穀稈引起し装置
【課題】穀稈引起し装置の構成を簡単にし、藁屑類の引っ掛かりを少なくし、騒音を低くして耐久性を向上させる。
【解決手段】引起しラグの退避案内部材を、肉厚の第1退避案内部と、下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部と、下方に延びる肉薄の第3退避案内部により構成する。引起しチェンと第1退避案内部の間に、該チェン移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を形成し、引起しチェンと第2・第3退避案内部の間に、該チェン移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を形成する。
【解決手段】引起しラグの退避案内部材を、肉厚の第1退避案内部と、下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部と、下方に延びる肉薄の第3退避案内部により構成する。引起しチェンと第1退避案内部の間に、該チェン移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を形成し、引起しチェンと第2・第3退避案内部の間に、該チェン移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の穀稈引起し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀稈引起し装置において、緩衝部材に、引起しラグを受け止める下向きの接触片をチェンの移動方向に沿って複数本並列形成し、左右の上部輪体に亘って張設されたチェンの引込み直線経路の延長線の近傍にチェン移動方向の最上手に位置する先頭接触片の先端を位置させ、引起しラグが引起し姿勢で上方に移動した後、チェンの前記引込み直線経路に沿った姿勢で先頭接触片の先端部に接触して引起しケースに引込み移動するように構成したものは公知である(特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−42752号公報
【特許文献2】実開昭64−6835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、穀稈引起し装置において、構成を簡単にしコストの低減を図りながら、藁屑類の引っ掛かりを少なくし、引起しラグの退避時の騒音を低くしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、多数の引起しラグ(14,…)を引起しチェン(11)に軸着し、該引起しチェン(11)を上部の複数のスプロケット(13a,13b)と下部のローラ(12)とにわたって巻き掛け、前記多数の引起しラグ(14,…)をその移動軌跡の上端部付近で引起しケース(7c)内に退避案内する退避案内部材(17)を設け、該退避案内部材(17)を正面視で引起しケース(7c)の左右幅内に配置し、該退避案内部材(17)を、前記上部の複数のスプロケット(13a,13b)の上方に配置した肉厚の第1退避案内部(17a)と、該第1退避案内部(17a)の端部から引起しラグ(14,…)の退避側に向けて下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部(17b)と、該第2退避案内部(17b)の端部から下方に延びる肉薄の第3退避案内部(17c)により構成し、前記引起しチェン(11)と前記第1退避案内部(17a)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を形成し、前記引起しチェン(11)と第2退避案内部(17b)及び第3退避案内部(17c)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を形成したことを特徴とする穀稈引起し装置とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、上部の複数のスプロケット13a,13bの上方に配置した肉厚の第1退避案内部17aと、該第1退避案内部17aの端部から引起しラグ14,…の退避側に向けて下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部17bと、該第2退避案内部17bの端部から下方に延びる肉薄の第3退避案内部17cを連続的に構成しているので、構成が簡単でコストの低減を図りながら、藁屑類の引っ掛かりを少なくすることができる。また、引起しラグ14,…は、引起しチェン11と前記第1退避案内部17aとの間に形成した該引起しチェン11移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を通過しながら退避案内され、引起しチェン11と第2退避案内部17b及び第3退避案内部17cとの間に形成した該引起しチェン11移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を通過しながら退避案内されるので、衝突時の騒音を低く押さえることができ、引起しラグ14,…の摩耗等を少なくして耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
まず、図1乃至図3基づき本発明を具備するコンバインの全体構成について説明する。図1にはコンバインの全体側面図、図2には全体平面図、図3には正面図が図示されている。コンバイン1の走行車台2の下方には左右走行クローラ3,3を配設し、走行車台2上に脱穀部4を搭載し、走行車台2の前側部には刈取搬送部5を昇降自在に設けている。この刈取搬送部5は、複数の分草杆6,…、穀稈引起し装置7、刈刃装置8、穀稈搬送装置(図示省略)等により構成している。
【0007】
前記構成により、コンバイン1の回転各部を駆動し走行し刈取作業を開始すると、走行クローラ3,3が回転して走行車台2は走行を開始し、圃場の穀稈は刈取搬送部5の前側部の分草杆6,…により穀稈条列毎に分草されながら穀稈引起し装置7,…に案内され、引起しラグ14,…により引き起される。そして、引起しされた穀稈は刈刃装置8で刈り取られ、穀稈搬送装置(図示省略)により後方に搬送され、脱穀部4のフィードチエンに引き継がれる。
【0008】
次に、図4乃至図6に基づき穀稈引起し装置7について説明する。穀稈引起し装置7は、引起しケースアッパ7aと引起しケースロワー7bを接合固着し、引起しケース7cを構成しいる。この引起しケースロワー7bの上下部には、上部スプロケット(引起し側 スプロケット)13a,上部スプロケット(退避側 スプロケット)13b及び下部ローラ(ローラ)12を軸架し、これらのスプロケット13a,13bおよびローラ12に、引起しラグ14,…を所定間隔毎に枢支している引起しチェン11を巻回している。
【0009】
引起しケース7cの左右一側の引起し側には、引起しチェン11の内側に沿うように上下方向に長い引起しガイドレール15を設け、引起しケース7cの左右他側の退避側下部には、下部ローラ12の上部近傍に起立ガイド片16を設け、ケース上部には引起しラグ14の退避案内用の退避ガイドレール(退避案内部材)17を設けている。また、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右引起しガイドレール18a,18aを、引起しガイドレール15に対向して設け、下部スプロケット12の下部周面に沿うように、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右下部起立ガイド18b,18bを設けている。
