説明

積層板

【課題】直角に折り曲げた場合であっても強度低下を軽減することができる積層板を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の基板1の両面に金属箔2が貼着されている積層板Pにおいて、積層板Pの一方の金属箔2から基板1を切欠く断面V字状の切欠部3を2個並設し、該切欠部3,3間に断面略三角形の残部4が形成されているため、積層板Pを略直角に折り曲げた際、断面略三角形の残部4の肉厚が充分存在するので、強度低下を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の両面を金属箔で挟んだ積層板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、積層板については種々の発明がなされており、例えば、基板(20)の外面(20a)側に化粧シート(26)が貼着され、基板(20)の折り曲げ位置(26a)に基板(20)の内面(20b)側から外面(20a)側に大略V字型をなす1対の傾斜面(24c,24d)と底面(24a)とよりなる溝(24)が形成された化粧板の折り曲げ構造にして、基板(20)を上記溝(24)を中心として内面(20b)側に折り曲げて上記溝(24)を形成する1対の傾斜面(24c,24d)の一部(22a,22b)を互いに突き合わせることにより略直角のコーナを形成するようにした折り曲げ構造を備えた化粧板である積層板が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−284367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の積層板は、V字型の溝を中心にして内面側に折り曲げて略直角のコーナを形成しているため、略直角のコーナにおいては、表面の化粧シートの厚み及び薄肉に切除された底面を形成する基板の厚みしか存在しないため、略直角のコーナに外力が加わると、容易に凹んでしまい、強度面で充分とは言えないものであった。
【0005】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、直角に折り曲げた場合であっても強度低下を大幅に軽減することができる積層板を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち、本発明に係る積層板は、合成樹脂製の基板の両面に金属箔が貼着されている積層板において、該積層板の一方の金属箔から基板を切欠く断面V字状の切欠部を2個並設し、該切欠部間に断面略三角形の残部が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明に係る積層板は、合成樹脂製の基板の両面に金属箔が貼着されている積層板において、該積層板の一方の金属箔から基板を切欠く断面V字状の切欠部を2個並設し、該切欠部間に断面略台形の残部が形成され、該断面略台形を形成する上底面に金属箔が残存されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、積層板の一方の金属箔から基板を切欠く断面V字状の切欠部を2個並設し、該切欠部間に断面略三角形の残部が形成されているため、積層板を略直角に折り曲げた際、断面略三角形の残部の肉厚が充分存在するので、強度低下を大幅に軽減することができる。
【0009】
本発明によれば、積層板の一方の金属箔から基板を切欠く断面V字状の切欠部を2個並設し、該切欠部間に断面略台形の残部が形成され、該断面略台形を形成する上底面に金属箔が残存されているため、積層板を略直角に折り曲げた際、基板の厚みに加え、残部の両面に金属箔が残存している構造であるので、更に強度低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る積層板の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】図1の積層板を略直角に折り曲げた状態を示す断面図である。
【図3】図1の積層板の要部拡大の正面図である。
【図4】本発明に係る積層板の別の実施の一形態を示す断面図である。
【図5】図4の積層板を略直角に折り曲げた状態を示す断面図である。
【図6】図4の積層板の要部拡大の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
1は合成樹脂製の基板であり、2は金属箔であって、前記合成樹脂製の基板1の両面に金属箔2が貼着されて積層板Pが形成されている。
そして、図1〜3に示す形態は、積層板Pの一方の金属箔2から基板1を切欠く断面V字状の切欠部3が2個並設され、該切欠部3,3間に断面略三角形の残部4が形成されている。
【0012】
図1の状態から矢印X方向に積層板Pを曲げて、残部4の左右に形成された断面V字状の切欠部3の傾斜面31どうしを当接させる様になして、図2の状態の略直角に折り曲げられた積層板Pが形成されるのであるが、切欠部3のV字の角度αを適宜調整することにより、所望の曲げ角度の積層板Pを形成することができる。
【0013】
なお図3に示す如く、本形態においては、断面略三角形の残部4の上端には上側の金属箔2が残っているため、基板1の厚み及び強度に金属箔2の厚み及び強度が加わって、積層板Pを折り曲げた部分の強度が向上する。
【0014】
また図4〜6に示す形態は、積層板Pの一方の金属箔2から基板1を切欠く断面V字状の切欠部3が2個並設され、該切欠部3,3間に断面略台形の残部4が形成され、該断面略台形を形成する上底面41に金属箔2が残存されている。
【0015】
