説明

空中散布用肥料粒子組成物

【課題】
無人ヘリコプター等による空中散布において風による影響により目的とする場所以外への肥料粒子の飛散が少ない、空中散布用に適した肥料粒子組成物を提供すること。
【解決手段】
見かけ比重が1.0g/cm3以上であり、2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が全体の10重量%以下であり、且つ粒子が水平面上で最も安定した位置で静止している状態で該水平面に対して垂直方向への該粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95以上であることを特徴とする空中散布用肥料粒子組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人ヘリコプター等による空中散布用に適した肥料粒子組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
海外では飛行機やヘリコプターによる薬剤や種子の散布は早くから盛んにおこなわれているものの、日本においては一農家あたりの耕作面積が小さくコストが高いこと、また周囲への薬剤飛散の問題等から普及は難しい状況にあった。しかしながら、農業従事者の減少、特に若年労働力の農業離れ等の影響から、農業分野における無人ヘリコプターの活用が見直されてきている。殺虫剤や殺菌剤等の農薬製剤においては、周囲への薬剤飛散を低減化させた農薬活性成分含有の製剤が検討され(特許文献1を参照)、数多くの産業用無人ヘリコプター用の農薬製剤が登録されている。
しかしながら、無人ヘリコプターを用いた肥料散布については、肥料散布用のヘリコプターの構造に関する検討が行われている(特許文献2を参照)ものの、無人ヘリコプターによる散布に適した肥料については必ずしも十分な検討が行われていない。
【0003】
【特許文献1】特開平8−268805号公報
【特許文献2】特開2003−339297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人ヘリコプター等による空中散布において、ヘリコプターのローターによる気流や、散布している場所での風による影響により目的とする場所以外への肥料粒子の飛散が少ない、空中散布用に適した肥料粒子組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は無人ヘリコプター等による空中散布に適した肥料粒子組成物について鋭意検討を重ねた結果、特定の形状及び粒径範囲で、更に特定の見かけ比重の肥料粒子組成物が、横風による影響を受け難く、目的とする場所以外への肥料粒子の飛散が少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
見かけ比重が1.0g/cm3以上であり、2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が全体の10重量%以下であり、且つ粒子が水平面上で最も安定した位置で静止している状態で該水平面に対して垂直方向への該粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95以上であることを特徴とする空中散布用肥料粒子組成物。
[発明2]
日本工業規格による流動度試験方法(JIS Z 2502)に基づき、オリフィス径12mmφの漏斗状オリフィス管を用いて測定される流動度が0.10秒/g以下である発明2に記載された空中散布用肥料粒子組成物。
[発明3]
発明1または2に記載された空中散布用肥料粒子組成物を、無人ヘリコプターから散布することを特徴とする施肥方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の肥料粒子組成物は、無人ヘリコプター等による空中散布において、風による影響により目的とする場所以外への肥料粒子の飛散が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の肥料粒子組成物における肥料粒子は、肥料成分を含有する粒子である。肥料成分とは、水稲などの植物栽培において養分を与えるために土壌に施される窒素、リン、カリウム、珪素、マグネシウム、カルシウム、マンガン、ホウ素、鉄等の種々の元素を含有する成分であり、具体例としては、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸苦土アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸ソーダ、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、石灰窒素、ホルムアルデヒド加工尿素肥料(UF)、アセトアルデヒド加工尿素肥料(CDU)、イソブチルアルデヒド加工尿素肥料(IBDU)、グアニール尿素(GU)等の窒素質肥料;過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成リン肥、腐植酸リン肥、焼成リン肥、重焼リン、苦土過リン酸、ポリリン酸アンモニウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、苦土リン酸、硫リン安、リン硝安カリウム、塩リン安等のリン酸質肥料;塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸カリソーダ、硫酸カリ苦土、重炭酸カリウム、リン酸カリウム等のカリウム質肥料;珪酸カルシウム等の珪酸質肥料;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム質肥料;生石灰、消石灰、炭酸カルシウム等のカルシウム質肥料;硫酸マンガン、硫酸苦土マンガン、鉱さいマンガン等のマンガン質肥料;ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素質肥料;鉄鋼スラグ等の含鉄肥料等の肥料取締法に定められる普通肥料(複合肥料を含む)等を挙げることができる。
