説明

空気内封形タイヤの回転増幅機構

【課題】回転することによって回転力エネルギーが発生する、省エネに大きな貢献を果たすべき課題に取組み、機械的要素や精度重視の必要のない、低コストで無事故を最大目的とする自動車及び自転車を提供する。
【解決手段】 空気内封型タイヤ17の車輪における、回転軸10の周辺に回転増幅機構16を装着させ、放射状に角度をもって、ブレード3を配し、この回転力を利用して、力のある車軸、回転力を発生させる。自動車ではホイール構造を改善するのみで可能となり、自転車ではペダル踏み力を大幅に減少させ、3、4段のチェーン切替えや、電動自転車は不要となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車、及び自動車に於ける空気内封形タイヤにあって、車軸外周、或いは、ホイール部に付帯した回転増幅機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より存在する自転車にあっては、車輪を回転させる原動力である、人が踏むペダルの力は一定である故、女性は男性より疲労度は大きいが、誰がペダルを踏んでも、車輪の回転力が変わらないことが、希望される。又、坂道を登ったりする時は、ペダルを踏む力は大きく必要とされるが、一般の自転車では疲労が激しく、急な坂道は、手押しするしか方法はない。故に自転車の機構としては、3段或いは、4段とチェーン走行を切替えて、ペダルの踏む力を替えて、回転力を増す方法があるが、機構が複雑で、自転車自体が高価となっている。この様な事から、走行に楽なモータ駆動の電動自転車が出現したが、購入価格が更に高くなり、バッテリーの充電にも時間が掛り、大きく普及はしていない。従ってペダルを踏む力を少なくなると共に、且、安価で、簡単な機構で、大なるパワーが出る製品が求められている。
【0003】
又、自動車にあっては、省エネを目的に、構成される方法は、エンジンの機構を改良し、燃費を少なくすることが実行されつつあるが、開発費や生産切替の設備費、等に期間と経費が大きく嵩んでくる。近年では、エンジンと、モータを組合せたハイブリッド方式の駆動形式にて、スタート時にモータ回転などで、燃費の使用を制限する方法も市場化されているが、モータ駆動のために、バッテリーが毎時、使用され、そのため、バッテリーの消耗寿命が短くなり、逆にバッテリーの交換に費用が高くなる。更に、自動車自体の駆動構成が複雑となり、コスト高を招き、故障の頻度が増え、購入者にはメリットの少ないものである。
更にエンジン以外の、省エネは殆ど実施されておらず、コスト安で、且、故障の確率の低いものは、皆無に近いのが現状である。
従って、エンジン改良以外で、簡単で、安価な省エネ機構を出現させることが、今後の課題となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に示した、自転車、自動車が抱える解決すべき課題を説明する。
背景技術に示した如く、自転車、自動車に共通する解決課題は、如何にして、簡単な構成で、大きな省エネが達成されるかであり、この問題に対して今迄、全く手を付けていなかった技術部門は、車輪構成である。すなわち、車輪自体は、タイヤが地表面の摩擦に打勝って、車輪を介して、回転エネルギーを伝達し、重たい車体を、効率よく、高速度で前進させる機能が要求されるが、自転車のペダルを踏む力や、自動車のエンジンの回転力以外で、ハイテクの省エネ技術に匹敵するエネルギー効果を、車軸の放射方向である、自転車の車輪、スポーク部や、自動車の車輪、ホイール部を活用し、省エネ効果を出したのが、本発明構造であり、大きく課題を克服したものであると考察される。
【0005】
本発明は、従来より存在する、空気を封入したタイヤをもった車輪では、考え得なかった構成で、機械的な操作を必要とせず、従って摩耗や、機能の問題で支障をきたすことは皆無で、加工や組立の工程を極力、少なくなる如くに構造化し、これによって更に絶大な効果を得るべく構成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述せる課題を克服し、達成させる方法として、自転車にあっては、前、後輪の回転軸外周、スポーク部に、又、自動車にあっては、全車輪のホイール部に、該、車輪の回転により、生ずる車輪、直角に作用する風圧力を得るべく、プレートファンのブレードを、必要な角度を保って、放射状に構造し、ビルドインさせ、車輪の回転により、このブレードが発生させる軸方向の風圧力を、設定角度をつけて、複数に設けた、該、ブレードで軸直角方向の回転力に変換し、ブレード数の合計圧力と、ブレード中心から、回転軸心までの距離とのモーメントトルクとして作用させ、車輪の回転軸を矢印、回転方向に増幅する回転力に変換する構成とした。
