説明

積重体中に含まれるカプセルを選択するための装置

容器内に収容されたカプセルの積重体から食品を収容するカプセルを選択するための装置であって、カプセルが重力により通過する通路(20)を画成する本体(10)と、上記第1のカプセル(90)を選択的に保持して解放するための第1のストッパ手段(30,31,32,33)と、上記ストッパ手段(3,30,31,32,33)をストッパ位置と解放位置との間で作動させるための作動手段(8)とを備える装置。第1のストッパ手段(3,30,31,32,33)は、通路(20)の周囲に沿って分布されるとともに、カプセル(90)の下側に分布される幾つかの支持点を形成するために横方向に回動すると同時にストッパ位置へ向けて通路の内側へと回動することにより移動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積重体中に含まれるカプセルを選択するための装置に関する。特に、本発明は、例えば自動販売機、コーヒー自動販売機タイプの飲料分配機又は他のタイプの機械における食品タイプのカプセルの供給及び分配に関する。
【背景技術】
【0002】
食品部門において、例えば飲料分配機など、カプセルから食品をつくるためのシステムの使用は、これらのシステムを一般に買うことができるという多くの利点により、急速に広まっている。これらのシステムは、例えば、ドリンクベースを収容するカプセルを使用して動作する飲料分配機となり得る。これらのカプセルを使用すると、消費者は、簡単且つ迅速に、また、殆どの場合に準備及び/又は洗浄に伴う作業を最小限に抑えた状態で、飲み物をつくることができる。
【0003】
これらのカプセルは、例えば、非常に多様な形状、サイズ及び/又は性質を有する分割されたパッケージとなり得る。これらのカプセルは、プラスチックフィルム、ろ紙、アルミニウム又は複合ラミネートから成るカプセルであっても良く、カップ又はポットの形態或いは他の形態を成すことができる。
【0004】
これらの機械を集約的に使用する場合には、品切れにならないように及び/又は異なる特製品をつくるために異なるカプセルの幅広い選択を与えるように、カプセルを十分に蓄積しておく必要がある。この目的のため、専用空間内に積重体の形態でカプセル格納部を設けることができ、また、このカプセル格納部は、要求にしたがったカプセルの提供に役立つことができる。
【0005】
例えば、米国特許第6,595,106号は、互いに上下に積み重ねられた多くのカプセルの格納を可能にするカプセルマガジンに関するものである。したがって、要求に応じてカプセルをマガジンからマガジンのベースに形成された開口を通じて除去することができる。欠点は、カプセルを手で除去しなければならないという点である。
【0006】
米国特許出願第2004/0031810号は、蓋などの平坦な品物を積重体から分配する自動販売機に関するものである。この原理は、落下させられる品物を最初に孤立させることなく積み重ねられた品物を分離させることを目的としている。したがって、装置は、ニードルや短いブレード等の長さが短いストッパ手段を備えており、通路内でのその展開は、品物の縁部にのみ当接するように且つ積重体中で最も下側に位置される品物だけが落下されるように制限される。この原理は、本発明のカプセルに適用される場合には機能しない。その理由は、カプセルがストッパ手段にぶつかって曲がる場合がある柔軟な縁部を有するからである。したがって、1つ以上のカプセルが誤って落下してしまう場合がある。また、そのような装置の同期は機械的に複雑である。
【0007】
米国特許第2,489,096号は、落下されるべきビーカーを残りの積重体から孤立させるという原理にしたがって機能する、カップを選択するための装置に関するものである。この装置は、タンブラによって作動される2つの一連のバレルを備えており、2つのバレルは1つの横方向シャフトにより互いに接続されている。したがって、上側バレルで生成される伝達力は、かなり大きく、高い慣性モーメントを有する。そのような装置は、シャフトに繰り返し作用する力によりシャフトがねじれる場合があるため、機械的な観点から特に頑丈であり或いは信頼性がある。しかし、これは、装置の精度に悪影響を与える場合があり、結果的に、装置の正確な動作に悪影響を与える場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、カプセルの積重体からカプセルを選択するための装置であって、自動化され、信頼できるとともに、多くの繰り返しサイクルにわたって頑丈な装置を利用できるようにすることが必要である。また、装置は、構造が簡単で迅速に動作しなければならないが、様々なサイズ及び形状のカプセルにも適合できなければならない。平坦形状の幾つかのカプセルは、位置決めが悪くなる傾向があり、これらのカプセルを積重体から解放するのには問題がある。したがって、装置は、カプセルが詰まったり斜めに位置されることがないようにカプセルを解放させることができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、第1の態様において、本発明は、容器内に収容されたカプセルの積重体からカプセルを選択するための装置において、
