説明

積層体及び包装体

【課題】包装体に内部に配置された酸素インジケータが、常に、本来の機能を発揮できるようにすることを課題とする。
【解決手段】本発明において上記課題を達成するために、少なくとも、酸素インジケータ層と、調湿乾燥剤が添加された層とを有することを特徴とする積層体としたものである。この調湿乾燥剤により、包装体内部の湿度が適度に調節されるので、包装体に内部に配置された酸素インジケータが、常に、本来の機能を発揮できるようにすることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料、及び薬品等を長期間保存するための脱酸素剤による脱酸素状態が保持されていることを検出するための酸素インジケーターの層を有する積層体に関する。また、その酸素インジケータを配置した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、脱酸素剤を封入した脱酸素包装のピンホール、シール不良、及び脱酸素剤不良の発生によるガス雰囲気の変化を簡単に確認し得る種種の酸素インジケータが知られている(例えば特許文献1参照)。酸素インジケータは、構成成分として酸化還元指示薬、還元剤、バインダ樹脂が主であり、この組み合わせを変えた酸素インジケータが知られている。酸素インジケータは、酸化還元指示薬が、還元型と酸化型で異なる色調を呈する性質を利用している。酸素インジケータは、周囲雰囲気中の酸素が十分に存在すると、酸素が還元剤の働きを抑制して酸化還元指示薬が酸化型構造を取るが、脱酸素剤の働きにより酸素が周囲雰囲気中に存在しなくなると、還元剤が働き、酸化還元指示薬は還元型構造となる。この色調の変化を利用して、周囲雰囲気の酸素濃度の変化を視覚的に検知することができる。
【0003】
ところで、酸化還元指示薬を用いた酸素インジケータでは錠剤およびシート状のものが代表的である。そして、包装体内部が高湿度となると、錠剤型のものでは、濡れたような状態となって色調異常を示したり、シート状のものでは耐水性が十分でなく、外観不良となる場合があるという問題がある。この問題は、一見、乾燥剤を用いることにより解消されるようにも思われる。しかしながら、乾燥剤には、湿度に関係無く水分を吸収し続けるものがあるが、極端に低湿度になると、酸化還元速度が遅くなるのみならず、極端な場合は、インジケータ成分が析出することもあるため、不適である。
【特許文献1】特開2001−192592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は斯かる背景技術に鑑みてなされたもので、包装体に内部に配置された酸素インジケータが、常に、本来の機能を発揮できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、少なくとも、酸素インジケータ層と、調湿乾燥剤が添加された層とを有することを特徴とする積層体としたものである。
【0006】
また請求項2の発明では、基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されており、更にその上に調湿乾燥剤を含むシーラント層が積層されていることを特徴とする積層体としたものである。
【0007】
また請求項3の発明では、基材の少なくとも片側に酸素インジケータが積層されており、酸素インジケータとは反対側に調湿乾燥剤を含む接着層を介して別の基材が積層されていることを特徴とする積層体としたものである。
【0008】
また請求項4の発明では、基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されており、更にその上に調湿乾燥剤を含む接着層を介してシーラント層が積層されていることを
特徴とする積層体としたものである。
【0009】
また請求項5の発明では、調湿乾燥剤を含む基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されていることを特徴とする積層体としたものである。
【0010】
また請求項6の発明では、基材の少なくとも片側に調湿乾燥剤を含むアンカーコート層が積層され、その上に酸素インジケータ層が積層されており、更にその上にシーラント層が積層されていることを特徴とする積層体としたものである。
【0011】
また請求項7の発明では、基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されており、その上に調湿乾燥剤を含むオーバーコート層が積層され、更にその上にシーラント層が積層されていることを特徴とする積層体としたものである。
【0012】
また請求項8の発明では、酸素インジケータ層が積層された積層体において、積層体に含まれるいずれかの基材に調湿乾燥剤を含むインキ層が積層されていることを特徴とする積層体としたものである。
【0013】
また請求項9の発明では、前記調湿乾燥剤が、MI、MII、MIIIを、それぞれ、一価イオン、二価イオン、三価イオンとして、MIII(SO42・12H2O、もしくはMIISO4・Al2(SO43・24H2Oを加熱して乾燥物とした焼明礬であることを特徴とする請求項1〜8に記載の積層体としたものである。
【0014】