【発明の効果】
【0007】
上述したように、本発明構成は、図1より図4に示すが、本発明のもたらす効果は次の通りである。
本発明による自転車用の空気内封形タイヤ、車輪にあって、回転増幅機構の構造は、中心部に円筒形の内圧タンクを構成し、該、タンクは空気内封形タイヤの内圧より、やや高い空気圧を保持し、タイヤチューブ内が減圧した場合、付帯している調圧弁により、この内圧タンクより、タイヤチューブ内に、不足した圧縮空気を送り込む補助タンクの役目をし、その外周部に、内輪、外輪を介して、プレートファン、ブレードを角度を付けて、複数、配し、車輪の回転により、該ブレードが発生させる軸方向の風圧力を、軸直角方向の回転力に変換し、その合計圧をモーメントトルクとして、軸回転の増幅力とする構成にしている。
【0008】
又、自動車用は、内圧タンクは用いずに、中心部の回転軸ハウジング収納空間の、ホイール外周部に該、自転車と同一構造のブレードを配したもので、原理、構成は全く自転車と同一である。
【0009】
自転車に採用した、本発明の回転増幅機構の発明の効果は、走行することにより、前、後輪各々の回転軸に、自動でモーメントトルクが発生するので、これに依って、前、後輪共に、回軸力が増幅され、従ってペダルを踏む力は、極めて軽い力で踏むことができる。特に女性や子供には効果は大であると共に、或程度の坂道は、今迄のペダル踏み力で充分、走行は可能である。従ってチェーンの段数切り替えや、電動自転車は不要で、安価で、繁雑な操作をすることもなく、高機能の自転車を商品化することができる。
【0010】
次に自動車に、この機能を用いれば、各車輪のホイール部に、回転増幅機構を備えることにより、各、車輪毎に回転軸に大きなモーメントトルクが発生し、車輪数の合計圧は補助エネルギーとなって、大きな省エネ力として、エンジンの回転を助ける。故に、燃料費が節約でき、経済的に出費が抑えられ、非常に付加価値の高い構造をもち合わせ、有効な効果を発揮し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を、図1〜図4に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
本発明の図1は、空気内封形タイヤの回転増幅機構の原理を示す側面図と、その厚み、すなわち、プレートファンのブレードの構成を示す平面図より成る。
原理、側面図において、1は内輪で、寸法はAで示すが、内圧タンク、及び、回転軸部材の収納によって決定する。2は外輪で、寸法はDで示すが、E、ブレードの高さの設定で変化する。3はプレートファン形状とした、ブレードで、軸心より放射状に、複数個、有効な間隔を保つ構成にし、且、作用する風圧力P、及び、回転方向の分力P′、を力学的に合理的な角度β、を保持して構成する。Bは、内輪、外輪の巾を示す。Eの寸法は、1、内輪と2、外輪の寸法の勘案より決定する。5は、内圧タンク、若しくは、回転軸部材の収納によって、決まる収納空間である。4は、回転方向、10は、回転軸心である。
【0013】
以下に上記、構成の作動を説明する。今、自転車用として例用した場合、5は、内圧タンクとして構成するので、タイヤチューブ内、空気圧力は、176.4〜196kPa(1.8〜2.0kgf/cm)となるため、自動注気機構の補助タンクとして、タイヤチューブ内の減圧を補う、圧力タンクとして利用する。故に内圧タンク、圧力は274.4kPa(2.8kgf/cm)を確保し、図2に示す、調圧弁7、で、タイヤチューブ内が、減圧した場合のタイヤチューブへ給気する役目をもっている。
【0014】
以上の機構において、作動をみるに、10、回転軸心での、軸の回転によって、この回転増幅機構は、4、回転方向に10〜15km/Hrの速度で、常態回転する。この回転によって、3、ブレードはβ角度が付いているので、P、風圧力を得る。この風圧力P、は軸方向に作用するが、3、ブレードのβ角度によって、軸と直角方向の分力、すなわち回転力、P′に変換される。このP′の力は、β=45°とした場合、P′=sin45°p=0.707P≒0.5Pとなる。すなわちPの1/2の回転力が、2Hの円周上を4、の回転方向に作用することになる。この3、ブレードは複数個、(本例では12枚)存在するので、P′の合成力はP′=0.5P×12=6Pとなる。この6Pの回転力は、10、回転軸心へは、T=6PHのモーメントトルクとして作動する。この事より明らかな如く、本構成にして回転することによって、T=6PHのモーメントトルクが、10、回転軸の通常のペダル踏み力に、回転増幅力として、プラスされ、該、回転増幅機構を採用することで、労せずに、10、回転軸の、回転力をアップすることができる。
【0015】
