空気浄化装置
【課題】 空気を改質することによって主として室内の空気を浄化することができる空気浄化装置に関し、簡易な構成で、空気中の不純物、たとえば埃、花粉等の粉塵、菌類等室内で発生する不純物、或いはキシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等、いわゆるシックハウス症候群の要因となるような溶剤類、或いはＮＯX 、ＳＯX 等の有害成分やＣＯ2 等の環境汚染の要因となるような不純物等、各種の不純物を除去することができる空気浄化装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 空気中の微粒子を吸着するための吸着材を収容したフィルター２と、該フィルター２内へ空気を吸引するためのエアーマスク４と、該エアーマスク４による空気の吸引を作動させるためのエアーポンプ３とを具備することを特徴とする。
【解決手段】 空気中の微粒子を吸着するための吸着材を収容したフィルター２と、該フィルター２内へ空気を吸引するためのエアーマスク４と、該エアーマスク４による空気の吸引を作動させるためのエアーポンプ３とを具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は空気浄化装置、さらに詳しくは、空気を改質することによって主として室内の空気を浄化することができる空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、空調設備等の普及により、住居等の室内は年間を通じて密閉状態であることが多い。このように室内の密封状態が多くなると、埃、粉塵等が室内で舞うこととなり、居住者にアレルギー、喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎等の症状が発生する等、健康面を阻害するおそれがある。
【０００３】
このため、定期的に、窓や換気孔から外気を室内に取り込む等して空気の入替えを行う必要がある。しかし、近年では自動車の排気ガスや工場排ガス等によって、空気中に窒素酸化物（ＮＯX）や硫黄酸化物（ＳＯX）等の有害成分や二酸化炭素（ＣＯ2）等が排出される傾向にある。従って、住宅地といえども、屋外の空気が清浄であるとは必ずしもいえない。
【０００４】
そこで、このような問題を解決するために、室内等の空気を浄化するために種々の空気浄化装置が開発されている。たとえば、下記特許文献１は、ケース内に、送風機と、光触媒フィルターと、光源とを具備させた構成からなるものである。この特許文献１に開示された空気浄化装置は、産業用ではなく、室内に設置することを目的として開発されたものではあるが、送風機を具備し、また光触媒フィルターや光源を複数具備しているので装置が大型化し、据置型として使用されるにとどまるものである。
従って、一旦室内に設置すると、他の部屋へ移動させるなどは容易ではない。
【０００５】
また送風機の他に光源も具備しているので、製造コストを安価にすることには限界があり、室内用としては比較的高価な装置となる。さらに、この種の装置は光触媒反応によって空気中の粉塵等の不純物を分解して除去するので、光触媒反応自体が好適に生じないと、不純物を除去する作用が好適に発揮されないこととなっていた。
【０００６】
さらに特許文献２に開示された空気浄化装置は、被処理空気と洗浄液とを接触させるための気液接触室内に冷却用熱交換器を設置し、その気液接触室の下から上に被処理空気を流通させるとともに、冷却用熱交換器の上方から洗浄液を滴下させるように構成されたものである。
【０００７】
しかし、この特許文献２の空気浄化装置は、気液接触室や冷却用熱交換器を具備した大がかりな装置であり、設置場所が限定されたり、経済的に高価であるため、手軽に設置することができないものであった。また、気液接触や熱交換等を行なうので、
特許文献２の全体にも記載されているように、加熱調理が行なわれる厨房等に設置するのに適しており、一般家庭の室内に設置するには不適なものであった。
【０００８】
【特許文献１】特開２００４−１６７０５号公報
【特許文献２】特開２００５−７３０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、