また請求項10の発明では、請求項1〜9に記載の積層体の中で層をなしている酸素インジケータが、内部に配置され、脱酸素された外装体であることを特徴とする包装体としたものである。
【発明の効果】
【0015】
調湿乾燥剤は、包装体内湿度が極度に上昇した場合には水分を吸着し、極度に低下した場合は水分を放出するというように、包装体内部を適度に調整可能である。その結果、極端に低湿になることで色素の酸化還元反応に必要な水分量が不足したり、また逆に過剰な水分が酸素インジケータ層に到達することによる外観不良が発生することを回避できることができる。このため、本発明には、包装体に内部に配置された酸素インジケータが、常に、本来の機能を発揮できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の最良の一実施形態について具体的に説明する。
【0017】
酸素インジケータの構成成分である酸化還元指示薬としては、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、ニュートラルレッド、インジゴカルミン、アシッドレッド、サフラニンT、フェノサフラニン、カプリブルー、ナイルブルー、ジフェニルアミン、キシレンシアノール、ニトロジフェニルアミン、フェロイン、N−フェニルアントラニル酸等が使用できる。
【0018】
また、還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸塩や、D−アラビノース、D−エリスロース、D−ガラクトース、D−キシロース、D−グルコース、D−マンノース、D−フラクトース、D−ラクトース等の還元糖、第一錫塩、第一鉄塩等の金属塩等が使用可能である。
【0019】
シーラント層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等、酸素透過性、水蒸気透過性のあるものを適宜選択可能である。
【0020】
基材としては、酸素インジケータと反応せず、しかも試薬の呈色を阻害しないものがよい。このような基材として、合成樹脂フィルム、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セロハン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及びこれらのシリカ、アルミナなどの透明蒸着フィルム等を目的、使用形態に合わせて用いることができる。
【0021】
酸素インジケータ層を保護し、外観不良、剥離、及び破断を防止する目的で、アンカーコート層、オーバーコート層を設けることが出来る。このアンカーコート層としては、非水溶性であり、基材とその上に形成される酸素インジケータ層との密着性が良好な材料を、オーバーコート層としては、酸素透過性、酸素インジケータ層との密着性、及び任意に酸素インジケータ層上に更に設けられ得る接着剤層または他の樹脂層との良好な密着性を有する材料を好ましく使用することが出来る。アンカーコート層、及び/またはオーバーコート層は必要に応じて2層以上設けることも出来る。
【0022】
酸素インジケーターを構成する各層に添加する調湿乾燥剤としては、シリカゲル、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、第二燐酸ナトリウム、塩化アンモニウム、スクロース、炭酸カリウム、焼明礬、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、第一硝酸アンモニウム、臭化カリウム、生石灰、ゼオライト、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、活性炭、活性アルミナ、粘土鉱物、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等の吸水性ポリマーが挙げられるが、明礬(化学式:MIIII(SO42・12H2O(但し、MI;一価イオン、MIII;三価イオン)、もしくはMIISO4・Al2(SO43・24H2O(但し、MIIは二価イオン))を加熱し乾燥物とした焼明礬、硫酸マグネシウム、粘土鉱物、活性アルミナ、活性炭が特に好ましく適用できる。焼明礬の一価イオンとしては、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、タリウム、アンモニウム等が好適に使用できる。三価イオンとしては、アルミニウム、クロム、鉄、ガリウム、インジウム、チタン、マンガン、コバルト、イリジウム等が好適に使用できる。二価イオンとしては、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、亜鉛等が好適に使用できる。また、硫酸塩の硫黄元素をセレンで置き換えたものも使用可能である。上記調湿乾燥剤は単独で用いても良いが、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。これにより、酸化還元反応を阻害する低湿度に近づくと水分を放出して湿度を上げ、且つ、酸素インジケータ層の外観不良が発生する高湿度に近づくと水分を吸着して湿度を下げる。
【0023】
