説明

積層電池の冷却構造

【課題】改善された冷却効率を有する積層電池の冷却構造を提供する。
【解決手段】一対の電極間にセパレータを挟んで形成された電池セル10を、放熱板14を挟んで積層させた構成を有する積層電池において、放熱板14の側面は、積層電池の側面に設けられた冷却器18と溶接固定されている。放熱板14の中央部分にスリットを設けることも好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層電池の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両には、一般に、リチウムイオン二次電池その他の二次電池が搭載されている。このような二次電池として、例えばラミネートシール型や巻回型の構造を有するものが知られている。
【0003】
ラミネートシール型の電池は、一般に、シート状または平板状に形成された正極および負極の間に、セパレータを挟んでなる一組の電池セルを、さらに放熱板を兼ねたスペーサを挟んで積層させた、全体として角型形状の構成を有しており、角型電池または積層電池とも称される。
【0004】
このような積層電池において、例えば電池セルの積層方向に延びる冷却流路を積層電池(角型電池)の側面に配置し、この冷却流路に水や油などの冷却媒体(冷媒)を流通させて冷却する冷却構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−134901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より高い冷却効率を有する積層電池の冷却構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成は、以下の通りである。
【0008】
(1)一対の電極間にセパレータを挟んで形成された電池セルを、スペーサを挟んで積層させた積層電池の冷却構造であって、前記スペーサの側面は、前記積層電池の側面に設けられた冷却器と溶接固定された、積層電池の冷却構造。
【0009】
(2)前記スペーサの中央部分にスリットを設けた、上記(1)に記載の積層電池の冷却構造。
【発明の効果】
【0010】
より高い冷却効率を有する積層電池の冷却構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における冷却構造を備える積層電池において、電池セル内部の熱伝達経路の一例について説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態における積層電池の冷却構造を備える積層電池の構成の概略の一例を説明するための図である。
【図3】図2に示す積層電池の冷却構造を備える積層電池において、加圧による変形の様子を説明するための模式図である。
【図4】従来の冷却構造を備える積層電池において、電池セル内部の熱伝達経路の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図4は、従来の積層電池における電池セル内部からの熱伝達の経路について例示する図である。絶縁性の薄膜(絶縁フィルム)12で覆われた電池セル10内部で発生した熱は、放熱板(スペーサ)14、グリース16を経由して冷却器18に至り、冷却器18内部の冷却液流路(図示せず)内を流通する冷却媒体20に至る。このような経路をたどり熱交換されることにより、発熱した電池セル10は冷却される。電池セル10の冷却効率をさらに向上させるために、冷却器18と電池セル10を挟んで向かい合うように別の冷却器(図示せず)をさらに配置しても良い。このとき放熱板14の側面に溶接固定される2つの冷却器は、電池セル10の積層方向に延在するものであればその位置関係に制限は無い。例えば、電池セル10が水平方向に積層された積層電池において、放熱板14の側面に溶接固定される2つの冷却器の配置箇所は、積層電池の上下面でも、両側面でも良い。
【0014】
図4において、放熱板(スペーサ)14と冷却器18とを接着するためのグリース16部分は、比較的熱抵抗が高くなる傾向がある箇所である。そこで、グリース16を適用せずに図1に示すように放熱板14と冷却器18とを直接溶接して固定することにより、例えば、各部材間の熱抵抗を下げることができ、熱伝達効率を高めることが可能となる。このため、本実施の形態によれば、積層電池の冷却能力を向上させることができる。
【0015】
また、図1に示すように放熱板14と冷却器18とを溶接固定する場合には、図2に示すように、放熱板14それぞれの、例えば破線で囲んだ中央部分にスリット22を設けることが好適である。このとき、図3の上段に図示するように、放熱板14を挟んで積層された電池セル10は、一般に、エンドプレート24,26で互いに押圧挟持した構成を有している。このような構成を有する積層電池において、電池セル10は、温度などの環境変化に応じて、膨張や収縮などを繰り返すことがある。そして、膨張や収縮などに伴う電池セル10の変位に応じて、放熱板14が例えば図3の下段に例示するように変形する。放熱板14が変形することにより、図1に示す放熱板14と冷却器18との溶接部分の応力を吸収または緩和することができるため、例えば、積層電池および/または冷却器の耐久性にも寄与しうる。
【0016】
このように、本発明の実施の形態によれば、放熱板と冷却器とを接着ではなく溶接により直接固定することにより、積層電池の冷却能力を向上させることができる。さらに、放熱板の中央部分にスリットを形成した上で冷却器と溶接することにより、放熱板と冷却器との間の接合部分に生じる応力を吸収または緩和することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、電池セルを積層させた積層電池を適正な温度に保つための冷却構造に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0018】
10 電池セル、12 絶縁フィルム、14 放熱板(スペーサ)、16 グリース、18 冷却器、20 冷却媒体、22 スリット、24,26 エンドプレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間にセパレータを挟んで形成された電池セルを、スペーサを挟んで積層させた積層電池の冷却構造であって、
前記スペーサの側面は、前記積層電池の側面に設けられた冷却器と溶接固定されたことを特徴とする積層電池の冷却構造。
【請求項2】
前記スペーサの中央部分にスリットを設けたことを特徴とする請求項1に記載の積層電池の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−256790(P2012−256790A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130149(P2011−130149)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】