説明

積層型パッチ・アンテナ

種々の典型例の実施形態において、アンテナ・アセンブリは、第1のパッチ・アンテナおよび第2のパッチ・アンテナを含んでいる。第1のパッチ・アンテナは第1の給電点を含み第1の周波数に同調されている。第2のパッチ・アンテナは第2の給電点を含み第2の周波数に同調されている。また、アンテナ・アセンブリは第1の給電点と導通する第1の端部を有する伝送線を含んでいてもよい。伝送線の第2の端部は第2の給電点と導通してもよい。伝送線の第1と第2の端部の一方は、第1と第2のパッチ・アンテナによって受信される信号に対する信号出力を供給してもよい。また、アンテナ・アセンブリは伝送線の信号出力から信号を受信する低ノイズ増幅器を含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の内容は、積層型(積層された)パッチ・アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
この項での説明は、単に本発明に関連する背景情報を説明するものであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
図1を参照すると、これには無線受信機システム10が示されている。図示のように、システム10は、第1の中心周波数fc1に同調した第1のパッチ(patch:パッチ)アンテナ12を含んでいる。また、システム10は、第2の周波数fc2に同調した第2のパッチ・アンテナ14を含んでいる。幾つかの実施形態では、第1の中心周波数fc1は、衛星ディジタル・オーディオ無線サービス(SDARS:Satellite digital Audio Radio Service)(例えば、米国では2.320GHz乃至2.345GHz、等)で使用されている周波数であってもよく、第2の中心周波数fc2は、グローバル・ポジショニング・システム(GPS:Global Positioning System(例えば、少なくとも1.575GHz、等)であってもよい。
【0004】
図1に示すように、第1の低ノイズ増幅器(LNA)16は第1のパッチ・アンテナ12からの信号を増幅する。第2の低ノイズ増幅器(LNA)18は第2のパッチ・アンテナ14からの信号を増幅する。第1のLNA16と第2のLNA18からの信号は、fc1の中心周波数を有する帯域通過フィルタ(BPF:バンドパス・フィルタ)20とfc2の中心周波数を有する帯域通過フィルタ(BPF)22のそれぞれの入力に伝送(伝達)される(communicate with:と通信する)。第1の増幅器24は第1の帯域通過フィルタ20の出力からの信号を増幅する。第2の増幅器26は第2の帯域通過フィルタ22の出力からの信号を増幅する。
【0005】
第1の無線受信機28は第1の増幅器24からの信号を受信する。幾つかの実施形態では、第1の無線受信機28は、SIRIUS衛星無線放送信号および/またはXM衛星無線放送信号と両立性のある(コンパチブルな)SDARS受信機であってもよい。第2の無線受信機30は、第2の増幅器26からの信号を受信する。幾つかの実施形態では、第2の無線受信機30は、ディスプレイ(表示面)および/またはユーザ・インタフェースを含むGPS受信機であってもよい。
【0006】
第1のパッチ・アンテナ12、第2のパッチ・アンテナ14、第1のLNA16、第2のLNA18、第1の帯域通過フィルタ20、第2の帯域通過フィルタ22、第1の増幅器24、および第2の増幅器26は、コンパクト・アンテナ・アセンブリ(組立体)32を構成するように組立てられる。アンテナ・アセンブリ32は、例えば自動車または自動車類(motor vehicle:モータ・ビークル)の屋根のような構造物上に取り付けるのに適していてもよい。
【0007】
第1の増幅器24と第1の無線受信機28の間、および第2の増幅器26と第2の無線受信機30の間のそれぞれの接続部を形成するために同軸ケーブルを使用してもよい。第1のLNA16、第2のLNA18、およびそれぞれの同軸ケーブルは、アンテナ・アセンブリ32のその他の要素(エレメント)に関連するコストと比較したときかなり高価になる傾向がある。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
種々の典型例の実施形態によれば、アンテナ・アセンブリは、概略的に、第1のパッチ・アンテナおよび第2のパッチ・アンテナを含んでいる。その第1のパッチ・アンテナは、第1の給電点(フィード・ポイント)を含み、第1の周波数に同調されている。その第2のパッチ・アンテナは、第2の給電点を含み、第2の周波数に同調されている。また、そのアンテナ・アセンブリは、その第1の給電点と結合(導通、通信、交信)する第1の端部を有する伝送線路(ライン)を含んでいる。その伝送線路の第2の端部は、その第2の給電点と結合(導通、通信、交信)してもよい。その伝送線路のその第1の端部と第2の端部の一方は、第1および第2のパッチ・アンテナによって受信された信号に対する信号出力を供給してもよい。また、アンテナ・アセンブリは、その伝送線路の信号出力からの信号を受信する低ノイズ増幅器を含んでいてもよい。