調湿乾燥剤は、基材、シーラント層に用いられる場合は、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜400重量部添加される。好適には、5〜50重量部添加される。これにより、成形性を阻害することなく十分な調湿性を有する層を形成することができる。また、アンカーコート層、オーバーコート層、接着剤層に用いられる場合には、バインダ樹脂100重量部に対して5〜50重量部添加される。これにより、調湿機能を保ちながら、充分な塗膜強度を保つことが可能となる。調湿乾燥剤は、前述のうちの少なくとも一層に添加すれば良く、内容物や包材内の空間容積に応じて適宜複数の層に添加すればよい。好ましくは、包材内湿度が15%RH〜75%RH程度に保たれるのが良い。
【0024】
酸素インジケータの使用形態としては、食品、飲料、薬品等の内容物を収納するガスバリア性材料からなる包装体内を脱酸素雰囲気とし、包装体内に酸素インジケータを配置する方法を例示することができる。
【0025】
より具体的には、酸素インジケータを配置する方法としては、少なくとも基材に印刷した酸素インジケータ(図1参照)を単に包装体内に入れる方法、包装体内面に該酸素イン
ジケータを接着する方法、または包装体内面に該酸素インジケータを直接印刷する(図2参照)方法がある。
【0026】
これら具体的な方法に対応して、本発明の積層体の中で層をなしている酸素インジケータを包装体内に配置する方法としては、本発明の積層体を単に包装体内に入れる方法、本発明の積層体を包装体内面に接着する方法、または本発明の積層体を用いて包装体を作る方法がある。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例とその比較例について具体的に説明する。
【0028】
<実施例1>
酸素インジケータ層組成:メチレンブルー3重量部、L−アスコルビン酸7.5重量部、バインダ樹脂10重量部、グリセリン7.5重量部、合成シリカ0.6重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成:黄顔料10重量部、ウレタン樹脂15重量部
図3に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形でカリウム明礬を添加した低密度ポリエチレンフィルム60ミクロン(低密度ポリエチレン/カリウム明礬=100/7)を、調湿乾燥剤(カリウム明礬)添加シーラント層(28)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0029】
<実施例2>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
図4に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、カリウム明礬を含む2液硬化型ウレタン系接着剤(接着剤樹脂分/カリウム明礬=100/20)(29)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0030】
<実施例3>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
図5に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で、カリウム明礬を含む2液硬化型ウレタン系接着剤(接着剤樹脂分/カリウム明礬=100/20)(31)を用いて、低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として積層させた。
【0031】
<実施例4>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
図6に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルム(ポリエステル樹脂/カリウム明礬=100/5)を、調湿乾燥剤添加基材(32)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0032】
<実施例5>
酸素インジケーター層組成:実施例1と同様
調湿乾燥剤添加アンカーコート層組成:黄顔料10重量部、カリウム明礬10重量部、ウレタン樹脂15重量部
オーバーコート層:実施例1と同様
図7に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側に調湿乾燥剤添加アンカーコート層(33)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0033】
<実施例6>
酸素インジケーター層組成:実施例1と同様
アンカーコート層組成:実施例と同様
調湿乾燥剤(カリウム明礬)添加オーバーコート層:黄顔料10重量部、カリウム明礬4重量部、ウレタン樹脂15重量部
図8に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、調湿乾燥剤(カリウム明礬)添加オーバーコート層(34)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0034】
<実施例7>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
