説明

空気吹出装置

【課題】 操作者が意図した方向に空気を確実に吹き出すことができる空気吹出装置を提供すること。
【解決手段】 空気吹出装置11は、中空柱状部21と、風向調整板41,42,43,44と、風向調整板をバイパスする通路部31と、を備える。通路部は、所定の箇所に開口する流入口32及び吹出口33を有する。吹出口から吹き出される空気の向きを有するベクトルVs2は、中空柱状部の軸線ALと風向調整板の回動軸線Pとを含む平面PL1と交差するとともに、調整板回転角度θがゼロでないときに風向調整板によって形成される空気の向きを有するベクトルVfと鈍角θLをもって交差する。吹出口から吹き出される空気の量は、調整板回転角度がゼロであるとき実質的にゼロであり、調整板回転角度が大きくなるにつれて増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の空調装置に使用される空気吹出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の室内環境を調整することを目的とし、室内への冷暖房空気等の供給及び遮断の切り換え、並びに、冷暖房空気等を室内へ供給する場合の空気流の方向を調整する空気吹出装置が提案されている。
【0003】
従来の空気吹出装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼する。)は、中空柱状(例えば、中空四角柱状及び中空円柱状等)の空気通路部と、その空気通路部の内部に配設された複数の風向調整板と、を備えている。この複数の風向調整板は、連結部材によって互いに連結されており、操作者の操作に応じて連動して回動するようになっている。この従来装置は、自動車室内等に設置されるとともに、複数の風向調整板の角度に応じた方向に空気を吹き出すようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−276428号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、粘性を有する流体の流れの中に物体が存在すると、流体の流れがその物体の表面に沿って湾曲する現象(コアンダ効果)が生じる。図16はこの現象を説明するための模式図である。図16において、従来装置100の風向調整板101により、空気は破線の矢印によって示した方向に吹き出される。ところが、この空気の流れは、コアンダ効果により、図中白抜き矢印によって示したように「従来装置100を装着する部材200(例えば、自動車のインナパネル)の表面」に沿うように曲げられる。このように、空気は、「風向調整板の角度に応じた方向(即ち、操作者が意図した方向)」とは異なる方向に流れる。即ち、従来装置には、操作者の意図した方向に空気を吹き出すことができない場合があるという問題がある。以下、空気流が物体の表面に沿って湾曲することを、便宜上、空気流が物体の表面に「付着する」とも表現する。
【0006】
本発明は、上記課題に対応するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、操作者が意図した方向に空気を確実に吹き出すことができる空気吹出装置を提供することにある。
【0007】
上記課題を達成するための本発明による空気吹出装置は、第1空気流路を形成する中空柱状部と、少なくとも1つの風向調整板と、その風向調整板をバイパスする第2空気流路を形成する通路部と、を備える。
【0008】
前記中空柱状部は第1空気流路を形成する。前記中空柱状部は、「その中空柱状部の後端(背面)に設けられた第1流入口」から流入した空気が第1空気流路を通過して「その中空柱状部の前端(前記背面に対向する前面)に設けられた第1吹出口」から吹き出されるように構成される。「中空柱状」は、例えば、中空の角柱状及び中空の円柱状等を含む。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「前端」側は第1空気流路を通過する空気が吹き出される側(下流側。前面側)を意味し、「後端」側は第1空気流路を通過する空気が流入する側(上流側。背面側)を意味する。
【0009】
前記風向調整板は、前記中空柱状部の内部において「前記中空柱状部の軸線に直交する回動軸線」周りに回動可能に支持される。この風向調整板は、前記第1吹出口から吹き出される空気の方向を調整するように機能する。
【0010】
本発明の空気吹出装置は、複数の風向調整板を備えていてもよく、単一の風向調整板を備えていてもよい。更に、後述するように、本発明の空気吹出装置が複数の風向調整板を備える場合、その複数の風向調整板は、その複数の風向調整板が連動して回動するように構成され得る。
【0011】
ところで、「第1空気流路内の少なくとも風向調整板周辺の所定の領域」における空気の圧力は、第1流入口から第1空気流路に流入した空気が第1吹出口から吹き出されている場合において、「風向調整板と中空柱状部の軸線とがなす角度θ(以下、「調整板回転角度θ」とも称呼する。)」に応じて変化する(角度θについて図8を参照。)。以下、空気の圧力を、単に「圧力」とも称呼する。
【0012】
より具体的に述べると、例えば、調整板回転角度θがゼロである場合(即ち、空気が中空柱状部の軸線に対して平行な方向に吹き出される例えば図10に示した場合)、第1流入口から第1空気流路に流入した空気は、風向調整板の影響を実質的に受けることなく風向調整板周辺を通過する。
【0013】
これに対し、例えば、調整板回転角度θがゼロではない所定角度である場合(即ち、空気が中空柱状部の軸線に対してその所定角度だけ傾斜した方向に吹き出される例えば図8に示した場合)、第1空気流路を通過した空気は、風向調整板により、その流れ方向をその所定角度だけ変化させられながら風向調整板周辺を通過する。
【0014】
このとき、空気の流れは風向調整板によって阻害される。即ち、空気の一部が風向調整板によって堰き止められた状態となる。従って、第1流入口から第1空気流路に流入した空気が第1吹出口から吹き出されている場合、調整板回転角度θがゼロではない所定角度であると、「第1空気流路内の少なくとも風向調整板周辺の所定の領域(以下、便宜上、「第1領域」と称呼する。)」において圧力は上昇する。更に、この第1領域の圧力は、調整板回転角度θが大きいほど上昇する。
【0015】
一方、第2空気流路を形成する前記通路部は、第2流入口と第2吹出口とを有する。即ち、第2流入口の開口面及び第2吹出口の開口面は、上記第2空気流路の一の端部及び他の一の端部にそれぞれ相当する。
【0016】
前記第2流入口は、上述した「第1領域(前記第1流入口から前記第1空気流路に流入した空気が前記第1吹出口から吹き出されている場合において、調整板回転角度が大きくなるにつれて圧力が上昇する第1空気流路内の所定領域)」内に開口している。そのため、第2流入口近傍の圧力は、調整板回転角度θが大きくなるにつれて上昇する。
【0017】
これに対し、前記第2吹出口は、「前記第1流入口から前記第1空気流路に流入した空気が前記第1吹出口から吹き出されている場合であっても、調整板回転角度の大きさに関わらず圧力が実質的に変化しない第2領域」内に開口している。この第2領域は、前記第1領域よりも前記第1吹出口に近い領域(即ち、第1領域よりも前端側の領域)内に存在する。
【0018】
このように第2流入口及び第2吹出口が配置されることにより、前記通路部は、「前記第1領域内の圧力の上昇に伴って前記第1領域と前記第2領域との間に発生する差圧」によって「前記第2流入口から前記第2空気流路に流入した空気を前記第2吹出口から吹き出す」ように構成されている。従って、第2通路部は、前記第2吹出口から吹き出される空気の量が、前記調整板回転角度がゼロであるとき実質的にゼロであり、前記調整板回転角度が大きくなるにつれて増大するように構成されている。
【0019】
更に、前記通路部は、図8に例示したように、「前記第2流出口から吹き出される空気の向きを有するベクトル(Vs2)が、前記中空柱状部の軸線(中空柱状部の中心軸線と平行な直線AL)と前記回動軸線(P)とを含む平面(即ち、第1平面PL1)と交差するベクトルであり、且つ、前記調整板回転角度θがゼロでないときに前記風向調整板によって形成される空気の向き(風向調整板と平行な向き)を有するベクトル(Vf)と鈍角(θL)をもって交差するベクトル、となる」ように構成されている。