空気中の不純物、たとえば埃、花粉等の粉塵、菌類等室内で発生する不純物、或いはキシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等、いわゆるシックハウス症候群の要因となるような溶剤類、或いはＮＯX 、ＳＯX 等の有害成分やＣＯ2 等の環境汚染の要因となるような不純物等、各種の不純物を除去することができる空気浄化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、請求項１記載の発明は、空気中の埃、粉塵、微粒子等の不純物を吸着するための吸着材を収容したフィルター２と、該フィルター２内へ空気を吸引するためのエアーマスク４と、該エアーマスク４による空気の吸引を作動させるためのエアーポンプ３とを具備することを特徴とする。また請求項２記載の発明は、請求項１記載の空気浄化装置において、エアーポンプ３の作動によりエアーマスク４から１．５〜２．５L／分の空気を吸引しうるように構成されていることを特徴とする。
【００１１】
さらに請求項３記載の発明は、請求項１又は２記載の空気浄化装置において、フィルター２が紙で構成されていることを特徴とする。さらに請求項４記載の発明は、請求項１乃至３のいずれかに記載の空気浄化装置において、フィルター２が筒状に形成されていることを特徴とする。
【００１２】
さらに請求項５記載の発明は、請求項１乃至４のいずれかに記載の空気浄化装置において、フィルター２と、エアーポンプ３とを内部に設置することのできる空間部を有するケーシング１が、さらに具備されていることを特徴とする。さらに請求項６記載の発明は、請求項５記載の空気浄化装置において、ケーシング１に把持可能な把手１３が設けられていることを特徴とする。さらに請求項７記載の発明は、請求項５又は６記載の空気浄化装置において、ケーシング１に、該ケーシング１の内部を開閉自在とする蓋体１２が設けられていることを特徴とする。
【００１３】
さらに請求項８記載の発明は、請求項１乃至７のいずれかに記載の空気浄化装置において、エアーマスク４が碗形に形成されていることを特徴とする。さらに請求項９記載の発明は、請求項１乃至８のいずれかに記載の空気浄化装置において、吸着材が、天然鉱石を具備させた繊維であることを特徴とする。
【００１４】
さらに請求項１０記載の発明は、請求項１乃至９のいずれかに記載の空気浄化装置において、天然鉱石が平津長石であることを特徴とする。さらに請求項１１記載の発明は、請求項１乃至１０のいずれかに記載の空気浄化装置において、繊維が人造繊維、レーヨン、耐熱性繊維、又はセルロースであることを特徴とする。
【００１５】
さらに請求項１２記載の発明は、請求項１乃至１１のいずれかに記載の空気浄化装置において、天然鉱石が粉末状であることを特徴とする。さらに請求項１３記載の発明は、請求項１乃至１２のいずれかに記載の空気浄化装置において、フィルター２の内部が、少なくとも１個の多孔板５で区画され、該多孔板５で区画された一方の区画室６ａに活性炭が収容され、他方の区画室６ｂに天然鉱石を含有させた繊維７が収容されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
上述のように、本発明は、空気中の埃、粉塵、微粒子等の不純物を吸着するための吸着材を収容したフィルターと、該フィルター内へ空気を吸引するためのエアーマスクと、該エアーマスクによる空気の吸引を作動させるためのエアーポンプとを空気浄化装置に具備させたものであるため、このような空気浄化装置を室内等に設置し、エアーポンプを作動させることによって、室内等で発生する埃、花粉等の粉塵、菌類等の不純物をエアーマスクから吸引して流入させ、フィルター内に収容された吸着材に吸着させることによって、上記空気中の不純物を好適に除去することができる。
【００１７】
このように、本発明によって、フィルター、エアーマスク、エアーポンプからなる簡易な構成であって、室内の空気をエアーマスクから吸引し、フィルター内の吸着材で確実に吸着除去することのできる空気浄化装置を提供することが可能となった。
【００１８】
また、エアーポンプの作動によりエアーマスクから１．５〜２．５L／分の空気を吸引しうるように構成されている場合には、埃、花粉等の粉塵、菌類等、室内で通常発生する不純物の他、キシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等、壁材等の室内装備品から発生する、いわゆるシックハウス症候群の要因となるような溶剤類の微粒子、或いはＮＯX 、ＳＯX 等の有害成分やＣＯ2 等の環境汚染の要因となるような屋外から流入しうるような不純物等、多種多様な不純物を吸着させることが可能となる効果がある。
