説明

空気振動を利用する頭部マッサ−ジ器具。

【課題】 個人差のある大きさや不揃いな湾曲面や形状を有する人体の頭部に順応して装着され、効果的にマッサージ作用を行うことができる簡便かつ安価な空気振動を利用する頭部マッサージ器具を提供するものである。
【解決手段】 脈流の断続空気が供給される発振器3を、人体の頭部4の被マッサージ面に被冠されるベース部5の上部側に取付け、発振器3は、スリーブ20の下端に振動子22を設けてなるもので、発振器3を備えたベース部5を頭部4の被マッサージ面に装着して、被マッサージ面に振動子22を当て、送付される断続空気をスリーブ20を介して振動子22の内面と被マッサージ面との間に形成される空間部26に噴出して、頭部4の被マッサージ面に空気振動の衝撃によるマッサージ作用を付与してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の頭部に装着されて自動的に頭皮にマッサージ作用を付与する空気振動を利用するマッサ−ジ器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪育毛剤・発毛剤を塗布して、その前後に頭部をマッサージすることで、頭皮の血行が良好となり、育毛・発毛効果が促進されることは周知である。
【0003】
さらに、この人体とくに頭部にマッサージ作用を施す器具としては、モータの回転を利用するもの、電磁気を利用したバイブレータ等機械的振動を利用したもの、またゴム袋に空気を出入りさせる形態が一般的に利用されている。
【0004】
また、振動用空気室に備えた振動板を振動空気により振動させて密閉空間の空気を介して人体に間接的に伝達してマッサージを施し、また振動板を直接人体に当接する空気振動を利用したマッサージ器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭54−50180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この種の従来の空気振動を利用したマッサージ器具は、とくに振動板を介して空気を振動させる場合、人体の頭部は個人差のある大きさや不揃いな湾曲面や形状を有しているため、機械的振動を利用して頭皮にマッサージ効果を生じさせることは困難であった。
【0007】
本発明は、個人差のある大きさや不揃いな湾曲面や形状を有する人体の頭部に順応して装着され、効果的にマッサージ作用を行うことができる簡便かつ安価な空気振動を利用する頭部マッサージ器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る空気振動を利用する頭部マッサージ器具は、空気ポンプより供給される脈流の断続空気が導かれる発振器を、人体の頭部の被マッサージ面に被冠されるベース部の上部側に取付け、前記発振器は、内蔵されるスリーブの上端に前記空気ポンプに連結されるホースを設け、かつその下端には内面を凹面状とする振動子を設けてなり、該発振器を備えた前記ベース部を頭部の被マッサージ面に装着して、被マッサージ面と前記振動子を当接して、前記空気ポンプより送付される断続空気を前記スリーブを介して前記振動子の凹面状の内面と被マッサージ面との間に形成される空間部に噴出して、頭部の被マッサージ面に空気振動の衝撃によるマッサージ作用を付与してなることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、前記ベース部は略ヘルメット状を呈して、その上部側の任意の位置に前記発振器を備えてなることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、前記振動子は、被マッサージ面に対して上下動及び任意の方向に傾斜可能に設けられ、前記振動子の外縁が頭部の被マッサージ面に偏付きなく圧接して前記空間部を形成してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
上記の構成を有する本発明に係る空気振動を利用する頭部マッサージ器具によれば、マッサージ作用の動力源に断続空気を利用し、前記発振器に備えた前記振動子と被マッサージ面とで構成する前記空間部に断続空気を噴出させることにより、空気振動の衝撃が被マッサージ面に伝播してマッサージ効果を付与することができる。
