説明

空気入りタイヤ

【課題】氷雪路での旋回性能を改善すると共に、ショルダー領域での偏摩耗を防止することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部1の表面と各サイドウォール部2の表面とが湾曲面により連接されたラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいて、トレッド部1の標準接地状態での接地領域内にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝11を設け、トレッド部1の標準接地状態での接地領域外に各ショルダー領域に沿ってタイヤ周方向に延びる複数本のショルダー溝15a,15b,15cを設け、タイヤ幅方向最外側に位置する主溝と標準接地状態での接地端との間に規定される内側特定領域の溝面積比率を20%以下にすると共に、各ショルダー領域にて隣り合う一対のショルダー溝15a,15bの相互間に規定される外側特定領域の溝面積比率を20%以上かつ内側特定領域の溝面積比率よりも大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オールシーズン用タイヤとして好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、氷雪路での旋回性能を改善すると共に、ショルダー領域での偏摩耗を防止することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッドレスタイヤに代表される冬用の空気入りタイヤにおいて、直進走行時におけるトレッド部の接地領域外に凹凸部を設け、これら凹凸部が旋回時に路面に接触するように構成することにより、氷雪路での旋回性能を改善することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、ラウンドショルダープロファイルを有するオールシーズン用空気入りタイヤは、乾燥路での使用が主体であるが、氷雪路で使用されることもあるので、冬用タイヤと同様に氷雪路での旋回性能を改善することが求められている。
【0004】
そこで、ラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいて、冬用タイヤと同様にトレッド部の接地領域外に凹凸部を設けることが考えられる。しかしながら、ラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤのトレッド部の接地領域外に凹凸部を設けた場合、乾燥路で旋回する際に凹凸部が路面と接触すると、直進走行時に接地領域内にある陸部と凹凸部とでは剛性差に起因して路面に対する滑り量が異なるため、ショルダー領域に偏摩耗が生じ易くなるという問題がある。そのため、ラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいては、氷雪路での旋回性能を改善することを目的としてトレッド部の接地領域外に凹凸部を設けることが行われていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4312823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、氷雪路での旋回性能を改善すると共に、ショルダー領域での偏摩耗を防止することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記トレッド部の表面と各サイドウォール部の表面とが湾曲面により連接されたラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部の標準接地状態での接地領域内にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝を設け、前記トレッド部の標準接地状態での接地領域外に各ショルダー領域に沿ってタイヤ周方向に延びる複数本のショルダー溝を設け、前記主溝のうちタイヤ幅方向最外側に位置する主溝と標準接地状態での接地端との間に規定される内側特定領域の溝面積比率を20%以下にすると共に、各ショルダー領域にて隣り合う一対のショルダー溝の相互間に規定される外側特定領域の溝面積比率を20%以上かつ前記内側特定領域の溝面積比率よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向最外側に位置する主溝と標準接地状態での接地端との間に規定される内側特定領域の溝面積比率を20%以下にする一方で、各ショルダー領域にて隣り合う一対のショルダー溝の相互間に規定される外側特定領域の溝面積比率を20%以上かつ内側特定領域の溝面積比率よりも大きくしたので、氷雪路での旋回時に溝面積比率が相対的に高い外側特定領域が路面と接触することにより、氷雪路での旋回性能を改善することができる。しかも、内側特定領域と外側特定領域との間にはタイヤ周方向に連続して延びるショルダー溝が配置され、これら2つの領域が分断されているので、例えば、乾燥路での旋回時に外側特定領域が路面と接触した際に、内側特定領域と外側特定領域の路面に対する滑り量が両者間の剛性差に起因して異なっていても、外側特定領域の動きに引きずられて内側特定領域が路面に対して滑るのを防止することができる。従って、本発明によれば、氷雪路での旋回性能を改善すると共に、ショルダー領域での偏摩耗を防止することできる。
【0009】
