更に、香味シロップ調製の際などに再度焙煎処理を行なってもよい。
(4)本発明の穀物香味シロップの製造方法において、糖液に添加する焙煎穀物は、粉砕した穀物を使用することも可能であるが、粉砕するとオリ(沈殿)が発生しやすいので粉砕せずに、全粒の形で使用することが好ましい。
【0018】
(糖類)
本発明で糖液の原料として用いる糖類としては、ショ糖(グラニュー糖)、ブドウ糖、麦芽糖、各種オリゴ糖などいずれも使用可能である。また、メイプルシロップ、ハチミツ、黒糖溶液などそれ自体が甘味以外の香味を有していても使用可能である。本発明において、容器詰め飲料の製造に用いる穀物香味シロップの製造に用いる糖類としては、その香味の調和の観点から、ショ糖(グラニュー糖)又は黒糖が特に好ましい。本発明における穀物香味シロップの製造において、穀物の煮出し・可溶成分の抽出に用いる煮出・抽出液の濃度は、通常、ブリックス度5〜70゜Bxのものを用いることができるが、香味上ではその濃度に特に限定はない。しかし、濃度が高くなりすぎると濾過が困難になって作業上の問題が出るので、初発濃度が5〜20゜Bx、最終濃度が20〜30゜Bx程度が特に好ましい。
【0019】
(煮出し・抽出処理)
本発明において、糖液に焙煎穀物を添加し、加熱により熱水中で穀物を煮出し・可溶成分の抽出を行なう処理条件は、沸騰させながら、最低でも10分間以上、好ましくは60分間程度煮出し・可溶成分の抽出を行なうことが好ましい。該煮出し・可溶成分の抽出を、加圧・加熱条件で行なうことも可能である。
【0020】
(煮出し・抽出処理後の処理)
本発明においては、糖液に焙煎穀物を添加し、加熱により熱水中で穀物を煮出し・可溶成分の抽出を行った後、濾過して穀物抽出残渣を取り除いて、香味シロップを取得する。濾過により穀物抽出残渣を取り除くには、80メッシュ程度の濾過フィルターを用い、穀物抽出残渣を取り除く。また、糖分濃度が高い場合などには、事前に穀物を袋に入れて抽出し、袋ごと使用した穀物を取り除くことでもよい。
【0021】
(容器詰め飲料の調製)
本発明において、容器詰め飲料の製造には、本発明の製造方法により製造された穀物香味シロップを、飲料の原料として使用する場合を除くほか、通常の容器詰め飲料の製造方法と特に相違することはない。通常、容器詰め飲料の製造に用いられている調味料、香料、及びその他の添加剤を、穀物香味シロップの本来の香味を損なわない範囲で、適宜添加することができる。本発明の容器詰め飲料は、通常、飲用に供されている濃度の製品として調製することができるが、製品化に際して、加熱・攪拌しつつ必要に応じて濃縮して、濃縮状態の製品としても良い。
本発明の容器詰め飲料は、缶、ビン、ペットボトル、紙容器、プラスチック製カップ容器等の容器詰め飲料として、調製することができる。容器サイズは、通常、流通、販売に供されているサイズの容器を適宜用いることができるが、大型の缶やBIBなど公知の大型サイズのものを使用することができる。例えば1斗缶にホットパック充填したものをレトルト殺菌したようなものを用いることができる。
【0022】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、実施例、比較例で使用した焙煎大麦は、表面温度240℃で10分間焙煎したものを使用した。
【実施例】
【0023】
[実施例1]
グラニュー糖を水に溶かして15゜Bxになるように調製した糖液(100kg)に、焙煎大麦(10kg)を添加した。その後、加熱をおこない沸騰状態で60分間に渡り煮出しをおこなった。終了時の糖濃度は20゜Bxにまで濃縮されていた。その後、フィルターで焙煎大麦抽出残さを取り除き、更に、グラニュー糖(50kg)と水(30kg)を加えて、加熱攪拌をおこないつつ70゜Bxになるまで濃縮をおこない、ビニールパウチ容器に充填して、実施例1のシロップを調製した。