【0009】
他の典型例の実施形態では、アンテナ・アセンブリ(組立体)は、概略的に、第1と第2のパッチ・アンテナを含んでいる。その第1のパッチ・アンテナは、第1の給電点を含み、第1の周波数に同調されている。第2のパッチ・アンテナは、第2の給電点を含み、第2の周波数に同調されている。これらの実施形態では、そのアンテナ・アセンブリは、また、第1のパッチ・アンテナからの信号を受信する第1の低ノイズ増幅器と、第2のパッチ・アンテナからの信号を受信する第2の低ノイズ増幅器とを含んでいてもよい。そのアンテナ・アセンブリは、さらに、その第1の低ノイズ増幅器の出力からの信号を受信する第1の帯域通過フィルタと、その第2の低ノイズ増幅器の出力からの信号を受信する第2の帯域通過フィルタとを含んでいてもよい。増幅器は、その第1の帯域通過フィルタの出力からの信号を受信し、またその第2の帯域通過フィルタの出力からの信号を受信してもよい。その増幅器はそのアンテナ・アセンブリの出力信号を発生してもよい。
【0010】
さらなる適用の領域(分野)については、以下の説明から明らかになる。以下での説明および具体的な例は単なる例示のためのものであって、本発明の開示の範囲を限定することを意図したものではない、と理解すべきである。
【0011】
典型的な実施形態に関する次の説明は本来単なる典型例であって、いかなる意味においても本発明、その適用分野、または用途を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明は本来単なる典型例であって、本発明の開示内容、適用例または用途を限定することを意図したものではない。図全体を通して対応する参照番号は同様のパーツ(部分、部品)または対応するパーツおよび特徴を表すものであると理解すべきである。
【0013】
図2は、本発明の1つ以上の特徴(側面)を実施形態化した典型例の無線受信機システム50を示している。図示のように、システム50は単一の同軸ケーブル52(またはその他の適した通信ライン)によって増幅器70からの出力信号をスプリッタ(分割器)またはダイプレクサ(diplexer)72に伝送(伝達、通信)することができ、そのスプリッタまたはダイプレクサ72は、その出力信号を第1の無線受信機54用の第1の部分と第2の無線受信機56用の第2の部分とに分割(分離)することを可能にするアーキテクチャ(構成)を採用している。第1の信号はfc1の中心周波数を有し、第2の信号はfc2の中心周波数を有する。幾つかの実施形態では、第1の無線受信機54はSIRIUS衛星(サテライト)無線信号および/またはXM衛星無線方法信号と両立性のある(コンパチブルな)SDARS受信機であってもよい。幾つかの実施形態では、第2の無線受信機56はディスプレイ(表示面)および/またはユーザ・インタフェースを含むGPS受信機であってもよい。
【0014】
システム50は、第1の中心周波数fc1に同調した第1のパッチ・アンテナ58を含んでいる。また、システム50は、第2の中心周波数fc2に同調した第2のパッチ・アンテナ60を含んでいる。幾つかの実施形態では、fc1はグローバル・ポジショニング・システム(GPS:Global Positioning System、全地球測位システム)で使用される周波数であってもよい(例えば)。fc2は衛星ディジタル・オーディオ無線サービス(SDARS:Satellite digital Audio Radio Service)で使用される周波数であってもよい。代替構成として、パッチ・アンテナ58および/または60のいずれか一方または双方が、それぞれGPSおよびSDARSとは別にその他の信号を受信し、および/または例えばアンテナ構造の寸法を調整することによって、より高い周波数帯域またはより低い周波数帯域に同調するように構成されてもよい。さらに加えて、または代替構造として、1つまたは複数の或る周波数帯域を実現するために1つまたは複数の基板(サブストレート)の1つまたは複数の誘電体(絶縁)材料を変更することによって、第1のパッチ・アンテナ58および/または第2のパッチ・アンテナ60に対してその周波数帯域の範囲を選択してもよい。
【0015】
2004年7月20日付けのドイツ特許出願第10 2004 035064.7号および/または2005年7月20日付けの米国特許出願第11/185015号に開示された典型的な形態では、第2のパッチ・アンテナ60は第1のパッチ・アンテナ58上に積層されていてもよい(積み重ねられていてもよい)。ここで、これらの両文献に開示された開示内容の全体を参照して組み込む。
【特許文献1】ドイツ特許出願第2004 035064.7号
【特許文献2】米国特許公開2006/0220970A1
【0016】