【0012】
また、前記発振器に備えた前記振動子の内面と被マッサージ面との間に前記空間部が形成され、個人差のある頭部の形状あるいは湾曲面を吸収して、被マッサージ面の面域を均等にマッサージすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明に係る空気振動を利用する頭部マッサージ器具につき、添付図面を用いて説明する。
図1は本発明の頭部マッサージ器具の使用状態を示す断面略示図、図2は同じく頭部への装着状態を示す略示図、図3は発振器のベース部への装着状態を示す要部上面図、図4は発振器を示す断面図で(イ)は、図3のA−A断面図、(ロ)は、図3のB−B断面図、(ハ)は、図3のC−C断面図、図5は発振器を示す外観図、図6はベース部を示す略示図で(イ)は、外観図、(ロ)は、D−D断面図、図7はベース部の支持部を示す断面概略図、図8はベースとベルトの連結を示すもので、(イ)は横断面図、(ロ)はE−E縦断面図、図9は振動子を示すもので(イ)は断面図、(ロ)は底面図、図10はガイド管の他の調節構造を示す略示図である。
【0014】
本発明に係る空気振動を利用する頭部マッサージ器具は、図1乃至図4に示すように、空気ポンプ1のホース2を介して脈流の断続空気が供給される発振器3を、人体の頭部4の被マッサージ面に被冠されるヘルメット状のベース部5の上部側に取付け、発振器3はスリーブ20を内蔵し、その上端に空気ポンプ1に連結されるホース2を設け、かつその下端には内面を凹面状とする振動子22を設けてなるもので、発振器3を備えたベース部5を頭部4の被マッサージ面に装着して、被マッサージ面に振動子22を当て、空気ポンプ1より送付される断続空気をスリーブ20を介して振動子22の凹面状の内面と被マッサージ面との間に形成される空間部26に噴出して、頭部4の被マッサージ面に空気振動の衝撃によるマッサージ作用を付与してなるものである。
【0015】
動力源となる空気ポンプ1は、商用電源で駆動する市販のゴム等の柔軟材の薄膜円盤の外周を保持して中央を振幅運動させて空気を排出するダイヤフラムポンプや、円柱状のプランジャーを円筒内で往復運動させて空気を排出するプランジャーポンプ等の、低圧で小量のONーOFFを繰り返す脈流の断続空気を発生させる小型空気ポンプを用いてタイマーと一体化して、さらに空気ポンプ1から発生する電磁氣の漏洩を防止するためのカバーを備えている。
【0016】
空気ポンプ1のホース2を介して脈流の断続空気が供給される発振器3は、図1及び図4に示すように、多段円筒状のガイド管21とこのガイド管21に挿着されるスリーブ20とより構成されている。
【0017】
多段円筒状のガイド管21は、分離可能な上下部ケース43,42に装着され、その外側面を球面軸部とする傾斜可能なガイド球軸32を設け、上部側にはネジ部を刻設して螺合される調節ナット30により上下動可能に形成されている。
【0018】
前記ガイド管21に上下動可能に挿着されるスリーブ20は、段付円筒状で筒内を断続空気の通気孔20Aとして発振器3の中心部に配設され、上端に止め輪24により抜け止めされて装着され、下端に柔軟材よりなる漏斗状の振動子22をその円筒ボス部22Aを介して取付け、また、上部には空気ポンプ1のホース2が装着され、この連結部分にはホース2の折れ曲がりによる断続空気の流路の変形を防止するために、コイルスプリング25が巻回されてい
【0019】
このスリーブ20は、そのやや下方寄りの円筒段部に対応するガイド管21の多段円筒状の段部との間に圧縮バネ23が取付けられ、この圧縮バネ23の付勢状態においてスリーブ20の下端に取付けられている振動子22の外縁22Bが、ガイド管21の下端に形成されているスカート部21Aの先端よりも下方に突出するように取付けられている。
【0020】
ガイド管21の下端のスカート部21Aより下方に突出されている振動子22の外縁22Bに押力が加えられると、この振動子22の外縁22Bがガイド管21のスカート部21Aの先端と同位置面までの間で圧縮バネ23の圧力を受けながら上方に移動する。
