説明

空きチャネルにダウンコンバートすることによって信号を分配する装置及び方法

ゲートウェイ装置(20)は、オーディオ信号、ビデオ信号及び/又はデータ信号を住宅用家屋内及び/又は事業用家屋内で既存の同軸ケーブルのインフラを用いて分配することができる。例示的実施例によれば、ゲートウェイ装置(20)は、信号を衛星ソースから受信し、受信信号を処理して、所望の衛星中継器に相当するアナログ信号を生成する信号処理エレメント(21−32)を含む。コントローラ(34)は、アナログ信号を要求信号に応じて生成することを可能にする。アナログ信号は、ゲートウェイ装置(20)とクライアント装置(40)とを接続する同軸ケーブルを介してクライアント装置(40)に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、オーディオ信号、ビデオ信号及び/又はデータ信号などの信号の分配に関し、特に、住宅用家屋及び/又は事業用家屋において既存の同軸ケーブルのインフラを用いてそのような信号を分配することができる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送システムでは、衛星は、オーディオ情報、ビデオ情報及び/又はデータ情報を表す信号を地上ベースの送信器から受信する。衛星は、この信号を増幅し、消費者の家屋に配置されている複数の受信器に向けて、所定の周波数で動作し、特定の帯域幅を有する中継器を介して再送信する。そのようなシステムは、アップリンク送信部分(すなわち、地球から衛星まで)と、地球周回衛星送受信装置と、ダウンリンク部分(すなわち、衛星から地球まで)とを含み、消費者の家屋に配置されている1つ又は複数の受信器を含む。
【0003】
衛星放送システムなどのシステムを介して信号を受信する家屋の場合、受信信号の家屋内での分配は難しい命題であり得る。例えば、既存の家屋の多くは、衛星放送信号などの特定の信号を分配するうえで難なく役に立つものでない、RG−59タイプの同軸ケーブルなどの同軸ケーブルを装備している。RG−59などの同軸ケーブルがそのような信号を家屋において分配するのに用いられない理由の1つとしては、ケーブル放送信号を分配するのに同軸ケーブルを既に用いている場合があるということがある。よって、衛星放送信号がケーブル放送信号と同軸ケーブル上で共存するのはその帯域幅が限定されていることから難しい場合がある。RG−59などの同軸ケーブルが特定の信号を家屋において分配するのに用いられないもう1つの理由としては、分配する対象の信号が占める周波数とは異なる周波数スペクトル部分を用い得るということがある。例えば、衛星放送信号などの信号は、RG−59などの同軸ケーブルと、それに関連した信号スプリッタ及び/又は中継器を介して容易に分配することが可能な信号周波数(例えば、860MHz未満)よりも高い(例えば、1GHzよりも大きな)周波数スペクトル部分を占める場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、衛星放送信号などの信号を家屋において既存の同軸ケーブルのインフラ(例えば、RG−59)を用いて分配するうえでの課題には十分対処されていない。家屋内で信号を分配するには特定の技術(例えば、IEEE1394)を用い得るが、そのような技術は通常、家屋を配線し直すことを必要とし、その場合は、大半の消費者の場合、費用がひどく高くなり得る。更に、既存の無線技術は、ビデオ信号などの特定の種類の信号を家屋内で分配するにはふさわしくない場合がある。
【0005】
よって、上記の問題がないようにし、それによって、オーディオ信号、ビデオ信号、及び/又はデータ信号を住宅用家屋及び/又は事業用家屋において既存の同軸ケーブルのインフラを用いて分配させることを可能にする装置及び方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴によれば、ゲートウェイ装置を開示する。例示的実施例によれば、ゲートウェイ装置は、信号を衛星ソースから受信し、受信信号を変調することなく受信信号を処理して、所望の衛星中継器に相当するアナログ信号を生成する処理手段を備える。制御手段は、アナログ信号の生成を要求信号に応じて可能にする。アナログ信号は、クライアント装置に、ゲートウェイ装置とクライアント装置とを接続するケーブルを介して供給される。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、ゲートウェイ装置からクライアント装置に信号を分配する方法を開示する。例示的実施例によれば、方法は、信号を衛星ソースから受信する工程と、所望の衛星中継器を示す要求信号をクライアント装置から受信する工程と、受信信号を処理して、要求信号に応じた所望の衛星中継器に相当するアナログ信号を生成する工程と、アナログ信号をクライアント装置に、ゲートウェイ装置とクライアント装置とを接続する同軸ケーブルを介して供給する工程とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の上記の特性及び効果や他の特性及び効果と、それらを実現する方法は更に明らかとなり、本発明は、添付図面とともに本発明の実施例の以下の記載を参照することによって更によく分かるものである。
