説明

空気殺菌機

【課題】大気を殺菌して除菌すると共に、大気自体の殺菌力を保って抗菌大気として長時間持続でき、H5N1型トリインフルエンザ等の空気感染の病気が大流行したときの予防や症状の改善ができる空気殺菌機を提供する。
【解決手段】水道水2、地下水、蒸留水、ミネラルウオ−タ等の飲料原水を亜鉛イオン、銀イオン、銅イオン等の抗菌性金属イオンを担持させた無機物系担体または有機物系担体からなる金属イオン抗菌剤1と溜水接触させて、前記原水をイオン化した抗菌イオン水10を超音波振動12または/或いはヒータ加熱でミストMやクラスターにして吸入空気Aと攪拌部材14により気化混合で同化させたイオン殺菌空気Rを大気中に放出して細菌やウイルス等の空中浮遊微生物を殺菌して除菌すると共に、大気自体の殺菌効果を持続させて抗菌大気にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気を殺菌して除菌すると共に、抗菌大気とすることができる空気殺菌機に関し、より詳言すれば、抗菌性金属イオンによりイオン化した抗菌イオン水を空気と気化混合で同化したイオン殺菌空気を大気中に放出することによりイオンの殺菌作用で大気中の細菌、ウイルス、真菌等の空中浮遊微生物を殺菌して除菌すると共に、大気自体に抗菌性を持たせることができる空気殺菌機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気を殺菌、除菌するものとしては、殺菌溶液の中に空気を通して、空気中の微生物や各種細菌を殺菌・除菌及び除臭するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。これは、導電性を有する溶液内に通電が可能な2枚の銀板を電極として単相交流を通電(直流通電する場合は1極に炭素板を用いる)することにより、導電性の溶液が電気分解されて、殺菌力のある電解銀イオン溶液が生成される。この殺菌溶液の中を病室や手術室等の密閉された空間の空気を送り込んで、該空気内に含まれている微生物や各種細菌を殺菌・除菌及び除臭して、また密閉された病室や手術室等の空間に戻す循環を繰り返すことにより、密閉空間の空気を無菌状態にすることが出来る銀イオンを用いた殺菌・消臭方法とその装置である。
【0003】
また、殺菌溶液が供給されている気液接触部材に空気を接触させて除菌する空気除菌装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この除菌装置は、水道水を電気分解して殺菌力がある活性酸素種を含む電解水を生成して気液接触部材に供給。この気液接触部材に送風ファンにより空気を送り、電解水と接触させて空気中の微生物や各種細菌を殺菌、除菌するものである。
【0004】
また、室内から取り入れた空気の中で放電して、発生した殺菌力のあるプラズマクラスターイオンを室内に放出する空気清浄装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この装置は、室内から取り入れた空気中で放電して殺菌イオンを発生させ、室内に放出することにより、室内の浮遊細菌を殺菌、除菌するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開 2001−353207
【特許文献2】特開 2009−118903
【特許文献3】特開 2007−236470
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前述した特許文献1の殺菌溶液の中に密閉空間の空気を通す方法は、空気が気泡になって通過するため、殺菌溶液と接触している部分にいる細菌等は死滅するが、気泡の中央部の細菌等は死滅しない。したがって、何回も循環させて全ての細菌等が殺菌溶液と接触して死滅する条件を作らないと空間内の空気は無菌状態にはならないという欠点があった。また電気分解するための導電性を有する溶液とは一般的に塩化ナトリウムの塩、塩酸の酸、水酸化ナトリウムなどの有害水溶液であり、電気分解された殺菌電解水と共に通された空気の中に気化して混ざる問題があった。更に、循環設備など装置が固定設置で大きく複雑であり、一般家庭の日常生活の中で何時でも、何処でも簡単に使用できる空気殺菌機としては適さない。
【0007】