【００１９】
さらにフィルターが紙で構成されている場合には、一定期間使用後のフィルターの一般家庭における廃棄処分も容易であり、また一般家庭で焼却等によって廃棄しても環境汚染を招くこともないという利点がある。
【００２０】
またフィルターが筒状に形成されている場合には、たとえば天然鉱石を具備させた繊維等、フィルター内に収容される吸着材が嵩張り易いようなものである場合に、筒状のフィルターによって収容される吸着材が圧縮され易い状態になるという効果がある。
【００２１】
さらに、フィルターとエアーポンプとを内部に設置することのできる空間部を有するケーシングが具備されている場合には、空気吸引のためのエアーマスクのみをケーシングの外部に裸出させ、全体がコンパクトな状態となるようにフィルターとエアーポンプとをケーシング内に収納することができるので、装置全体を、一般の空気浄化装置に比べて著しく小型化することができ、室内に設置するのに好適な空気浄化装置を提供することができるという効果がある。
【００２２】
さらに、ケーシングに把持可能な把手が設けられている場合には、持ち運びが容易となり、設置された室内から他の部屋への運搬も容易に行なえるので、１つの住居における置き換えや、他の住居への運搬等も容易に行なえるという効果がある。
またスペースをとることなく種々の場所に設置することができる。
【００２３】
さらにケーシングの内部を開閉自在とする蓋体が設けられている場合には、その
蓋体を開閉することで、内部に設置されているフィルターやエアーポンプ等の取り替え作業も容易に行なうことができるという効果がある。
【００２４】
さらに、エアーマスクが碗形に形成されている場合には、狭い室内における空気中の不純物を効率よく吸引することができ、その結果、フィルターでの吸着、除去も効率よく行なうことができるという効果がある。
【００２５】
さらに吸着材が天然鉱石を具備させた繊維である場合には、エアーマスクを介してフィルターに流入する空気中の各種の不純物が、その天然鉱石を具備させた繊維からなる吸着材に好適に吸着されることとなり、空気中の不純物を好適に除去することができるという効果がある。
【００２６】
特に、天然鉱石が平津長石である場合には、各種不純物の吸着除去効果がより良好になり、また消臭、抗菌作用によって室内の消臭や黴等の発生を防止することもできるという効果がある。
【００２７】
さらに天然鉱石が粉末状である場合には、天然鉱石を繊維に確実に具備させることができる。
【００２８】
さらに、フィルターの内部が、少なくとも１個の多孔板で区画され、該多孔板で区画された一方の区画室に、天然鉱石を含有させた繊維が収容され、他方の区画室に活性炭が収容されている場合には、吸着効果や消臭効果が一層良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の空気浄化装置は、図１乃至図３に示すように、ケーシング１と、フィルター２と、エアーポンプ３と、エアーマスク４とを具備している。
【００３０】
フィルター２は、空気中の不純物を吸着、除去するためのもので、該フィルター２は紙管によって構成されている。すなわち紙製のものであり、全体が円筒状に形成されている。本実施形態では、フィルター２は長さ３３ｃｍ、直径６ｃｍの紙管によって構成されている。
【００３１】
またフィルター２は、図３に示すように、微細孔を有する金網状の多孔板５によって、２つの区画室６ａ、６ｂに区画されている。そして、２つの区画室６ａ、６ｂのうち、一方の区画室６ａには活性炭８が収容されており、他方の区画室６ｂには、平津長石の粉末を含有させた繊維７が収容されている。さらに両側の区画室６ａ、６ｂのうち、一方の区画室６ａには、汚染空気の入り口部９が形成され、他方の区画室６ｂには、浄化空気の出口部１０が形成されている。そして、入り口部９には後述するチューブ１１ｂが接続され、出口部１０には後述するチューブ１１ａが接続されている。
【００３２】
尚、平津長石の組成は、次のとおりである。
成分 重量％
ＳｉＯ2 ５６．８
Ｋ2Ｏ ３．２
ＭｇＯ ０．１２
Ａｌ2Ｏ3 ２８．８
Ｆｅ2Ｏ3 ５．４
Ｃａ他 ５．６８
添貼剤 残量
【００３３】