【0009】
本明細書に記載されている例示は、本発明の好ましい実施例を示しており、そのような例示は、本発明の範囲をいかなる方法によって限定するものとしても解されるものでない。
【実施例】
【0010】
次に、添付図面、特に図1を参照すれば、本発明を実施するのにふさわしい例示的な環境100の図を示す。図1では、環境100は、信号受信エレメント10、ゲートウェイ装置20及び、関連した局所出力装置50を各々が有するクライアント装置40を備える。例示的実施例では、信号受信エレメント10は、RG−6タイプの同軸ケーブルから構成される同軸ケーブル接続を介してゲートウェイ装置20に動作するよう結合され、ゲートウェイ装置20は、RG−59タイプの同軸ケーブルから構成される同軸ケーブル接続を介して各クライアント装置40に動作するよう結合される。他の種類の同軸ケーブル、光ファイバや大気などの他の伝送媒体を本発明によって用いる場合もある。図1に明示的に示していないが、環境100は、信号スプリッタ及び/又は中継器などのエレメントを含む場合もある。環境100は、例えば、特定の住宅用家屋内及び/又は事業用家屋内のディジタル分配ネットワークを表す。
【0011】
信号受信エレメント10は、衛星放送システム及び/又は、ディジタル地上放送システムなどの他のシステムなどの1つ又は複数の信号源から、オーディオ信号、ビデオ信号及び/又はデータ信号を含む信号を受信するよう動作する。例示的実施例によれば、信号受信エレメント10は、衛星放送受信アンテナなどのアンテナとして実施されているが、入力端子及び/又は他のエレメントなどの何れかの種類の信号受信エレメントとして実施される場合もある。
【0012】
ゲートウェイ装置20は、オーディオ信号、ビデオ信号、及び/又はデータ信号を含む信号を信号受信エレメント10から受信し、受信信号を処理して、受信信号を復調することなくアナログ信号を生成し、アナログ信号をクライアント装置40に同軸ケーブルを介して分散するよう動作する。例示的実施例によれば、各クライアント装置40は、ゲートウェイ20から供給されるアナログ信号を受信し、処理し、それによって、局所出力装置50を介した相当する聴覚出力及び/又は視覚出力をイネーブルする。各局所出力装置50は、標準品位(SD)テレビジョン信号受信器及び/又は高品位(HD)テレビジョン信号受信器などのアナログ装置及び/又はディジタル装置として実施し得る。クライアント装置40に関する更なる例示的な詳細は、以下に記載することとする。
【0013】
図2を参照すれば、本発明の例示的実施例による、図1のゲートウェイ装置20の構成図を示す。図2では、ゲートウェイ装置20は、信号ミキサ21乃至24、アジャイル局所発振器(LO)25乃至28、帯域通過フィルタ(BPF)29乃至32などのフィルタ手段、信号合成器33などの信号合成手段33及びコントローラ/バックチャネル復調器34などの制御/復調手段を備える。図2の上記エレメントは集積回路(IC)を用いて実施される場合があり、何れかの特定のエレメントが例えば、1つ又は複数のIC上に備えられている場合がある。説明の明瞭化を図るため、特定の制御信号、電力信号及び/又は他のエレメントなどの、サーバ装置20に関連した特定の通常のエレメントは図2に示していない場合がある。
【0014】
信号ミキサ21及び24は、衛星放送源から信号受信エレメント10(と、例えば、信号スプリッタと)を介して受信される信号を、アジャイルLO25乃至28から供給されるLO周波数信号とミキシングし、それによって、周波数変換信号を生成するよう動作する。例示的な実施例では、信号ミキサ21乃至24の各々は、Lバンド周波数(例えば、1GHz超)などの第1の周波数帯からの受信信号を、RG−59タイプの同軸ケーブル(例えば、1GHz未満)を介して分配するうえでの互換性を有する周波数帯などの第2の周波数帯に変換する。更に、各信号ミキサ21乃至24は、特定の衛星中継器に相当する周波数変換信号を生成する。図2に明示的に示していないが、信号ミキサ21乃至24の各々は、その信号の生成を制御する入力フィルタを含み得る。図3は、本発明の例示的な実施例による前述の周波数変換処理を示す図300を備える。
【0015】
アジャイルLO25及び28は、信号ミキサ21乃至24の各々に向けてLO周波数信号を生成するよう動作する。例示的な実施例によれば、アジャイルLO25乃至28の各々は、特定の衛星中継器に相当する周波数変換信号をその相当する信号ミキサ21乃至24が生成することを可能にする、コントローラ34からの1つ又は複数の制御信号に応じて一意のLO周波数信号を生成する。例示及び説明の目的で、図2は、4組の、信号ミキサ21乃至24と、相当するアジャイルLO25乃至28とを示す。実際には、信号ミキサ21乃至24とアジャイルLO25乃至28とが対応する組の数は設計上の選択事項であり得る。例示的な実施例では、信号ミキサ21乃至24とアジャイルLO25乃至28とが対応する組の数は、全ての中継器からの放送信号をクライアント装置40において同時に受信し、処理し、分配し得るために、(十分な周波数帯域が利用可能であるということをが前提で、)特定の衛星放送システムにおける衛星中継器の総数と等しいものであり得る。別の例示的実施例によれば、信号ミキサ21乃至24とアジャイルLO25乃至28とが対応する組の数は、クライアント装置40の数に相当し得る。
