説明

積層熱可塑性フィルム

【課題】 優れた接着性、耐水性、耐溶剤性を有する積層熱可塑性フィルムを提供する。
【解決手段】 熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含有する重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂を主な構成成分とする接着改質層を設けたことを特徴とする積層熱可塑性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着性の改良された熱可塑性フィルムに関し、その目的とするところは、ラミネート時の接着剤、金属あるいは無機やそれらの酸化物薄膜など広範囲の用途に使用可能で高度な接着性、耐水性、耐溶剤性を有する熱可塑性フィルムを提供することにある。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂よりなるフィルム、特に配向されたポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等のフィルムは、優れた力学的性質や、耐熱性、透明性などを有し幅広く使用されている。特に二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性が優れているので、磁気テープ用ベースフィルム、絶縁テープ、写真フィルム、トレーシングフィルム、食品包装用フィルムなどの多方面で使用さえている。しかしながら一般にポリエステルフィルムは接着性が低いため、磁性体、感光剤、マット剤などを積層する場合には、フィルム表面にコロナ放電処理をしたり、アンカーコート剤を設けることが一般的である。アンカーコート剤として、数多くの材料が提案されており、中でも、ポリエステルを中心とした比較的極性が高いフィルムに対しては、水溶性あるいは水分散性のポリエステル系樹脂あるいはアクリル系樹脂を用いることが提案されている。(特開昭54-43017号、特公昭49-10243号、特開昭52-19786号、特開昭52-19787号等)しかし、上記ポリエステル樹脂はフィルムを巻いてロールとしたとき、ブロッキングを起こしやすいという欠点があり、また上記アクリル系樹脂はフィルム及びプライマー層に被覆される層との接着性に劣るという欠点がある。そこで、ポリエステル及びアクリル系樹脂の代わって水溶性あるいは水分散性のポリウレタン樹脂を用いることが提案されている(特開昭55-15825号、特開昭57-6767 号、特開昭61-233542 号、特開昭61-261324 号、特開昭61-261326 号等)。これらのポリウレタン樹脂は水溶性あるいは水分散性付与のために分子中に親水性基を導入しているため、コート層の耐水性が劣り、耐ブロッキング性の改善も不充分である。そのため、水溶性あるいは水分散性のポリウレタン樹脂をイソシアネートまたはメラミン樹脂等により架橋することが提案されている(特開昭61-145232号、特開昭61-233539 号)。これらの方法によってもコート層の耐水性等の改善は不十分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解決する事を目的とし、優れた接着性、耐水性、耐ブロッキング性、耐溶剤性を有する積層熱可塑性フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性基材フィルムの少なくとも片面に、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含有する重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂を主な構成成分とする接着改質層を有することを特徴とする積層熱可塑性フィルムにより上記目的が達成出来る。本発明の好ましい実施態様においては、前記接着改質層が、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含有する重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂を含む塗布液を未延伸または一軸延伸フィルムに塗布、乾燥後、該塗布フィルムを更に、一軸またはそれ以上延伸後、熱固定することによって形成された積層熱可塑性フィルムである。本発明のさらに好ましい実施態様においては、二重結合を有する酸無水物が少なくともマレイン酸を含有することである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリウレタン系樹脂は、構成成分に二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーの少なくとも1種からなるラジカル重合体が含有されていれば良い。ラジカル重合体は二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種から構成されたものであれば良く、他の重合性不飽和単量体重合が含まれていても良い。またラジカル重合体はポリウレタン系樹脂の主鎖または側鎖等にあればよく、特に限定されるものではない。ラジカル重合体のポリウレタン系樹脂への導入方法は通常の方法でよい。主な導入方法としては、二重結合を有するポリウレタン系樹脂のグラフト化、ポリウレタン系樹脂に酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種からなるラジカル重合体を成分とするポリオールを使用すること等が挙げられる。
【0006】(重合性不飽和単量体)本発明の重合性不飽和単量体を例示するフマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステルマレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル、イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、フェニルマレイミド等のマレイミド等また、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどである。またアクリル重合性単量体は、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等):2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体:N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体:グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体:アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物とそのエステルである。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることが出来る。