次に図2〜図4について説明する。
図2は、従来の自転車9にあって、17、は空気内封形タイヤ、で7、調圧弁を8、パイプで、5、の内圧タンクと接続し、6、空気供給口より供給した17、空気内封形タイヤの空気圧力が減圧しても、5、内圧タンクの圧力空気2.8kgf/cmから、自動で、7、調圧弁を通じて、不足した空気を補給する自動注気機構を付帯している。
本図はこの構成の上に、10、車軸すなわち回転軸に、本発明の回転増幅機構を装着した構造を表わし、5、内圧タンクの外周に、1、内輪と2、外輪及び3、プレートファンブレードより成る、16、回転増幅機構を装備している。
次に、11、ペダルを踏んで、後輪を回転させると、同軸にある、16、回転増幅機構も同期回転を起し、T=6PHのモーメントトルクが作動し、前述した回転増幅力を、10、回転軸に発生させ、ペダル踏み力にプラスした、モーメント回転力を10、回転軸に発生させる。
【0016】
次に図3、図4の自動車、車輪に対して構造、作動を述べる。
図3、は自動車、車輪ホイールに、この回転増幅機構をビルドインして、構成し、一体化した縦断面を表わし、図4は、同構成を表側、正面より見た図を示す。16は、回転増幅機構を備えたホイールで、1、内輪、2、外輪、3、ブレードを一体に設ける。3、ブレードは、プレートファン形状で、軸心より放射状に複数個、構成した構造は、自転車用と同一原理、構造で、風圧力、P及び、回転方向、分力P′、を得る合理的な角度βを保っている。
これら一連の図の基本構成は、図1の回転増幅機構と同じ原理に基づいている。但し、風圧力Pは、車輪の回転により発生するので、回転数の大なる自動車にあっては、自転車の発生風圧力より、強大になり、より有効的である。
【0017】
尚、作動については、自転車用として前述した[0014]と、同一の説明となるので、ここでは省略する。但し、自動車での該、構成は14、回転軸には、4つの車輪に、回転増幅力が作用するので、14、回転軸を回転駆動する、エンジンには、大きな省エネ力が作動し、エンジンの燃費を少なくすると共に、損耗も防止する極めて有効な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による空気内封形タイヤの回転増幅機構、原理図。
【図2】本発明による回転増幅機構を装着した自転車、正面図。
【図3】本発明による、回転増幅機構をホイールに内蔵した自動車、車輪断面図。
【図4】同、自動車、車輪表面より見た正面図。
【符号の説明】
【0019】
1・・・・・・・・・・・内輪
2・・・・・・・・・・・外輪
3・・・・・・・・・・・ブレード
4・・・・・・・・・・・回転方向
5・・・・・・・・・・・内圧タンク、若しくは回転軸部材収納空間
6・・・・・・・・・・・空気供給口
7・・・・・・・・・・・調圧弁
8・・・・・・・・・・・接続パイプ
9・・・・・・・・・・・自転車、本体
10・・・・・・・・・・車軸(回転軸)
11・・・・・・・・・・ペダル
12・・・・・・・・・・自動車用タイヤ
14・・・・・・・・・・自動車用回転軸
15・・・・・・・・・・ホイール、オフセットライン
16・・・・・・・・・・回転増幅機構
A・・・・・・・・・・・1、内輪径
B・・・・・・・・・・・1、内輪幅
D・・・・・・・・・・・2、外輪径
E・・・・・・・・・・・ブレード高さ
F・・・・・・・・・・・タイヤ中心からのオフセット寸法
G・・・・・・・・・・・リム幅
H・・・・・・・・・・・P′作用半径
P・・・・・・・・・・・風圧力
P′・・・・・・・・・・回転方向の分力
β ・・・・・・・・・・ブレードの設定角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気内封形タイヤ内に、圧縮空気を封入し、タイヤスポーク又は、ホイールの中心に回転軸を、一体に構成して成る車輪にあって、回転軸周辺の内圧タンク、若しくは、ハウジング収納空間の外周部に、内輪、外輪、及びブレードにて、構成される、回転増幅機構を設け、該、ブレードは、軸心より放射状に複数個を角度を保持して構成し、車輪の基本回転によって、該、ブレードの幅、中心で、回転方向への分力が作動し、該、分力の合力と、回転軸心から、ブレード面中心までの距離を、モーメントとして、回転軸に、回転力が作動する構成によって、車輪を、必要とする方向へ、容易に回転させる構造を備え、該、回転を付加することによって、車輪の基本回転を増幅させることを可能にしたことを、特徴とする空気内封形タイヤの回転増幅機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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