【0016】
BPF29乃至32は、信号ミキサ21乃至24の各々から供給される周波数変換信号をフィルタリングし、それによってアナログ信号を生成するよう動作する。例示的実施例によれば、BPF29乃至32の各々は、帯域通過フィルタリング処理を行い、それによって、特定の衛星中継器に相当するアナログ信号を生成し、更に、これらの所望のアナログ信号を減衰させ得る先行した信号処理によって生成される何れかのスプリアスなアーチファクトを除去する。
【0017】
信号合成器33は、BPF29乃至32から供給されるアナログ信号を合成し、このアナログ信号を1つ又は複数のクライアント装置40に、ゲートウェイ装置20とクライアント装置40とを接続する同軸ケーブルを用いて出力するよう動作する。
【0018】
コントローラ/バックチャネル復調器34は、制御機能及バックチャネル復調機能を含むゲートウェイ装置20の種々の機能を行うよう動作する。例示的実施例によれば、コントローラ34は、ゲートウェイ装置20から1つ又は複数のクライアント装置40にアナログ信号を供給するのに用い得る同軸ケーブル上で1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検知するよう動作する。この検知によって、コントローラ34は、本明細書で前述したように、1つ又は複数のアジャイルLO25乃至28を制御する1つ又は複数の制御信号を生成する。
【0019】
例示的実施例によれば、コントローラ34は、同軸ケーブル上の複数の周波数帯を走査し、それによって1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検知する。コントローラ34は、利用可能な周波数帯を、当該周波数帯における信号電力を測定することによって検知し得る。周波数帯の信号電力が閾値を下回る場合、コントローラ34は、周波数帯が利用可能であることを判定する。別の例示的実施例では、コントローラ34は、同軸ケーブル上の利用可能な1つ又は複数の周波数帯をユーザ入力に基づいて検知し得る。例えば、ユーザが、1つ又は複数のクライアント装置40を介して供給される画面上のUIを介してゲートウェイ装置20と相互作用し、それによって、ゲートウェイ装置20とクライアント装置40との間での信号伝送に用いる対象の同軸ケーブル上の1つ又は複数の周波数帯をユーザが選択することが可能になる場合がある。このようにして、ユーザは、ゲートウェイ装置20とクライアント装置40との間での信号伝送に、同軸ケーブル上の特定の周波数帯を専念させる(すなわち、「ノッチアウトさせる」)場合がある。
【0020】
更に、例示的実施例によれば、バックチャネル復調器34は、バックチャネルとして用い得る同軸ケーブルを介してクライアント装置40から供給される要求信号を復調するよう動作する。そのような要求信号は、所望の衛星中継器に相当する周波数変換信号の信号ミキサ21乃至24及びアジャイルLO25乃至28による生成を制御し得る。例えば、バックチャネル復調器34によって生成される復調要求信号は、所望の衛星中継器に相当する周波数変換信号の信号ミキサ21乃至24及びアジャイルLO25乃至28による生成を制御する相当する制御信号をコントローラ34に生成させ得る。このようにして、クライアント装置40からの要求信号は、ゲートウェイ装置20とクライアント装置40とを接続する同軸ケーブルを介してクライアント装置40に、所望の衛星中継器に相当するアナログ信号をゲートウェイ装置20に供給させ得る。
【0021】
図4を参照すれば、本発明の例示的実施例による、図1のクライアント装置40のうちの1つの構成図を示す。図4では、クライアント装置40は、フロントエンド・プロセッサ41などのフロントエンド処理手段、バック・チャネル・プロセッサ42などのバックチャネル処理手段、グラフィックス・コンポジタ43などのグラフィックス・コンポジタ手段、A/Vプロセッサ44などのオーディオ/ビデオ(A/V)処理手段、及びA/V出力45などのA/V出力手段を備える。図4の上記エレメントは、ICを用いて実施する場合があり、何れかの特定のエレメントを例えば、1つ又は複数のIC上に含め得る。説明を明瞭化するために、特定の制御信号、電力信号及び/又は他のエレメントなどの、クライアント装置40に関連した特定の通常のエレメントは図4に示していない場合がある。
【0022】