第1の低ノイズ増幅器(LNA)62は第1のパッチ・アンテナ58からの信号を増幅する。第2の低ノイズ増幅器(LNA)64は第2のパッチ・アンテナ60からの信号を増幅する。第1のLNA62および第2のLNA64からの信号は、それぞれ、中心周波数fc1、fc2を有する帯域通過フィルタ66、68を通過させられる。第1および第2の帯域通過フィルタ66、68からのそれぞれの出力信号は、合成されて(組み合わされて)増幅器70の入力に供給される。
【0017】
スプリッタまたはダイプレクサ72は増幅器70からの信号を受信して、これをfc1の中心周波数をもつ第1の信号とfc2の中心周波数を持つ第2の信号とに分割(分離)する。第1の受信機54は第1の信号を受信する。第2の受信機56は第2の信号を受信する。
【0018】
第1のパッチ・アンテナ58、第2のパッチ・アンテナ60、第1のLNA62、第2のLNA64、第1の帯域通過フィルタ66、第2の帯域通過フィルタ68および増幅器70は、コンパクト・アンテナ・アセンブリ74を構成するように組立てられる。このコンパクトなアンテナ・アセンブリ74は自動車類(motor vehicle)の屋根(ルーフ)のような構造体上に取り付けるように適合化されていてもよい。
【0019】
次に図3を参照すると、これには無線受信機システム80の第2の実施形態が示されている。システム80は、1個のLNA82が第1のパッチ・アンテナ58からの信号を増幅し、また第2のパッチ・アンテナ60からの信号を増幅することができる構成(アーキテクチャ)を用いている。また、システム80は増幅器70からの信号をダイプレクサ72に伝送(伝達、通信)するために単一の同軸ケーブル52を用いている。2004年7月20日付けドイツ特許出願第10 2004 035064.7号および/または2005年7月20日付け米国特許出願第11/185015号に開示された典型例の形態で、第1のパッチ・アンテナ58を第2のパッチ・アンテナ60上に積層(積み重ねる)ことができる。ここで、これらの両文献に開示された開示内容の全体を参照して組み込む。
【0020】
伝送線路84は第1のパッチ・アンテナ58の給電点と第2のパッチ・アンテナ60の給電点の間を接続している。伝送線路84は、図6に示されているようにプリント回路板(PCB、プリント回路基板、プリント配線板)90上に配線(trace:トレース、線、配線パターン)として形成されている。この伝送線路84については以下でさらに詳細に説明する。
【0021】
LNA82は第2のパッチ・アンテナ60からの信号を増幅する。また、LNA82は第1のパッチ・アンテナ58からの信号を増幅する。伝送線路84は第1のパッチ・アンテナ58からの信号をLNA82の入力に伝送(供給)する。LNA82の出力は、第1の帯域通過フィルタ66の入力および第2の帯域通過フィルタ68の入力に接続されている(導通している、と通信する)。第1の帯域通過フィルタ66の出力および第2の帯域通過フィルタ68の出力は結合されて増幅器70の入力に接続されている(と通信する、導通している)。
【0022】
増幅器70の出力はダイプレクサ72の入力に接続されている(導通している、と通信する、伝達される)。ダイプレクサ72は増幅器70の出力からの信号を受信し、この信号を周波数fc1を中心とする第1の信号と周波数fc2を中心とする第2の信号とに分割(分離)する。第1の受信機54は第1の信号を受信する。第2の受信機56は第2の信号を受信する。
【0023】
第1のパッチ・アンテナ58、第2のパッチ・アンテナ60、LNA82、帯域通過フィルタ66、68、および増幅器70は組立てられて、コンパクト・アンテナ・アセンブリ86に形成される。このコンパクト・アンテナ・アセンブリ86は、例えば自動車類の屋根(ルーフ)のような構造体上に取り付けるのに適している。
【0024】
次に伝送線路84についてさらに詳細に説明する。第1のパッチ・アンテナ58と第2のパッチ・アンテナ60を適正に機能(動作)するように積層された形に組み合わせるために、好ましくは2つのパッチ・アンテナ間の干渉を最小化し、または少なくとも減少させるべきである。第1のパッチ・アンテナ58と第2のパッチ・アンテナ60の間の干渉を減少させることは、これら2つのパッチ・アンテナ間の分離(isolation:絶縁)を大きくすることと等価(同等)である。
【0025】
次の例では、fc1は2320MHz乃至2345MHzの間のSDARS周波数であり、fc2は1575MHzのGPS周波数である。伝送線路84によって実現される分離(絶縁)を大きくする1つの方法は、第1のパッチ・アンテナ58からのインピーダンスがGPS周波数で高く、また(第2のパッチ・アンテナ60から見たときの)第1のパッチ・アンテナ58のインピーダンスがSDARS周波数で高い値に留まっていることを、確実にすることである。このことは、第1のパッチ・アンテナ58と第2のパッチ・アンテナ60の間に50オーム(Ω)の特性インピーダンスをもった伝送線路84を用いて実現される。幾つかの実施形態では、伝送線路84は、GPS周波数での4分の1波長に相当する。
【0026】