【0021】
スリーブ20を内蔵するガイド管21は、上部側にネジ部21Bを刻設して、このネジ部21Bには、図3に示すように、1〜2カ所のDカットの平面部21Cを設けて、貫通穴を設けたナットカバー31を有する調節ナット30が螺入され、この調節ナット30を回転させると、ガイド管21はネジ部21BのDカットの平面部21Cが回り止めとなって共回りが防止され、調節ナット30の回転角度に対応するネジピッチ寸法の長さ分、ガイド管21が上下動される。
【0022】
ナットカバー31はガイド球軸32の上面に嵌合されてネジ止めされて、ガイド管21がガイド球軸32内を上下に可動するよう構成されている。
【0023】
さらに、ガイド球軸32の外面側の球面部32Aに対応する内面側を球面部とする上下の円筒状の球軸受40、41が四角形の下部ケース42内に圧接状に取付けられ、ガイド球軸32の球面部32Aを挟持している。
【0024】
下部ケース42に、上部ケース43を被冠して、上下部ケース43,42をネジ固定され、ナットカバー31の外側の対面する下部2箇所に設けた突起31Aが、上部ケース43の上面に配設した円筒状のストッパー43Aの間にあり、ナットカバー31が上部ケース43に対して所定の角度で回転方向に自在に可動するが、必要以上の回転が防止されている。
【0025】
このように構成されることにより、ガイド球軸32とナットカバー41と調節ナット30とガイド管21とスリーブ20および振動子22が上下部ケース43、42に対して所定の角度の範囲内で自在に可動して傾斜されるように構成されている。
【0026】
スリーブ20の下端に取付けられる振動子22は、柔軟材により製せられ、内壁面を凹面状として内部に空間部26を有して漏斗状に形成され、スリーブ20から送り込まれた断続空気を空間部26から被マッサージ面の頭部4に向けて噴出させる。
【0027】
この際、振動子22の外縁22Bと被マッサージ面との圧接部位で、噴出空気の排出時に発生する微振動によって生じやすい痛みを防止するため、図9に示すように、凹部内側から外縁22Bに向う複数の凹溝22Cを設けて、相対する被マッサージ面との間に噴出空気の排出流路を形成して、振動子22の外縁22Bの微振動を防止している。又漏斗部は、複数の凹溝22Cを設けたもので説明したが、噴出空気の排出口として漏斗部に複数個の小孔を設けたものでもよい(図示せず)。
【0028】
また、図9に示すように、振動子22の外縁22Bの被マッサージ面との圧接面をリング状の平面22Dとすることで、圧縮バネ23の圧力がこのリング状の平面22Dに分散されて、被マッサージ面に与える違和感を減少させるものである。
【0029】
発振器3を装着するベース部5は、図1乃至図3及び図6に示すように、硬質合成樹脂からヘルメット状に形成され、上面部に前部5Aから後部5Bに向う開放の取付孔5Cを設け、前面又は後面のいずれか一方を開放状とし、他方を閉鎖状として開放端側から発振器3をスライド可能に挿入して、取付孔5Cの縁部5Dをネジ先端で挟み任意の位置に固着されるものである。
【0030】
ベース部5への発振器3の固着は、図4及び図5に示すように、発振器3の下部側を取付孔5Cに挿入して下部ケース42に形成された鍔部の上面を取付孔5Cの縁部5Dの下面と当接して、上部ケース43より螺入したネジ9をネジ板51を介して取付孔5Cの縁部5Dの上面を押圧して挟持して、発振器3をベース部5の任意の位置に、曲率が一定とならない部位に対しても安定した状態で固着されるものである。なお、ネジの先端にカバーを設けてベース部5の表面に傷痕等を防止するものであってもよい(図示せず)。
【0031】
ベース部5は、図2及び図6に示すように、その内面の頭部4に当接する面に凸状の支持部7が、前部側の左右及び後部中央の3箇所に設けられている。
【0032】
このように3箇所の支持部7を設けて頭部4に当接することにより、個人差のある頭部4の大きさや不揃いな形状や湾曲面に対応して、各々の支持部7の先端が球形状面の構成の可動部により傾斜して、頭部4の面に倣い偏付きのない面接触となって安定的に当接される。
【0033】