また、繊維としては、ビスコースレーヨンが用いられる。平津長石の粉末をビスコースレーヨンに含有させるために、次のような方法が採用される。粒度０．８ 〜１．０μｍ未満の平津長石粉末を、粉砕処理により水に分散させ、２５重量％セラミックス分散液を調製する。
【００３４】
その際、分散剤としてβ−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩（ (株）花王製デモールＮ）を、平津長石固形分に対して３０重量％添加する。このセラミックス分散液を、セルロース当たりの平津長石添加量が３０重量％となるような量をビスコースに添加する。
尚、ビスコースは以下のような常法で調製する。
（１）木材パルプを苛性ソーダに浸漬してパルプに含まれているセルロースをアルカリセルロースに変える。
（２）アルカリセルロースに二硫化炭素を反応させてセルロースキサントゲン酸ナトリウム（ザンテート）に変える。
（３）ザンテートを薄い苛性ソーダ溶液に溶解してビスコースとする。
【００３５】
上記のようにしてビスコースにセラミックス分散液を添加したセラミックス含有ビスコースを湿式紡糸することにより鉱石含有レーヨン繊維を得る。このような湿式紡糸により得られたレーヨン繊維を、カット、捲縮、乾燥し、平津長石を含有する繊維長３８ｍｍのレーヨンステープル及び繊維長５ｍｍのショートカットレーヨンを得る。
このようなレーヨンステープル及びショートカットレーヨンが、上記一方の区画室６ｂに収容されている。
【００３６】
エアーポンプ３は前記フィルター２に空気を供給するためのもので、一端側がチューブ１１ａを介して前記フィルター２に接続されている。そして、このエアーポンプ３は、図２に示すように、前記ケーシング１の下部に配置されており、前記フィルター２は、該ケーシング１の上部に配置されている。エアーポンプ３の他端側には、コード（図示せず）が接続されている。このエアーポンプ３としては、本実施形態では、株式会社安永製の形式ＹＰ−６Ａのものを用いた。その定格、仕様は次のとおりである。
【００３７】
定格電圧：１００Ｖ
定格消費電力：７Ｗ
定格周波数：５０／６０ＨＺ
常用圧力：０．０１ＭＰａ
風量：２L／min
【００３８】
エアーマスク４は、空気を吸引するためのもので、チューブ１１ｂを介して前記フィルター２に接続されている。ケーシング１には孔１４が穿設されており、フィルター２に一端側が接続されたチューブ１１ｂは、前記孔１４を通過するようにケーシング１の内部から外部に臨出され、外部に臨出した他端側がエアーマスク４に接続されている。これによってエアーマスク４が前記ケーシング１の外部に配置された状態となる。このようにチューブ１１ａ、１１ｂを介してエアーポンプ３、フィルター２、エアーマスク４が接続されている結果、前記エアーポンプ３の作動により、ケーシング１の外部の空気を吸引して、前記フィルター２側へ１分間に約２リットルの空気を供給しうるように構成されている。また、このエアーマスク４は、全体が碗形に形成されている。
【００３９】
ケーシング１の上部には把手１３が設けられており、内部に設置されたフィルター２及びエアーポンプ３とともに持ち運び可能に構成されている。ただしエアーマスク４は
ケーシング１の外部に設けられているので、このエアーマスク４はケーシング１とは別に保持しながら持ち運ぶ必要がある。ケーシング１は全体が木製のもので、略直方体状に形成され、そのケーシング１の一面側には蓋体１２が開閉自在に取り付けられている。
【００４０】
そして、このような構成からなる空気浄化装置は、たとえば室内に設置して室内の空気浄化用として使用される。そして、この空気浄化装置を使用する場合には、先ずコード（図示せず）を電源部に差し込み、エアーポンプ３を作動させることによって、エアーマスク４から空気を吸引する。これによって室内の空気はエアーマスク４からチューブ１１ｂを介してフィルター２に流入する。より具体的には、フィルター２の入り口部９から一方の区画室６ａ内に流入させる。
【００４１】
流入した空気中の不純物は、区画室６ａ内に収容された活性炭８に吸着される。さらに空気は、区画室６ａから多孔板５を介して区画室６ｂに流入し、区画室６ａ内で除去されなかった不純物は、区画室６ｂ内に収容された繊維７に含有されている平津長石の粉末に吸着される。
【００４２】
このように、本実施形態では、活性炭８が収容された区画室６ａと、平津長石の粉末が含有された繊維７が収容された区画室６ｂとを、不純物質を含む空気が通過するため、