【0020】
このように構成された空気吹出装置によれば、調整板回転角度θがゼロである場合(即ち、第1吹出口から吹き出された空気が空気吹出装置周辺の部材等に付着する虞がない場合)には、第2吹出口から吹き出される空気の量が実質的にゼロであるので、第1吹出口から吹き出される空気は第2吹出口から吹き出される空気の影響を実質的に受けない。従って、第1吹出口から吹き出される空気は、操作者が意図した方向へ流れる。なお、「第2吹出口から吹き出される空気の量が実質的にゼロである」とは、「第2吹出口から吹き出される空気の量が、ゼロであるか、又は、第1吹出口から吹き出される空気の流れ方向に影響を及ぼさない量である」ことを意味する。
【0021】
一方、調整板回転角度θが大きくなるにつれて(即ち、第1吹出口から吹き出された空気が空気吹出装置周辺の部材等に付着する可能性が大きくなるにつれて)、第2流入口近傍と第2吹出口近傍との間の差圧が増大するので、第2吹出口から吹き出される空気の量が増大する。更に、第2吹出口から吹き出される空気は、「第1吹出口から吹き出され且つその流れの向きがコアンダ効果によって空気吹出装置周辺の部材等の表面に沿うように曲げられようとする空気」の向きが、風向調整板によって形成される空気の向き(風向調整板と平行な向き)となるように是正する。即ち、第2吹出口から吹き出される空気により、第1吹出口から吹き出された空気が空気吹出装置周辺の部材等に付着することが防止される。従って、調整板回転角度θが大きい場合(即ち、第1吹出口から吹き出された空気が空気吹出装置周辺の部材等に付着する可能性が大きい場合)であっても、第1吹出口から吹き出される空気は、操作者が意図した方向へ流れる。
【0022】
このように、本発明の空気吹出装置は、調整板回転角度に関わらず、操作者が意図した方向に空気を確実に吹き出すことができる。
【0023】
上述した本発明の空気吹出装置の一の態様として、
空気吹出装置は、前記風向調整板を複数備えるように構成され得る。この場合、前記複数の風向調整板のそれぞれは、前記中空柱状部の軸線に直交するそれぞれの回動軸線周りにその複数の風向調整板が互いに平行となる関係を維持しながら回動し、且つ、「前記調整板回転角度がゼロであることを含む所定回転角度範囲」にて回動するように構成され得る。
【0024】
更に、この場合、前記第1領域は、前記調整板回転角度が「前記回転角度範囲内の最大角度」となった場合における「前記複数の風向調整板のうちのその前端部が前記第1吹出口に最も近い最前風向調整板」の前端部よりも前記第1流入口に近い領域内に存在している。更に、前記第2領域は、前記調整板回転角度が「前記回転角度範囲内の最大角度」となった場合におけるその最前風向調整板の前端部よりも前記第1吹出口に近い領域内に存在している。
【0025】
これによれば、複数の風向調整板によって形成される空気の流れを、調整板回転角度に関わらず、操作者が意図した方向に一致させることができる。
【0026】
更に、上記一の態様の空気吹出装置において、
前記空気吹出装置が実際に使用される際に取り付けられる部材にその空気吹出装置が取り付けられた状態において、
前記複数の風向調整板は、「前記空気吹出装置を前記第1平面(PL1)と直交し且つ前記中空柱状部の軸線(AL)を含む第2平面に沿って切断したその空気吹出装置の断面」において、その複数の風向調整板のそれぞれの前端部が「前記中空柱状部の下壁部に近い風向調整板ほど前記第1吹出口に近づく」ように配設され(例えば、図8の風向調整板41〜44を参照。)、
前記通路部は、前記第2吹出口が「前記複数の風向調整板のうち前記下壁部に最も近接して配置された風向調整板よりも下方に位置する」ように配設され得る(図8の風向調整板44と第2吹出口33とを参照。)。
【0027】
これによれば、複数の風向調整板のうちの特に下方に配設された風向調整板によって形成される空気の流れであってコアンダ効果の影響を受け易い空気の流れを、調整板回転角度に関わらず、操作者が意図した方向に一致させることができる。
【0028】
加えて、上記一の態様の空気吹出装置において、
前記調整板回転角度がゼロである場合において、前記第2流入口は「前記最前風向調整板の後端部よりも前記第1流入口に近い領域内」に開口し、且つ、前記第2吹出口は「前記最前風向調整板の前端部よりも前記第1吹出口に近い領域内」に開口するように構成し得る。
【0029】
更に、上述した「第2流入口」の一の態様として、
前記第2流入口は、「その第2流入口の開口面を前記中空柱状部の軸線に直交する第3平面(図8のPL3を参照。)上に投影した面積」が実質的にゼロであるように構成され得る。なお、この「第2流入口の開口面を第3平面上に投影した面積」は、「第2流入口を中空柱状部の軸線に対して平行な方向から見た場合における第2流入口の面積」に相当する。
【0030】
上述したように、第2空気流路の一の端部である第2流入口は、第1空気流路内の第1領域内に開口している。即ち、第1空気流路と第2空気流路とは、第2流入口を介して接続されている。この第2流入口が「その第2流入口の開口面を上記第3平面上に投影した面積(以下、「流れ方向開口面積」と称呼する。)がゼロではない」ように構成されていると、第2流入口近傍の圧力は、「第1空気流路を通過する空気の流速等に起因する「動圧」、及び、第1流入口から第1空気流路に供給される空気の量と第1吹出口から吹き出される空気の量との関係等に起因する「静圧」、の双方」の影響を受ける。これに対し、第2流入口が「その流れ方向開口面積がゼロである」ように構成されていると、第2流入口近傍の圧力は、第1空気流路を通過する空気の流れの影響を実質的に受けないので、上記「静圧のみ」の影響を受ける。
【0031】
一方、第2空気流路の他の一の端部である第2吹出口は、上述したように、調整板回転角度の大きさに関わらず圧力が実質的に変化しない第2領域内に開口している。換言すると、第2吹出口は、第1吹出口から吹き出される空気の流れの影響を実質的に受けない領域内に設けられている。従って、第2吹出口近傍の圧力は、第2吹出口が設けられている位置における「静圧のみ」の影響を受ける。
【0032】
従って、第2流入口が「その流れ方向開口面積がゼロではない」ように構成されていると、動圧の影響により、第2流入口近傍の圧力が非常に大きくなる可能性がある。そのため、調整板回転角度がゼロである場合(即ち、第1吹出口から中空柱状部の軸線に対して平行な方向に空気が吹き出される場合)であっても、第2流入口近傍の圧力が第2吹出口近傍の圧力よりも大きくなる可能性がある。このとき、調整板回転角度がゼロである(即ち、第1吹出口から吹き出された空気が空気吹出装置周辺の部材等に付着する虞がない)にも関わらず、第2吹出口から空気が吹き出される。その結果、第1吹出口から吹き出される空気が第2吹出口から吹き出される空気の影響を受け、第1吹出口から吹き出される空気が操作者が意図した方向とは異なる方向へ流れるという問題が発生する虞がある。
【0033】
一方、第2流入口が「その流れ方向開口面積がゼロである」ように構成されていれば、第2流入口近傍の圧力は静圧のみの影響を受けるので、上記問題が生じる可能性は小さい。従って、上述した操作者が意図した方向に空気を確実に吹き出すことができる空気吹出装置を提供することができる。
【0034】
更に、上述した「第2吹出口」の一の態様として、
前記第2吹出口は、「その第2吹出口の開口面を前記第3平面上に投影した面積」が実質的にゼロであるように構成され得る。
【0035】
第2吹出口がこのように構成されていれば、第2吹出口から吹き出される空気は、上記「中空柱状部の軸線と回動軸線とを含む第1平面と交差する方向」であって、コアンダ効果を回避する方向に吹き出される。これにより、上述したように、第1吹出口から吹き出された空気が空気吹出装置周辺の部材等に付着することが防止される。
【0036】
更に、上述した本発明の空気吹出装置の他の態様として、