【0007】(二重結合を有するポリウレタン系樹脂)本発明において、二重結合を有するポリウレタン系樹脂とは、グラフト開始点として主鎖または側鎖に二重結合が含まれていればよい。二重結合の導入方法は、二重結合を有するポリオールまたは鎖延長剤を使用すればよい。ポリオールの例として、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリシリコンポリオール等が挙げられる。この内、二重結合を有する共重合ポリエステルポリオールが好ましい。重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸を酸成分として使用することにより、容易に二重結合を有する共重合ポリエステルポリオールを得ることができる。重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸として、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。このうち好ましいのは、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
【0008】(グラフト重合体)ポリウレタン樹脂のグラフト化は、一般には、二重結合を有するポリウレタン系樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望のポリウレタン−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかったポリウレタン系樹脂及びポリウレタン系樹脂にグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
【0009】本発明のポリウレタン系樹脂は、酸無水物を含有するモノマーを少なくとも1種からなるラジカル重合体を成分とするポリオールから重合してもよい。当該ポリオールの重合例としては、ポリイソシアネートと反応する活性水素基を含有したラジカル重合体または二重結合を有する共重合ポリエステルポリオールのグラフト体等を挙げることができるが、特にこれらの重合方法に限定するものではない。
【0010】本発明において、二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーの少なくとも1種からなるラジカル重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂の酸価は600eq/106 g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/106 g以上である。樹脂の酸価が600eq/106 g未満である場合は、本発明の目的であるプライマー処理材に被覆される層との接着性が十分とはいえない。
【0011】本発明のポリウレタン系樹脂は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは、水系溶媒の溶液または分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液つまり、水分散樹脂の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。この様な水分散樹脂を得るには、通常、有機溶媒中で、当該ポリウレタン系樹脂を重合し、次いで、水添加、有機溶媒留去により達成される。本発明での水分散樹脂は、レーザー光散乱法により測定される平均粒子系は500nm以下であり、半透明ないし乳白色の外観を呈する。重合方法の調整により、多様な粒子径の水分散樹脂が得られるが、この粒子径は10〜500nmが適当であり、分散安定性の点で、400nm以下が好ましく、より好ましくは300nm以下である。500nmを越えると被覆膜表面の光沢の低下がみられ、被覆物の透明性が低下し、10nm未満では、本発明の目的である耐水性が低下するため、好ましくない。
【0012】本発明のポリウレタン系樹脂は二重結合を有する酸無水物由来以外の親水性基を耐水性を悪化さない程度において含有していてもかまわない。ここでの親水性基とは、親水基または後で親水基に変化できる基を指す。親水基として、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を挙げることができる。一方、親水基に変化できる基として、グリシジル基、クロル基などを挙げることができる。これらの中で、水分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生する基が好ましい。本発明の酸価を上げる点で、カルボキシル基か、カルボキシル基を発生する基が好ましい。
【0013】本発明のポリウレタン系樹脂の製造方法のひとつであるグラフト重合は、一般には、二重結合を有するポリウレタン系樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望のポリウレタン−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった2重結合を有するポリウレタン及び当該ポリウレタンにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
【0014】(重合開始剤およびその他添加剤)本発明で用い得るグラフト重合開始剤としては、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。有機過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)などを挙げることが出来る。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、重合性モノマーに対して、少なくとも0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5重量%の範囲で添加されるのが望ましい。
【0015】(反応溶媒)本発明の実施のためのグラフト化反応溶媒は沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、望ましくは20g/L以上であるものをいう。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度がおそく、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが出来ないので不適当である。また沸点が50℃以下では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。ポリウレタン樹脂をよく溶解しかつカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解する第一群の水性有機溶媒としては、エステル類例えば酢酸エチル、ケトン類例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、環状エ−テル類例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、グリコ−ルエ−テル類例えばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類例えばメチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト−ル、グリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類例えばエチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ケトンアルコール類例えばダイアセトンアルコール、更にはN−置換アミド類例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を例示する事が出来る。