フロントエンド・プロセッサ41は、クライアント装置40の種々のフロントエンド処理機能を行うよう動作する。例示的実施例によれば、フロントエンド・プロセッサ61は、チャネル同調機能、アナログ・ディジタル(A/D)変換機能、復調機能、FEC復号化機能及び逆多重化機能を含む処理機能を行うよう動作する。例示的実施例によれば、フロントエンド・プロセッサ41のチャンネル同調機能は、ゲートウェイ装置20から同軸ケーブルを介して供給されるアナログ信号をベースバンド信号に変換する。本明細書及び特許請求の範囲記載のように、「ベースバンド」の語はベースバンド・レベルにある信号又はベースバンド・レベル近くの信号を表し得る。同調ベースバンド信号はディジタル信号に変換され、ディジタル信号は復調されて、復調ディジタル信号を生成する。例示的実施例によれば、フロントエンド・プロセッサ41は、直交振幅変調(QAM)信号、位相シフト・キーイング(PSK,例えば、QPSK)変調信号及び/又は他の種類の変調を有する信号などの種々の種類の信号を復調するよう動作し得る。FEC復号化機能が復調ディジタル信号に適用され、それによって、エラー訂正ディジタル信号を生成する。例示的実施例によれば、フロントエンド・プロセッサ41のFEC復号化機能はR−S FEC機能、デインタリーブ機能、ビタービ機能及び/又は他の機能を含み得る。エラー訂正ディジタル信号は、複数の時分割多重化放送番組を含む場合があり、1つ又は複数のディジタル伝送ストリームに逆多重化される。
【0023】
バック・チャネル・プロセッサ42は、クライアント装置40の種々のバックチャネル処理機能を行うよう動作する。例示的実施例によれば、バック・チャネル・プロセッサ42はクライアント装置40へのユーザ入力に応じて要求信号を生成するよう動作し、そのような要求信号を用いてゲートウェイ装置20を制御し得る。例えば、バック・チャネル・プロセッサ42は、クライアント装置40へのチャンネル変更コマンドに応じて要求信号を生成し、要求信号をゲートウェイ装置20に、ゲートウェイ装置20とクライアント装置40とを接続する同軸ケーブルを介して供給する場合がある。特定の要求信号は種々の種類の情報を含み得る。例示的実施例によれば、要求信号は、衛星放送システムの所望の中継器を示す情報を含む。本明細書に前述したように、要求信号は、所望の衛星中継器に相当するアナログ信号をゲートウェイ装置20に生成させ、このアナログ信号をクライアント装置40に、ゲートウェイ装置20とクライアント装置40とを接続する同軸ケーブルを介して供給する場合がある。他の種類の情報を要求信号に含める場合もある。
【0024】
更に、例示的実施例によれば、バック・チャネル・プロセッサ42は、要求信号をクライアント装置40からゲートウェイ装置20に供給するのに用い得る同軸ケーブル上の1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検知するよう動作する。例示的実施例によれば、バック・チャネル・プロセッサ42は、ゲートウェイ装置20のコントローラ34と同様な方法で同軸ケーブル上の1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検知し得る。特に、バック・チャネル・プロセッサ42は、同軸ケーブル上の複数の周波数帯を動的に走査し、それによって1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検知すること及び/又は、1つ又は複数の利用可能な周波数帯を選択するユーザ入力に基づいて同軸ケーブル上の1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検出することを行い得る。
【0025】
第1の例示的実施例によれば、バック・チャネル・プロセッサ42は、フロントエンド・プロセッサ41のチャンネル同調機能を制御する場合もある。例えば、バック・チャネル・プロセッサ42は、自らが動的に検知した利用可能な周波数帯のうちの1つ又はユーザによって選択される周波数帯をゲートウェイに対する要求に含める場合があり、当該利用可能な周波数帯又はユーザによって選択される周波数帯に同調するようフロントエンド・プロセッサ41に知らせる場合がある。
【0026】
第2の例示的実施例によれば、バック・チャネル・プロセッサ42は、利用可能な周波数帯の全てを要求に含める場合があり、ゲートウェイ装置20は、ユーザによって選択されるチャンネルからの放送信号を供給するよう、利用可能な周波数帯のうちの1つを選択する。第2の例示的実施例では、バック・チャネル・プロセッサ42は、要求信号が供給された後に、同軸ケーブル上の複数の周波数帯を動的に走査して、ゲートウェイ装置20から供給される所望のディジタル伝送ストリームを検知する場合がある。この第2の例示的実施例によれば、バック・チャネル・プロセッサ42は複数の周波数帯からの信号を処理し、それによって、所望のディジタル伝送ストリームを検知する場合がある。例えば、バック・チャネル・プロセッサ42は、複数の周波数帯からの信号における番組識別情報を検知し、それによって、所望のディジタル伝送ストリームを検知する場合がある。所望のディジタル伝送ストリームが検知されると、バック・チャネル・プロセッサ42は、制御信号をフロントエンド・プロセッサ41に供給し、それによってフロントエンド・プロセッサ41を、所望のディジタル伝送ストリームを供給する同軸ケーブル上の特定の周波数帯に同調させる。