前記空気吹出装置は、「前記第2流入口の近傍の領域であって、前記第2流入口よりも前記第1吹出口に近く且つ前記第2吹出口よりも前記第1流入口に近い領域に設けられ、且つ、その第2流入口の近傍の空気をその第2流入口に向けて案内する空気流案内部材」を備えるように構成し得る。
【0037】
上述したように、本発明の空気吹出装置においては、第2流入口近傍の圧力と第2吹出口近傍の圧力との差圧(特に、静圧の差)により、第2吹出口から空気が吹き出される。しかし、この差圧によっては第2吹出口から充分な流量の空気が吹き出されない場合もある。そこで、上記空気流案内部材を設けることにより、第2流入口に流入する空気の流量を増大することができる。その結果、第2吹出口から吹き出される空気の流量を増大することができる。これにより、第2吹出口から適切な量の空気を吹き出すことができる空気吹出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の空気吹出装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した空気吹出装置を1−1線に沿った平面にて切断したその空気吹出装置の断面図である。
【図3】図1に示した空気吹出装置に採用される通路部(ブッシュ)の分解斜視図である。
【図4】図3に示した通路部(ブッシュ)を構成する上側部材の斜視図である。
【図5】図1に示した空気吹出装置に採用される一の前方風向調整板を図1における上方向から見た側面図である。
【図6】図1に示した空気吹出装置に採用される一の後方風向調整板を図1における横方向から見た側面図である。
【図7】図1に示した空気吹出装置を2−2線に沿った平面にて切断したその空気吹出装置の断面図である。
【図8】本発明の空気吹出装置が空気流の方向を調整する様子を示す模式図である。
【図9】本発明の空気吹出装置において、前方風向調整板の回動に伴って空気の圧力が上昇する領域と空気の圧力が実質的に変化しない領域とを説明するための模式図である。
【図10】本発明の空気吹出装置が空気流の方向を調整する様子を示す模式図である。
【図11】本発明の空気吹出装置が空気流の量を調整する様子を示す模式図である。
【図12】本発明の空気吹出装置が空気流の量を調整する様子を示す模式図である。
【図13】本発明の空気吹出装置の他の実施形態における空気吹出装置前端部の部分拡大断面図である。
【図14】本発明の空気吹出装置の更に他の実施形態における空気吹出装置前端部の部分拡大断面図である。
【図15】本発明の空気吹出装置の更に他の実施形態における空気吹出装置前端部の部分拡大断面図である。
【図16】従来の空気吹出装置から吹き出された空気流がその空気吹出装置周辺の部材に付着する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の空気吹出装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
空気吹出ユニット10は、図1に示したように、第1空気吹出装置11と第2空気吹出装置12とを備えている。第1空気吹出装置11及び第2空気吹出装置12は、第1空気吹出装置11を構成する各部材と、第2空気吹出装置12を構成する各部材と、が所定の平面に対して互いに対称に配置されていること(面対称。左右対称)を除き、同様の構造を有している。そこで、以下、第1空気吹出装置11の構造についての説明を行い、第2空気吹出装置12の構造についての説明は省略する。以下、便宜上、第1空気吹出装置11を単に「空気吹出装置11」とも称呼する。
【0040】
この空気吹出ユニット10は、自動車の車室内に取り付けられる。具体的には、空気吹出ユニット10は、図1における上方向が車室内のインナパネルの上方向に一致し且つ図1における下方向がインナパネルの下方向に一致するように、そのインナパネルに取り付けられる。
【0041】
空気吹出装置11は、中空柱状部21、ブッシュ31、複数の前方風向調整板(第1〜第4前方風向調整板41〜44)、複数の後方風向調整板(第1〜第5後方風向調整板51〜55)、風向調整板操作ノブ61、ベゼル71、及び、空気流量調整ダイヤル81、を備えている。
【0042】
中空柱状部21は、図2に示したように、前端部20a(第1吹出口)と後端部20b(第1流入口)とが開放された、中空の略角柱状の形状を有している。中空柱状部21は、空気を通過させる空気流路22(第1空気流路)を形成している。これにより、後端部20bから流入した空気は、空気流路22を通過し、前端部20aから吹き出される(図1、図2及び図7の矢印Aを参照。)。中空柱状部21の前端部20aには、ブッシュ31を収容するための段差部が形成されている。
【0043】
ブッシュ31は、中空の箱状の形状を有している。より具体的に述べると、ブッシュ31は、図3に示したように、上側部材31aと下側部材31bとからなる。上側部材31aは、一の面(図中、下面)が開放された略直方体の箱状の形状を有している。上側部材31aは、その側面に係止溝31a1を備えている。この上側部材31aは、図4に示したように、その一の端部(以下、「第1端部」と称呼する。)に等間隔に配設された複数の空気流入口32(第2流入口)を備えている。更に、上側部材31aは、第1端部に対向する他の端部(以下、「第2端部」と称呼する。)に等間隔に配設された複数の空気吹出口33(第2吹出口)を備えている。
【0044】
更に、上側部材31aは、複数の空気流入口32のそれぞれの近傍の領域であって、その複数の空気流入口32のそれぞれよりも第2端部に近い領域に設けられた複数のリブ34を備えている。複数のリブ34のそれぞれは、略直方体状の形状を有している。更に、上側部材31aは、第1端部に等間隔に配設された複数の軸受孔35を備えている。この複数の軸受孔35と複数の空気流入口32とは、交互に位置するように配置されている。
【0045】
加えて、上側部材31aは、第1端部から第2端部に向かう方向における少なくとも一部の範囲において、その高さ方向(図中、上下方向)における厚さが、第2端部に近づくほど小さくなるように構成されている。即ち、この少なくとも一部の範囲において、上側部材31aの上面は、第1端部側から第2端部側に向けて上側部材31aの厚さが小さくなるように傾斜している。
【0046】
下側部材31bは、図3に示したように、一の面(図中、上面)が開放された略直方体の箱状の形状を有している。下側部材31bは、平面視において上側部材31aと略同一の長方形状を有している。下側部材31bは、その側面に係止爪31b1を備えている。
【0047】
上側部材31aと下側部材31bとは、上側部材31aの係止溝31a1に下側部材31bの係止爪31b1が係止されるように組み合わされる。このように構成されたブッシュ31は、その内部に、空気流入口32(第2流入口)及び空気吹出口33(第2吹出口)を除いて密閉された中空部を有する。この中空部を介して、複数の空気流入口32と、複数の空気吹出口33と、は連通している。更に、この中空部は、複数の空気流入口32(第2流入口)から複数の空気吹出口33(第2吹出口)へ向かう方向における少なくとも一部の範囲において、その方向に直交する平面によって中空部を切断した場合における中空部の断面積が、複数の空気吹出口33(第2吹出口)に近づくほど小さくなるように構成されている。
【0048】
上記構成を備えたブッシュ31は、図2に示すように、中空柱状部21の下壁部の前端部20a近傍に形成された段差部に、上側部材31aの上面が中空柱状部21の内部に露呈するように配設されている。このように配設されたブッシュ31の内部の中空部は、空気を通過させる空気流路36(第2空気流路)を形成している。即ち、空気流入口32がこの空気流路36の一の端部に相当し、空気吹出口33がこの空気流路36の他の端部に相当する。
【0049】
複数の前方風向調整板(第1前方風向調整板41、第2前方風向調整板42、第3前方風向調整板43、及び、第4前方風向調整板44)のそれぞれは、平面視における形状が略長方形の板体である。この複数の前方風向調整板は、図2に示したように、中空柱状部21の内部であってその中空柱状部21の前端部20aの近傍に設けられている。この複数の前方風向調整板は、複数の前方風向調整板のそれぞれの前端部(中空柱状部21の前端部21aに近い側の端部)が中空柱状部21の下壁部に近い前方風向調整板ほど、中空柱状部21の前端部21a(第1吹出口)に近づくように配設されている。従って、第4前方風向調整板44の前端部(図9に示す端部44cも参照。)が、中空柱状部21の前端部21a(第1吹出口)に最も接近している。