本発明の肥料粒子は、無人ヘリコプター等に搭載されて散布されることが好ましい肥料粒子であるが、一般に農業分野で使用される無人ヘリコプターの散布物の搭載量は、通常10〜60kgである為、用いられる肥料粒子の単位重量当りの肥料成分の含量が高いものが好ましい。本発明の肥料粒子組成物は、各肥料成分の含量の合計が25%以上である肥料粒子が好ましく、各肥料成分の含量の合計が35%以上である肥料粒子がさらに好ましい。
窒素(N)、リン(P)およびカリウム(K)より選ばれる肥料成分の一種以上、特にこれら三種全ての肥料成分を含有する肥料としては、NPK成分型(N−P2O5−K2O)肥料が挙げられ、かかる肥料としては、例えば、5−5−7(N−P2O5−K2Oの重量比率を意味する。以下同じ。)、12−12−16等の1型平上り型、5−5−5、14−14−14等の2型水平型、6−6−5、8−8−5等の3型平下がり型、4−7−9、6−8−11等の4型上り型、4−7−7、10−20−20等の5型上り平型、4−7−4、6−9−6等の6型山型、6−4−5、14−10−13等の7型谷型、6−5−5、18−11−11等の8型下がり平型、7−6−5、14−12−9等の9型下がり型、3−20−0、18−35−0等の10型NP型、16−0−12、18−0−16等の11型NK型、0−3−14、0−15−15等の12型PK型等を挙げることができる。
【0009】
また、本発明の肥料粒子組成物は除草剤、殺虫剤等の農薬成分を含有することができる。該農薬成分は、例えば肥料粒子表面に付着した状態、あるいは肥料粒子内部または全体に分散した状態で存在し得る。農薬成分を含有する肥料粒子は、例えば含有せしめる農薬成分の水、有機溶剤等の溶液、あるいは界面活性剤等がさらに添加されたエマルジョン液を、肥料粒子の粒子表面に散布し、粒子内部に浸透させ、同時、またはその後に溶媒を蒸散等により除去することによって製造できる。
【0010】
本発明の肥料粒子組成物は、粒子が水平面上で最も安定した位置で静止している状態で該水平面に対して垂直方向への該粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95以上である肥料粒子組成物である。本発明における包絡周囲長と周囲長は、下記に示す方法により測定される。
肥料粒子を板硝子面等の滑らかな水平面上に置き、適度に振動を与える等により、該粒子が最も安定した状態とする。次に、該水平面に対して垂直の方向から、市販の画像解析装置等を用いて該肥料粒子の投影画像を取得する。取り込まれた該投影画像について、輪郭における周囲長と包絡周囲長を市販の画像解析装置等を用いて測定する。例えば図1に示した粒子の輪郭においては、「包絡周囲長」とは破線で示したようにその凸部を最短の距離をもって結んだときの周囲の長さを意味し、「周囲長」とは実線で表わされた輪郭そのものの長さを意味する。次に、測定された周囲長に対する包絡周囲長の比の平均を、統計的に有意な数の粒子における測定結果より求める。具体的には、20〜100粒の肥料粒子を用いて求められる平均値が本発明においては用いられる。
【0011】
本発明における上記の式で求められる形状係数は、具体的には、CCDカメラ等を用いて取り込んだ肥料粒子の平面画像を、WinROOF(三谷商事製)等の画像解析処理装置を使いて、測定することができる。
【0012】
本発明における肥料粒子組成物は、2.36mmの目開きの篩(Tylerメッシュの8メッシュに相当)を通過する粒子が全体の10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。また、肥料粒子組成物としての流動度の関係から、4.75mmの目開きの篩(Tylerメッシュの4メッシュに相当)を通過しない粒子が全体の5重量%以下であることが好ましい。
【0013】
更に、本発明における肥料粒子組成物は、その見かけ比重が1.0g/cm3以上である肥料粒子である。肥料粒子組成物の見かけ比重は、下記に示す方法により測定される。
即ち、農薬公定検査法に準じて測定することができる。即ち、内径50mm、100ml容の金属製容器に、容器上縁10cmの高さから測定する肥料粒子を自然落下させて、容器内につめる。その後、ただちにスライドガラスを用いて余剰の肥料粒子をすり切りし、容器内の内容物の重量を測定し、見かけ比重(g/cm3)を求める。
【0014】
本発明の肥料粒子組成物における肥料粒子は、肥料を必須成分とする原料を造粒することにより得ることができる。造粒法としては、転動造粒法、押出し造粒法、圧縮造粒法、破砕造粒法、噴流造粒法等、公知の造粒法のいずれを用いてもよいが、得られる肥料粒子組成物として、見かけ比重が1.0g/cm3以上であり、2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が全体の10重量%以下であり、粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95以上となるように造粒される。