誘電率(permittivity)εrおよび透磁率(permeability)μで特性付けられる無損失で且つ均一な誘電体媒体では、伝送線路84の効果は次式によって解析される。
【数1】

【数2】

および
【数3】

ここで、
C=光の速度、
f=周波数、
εr=媒体の相対誘電率、
in=入力における変換されたインピーダンス(変換インピーダンス)、
load=入力の反対側におけるインピーダンス(負荷インピーダンス)、および
λ=波長。
【0027】
伝送線路84の長さl(Lの小文字)がGPS周波数でのλ/4であれば、次の式4によって表わされるように、第1のパッチ・アンテナ58の低インピーダンスは高インピーダンスに変換される。
【数4】

【0028】
SDARS周波数では、伝送線路84の長さl(Lの小文字)は1.47λ(約1.5λ)である。第2のパッチ・アンテナ60は高インピーダンスであるので、第1のパッチ・アンテナ58は、第2のパッチ・アンテナ60から次式のインピーダンスを見ることになる。
【数5】

従って、伝送線路84は第1のパッチ・アンテナ58と第2のパッチ・アンテナ60の間を充分に分離(絶縁)することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、伝送線路84は、第1のパッチ・アンテナ58からの出力または信号を、第2のパッチ・アンテナ60からの異なる(他の)出力または信号から分離するための無線周波数チョークとして動作することができる(GPS周波数における)4分の1波長変成器を構成する。例えば、幾つかの実施形態は、第1のパッチ・アンテナ58によって受信されたSDARS信号を、第2のパッチ・アンテナ60によって受信されたGPS信号から分離する伝送線路84を有してもよい。しかし、ここで指摘したように、それぞれのパッチ・アンテナ構成の、例えば誘電率(dielectric constant)および/または寸法(dimensions)を調整することによって、これらのパッチ・アンテナ58および/または60のいずれか一方または双方を、それぞれSDARSおよびGPSに加えてその他の信号を受信し、および/またはより高い周波数帯域またはより低い周波数帯域に同調させるように構成してもよい。幾つかの実施形態では、各パッチ・アンテナ58および60は、GHz領域にある衛星(サテライト)送信された周波数を受信するために下側基板の上面に2分の1波長(λ/2)アンテナ構造(アンテナ・ストラクチャ)を含んでいる。
【0030】
次に図4を参照すると、これにはアンテナ・アセンブリ86の斜視図が示されている。第1のパッチ・アンテナ58が第2のパッチ・アンテナ60上に配置された形で示されている。第2のパッチ・アンテナ60はPCB90上に配置されている。PCB90の構成要素(コンポーネント)側92は、LNA82、帯域通過フィルタ66および68、増幅器70、および伝送線路84の各構成要素に適合する(accommodate:対応できる)回路配線およびパッドを含んでいる。第1のリード線94は第1のパッチ・アンテナ58の給電点への接続を形成する。第2のリード線96は第2のパッチ・アンテナ60の給電点への接続を形成する。第1のパッチ・アンテナ58は第1の誘電体層98を含んでいる。幾つかの実施形態では、第1の誘電体層98の誘電率(比誘電率)は約20である。第2のパッチ・アンテナ60は第2の誘電体層99を含んでいる。幾つかの実施形態では、第2の誘電体層99の誘電率(比誘電率)は約2乃至4で(約2および4を含んで約2乃至4の間に)あってもよい。これらの実施形態では、第1の誘電体層98の誘電率(比誘電率)は概して第2の誘電体層99の誘電率(比誘電率)よりも大である。この関係によって、概して確実に、第2のパッチ・アンテナ60は、その上に第1のパッチ・アンテナ58を収容するのに充分な面積を有するようになるであろう。
【0031】
次に図5を参照すると、これには図4の線5−5に沿うアンテナ・アセンブリ86の断面が示されている。第2のパッチ・アンテナ60は第1のパッチ・アンテナ58に対する金属化(metallization)層を形成する。また、第2のパッチ・アンテナ60に対する第2の金属化層102が設けられている。第2の金属化層102はPCB90と第2の誘電体層99の間に層をなして設けられている。
【0032】
次に図6を参照すると、これにはPCB90の構成要素(コンポーネント)92側が示されている。この例示の実施形態では、伝送線路84はPCB90上の曲がりくねった(meandering:曲折)回路配線として形成されていてもよい。また、構成要素92側には、LNA82の構成要素、第1の帯域通過フィルタ66、第2の帯域通過フィルタ68および増幅器70の各構成要素に適合し且つこれらを接続する多数のパッドおよび配線104が含まれている。
【0033】