【0016】これに対し、ポリウレタン樹脂をほとんど溶解しないがカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく溶解する第二群の水性有機溶媒として、水、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げることが出来るが、本発明の実施に特に好ましいものとしては炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
【0017】グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒からただ一種を選んで行なうことが出来る。混合溶媒で行なう場合は第一群の水性有機溶媒からのみ複数種選ぶ場合と、第一群の水性有機溶媒から少なくとも一種を選びそれに第二群の水性有機溶媒から少なくとも一種を加える場合がある。
【0018】グラフト重合反応溶媒を第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒とした場合と、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒とした場合のいずれにおいてもグラフト重合反応を行なうことができる。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外観、性状などに差異がみられ、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒を使用する方が好ましい。
【0019】第一群の溶媒中ではポリウレタン分子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、一方第一群/第二群の混合溶媒中では広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることがこれら溶液中のポリウレタンの粘度測定により確認された。ポリウレタンの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくすることがゲル化防止に有効である。効率の高いグラフト化とゲル化抑制の両立は後者の混合溶媒系において達成される。第1群/第2群の混合溶媒の重量比率はより望ましくは95/5〜10/90さらに望ましくは90/10〜20/80、最も望ましくは85/15〜30/70の範囲である。最適の混合比率は使用するポリウレタンの溶解性などに応じて決定される。
【0020】(水分散化)本発明にかかわるグラフト化反応生成物は塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することが出来る。塩基性化合物としては塗膜形成時、或は硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類などが好適である。望ましい化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエタノールアミン、N-メチル-N,N- ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、sec-ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3-メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることが出来る。塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少くとも部分中和、若しくは、完全中和によって水分散体のPH値が5.0−9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、金属や無機蒸着膜の接着性や他材料と積層した時の耐水性や耐熱水接着性が優れる。また100℃以上の塩基性化合物使用した場合や乾燥条件を制御し、乾燥後の塗膜中に塩基化合物を500ppm以上残留させることにより、印刷インクの転移性が向上する。
【0021】本発明により生成される水系分散体では、ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量は500-50000 であるのが好ましい。ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量を 500以下にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が十分に行なわれない傾向がある。また、ラジカル重合性単量体のグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成するが、十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量は 500以上であることが望ましい。またラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量の上限は溶液重合における重合性の点で 50000が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行なうことが出来る。
【0022】本発明は二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーの少なくとも1種からなるラジカル重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂以外に、必要に応じて他の樹脂と混合して使用することもできる。他の樹脂の例として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられるが、特にこの例に限定されるものではない。混合して使用する他の樹脂は溶剤系、水性どちらでもよく、用途、製造方法に合わせて選択が可能である。製膜工程中で塗布、延伸をする場合には水溶性または水分散性樹脂が好ましい。
【0023】本発明はさらに架橋結合剤を添加することにより高度な接着性、耐水性、耐溶剤性を付与することが可能である。架橋結合剤としては、前記重合性不飽和単量体がグラフトされた自己架橋性ポリエステル系グラフト共重合体に存在する官能基などと熱や光で架橋反応をし、最終的には3次元網目構造を形成しうる物であり特に限定されない。
【0024】架橋結合剤としては、アルキル化フェノール類、クレゾール類などのホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂;多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物;オキサゾリン化合物などを用い得る。
【0025】フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニルo−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