【0050】
第1前方風向調整板41は、図5に示したように、その第1前方風向調整板41の長手方向の両端部に形成された一対の回動軸部41aを備えている。この一対の回動軸部41aのそれぞれは、第1前方風向調整板41の長手方向外側に向けて突出している。
【0051】
一対の回動軸部41aの一方は、中空柱状部21の上壁部及び下壁部に略垂直な側壁部の一つ(第1側壁部)に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。更に、一対の回動軸部41aの他方は、上記第1側壁部に対向する側壁部(第2側壁部)に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。このとき、一対の回動軸部41aによって形成される軸線(以下、単に「回動軸線」とも称呼する。)は、中空柱状部21の軸線に直交している。これにより、第1前方風向調整板41は、中空柱状部21内において、その回動軸線周りに回動可能となるように中空柱状部21に支持されている(例えば、第3前方風向調整板43が中空柱状部21内に支持される様子が示されている図7を参照。)。更に、第1前方風向調整板41の回動軸線は、中空柱状部21の上壁部及び下壁部と略平行となっている。
【0052】
同様に、第2前方風向調整板42は、一対の回動軸部42aにより、中空柱状部21内において、その一対の回動軸部42aによって形成される中空柱状部21の軸線に直交する回動軸線周りに回動可能となるように中空柱状部21に支持されている。更に、第3前方風向調整板43は、一対の回動軸部43aにより、中空柱状部21内において、その一対の回動軸部43aによって形成される中空柱状部21の軸線に直交する回動軸線周りに回動可能となるように中空柱状部21に支持されている。加えて、第4前方風向調整板44は、一対の回動軸部44aにより、中空柱状部21内において、その一対の回動軸部44aによって形成される中空柱状部21の軸線に直交する回動軸線周りに回動可能となるように中空柱状部21に支持されている。更に、第2前方風向調整板42の回動軸線、第3前方風向調整板43の回動軸線、及び、第4前方風向調整板44の回動軸線は、中空柱状部21の上壁部及び下壁部と略平行となっている。換言すると、第1前方風向調整板41、第2前方風向調整板42、第3前方風向調整板43、及び、第4前方風向調整板44は、互いに平行な回動軸線周りに回動するようになっている。
【0053】
更に、第1前方風向調整板41は、図5に示したように、その第1前方風向調整板41の長手方向の一の端部であって回動軸部41aから短手方向において離れた位置に形成された連結軸部41bを備えている。連結軸部41bは、第1前方風向調整板41の長手方向外側に向けて突出している。連結軸部41bは、図2に示したように、第1連結部材45に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている(例えば、第3前方風向調整板43の連結軸部43bが第1連結部材45の軸受孔に挿入されている様子が示されている図7を参照。)。
【0054】
同様に、第2前方風向調整板42に備えられた連結軸部42bは、第1連結部材45に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。更に、第3前方風向調整板43に備えられた連結軸部43bは、第1連結部材45に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。加えて、第4前方風向調整板44に備えられた連結軸部44bは、第1連結部材45に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。このとき、複数の前方風向調整板は互いに平行となっている。
【0055】
これにより、複数の前方風向調整板(41〜44)のそれぞれは、それぞれの回動軸線周りに、その複数の前方風向調整板のそれぞれが互いに平行となる関係を維持しながら連動して回動可能となっている。複数の前方風向調整板のそれぞれと中空柱状部21の軸線とがなす角度θは「調整板回転角度θ(図8を参照。)」と称呼される。調整板回転角度θは、複数の前方風向調整板のそれぞれの前端部が後端部よりも中空柱状部21の下壁部に近づくように傾斜したときに正の値となり、複数の前方風向調整板のそれぞれの前端部が後端部よりも中空柱状部21の上壁部に近づくように傾斜したときに負の値となるように定義される。複数の前方風向調整板は、調整板回転角度θが負の第1角度θ1となったときに図示しないストッパによってその回動が規制され、調整板回転角度θが正の第2角度θ2となったときに図示しない別のストッパによってその回動が規制されるようになっている。即ち、複数の前方風向調整板は、「調整板回転角度θがゼロであること(図10に示す状態)を含む所定の回転角度範囲内」においてのみ回動するようになっている。
【0056】
複数の後方風向調整板(第1後方風向調整板51、第2後方風向調整板52、第3後方風向調整板53、第4後方風向調整板54、及び、第5後方風向調整板55)のそれぞれは、平面視における形状が略長方形の板体である。
【0057】
第1後方風向調整板51は、図6に示したように、その第1後方風向調整板51の長手方向の両端部に形成された一対の回動軸部51aを備えている。この一対の回動軸部51aのそれぞれは、第1後方風向調整板51の長手方向外側に向けて突出している。
【0058】
一対の回動軸部51aの一方は、中空柱状部21の上壁部に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。更に、一対の回動軸部41aの他方は、中空柱状部21の下壁部に配設されたブッシュ31に設けられた軸受孔35(図4も参照。)に挿入されている。これにより、第1後方風向調整板51は、図7に示すように、中空柱状部21の内部であって上記複数の前方風向調整板よりも後端側において、一対の回動軸部51aによって形成される回動軸線周りに回動可能となるように支持されている(例えば、第3後方風向調整板43が中空柱状部21内に支持される様子が示されている図2を参照。)。更に、第1後方風向調整板51の回動軸線は、中空柱状部21の側壁面と略平行となっている。
【0059】
同様に、第2後方風向調整板52は、一対の回動軸部52aにより、中空柱状部21内において、その一対の回動軸部52aによって形成される回動軸線周りに回動可能となるように支持されている。更に、第3後方風向調整板53は、一対の回動軸部53aにより、中空柱状部21内において、その一対の回動軸部53aによって形成される回動軸線周りに回動可能となるように支持されている。加えて、第4後方風向調整板54は、一対の回動軸部54aにより、中空柱状部21内において、その一対の回動軸部54aによって形成される回動軸線周りに回動可能となるように支持されている。更に、第5後方風向調整板55は、一対の回動軸部55aにより、中空柱状部21内において、その一対の回動軸部55aによって形成される回動軸線周りに回動可能となるように支持されている。更に、第2後方風向調整板52の回動軸線、第3後方風向調整板53の回動軸線、第4後方風向調整板54の回動軸線、及び、第5後方風向調整板55の回動軸線は、中空柱状部21の側壁部に略平行となっている。換言すると、第1後方風向調整板51、第2後方風向調整板52、第3後方風向調整板53、第4後方風向調整板54、及び、第5後方風向調整板55は、互いに平行な回動軸線周りに回動するようになっている。
【0060】
更に、第1後方風向調整板51は、図6に示したように、その第1後方風向調整板51の長手方向の一の端部であって回動軸部51aから短手方向において離れた位置に形成された連結軸部51bを備えている。連結軸部51bは、第1後方風向調整板51の長手方向外側に向けて突出している。連結軸部51bは、図7に示したように、第2連結部材56に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている(例えば、第3後方風向調整板53の連結軸部53bが第2連結部材56の軸受孔に挿入されている様子が示されている図2を参照。)。