本発明において、各ショルダー領域にはショルダー溝に基づいて複数の外側特定領域を規定することが好ましく、更には、これら複数の外側特定領域の溝面積比率をタイヤ幅方向外側に向かって徐々に増加させることが好ましい。この場合、外側特定領域の溝面積比率の最大値は70%以下にすると良い。これにより、耐偏摩耗性を良好に維持しながら、スノー性能を向上することができる。
【0010】
ショルダー溝のうち標準接地状態での接地端に最も近いショルダー溝は該接地端からタイヤ幅方向外側に向かって2mm〜8mmの領域内に配置することが好ましい。ショルダー溝のピッチは5mm〜15mmとすることが好ましい。また、外側特定領域にはその両側の一対のショルダー溝に連通する複数本の細溝を設けることが好ましい。更に、ショルダー溝は溝幅が1.5mm〜5.0mmであり、溝深さが2.0mm〜7.5mmであることが好ましい。これらの構成を採用することにより、ショルダー領域での偏摩耗を防止しながら氷雪路での旋回性能の改善効果を最大限に享受することができる。
【0011】
本発明において、標準接地状態での接地領域とは、タイヤを規格が定める標準リムに装着し、タイヤに規格が定める最高空気圧(最大負荷能力に対応する空気圧)を充填し、タイヤを静止した状態で平板に対して垂直に置き、その最大負荷能力の85%の負荷を加えたときのタイヤ軸方向の接地幅にて規定される接地領域である。この標準接地状態での接地領域は主として直進走行時に接地する領域であるが、旋回時には標準接地状態での接地領域から外れた領域も接地するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの要部を示す斜視図である。
【図2】図1の空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。
【図3】図1の空気入りタイヤの要部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1の空気入りタイヤのトレッドパターンの要部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜図4は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図2及び図3において、黒塗り部分は溝部である。図4において、CLはタイヤ赤道線であり、Eは標準接地状態での接地端である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。トレッド部1の両側のショルダー領域において、トレッド部1の表面と各サイドウォール部2の表面とは湾曲面により連接されてラウンドショルダープロファイルを形成している。
【0015】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0016】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。
【0017】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、トレッド部1にはタイヤ周方向に延びる複数本(本実施形態では4本)の主溝11が形成され、これら主溝11により複数の陸部10が区画されている。主溝11はタイヤ赤道CL側に位置する一対の主溝11a及び該主溝11aよりもタイヤ幅方向外側に位置する一対の主溝11bとを含んでいる。これら主溝1はいずれもトレッド部1の標準接地状態での接地領域内、即ち、接地端Eよりもタイヤ赤道線CL側に配置されている。主溝1はその溝幅及び溝深さが特に限定されるものではないが、例えば、溝幅が6.0mm〜13.0mmの範囲に設定され、溝深さが7.0mm〜10.0mmの範囲に設定されている。主溝1により区画された陸部10には、ショルダー領域においてタイヤ幅方向に延びるラグ溝12や、センター領域においてタイヤ周方向に延びてジグザグ形状を有する周方向溝13や、各種のサイプ14が形成されている。
【0019】
一方、トレッド部1の標準接地状態での接地領域外、即ち、接地端Eよりもタイヤ幅方向外側には、各ショルダー領域に沿って、タイヤ周方向に延びる複数本(本実施形態では3本)のショルダー溝15a,15b,15cが形成されている。
【0020】
ここで、主溝11のうちタイヤ幅方向最外側に位置する主溝11bと標準接地状態での接地端Eとの間に規定される内側特定領域Xは、その溝面積比率が20%以下、より好ましくは、10%〜20%の範囲に設定されている。内側特定領域Xの溝面積比率とは、内側特定領域Xの総面積に対する内側特定領域Xに含まれる溝部の総面積の百分率(%)である。
【0021】
また、各ショルダー領域にて隣り合う一対のショルダー溝15a,15bの相互間に規定される外側特定領域Y1、及び、各ショルダー領域にて隣り合う一対のショルダー溝15b,15cの相互間に規定される外側特定領域Y2は、その溝面積比率がそれぞれ20%以上、好ましくは、20%〜70%の範囲に設定され、かつ内側特定領域Xの溝面積比率よりも大きくなっている。外側特定領域Y1,Y2の溝面積比率は、それぞれ外側特定領域Y1,Y2の総面積に対する外側特定領域Y1,Y2に含まれる溝部の総面積の百分率(%)である。本実施形態において、上記溝面積比率を得るために、外側特定領域Y1にはその両側の一対のショルダー溝15a,15bに連通する複数本の細溝16aがタイヤ周方向に間隔をおいて形成され、外側特定領域Y2にはその両側の一対のショルダー溝15b,15cに連通する複数本の細溝16bがタイヤ周方向に間隔をおいて形成されている。これら細溝16a,16bは溝幅が1.5mm以下のものであって所謂サイプを包含するものである。
【0022】
このようにラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向最外側に位置する主溝11bと標準接地状態での接地端Eとの間に規定される内側特定領域Xの溝面積比率を20%以下にする一方で、各ショルダー領域にてショルダー溝15a〜15cの相互間に規定される外側特定領域Y1,Y2の溝面積比率を20%以上かつ内側特定領域Xの溝面積比率よりも大きくしたので、氷雪路での旋回時に溝面積比率が相対的に高い外側特定領域Y1,Y2が路面と接触することにより、氷雪路での旋回性能を改善することができる。積雪路においては、直進走行時の操縦安定性も改善することができる。
【0023】
しかも、内側特定領域Xと外側特定領域Y1との間にはタイヤ周方向に連続して延びるショルダー溝15aが配置され、これら2つの領域X,Y1が分断されているので、例えば、乾燥路での旋回時に外側特定領域Y1が路面と接触した際に、内側特定領域Xと外側特定領域Y1の路面に対する滑り量が両者間の剛性差に起因して異なっていても、外側特定領域Y1の動きに引きずられて内側特定領域Xが路面に対して滑るのを防止することができる。そのため、氷雪路での旋回性能を改善すると共に、ショルダー領域での偏摩耗を防止することできる。
【0024】
ここで、内側特定領域Xの溝面積比率が20%よりも大きいと乾燥路での操縦安定性が低下するためオールシーズン用タイヤとしての要求特性が不十分になる。また、外側特定領域Y1,Y2の溝面積比率が20%よりも小さいと氷雪路での旋回性能の改善効果が不十分になる。特に、内側特定領域Xの溝面積比率と外側特定領域Y1,Y2の溝面積比率との差は5%以上にすると良い。
【0025】
上記空気入りタイヤにおいて、各ショルダー領域にはショルダー溝15a〜15cに基づいて複数の外側特定領域Y1,Y2を規定し、これら外側特定領域Y1,Y2の溝面積比率をタイヤ幅方向外側に向かって徐々に増加させると良い。これにより、耐偏摩耗性を良好に維持しながら、スノー性能を向上することができる。つまり、小蛇角の旋回時にはタイヤ幅方向内側の外側特定領域Y1が容易に接地するため、耐摩耗性の確保の見地から、タイヤ幅方向内側の外側特定領域Y1の溝面積比率を相対的に小さくするのが良い。一方、タイヤ幅方向外側の外側特定領域Y2は大蛇角の旋回時のみに接地するため、耐摩耗性への影響は小さく、特に積雪路のようにトレッド部1が雪中に埋没するような状況ではトラクションの増大に大きく寄与する。但し、外側特定領域Y1,Y2の溝面積比率を過度に大きくすると当該部位の剛性低下が顕著になって旋回性能の改善効果が低下する。そのため、外側特定領域Y1,Y2の溝面積比率の最大値は70%以下にすると良い。
【0026】
また、複数の外側特定領域Y1,Y2はタイヤ周方向に連続的に延びるショルダー溝15aによって分断されているので、外側特定領域Y2の動きに引きずられて外側特定領域Y1が路面に対して滑るのを防止することができる。そのため、外側特定領域Y1の偏摩耗を抑えることも可能である。
【0027】
標準接地状態での接地端Eに最も近いショルダー溝15aは接地端Eからタイヤ幅方向外側に向かって2mm〜8mmの領域内に配置すると良い。つまり、接地端Eからタイヤ幅方向外側に向かって5mm離れた位置Pを中心として±3mmの領域内にショルダー溝15aを配置すると良い。ショルダー溝15aが接地端Eに近過ぎると小蛇角の旋回時に外側特定領域Y1が接地するようになるため耐摩耗性が低下する。逆に、ショルダー溝15aが接地端Eから遠過ぎると大蛇角の旋回時のみに外側特定領域Y1が接地するようになるため氷雪路での旋回性能の改善効果が不十分になる。
【0028】
ショルダー溝15a〜15cのトレッド表面でのピッチは5mm〜15mmであると良い。このようなピッチでショルダー溝15a〜15cを配置することにより、外側特定領域Y1,Y2の面積を適切に確保することができる。ショルダー溝15a〜15cのピッチが5mmより小さいと氷雪路での旋回性能の改善効果が不十分になり、逆に15mmより大きいと外側特定領域Y1,Y2に偏摩耗を生じ易くなる。
【0029】
ショルダー溝15a〜15cは溝幅が1.5mm〜5.0mmであり、溝深さが2.0mm〜7.5mmであると良い。ショルダー溝15a〜15cの溝幅が1.5mm未満であると偏摩耗の防止効果が不十分になり、逆に5.0mm超であると氷雪路での旋回性能の改善効果が不十分になる。ショルダー溝15a〜15cの溝深さが2.0mm未満であると摩耗初期でショルダー溝15a〜15cが消滅するため偏摩耗の防止効果が不十分になり、逆に7.5mm超であるとショルダー領域のブロック剛性が全体的に低下するためショルダー摩耗を促進する恐れがある。
【0030】
また、外側特定領域Y1,Y2にはその両側のショルダー溝15a〜15cに連通する複数本の細溝16a,16bを設けると良い。このような細溝16a,16bはそのエッジにより氷雪路でのトラクションの増加に大きく寄与する。なお、細溝16a,16bのタイヤ径方向に対する傾斜角度及び傾斜方向は特に限定されるものではないが、例えば、タイヤ径方向に対して30°以下とすることが望ましい。
【実施例】
【0031】