【0010】
前記構成によると、下側に回動した引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが起立ガイド片16に当接して、ケース下部で引起しラグ14,…は起立し突出状態となり、下部スプロケット12の下方を左右下部起立ガイド18b,18bに沿って退避側から引起し側に向けて回動する。次いで、引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15に当接支持され、起立状態を維持しながら上方に移動する。
【0011】
そして、引起しラグ14,…が引起しケース7cの上部に移動し、左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15の上側端部から解放されると、引起しラグ14の先端部が退避ガイドレール17に当接して退避回動しケース内に収納され、ケースの退避側では退避状態のまま下方に移動する。
【0012】
次に、図6に基づき退避ガイドレール17について更に具体的に説明する。
穀稈引起し装置7のフレーム部に引起し駆動パイプ21を垂下状に支持し、引起し駆動パイプ21の下端部に取り付けたブラケット21aに、引起し側軸21b,退避側軸21cを介して上部スプロケット(引起し側)13a,上部スプロケット(退避側)13bを支架している。また、引起し駆動パイプ21の上下中途部にブラケット21dを取り付け、このブラケット21dに引起し側ピン22a,退避側ピン22bを介して退避ガイドレール17を取り付けている。しかして、退避ガイドレール17は上部スプロケット(引起し側)13a及び上部スプロケット(退避側)13bに沿って回動する引起しチェン11に対向配置されている。
【0013】
また、この退避ガイドレール17は正面視で引起しケース7cの左右幅内に収まるように構成されていて、引起し側の左右方向略水平状の肉厚の退避ガイドレール(引起し側 第1退避案内部)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの退避側端部に接続されていて、下り傾斜で順次肉薄になりながら退避側に伸びる退避ガイドレール(中間 第2退避案内部)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの退避端部に接続されていて、下方に伸びる肉薄の退避ガイドレール(退避側 第3退避案内部)17cにより構成されている。そして、退避ガイドレール(引起し側)17aの左右両側部が内外ピン22a,22bによりブラケット21dに支持されている。
【0014】
そして、正面視で退避ガイドレール(引起し側)17aと上部スプロケット(引起し側)13aの間に巻き掛けた引起しチェン11との間に空間部を介在させ、上部スプロケット(引起し側)13aより上部スプロケット(退避側)13bを下方に配設して、退避側に下り傾斜で引起しチェン11が移動し、退避ガイドレール(引起し側)17aを左右水平状に配設し、上手側の引起し側の空間部が上下幅狭で、下手側の退避側が上下幅広になるるように構成している。また、引起しラグ14,…の左右幅と退避ガイドレール17の幅とを略同じに構成し、引起しラグ14の左右基部摺動部14a,14aの幅よりも狭く構成している。
【0015】
前記構成によると、退避ガイドレール17を、退避ガイドレール(引起し側)17a、退避ガイドレール(中間)17b及び退避ガイドレール(退避側)17cとにより、引起しラグ14の移動方向に沿った連続したシンプルな長手状に構成し、引起しラグ14,…の穀稈引起し面の幅と退避ガイドレール17の幅を略同じにして対向配置しているので、退避ガイドレール17への藁屑類の引っ掛かりを少なくすることができる。
【0016】
前記構成によると、上部スプロケット(引起し側)13aから上部スプロケット(退避側)13bに向けて引起しラグ14が退避回動する際に、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側から下手側に向けて順次広くなる空間部が形成されているので、引起しラグ14と退避ガイドレール17との衝突時の騒音を低く押さえることができる。
【0017】
また、図6(C)に示すように、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部、及び、退避ガイドレール(中間)17bの中途部を、ピン22a,22bにより接近した状態でブラケット21dに支持すると、退避ガイドレール(引起し側)17aが引起しラグ14に衝突した時にピン22a回りに上側に回動し逃げることができ、衝撃を弱めながら前記効果を奏する。
【0018】
また、退避ガイドレール17を図7のように構成してもよい。退避ガイドレール17を正面視で引起しケース7cの内外幅内に収まるように配設し、引起し側の左右方向略水平状態の肉厚の退避ガイドレール(引起し側)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部に接続されている下り傾斜で順次肉薄になりながら伸びる退避ガイドレール(中間)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの下端部に接続されていて下方に伸びる肉薄状の退避ガイドレール(退避側)17cと、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側端部に接続している退避案内ガイドレール(始端側)17dとで構成する。そして、退避案内ガイドレール(始端側)17dの上手側端部を引起し側に下り傾斜状で、肉厚が順次薄くなるように延出し、上部スプロケット(引起し側)13aに沿って回動する引起しチェン11に対して、所定間隔隔てた上方に側に位置するように配設し、退避案内ガイドレール(始端側)17dと引起しチェン11との間隔を上手側で狭く下手側ほど順次広くなるように構成している。
【0019】
前記構成によると、退避案内ガイドレール(始端側)17dの肉厚の薄い上手側部により、引起しラグ14が弾圧的に退避案内されながら退避ガイドレール(引起し側)17a側に移行し、前記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0020】
また、図8のように構成してもよい。退避ガイドレール17を正面視で引起しケース7cの左右幅内に収まるように配設し、引起し側の左右略水平状態の肉厚の退避ガイドレール(引起し側)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部に接続されている下り傾斜で順次肉薄になりながら伸びる退避ガイドレール(中間)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの下端部に接続されていて下方に伸びる肉薄状の退避ガイドレール(退避側)17cとにより構成する。そして、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部を単一のピン22cにより押圧状態で支持している。
【0021】
前記構成によると、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側端部に引起しラグ14が衝突し退避案内する際に、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側がピン22c回りに上側に回動し逃げ、衝撃を弱めながら引起しラグ14を退避案内することができ、前記効果を高めることができる。