この支持部7は、ベース部5に所定寸法の範囲内で回旋傾斜可動に形成されるもので、図7に示すように、頭部4と当接する保持カラー7Aはその上面側を球状凸面として、ベース部5との間に保持カラーとの接触面を球状凹面とする補助カラー7Cを介在して、保持カラー7Aの内球面を内蔵される支持ナット7Bで、ベース部5の上面に設けた座金7Dを有するネジで螺着してなるものである。
【0034】
なお、符号7Fは、ゴム等の柔軟材からなるカバー材で、頭部4と接触する保持カラー7Aの下端面に設けられて、頭部4に与える違和感を減少させるものである。
【0035】
図2に示すように、発振器3を備えたベース部5は頭部4に被せて、その両側に連結されているベルト6を顎部の下で結んで装着される。
【0036】
ベース部5とベルト6の締結部8は、図8に示すように、ベース部5に上部側を拡開しかつ下部側を狭窄とする取付穴8Aを設け、ベルト6端の環状部8Bを挿入し、この環状部8Bに円柱ピン等の止め具8Cを装着して、適宜ベルト6を取外し可能に連結されている。
【0037】
ガイド管21を調節ナット30で上下に可動させるものとして説明したが、図10に示すように、ガイド管21の上部にラックギア60を設けて、このラックギア60に噛合する小歯車ピニオン61を備えて、この小歯車ピニオン61を回転させてガイド管21を上下動させるものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】は、本発明に係る頭部マッサージ器具の使用状態を示す断面略示図。
【図2】は、同じく頭部への装着状態を示す略示図。
【図3】は、発振器のベース部への装着状態を示す要部上面図。
【図4】は、発振器を示す断面図で(イ)は、図3のA−A断面図、(ロ)は、図3のB−B断面図、(ハ)は、図3のC−C断面図。
【図5】は、発振器を示す外観図。
【図6】は、ベース部を示す略示図で(イ)は、外観図、(ロ)は、D−D断面図。
【図7】は、ベース部の支持部を示す断面概略図。
【図8】は、ベースとベルトの連結部を示すもので、(イ)は、横断面図、(ロ)は、E−E縦断面図。
【図9】は、振動子を示すもので、(イ)は、断面図、(ロ)は、底面図。
【図10】は、ガイド管の他の調節構造を示す略示図である。
【符号の説明】
【0039】
1 空気ポンプ
2 ホース
3 発振器
4 頭部
5 ベース
6 ベルト
7 支持部
9 ネジ
20 スリーブ
21 ガイド
21A ガイド21のスカート部
22 振動子
22B 振動子22の外縁
23 圧縮バネ
26 空間部
30 調節ナット
32 ガイド球軸
42 下部ケース
43 上部ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気ポンプより供給される脈流の断続空気が導かれる発振器を、人体の頭部の被マッサージ面に被冠されるベース部の上部側に取付け、前記発振器は、内蔵されるスリーブの上端に前記空気ポンプに連結されるホースを設け、かつ下端には内面を凹面状とする振動子を設けてなり、前記発振器を取付けた前記ベース部を頭部の被マッサージ面に装着して、被マッサージ面と前記振動子を当接して、前記空気ポンプより送付される断続空気を前記スリーブを介して前記振動子の凹面状の内面と被マッサージ面との間に形成される空間部に噴出して、頭部の被マッサージ面に空気振動の衝撃によるマッサージ作用を付与してなることを特徴とする空気振動を利用した頭部マッサージ器具。
【請求項2】
前記ベース部は略ヘルメット状を呈して、その上部側に設けた取付孔を介して任意の位置に前記発振器を取付けてなることを特徴とする請求項1記載の空気振動を利用した頭部マッサージ器具。
【請求項3】
前記振動子は、被マッサージ面に対して上下動及び傾斜可能に設けられ、前記振動子の外縁が頭部の被マッサージ面に偏付きなく圧接して断続空気が噴出される前記空間部を形成してなることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の空気振動を利用した頭部マッサージ器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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