積重体中の最も下側に位置された第1のカプセルから順に始まってカプセルが重力により通過する通路を画成する本体と、
上記第1のカプセルを選択的に保持して解放するとともに、通路の周囲に沿って分布され、カプセルの下側に分布される幾つかの支持点を形成するために横方向に回動すると同時にストッパ位置へ向けて通路の内側へと回動することにより移動できる第1のストッパ手段と、
第1のストッパ手段が第1のカプセルを解放するための解放位置にある際に、第1のカプセルの上側に位置される第2のカプセルを保持するように構成された第2のストッパ手段と、
上記ストッパ手段をストッパ位置と解放位置との間で作動させるための作動手段と、
を備え、
第1のストッパ手段及び第2のストッパ手段のそれぞれが、通路の周囲の近傍で本体に回転可能に装着された共通の伝達シャフトに対して取り付けられていることを特徴とする装置に関する。
【0010】
このような構成は、信頼できる装置の要件を満たす。したがって、第1のカプセルは、幾つかの分布された位置において安定した仕方で保持され、それにより、カプセル解放時の傾きや起こり得るカプセルのジャム(詰まり)が防止される。第1及び第2のストッパ手段を共通の伝達シャフトに取り付けると、確実なカプセルの同期解放/保持が確保されると同時に、システムの複雑度が減少される。特に、展開位置と退避位置との間(逆もまた同様)での第1及び第2のストッパ手段の移動は、振動を起こすことなく90度程度の常に一定の回転角度で反対の位相で行なわれる。
【0011】
第1のストッパ手段は、その数が少なくとも3つ又は4つであり、通路の周囲に沿って規則的に分布されていることが好ましい。これは、ストッパ手段が十分な数存在していると、カプセルの安定性が大きく向上されるからである。また、通路の周囲にわたるこれらのストッパ手段の数及び分布は、特に装置からの排出口で起こり得る斜めのポジショニングやジャムを回避するようなカプセルの下側への移動に役立つ。
【0012】
また、特に水平面内での良好な保持を確保するため、したがって、カプセルが斜めに解放されることを回避するためには、ストッパ手段の形状が非常に重要になるのが分かる。この目的のため、第1のストッパ手段は、カプセルの下側に支持線又は支持面を形成するように構成され且つストッパ位置で通路の中心にほぼ向けて延びるフィンガにより形成されている。
【0013】
第1のストッパ手段は、円弧部を描くように移動可能な自由端部で終端していることが好ましい。したがって、ストッパ手段の移動はダイヤフラムの移動に類似しており、これにより、カプセルの解放時に、カプセルの支持は、徐々に且つカプセルの周囲に分配される仕方で減少する。これは、カプセルを安定に維持するのに寄与するとともに、カプセルが斜めのままとなることを回避する方法でカプセルを解放するのに寄与する。
【0014】
本発明において、装置は、第1のストッパ手段が第1のカプセルを解放するための解放位置にある瞬間に積重体中で第1のカプセルの上側に位置される第2のカプセルを保持するように構成された第2のストッパ手段を備える。このように、第1及び第2の手段は、積重体中の他のカプセルを所定位置に保持しつつ第1のカプセルを選択的に解放するように同期した仕方で協働する。この同期は、システムの信頼性に寄与するとともに、システムの正確な動作を保証し、そのため、このシステムが支払いシステムを有する或いは有さない自動システムを含む任意のタイプの分配(自動販売)システムで使用されることを想起できる。
【0015】
第1のストッパ手段の場合と同じ方法で、第2のストッパ手段は、第2のカプセルの下側に分布される幾つかの支持点を形成するために横方向に回動すると同時にストッパ位置へ向けて通路の内側へと回動する。これは、第1のカプセルの上側にあるカプセルの積重体をできる限り安定に維持すること、また、この積重体を斜めに位置させないようにすることも重要だからである。位置決めが悪いと、実際に、カプセルに対して割り当てられた空間内、例えばチューブ内でのカプセルの自由な下側移動に影響が及ぶ場合がある。また、第2のカプセルの位置決めが悪くても、第1のストッパ手段に対する第2のカプセルの下降が不正確になる場合がある。
【0016】