【0022】
また、図9のように構成してもよい。退避ガイドレール17を正面視で引起しケース7cの内外幅内に収まるように配設し、引起し側から退避側に向けて順次上り傾斜状の肉厚の退避ガイドレール(引起し側)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部に接続されていて、下り傾斜で順次肉薄になりながら伸びる退避ガイドレール(中間)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの下端部に接続されていて下方に伸びる肉薄状の退避ガイドレール(退避側)17cとにより構成する。そして、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部を単一のピン22cにより圧接状に支持している。
【0023】
前記構成によると、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側端部上面に、引起しラグ14の先端が衝突すると、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側はピン22c回りに下方に回動して逃げ、衝撃を弱めながら引起しラグ14を退避案内することができ、前記効果を高めることができる。
【0024】
次に、図1、図10及び図11に基づき刈刃装置8の駆動構成について説明する。
刈取搬送部5の後側部には、伝動装置の内装されている前後方向の後側ケース部31aと、左右方向の前側ケース部31bからなる平面視T字型の刈取伝動ケース31を設けている。前側ケース部31bの左右両側部から正面視で門型の搬送伝動ケース32を上方に延出し、この搬送伝動ケース32の上側端部に前記穀稈引起し装置7の上部を支持している。また、搬送伝動ケース32内の搬送伝動装置(図示省略)を経由して、穂先搬送装置(図示省略)及び根元搬送装置(図示省略)、並びに、穀稈引起し装置7に動力を伝達している。
【0025】
また、刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部に、左右刈刃伝動ケース33,33を設け、左右刈刃伝動ケース33,33内の左右刈刃伝動軸33a,33aから左右伝動ロッド33b,33b、左右揺動アーム33c,33cを駆動するように構成している。
【0026】
また、刈取伝動ケース31の前側ケース部31aの左右両側部から左右刈刃フレーム34,34を前側に延出し、左右刈刃フレーム34,34の先端部に左右方向に沿うように設けている刈刃支持フレーム35を設け、刈刃支持フレーム35に連続した一枚状の下側刈刃8aを固着し、この下側刈刃8aの上側に左右に分割した左右上側刈刃8b,8bを左右摺動自在に装着している。
【0027】
また、左右上側刈刃8b,8bのフレーム部に左右刈刃ヘッド36,36を取り付け、左右刈刃ヘッド36,36の後側部を後上り傾斜に後方に延出している。この後上り傾斜部の傾斜方向とU字状プレート37,37の長手方向とが、傾斜角度αを形成するように、U字状プレート37,37の前側U字型閉鎖部が下り緩傾斜に左右刈刃ヘッド36,36に取り付け、U字状プレート37,37を低く構成している。また、前記左右揺動アーム33c,33cの下部に装着したベアリング38,38を、U字状プレート37,37に嵌合装着するにあたり、ベアリング38,38の軸心線に対して、U字状プレート37,37の長手方向直線を直交状態でなく、前下がり傾斜状態で嵌合装着し、ベアリング38,38とU字状プレート37,37との間に、下側ほど狭まった空間部を形成するように構成している。
【0028】
前記構成によると、左右揺動アーム33c,33cのベアリング38,38とU字状プレート37,37との間には、下側の狭まった空間部を形成でき、泥捌けがよくなり、刈刃装置8への泥の溜りを防止することができる。
【0029】
次に、図12乃至図14により刈取搬送部5の作業灯51の取付構成について説明する。
走行車台2の右側前部に設けた操縦部10の左側方には、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bを設け、これら搬送装置52a,52bの後方に脱穀部4を配設している。また、操縦部10の左側部のサイド操作パネル10aと刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bとの間に、上下方向のパネルカバー53を設け仕切っている。そして、パネルカバー53の後側部と脱穀部4の前側壁面とで構成する角部を、搬送カバー54で被覆し、穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bの右側方を被覆している。
【0030】
この搬送カバー54の角部上方の操縦席10cの左側方で、且つ、パネルカバー53の上端部より上方に位置するように作業灯51を配設し、ブラケット55を介してパネルカバー53に取り付け、作業灯51の照射方向をパネルカバー53の前後方向よりも右側の刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bに向けて照射するようにしている。
【0031】
実開昭61−743328号公報のものは、操縦部10のパネルカバー53の左側方に、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a及び根元搬送装置52bを配設し、このパネルカバー53の前側部から作業灯51を後方に向けて照射するように構成している。しかし、このような構成であると、オペレータが搬送穀稈の脱穀部への引継ぎ部を確認する際に、作業灯51からの光が目に入りまぶしくなるという不具合があった。
【0032】
しかし、前記構成によると、操縦部10のオペレータには作業灯51からの光は目に入らず、まぶしくならずに穀稈の搬送引継ぎ具合を確認することができ、夜間の運転操作が容易になる。
【0033】
また、操縦部10のサイド操作パネル10a上面には、スイッチや操作レバーを設け、サイド操作パネル10aの左側部をスイッチパネルカバー53により被覆し、サイド操作パネル10aよりも上方位置に作業灯51を配設している。従って、作業灯51の背面に取り付けているON/OFFスイッチの操作や、作業灯51の照射角度の調節を、サイド操作パネル10aが邪魔にならずに容易に行なうことができる。
【0034】
また、図15のように構成してもよい。パネルカバー53の後側部と脱穀部4の前側壁面とで構成する角部に搬送カバー54を設け、穂先搬送装置52a及び根元搬送装置52bの側方を被覆し、この搬送カバー54の角部上方における操縦席10cの左側方で、且つ、パネルカバー53の上端部より上方部位に位置するように作業灯51を配置し、ブラケット55を介してパネルカバー53に取り付ける。そして、前後方向のパネルカバー53、及び、左右方向の脱穀部4の前側壁面に対して、作業灯51の照射方向が略45度になるようにし、刈取搬送部5全体を照射するようにする。
【0035】
前記構成によると、単一の作業灯51で、脱穀部4の前側壁面から前方のパネルカバー53の全領域を照らすことができ、まぶしくならずに穀稈の搬送引継ぎ具合を確認することができ、夜間の運転操作が容易になる。
【0036】
また、図16のように構成してもよい。パネルカバー53にブラケット55を取り付け、ブラケット55に作業灯51を取り付けるにあたり、ブラケット55の上部取付面55aに上下方向のボルト・ナット56により作業灯51を取り付ける。すると、ボルト・ナット56を緩めるだけで、作業灯51の照射角度を簡単に調整することができる。
