説明

穴加工工具

【課題】加工初期段階における加工穴内径の変化を小さく抑えることにより、寿命の延長を図ることができる穴加工工具を提供する。
【解決手段】軸線O回りに回転される工具本体10を有し、工具本体10の先端側に、外周に切屑排出溝17を備えた切刃部12が形成され、切屑排出溝17の工具回転方向前方側を向く壁面と切屑排出溝17の工具回転方向T後方側に連なる外周面との交差稜線部に外周刃が形成されるとともに、前記壁面と切刃部12の先端面外周部分との交差稜線部に前記外周刃に連なる切刃22が形成され、複数の切刃22のうち一部の切刃は、切刃の外周端が他の切刃22Bの外周端よりも軸線O方向後端側に後退するように配置された後退刃22Aとされ、後退刃22Aの外周端の軸線Oからの径方向距離と他の切刃22Aの外周端の軸線Oからの径方向距離とが同一とされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切削材に予め形成された下穴に挿入されて、下穴の内壁面を切削加工して所定の内径の加工穴を形成するリーマ等の穴加工工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の穴加工工具としては、例えば特許文献1に記載されているように、軸線回りに回転される概略円柱状をなす工具本体を有し、この工具本体の先端側に切刃部が設けられ、該切刃部の外周に軸線方向後端側に向かって延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝の工具回転方向前方側を向く壁面の外周側辺稜部に外周刃が形成されるとともに前記壁面の先端面外周側の辺稜部に切刃が形成されたリーマが知られている。
【0003】
このリーマは、例えば特許文献2に開示されているような切削工具に装着されて使用されるものであり、この切削工具が工作機械等の主軸端に装着されて、軸線回りに回転されるとともに、被切削材の下穴、例えば、ステムガイド穴やエンジンのシリンダーヘッドにおけるバルブ穴等に挿入され、この下穴の内壁面を切削して所定の内径の加工穴を形成するものである。
【特許文献1】特開2000−263328号公報
【特許文献2】特開2002−59313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述したリーマにおいては、最初の1〜2穴を加工した時点で加工穴内径の変化が大きく、その後、加工穴内径が安定することが知られている。つまり、加工初期段階においては、一つ前に切削加工した加工穴内径と次に切削加工した加工穴内径との差が大きく、その後、加工穴内径の差が小さくなって略一定の内径の加工穴が形成されることになる。
【0005】
ここで、リーマ等の穴加工工具の寿命は、切刃の摩耗によって加工穴内径が一定以下となったことで判断されるため、加工初期段階における加工穴内径の変化を小さく抑えることにより、穴加工工具の寿命を延長させることができる。特に、前述のようにシリンダーヘッドのバルブ穴等を加工する場合には、通常の切削加工よりも高い寸法精度が要求されるため、穴加工工具の寿命が短くなる傾向にあり、その寿命延長が強く望まれていた。
【0006】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、加工初期段階における加工穴内径の変化を小さく抑えることにより、寿命の延長を図ることができる穴加工工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は、被切削材に予め形成された下穴に挿入されて下穴の内壁面を切削加工して加工穴を形成する穴加工工具であって、軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の先端側には、外周に切屑排出溝を備えた切刃部が形成され、前記切屑排出溝の工具回転方向前方側を向く壁面と前記切屑排出溝の工具回転方向後方側に連なる外周面との交差稜線部に外周刃が形成されるとともに、前記壁面と前記切刃部の先端面外周部分との交差稜線部に前記外周刃に連なる切刃が形成され、前記切刃部には複数の前記切刃が形成されており、これら複数の前記切刃のうち一部の切刃は、該切刃の外周端が他の切刃の外周端よりも前記軸線方向後端側に後退するように配置された後退刃とされ、該後退刃の外周端の前記軸線からの径方向距離と前記他の切刃の外周端の前記軸線からの径方向距離とが同一とされていることを特徴としている。