第1のストッパ手段の場合と同じ方法で、第2のストッパ手段は、その数が少なくとも3つ又は4つであり、通路の周囲に沿って規則的に分布されている。
【0017】
同様に、第2のストッパ手段は、移動可能で且つ円弧部を描く自由端部で終端していることが好ましい。このようにすると、第2のカプセルの下側への移動は、水平な下降を確保し且つ第2のカプセルが詰まるようになる危険を減少させるダイヤフラム効果によって得られる。
【0018】
第2のストッパ手段もそれぞれ、通路の周囲の近傍で本体に回転可能に装着された伝達シャフトに対して取り付けられており、このロッドは、第1のストッパ手段のそれぞれにおけるロッドと同じである。そのような構成は、第1及び第2のストッパ手段の両方の移動の完全な同期を保証するのに役立つ。また、第1のストッパ手段及び第2のストッパ手段はそれぞれ、1つの伝達シャフトに対して取り付けられるとともに、反対の位相でストッパ位置をとるように協働してL形状を通路に対して横方向に形成する。そのような構成の効果は、使用される部品数をできる限り少なく維持しつつカプセルの解放及び保持の良好な同期を確保できるということである。
【0019】
有利な設計原理によれば、伝達シャフトは、通路の周囲に取り付けられたリングによって同時に作動され、リングは、第1及び第2のストッパ手段のストッパ位置同士の間で交互に作動される。この原理により、第1のストッパ手段の全てが同時に作動されるとともに、第2のストッパ手段の全てが同時に作動されるが、第2のストッパ手段は第1のストッパ手段の移動に対して反対の位相で移動する。
【0020】
このような装置は、任意のタイプの作動手段によって動作することができる。1つの可能な構成において、作動手段はソレノイド型の電気的な手段を備える。1つの可能な構成において、作動手段はクランクシャフト型の機械的な手段も備える。電気的手段をレバーやスライド等を含むタイプの手動制御に取って代えることができることは言うまでもない。
【0021】
本発明の第2の態様において、選択装置は、
積重体中の最も下側に位置された第1のカプセルから順に始まってカプセルが重力により通過する通路を画成する本体と、
上記第1のカプセルを選択的に保持して解放するとともに、通路の周囲に沿って分布され、カプセルの下側に分布される幾つかの支持点を形成するために横方向に回動すると同時にストッパ位置へ向けて通路の内側へと回動することにより移動できる第1のストッパ手段と、
上記ストッパ手段をストッパ位置と解放位置との間で作動させるための作動手段と、
を備え、
第1のストッパ手段のそれぞれはその自由端で終端するフィンガを形成し、フィンガの端部は、他のストッパ手段の端部の形状を補完する形状を有するとともに、展開時に他の端部のうちの1つの少なくとも1つの縁部でほぼ接触することにより台座部の中心領域で支持面を形成することを特徴とする。
【0022】
そのような構成のストッパ手段を用いると、新たな第1のカプセルの下側への移動時にこの新たな第1のカプセルを第1のストッパ手段同士の間に挟み込まないような方法で受けることができる。カプセルが比較的平坦な形状を有する場合には、カプセルが装置内で挟み込まれる危険がかなりある。この構成は、カプセル解放前のカプセルの正確な位置決めに関して信頼性を確実に高める。したがって、ジャムの危険を少なくしつつ装置を高速で動作させることもできる。
【0023】
したがって、1つの実施形態において、端部同士は、ほぼ連続する形状の中心支持面を形成するために通路の中心で接合する。用語「連続する」は、遊びを伴うことなく或いは少なくとも最大で1ミリメートル以下程度の少ない機能的な遊びを伴ってストッパ手段の隣り合う部分が少なくとも1つの共通の縁部で接合することを意味している。
【0024】
支持面は、通路の直径全体の少なくとも10%にわたって中心領域で延在していることが好ましい。支持面は、通路の直径の約20%以上にわたって延在しているのが最適である。例えば、支持面は、ほぼ円形又は環状、或いは、規則的な或いは不規則な多角形である形状を有することができる。この面の形状は、それ自体、重大ではない。
【0025】
これらの特徴及び利点並びに他の可能な特徴及び利点は、以下の説明及び添付の図面から更に良く理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、好ましい実施形態を示す図1及び図2に示されるタイプの参照符号1で表わされるカプセル選択装置に関する。各カプセルは、例えば挽いたコーヒー等の所定量の食品を収容している。したがって、装置1は、主要な要素が装着される本体10を備える。本体10は、カプセルが挿通するサイズ及び形状にその断面が適合される通路20を画成している。通路20は、一般に、通路の上側に位置されたカプセルの格納部と同軸に位置合わせされる。そのようなカプセルの格納部は、図8に示され且つ明細書本文において後で詳細に説明するように、容器内に収容されたカプセルの積重体の形態を成し得る。