【0027】
第3の例示的実施例では、バック・チャネル・プロセッサ42は要求に周波数帯は含めず、ゲートウェイ装置は、ユーザによって選択されるチャンネルからの放送信号を供給するよう、利用可能な周波数帯を検知する必要がある。この第3の例示的実施例では、バックチャネルは、第2の例示的実施例に関して上記に記載したように、所望のディジタル伝送ストリームを検知し、所望のディジタル伝送ストリームを供給する同軸ケーブル上の特定の周波数帯にフロントエンド・プロセッサ41を同調させることとする。
【0028】
グラフィクス・コンポジタ43はクライアント装置40のグラフィックス・コンポジタ機能を行うよう動作し、それによってグラフィカル・ディスプレイが局所出力装置50を介してイネーブルされる。例示的実施例によれば、グラフィクス・コンポジタ43は、クライアント装置40及び/又はゲートウェイ装置20とユーザが相互作用することを可能にするユーザ・インタフェース(UI)などのグラフィカル・ディスプレイを表すアナログ信号及び/又はディジタル信号を生成する。
【0029】
A/Vプロセッサ44は、クライアント装置40の種々のA/V処理機能を行うよう動作する。例示的実施例によれば、A/Vプロセッサ44は、動画専門家グループ(MPEG)復号化機能、米国テレビジョン標準委員会(NTSC)や他の種類の符号化機能、及びディジタル・アナログ(D/A)変換機能を含む機能を行うよう動作する。このようにして、フロントエンド・プロセッサ41から供給されるディジタル伝送ストリームは、復号化ディジタル信号を生成するようMPEG復号化し得る。復号化ディジタル信号は更に、NTSC信号や他の種類の信号(例えば、PAL、SECAM、VSB、QAMなど)として符号化し得る。局所出力装置50がディジタル・テレビジョン信号受信器などのディジタル装置である場合、上記符号化機能及び/又はD/A変換機能は省略してもよい。
【0030】
A/V出力45は、グラフィックス・コンポジタ43及び/又はA/Vプロセッサ44から局所出力装置50に供給されるアナログ信号及び/又はディジタル信号の出力をイネーブルすることによってクライアント装置40のA/V出力機能を行うよう動作する。例示的な実施例によれば、A/V出力45は、何れかの種類の有線出力端子及び/又は無線出力端子などの何れかの種類のA/V出力手段として実施し得る。
【0031】
本発明の発明概念がより良く分かることを促進するよう、次に、例を設けることとする。図5を参照すれば、本発明の例示的実施例による工程を示す流れ図500を示す。例示及び説明の目的で、図5の工程は更に、前述の、図1の環境100のエレメントを参照しながら説明することとする。図5の工程は例示に過ぎず、如何なる方法によっても本発明を限定することを意図するものでない。
【0032】
工程510では、ゲートウェイ装置20は衛星放送源から供給される信号を受信する。例示的実施例によれば、ゲートウェイ装置20は、信号受信エレメント10を介して、オーディオ信号、ビデオ信号、及び/又はデータ信号を、衛星放送源から受信する。
【0033】
工程520では、ゲートウェイ装置20は、同調する対象の所望の衛星中継器を示す要求信号をクライアント装置から受信する。例示的な実施例によれば、クライアント装置40のバック・チャネル・プロセッサ42は、チャンネル変更コマンドなどの要求信号を、クライアント装置40へのユーザ入力に応じて生成し、要求信号をゲートウェイ装置20に、ゲートウェイ装置とクライアント装置40とを接続する同軸ケーブルを介して供給する。
【0034】
工程530では、ゲートウェイ装置20は、それをクライアント装置40に接続する同軸ケーブル上の1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検知する。本明細書で前述したように、工程530で、コントローラ34は、同軸ケーブル上の複数の周波数帯を動的に走査して、1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検知すること及び/又は利用可能な周波数帯を選択するユーザ入力に基づいて1つ又は複数の利用可能な周波数帯を検出することを行う場合がある。
【0035】
工程540では、ゲートウェイ装置20は、受信衛星放送信号を処理し、それによって、所望の衛星中継器に相当するアナログ信号を生成する。例示的実施例によれば、バックチャネル復調器34は、工程520で受信された要求信号を復調し、それによって復調要求信号を生成する。復調要求信号は、アジャイルLO25乃至28と、相当する信号ミキサ21乃至24とを制御する相当する制御信号をコントローラ34に生成させ、それによって、所望の衛星中継器に相当する周波数変換信号の生成を可能にする。所望の衛星中継器に相当する周波数変換信号は更に、相当するBPF29乃至32によってフィルタされ、それによって、工程540で、所望の衛星中継器に相当するアナログ信号を生成する。
【0036】