【0008】
この構成の穴加工工具においては、複数の切刃のうちの一部が他の切刃よりも軸線方向後端側に後退した後退刃とされているので、先端側に配置されている他の切刃が初期摩耗して切刃外径が後退した場合でも、加工初期段階で切削に使用されない後退刃によって切削加工できる。そして、該後退刃の外周端の前記軸線からの径方向距離と他の切刃の外周端の前記軸線からの径方向距離とが同一とされているので、加工穴を所定の内径に仕上げることができ、加工初期段階における加工穴内径の変化を小さく抑えて穴加工工具の寿命延長を図ることができる。
【0009】
ここで、工具回転方向前方側から見て、前記後退刃と前記外周刃との交差角を、前記他の切刃と前記外周刃との交差角と同一とすることにより、この交差角に合わせて後退刃となる切刃の刃先を研磨することで、後退刃をその他の切刃から後退するように形成することができる。よって、この穴加工工具を簡単に、かつ、精度良く製造でき、その製作コストを低減することができる。
【0010】
また、前記切刃部に複数の前記後退刃を設けて、これら複数の前記後退刃を、工具回転方向において不等間隔に配置することにより、被切削材に切り込む際の切削抵抗が工具本体の軸線中心に対して非対称に作用することになり、工具本体にその固有振動数と共振するような周期的な振動が生じるのを防ぐことができ、このような共振に起因するビビリ振動が惹起されるのを防止することができる。
【0011】
また、前記後退刃の外周端と前記他の切刃の外周端との前記軸線方向の距離を前記後退刃の後退量とし、前記切刃部に複数の前記後退刃を設けて、これら複数の前記後退刃のうちの少なくとも一の後退刃の前記後退量を、他の後退刃の前記後退量と異なるように構成することにより、一の後退刃が欠損や摩耗した場合でも他の後退刃によって加工穴内径の変化を防止でき、穴加工工具のさらなる寿命延長を図ることができる。加えて、一の後退刃と他の後退刃との間でも切削条件が変化することになり、工具本体にその固有振動数と共振するような周期的な振動が生じるのをさらに確実に防止することができる。
【0012】
ここで、前述した作用効果をさらに確実に奏功せしめるためには、前記後退量を、0.01mmから0.3mmの範囲内に設定することが好ましい。前記後退量を0.01mm以上とすることにより、他の切刃が確実に初期摩耗した後に後退刃が切削加工に使用できるとともに、前記後退刃を0.3mm以下とすることにより、他の切刃の初期摩耗による加工穴の内径が小さくなることを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加工初期段階における加工穴内径の変化を小さく抑えることにより、寿命の延長を図ることができる穴加工工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態である穴加工工具について添付した図面を参照にして説明する。図1から図3に本発明の実施形態である穴加工工具としてのリーマを示す。また、図4にこのリーマが装着される切削工具を示す。
リーマは、軸線Oを中心とする概略多段円柱状をなす工具本体10を有しており、この工具本体10の後端側(図1において上側)がシャンク部11とされ、工具本体10の先端側(図1において下側)が切刃部12とされている。
この工具本体10には、図示しないクーラント供給孔が軸線Oに沿って工具本体10の先端側から後端側にかけて貫通するように形成されている。
【0015】
シャンク部11の後端側部分には、このリーマを切削工具30に装着するための装着部13が設けられており、この装着部13には軸線Oに平行に延びる平坦面14が形成されている。
シャンク部11の先端側は後端側に比べて一段小径とされており、その先端面には、中央部分がシャンク部11後端側に向けて凹んだV字溝15が、その溝底部を軸線Oに直交させてV字の2等分線が軸線O上に位置するように形成されている。
【0016】
切刃部12は、軸線Oを中心とする概略円柱状をなしており、その後端面には、シャンク部11先端面に形成されたV字溝15に嵌合可能な断面凸V字の凸状部16が、そのV字の稜線をやはり軸線Oに直交させてV字の2等分線が軸線O上に位置するように形成されている。
【0017】