見かけ比重が1.0g/cm3未満であった場合には、4.00mmの目開きの篩(Tylerメッシュの5メッシュに相当)を通過しない大きな粒径の粒子の含有量を減らして、4.00mmの目開きの篩(Tylerメッシュの5メッシュに相当)を通過し、2.36mmの目開きの篩(Tylerメッシュの8メッシュに相当)を通過する粒子の含有量を増やすか、必要とされる肥料成分について、比重の大きな肥料成分の含量を増やすことに、見かけ比重が1.0g/cm3以上となるように調製して、本発明の肥料粒子組成物に用いられる肥料粒子を製造することができる。窒素成分の場合には、比重の大きな肥料成分の比重を増やすには、尿素(密度1.335)に代えて、硫酸アンモニウム(密度1.769)、硝酸アンモニウム(密度1.720)、塩化アンモニウム(密度1.530)等の比重の大きな窒素成分の割合を増やすことに、肥料粒子組成物の見かけ比重を調製することができる。
個々の粒子を平面として取り込んだ画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95未満であった場合は、得られた肥料粒子組成物について、形状選別を行うか、整流機を用いて粒子の角取り処理を行う等により、粒子形状の好ましい肥料粒子組成物を得ることができる。
【0015】
上記の造粒法により得られる肥料の形状においては、針状、燐片状(フレーク状)のように、物理的な強度の不足した形状の肥料粒子は除かれる。本発明の肥料粒子組成物は、複数の種類の肥料粒子の混合物を用いることができるが、肥料粒子組成物全体として、見かけ比重が1.0g/cm3以上であり、2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が全体の10重量%以下であり、粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95以上であることが必要である。
【0016】
無人ヘリコプターは地上走行型の動力肥料散布機に比べて、個々の構造部品のサイズが小さく、肥料タンク及び排出口の大きさも相対的に小さなものになっている。この為、肥料タンク内及び排出口での詰まりが生じないよう、本発明の肥料粒子組成物において流動性が良好であることが望ましい。本発明の肥料粒子組成物は、粒子が水平面上で最も安定した位置で静止している状態で該水平面に対して垂直方向への該粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95以上であり、粒子表面の凹凸が少ないので、流動性が良好であって、無人ヘリコプターにより散布する肥料粒子組成物として好ましい。本発明の肥料粒子組成物は、具体的には日本工業規格による流動度試験方法(JIS Z 2502)に基づいて、オリフィス径12mmφの漏斗状オリフィス管を用いて測定される流動度として、通常は0.4秒/g、好ましくは0.2秒/g、より好ましくは0.1秒/g以下である。
【0017】
本発明の肥料粒子は、肥料成分を含有する粒子が樹脂にて被覆された被覆肥料粒子であってもよい。該被覆における樹脂としては、例えば、ワックス、水溶性高分子、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、カーボワックス、ヘキストロウ、蔗糖エステル、脂肪酸エステルなどの合成ワックス、カルナウバワックス、ミツロウ、木ロウなどの天然ワックス、パラフィンワックス、ペトロラクタムなどの石油ワックス等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどのビニル重合物、ブタジエン重合物、イソプレン重合物、クロロプレン重合物、ブタジエン−スチレン共重合物、エチレン−プロピレン−ジエン共重合物、スチレン−イソプレン共重合物などのジエン系重合物、エチレン−プロピレン共重合物、ブテン−エチレン共重合物、ブテン−プロピレン共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物、エチレン−アクリル酸共重合物、エチレン−メタアクリル酸共重合物、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合物、エチレン−一酸化炭素共重合物、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合物などのポリオレフィン共重合物、塩化ビニル−ビニルアセテート共重合物、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合物などの塩化ビニル共重合物等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレア・メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
【0018】
本発明の肥料粒子組成物は、一般的な肥料粒子組成物の包装形態に包装される。一般的な包装形態における包装材としては、クラフト袋、ポリエチレン袋、ポリエチレン内装アルミニウム袋、紙袋、ポリエチレン内装紙袋が挙げられる。
【0019】
本発明の肥料粒子組成物を散布することのできる無人ヘリコプターとしては、例えば特開2003−339297号公報に記載の無人ヘリコプターを用いることが出来る。市販されている無人ヘリコプターとしては、例えばRMAX Type II(搭載量24kg、ヤマハ発動機製)、RPH2(搭載量60kg、富士重工業製)が挙げられる。