【0061】
同様に、第2後方風向調整板52に備えられた連結軸部52bは、第2連結部材56に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。更に、第3後方風向調整板53に備えられた連結軸部53bは、第2連結部材56に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。加えて、第4後方風向調整板54に備えられた連結軸部54bは、第2連結部材56に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。更に、第5後方風向調整板55に備えられた連結軸部55bは、第2連結部材56に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。このとき、複数の後方風向調整板は互いに平行となっている。
【0062】
これにより、複数の後方風向調整板(51〜55)のそれぞれは、それぞれの回動軸線周りに、その複数の後方風向調整板のそれぞれが互いに平行となる関係を維持しながら連動して回動可能となっている。
【0063】
更に、第3後方風向調整板53は、図7に示したように、その前端側の端部に、複数の歯部からなる扇状歯車57を備えている。第3後方風向調整板53と扇状歯車57とは、一体的に形成されている。扇状歯車57を構成する複数の歯部のそれぞれは、第3後方風向調整板53の回動軸線(一対の回動軸部53aによって形成される軸線)から離れる方向に突出している。即ち、扇状歯車57の回転軸は、第3後方風向調整板53の回動軸線に一致している。加えて、図2に示したように、扇状歯車57は、第3後方風向調整板53の回動軸線に対して平行な方向において所定の厚さを有している。
【0064】
風向調整板操作ノブ61は、図7に示したように、略長方形板状の形状を有している。風向調整板操作ノブ61は、その長手方向における一の端面61aに形成された開口部から、その一の端面に対向する長手方向における他の端面61bに形成された開口部まで、が連通された中空部を備えている。風向調整板操作ノブ61は、この中空部に第3前方風向調整板43が挿入されるように、第3前方風向調整板43に装着(外嵌)されている(風向調整板操作ノブ61が装着された第3前方風向調整板43の断面図が示されている図2も参照。)。風向調整板操作ノブ61の長手方向における長さは、第3前方風向調整板43の長手方向における長さよりも短い。これにより、風向調整板操作ノブ61は、第3前方風向調整板43の長手方向に平行な方向に摺動可能となっている。
【0065】
更に、風向調整板操作ノブ61は、その後端側の端部に形成された複数の歯部62を備えている。この複数の歯部62のそれぞれは、空気吹出装置11の後端側に向けて突出している。更に、この複数の歯部62は、第3後方風向調整板53に設けられた扇状歯車57と係合している。
【0066】
ベゼル71は、図1に示したように、略長方形の枠状の形状を有する。ベゼル71は、中空柱状部21の前端部21aに固定されている。
【0067】
空気流量調整ダイヤル81は、図1に示したように、円盤状の形状を有する。空気流量調整ダイヤル81は、リンク部材(図示省略。)を介して中空柱状部21の内部に設けられた流量調整弁91と連結されている。この流量調整弁91は、図7に示したように、略長方形板状の形状を有している。流量調整弁91は、その流量調整弁91の長手方向の両端部に形成された一対の回動軸部91aを備えている。この一対の回動軸部91aのそれぞれは、流量調整弁91の長手方向外側に向けて突出している。一対の回動軸部91aのそれぞれは、中空柱状部21の側壁部に設けられた軸受孔(図示省略。)に挿入されている。即ち、流量調整弁91は、中空柱状部21内において、一対の回動軸91aによって形成される回動軸線周りに回動可能となるように支持されている(例えば、流量調整弁91が中空柱状部21内に支持される様子が示されている図2を参照。)。これにより、空気流量調整ダイヤル81を回動させると、空気流量調整ダイヤル81の回動がリンク部材を介して流量調整弁91に伝達され、流量調整弁91がその回動軸線周りに回動するようになっている。
【0068】
更に、流量調整弁91は、その流量調整弁91の周囲を囲むように設けられた弾性部材92を備えている。弾性部材92を含む流量調整弁91の正面視における形状(例えば、図2における上方向から見た側面図)は、中空柱状部21内の空気流路22を中空柱状部21の軸線に対して垂直な平面にて切断したその空気流路22の形状と略同一となっている。
【0069】
以上のように構成された空気吹出装置11において、図2に示すように、ブッシュ31の空気流入口32(第2流入口)は、調整板回転角度θがゼロである場合、第4前方風向調整板44の後端部よりも中空柱状部21の後端部21b(第1流入口)に近い領域内に開口している。更に、ブッシュ31の空気吹出口33(第2吹出口)は、調整板回転角度θがゼロである場合、第4前方風向調整板44の前端部よりも中空柱状部21の前端部21a(第1吹出口)に近い領域内に開口している。このように、ブッシュ31によって形成される空気流路36(第2空気流路)は、複数の前方風向調整板(31〜34)をバイパスしている。
【0070】
更に、空気流入口32(第2流入口)の開口面を中空柱状部21の軸線に直交する平面(図8に示した第3平面PL3を参照。)上に投影した面積は、実質的にゼロとなっている。加えて、空気吹出口33(第2吹出口)は、複数の前方風向調整板(31〜34)のうち中空柱状部21の下壁面に最も近接して配置された前方風向調整板(第4前方風向調整板44)よりも下方に位置している。
【0071】
更に、複数のリブ34は、空気流入口32(第2流入口)の近傍の領域であって、空気流入口32(第2流入口)よりも中空柱状部21の前端部21a(第1吹出口)に近く、且つ、空気吹出口33(第2吹出口)よりも中空柱状部21の後端部21b(第1流入口)に近い領域に位置している。
【0072】
空気吹出装置11は、自動車の車室内に設けられ、次のように作動する。
【0073】
風向調整板操作ノブ61が操作されることにより、空気吹出装置11から吹き出される空気の流れ方向が調整される。より具体的に述べると、操作者が風向調整板操作ノブ61を図1における左右方向に操作すると、風向調整板操作ノブ61に設けられた複数の歯部62により、第3後方風向調整板53に設けられた扇状歯車57がその回転軸(即ち、第3後方風向調整板53の回動軸線)周りに回動させられる。これにより、第3後方風向調整板53は、その回動軸線周りに回動する。
【0074】
このとき、第3後方風向調整板53と、その他の後方風向調整板(第1後方風向調整板51、第2後方風向調整板52、第4後方風向調整板54、及び、第5後方風向調整板55)と、は第2連結部材56によって連結されているので、その他の後方風向調整板もそれぞれの回動軸線周りに連動して回動する。その結果、空気吹出装置11から吹き出される空気の流れ方向は、図1における左右方向に変化する。
【0075】
更に、風向調整板操作ノブ61が図1における上下方向に操作されると、第3前方風向調整板43は、その回動軸線周りに回動する。このとき、第3前方風向調整板43と、その他の前方風向調整板(第1前方風向調整板41、第2前方風向調整板42、及び、第4前方風向調整板44)と、は第1連結部材45によって連結されているので、その他の前方風向調整板もそれぞれの回動軸線周りに回動する。即ち、複数の前方風向調整板(41〜44)は、それぞれの回動軸線周りに連動して回動する。その結果、空気吹出装置11から吹き出される空気の流れ方向は、図1における上下方向に変化する。
【0076】