【0037】
また、図17及び図18のように構成してもよい。走行車台2の右側前部に設けた操縦部10の左側方には、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a及び根元搬送装置52bを設け、これら搬送装置52a,52bを逆U字型の搬送フレーム52cで連結し、逆U字型の搬送フレーム52cの下方を通して刈取穀稈を後方に搬送し、脱穀部4のフィードチェン4aに引き継ぐように構成している。
【0038】
また、パネルカバー53にブラケット55を介して作業灯51を取り付けるにあたり、ブラケット55の上部で、且つ、逆U字型の搬送フレーム52cの上側端部と略同じ高さに取り付け、照射角度を側面視で緩い下り傾斜で且つ平面視で左側方に傾斜した状態とし、刈取搬送部5を照射するようにする。
【0039】
前記構成によると、搬送装置52a,52bを連結する逆U字型の搬送フレーム52cの上側部に向けて作業灯52から照射しているので、穀稈の有無に関係なく、刈取搬送部5全体を照らすことができる。
【0040】
次に、図19乃至図21に基づき前照灯51の配置構成について説明する。
走行車台2の右側前部に操縦部10を設け、この操縦部10の左側にはサイド操作パネル10aを、前側にはフロント操作パネル10bを設け、このサイド操作パネル10aの右側方及びフロント操作パネル10bの前方に、刈取搬送部5を配設している。
【0041】
そして、刈取搬送部5の穀稈引起し装置7のフレーム7fの左側上部に、左前照灯57aを取り付け、フロント操作パネル10bの右側下部で、刈取搬送部5の右側端部より右側寄りに右前照灯57bを配設し、前方に照射するように構成している。
【0042】
前記構成によると、左右前照灯57a,57bを上下に高低差を持たせて配設しているので、左右前照灯57a,57bが上下の領域をカバーしながら、前方全体を広範囲に照らすことができる。
【0043】
また、刈取搬送部5における穀稈引起し装置7のフレーム7f左側上部に、左前照灯57aを取り付けるにあたり、左前照灯57aを上下方向の軸回りに回動調節自在に取り付けると、左前照灯57aを後方に向けて照射するように反転すると、刈取搬送部5の後部を照射することができ、穀稈搬送状態を確認することができる。
【0044】
また、フロント操作パネル10bに右前照灯57bを取り付けるにあたり、フロント操作パネル10bの右側部の上下方向中間部で、刈取搬送部5の右側端部より右側寄りに、右前照灯57bを配設すると、右前照灯57bにより操縦部10の乗降部を照らすことができ、乗降が容易になる。
【0045】
また、次のように構成してもよい。刈取搬送部5の穀稈引起し装置7のフレーム7fの左側上部に、左前照灯57aを取り付け、穀稈引起し装置7のフレーム7fの右側端部の上下方向中間部で、刈取搬送部5の右側端部よりも右側に突出する部位に、右前照灯57bを配設する。
【0046】
前記構成によると、刈取搬送部5を昇降させると、左右前照灯57a,57bの照射角度が上下に変化し、近くを照らしたり、遠くを照らしたるすることができる。
また、刈取搬送部5の左右両側部に左右前照灯57a,57bを取り付けるにあたり、左右前照灯57a,57bの取付幅が大きくなるように取り付け、且つ、正面視で機体幅内に収まるようにすると、障害物への干渉を回避しながら、前面を広く照らすことができ、運転が容易になる。
【0047】
次に、図1及び図2に基づきエンジンの冷却風の排風構成について説明する。
操縦部10の操縦席10cの後方下部にエンジン(図示省略)を配設し、エンジンの上側部、前側部及び後側部をエンジンカバー(図示省略)で覆い、冷却ファン(図示省略)の冷却風をエンジンカバーにより機体右側から左側に流れるように案内し、脱穀部4の前側壁面の前方を通り、刈取搬送部5の後部に流れるように構成している。
【0048】
また、図1及び図2に示すように、刈取搬送部5の後側部には、伝動装置の内装されている前後方向の後側ケース部31aと、左右方向の前側ケース部31bからなる平面視T字型の刈取伝動ケース31を設けている。この刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部から正面視で門型の搬送伝動ケース32を上方に延出し、この搬送伝動ケース32の上側端部に前記穀稈引起し装置7の上部を支持している。
【0049】
また、門型の搬送伝動ケース32の上部左右中間部から支持パイプ41を後方に延出し、支持パイプ41の上方に略水平状の熱風吹出し防止プレート42を取り付け、この熱風吹出し防止プレート41を操縦部10の左側面を覆う前記パネルカバー53の左側面上部に沿わせて延出し、更に、支持パイプ41、熱風吹出し防止プレート41、及び、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bの後側部を覆うようにシート42を設け、エンジンの熱風が操縦部10に流れるのを防止している。
【0050】
前記構成によると、エンジンからの熱風や、穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bからの塵埃類が、熱風吹出しプレート42及びシート43により上方への移動が阻止され、操縦部10に熱風や塵埃類の流れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】コンバインの正面図
【図4】穀稈引起し装置の一部省略した正面図
【図5】穀稈引起し装置の切断側面図
【図6】(A)穀稈引起し装置の一部省略した正面図 (B)穀稈引起し装置の一部省略した側面図 (C)穀稈引起し装置の一部省略した正面図
【図7】穀稈引起し装置の一部省略した正面図、側面図
【図8】穀稈引起し装置の一部省略した正面図、側面図
【図9】穀稈引起し装置の一部省略した正面図、側面図
【図10】刈刃装置の平面図
【図11】刈刃装置の側面図、平面図
【図12】コンバインの側面図
【図13】コンバインの平面図
【図14】コンバインの正面図
【図15】コンバインの平面図
【図16】コンバインの側面図
【図17】コンバインの側面図
【図18】コンバインの正面図
【図19】コンバインの側面図
【図20】コンバインの平面図
【図21】コンバインの正面図
【符号の説明】
【0052】
1 コンバイン
7 穀稈引起し装置
7c 引起しケース
11 引起しチェン
12 下部ローラ(ローラ)
13a 上部スプロケット(スプロケット)
13b 上部スプロケット(スプロケット)
14 引起しラグ
17 退避ガイドレール(退避案内部材)
17a 退避ガイドレール(第1退避案内部)
17b 退避ガイドレール(第2退避案内部)
17c 退避ガイドレール(第3退避案内部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の穀稈引起し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀稈引起し装置において、緩衝部材に、引起しラグを受け止める下向きの接触片をチェンの移動方向に沿って複数本並列形成し、左右の上部輪体に亘って張設されたチェンの引込み直線経路の延長線の近傍にチェン移動方向の最上手に位置する先頭接触片の先端を位置させ、引起しラグが引起し姿勢で上方に移動した後、チェンの前記引込み直線経路に沿った姿勢で先頭接触片の先端部に接触して引起しケースに引込み移動するように構成したものは公知である(特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−42752号公報