本発明の実施形態および特徴的形態は、無線信号がアンテナ間で伝送(通信)される適用例の中でも、例えば、パッチ・アンテナ、テレマティックス(telematics)アンテナ、衛星信号(例えば、衛星ディジタル・オーディオ無線サービス(SDARS)、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)、セルラ(cellular)信号、等)、地上波信号(terrestrial signals)を受信するように構成されたアンテナ、RFエネルギまたは無線送信(例えば、AM/FM無線信号、等)を受信するように構成されたアンテナ、これらのアンテナの組み合わせ、のような広範囲のアンテナ・アプリケーション(適用例)で使用してもよいことに留意すべきである。従って、本発明の範囲は、アンテナ・アセンブリの唯一の特定の形態(form:フォーム)/タイプ(type:形式)のみに限定されるべきでない。
【0034】
さらに、ここで説明した種々のアンテナ・アセンブリおよび構成要素(コンポーネント)を、静止プラットフォームおよび移動プラットフォームを含む広範囲にわたる支持構造物(支持ストラクチャ)上に取り付けてもよい。例えば、ここで説明したアンテナ・アセンブリを、移動プラットフォームの中でも、バス、列車、航空機の支持構造物上に取り付けることができるであろう。従って、ここで参照した自動車を参照した説明は、本発明の範囲を特定のタイプの支持構造物または環境に制限するよう解釈すべきでない。
【0035】
ここでは幾つかの用語は参照としてのみ使用されており、従ってその用語で限定することを意図したものではない。例えば、“上側(upper)”、“下側(lower)”、“の上(above)”、“の下(below)”等の用語は、参照する図面中の方向を示している。“前面(front)”、“背面(back)”、“後部(rear)”、“上部(top)”、“底部(bottom)”、および“側部(side)”等の用語は、対象となる構成要素(コンポーネント)を説明する説明文および関連する図面を参照することによって明らかになる矛盾の無い一貫性ある参照法の範囲内で任意の参照法で構成要素の各部分の方向を表している。このような用語は、特に上記の用語、その派生語、同様な意味の語を含む。同様に、用語“第1の(first)”、“第2の(second)”、および構造物を表すこのような数値の用語は、前後関係(文脈)によって明確に示されたものでない限り、一連の順序または順番を意味するものではない。
【0036】
本発明またはその実施形態の構成要素(エレメント)、コンポーネント(構成部分)、または特徴を説明するに当って、冠詞“a”、“an”、“the”および“前記(said)”は、1つ以上の構成要素(エレメント)、コンポーネントまたは特徴が存在することを意味する。用語“・・・からなる(comprising)”、“含む(including)”、“有する(having)”は、特に説明したこれらの構成要素、コンポーネントまたは特徴以外に別の構成要素または特徴を含み得るまたは存在してもよいことを意味することを意図している。さらに、ここで説明した方法の工程(ステップ)、プロセス(処理)、動作(オペレーション)は、オーダ(order:順序、等級、種類、注文)または性能(特性)として特に指定しない限り、ここで説明しまた図示した特定のオーダで必ずその性能を要求するものであると解釈すべきでない。また、追加のまたは代替的な工程(ステップ)が採用されることもあると理解すべきである。
【0037】
本発明の説明は、その性質上単なる典型例に関するものであり、従って本発明の要旨を逸脱しない複数の変形が本発明の範囲内のものとなることを意図している。そのような変形は本発明の精神および範囲を逸脱するものではないと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、従来技術によるデュアル(二重)周波数無線受信機システムの機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の典型例の実施形態による無線受信機システムの機能ブロック図である。
【図3】図3は、本発明の別の典型例の実施形態の無線受信機システムの機能的ブロック図である。
【図4】図4は、図3に示す無線受信機システムに含まれる積層型(積み重ねられた)パッチ・アンテナの斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す積層型パッチ・アンテナの断面図である。
【図6】図6は、図4に示す積層型パッチ・アンテナ上に配置されたプリント回路板の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の給電点を含み、第1の周波数に同調した第1のパッチ・アンテナと、
第2の給電点を含み、第2の周波数に同調した第2のパッチ・アンテナと、
前記第1の給電点に結合された第1の端部と、前記第2の給電点に結合された第2の端部とを有する伝送線路であって、前記第1の端部と第2の端部の一方が、前記第1のパッチ・アンテナおよび前記第2のパッチ・アンテナによって受信された信号に対する信号出力を供給するものである伝送線路と、