【0027】
装置は、第1のストッパ手段3と第2のストッパ手段4とを備えており、これらの手段3,4は通路20内に2つの異なる高さで配置されている。第1のストッパ手段3は、積重体中の最初の第1のカプセルをその解放前に所定位置に保持するために使用される。第1のカプセルは、第1のストッパ手段により解放できるカプセルとして理解される。第1のカプセルは、第1のストッパ手段により支持されると、他の積み重ねられたカプセルから下側に特定の距離を隔てて位置させることができる。第2のストッパ手段4は、第1のカプセルが第1のストッパ手段により解放されるときに、この第1のカプセルの次のカプセルを保持するために使用される。明確にするため、本出願では、次のカプセルのことを「第2のカプセル」と称する。
【0028】
第1のストッパ手段3は、通路20の周囲に沿って分布されたフィンガ30,31,32,33の形態を成す一連のストッパ部材を備える。これらの部材の数は、カプセルを安定して十分に保持できるように少なくとも3つ或いは4つである。ストッパ部材の数は、カプセルのサイズ及び/又は形状によって決まる。例えば、直径が40mm程度又はそれ以上のレンズ形状の比較的幅広いカプセルの場合、ストッパ部材の数は少なくとも4つであることが好ましく、ストッパ部材は、通路の周囲に沿って互いに約90度の角度間隔で均一に分布される。ストッパ部材は、展開(配備)位置で通路の内側に向けて延びる面300又は線に沿ってカプセルを支持する。
【0029】
略同じ形状のストッパ部材40,41,42,43の形態を成す第2のストッパ手段4は、第1のストッパ手段のストッパ部材30,31,32,33の上側に、およそ1つ分のカプセルの厚さの距離だけ垂直に隔てて設けられている。第1及び第2のストッパ手段はそれぞれ対30,40;31,41;32,42;33,43を成して伝達シャフト50,51,52,53上に装着されている。各対は、通路に対して横に方向付けられた「L」を形成するように装着されている。伝達シャフト50,51,52,53は、その中心Oを通る軸を中心に本体に対して回転可能に装着されている。したがって、伝達シャフトがストッパ手段を一定の角度移動させるのが分かる。この角度方向の移動は約90度である。また、全ての伝達シャフトは伝達リング6により互いに接続されており、伝達リング6は、それ自体が通路の中心に対して交互に回動動作される際にシャフトを回転移動させるように構成されている。この目的のため、シャフトは、軸Oに対して外側にオフセットされた軸O’を中心とする回動点を介してリング上に固定されたベース501を備えており、これにより、リングの回動動作中に回転動作をシャフトに伝達することができる。各シャフトは、最終的に、シャフトの回転を案内するリングの長溝60内に装着される。図4に示されるように、リングを本体に対して正確に保持するため、リングは、本体に接続された固定部材150が横切る一連の長溝61を備える。したがって、リングは、部材50,51,52,150に対して案内されつつ、長溝の長さにより決定される振幅分だけ回動できる。したがって、この振幅は、カプセルを停止させて解放するという機能を確保するための第1及び第2のストッパ部材の動作の振幅の関数である。
【0030】
回転をシャフトに伝えることができるようにするリング6の回動動作は、ソレノイド80などの電気制御システムを備えることができる作動手段8によって制御される。そのようなシステムは、電気インパルスを受けた後、ピストン81により往復直線動作を伝えることができる。このピストン81は、ピストンのこの直線動作を軸O’’においてシャフト83に伝えられる回転動作へと変換するクランクシャフト82上に関節結合されている。シャフト83のこの回転動作は、リング6の延在部62上にO’’’を中心に回転可能に取り付けられるレバーアーム84によりリング6に対して伝えられる。したがって、ソレノイドのピストン81の往復動作は、リングを溝内で案内する仕方で回動させるとともに、回転動作をシャフトに伝えるという効果があり、また、シャフト自体は、ストッパ手段を反対の位相で2つの可能な位置へ移動させる。ソレノイドのピストンの戻り動作は、電気インパルスにより或いは復元スプリング(図示せず)により制御することができる。
【0031】