また特許文献2の空気除菌装置は、水道水(塩素が含まれた水)を電気分解して酸化力の強いOHラジカルと次亜塩素酸の2種類の活性酸素種が生成された電解水を気液接触部材に供給して室内大気を送り込み接触させると、前記電解水は分子構造的に不安定で周囲の物質を酸化させる力があるため、空気中の浮遊するウイルス等に接触すると蛋白質スパイクを破壊してヒト細胞に吸着することができなくなるようにウイルス等を不活化することにより、空気を除菌するものである。しかし、気液接触部材に送られた空気中のウイルス等が全て電解水と接触して死滅することはないため、吸入と放出の連続運転が必要がある。また、水道水には硬度成分やシリカ成分が含まれているため、これらの成分が気液接触部材にスケールとして析出することがあり、気液接触部材にスケールを除去するブラシュニットと駆動機構を備える必要があると云う問題があった。
【0008】
また特許文献3の空気清浄装置は、吸入した空気中での高電圧プラズマ放電により空気中の水分と酸素分子を放電プラズマによって電離或いは解離させることで、正負のイオンからなるプラズマクラスターイオンを生成、除菌イオンとして大気中に放出するとウイルス等の浮遊菌の表面の蛋白質スパイクに付着すると非常に酸化力が強く不安定なOHラジカルによって、水素(H)を抜き取って結合するため、蛋白質を分解、除去してウイルス等を不活化するものである。しかし、安定して高濃度のプラズマクラスターイオンを放出するためには発生ユニットを定期的に交換しなくてはならないと云う問題がある。また、OHラジカルは水素(H)と結合して水になって空気中に戻り短命であるが、水分子(HO)で包まれると長寿命になるが殺菌力が弱くなる問題とOHラジカルの状態のままで呼吸する問題がある。更に大気中の放電では酸化力が強く殺菌や漂白に使われる活性酸素種のオゾンも発生する。
【0009】
このように、従来の空気を殺菌するものは、電気分解や放電により強制的に電離や解離して活性酸素種などの殺菌物質を生成するものであった。したがって、外部電力と2極の電極が必要であると共に、電気分解の電導性溶液やプラズマ放電のイオン発生素子(特開2006−164592開示)が必要である。また電解水とプラズマクラスターイオンのOHラジカルは強酸性で不安定のため、短時間で水素と結合して水になって安定する。したがって、電離や解離直後の殺菌力は強く殺菌、除菌には適するが、抗菌大気として長時間維持することは難しい。更に、装置が複雑で高価であるという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決しようとするもので、大気を殺菌して除菌すると共に、殺菌力を保って抗菌大気として長時間持続でき、H5N1型トリインフルエンザ等の強毒性のインフルエンザが大流行したときの予防や症状の改善に、安全で安心して、誰でも簡単に取り扱い出来る小型軽量の安価で一般家庭から事業用までの実用的な空気殺菌機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成して課題を達成するために、請求項1の発明に係わる空気殺菌機は、
水道水、地下水、蒸留水、ミネラルウオ−タ等の飲料原水を亜鉛イオン、銀イオン、銅イオン等の抗菌性金属イオンを担持させた無機物系担体または有機物系担体からなる金属イオン抗菌剤と溜水接触させて、前記原水をイオン化した抗菌イオン水を超音波振動または/或いはヒータ加熱でミストやクラスターにして吸入空気と攪拌部材により気化混合で同化させたイオン殺菌空気を大気中に放出して細菌やウイルス等の空中浮遊微生物を殺菌して除菌すると共に、大気自体の殺菌効果を持続させて抗菌大気とする。
なお、効果的に違いはあるが加湿器に請求項2の金属イオン抗菌材を用いることにより、空気殺菌機として兼用することが出来、本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明の空気殺菌機は、抗菌性金属イオンを飲料原水に溜水接触で移行してイオン濃度を高め、気体化によって空気と混ぜて大気中に放出するもので、人体に毒性は無いが、空気中に浮遊しているウイルスや細菌・真菌・粘菌など微生物に対しては電子レベルの電荷のイオン水でも非常に殺菌力があり、微生物が接触すると死滅する。イオン水のミストやクラスターは空気と一体となって漂うため、イオン殺菌空気として空中浮遊微生物の細菌、ウイルス、真菌等には持続して殺菌作用を発揮して隈なく除菌することができる。更に、イオン水が気体化したイオン殺菌空気を呼吸することにより、喉などの呼吸器官に感染する新型インフルエンザ等の予防や感染した疾患又は症状の改善に大きな効果が得られる。更に、身体に放射すると皮膚の細菌・真菌・粘菌等も殺菌、除菌して、加齢臭等の消臭にもなる。なお、効果的に違いはあるが加湿器に請求項2の金属イオン抗菌材を用いることにより、空気殺菌機として兼用することが出来て本発明に含まれる。