【0026】アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミンなどを挙げることができる。
【0027】多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0028】多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類などの高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
【0029】ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製し得る。イソシアネートブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノールなどのチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノールなどの第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタムなどのラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダなどを挙げることができる。
【0030】これら架橋剤結合は、それぞれ単独または2種以上混合して用い得る。架橋結合剤の配合量は、グラフト化共重合体100重量部に対して、1重量部〜40重量部が好ましい。架橋結合剤の配合方法としては、(1)架橋剤が水溶性である場合、直接グラフト共重合体の水系溶媒溶液または分散液中に溶解または分散させる方法、または(2)架橋剤が油溶性である場合、グラフト化反応終了後、反応液に添加する方法がある。これらの方法は、架橋剤の種類、性状により適宜選択し得る。さらに架橋結合剤には、硬化剤あるいは促進剤を併用し得る。
【0031】上記ポリウレタン系樹脂および架橋結合剤の組み合わせは、そのままで本発明に用い接着改質層を形成し得るが、他の目的から汎用のポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、それらの共重合体、各種水溶性樹脂、等や各種機能性樹脂、例えばポリアニリンやポリピロール等の導電性樹脂や抗菌性樹脂、紫外線吸収性樹脂、ガスバリアー性樹脂を混合して接着改質層を形成してももかまわない。
【0032】接着改質層に、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、各種界面活性剤、帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤、抗菌剤、光酸化触媒、紫外線吸収剤、等の添加剤を含有させることができる。
【0033】塗布液としては、二重結合を有する酸無水物を含有するモノマーの少なくとも1種からなるラジカル重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂を主な構成成分とする有機溶媒溶液または分散液、あるいは、水系溶媒溶液または水系溶媒分散液を用い得る。特に、水溶液または分散液が、環境に対して問題となる有機溶媒を用いない点で好ましい。有機溶媒あるいは水系溶媒中の上記ポリウレタン系樹脂または他の樹脂および結合剤の固形分含有量は、通常、1重量%〜50重量%、好ましくは3重量%〜30重量%である。
【0034】接着改質層を形成するために、上記ポリウレタン系樹脂を含む塗布液を熱可塑性フィルム基材に塗布する方法としては、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式などの公知の塗布方式を用い得る。
【0035】塗布液の塗布量は、固形分として0.005〜5g/m2 、好ましくは、0.02〜0.5g/m2 である。塗布量が0.005g/m2 以下になると、接着改質層との十分な接着強度が得られない。5g/m2 以上になるとブロッキングが発生し、実用上問題がある。
【0036】接着改質層は、二軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗布しても良いし、未延伸あるは一軸延伸後の熱可塑性フィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥し、必要に応じて、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸後熱固定を行っても良い。
【0037】未延伸あるは一軸延伸後のポリアミドフィルム基材に上記塗布液を塗布した後、乾燥、延伸する場合、塗布後の乾燥温度はその後の延伸に影響しない範囲の条件で乾燥する必要があり、ポリアミド基材の場合、水分率を2%以下にして延伸し、その後200℃以上で熱固定を行うことにより塗膜が強固になり、接着改質層とポリエステルフィルム基材との接着性が飛躍的に向上する。水分率が2%以上になると乾燥温度にもよるが、結晶化が起こり安くなり、平面性の悪化や延伸性が損なわれる場合がある。
【0038】二軸延伸熱可塑性フィルム基材に塗布する場合、熱可塑性フィルム基材と接着改質層との接着性をさらに良くする為、熱可塑性フィルム基材にコロナ処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をしてもよい。下記塗布後延伸する場合でも同様の処理により効果が得られる。
【0039】本発明の積層熱可塑性フィルム基材の接着改質層は各種材料と良好な接着性を有するが、さらに接着性や印刷性をよくするために、該接着改質層にさらにコロナ処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をしても良い。
【0040】本発明で得られた積層熱可塑性フィルム基材の接着改質層は広範囲の用途で良好な接着強度が得られる。具体的には、印刷インキやUVインキ、ドライラミネートや押し出しラミネート等の接着剤、金属あるいは無機物またはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、プラズマ重合等で得られる薄膜層や酸素吸湿剤層、有機バリアー層、インクジェット受像層等があげられる。
【0041】実施例以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0042】1)接着性評価(積層体の作成)各実施例、比較例で得られた積層熱可塑性フィルムの接着改質層、またはコロナ処理面上にグラビアインキ(ラミエース61白二液タイプ、東洋インキ社製)をグラビア印刷して印刷インキ層を形成し、次いで接着剤AD585/CAT−10(東洋モートン社製)を2g/m2 塗布した後、常法に従って未延伸ポリプロピレンフィルム、60μm(P1120、東洋紡績製)をドライラミネート法にて貼り合わせシーラント層を設け、熱可塑性フィルム積層体を得た。常態保存(乾燥時および湿潤時)と90℃熱水中における剥離強度を測定した。測定条件は、引張速度100mm/分での90°剥離試験結果である。
【0043】(共重合ポリエステルポリオールAの調製)撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート345部、1,4ブタンジオール211部、エチレングリコール270部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸14部およびセバシン酸160部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間反応させ、共重合ポリエステルポリオールAを得た。得られたポリエステルポリオールAは、平均分子量2000、淡黄色透明であった。