【0024】
[実施例2]
グラニュー糖を水に溶かして15゜Bxになるように調製した糖液(100kg)に、焙煎大麦(14kg)を添加した。その後、加熱をおこない沸騰状態で60分間に渡り煮出しをおこなった。終了時の糖濃度は20゜Bxにまで濃縮されていた。その後、フィルターで焙煎大麦抽出残さを取り除き、さらにグラニュー糖(50kg)と水(30kg)を加えて、加熱攪拌をおこないつつ70゜Bxになるまで濃縮をおこない、ビニールパウチ容器に充填して、実施例2のシロップを調製した。
【0025】
[実施例3]
黒糖を水に溶かして70゜Bxになるように調製した糖液(100kg)に、焙煎大麦を更に表面温度170〜180℃で10分間焙煎した大麦(13kg)を添加した。その後、加熱をおこない沸騰状態で60分間に渡り煮出しをおこなった。その後、フィルターで麦を取り除き、10分程度加熱攪拌をおこなった。70゜Bxになるように水分調整をおこなったあと、ビニールパウチ容器に充填して、実施例3のシロップを調製した。
【0026】
[比較例1]
水(3kg)に、焙煎大麦を更に表面温度165〜170℃で10分間焙煎した大麦(50g)を添加した。その後、加熱をおこない沸騰状態で30分間に渡り煮出しをおこなった。その後、フィルターで大麦抽出残さを取り除き、黒糖(1.4kg)を加え、45゜Bxになるよう加水した後、70゜Bxになるまで濃縮をおこない、ビニールパウチ容器に充填して、比較例1のシロップを調製した。
【0027】
[比較例2]
水(2.5kg)に、焙煎大麦を更に表面温度175〜185℃で10分間焙煎した大麦(200g)を添加した。その後、加熱をおこない沸騰状態で60分間に渡り煮出しをおこなった。その後、フィルターで焙煎大麦抽出残さを取り除き、グラニュー糖(1.9kg)を加え、60゜Bxになるよう加水した後、10分程度加熱攪拌をおこなった。70゜Bxになるまで濃縮をおこない、ビニールパウチ容器に充填して、比較例2のシロップを調製した。
【0028】
[実施例4]
グラニュー糖を水に溶かして70゜Bxになるように調製した糖液(100kg)に、焙煎大麦(7.0kg)を添加した。その後、密閉加圧釜にて110℃で45分間に渡り、煮出しをおこなった。その後、フィルターで焙煎大麦抽出残さを取り除き、10分程度加熱攪拌をおこなった。70゜Bxになるように水分調整をおこなったあと、ビニールパウチ容器に充填して、実施例4のシロップを調製した。
【0029】
[実施例5]
グラニュー糖を水に溶かして70゜Bxになるように調製した糖液(100kg)に、焙煎大麦を更に表面温度155〜160℃で10分間焙煎した大麦(12.6kg)を添加した。その後、密閉加圧釜にて110℃で45分間に渡り、煮出しをおこなった。その後、フィルターで焙煎大麦抽出残さを取り除き、10分程度加熱攪拌をおこなった。70゜Bxになるように水分調整をおこなったあと、ビニールパウチ容器に充填して、実施例5のシロップを調製した。
【0030】
[実施例6]
グラニュー糖を水に溶かして70゜Bxになるように調製した糖液(100kg)に、焙煎大麦を更に表面温度155〜160℃で30分間焙煎した大麦(22kg)を添加した。その後、密閉加圧釜にて121℃で24分間に渡り、煮出しをおこなった。その後、フィルターで麦を取り除き、10分程度加熱攪拌をおこなった。70゜Bxになるように水分調整をおこなったあと、ビニールパウチ容器に充填して、実施例6のシロップを調製した。
【0031】
[実施例7]