切刃部12の先端外周部には、工具本体10後端側に向けて延びる複数の切屑排出溝17が配置されており、本実施形態では、図2に示すように、6条の切屑排出溝17が配置されている。また、切刃部12には、前記クーラント供給孔に連通されるとともに切屑排出溝17の溝底部に向けて開口された吐出孔(図示せず)が設けられている。なお、本実施形態においては、これら切屑排出溝17は、工具回転方向Tにおいて不等間隔に配置されている。また、この切刃部12には、工具本体10後端側に向かうにしたがい漸次外径が小さくなるようにバックテーパが付されており、そのバックテーパ量は、100mm当たり0.04mmから0.06mmとされている。
【0018】
切刃部12の先端面は、軸線O近傍部分が軸線Oに直交する平面状とされた平面部19と、該平面部19の外周側部分に配置されて径方向外側に向かうにしたがい漸次工具本体10後端側へと後退するテーパ部20とを備えている。そして、切屑排出溝17の工具回転方向T前方側を向く壁面と、この切屑排出溝17の工具回転方向T後方側に連なる外周面の交差稜線部に外周刃21が形成されている。また、切屑排出溝17の工具回転方向T前方側を向く壁面と切刃部12のテーパ部20との交差稜線部には、前記外周刃21に連なる切刃22が形成されている。
【0019】
このように外周刃21及び切刃22を形成することにより、このリーマは、6つの切刃22及び外周刃21を有することになる。また、切屑排出溝17の工具回転方向T前方側を向く壁面がすくい面とされ、切屑排出溝17の工具回転方向T後方側に連なる外周面が外周逃げ面とされ、前記切刃22の工具回転方向T後方側に連なるテーパ部20が先端逃げ面とされる。
【0020】
切刃22に連なる先端逃げ面は、工具回転方向T後方側に向かうにしたがい工具本体10径方向内側に向けて傾斜するように構成されており、本実施形態では、切刃22に連なる部分が逃げ角1°の第1逃げ面とされ、この第1逃げ面の工具回転方向T後方側に逃げ角15°の第2逃げ面とされており、工具回転方向T後方側に向って段階的に逃げが大きくなるように形成されている。
【0021】
また、外周刃21が軸線O回りになす回転軌跡は、本実施形態においては軸線Oを中心とした略円筒面状とされており、すべての切刃22に連なる外周刃21の軸線Oからの径方向距離が同一とされている。また、切刃部12の後端側では、その外径は前記円筒面より一段小径とされて、シャンク部11先端側と同径とされている。
【0022】
そして、6つの切刃22のうちの2つの切刃22が後退刃22Aとされ、その他の切刃22が先行刃22Bとされている。
後退刃22Aの外周端、つまり、後端刃22Aと外周刃21との交差部分は、前記先行刃22Bの外周端(先行刃22Aと外周刃21との交差部分)よりも工具本体10後端側(軸線O方向後端側)に後退して配置されるとともに、後退刃22Aの外周端の軸線Oからの径方向距離と前記先行刃22Bの外周端の軸線Oからの径方向距離とが一致するように配置されている。
【0023】
ここで、後退刃22Aと外周刃21とが交差する角度α(コーナ角)は、先行刃22Bと外周刃21とが交差する角度α(コーナ角)と同一に設定されており、本実施形態においては、図3に示すように、α=30°とされている。
そして、後端刃22Aは先行刃22Bに対して、これら切刃22A、22Bが延びる方向に対して直交する方向にλだけ後退するように形成されており、後端刃22Aの外周端が先行刃22Bの外周端に対して後退した軸線O方向の後退量δは、δ=λ/cosαとなり、この後退量δが、0.01mm≦δ≦0.3mmとなるように設定されている。なお、本実施形態においては、λ=0.1mm、α=30°とされ、後退量δ=0.115mmとされている。
【0024】
切刃部12に設けられた2つの後退刃22Aは、工具回転方向Tにおいて不等間隔に配置されており、本実施形態では、図2に示すように、2つの後退刃22A同士の間に1つの先行刃22Bが配置されるとともに、他の3つの先行刃22Bが工具回転方向Tに連続するように配置されている。
【0025】
このような構成とされたリーマは、図4に示す切削工具30に装着されて使用される。切削工具30は、軸線M回りに回転される多段円柱状の本体部31を有し、本体部31の先端部外周には切削インサート32が配備されている。
この本体部31の先端面33には、軸線Mに沿うように延びる装着孔34が穿設されている。本体部31には、この装着孔34の後端側に連通するとともに本体部31後端側に設けられた取付部35に開口されたクーラント孔36が形成されており、このクーラント孔36には位置調整ボルト37が挿入されている。