【特許文献2】実開昭64−6835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、穀稈引起し装置において、構成を簡単にしコストの低減を図りながら、藁屑類の引っ掛かりを少なくし、引起しラグの退避時の騒音を低くしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、多数の引起しラグ(14,…)を引起しチェン(11)に軸着し、該引起しチェン(11)を上部の複数のスプロケット(13a,13b)と下部のローラ(12)とにわたって巻き掛け、前記多数の引起しラグ(14,…)をその移動軌跡の上端部付近で引起しケース(7c)内に退避案内する退避案内部材(17)を設け、該退避案内部材(17)を正面視で引起しケース(7c)の左右幅内に配置し、該退避案内部材(17)を、前記上部の複数のスプロケット(13a,13b)の上方に配置した肉厚の第1退避案内部(17a)と、該第1退避案内部(17a)の端部から引起しラグ(14,…)の退避側に向けて下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部(17b)と、該第2退避案内部(17b)の端部から下方に延びる肉薄の第3退避案内部(17c)により構成し、前記引起しチェン(11)と前記第1退避案内部(17a)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を形成し、前記引起しチェン(11)と第2退避案内部(17b)及び第3退避案内部(17c)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を形成したことを特徴とする穀稈引起し装置とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、上部の複数のスプロケット13a,13bの上方に配置した肉厚の第1退避案内部17aと、該第1退避案内部17aの端部から引起しラグ14,…の退避側に向けて下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部17bと、該第2退避案内部17bの端部から下方に延びる肉薄の第3退避案内部17cを連続的に構成しているので、構成が簡単でコストの低減を図りながら、藁屑類の引っ掛かりを少なくすることができる。また、引起しラグ14,…は、引起しチェン11と前記第1退避案内部17aとの間に形成した該引起しチェン11移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を通過しながら退避案内され、引起しチェン11と第2退避案内部17b及び第3退避案内部17cとの間に形成した該引起しチェン11移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を通過しながら退避案内されるので、衝突時の騒音を低く押さえることができ、引起しラグ14,…の摩耗等を少なくして耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
まず、図1乃至図3基づき本発明を具備するコンバインの全体構成について説明する。図1にはコンバインの全体側面図、図2には全体平面図、図3には正面図が図示されている。コンバイン1の走行車台2の下方には左右走行クローラ3,3を配設し、走行車台2上に脱穀部4を搭載し、走行車台2の前側部には刈取搬送部5を昇降自在に設けている。この刈取搬送部5は、複数の分草杆6,…、穀稈引起し装置7、刈刃装置8、穀稈搬送装置(図示省略)等により構成している。
【0007】
前記構成により、コンバイン1の回転各部を駆動し走行し刈取作業を開始すると、走行クローラ3,3が回転して走行車台2は走行を開始し、圃場の穀稈は刈取搬送部5の前側部の分草杆6,…により穀稈条列毎に分草されながら穀稈引起し装置7,…に案内され、引起しラグ14,…により引き起される。そして、引起しされた穀稈は刈刃装置8で刈り取られ、穀稈搬送装置(図示省略)により後方に搬送され、脱穀部4のフィードチエンに引き継がれる。
【0008】
次に、図4乃至図6に基づき穀稈引起し装置7について説明する。穀稈引起し装置7は、引起しケースアッパ7aと引起しケースロワー7bを接合固着し、引起しケース7cを構成しいる。この引起しケースロワー7bの上下部には、上部スプロケット(引起し側 スプロケット)13a,上部スプロケット(退避側 スプロケット)13b及び下部ローラ(ローラ)12を軸架し、これらのスプロケット13a,13bおよびローラ12に、引起しラグ14,…を所定間隔毎に枢支している引起しチェン11を巻回している。
【0009】
引起しケース7cの左右一側の引起し側には、引起しチェン11の内側に沿うように上下方向に長い引起しガイドレール15を設け、引起しケース7cの左右他側の退避側下部には、下部ローラ12の上部近傍に起立ガイド片16を設け、ケース上部には引起しラグ14の退避案内用の退避ガイドレール(退避案内部材)17を設けている。また、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右引起しガイドレール18a,18aを、引起しガイドレール15に対向して設け、下部スプロケット12の下部周面に沿うように、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右下部起立ガイド18b,18bを設けている。
【0010】
前記構成によると、下側に回動した引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが起立ガイド片16に当接して、ケース下部で引起しラグ14,…は起立し突出状態となり、下部スプロケット12の下方を左右下部起立ガイド18b,18bに沿って退避側から引起し側に向けて回動する。次いで、引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15に当接支持され、起立状態を維持しながら上方に移動する。
【0011】
そして、引起しラグ14,…が引起しケース7cの上部に移動し、左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15の上側端部から解放されると、引起しラグ14の先端部が退避ガイドレール17に当接して退避回動しケース内に収納され、ケースの退避側では退避状態のまま下方に移動する。
【0012】
次に、図6に基づき退避ガイドレール17について更に具体的に説明する。
穀稈引起し装置7のフレーム部に引起し駆動パイプ21を垂下状に支持し、引起し駆動パイプ21の下端部に取り付けたブラケット21aに、引起し側軸21b,退避側軸21cを介して上部スプロケット(引起し側)13a,上部スプロケット(退避側)13bを支架している。また、引起し駆動パイプ21の上下中途部にブラケット21dを取り付け、このブラケット21dに引起し側ピン22a,退避側ピン22bを介して退避ガイドレール17を取り付けている。しかして、退避ガイドレール17は上部スプロケット(引起し側)13a及び上部スプロケット(退避側)13bに沿って回動する引起しチェン11に対向配置されている。
【0013】