なお、第1及び第2のストッパ手段は、伝達シャフトに取り付けられた端部から離れておりしたがって円弧部に沿って移動する自由端部300,400をそれぞれ有する。この円弧部は、通路20の縁部21と交差する経路を辿って、通路の内側の方向に延びており、その結果、ストッパ手段は、カプセルの支持を減らすため、ダイヤフラムの仕方で、通路の内側22から縁部21に向かって退避する。
【0032】
図3〜図7を参照しながら、ストッパ手段の動作について更に明確に説明する。
【0033】
図3及び図4は、第1のストッパ手段3が通路の内側の位置へと回動されるときに第1のストッパ手段3上に保持された第1のカプセル90を示している。したがって、この位置で、ソレノイドのピストンは収縮位置にある。第2のストッパ手段は解放位置にあり、これにより、カプセルの積重体を第1のカプセル90と接触させることができる。明確にするため、カプセルの積重体は、第1のカプセルを除き図示されていない。方向Tに引き込むことにより、ピストンがリングを回動方向Aに駆動させ、これにより、回転動作R1が伝達シャフトに伝えられ、その結果、第1のストッパ部材3が展開される。
【0034】
図5及び図6は第2のカプセル91が保持された状態を示しており、一方、図7は第1のカプセル90の解放を示している。しかしながら、これらの図は、ストッパ手段の同じ配置形態で装置を示している。この配置形態において、第1のストッパ手段3は退避されており、これにより、第2のストッパ手段4は、展開位置へと移動されるとともに、第1のカプセル90の解放の瞬間に積重体中の第2のカプセル91を保持する。この新たな配置形態への変更は、作動手段の動作により、特に展開位置をとるピストンの動作により得られる。方向Pへと押し出すことにより、ピストンがリングを回動方向Bで駆動させ、これにより、回転動作が伝達シャフトに伝えられ、したがって、第2のストッパ手段4が展開される。この展開の効果は、第1のカプセル90が解放されている間にカプセルの積重体の下側への動きを防止することである。第1のカプセル90の解放後、装置は、収縮位置へと戻って第2のカプセル91を落下させて第1の接触手段3と接触させるピストンにより図3及び図4の配置形態に戻り、それにより、この第2のカプセルは、所望の瞬間に解放するために選択できる新たな第1のカプセルとなる。ピストンの戻り動作は、例えば復元スプリングにより行なうことができる。これらのサイクルは、積重体からのカプセルの個々の選択毎に繰り返される。
【0035】
図8は、本発明に係る選択装置1を使用して再装填システム内のカプセルの積重体からカプセルを分配するための装置2を示している。分配装置2は、取り外し可能なチューブ70を有する装填システム7を備えており、取り外し可能なチューブ70は、選択装置の本体10に取り外し不能に装着された受けチューブ部71に接続されている。受けチューブ支持体71は特定数のカプセルを受けることができ、これにより、取り外し可能なチューブ70がカプセル交換を行なうことができる。取り外し可能なチューブ70とチューブ支持体71とをアライメント手段72により連結することができ、アライメント手段の機能により、カプセルをシステムから紛失させることなく、取り外し可能なチューブ70をチューブ支持体71に対して素早く接続することができる。
【0036】
図9及び図10は、第1のストッパ手段30,31,32,33の形状に関して異なる実施形態を示している。これらの第1のストッパ手段30,31,32,33はそれらの自由端部で終端しており、それぞれの端部30a,30b,30c,30dが互いに補完し合う形状を有することにより、第1のカプセルを保持するべく展開される際に互いに接合するエッジを形成する。このようにして、図10に示されるように支持面350が形成される。
【0037】
このような配置形態は、第2のストッパ手段によりカプセルが解放されるときにこのカプセルの縁部がストッパ手段を通り抜けないようにし、したがって、カプセルの縁部をこれらの手段内で斜めに位置させないようにするという利点を有する。カプセルがストッパ手段に反して落下する場合であっても、第1のストッパ手段と第2のストッパ手段とを隔てる距離により、このように形成された支持面がカプセルをストッパ手段上で再び水平にさせて正確に態勢を整えさせる。
【0038】
展開位置にあるストッパ手段により形成される支持面は、通路20の直径全体の少なくとも10%にわたって中心領域へと延在することができる。支持面は、通路の直径の約15〜50%にわたって延在することが好ましい。これを越えると、ストッパ手段の展開時にシステムが扱い難くなり、また、もはや効果的になることなく、並行に配置される選択手段の配列との関連で不利である。
【0039】