前記伝送線路の信号出力からの信号を受信する低ノイズ増幅器と、
を具えるアンテナ・アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の周波数は衛星ディジタル無線サービスに関連し、前記第2の周波数はGPSに関連するものである、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のパッチ・アンテナは前記第2のパッチ・アンテナ上に積層されているものである、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項4】
前記伝送線路はプリント回路基板上に形成されているものである、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項5】
前記伝送線路は回路基板配線からなるものである、請求項5に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項6】
前記回路基板配線は曲がりくねったパターンを含むものである、請求項5に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項7】
前記伝送線路は、GPSに関連する周波数での4分の1波長変成器からなるものである、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項8】
唯一の前記低ノイズ増幅器を含む、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項9】
さらに、前記低ノイズ増幅器の出力から信号を受信する第1および第2の帯域通過フィルタを具える、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項10】
さらに、前記第1の帯域通過フィルタの出力から信号を受信し前記第2の帯域通過フィルタの出力から信号を受信し、前記アンテナ・アセンブリの出力信号を発生する増幅器を具える、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項11】
唯一の前記増幅器を含む、請求項10に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項12】
前記増幅器は、前記増幅器からの出力信号を受信してこの出力信号を第1の無線受信機用の第1の周波数を中心とする第1の信号と第2の無線受信機用の第2の周波数を中心とする第2の信号とに分けるダイプレクサに、伝達するように構成されているものである、請求項10に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項13】
さらに、前記増幅器からの出力信号をダイプレクサに伝送するための単一の伝送リンクを具える、請求項10に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項14】
前記単一の伝送リンクは単一の同軸ケーブルからなるものである、請求項13に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項15】
前記第1および第2の帯域通過フィルタからの信号は組み合わされて前記増幅器の入力に供給されて増幅されるものである、請求項10に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項16】
前記伝送線路は、前記第1のパッチ・アンテナと前記第2のパッチ・アンテナの間で50オームの特性インピーダンスを有するものである、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項17】
前記伝送線路の長さは、GPSに関連する周波数での4分の1波長に相当し、前記伝送線路の長さは、衛星ディジタル無線サービスに関連する周波数での約1.5波長に相当するものである、請求項1に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項18】
アンテナ・アセンブリであって、
第1の給電点を含み、第1の周波数に同調した第1のパッチ・アンテナと、
第2の給電点を含み、第2の周波数に同調した第2のパッチ・アンテナと、
前記第1のパッチ・アンテナから信号を受信する第1の低ノイズ増幅器と、
前記第2のパッチ・アンテナから信号を受信する第2の低ノイズ増幅器と、
前記第1の低ノイズ増幅器の出力から信号を受信する第1の帯域通過フィルタと、
前記第2の低ノイズ増幅器の出力から信号を受信する第2の帯域通過フィルタと、
前記第1の帯域通過フィルタの出力から信号を受信し、前記第2の帯域通過フィルタの出力から信号を受信し、前記アンテナ・アセンブリの出力信号を発生する増幅器と、
を具えるアンテナ・アセンブリ。
【請求項19】
唯一の前記増幅器を含む、請求項18に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項20】