図8に模式図によって示したように、複数の前方風向調整板(41〜44)の調整板回転角度θがゼロではない所定角度(図中、第3前方風向調整板42と中空柱状部21の軸線ALとのなす角度を例示。)である場合、空気流路22を通過した空気は、図中白抜き矢印によって示したように中空柱状部21の軸線ALに対して所定角度だけ傾斜した方向に吹き出される。即ち、空気流路22を通過した空気は、複数の前方風向調整板により、その流れ方向を所定角度だけ傾斜した方向へ変化させられながら複数の前方風向調整板の周辺を通過する。このとき、空気の流れは複数の前方風向調整板によって阻害され、空気の一部がその複数の前方風向調整板によって堰き止められた状態となる。
【0077】
従って、空気吹出装置21の後端部21b(第1流入口)から空気流路22に流入した空気が空気吹出装置21の前端部21a(第1吹出口)から吹き出されている場合において、前方風向調整板の調整板回転角度θがゼロでなければ、「空気流路22内の少なくとも複数の前方風向調整板の周辺の領域(第1領域)」において、空気の圧力が上昇する。更に、調整板回転角度θが大きいほど、空気流路22を通過した空気が複数の前方風向調整板によってより強く阻害されるので、この第1領域の圧力は上昇する。
【0078】
第1領域についてより具体的に述べると、この第1領域は、図9に示したように、空気流路22内の領域であって、調整板回転角度θが上述した回転角度範囲内の最大角度θmax(=第2角度θ2)となった場合における、「複数の前方風向調整板(41〜44)のうちのその前端部が中空柱状部21の前端部21a(第1吹出口)に最も近い前方風向調整板(第4前方風向調整板44)」の前端部44cよりも中空柱状部21の後端側21b(第1流入口)に近い領域AR1内、に存在する。
【0079】
ところで、ブッシュ31の空気流入口32は、上述したように、「調整板回転角度θがゼロである場合における第4前方風向調整板44の後端部よりも、中空柱状部21の後端部21b(第1流入口)に近い領域内」に開口するように構成されている。そのため、空気流入口32は、上記領域AR1内に開口している。従って、本構成により、空気流入口32を上記第1領域内に開口させ得る。
【0080】
一方、第1領域よりも中空柱状部21の前端部21a(第1吹出口)に近い領域の中には、調整板回転角度θの大きさに関わらず圧力が実質的に存在しない領域(第2領域)が存在する。より具体的に述べると、この第2領域は、図9に示したように、調整板回転角度θが回転角度範囲内の最大角度θmaxとなった場合における上記最前風向調整板(第4前方風向調整板44)の前端部44cよりも中空柱状部21の前端側21a(第1吹出口)に近い領域AR2内、に存在する。
【0081】
ところで、ブッシュ31の空気吹出口33は、上述したように、「第4前方風向調整板44よりも下方であって、調整板回転角度θがゼロである場合における第4前方風向調整板44の前端部よりも、中空柱状部21の前端部21a(第1吹出口)に近い領域内」に開口するように構成されている。そのため、空気吹出口33は、上記領域AR2内に開口している。従って、本構成により、空気吹出口33を上記第2領域内に開口させ得る。
【0082】
再び図1を参照し、風向調整板操作ノブ61が図1における上下方向に操作されるとき、複数の前方風向調整板は、上述したように、「調整板回転角度θがゼロであることを含む所定の回転角度範囲内」において回動する。
【0083】
図10に模式図によって示したように「調整板回転角度θがゼロである」とき、空気は、図中白抜き矢印によって示したように中空柱状部21の軸線ALに対して平行な方向に吹き出される。このとき、空気流路22を通過した空気は、複数の前方風向調整板(41〜44)の影響を実質的に受けることなく、その複数の前方風向調整板の周辺を通過する。そのため、空気吹出装置21の後端部21b(第1流入口)から空気流路22に流入した空気が空気吹出装置21の前端部21a(第1吹出口)から吹き出されている場合であっても、上記第1領域内の圧力は上昇しない。従って、空気流入口32が第1領域内に開口しており且つ空気吹出口33が第2領域内に開口していれば、「空気流入口32近傍の圧力」と「空気吹出口33近傍の圧力」とは実質的に同一となる。即ち、空気流入口32近傍の圧力と、空気吹出口33近傍の圧力と、の間に実質的な差(差圧)は生じない。
【0084】
従って、この場合、空気がブッシュ31に実質的に流入しないので、空気吹出口33から空気は実質的に吹き出さない。その結果、空気吹出装置11から吹き出された空気は、空気吹出口33から吹き出す空気の影響を受けないので、図中破線の矢印によって示した「前方風向調整板の角度に応じた方向(即ち、操作者が意図した方向)」へ流れる。
【0085】
これに対し、図8に示したように「調整板回転角度θがゼロでない」とき、空気吹出装置21の後端部21b(第1流入口)から空気流路22に流入した空気が空気吹出装置21の前端部21a(第1吹出口)から吹き出されている場合、上述したように上記第1領域の圧力は上昇する。従って、空気流入口32が第1領域内に開口しており且つ空気吹出口33が第2領域内に開口していれば、「空気流入口32近傍の圧力」は調整板回転角度θがゼロであるときのその圧力よりも大きくなり、「空気吹出口33近傍の圧力」は調整板回転角度θがゼロであるときのその圧力に維持される。即ち、「空気流入口32近傍の圧力」は「空気吹出口33近傍の圧力」よりも大きくなる(差圧が生じる)。この差圧により、図8において矢印S1にて示したように、空気流入口32周辺の空気が空気流入口32に流入する。
【0086】
このとき、リブ34は、そのリブ34周辺の空気を堰き止めるとともに、空気を空気流入口32に向けて案内している。これにより、空気流入口32に流入する空気の量が増大されている。
【0087】
空気流入口32に流入した空気は、図8において矢印S2にて示したように、空気吹出口33から吹き出される。このとき、空気吹出口33から吹き出される空気の向きを有するベクトルVs2が、中空柱状部21の軸線ALと回動軸線Pとを含む第1平面PL1と交差するとともに、複数の前方風向調整板(41〜44)によって形成される空気の向きを有するベクトルVfと鈍角θLをもって交差するようになっている。
【0088】
更に、上述したように、ブッシュ31の中空部(空気流路36)は、空気流入口32(第2流入口)から空気吹出口33(第2吹出口)へ向かう方向における少なくとも一部の範囲において、その方向に直交する平面にて中空部(空気流路36)を切断した場合における中空部(空気流路36)の断面積が、空気吹出口33(第2吹出口)に近づくほど小さくなるように構成されている。そのため、空気流入口32に流入した空気の流速は、空気吹出口33に近づくにつれて大きくなる。これにより、空気吹出口33から吹き出される空気の流速が増大される。
【0089】
この空気吹出口33から吹き出される空気S2により、中空柱状部21の前端側21a(第1吹出口)から吹き出された空気の流れの向きがコアンダ効果によって空気吹出装置周辺の部材200等に付着することが防止される。その結果、空気吹出装置11から吹き出された空気は、図中破線の矢印によって示した「複数の前方風向調整板の角度に応じた方向(即ち、操作者が意図した方向)」へ流れる。
【0090】
調整板回転角度θが大きいほど、第1領域の圧力は上昇するので、空気流入口32に流入する空気の量は増大する。その結果、空気吹出口33から吹き出される空気の量は増大する。即ち、空気吹出口33(第2吹出口)から吹き出される空気の量は、調整板回転角度θがゼロであるとき実質的にゼロであり、調整板回転角度θが大きくなるにつれて増大する。
【0091】
更に、空気流量調整ダイヤル81を図1における下方向に向けて回動させると、流量調整弁91は図11に模式図によって示したように空気流路22の流路面積を小さくするように回動する。一方、空気流量調整ダイヤル81を図1における上方向に向けて回動させると、流量調整弁91は図12に模式図によって示したように空気流路22の流路面積を大きくするように回動する。即ち、空気流量調整ダイヤル81を回動させることにより、空気吹出装置11から吹き出される空気の量を調整することができる。
【0092】
このように、空気吹出装置11は、空気吹出装置11から吹き出される空気の量及び吹き出し方向を調整することができる。更に、空気吹出装置11は、操作者が意図した方向へ確実に空気を吹き出すことができる。