図9に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、基材(21)の別の部分に調湿乾燥剤(活性炭)添加墨インキ(活性炭10重量部、カーボンブラック30重量部、ポリエステル樹脂30重量部)(35)を積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0035】
<実施例8>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
図10に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、基材(21)の別の部分に調湿乾燥剤(活性アルミナ)添加墨インキ(活性アルミナ10重量部、カーボンブラック30重量部、ポリエステル樹脂30重量部)(36)を積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0036】
<実施例9>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
図11に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で硫酸マグネシウム添加低密度ポリエチレンフィルム(低密度ポリエチレン/硫酸マグネシウム=100/10)60ミクロンを、調湿乾燥剤(硫酸マグネシウム)添加シーラント層(37)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0037】
<実施例10>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層組成:実施例1と同様
調湿乾燥剤(モンモリロナイト)添加オーバーコート層組成:黄顔料10重量部、粘土鉱物(モンモリロナイト)20重量部、ウレタン樹脂15重量部
図12に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、調湿乾燥剤(モンモリロナイト)添加オーバーコート層(38)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0038】
<比較例1>
酸素インジケータ層組成:実施例1と同様
アンカーコート層、オーバーコート層組成:実施例1と同様
図13に示すように、12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(21)として、その片側にアンカーコート層(22)0.5ミクロン、酸素インジケータ層(23)1ミクロン、オーバーコート層(24)1ミクロンをグラビア印刷法により順次積層させ、その反対側に、金属酸化物を蒸着した12ミクロン厚のポリエステルフィルムを、基材(26)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(25)を用いて積層させ、更に印刷面を覆う形で低密度ポリエチレンフィルム60ミクロンを、シーラント層(30)として、2液硬化型ウレタン系接着剤(27)を用いて積層させた。
【0039】
[実験1]
上記実施例1〜10及び比較例1の積層体を、10cm×10cmのバリアナイロン/ポリエチレン包装体内に入れ、有機系脱酸素剤とともに蒸留水入りポリエチレンバッグを充填して封入した。ヘッドスペースは150mLとし、その容量に合わせた脱酸素剤を選定した。脱酸素色を確認した後、開封することで酸素インジケータを脱酸素状態から有酸素状態に開放し、その変色を確認した。以下に、結果を示す。
【0040】
脱酸素 有酸素*
実施例1 黄 緑
実施例2 黄 緑
実施例3 黄 緑
実施例4 黄 緑
実施例5 黄 緑
実施例6 黄 緑
実施例7 黄 緑
実施例8 黄 緑
実施例9 黄 緑
実施例10 黄 緑
比較例1 黄 緑

* 有酸素状態で1日放置した後の色味を示した。1日経過後、全ての水準で有酸素色を呈した。
【0041】
[実験2]
上記実施例1〜10及び比較例1の積層体を用いて、10cm×10cmの包装体を作製した。包装体内部に有機系脱酸素剤とともに蒸留水入りポリエチレンバッグを充填して封入した。ヘッドスペースは150mLとし、その容量に適した脱酸素剤を選定した。脱酸素状態にした後、40℃75%RHに2週間放置して、酸素インジケータの外観を観察した。
【0042】
脱酸素 有酸素 脱酸素時の包材内湿度
実施例1 ○ ○ 52%RH
実施例2 ○ ○ 64%RH
実施例3 ○ ○ 72%RH
実施例4 ○ ○ 67%RH
実施例5 ○ ○ 60%RH
実施例6 ○ ○ 60%RH
実施例7 ○ ○ 65%RH
実施例8 ○ ○ 70%RH
実施例9 ○ ○ 45%RH
実施例10 ○ ○ 67%RH
比較例1 × ○ 84%RH

有酸素状態では、いずれの条件でも外観不良は認められなかった。脱酸素状態では、調湿乾燥剤添加の無い包材の場合のみ、酸素インジケータ印刷部が水滴状になった。これは、包材内湿度の値からも酸素インジケータ層に過剰な水分が与えられた結果であると推察される。それに対し、調湿乾燥剤を使用した包材では、包材内湿度が制御されることにより酸素インジケータ層に保持される水分量が適量に保たれ、外観が良好に保たれていると考えられる。