また、この退避ガイドレール17は正面視で引起しケース7cの左右幅内に収まるように構成されていて、引起し側の左右方向略水平状の肉厚の退避ガイドレール(引起し側 第1退避案内部)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの退避側端部に接続されていて、下り傾斜で順次肉薄になりながら退避側に伸びる退避ガイドレール(中間 第2退避案内部)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの退避端部に接続されていて、下方に伸びる肉薄の退避ガイドレール(退避側 第3退避案内部)17cにより構成されている。そして、退避ガイドレール(引起し側)17aの左右両側部が内外ピン22a,22bによりブラケット21dに支持されている。
【0014】
そして、正面視で退避ガイドレール(引起し側)17aと上部スプロケット(引起し側)13aの間に巻き掛けた引起しチェン11との間に空間部を介在させ、上部スプロケット(引起し側)13aより上部スプロケット(退避側)13bを下方に配設して、退避側に下り傾斜で引起しチェン11が移動し、退避ガイドレール(引起し側)17aを左右水平状に配設し、上手側の引起し側の空間部が上下幅狭で、下手側の退避側が上下幅広になるるように構成している。また、引起しラグ14,…の左右幅と退避ガイドレール17の幅とを略同じに構成し、引起しラグ14の左右基部摺動部14a,14aの幅よりも狭く構成している。
【0015】
前記構成によると、退避ガイドレール17を、退避ガイドレール(引起し側)17a、退避ガイドレール(中間)17b及び退避ガイドレール(退避側)17cとにより、引起しラグ14の移動方向に沿った連続したシンプルな長手状に構成し、引起しラグ14,…の穀稈引起し面の幅と退避ガイドレール17の幅を略同じにして対向配置しているので、退避ガイドレール17への藁屑類の引っ掛かりを少なくすることができる。
【0016】
前記構成によると、上部スプロケット(引起し側)13aから上部スプロケット(退避側)13bに向けて引起しラグ14が退避回動する際に、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側から下手側に向けて順次広くなる空間部が形成されているので、引起しラグ14と退避ガイドレール17との衝突時の騒音を低く押さえることができる。
【0017】
また、図6(C)に示すように、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部、及び、退避ガイドレール(中間)17bの中途部を、ピン22a,22bにより接近した状態でブラケット21dに支持すると、退避ガイドレール(引起し側)17aが引起しラグ14に衝突した時にピン22a回りに上側に回動し逃げることができ、衝撃を弱めながら前記効果を奏する。
【0018】
また、退避ガイドレール17を図7のように構成してもよい。退避ガイドレール17を正面視で引起しケース7cの内外幅内に収まるように配設し、引起し側の左右方向略水平状態の肉厚の退避ガイドレール(引起し側)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部に接続されている下り傾斜で順次肉薄になりながら伸びる退避ガイドレール(中間)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの下端部に接続されていて下方に伸びる肉薄状の退避ガイドレール(退避側)17cと、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側端部に接続している退避案内ガイドレール(始端側)17dとで構成する。そして、退避案内ガイドレール(始端側)17dの上手側端部を引起し側に下り傾斜状で、肉厚が順次薄くなるように延出し、上部スプロケット(引起し側)13aに沿って回動する引起しチェン11に対して、所定間隔隔てた上方に側に位置するように配設し、退避案内ガイドレール(始端側)17dと引起しチェン11との間隔を上手側で狭く下手側ほど順次広くなるように構成している。
【0019】
前記構成によると、退避案内ガイドレール(始端側)17dの肉厚の薄い上手側部により、引起しラグ14が弾圧的に退避案内されながら退避ガイドレール(引起し側)17a側に移行し、前記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0020】
また、図8のように構成してもよい。退避ガイドレール17を正面視で引起しケース7cの左右幅内に収まるように配設し、引起し側の左右略水平状態の肉厚の退避ガイドレール(引起し側)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部に接続されている下り傾斜で順次肉薄になりながら伸びる退避ガイドレール(中間)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの下端部に接続されていて下方に伸びる肉薄状の退避ガイドレール(退避側)17cとにより構成する。そして、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部を単一のピン22cにより押圧状態で支持している。
【0021】
前記構成によると、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側端部に引起しラグ14が衝突し退避案内する際に、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側がピン22c回りに上側に回動し逃げ、衝撃を弱めながら引起しラグ14を退避案内することができ、前記効果を高めることができる。
【0022】
また、図9のように構成してもよい。退避ガイドレール17を正面視で引起しケース7cの内外幅内に収まるように配設し、引起し側から退避側に向けて順次上り傾斜状の肉厚の退避ガイドレール(引起し側)17aと、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部に接続されていて、下り傾斜で順次肉薄になりながら伸びる退避ガイドレール(中間)17bと、退避ガイドレール(中間)17bの下端部に接続されていて下方に伸びる肉薄状の退避ガイドレール(退避側)17cとにより構成する。そして、退避ガイドレール(引起し側)17aの下手側端部を単一のピン22cにより圧接状に支持している。
【0023】
前記構成によると、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側端部上面に、引起しラグ14の先端が衝突すると、退避ガイドレール(引起し側)17aの上手側はピン22c回りに下方に回動して逃げ、衝撃を弱めながら引起しラグ14を退避案内することができ、前記効果を高めることができる。
【0024】
次に、図1、図10及び図11に基づき刈刃装置8の駆動構成について説明する。
刈取搬送部5の後側部には、伝動装置の内装されている前後方向の後側ケース部31aと、左右方向の前側ケース部31bからなる平面視T字型の刈取伝動ケース31を設けている。前側ケース部31bの左右両側部から正面視で門型の搬送伝動ケース32を上方に延出し、この搬送伝動ケース32の上側端部に前記穀稈引起し装置7の上部を支持している。また、搬送伝動ケース32内の搬送伝動装置(図示省略)を経由して、穂先搬送装置(図示省略)及び根元搬送装置(図示省略)、並びに、穀稈引起し装置7に動力を伝達している。
【0025】
また、刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部に、左右刈刃伝動ケース33,33を設け、左右刈刃伝動ケース33,33内の左右刈刃伝動軸33a,33aから左右伝動ロッド33b,33b、左右揺動アーム33c,33cを駆動するように構成している。