この実施例において、スケールアップしてシロップを調製した例を示す:グラニュー糖を水に溶かして16.5゜Bxになるように調製した糖液(400kg)に、事前に不織布の袋に入れた焙煎大麦(40kg)を添加した。その後、加熱をおこない沸騰状態で60分間に渡り煮出しをおこなった。終了時の糖濃度は70゜Bxにまで濃縮されていた。その後、焙煎大麦抽出残さを袋ごと取り除き、さらにグラニュー糖(214kg)と水(75kg)を加えて、加熱攪拌をおこないつつ70゜Bxになるまで濃縮をおこない、18Lクリンプ缶にホットパック充填し、その後レトルト殺菌を行い、実施例7のシロップを調製した。
【0032】
[評価例]
上記実施例及び比較例で得られたシロップを以下の方法で官能評価を行なった。官能評価は次の方法に従った:官能評価を熟練した5名のパネリストによっておこなった。評価項目は、「香り立ち」、「ロースト感」、「総合評価」を5点満点で評価した。採点:[非常に悪い1点、悪い2点、普通3点、良い4点、非常によい5点]
【0033】
【表1】

【0034】
[実施例8]
<飲料の製造例(1)>
焙煎大麦を使用した実施例7の穀物香味シロップ(70°Bx、pHは5.0)40kgを温水で溶解した後、クッションタンクへ投入した。更に、コーヒー抽出液40kg、溶解したグラニュー糖170kg、乳製品120kg、デキストリン60kg、香料4.4kg、炭酸水素ナトリウム2.8kgをクッションタンクへ投入した。この溶解液を牛乳1200kgを入れた調合タンクへ投入し、最終的に総量4000kgの調合液に仕上げた(乳成分量 30重量%、コーヒー抽出液 1重量%、大麦シロップ 1重量%)。
【0035】
出来上がった調合液を、さらにストレーナーを通した後、チューブラー殺菌機で殺菌後、速やかに冷却を行い、別途用意した洗浄済みのチルドカップに充填し、アルミ蓋を取り付け、本発明の飲料を製造した。本飲料は、後味に大麦の香ばしい香りと優しい甘さが口に残り、非常に嗜好性が高い飲料であった。
【0036】
[実施例9]
<飲料の製造例(2)>
焙煎大麦を使用した実施例7の穀物香味シロップ(70°Bx、pHは5.0)50gを温水で溶解した後、更に、コーヒー抽出液50g、溶解したグラニュー糖210g、乳製品150g、デキストリン75g、炭酸水素ナトリウム3.5gを10Lステンレスジョッキへ投入した。この溶解液に牛乳1500gを投入し、最終的に総量5kgの調合液に仕上げた(乳成分量 30重量%、コーヒー抽出液 1重量%、大麦シロップ 1重量%)。出来上がった調合液を、更に、ストレーナーを通した後、チューブラー殺菌機で殺菌後、速やかに冷却を行い、別途用意した洗浄済みのチルドカップに充填し、アルミ蓋を取り付け、本発明の飲料を製造した。
【0037】
本飲料は、香料を使用せずとも後味に焙煎大麦の香ばしい香りと優しい甘さが口に残り、非常に嗜好性が高い飲料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類を水に溶解して調製された糖液に、焙煎穀物を添加し、加熱により熱水中で穀物を煮出し・可溶成分を抽出した後、濾過して穀物抽出残渣を取り除いて製造することを特徴とする穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した穀物香味シロップの製造方法。
【請求項2】
糖液に添加する焙煎穀物として、焙煎した大麦の全粒を用いることを特徴とする請求項1記載の穀物香味シロップの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の穀物香味シロップの製造方法によって製造された、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した穀物香味シロップ。
【請求項4】
請求項3記載の穀物香味シロップを原料として製造した、穀物由来の香立ちの高いかつロースト感と甘味の調和した高香味を有する容器詰め飲料。