タイヤサイズが215/60R16であり、ラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいて、トレッド部の標準接地状態での接地領域内にタイヤ周方向に延びる4本の主溝を設け、トレッド部の標準接地状態での接地領域外に各ショルダー領域に沿ってタイヤ周方向に延びる複数本のショルダー溝を設け、主溝のうちタイヤ幅方向最外側に位置する主溝と標準接地状態での接地端との間に規定される内側特定領域の溝面積比率を20%に設定し、各ショルダー領域にて隣り合う一対のショルダー溝の相互間に規定される外側特定領域の溝面積比率を30%に設定し、接地端からのショルダー溝のオフセット量、ショルダー溝の溝深さ、各ショルダー領域に配置されるショルダー溝の本数を表1のように設定した実施例1〜6のタイヤを作製した。なお、ショルダー溝の溝幅は1.5mmとし、ショルダー溝のピッチは6.0mmとした。
【0032】
比較のため、ショルダー溝を無くし、外側特定領域に対応する部位を平滑面としたこと以外は実施例2と同じ構造を有する従来例1のタイヤと、ショルダー溝を無くしたこと以外は実施例2と同じ構造を有する従来例2のタイヤを用意した。
【0033】
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、雪上での操縦安定性、耐摩耗性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0034】
雪上での操縦安定性:
各試験タイヤをリムサイズ16×7Jのホイールに組み付けて空気圧を230kPaとして排気量2.0Lの試験車両に装着し、雪上においてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど雪上での操縦安定性が優れていることを意味する。
【0035】
耐摩耗性:
各試験タイヤをリムサイズ16×7Jのホイールに組み付けて空気圧を230kPaとして排気量2.0Lの試験車両に装着し、乾燥路において20000kmの走行試験を行い、走行後の摩耗量を測定し、その摩耗量に基づいて推定摩耗寿命を求めた。偏摩耗量が多い場合、推定摩耗寿命は短いものとなる。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐摩耗性が優れていることを意味する。
【0036】
【表1】

【0037】
表1から明らかなように、実施例1〜6のタイヤは、従来例1との対比において、雪上での操縦安定性が改善されており、しかもショルダー領域での偏摩耗が少ないため耐摩耗性が良好であった。一方、従来例2のタイヤは、雪上での操縦安定性が改善されているものの、接地領域外にショルダー溝を備えていないためショルダー領域での偏摩耗が多くなり耐摩耗性に劣っていた。
【符号の説明】
【0038】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
11 主溝
15a,15b,15c ショルダー溝
E 接地端
X 内側特定領域
Y1,Y2 外側特定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記トレッド部の表面と各サイドウォール部の表面とが湾曲面により連接されたラウンドショルダープロファイルを有する空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部の標準接地状態での接地領域内にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝を設け、前記トレッド部の標準接地状態での接地領域外に各ショルダー領域に沿ってタイヤ周方向に延びる複数本のショルダー溝を設け、前記主溝のうちタイヤ幅方向最外側に位置する主溝と標準接地状態での接地端との間に規定される内側特定領域の溝面積比率を20%以下にすると共に、各ショルダー領域にて隣り合う一対のショルダー溝の相互間に規定される外側特定領域の溝面積比率を20%以上かつ前記内側特定領域の溝面積比率よりも大きくしたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
各ショルダー領域に前記ショルダー溝に基づいて複数の外側特定領域を規定したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
各ショルダー領域に前記ショルダー溝に基づいて複数の外側特定領域を規定し、これら外側特定領域の溝面積比率をタイヤ幅方向外側に向かって徐々に増加させたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記外側特定領域の溝面積比率の最大値を70%以下にしたことを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ショルダー溝のうち標準接地状態での接地端に最も近いショルダー溝を該接地端からタイヤ幅方向外側に向かって2mm〜8mmの領域内に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記ショルダー溝のピッチを5mm〜15mmとしたことを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記外側特定領域にその両側の一対のショルダー溝に連通する複数本の細溝を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記ショルダー溝は溝幅が1.5mm〜5.0mmであり、溝深さが2.0mm〜7.5mmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−35526(P2013−35526A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175488(P2011−175488)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)