【0093】
以上、説明したように、本発明の空気吹出装置11は、
第1空気流路22を形成する中空柱状部21であって同中空柱状部21の後端21bに設けられた第1流入口から流入した空気が同第1空気流路22を通過して同中空柱状部21の前端21aに設けられた第1吹出口から吹き出される中空柱状部21と、
前記中空柱状部21の内部において前記中空柱状部21の軸線ALに直交する回動軸線P周りに回動可能に支持される風向調整板であって前記第1吹出口から吹き出される空気の方向を調整する少なくとも1つの風向調整板(本例においては、複数の前方風向調整板41〜44)と、
を備える。
【0094】
この空気吹出装置11は、
第2流入口32及び第2吹出口33を有するとともに前記風向調整板(41〜44)をバイパスする第2空気流路36を形成する通路部(ブッシュ31)を備える。
【0095】
前記通路部31は、
前記第1流入口から前記第1空気流路22に流入した空気が前記第1吹出口から吹き出されている場合(例えば、図8及び図10に示す場合)において、
(A)前記第2流入口32が、前記第1空気流路22内の第1領域であって前記風向調整板(41〜44)と前記中空柱状部21の軸線ALとがなす調整板回転角度θが大きくなるにつれて圧力が上昇する第1領域内に開口し、
(B)前記第2吹出口33が、前記調整板回転角度θの大きさに関わらず圧力が実質的に変化しない第2領域であって前記第1領域よりも前記第1吹出口に近い第2領域内に開口し、
(C)前記第1領域内の圧力の上昇に伴って前記第1領域と前記第2領域との間に発生する差圧によって前記第2流入口32から前記第2空気流路36に流入した空気S1を前記第2吹出口33から吹き出し、
(D)前記第2吹出口33から吹き出される空気S2の向きを有するベクトルVs2が、前記中空柱状部21の軸線ALと前記回動軸線Pとを含む第1平面PL1と交差するとともに、前記調整板回転角度θがゼロでないときに前記風向調整板(41〜44)によって形成される空気の向きを有するベクトルVfと鈍角θLをもって交差し、
(E)前記第2吹出口33から吹き出される空気S2の量が、前記調整板回転角度θがゼロであるとき実質的にゼロであり、前記調整板回転角度θが大きくなるにつれて増大する、
ように構成されている。
【0096】
これにより、第1吹出口から吹き出された空気が空気吹出装置周辺の部材200等に付着することが防止されるので、本発明の空気吹出装置11は、風向調整板(41〜44)の傾斜角度θに関わらず、操作者が意図した方向に空気を確実に吹き出すことができる。
【0097】
更に、本発明の空気吹出装置11においては、風向調整板(41〜44)の調整板回転角度θに応じて第2吹出口33から吹き出される空気の量が変化する。従って、「第2吹出口33からの空気の吹き出しを許可するか又は禁止するかを切り替える部材」を別途設ける必要がない。加えて、本発明の空気吹出装置11においては、第2吹出口33から吹き出される空気により、空気吹出装置11周辺の部材等に空気流が付着することが防止される。従って、空気吹出装置11の空気吹出口等に「空気流の付着を防ぐ部材(突起等)」を別途設ける必要がない。その結果、空気吹出装置の製造コストを低減することができる。更に、空気吹出装置の構造(内部構造及び外観)の自由度を高めることができる。
【0098】
より具体的に述べると、本発明の空気吹出装置11は、
前記風向調整板を複数備えている(前方風向調整板41〜44)。
【0099】
前記複数の風向調整板(41〜44)のそれぞれは、
前記中空柱状部21の軸線ALに直交するそれぞれの回動軸線P周りに同複数の風向調整板(41〜44)が互いに平行となる関係を維持しながら回動し、且つ、前記調整板回転角度θがゼロであること(図10を参照。)を含む所定回転角度範囲にて回動するように構成されている。
【0100】
前記第1領域は、
前記調整板回転角度θが前記回転角度範囲内の最大角度θmaxとなったときに前記複数の風向調整板(41〜44)のうちのその前端部が前記第1吹出口(中空柱状部21の前端部21a)に最も近い最前風向調整板(第4前方風向調整板44)の同前端部44cよりも前記第1流入口(中空柱状部21の後端部21b)に近い領域内に存在し、
前記第2領域は、
前記調整板回転角度θが前記回転角度範囲内の最大角度θmaxとなったときに前記最前風向調整板44の前端部よりも前記第1吹出口21aに近い領域内に存在している。
【0101】
更に、前記空気吹出装置11が実際に使用される際に取り付けられる部材にその空気吹出装置11が取り付けられた状態(図8及び図10を参照。)において、
前記複数の風向調整板(41〜44)は、前記空気吹出装置11を前記第1平面PL1と直交し且つ前記中空柱状部21の軸線ALを含む第2平面PL2に沿って切断したその空気吹出装置11の断面において、その複数の風向調整板(41〜44)のそれぞれの前端部が、前記中空柱状部21の下壁部に近い風向調整板ほど前記第1吹出口21aに近づくように配設され、
前記通路部31は、前記第2吹出口33が前記複数の風向調整板(41〜44)のうち前記下壁部に最も近接して配置された風向調整板44よりも下方に位置するように配設されている。
【0102】
加えて、前記調整板回転角度θがゼロである場合において、前記第2流入口32は前記最前風向調整板44の後端部よりも前記第1流入口21bに近い領域内に開口し、且つ、前記第2吹出口33は前記最前風向調整板44の前端部よりも前記第1吹出口21aに近い領域内に開口している。
【0103】
更に、前記第2流入口32は、前記最前風向調整板44の後端部よりも前記第1流入口21bに近い領域であって、前記調整板回転角度θが前記回転角度範囲内の最大角度θmaxとなった場合における前記複数の風向調整板(41〜44)のうちのその前端部が前記第1吹出口から最も遠い最後風向調整板(第1前方風向調整板41)の後端部よりも前記第1吹出口21aに近い領域、に開口することがより好適である。
【0104】
更に、前記第2流入口32は、同第2流入口32の開口面を前記中空柱状部21の軸線ALに直交する第3平面PL3上に投影した面積が実質的にゼロであるように構成されている。
【0105】
更に、本発明の空気吹出装置11は、
前記第2流入口32の近傍の領域であって、前記第2流入口32よりも前記第1吹出口21aに近く且つ前記第2吹出口33よりも前記第1流入口21bに近い領域、に設けられ、且つ、同第2流入口32の近傍の空気を同第2流入口32に向けて案内する空気流案内部材(リブ34)を備えている。
【0106】
第2流入口32の数、第2流入口32のそれぞれの開口面積の大きさ、一の第2流入口32とその一の第2流入口32に隣接する第2流入口32との間隔の大きさ、第2吹出口33の数、第2吹出口33のそれぞれの開口面積の大きさ、一の第2吹出口33とその一の第2吹出口33に隣接する第2吹出口33との間隔の大きさ、第2吹出口33の開口面と中空柱状部21の軸線とがなす角度の大きさ、通路部33の断面形状、及び、空気流案内部材34の形状等のうちの一又は複数を調整することにより、「第2吹出口33から吹き出される空気が第1吹出口21aから吹き出される空気の流れ方向に実質的な影響を与える」こととなる調整板回転角度θ(以下、「閾値回転角度θth」とも称呼する。)を変更し得る。
【0107】
そこで、この閾値回転角度θthと「空気吹出装置11から吹き出される空気が空気吹出装置11周辺の部材200等に付着する可能性が所定程度以上である調整板回転角度θ」とを一致させることにより、「空気吹出装置11から吹き出される空気が第2吹出口33から吹き出される空気の影響を受けない調整板回転角度θの範囲」を最大にしながら、空気吹出装置11から吹き出される空気が空気吹出装置11周辺の部材200等に付着することを防止することができる。
【0108】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0109】