前記増幅器は、前記増幅器から出力信号を受信してこの出力信号を第1の無線受信機用の第1の周波数を中心とする第1の信号と第2の無線受信機用の第2の周波数を中心とする第2の信号とに分けるダイプレクサに、伝達するように構成されている、請求項18に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項21】
さらに、前記増幅器からの出力信号をダイプレクサに伝送するための単一の伝送リンクを具える、請求項21に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項22】
前記単一の伝送リンクは単一の同軸ケーブルからなるものである、請求項21に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項23】
前記第1および第2の帯域通過フィルタからの信号は組み合わされて前記増幅器の入力に供給されて増幅されるものである、請求項18に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項24】
前記第1の周波数は衛星ディジタル無線サービスに関連し、前記第2の周波数はGPSに関連するものである、請求項18に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項25】
前記第1のパッチ・アンテナは前記第2のパッチ・アンテナが積層されているものである、請求項18に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項26】
第1の給電点を含み、第1の周波数に同調した第1のパッチ・アンテナと、
前記第1のパッチ・アンテナが積層された第2のパッチ・アンテナであって、第2の給電点を含み、前記第1の周波数と異なる第2の周波数に同調した第2のパッチ・アンテナと、
前記第1の給電点に結合された第1の端部と、前記第2の給電点に結合された第2の端部とを有し、前記第1の端部と前記第2の端部の一方が、前記第1のパッチ・アンテナと前記第2のパッチ・アンテナによって受信された信号に対する信号出力を供給するものである伝送線路と、
前記伝送線路の信号出力から信号を受信する低ノイズ増幅器と、
前記低ノイズ増幅器の出力から信号を受信する第1および第2の帯域通過フィルタと、
前記第1の帯域通過フィルタの出力からの信号と前記第2の帯域通過フィルタの出力からの信号とを受信し、出力信号を発生する増幅器と、
前記増幅器からの出力信号を受信して、この出力信号を第1の無線受信機用の第1の周波数を中心とする第1の信号と、第2の無線受信機用の第2の周波数を中心とする第2の信号とに分けるダイプレクサと、
前記増幅器からの出力信号を前記ダイプレクサに伝送する同軸ケーブルと、
を具えるアンテナ・アセンブリ。
【請求項27】
前記第1の周波数は衛星ディジタル無線サービスに関連し、前記第2の周波数はGPSに関連するものである、請求項26に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項28】
前記伝送線路はプリント回路基板上の曲がりくねったパターンを有する回路基板配線からなるものである、請求項26に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項29】
唯一の前記低ノイズ増幅器と、唯一の前記増幅器と、前記増幅器を前記ダイプレクサに接続する唯一の前記同軸ケーブルとを具える、請求項26に記載のアンテナ・アセンブリ。
【請求項30】
前記伝送線路の長さはGPSに関連する周波数での4分の1波長に相当し、また前記伝送線路の長さは前記衛星ディジタル無線サービスに関連する周波数での約1.5波長に相当するものである、請求項26に記載のアンテナ・アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−506730(P2009−506730A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534797(P2008−534797)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/075075
【国際公開番号】WO2008/033623
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(506322433)レアード テクノロジーズ インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】LAIRD TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】3481 Rider Trail South St. Louis,Missouri 63045 United States of America
【Fターム(参考)】