その空気中の不純物質は、区画室６ａに収容された活性炭と、区画室６ｂに収容された繊維に含有された平津長石の粉末とに吸着される。
【００４３】
従って、空気からの不純物質の吸着効果が非常に良好となる。特に、区画室６ｂには、平津長石の粉末が含有された繊維が収容されているため、埃、粉塵、菌等の各種の不純物を好適に除去することができる他、シックハウス症候群の要因となるキシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等の成分を吸着することができ、さらには、優れた消臭効果を得ることもできる。
【００４４】
また区画室６ａに活性炭８が収容されていることによって、臭気成分はその活性炭８にも好適に吸着され、消臭効果が一層良好となる。
【００４５】
尚、吸着材としての活性炭８の吸着能が低下し、或いは繊維７に具備された平津長石の粉末の吸着能が低下した場合には、このような活性炭８や繊維７が区画室内に収容された新たなフィルター２と交換する必要がある。その場合においても、上述のようにケーシング１に蓋体１２が開閉自在に設けられているので、フィルター２の交換を容易に行なうことができる。
【００４６】
また使用済みのフィルター２は、そのまま廃棄されることになる。この場合において、フィルター２は上述のように紙管で構成され、またフィルター２内の収容物は人造繊維であるレーヨン、天然鉱石である平津長石、及び活性炭であり、廃棄されるものがすべて天然素材からなるものであるため、廃棄後に環境汚染等を生じさせることもない。さらに、フィルター２自体及び収容物がすべて天然素材からなるため、家庭等において焼却等の手段で廃棄することも可能となる。
【００４７】
以上のように、本実施形態においては、フィルター２とエアーポンプ３とをケーシング１内に具備し、エアーマスク４をケーシング１の外部に裸出させて空気を吸引し、
吸引した空気をフィルター２側に供給して空気中の不純物を吸着、除去するように構成されたものであるため、装置全体の構成が非常に簡易なものとなり、特に室内に設置する空気浄化用に適した装置を提供しうるに至った。そして、フィルター２とエアーポンプ３とがケーシング１内に具備されているので、持ち運びも容易となり、他の室内への移動も容易に行なうことができる。
【００４８】
尚、繊維に含有される平津長石の組成は上記実施例に限定されるものではなく、たとえば次の組成のような平津長石も使用可能である。
【００４９】
成分 重量％
ＳｉＯ2 ６６．１５
Ａｌ2Ｏ3 １９．３７
Ｆｅ2Ｏ3 ０．０６
ＣａＯ ０．２５
ＭｇＯ ０．０７
Ｋ2Ｏ ６．９５
Ｎａ2Ｏ ６．００
その他 ０．５０
【００５０】
また、繊維に含有させる平津長石の粒径は、特に限定されないが、安定性の観点からは、０．５ 〜３μｍ、特に上記実施形態のように０．８〜１．０μｍとすることが好ましい。さらに、繊維に対する平津長石の添加量も特に限定されないが、最も効率よく浄化作用を得るためには、セルロースに対して１０〜５０重量％の範囲が好ましく、１５〜３０％の範囲がより好ましい。
【００５１】
尚、平津長石の粉末は、レーヨンに直接添加してもよいが、均一に分散させるためには、上記実施形態のように、一旦セラミックス分散液に調整して添加するのが好ましい。さらに、上記実施形態では、平津長石をビスコースレーヨンに添加したが、ビスコース以外のレーヨン、すなわち銅アンモニアレーヨンやアセテート等に含有させることも可能である。また、このようなレーヨンに限らず、合成繊維に含有させることも可能である。さらには、パルプ、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維に含有させることも可能であり、繊維の種類は問わない。
【００５２】
さらに、天然鉱石を含有する繊維は、上記実施形態のように単独で用いてもよいが、綿との混紡、綿糸との交織、あるいは綿糸と混合して不織布を製造することによって構成してもよい。すなわち、本発明における繊維とは、不織布のようなものをも含む概念である。
【００５３】
さらに、上記実施形態では、繊維に含有させる天然鉱石として平津長石を用いたため、上記のような好ましい効果が得られたが、繊維に含有させる天然鉱石の種類は該実施形態の平津長石に限定されるものではない。
【００５４】