例えば、上述した実施形態においては、通路部31は、予め個別に準備された2つの部材(上側部材31a及び下側部材31b)を組み合わせることによって製造されている。しかし、通路部31は、例えば、上側部材31a及び下側部材31bを一体的に成型(例えば、射出成型)することによって製造されてもよい。更に、通路部31は、例えば、図13に示したように、上側部材31aのみを予め準備するとともに、その上側部材31aを中空柱状部21の内壁面上に直接固定することによって構成されてもよい。
【0110】
加えて、上述した実施形態においては、通路部31は、その流入口(第2流入口)32の開口面を中空柱状部21の軸線に対して垂直な平面上に投影した面積が実質的にゼロであるように構成されている。しかし、通路部31は、「第2吹出口33から吹き出される空気Sの量が、調整板回転角度θがゼロであるとき実質的にゼロであり、調整板回転角度θが大きくなるにつれて増大する」ように構成されていればよい。そこで、通路部31は、例えば、図14に示したように、第2流入口32が中空柱状部21の前端側に向けて開口するように構成されてもよい。更に、通路部31は、例えば、図15に示したように、第2流入口32が中空柱状部21の後端側に向けて開口するとともに、第2流入口32近傍の圧力が動圧の影響を受けることを防ぐ遮断壁37を第2流入口32よりも後端側に備えるように構成されてもよい。
【0111】
更に、第2吹出口33は、その第2吹出口33から吹き出される空気の向きを有するベクトルVs2が、上記第1平面PL1と交差するとともに、調整板回転角度θがゼロでないときに風向調整板によって形成される空気の向きを有するベクトルVfと鈍角をもって交差するように構成されればよい。そこで、例えば、第2吹出口33は、その第2吹出口33の開口面を前記中空柱状部21の軸線ALに対して垂直な平面PL3上に投影した面積が実質的にゼロであるように構成し得る。
【0112】
更に、上述した実施形態においては、空気吹出装置11を含む空気吹出ユニット10は自動車の車室内(インナパネル)に取り付けられている。しかし、本発明の空気吹出装置が取り付けられる部材は、自動車の車室内の部材には限られない。本発明の空気吹出装置は、空気吹出装置から空気を操作者の意図した方向に確実に吹き出すことが望まれる種々の部材に取り付け得る。
【符号の説明】
【0113】
10・・・空気吹出ユニット、11,12・・・空気吹出装置、21・・・中空柱状部、22・・・第1空気流路、31・・・ブッシュ、31a・・・上側部材、31b・・・下側部材、32・・・空気流入口、33・・・空気吹出口、34・・・リブ、36・・・第2空気流路、41,42,43,44・・・前方風向調整板、51,52,53,54,55・・・後方風向調整板、61・・・風向調整板操作ノブ、71・・・ベゼル、81・・・空気流量調整ダイヤル、91・・・流量調整弁




【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空気流路を形成する中空柱状部であって同中空柱状部の後端に設けられた第1流入口から流入した空気が同第1空気流路を通過して同中空柱状部の前端に設けられた第1吹出口から吹き出される中空柱状部と、
前記中空柱状部の内部において前記中空柱状部の軸線に直交する回動軸線周りに回動可能に支持される風向調整板であって前記第1吹出口から吹き出される空気の方向を調整する少なくとも1つの風向調整板と、
を備えた空気吹出装置であって、
第2流入口及び第2吹出口を有するとともに前記風向調整板をバイパスする第2空気流路を形成する通路部を備え、
前記通路部は、
前記第1流入口から前記第1空気流路に流入した空気が前記第1吹出口から吹き出されている場合において、
前記第2流入口が、前記第1空気流路内の第1領域であって前記風向調整板と前記中空柱状部の軸線とがなす調整板回転角度が大きくなるにつれて圧力が上昇する第1領域内に開口し、
前記第2吹出口が、前記調整板回転角度の大きさに関わらず圧力が実質的に変化しない第2領域であって前記第1領域よりも前記第1吹出口に近い第2領域内に開口するとともに、
前記第1領域内の圧力の上昇に伴って前記第1領域と前記第2領域との間に発生する差圧によって前記第2流入口から前記第2空気流路に流入した空気を前記第2吹出口から吹き出し、
前記第2吹出口から吹き出される空気の向きを有するベクトルが、前記中空柱状部の軸線と前記回動軸線とを含む第1平面と交差するとともに、前記調整板回転角度がゼロでないときに前記風向調整板によって形成される空気の向きを有するベクトルと鈍角をもって交差し、
前記第2吹出口から吹き出される空気の量が、前記調整板回転角度がゼロであるとき実質的にゼロであり、前記調整板回転角度が大きくなるにつれて増大する、
ように構成された空気吹出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気吹出装置であって、
前記風向調整板を複数備え、
前記複数の風向調整板のそれぞれは、
前記中空柱状部の軸線に直交するそれぞれの回動軸線周りに同複数の風向調整板が互いに平行となる関係を維持しながら回動し、且つ、前記調整板回転角度がゼロであることを含む所定回転角度範囲にて回動するように構成され、
前記第1領域は、
前記調整板回転角度が前記回転角度範囲内の最大角度となった場合における前記複数の風向調整板のうちのその前端部が前記第1吹出口に最も近い最前風向調整板の同前端部よりも前記第1流入口に近い領域内に存在し、
前記第2領域は、
前記調整板回転角度が前記回転角度範囲内の最大角度となった場合における前記最前風向調整板の前端部よりも前記第1吹出口に近い領域内に存在している、
空気吹出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空気吹出装置であって、
前記空気吹出装置が実際に使用される際に取り付けられる部材に同空気吹出装置が取り付けられた状態において、
前記複数の風向調整板は、前記空気吹出装置を前記第1平面と直交し且つ前記中空柱状部の軸線を含む第2平面に沿って切断した同空気吹出装置の断面において、同複数の風向調整板のそれぞれの前端部が前記中空柱状部の下壁部に近い風向調整板ほど前記第1吹出口に近づくように配設され、
前記通路部は、前記第2吹出口が前記複数の風向調整板のうちの前記下壁部に最も近接して配置された風向調整板よりも下方に位置するように配設された空気吹出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の空気吹出装置において、
前記調整板回転角度がゼロである場合において、前記第2流入口は前記最前風向調整板の後端部よりも前記第1流入口に近い領域内に開口し、且つ、前記第2吹出口は前記最前風向調整板の前端部よりも前記第1吹出口に近い領域内に開口する空気吹出装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の空気吹出装置において、
前記第2流入口は、
同第2流入口の開口面を前記中空柱状部の軸線に直交する第3平面上に投影した面積が実質的にゼロであるように構成された空気吹出装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の空気吹出装置において、
前記第2吹出口は、
同第2吹出口の開口面を前記第3平面上に投影した面積が実質的にゼロであるように構成された空気吹出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の空気吹出装置であって、
前記第2流入口の近傍の領域であって、前記第2流入口よりも前記第1吹出口に近く且つ同第2吹出口よりも前記第1流入口に近い領域、に設けられ、且つ、同第2流入口の近傍の空気を同第2流入口に向けて案内する空気流案内部材を備えた空気吹出装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−79374(P2011−79374A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231444(P2009−231444)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(308016242)豊和化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】