選択装置1の通路の真下には、カプセルを回収するためのクリアランス76を画成する第2のランプ75上へカプセルを方向付けるための第1のランプ74を備えるカプセル回収ユニット73が位置されている。第2のランプは、カプセルの摺動を阻止するための肩部77を備える。ランプ75,76は、装置の不正操作防止の向上を図るようになっている正反対のスライド面を与えるように位置されている。分配装置は、作動手段を制御する制御ボタン等の制御手段及び制御手段の作動のための支払いシステム(図示せず)に接続することができる。支払いシステムは、磁気カード又はスマートカードによる支払い或いは例えば遠隔通信及び/又はマルチメディア等の遠隔支払い手段による支払いのための硬貨両替機及び/又はモジュールの形態を成すことができる。
【0040】
分配装置及び装填システムについては、2004年5月5日に提出され且つその題名として「Capsule−loading device for a machine for dispensing capsules and/or food products」を有する同時係属の欧州特許出願第0401644.5に詳細に記載されており、その全体の内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0041】
好ましい実施形態に基づいて本発明を説明してきた。しかしながら、言うまでも無く、本発明は、添付の請求項によって包含される当業者の範囲内の変形及び等価物を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】カプセルが無い本発明に係る選択装置の斜視図を示す。
【図2】本体が無い図1の装置を示す。
【図3】第1のカプセルが第1のストッパ手段により保持された装置の斜視図を示す。
【図4】本体が無い図3の装置を示す。
【図5】第2のカプセルが第2のストッパ手段により保持された装置の斜視図を示す。
【図6】図5の装置を示す。
【図7】第1のストッパ手段による第1のカプセルの解放時の装置を示す。
【図8】本発明に係る装置を備えるカプセル分配モジュールの断面を示す。
【図9】本発明の変形例に係る図2と同様の斜視図を示す。
【図10】図9の平面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に収容されたカプセルの積重体からカプセルを選択するための装置において、
前記積重体中の最も下側に位置された第1のカプセルから順に始まってカプセルが重力により通過する通路(20)を画成する本体(10)と、
前記第1のカプセル(90)を選択的に保持して解放するとともに、通路(20)の周囲に沿って分布され、カプセル(90)の下側に分布される幾つかの支持点を形成するために横方向に回動すると同時にストッパ位置へ向けて通路の内側へと回動することにより移動できる第1のストッパ手段(30,31,32,33)と、
第1のストッパ手段(3,30,31,32,33)が第1のカプセル(90)を解放するための解放位置にある際に、第1のカプセル(90)の上側に位置される第2のカプセル(91)を保持するように構成された第2のストッパ手段(4,40,41,42,43)と、
前記ストッパ手段(3,30,31,32,33,4,40,41,42,43)をストッパ位置と解放位置との間で作動させるための作動手段(8)と、
を備え、
第1のストッパ手段(3,30,31,32,33)及び第2のストッパ手段(4,40,41,42,43)のそれぞれが、通路(20)の周囲の近傍で本体(10)に回転可能に装着された共通の伝達シャフト(50,51,52,53)に対して取り付けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
第1のストッパ手段(3,30,31,32,33)が、その数が少なくとも3つ又は4つであり、通路(20)の周囲に沿って規則的に分布されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1のストッパ手段(3,30,31,32,33)が、カプセルの下側に支持線又は支持面を形成するように構成され且つストッパ位置で通路の中心にほぼ向けて延びるフィンガにより形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
第1のストッパ手段(3,30,31,32,33)が、移動可能で且つ円弧部を描く自由端部(300)で終端していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
第1のストッパ手段(3,30,31,32,33)のそれぞれが、ストッパ手段(3,30,31,32,33)を移動可能にするように通路(20)の周囲の近傍で本体(10)に回転可能に装着された伝達シャフト(50,51,52,53)に対して取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