【0026】
また、刈取伝動ケース31の前側ケース部31aの左右両側部から左右刈刃フレーム34,34を前側に延出し、左右刈刃フレーム34,34の先端部に左右方向に沿うように設けている刈刃支持フレーム35を設け、刈刃支持フレーム35に連続した一枚状の下側刈刃8aを固着し、この下側刈刃8aの上側に左右に分割した左右上側刈刃8b,8bを左右摺動自在に装着している。
【0027】
また、左右上側刈刃8b,8bのフレーム部に左右刈刃ヘッド36,36を取り付け、左右刈刃ヘッド36,36の後側部を後上り傾斜に後方に延出している。この後上り傾斜部の傾斜方向とU字状プレート37,37の長手方向とが、傾斜角度αを形成するように、U字状プレート37,37の前側U字型閉鎖部が下り緩傾斜に左右刈刃ヘッド36,36に取り付け、U字状プレート37,37を低く構成している。また、前記左右揺動アーム33c,33cの下部に装着したベアリング38,38を、U字状プレート37,37に嵌合装着するにあたり、ベアリング38,38の軸心線に対して、U字状プレート37,37の長手方向直線を直交状態でなく、前下がり傾斜状態で嵌合装着し、ベアリング38,38とU字状プレート37,37との間に、下側ほど狭まった空間部を形成するように構成している。
【0028】
前記構成によると、左右揺動アーム33c,33cのベアリング38,38とU字状プレート37,37との間には、下側の狭まった空間部を形成でき、泥捌けがよくなり、刈刃装置8への泥の溜りを防止することができる。
【0029】
次に、図12乃至図14により刈取搬送部5の作業灯51の取付構成について説明する。
走行車台2の右側前部に設けた操縦部10の左側方には、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bを設け、これら搬送装置52a,52bの後方に脱穀部4を配設している。また、操縦部10の左側部のサイド操作パネル10aと刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bとの間に、上下方向のパネルカバー53を設け仕切っている。そして、パネルカバー53の後側部と脱穀部4の前側壁面とで構成する角部を、搬送カバー54で被覆し、穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bの右側方を被覆している。
【0030】
この搬送カバー54の角部上方の操縦席10cの左側方で、且つ、パネルカバー53の上端部より上方に位置するように作業灯51を配設し、ブラケット55を介してパネルカバー53に取り付け、作業灯51の照射方向をパネルカバー53の前後方向よりも右側の刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bに向けて照射するようにしている。
【0031】
実開昭61−743328号公報のものは、操縦部10のパネルカバー53の左側方に、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a及び根元搬送装置52bを配設し、このパネルカバー53の前側部から作業灯51を後方に向けて照射するように構成している。しかし、このような構成であると、オペレータが搬送穀稈の脱穀部への引継ぎ部を確認する際に、作業灯51からの光が目に入りまぶしくなるという不具合があった。
【0032】
しかし、前記構成によると、操縦部10のオペレータには作業灯51からの光は目に入らず、まぶしくならずに穀稈の搬送引継ぎ具合を確認することができ、夜間の運転操作が容易になる。
【0033】
また、操縦部10のサイド操作パネル10a上面には、スイッチや操作レバーを設け、サイド操作パネル10aの左側部をスイッチパネルカバー53により被覆し、サイド操作パネル10aよりも上方位置に作業灯51を配設している。従って、作業灯51の背面に取り付けているON/OFFスイッチの操作や、作業灯51の照射角度の調節を、サイド操作パネル10aが邪魔にならずに容易に行なうことができる。
【0034】
また、図15のように構成してもよい。パネルカバー53の後側部と脱穀部4の前側壁面とで構成する角部に搬送カバー54を設け、穂先搬送装置52a及び根元搬送装置52bの側方を被覆し、この搬送カバー54の角部上方における操縦席10cの左側方で、且つ、パネルカバー53の上端部より上方部位に位置するように作業灯51を配置し、ブラケット55を介してパネルカバー53に取り付ける。そして、前後方向のパネルカバー53、及び、左右方向の脱穀部4の前側壁面に対して、作業灯51の照射方向が略45度になるようにし、刈取搬送部5全体を照射するようにする。
【0035】
前記構成によると、単一の作業灯51で、脱穀部4の前側壁面から前方のパネルカバー53の全領域を照らすことができ、まぶしくならずに穀稈の搬送引継ぎ具合を確認することができ、夜間の運転操作が容易になる。
【0036】
また、図16のように構成してもよい。パネルカバー53にブラケット55を取り付け、ブラケット55に作業灯51を取り付けるにあたり、ブラケット55の上部取付面55aに上下方向のボルト・ナット56により作業灯51を取り付ける。すると、ボルト・ナット56を緩めるだけで、作業灯51の照射角度を簡単に調整することができる。
【0037】
また、図17及び図18のように構成してもよい。走行車台2の右側前部に設けた操縦部10の左側方には、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a及び根元搬送装置52bを設け、これら搬送装置52a,52bを逆U字型の搬送フレーム52cで連結し、逆U字型の搬送フレーム52cの下方を通して刈取穀稈を後方に搬送し、脱穀部4のフィードチェン4aに引き継ぐように構成している。
【0038】
また、パネルカバー53にブラケット55を介して作業灯51を取り付けるにあたり、ブラケット55の上部で、且つ、逆U字型の搬送フレーム52cの上側端部と略同じ高さに取り付け、照射角度を側面視で緩い下り傾斜で且つ平面視で左側方に傾斜した状態とし、刈取搬送部5を照射するようにする。
【0039】
前記構成によると、搬送装置52a,52bを連結する逆U字型の搬送フレーム52cの上側部に向けて作業灯52から照射しているので、穀稈の有無に関係なく、刈取搬送部5全体を照らすことができる。
【0040】
次に、図19乃至図21に基づき前照灯51の配置構成について説明する。
走行車台2の右側前部に操縦部10を設け、この操縦部10の左側にはサイド操作パネル10aを、前側にはフロント操作パネル10bを設け、このサイド操作パネル10aの右側方及びフロント操作パネル10bの前方に、刈取搬送部5を配設している。
【0041】
そして、刈取搬送部5の穀稈引起し装置7のフレーム7fの左側上部に、左前照灯57aを取り付け、フロント操作パネル10bの右側下部で、刈取搬送部5の右側端部より右側寄りに右前照灯57bを配設し、前方に照射するように構成している。
【0042】
前記構成によると、左右前照灯57a,57bを上下に高低差を持たせて配設しているので、左右前照灯57a,57bが上下の領域をカバーしながら、前方全体を広範囲に照らすことができる。
【0043】
また、刈取搬送部5における穀稈引起し装置7のフレーム7f左側上部に、左前照灯57aを取り付けるにあたり、左前照灯57aを上下方向の軸回りに回動調節自在に取り付けると、左前照灯57aを後方に向けて照射するように反転すると、刈取搬送部5の後部を照射することができ、穀稈搬送状態を確認することができる。
【0044】