【0013】
本発明の安全性は、従来から家電製品、台所用品、事務用品などに使用されていて安全が確認されている抗菌性金属イオンを用いて飲料水をイオン水にしたため、生体に対しては安全性が高い。特に、亜鉛は、魚貝類、肉、野菜、穀物などの食品の動植物自体にも含まれていると云うことは、逆に動植物にとっては必要な元素であり、サプリメントとしても用いられている。また、銀は食器類や銀歯等で昔から抗菌力と安全性が知られている。これらの金属イオン抗菌剤と無添加の飲料原水を溜水接触させる事により、水質は無色、無臭、無味、無香、無刺激、無毒のままでイオン化したイオン水は、電導溶液などの有害物ではなく、飲料原水を電気的にイオン化したものであり、水道法水質基準及び食品衛生法の基準にも適合でき、動植物には影響が無く、人体にも安全で何の違和感もなく安心してイオン殺菌空気として使用できる。したがって、犬、猫などのペットの健康や消臭にも適用できる。
【0014】
また、本発明の経済性の効果としては、本発明の金属イオン抗菌材は半永久的に使用でき、またイオン化した溜水のイオン水をイオン殺菌空気として大気殺菌に使用して量が少なくなった場合、水道水、地下水、蒸留水、ミネラルウオ−タ等の飲料原水を注ぎ足し補充して溜水を増やす事により、また溜水が短時間で抗菌作用、除菌作用、殺菌作用のあるイオン水となり、何回でも使えるため、何時でも何処でも安く多量のイオン水が得られて、イオン殺菌空気を発生させて容易に大気の殺菌ができる。更に、小型軽量で消費電力も少なく経済的である。
【0015】
更に、世界的効果としては、日常生活の中で簡単に大気殺菌ができてウイルス等の空気感染による病気の予防になり、また、なった疾患や症状については改善や治療することもでき、快適な生活と医療費の削減に奇与することができる。特に、身の回りで手軽に入手できる飲料原水が使用できて、インフルエンザにならない環境づくりが安全で簡単にできるため、アフリカ、中南米、アジア等の後進国でも安価で容易に使用できて、人類の健康と繁栄にとって世界的にも非常に効果的な空気殺菌機の発明である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の空気殺菌機の一実施形態を断面図で明示したものである。
【図2】本発明のイオン水ミストと空気を気化混合の同化する方法と攪拌部材の実施例を示したものである。
【図3】本発明の温風イオン殺菌空気及び冷風イオン殺菌空気の実施例を示したものである。
【図4】本発明の空気殺菌機によるイオン殺菌空気を身体の殺菌、除菌する使用例をイラストで示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施に於いては、抗菌性金属イオンを担持させた無機物系担体からなる金属イオン抗菌剤は、商業的に入手可能であり、例えば、株式会社サンギの無機物系担体であるハイドロキシアバタイトに「亜鉛イオンを担持させたアバサイダ−Z」、「銀イオンを担持させたアバサイダ−AK」や東亜合成株式会社の無機物系担体であるリン酸ジルコニウムに「銀イオンを担持させたノバロンAGZ330」、シナネンゼオミック株式会社の無機物系担体であるゼオライトに「銀イオンを担持させたゼオミックAW10D」などがある。本発明の一実施例で使用した抗菌性金属イオンを担持させた無機物系担体は、株式会社サンギで市販している無機物系担体であるハイドロキシアバタイトに亜鉛イオンを担持させた商
品名アバサイダ−Zを金属イオン抗菌剤として成形。以下、金属イオン抗菌材で表示する。なお、株式会社アドバンスと大阪産業大学が共同研究開発したチタンと銀を燃焼合成させたセラミック多孔質のものは本発明の金属イオン抗菌材として適する。
なお、本発明の大気とは屋外と屋内に一般的に存在する気体。空気とは空気殺菌機に吸入した気体、又は放出する気体である。
【0018】