無人ヘリコプターにて本発明の肥料粒子組成物を散布する際には、通常ヘリコプターの飛行速度は5〜20km/hr、飛行高度は3〜6mの範囲で行われる。散布時の風速は、好ましくは地上1.5mにおいて3m/秒以下であるが、本発明の肥料粒子は風による影響にて、目的とする場所以外への飛散が少ないので、それ以上の風速時での散布も可能である。
また、本発明の肥料粒子組成物は、肥料粒子が散布される場所が風による影響を受け難いので、GPSとコンピューター制御技術を利用した無人ヘリコプターによる自動薬散システムで使用する肥料粒子組成物としても適する。
【0020】
本発明の肥料粒子の無人ヘリコプターによる散布は、例えば、稲作分野においては出穂前の20日〜10日前後に行われる穂肥において有効に用いられる。通常、穂肥は1または2回行われ、施肥量は通常10a当り、窒素成分として1.5〜4kgの範囲、カリウム成分として0.5〜3kgの範囲である。穂肥としては、通常の速効性肥料粒子を用いてもよいし、緩効性の被覆肥料粒子を用いてもよい。
また本発明の肥料粒子組成物は、起伏があり、面積の広い牧草地やゴルフ場等における施肥において、空中散布用の肥料粒子組成物としても用いることができる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例
含有する肥料成分の種類又は被覆の有無の異なる3種類の肥料粒子組成物について、粒径分布や形状選別を行い、肥料粒子組成物(イ)〜(ホ)を調製した。これらの肥料粒子組成物について、見かけ比重、個々の粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均、粒径分布等を測定した。結果を、表1に示す。
【0022】
【表1】

*1:肥料成分含量44%(N:P:K=3:20:20)の粒状化成肥料;2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が3重量%、4.75mmの目開きの篩を通過しない粒子が1重量%以下。
*2:肥料成分含量42%(N=42)の被覆肥料粒子;2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が3重量%、4.75mmの目開きの篩を通過しない粒子が1重量%以下。
*3:肥料成分含量46%(N=46)の粒状尿素肥料;2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が11重量%、4.75mmの目開きの篩を通過しない粒子が1重量%以下。
【0023】
参考例に記載の肥料粒子組成物について下記の方法により、散布された肥料粒子組成物が横風の影響により、目的とする場所以外へどの程度の量が飛散したかを求めた。
試験例
内径22cm、深さ29cmの円筒形容器を設置し、その容器の中心部から鉛直線上方向に下端が高さ1.4mとなるように硝子製の漏斗(漏斗の脚部の管の長さが55mm、口径12mm)を設置した。容器と漏斗を結ぶ鉛直線に対して、横方向に高さ60cm、羽根翼径20cmの扇風機を設置して、作動させて横風を当てた。
まず、該漏斗の底を塞いだ状態で50gの肥料粒子組成物を満たした後、該漏斗の底を開放して、一気に肥料粒子組成物を落下させ、下方に設置した容器内に回収された粒状組成物の量を測った(条件1)。尚、本試験で使用した肥料粒子組成物については、漏斗の管部分で詰まることなく、排出された。
次に、該漏斗を経由して約30秒間で50gの肥料粒子組成物を落下させて、下方に設置した容器内に回収された粒状組成物の量を測った(条件2)。
容器に回収された肥料粒子組成物の量を表2に示す。
【0024】
【表2】

本発明の肥料粒子組成物である肥料粒子組成物(イ)は、横風の影響により目的とする場所以外への肥料粒子の飛散が少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の肥料粒子組成物は、高所より散布した場合でも風による影響で目的とする場所以外への飛散が少ない為、無人ヘリコプター等による空散用の肥料粒子組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】平面画像として取り込んだ肥料粒子の粒子の輪郭を示す模式図を示す。
【符号の説明】
【0027】
1 包絡周囲長
2 周囲長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
見かけ比重が1.0g/cm3以上であり、2.36mmの目開きの篩を通過する粒子が全体の10重量%以下であり、且つ粒子が水平面上で最も安定した位置で静止している状態で該水平面に対して垂直方向への該粒子の投影画像より求められる周囲長に対する包絡周囲長の比の平均が0.95以上であることを特徴とする空中散布用肥料粒子組成物。
【請求項2】
日本工業規格による流動度試験方法(JIS Z 2502)に基づき、オリフィス径12mmφの漏斗状オリフィス管を用いて測定される流動度が0.20秒/g以下である請求項1に記載された空中散布用肥料粒子組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載された空中散布用肥料粒子組成物を、無人ヘリコプターから散布することを特徴とする施肥方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−39273(P2007−39273A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225042(P2005−225042)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】