工程550では、ゲートウェイ20は、工程530で検知された、同軸ケーブル上の利用可能な周波数帯を用いてクライアント装置40に、工程540で生成されたアナログ信号を供給する。図5の工程は、複数回、同時に行い、それによって、アナログ信号を同時に、「N」個の別々のクライアント装置40に供給する場合がある。このようにして、ゲートウェイ装置20は例えば、「N」個の別々の放送番組を「N」個の別々のクライアント装置40に同時に分配する場合がある。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲に記載されているように、本発明は、オーディオ信号、ビデオ信号及び/又はデータ信号を住宅家屋内及び/又は事業用家屋内で既存の同軸ケーブルのインフラを用いて分配することができる装置及び方法を備える。本発明は、ディスプレイ装置にあるなしにかかわらず、種々の装置に適用可能であり得る。よって、本明細書及び特許請求の範囲記載の「テレビジョン信号受信器」の句は、ディスプレイ装置を含むテレビジョン受信機、コンピュータ又はモニタ、及びディスプレイ装置を含まない場合があるセットトップ・ボックス、ビデオ・カセット・レコーダ(VCR)、ディジタル多用途ディスク(DVD)プレイヤ、ビデオ・ゲーム・ボックス、パーソナル・ビデオ・レコーダ(PVR)、コンピュータ又は他の装置を含むが、これらには限定されないシステム又は装置を表し得る。
【0038】
本発明は、好ましい設計を有するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲の範囲内で更に修正することが可能である。本願はよって、本発明の、その一般原理を用いた何れかの変形、使用又は手直しを包含することを意図する。更に本願は、本発明が係わる技術分野における公知の実施、又は慣行の範囲内に収まり、かつ特許請求の範囲の限度内に収まる、本開示からのそのような逸脱を包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を実施するのにふさわしい例示的な環境を示す図である。
【図2】本発明の例示的実施例による、図1のゲートウェイ装置を示す構成図である。
【図3】本発明の例示的実施例による周波数変換処理を示す図である。
【図4】本発明の例示的実施例による、図1のクライアント装置のうちの1つを示す構成図である。
【図5】本発明の例示的実施例による工程を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって:
放送信号を受信し、該受信する放送信号を処理して、該受信する放送信号を復調することなくアナログ信号を生成する処理手段;及び
該アナログ信号を要求信号に応じて生成することを可能にする制御手段を備え;
該アナログ信号がクライアント装置に、前記装置と前記クライアント装置とを接続する伝送媒体を介して供給されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、該伝送媒体がRG−59ケーブルを含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置であって、該処理手段が:
該受信する放送信号を第1の周波数帯から第2の周波数帯に変換して周波数変換信号を生成する周波数変換手段;及び
該周波数変換信号をフィルタリングして該アナログ信号を生成するフィルタリング手段を含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置であって:
該第1の周波数帯が1GHzより大きく;かつ
該第2の周波数帯が1GHzより小さいことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置であって:
該制御手段が、該伝送媒体上の利用可能な周波数帯を検知し;
該利用可能な周波数帯が、該アナログ信号を該クライアント装置に供給するのに用いられることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置であって、該制御手段が、該伝送媒体上の複数の周波数帯を走査して該利用可能な周波数帯を検知することを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置であって、該制御手段が、該利用可能な周波数帯を選択するユーザ入力に基づいて該利用可能な周波数帯を検知することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置であって、該要求信号は、該装置に該伝送媒体を介して供給されることを特徴とする装置。
【請求項9】
ゲートウェイ装置からの信号を機器に分配する方法であって:
放送信号を受信する工程;
チャンネルを示す要求信号を該機器から受信する工程;
該受信する放送信号を処理して、該要求信号に応じた該チャンネルに相当するアナログ信号を、該受信する放送信号を復調することなく生成する工程;及び