第2のストッパ手段(4,40,41,42,43)が、カプセル(91)の下側に分布される幾つかの支持点を形成するために横方向に回動すると同時にストッパ位置へ向けて通路(20)の内側へと回動することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
第2のストッパ手段(4,40,41,42,43)が、その数が少なくとも3つ又は4つであり、通路(20)の周囲に沿って規則的に分布されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
第2のストッパ手段(4,40,41,42,43)が、移動可能で且つ円弧部を描く自由端部(400)で終端していることを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
第1のストッパ手段及び第2のストッパ手段(3,30,31,32,33,4,40,41,42,43)がそれぞれ、1つの伝達シャフト(50,51,52,53)に対して取り付けられるとともに、反対の位相でストッパ位置をとるように協働してL形状を通路に対して横方向に形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
伝達シャフト(50,51,52,53)が、通路(20)の周囲(21)に取り付けられたリング(6)によって同時に作動され、リング(6)が、第1及び第2のストッパ手段(3,30,31,32,33,4,40,41,42,43)のストッパ位置同士の間で交互に作動されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
作動手段(8)がソレノイド型の電気的な手段(80,81)を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
作動手段がクランクシャフト型の機械的な手段(82,83)を備えることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
カプセルを分配するための装置において、請求項1〜12のいずれか一項に記載のカプセルを選択するための装置と、カプセルローディングシステム7と、カプセル回収手段73とを備えることを特徴とする装置。
【請求項14】
容器内に収容されたカプセルの積重体からカプセルを選択するための装置において、
積重体中の最も下側に位置された第1のカプセルから順に始まってカプセルが重力により通過する通路(20)を画成する本体(10)と、
前記第1のカプセル(90)を選択的に保持して解放するとともに、通路(20)の周囲に沿って分布され、カプセル(90)の下側に分布される幾つかの支持点を形成するために横方向に回動すると同時にストッパ位置へ向けて通路の内側へと回動することにより移動できる第1のストッパ手段(30,31,32,33)と、
前記ストッパ手段(3,30,31,32,33)をストッパ位置と解放位置との間で作動させるための作動手段(8)と、
を備え、
第1のストッパ手段(30,31,32,33)のそれぞれがその自由端で終端するフィンガを形成し、フィンガの端部が、他のストッパ手段の端部の形状を補完する形状を有するとともに、展開時に他の端部のうちの1つの少なくとも1つの縁部でほぼ接触することにより台座部の中心領域で支持面を形成することを特徴とする装置。
【請求項15】
端部同士が、ほぼ連続する形状の支持面を形成するために通路(20)の中心で接合することを特徴とする、請求項14に記載のカプセルを選択するための装置。
【請求項16】
支持面が、通路(20)の直径全体の少なくとも10%にわたって中心領域で延在していることを特徴とする、請求項14又は15に記載のカプセルを選択するための装置。
【請求項17】
支持面が、ほぼ円形又は環状、或いは、規則的な又は不規則な多角形である形状を有することを特徴とする、請求項15又は16に記載のカプセルを選択するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−536653(P2007−536653A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511897(P2007−511897)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003425
【国際公開番号】WO2005/104908
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】