また、フロント操作パネル10bに右前照灯57bを取り付けるにあたり、フロント操作パネル10bの右側部の上下方向中間部で、刈取搬送部5の右側端部より右側寄りに、右前照灯57bを配設すると、右前照灯57bにより操縦部10の乗降部を照らすことができ、乗降が容易になる。
【0045】
また、次のように構成してもよい。刈取搬送部5の穀稈引起し装置7のフレーム7fの左側上部に、左前照灯57aを取り付け、穀稈引起し装置7のフレーム7fの右側端部の上下方向中間部で、刈取搬送部5の右側端部よりも右側に突出する部位に、右前照灯57bを配設する。
【0046】
前記構成によると、刈取搬送部5を昇降させると、左右前照灯57a,57bの照射角度が上下に変化し、近くを照らしたり、遠くを照らしたるすることができる。
また、刈取搬送部5の左右両側部に左右前照灯57a,57bを取り付けるにあたり、左右前照灯57a,57bの取付幅が大きくなるように取り付け、且つ、正面視で機体幅内に収まるようにすると、障害物への干渉を回避しながら、前面を広く照らすことができ、運転が容易になる。
【0047】
次に、図1及び図2に基づきエンジンの冷却風の排風構成について説明する。
操縦部10の操縦席10cの後方下部にエンジン(図示省略)を配設し、エンジンの上側部、前側部及び後側部をエンジンカバー(図示省略)で覆い、冷却ファン(図示省略)の冷却風をエンジンカバーにより機体右側から左側に流れるように案内し、脱穀部4の前側壁面の前方を通り、刈取搬送部5の後部に流れるように構成している。
【0048】
また、図1及び図2に示すように、刈取搬送部5の後側部には、伝動装置の内装されている前後方向の後側ケース部31aと、左右方向の前側ケース部31bからなる平面視T字型の刈取伝動ケース31を設けている。この刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部から正面視で門型の搬送伝動ケース32を上方に延出し、この搬送伝動ケース32の上側端部に前記穀稈引起し装置7の上部を支持している。
【0049】
また、門型の搬送伝動ケース32の上部左右中間部から支持パイプ41を後方に延出し、支持パイプ41の上方に略水平状の熱風吹出し防止プレート42を取り付け、この熱風吹出し防止プレート41を操縦部10の左側面を覆う前記パネルカバー53の左側面上部に沿わせて延出し、更に、支持パイプ41、熱風吹出し防止プレート41、及び、刈取搬送部5の穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bの後側部を覆うようにシート42を設け、エンジンの熱風が操縦部10に流れるのを防止している。
【0050】
前記構成によると、エンジンからの熱風や、穂先搬送装置52a、根元搬送装置52bからの塵埃類が、熱風吹出しプレート42及びシート43により上方への移動が阻止され、操縦部10に熱風や塵埃類の流れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】コンバインの正面図
【図4】穀稈引起し装置の一部省略した正面図
【図5】穀稈引起し装置の切断側面図
【図6】(A)穀稈引起し装置の一部省略した正面図 (B)穀稈引起し装置の一部省略した側面図 (C)穀稈引起し装置の一部省略した正面図
【図7】穀稈引起し装置の一部省略した正面図、側面図
【図8】穀稈引起し装置の一部省略した正面図、側面図
【図9】穀稈引起し装置の一部省略した正面図、側面図
【図10】刈刃装置の平面図
【図11】刈刃装置の側面図、平面図
【図12】コンバインの側面図
【図13】コンバインの平面図
【図14】コンバインの正面図
【図15】コンバインの平面図
【図16】コンバインの側面図
【図17】コンバインの側面図
【図18】コンバインの正面図
【図19】コンバインの側面図
【図20】コンバインの平面図
【図21】コンバインの正面図
【符号の説明】
【0052】
1 コンバイン
7 穀稈引起し装置
7c 引起しケース
11 引起しチェン
12 下部ローラ(ローラ)
13a 上部スプロケット(スプロケット)
13b 上部スプロケット(スプロケット)
14 引起しラグ
17 退避ガイドレール(退避案内部材)
17a 退避ガイドレール(第1退避案内部)
17b 退避ガイドレール(第2退避案内部)
17c 退避ガイドレール(第3退避案内部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の引起しラグ(14,…)を引起しチェン(11)に軸着し、該引起しチェン(11)を上部の複数のスプロケット(13a,13b)と下部のローラ(12)とにわたって巻き掛け、前記多数の引起しラグ(14,…)をその移動軌跡の上端部付近で引起しケース(7c)内に退避案内する退避案内部材(17)を設け、該退避案内部材(17)を正面視で引起しケース(7c)の左右幅内に配置し、該退避案内部材(17)を、前記上部の複数のスプロケット(13a,13b)の上方に配置した肉厚の第1退避案内部(17a)と、該第1退避案内部(17a)の端部から引起しラグ(14,…)の退避側に向けて下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部(17b)と、該第2退避案内部(17b)の端部から下方に延びる肉薄の第3退避案内部(17c)により構成し、前記引起しチェン(11)と前記第1退避案内部(17a)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を形成し、前記引起しチェン(11)と第2退避案内部(17b)及び第3退避案内部(17c)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を形成したことを特徴とする穀稈引起し装置。
【請求項1】
多数の引起しラグ(14,…)を引起しチェン(11)に軸着し、該引起しチェン(11)を上部の複数のスプロケット(13a,13b)と下部のローラ(12)とにわたって巻き掛け、前記多数の引起しラグ(14,…)をその移動軌跡の上端部付近で引起しケース(7c)内に退避案内する退避案内部材(17)を設け、該退避案内部材(17)を正面視で引起しケース(7c)の左右幅内に配置し、該退避案内部材(17)を、前記上部の複数のスプロケット(13a,13b)の上方に配置した肉厚の第1退避案内部(17a)と、該第1退避案内部(17a)の端部から引起しラグ(14,…)の退避側に向けて下り傾斜姿勢で徐々に肉薄になる第2退避案内部(17b)と、該第2退避案内部(17b)の端部から下方に延びる肉薄の第3退避案内部(17c)により構成し、前記引起しチェン(11)と前記第1退避案内部(17a)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では狭く下手側では広くなる空間部を形成し、前記引起しチェン(11)と第2退避案内部(17b)及び第3退避案内部(17c)との間に、該引起しチェン(11)移動方向の上手側では広く下手側では狭くなる空間部を形成したことを特徴とする穀稈引起し装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−17830(P2009−17830A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183428(P2007−183428)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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