以下、本発明の実施の一形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の請求項1における空気殺菌機Hの一実施例を断面図により構造と作用を明示したものである。溜水タンク3には金属イオン抗菌材1と飲料原水である水道水2が溜水で入れられていて、水道水2がイオン化された状態である。イオン化された水道水2は、バルブ5によって適量がイオン水10としてイオン水槽9に供給されて一定の水位を保っている。超音波振動アンプ11の制御により超音波振動子12が振動してイオン水10からイオン水ミストMを発生させるとイオン水ミストMは、送風機8によって大気が吸入口6から吸入されフイルタ7で塵や埃が除かれて送風路13を通った空気Aによって位置ズレ分だけ押し流されながら鋭角に曲がって混ざる(攪拌される)。更に、気化混合の同化を図る攪拌部材14(図示せず)である渦気流発生攪拌部材14aによって渦気流Kが発生してイオン水ミストMと空気Aは攪拌されて気化混合の同化が図られ、イオン殺菌空気Rになる。イオン殺菌空気Rは吹出口15から室内大気中に放出されて大気中の細菌やウイルス等の浮遊微生物を殺菌・除菌すると共に、抗菌空気として留まるため、空気感染の新型インフルエンザ等の病気予防になると共に、呼吸することにより喉などの呼吸器官の殺菌、除菌にもなるため、疾患や症状の改善や治療にも効果がある。
【0019】
図2は、イオン水ミストMを空気Aに気化混合して同化させるための方法と攪拌部材を示したものであり、図1の渦気流発生攪拌部材14a以外の他の実施例である。図2(イ)はファン攪拌部材14bの回転による攪拌で気化混合の同化を図るファン方式の一実施例であり、ファン攪拌部材14bの回転は送風機8の送風による自動回転、或いは電動回転にしてもよい。また図2(ロ)は弁攪拌部材14cの振動による攪拌で気化混合の同化を図る弁方式の一実施例であり、弁の振動は送風機8の送風による自動振動、或いは電動振動でもよい。なお、振動攪拌としては超音波振動攪拌も含まれる。また図2(ハ)はベンチュリ攪拌部材14dによる気流の速度変化による攪拌で気化混合の同化を図るベンチュリ方式の一実施例である。
【0020】
図3は、吹出口15から放出されるイオン殺菌空気Rを温風。または冷風にした実施例を示したものであり、図3(イ)は吹出口15の手前にヒータ16を設けて、吹出口15からは温風イオン殺菌空気が放出されるようにした一実施例である。図3(ロ)は吹出口15の手前に冷却器17を設けて、吹出口15からは冷風イオン殺菌空気が放出されるようにした一実施例である。
【0021】
図4は、空気殺菌機Hの吹出口15にフード18を取り付けて、イオン殺菌空気Rの放出方向を規制して絞り、身体Bの殺菌、除菌に使う使用例で、図4(イ)は、N5H1型トリインフルエンザ等の新型インフルエンザ予防や喉の炎症、口内炎、口臭等の改善及び治療のため、鼻や口からイオン殺菌空気Rで呼吸して口腔内や喉等の呼吸器官Nの殺菌、除菌をしているイラストである。図4(ロ)は、アトピー皮膚炎、傷、加齢臭等の改善や治療のために、身体Bでイオン殺菌空気Rを浴びて皮膚19の殺菌、除菌をしているイラストである。
【符号の説明】
【0022】
1 金属イオン抗菌材
2 水道水
3 溜水タンク
4 給水キャップ
5 バルブ
6 吸入口
7 フイルタ
8 送風機
9 イオン水槽
10 イオン水
11 超音波振動アンプ
12 超音波振動素子
13 送風路
14 攪拌部材
14a 渦気流発生攪拌部材
14b フアン攪拌部材
14c 弁攪拌部材
14d ベンチュリ攪拌部材
15 吹出口
16 ヒータ
17 冷却器
18 フード
19 皮膚
A 空気
B 身体
H 空気殺菌機
K 渦気流
M イオン水ミスト
N 呼吸器官
R イオン殺菌空気


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水、地下水、蒸留水、ミネラルウオ−タ等の飲料原水を亜鉛イオン、銀イオン、銅イオン等の抗菌性金属イオンを担持させた無機物系担体または有機物系担体からなる金属イオン抗菌剤と溜水接触させて、前記原水をイオン化した抗菌イオン水を超音波振動または/或いはヒータ加熱でミストやクラスターにして吸入空気と攪拌部材により気化混合で同化させたイオン殺菌空気を大気中に放出して細菌やウイルス等の空中浮遊微生物を殺菌して除菌すると共に、大気自体が殺菌効果を持続して抗菌大気となることを特徴とした空気殺菌機。
【請求項2】
大気の殺菌、除菌、及び抗菌大気にする請求項1の金属イオン抗菌剤からなる空気殺菌機用の金属イオン抗菌材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−19857(P2011−19857A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169779(P2009−169779)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(597129850)
【Fターム(参考)】