また、本体部31の側面には、装着孔34に連通するネジ孔38が穿設されており、このネジ孔38にクランプネジ39が螺着されている。
【0026】
リーマは、本体部31の先端面33に穿設された装着孔34に挿入され、シャンク部11の後端面が位置調整ボルト37の先端面に当接させられるとともにシャンク部11の平坦面14が本体部31のネジ孔38が穿設された方向に向くように、かつ、リーマの軸線Oと本体部31の軸線Mとが一致するように配置される。そして、本体部31のネジ孔38に螺着されたクランプネジ39をねじ込んで平坦面14を押圧することにより、リーマが本体部31に固定される。
【0027】
このようにリーマが装着された切削工具30は、工作機械の主軸端に取付部35を介して取り付けられ、リーマの軸線M方向の位置調整を行った後、軸線M(軸線O)回りに回転されるとともに軸線M(軸線O)先端方向に向けて送られ、リーマが例えばエンジンのシリンダーヘッドにおけるバルブ穴(被切削材に形成された下穴)に挿入され、このバルブ穴の内壁面を切削して所定の内径の加工穴を形成するとともに、本体部31の先端部外周に配備された切削インサート32によって、このバルブ穴の開口部にバルブヘッドが当接されるバルブシート面を切削加工するものである。
【0028】
リーマによる切削加工を行う際には、切削油剤が工作機械からパイプを通じて工具本体10のクーラント孔36に供給される。クーラント孔36に供給された切削油剤は、リーマの工具本体10に形成されたクーラント供給孔を通じて切刃部12へ供給され、吐出孔を通じて切屑排出溝17の溝底部から下穴の内壁面に向けて吐出されるのである。
【0029】
本実施形態であるリーマによれば、後退刃22Aと先行刃22Bとが配置されているので、加工の初期段階においては先行刃22Bのみが切削に供されて、後退刃22Aは切削に使用されず摩耗しない状態で保持されることになる。そして、切削加工によって先行刃22Bが初期摩耗して刃先が後退した場合には、後退刃22Aによって切削加工されることになる。ここで、後退刃22Aの外周端と先行刃22Bの外周端の軸線Oからの径方向距離が同一とされているので、後退刃22Aによって切削することで加工初期段階における加工穴内径の変化を小さく抑えることができ、このリーマの寿命延長を図ることができる。
【0030】
また、後退刃22Aと外周刃21とが交差する角度α(コーナ角)が、先行刃22Bと外周刃21とが交差する角度α(コーナ角)と同一に設定されているので、このコーナ角に合わせて後退刃22Aの刃先を研磨することで、後退刃22Aを先行刃22Bから後退するように形成することができ、このリーマを簡単に、かつ、精度良く製造することができ、このリーマを低コストで製造することができる。
【0031】
また、切刃部12に2つの後退刃22Aが形成され、これら後退刃22Aが、工具回転方向Tにおいて不等間隔に配置されているので、被切削材に切り込む際の切削抵抗が工具本体10の軸線O中心に対して非対称に作用することになり、工具本体10にその固有振動数と共振するような周期的な振動が生じるのを防ぐことができ、このような共振に起因するビビリ振動が惹起されるのを防止することができる。
【0032】
また、後退刃22Aの前記後退量δが0.01mm≦δ≦0.3mmの範囲内に設定され、さらに具体的には、後退量δ=0.115mmに設定されているので、先行刃22Bが初期摩耗した後に確実に後退刃22Bが切削加工に使用されることになり、加工初期段階における加工穴の内径の変化を確実に防止できる。
【0033】
さらに、本実施形態においては、切屑排出溝17が工具回転方向Tにおいて不等間隔に配置されており、先行刃22B、後退刃22Aともに、工具回転方向Tにおいて不等間隔に配置されることになり、切削抵抗による工具本体10の周期的な振動を確実に防止することができ、加工穴を寸法精度良く形成することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態であるリーマについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、リーマを図4に示す切削工具に装着して使用するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の切削工具やアダプタ等に装着して使用するものであっても良い。