図4の状態から矢印X方向に積層板Pを曲げて、残部4の左右に形成された断面V字状の切欠部3の傾斜面31どうしを当接させる様になして、図5の状態の略直角に折り曲げられた積層板Pが形成されるのであるが、切欠部3のV字の角度αを適宜調整することにより、所望の曲げ角度の積層板Pを形成することができる。
【0016】
なお、積層板Pの一方の金属箔2から基板1を切欠く断面V字状の切欠部3を2個並設する際は、一般に用いられる、例えばロータリーカッター等の回転刃を2枚並べて回転させ、断面V字状の切欠部を形成すればよい。その際、図1〜3に示す形態である残部4が断面略三角形となる様に加工する場合は、図4〜6に示す形態である残部4を断面略台形状となる様に加工する場合に比べ、2枚の回転刃の距離が近づくため、断面略三角形の残部4の上端に位置する金属箔2が加工時に一部或いは大部分が切除されることがある。この様な場合であっても、残部4には基板1及び下側の金属箔2が残存するので、積層板Pを折り曲げた部分の強度は充分確保される。
【0017】
また上記形態において、断面V字状の切欠部3は積層板Pの一方の金属箔2から基板1を切欠き、切り欠かれた部分は下側の金属箔2のみが残存する様に図示しているが、積層板Pの折り曲げに支障がない程度、合成樹脂製の基板1を残存させてもよい。
【0018】
基板1は、合成樹脂分のみから形成されてもよいし、フィラー等の添加剤が配合され形成されてもよい。基板1の種類は特に限定されるものではなく、例えばポリオレフィン系樹脂が用いられ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物等、或いはそれらの2種以上の混合物等から適宜選択して使用することができる。
【0019】
フィラーとしては、タンカル、タルク、マイカ、シリカ、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、ガラスまたはガラス繊維、クレー、木粉、炭素繊維、モンモリロナイト、フライアッシュの群の中から少なくとも1種類以上選択すればよい。
【0020】
また基板1は、必要に応じて発泡させても良い。発泡の手法としては、従来の公知の手法がいずれも利用できる。一般的には、熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡と、低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡とに分類でき、化学発泡剤としては無機系の重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム、軽金属、アジド化合物等、また有機発泡剤としてアゾ系、ニトロソ系、ヒドラジド系等が、任意の組合せで使用できる。また、特に2倍を越える高発泡倍率での発泡には主に物理発泡が用いられ、発泡剤としては炭酸ガスや脂肪族炭化水素が主に用いられる。また、物理発泡に際しても発泡体のセル形状を整えるため化学発泡剤を併用することが多い。
【0021】
また基板1には、必要に応じて例えば熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料又は染料等の着色剤、充填剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、滑剤、造核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、脱水剤、艶調整剤等を添加してもよい。
【0022】
金属箔2の種類は特に限定されるものではないが、アルミニウム合金やステンレススチールが好適に用いられる。
【0023】
また、基板1の両面に貼着されている金属箔2の外側に、塩化ビニル等の合成樹脂製の化粧シートを貼着した積層板Pにおいて、積層板Pの一方の金属箔2から基板1を切欠く断面V字状の切欠部3を2個並設し、切欠部3,3間に断面略三角形または断面台形の残部4を形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、積層板の一方の金属箔から基板を切欠く断面V字状の切欠部を2個並設し、該切欠部間に断面略三角形の残部が形成されているため、積層板を略直角に折り曲げた際、断面略三角形の残部の肉厚が充分存在するので、強度低下を大幅に軽減できる出隅用の巾木や見切り材等の用途に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 基板
2 金属箔
3 切欠部
31 傾斜面
4 残部
41 上底面
P 積層板
α 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の基板の両面に金属箔が貼着されている積層板において、該積層板の一方の金属箔から基板を切欠く断面V字状の切欠部を2個並設し、該切欠部間に断面略三角形の残部が形成されていることを特徴とする積層板。
【請求項2】
合成樹脂製の基板の両面に金属箔が貼着されている積層板において、該積層板の一方の金属箔から基板を切欠く断面V字状の切欠部を2個並設し、該切欠部間に断面略台形の残部が形成され、該断面略台形を形成する上底面に金属箔が残存されていることを特徴とする積層板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−912(P2012−912A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139450(P2010−139450)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】