【0044】(二重結合を有するポリウレタン系樹脂の調製)撹拌機、温度計、還流式冷却器を備えた反応器に、上記共重合ポリエステルポリオールA100部、メチルエチルケトン194部を入れ、60℃で加熱、攪拌し、ポリオールを溶解した。この溶液にプロピレングリコール5部を添加した。次いでイソホロンジイソシアネート24.4部とジブチル錫ラウレート0.03部を仕込み、60〜70℃で8時間反応させた。ついで、反応系を冷却して二重結合を有するポリウレタン系樹脂の溶液を得た。
【0045】(ポリウレタン系グラフト共重合体)撹拌機、温度計、還流式冷却器と定量滴下装置を備えた反応器に、上記ポリウレタン溶液187.5部、メチルエチルケトン20部およびイソプロピルアルコール44部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/minでポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5部を添加した。次いで、水300部とトリエチルアミン15部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散グラフト重合樹脂を得た。該水分散グラフト樹脂は淡黄色透明であった。
【0046】(実施例1)該水分散グラフト樹脂を固形分濃度10%になるように水:イソプロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈して塗布液を調整した。ナイロン6レジンを280℃で溶融押出しし、15℃の冷却ロールで冷却して厚さ185μmの未延伸フィルムを得、この未延伸フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍延伸した。次いで前記塗布液をロールコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、次いでテンター温度100℃で横方向に3.5倍延伸し、さらに200〜220℃で熱固定し厚さ15μmの二軸延伸積層ポリアミドフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.07g/m2 であった。
【0047】(実施例2)ポリエチレンテレフタレートを280℃で溶融押出しし、15℃の冷却ロールで冷却して厚さ100μmの未延伸フィルムを得、この未延伸フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方向に3.5倍延伸した。次いで実施例1の塗布液をロールコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥し、次いでテンターで98℃横方向に3.5倍延伸し、さらに200〜210℃熱固定し厚さ12μmの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.08g/m2 であった。
【0048】(比較例1)
(共重合ポリエステルポリオールBの調製)撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート345部、1,4ブタンジオール211部、エチレングリコール270部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、セバシン酸184部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間反応させ、共重合ポリエステルポリオールBを得た。得られたポリエステルポリオールは、平均分子量2000、淡黄色透明であった。
【0049】(カルボン酸基含有ポリウレタン系樹脂の調製)撹拌機、温度計、還流式冷却器を備えた反応器に、上記共重合ポリエステルポリオールB100部、メチルエチルケトン177部を入れ、60℃で加熱、攪拌し、ポリオールを溶解した。この溶液にジメチロールプロピオン酸3部を添加した。次いでイソホロンジイソシアネート15部とジブチル錫ラウレート0.03部を仕込み、60〜70℃で8時間反応させた。ついで、反応系を冷却した後、減圧乾燥してカルボン酸基含有ポリウレタン系樹脂を得た。
【0050】(ポリウレタン樹脂水分散体)撹拌機、温度計、還流式冷却器と定量滴下装置を備えた反応器に、上記ポリウレタン系樹脂34部とエチレングリコール−n−ブチルエーテル10.8部を入れ、150〜170℃で2時間撹拌した。得られた均一で粘調な溶液を、トリエチルアミン5部で中和し、激しく撹拌しながら、水55.2部を添加し、1時間後に均一で淡青白色の水分散体を得た。
【0051】前記実施例1の塗布液を上記ポリウレタン樹脂水分散体のみを固形分濃度10%になるように水:イソプロピルアルコール=9:1(重量比)で希釈した塗布液とし、それ以外は実施例1と同様に実施して厚さ15μmの二軸延伸コーティングポリアミドフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.07g/m2 であった。
【0052】(比較例2)前記実施例2の塗布液を比較例1の塗布液とし、それ以外は実施例2と同様に実施して厚さ12μmの二軸延伸コーティングポリエステルフィルムを得た。最終的なコート剤塗布量は0.08g/m2 であった。
【0053】(比較例3)東洋紡績株式会社製の厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用した。
【0054】(比較例4)東洋紡績株式会社製の厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを使用した。
【0055】
【発明の効果】本発明は熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含有する重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂を主な構成成分とする層を積層熱可塑性フィルム上に設けたることにより優れた接着性、耐水性、耐溶剤性を有する積層熱可塑性フィルムが得られる。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性フィルム基材の少なくとも片面に、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含有する重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂を含む接着改質層を設けたことを特徴とする積層熱可塑性フィルム。
【請求項2】 請求項1記載の接着改質層が、二重結合を有する酸無水物を少なくとも1種含有する重合体を必須成分とするポリウレタン系樹脂を含む塗布液を、未延伸または一軸延伸フィルムに塗布、乾燥後、該フィルムを更に、一軸またはそれ以上延伸後、熱固定することによって形成されたことを特徴とする積層熱可塑性フィルム。
【請求項3】 請求項1記載の重合体の構成成分が少なくともマレイン酸の無水物を含有することを特徴とする積層熱可塑性フィルム。