【0035】
また、切刃及び外周刃を6つ備えたものとして説明したが、切刃及び外周刃の数に限定はない。同様に、後退刃を2つ、先行刃を4つ備えたものとして説明したが、少なくともひとつの後退刃を備えていればよい。
さらに、2つの後退刃の後退量を同一のものとして説明したが、これに限定されることはなく、少なくともひとつの後退刃の後退量を、他の後退刃と異なるものとしてもよい。この場合には、一の後退刃と他の後退刃とで切削に供される時期が異なることとなるため、一の後退刃が欠損・摩耗した場合においても、他の後退刃によって加工穴内径の変化を抑えることができる。
【0036】
また、切屑排出溝をねじれがないものとして説明したが、これに限定されることはなく、工具本体後端側に向かうにしたがい漸次工具回転方向前方側に向かうようにねじれたものであっても良いし、工具本体後端側に向かうにしたがい漸次工具回転方向後方側に向かうようにねじれたものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態であるリーマの側面図である。
【図2】図1に示すリーマの正面図である。
【図3】図1に示すリーマの後退刃及び先行刃の回転軌跡を重ね合わせた状態を工具回転方向前方側から見た図である。
【図4】図1に示すリーマを装着して使用する切削工具の側面部分断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 工具本体
12 切刃部
17 切屑排出溝
21 外周刃
22 切刃
22A 後退刃
22B 先行刃(他の切刃)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切削材に予め形成された下穴に挿入されて下穴の内壁面を切削加工して加工穴を形成する穴加工工具であって、
軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の先端側には、外周に切屑排出溝を備えた切刃部が形成され、前記切屑排出溝の工具回転方向前方側を向く壁面と前記切屑排出溝の工具回転方向後方側に連なる外周面との交差稜線部に外周刃が形成されるとともに、前記壁面と前記切刃部の先端面外周部分との交差稜線部に前記外周刃に連なる切刃が形成され、
前記切刃部には複数の前記切刃が形成されており、これら複数の前記切刃のうち一部の切刃は、該切刃の外周端が他の切刃の外周端よりも前記軸線方向後端側に後退するように配置された後退刃とされ、
該後退刃の外周端の前記軸線からの径方向距離と前記他の切刃の外周端の前記軸線からの径方向距離とが同一とされていることを特徴とする穴加工工具。
【請求項2】
工具回転方向前方側から見て、前記後退刃と前記外周刃との交差角が、前記他の切刃と前記外周刃との交差角と同一とされていることを特徴とする請求項1に記載の穴加工工具。
【請求項3】
前記切刃部には、複数の前記後退刃が設けられており、これら複数の前記後退刃が、工具回転方向において不等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の穴加工工具。
【請求項4】
前記後退刃の外周端と前記他の切刃の外周端との前記軸線方向の距離が前記後退刃の後退量とされ、
前記切刃部には、複数の前記後退刃が設けられており、これら複数の前記後退刃のうちの少なくとも一の後退刃の前記後退量が、他の後退刃の前記後退量と異なるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の穴加工工具。
【請求項5】
前記後退刃の外周端と前記他の切刃の外周端との前記軸線方向の距離が前記後退刃の後退量とされ、前記後退量が、0.01mmから0.3mmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の穴加工工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−260800(P2007−260800A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85926(P2006−85926)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】