【0043】
実験1より、酸素インジケータは、脱酸素状態から有酸素状態になると酸素を検知し、
1日以内に変色が確認された。また、実験2より、調湿乾燥剤を用いることにより、包材内部の酸素の有無に関わらず、外観不良を回避することが出来ることが判明した。酸素インジケータの変色に必要な水分は確保しつつ、過度の水分は呼び込まない構成にすることにより、酸素インジケータの応答性と外観とが両立可能となった。
【0044】
このように、調剤乾燥剤を使用することにより、応答速度に影響を与えることなく外観不良の生じない酸素インジケータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】酸素インジケータの例を示す図。
【図2】容器の例を示す図。
【図3】実施例1の層構成を示す図。
【図4】実施例2の層構成を示す図。
【図5】実施例3の層構成を示す図。
【図6】実施例4の層構成を示す図。
【図7】実施例5の層構成を示す図。
【図8】実施例6の層構成を示す図。
【図9】実施例7の層構成を示す図。
【図10】実施例8の層構成を示す図。
【図11】実施例9の層構成を示す図。
【図12】実施例10の層構成を示す図。
【図13】比較例1の層構成を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1…基材
2…酸素インジケータ
3…シーラント層
21…基材
22…アンカーコート層
23…酸素インジケータ層
24…オーバーコート層
25…2液硬化型ウレタン系接着剤
26…基材
27…2液硬化型ウレタン系接着剤
28…調湿乾燥剤(カリウム明礬)添加シーラント層
29…カリウム明礬を含む2液硬化型ウレタン系接着剤
30…シーラント層
31…カリウム明礬を含む2液硬化型ウレタン系接着剤
32…調湿乾燥剤添加基材
33…調湿乾燥剤添加アンカーコート層
34…調湿乾燥剤(カリウム明礬)添加オーバーコート層
35…調湿乾燥剤(活性炭)添加墨インキ
36…調湿乾燥剤(活性アルミナ)添加墨インキ層
37…調湿乾燥剤(硫酸マグネシウム)添加シーラント層
38…調湿乾燥剤(モンモリロナイト)添加オーバーコート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、酸素インジケータ層と、調湿乾燥剤が添加された層とを有することを特徴とする積層体。
【請求項2】
基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されており、更にその上に調湿乾燥剤を含むシーラント層が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項3】
基材の少なくとも片側に酸素インジケータが積層されており、酸素インジケータとは反対側に調湿乾燥剤を含む接着層を介して別の基材が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項4】
基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されており、更にその上に調湿乾燥剤を含む接着層を介してシーラント層が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項5】
調湿乾燥剤を含む基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項6】
基材の少なくとも片側に調湿乾燥剤を含むアンカーコート層が積層され、その上に酸素インジケータ層が積層されており、更にその上にシーラント層が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項7】
基材の少なくとも片側に酸素インジケータ層が積層されており、その上に調湿乾燥剤を含むオーバーコート層が積層され、更にその上にシーラント層が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項8】
酸素インジケータ層が積層された積層体において、積層体に含まれるいずれかの基材に調湿乾燥剤を含むインキ層が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項9】
前記調湿乾燥剤が、MI、MII、MIIIを、それぞれ、一価イオン、二価イオン、三価イオンとして、MIIII(SO42・12H2O、もしくはMIISO4・Al2(SO43・24H2Oを加熱して乾燥物とした焼明礬であることを特徴とする請求項1〜8に記載の積層体。
【請求項10】
請求項1〜9に記載の積層体の中で層をなしている酸素インジケータが、内部に配置され、脱酸素された外装体であることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−192779(P2007−192779A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13698(P2006−13698)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】