該アナログ信号を該機器に、該ゲートウェイ装置と該機器を接続する伝送媒体を介して供給する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、該伝送媒体がRG−59ケーブルを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法であって、該処理する工程が:
該受信信号を第1の周波数帯から第2の周波数帯に変換して周波数変換信号を生成する工程;及び
該周波数変換信号をフィルタリングして該アナログ信号を生成する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって:
該第1の周波数帯が1GHzより大きく;かつ
該第2の周波数帯が1GHzより小さいことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9記載の方法であって、更に:
該伝送媒体上の利用可能な周波数帯を検知する工程を備え;
該利用可能な周波数帯が、該アナログ信号を該機器に供給するのに用いられることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、該検知する工程が、該伝送媒体上の複数の周波数帯を走査して該利用可能な周波数帯を識別する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法であって、該検知する工程が、該利用可能な周波数帯を選択するユーザ入力に基づいて行われることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項9記載の方法であって、該要求信号は、該ゲートウェイ装置に該伝送媒体を介して供給されることを特徴とする方法。
【請求項17】
装置であって:
放送信号を受信し、該受信する放送信号を処理して、該受信する放送信号を復調することなくアナログ信号を生成するよう動作する信号処理エレメント;及び
該アナログ信号を要求信号に応じて生成することを可能にするコントローラを備え;
該アナログ信号がクライアント装置に、前記装置と前記クライアント装置とを接続する伝送媒体を介して供給されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項17記載の装置であって、該伝送媒体がRG−59ケーブルを含むことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項17記載の装置であって、該信号処理エレメントが:
該受信する放送信号を第1の周波数帯から第2の周波数帯に変換して周波数変換信号を生成するよう動作する周波数変換器;及び
該周波数変換信号をフィルタリングして該アナログ信号を生成するフィルタリング手段を含むことを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項19記載の装置であって:
該第1の周波数帯が1GHzより大きく;かつ
該第2の周波数帯が1GHzより小さいことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項17記載の装置であって:
該コントローラが更に、該伝送媒体上の利用可能な周波数帯を検知するよう動作し;
該利用可能な周波数帯が、該アナログ信号を該クライアント装置に供給するのに用いられることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21記載の装置であって、該コントローラが、該伝送媒体上の複数の周波数帯を走査して該利用可能な周波数帯を検知することを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項21記載の装置であって、該制御手段が、該利用可能な周波数帯を選択するユーザ入力に基づいて該利用可能な周波数帯を検知することを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項17記載の装置であって、該要求信号は、該装置に該伝送媒体を介して供給されることを特徴とする装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって:
衛星信号を受信し、該受信信号を処理して、該受信信号を復調することなくアナログ信号を生成する処理手段;及び
該アナログ信号を要求信号に応じて生成することを可能にする制御手段を備え;
該アナログ信号がクライアント装置に、前記装置と前記クライアント装置とを接続する伝送媒体を介して供給されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、該伝送媒体がRG−59ケーブルを含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置であって、該処理手段が:
該受信信号を第1の周波数帯から第2の周波数帯に変換して周波数変換信号を生成する周波数変換手段;及び
該周波数変換信号をフィルタリングして該アナログ信号を生成するフィルタリング手段を含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置であって:
該第1の周波数帯が1GHzより大きく;かつ
該第2の周波数帯が1GHzより小さいことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置であって:
該制御手段が、該伝送媒体上の利用可能な周波数帯を検知し;
該利用可能な周波数帯が、該アナログ信号を該クライアント装置に供給するのに用いられることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置であって、該制御手段が、該伝送媒体上の複数の周波数帯を走査して該利用可能な周波数帯を検知することを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置であって、該制御手段が、該利用可能な周波数帯を選択するユーザ入力に基づいて該利用可能な周波数帯を検知することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5記載の装置であって、該処理手段が:
該受信信号を第1周波数帯から該利用可能な周波数帯に変換して周波数変換信号を生成する周波数変換手段;及び
該周波数変換信号をフィルタリングして該アナログ信号を生成するフィルタリング手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項5記載の装置であって、該周波数変換手段が信号ミキサを備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置であって、該要求信号は、該装置に該伝送媒体を介して供給されることを特徴とする装置。
【請求項11】
ゲートウェイ装置からの信号を機器に分配する方法であって:
衛星信号を受信する工程;
チャンネルを示す要求信号を該機器から受信する工程;
該受信信号を処理して、該要求信号に応じた該チャンネルに相当するアナログ信号を、該受信信号を復調することなく生成する工程;及び
該アナログ信号を該機器に、該ゲートウェイ装置と該機器を接続する伝送媒体を介して供給する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、該伝送媒体がRG−59ケーブルを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法であって、該処理する工程が:
該受信信号を第1の周波数帯から第2の周波数帯に変換して周波数変換信号を生成する工程;及び
該周波数変換信号をフィルタリングして該アナログ信号を生成する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって:
該第1の周波数帯が1GHzより大きく;かつ
該第2の周波数帯が1GHzより小さいことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法であって、更に:
該伝送媒体上の利用可能な周波数帯を検知する工程を備え;
該利用可能な周波数帯が、該アナログ信号を該機器に供給するのに用いられることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、該検知する工程が、該伝送媒体上の複数の周波数帯を走査して該利用可能な周波数帯を識別する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法であって、該検知する工程が、該利用可能な周波数帯を選択するユーザ入力に基づいて行われることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15記載の方法であって、該処理する工程が:
該受信信号を第1周波数帯から該利用可能な周波数帯に変換して周波数変換信号を生成する工程;及び
該周波数変換信号をフィルタリングして該アナログ信号を生成する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法であって、該変換する工程が
該第1の周波数帯における該受信信号を、生成される周波数信号とミキシングする工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項11記載の方法であって、該要求信号は、該ゲートウェイ装置に該伝送媒体を介して供給されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−521056(P2006−521056A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507007(P2006−507007)
【出願日】平成16年3月9日(2004.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/007199
【国際公開番号】WO2004/082281
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】