尚、繊維の種類や天然鉱石の種類によっては、上記実施形態のように、分散液に調製して添加することで繊維に含有させる手段に限らず、たとえば接着剤とともに混練して接着させるような手段であってもよく、また塗装することによって含有させる手段であってもよい。
【００５５】
さらに、上記実施形態では、フィルター２が、１つの多孔板５で２つの区画室６ａ、６ｂに区画されていたが、区画室の数は該実施形態の２室に限定されるものではなく、たとえば３室であってもよく、或いは４室以上であってもよい。たとえば３室の場合には２つの多孔板５が用いられ、４室の場合には３つの多孔板５が用いられる。
【００５６】
さらに、フィルター２における空気の入口部９や出口部１０の構造、形成箇所も該実施形態に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【００５７】
さらに、上記実施形態では、吸着材の１つとして活性炭を用いたが、活性炭以外の吸着材、たとえばゼオライトのようなものを用いることも可能である。また溶射されたセラミックの粒子のようなものを用いることも可能である。さらに上記実施形態では、一方の区画室６ａに活性炭を収容し、他方の区画室６ｂに平津長石の粉末を含有させた合成繊維を収容したが、これに限らず、たとえば両方の区画室６ａ、６ｂに鉱石を含有させた合成繊維を収容することも可能である。
【００５８】
さらに、上記実施形態では、フィルター２が略円筒状に形成されていたため、上記繊維等、嵩張り易い収容物を圧縮した状態で収容することができるという好ましい効果が得られたが、フィルター２の形状は該実施形態に限定されるものではなく、たとえば四角筒状や三角筒状のものであってもよく、さらには筒状以外の形状であってもよい。
【００５９】
また上記実施形態では、フィルター２が紙で構成されていたため、一定期間使用後のフィルターの一般家庭における廃棄処分が容易となり、また一般家庭で焼却等によって廃棄しても環境汚染を招くこともないという好ましい効果が得られたが、フィルター２の材質も該実施形態に限定されるものではなく、たとえば合成樹脂、合成繊維、金属等のもので構成することも可能である。ただし、環境汚染を招くことなく廃棄処分を容易
にするには、天然素材で構成されていることが好ましい。
【００６０】
さらに上記実施形態では、ケーシング１の全体が木製で略直方体状に形成されていたが、ケーシング１の形状も該実施形態の略直方体状に限定されるものではなく、またその材質も木製に限定されない。
【００６１】
さらに、該実施形態では、エアーポンプ３として風量が２L／minのものを用いたが、エアーポンプ３の風量は該実施形態に限定されるものではない。ただし、埃、花粉等の粉塵、菌類等、室内で通常発生する不純物、キシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等、壁材等の室内装備品から発生する、いわゆるシックハウス症候群の要因となるような溶剤類、或いはＮＯX 、ＳＯX 等の有害成分やＣＯ2 等の環境汚染の要因となるような屋外から流入しうるような不純物等、多種多様な不純物を好適に吸着させる観点からは、１．５〜２．５L／min程度の風量であることが好ましい。
【実施例】
【００６２】
以下、本発明の実施例について説明する。
【００６３】
上記実施形態１の空気浄化装置に具備されたフィルターを用いて、シックハウス対策として問題視されている６種類の物質に対する浄化、消臭についての試験を行なった。
【００６４】
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの６物質について、建材の塗料や接着剤、防虫剤等に使われて、屋内空気を汚染し、健康に影響を与えるとされる濃度を想定し、原ガスを作成し、確認測定し、このガスを上記フィルターに２L／minで通気させ、その濃度をガスクロマトグラフ法にて測定を行なった。
【００６５】
試験結果を表１に示す。
【００６６】
【表１】
【００６７】
上記表１からも明らかなように、フィルター通過後のトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの濃度は、いずれも原ガス濃度に比べて著しく低減することができた。ちなみに、これらの濃度は、いずれも厚生省の室内濃度の安全基準を下回るものであった。
【図面の簡単な説明】
【００６８】
【図１】一実施形態の空気浄化装置の概略斜視図。
【図２】同空気浄化装置の蓋体を開いた状態の概略側面図。
【図３】フィルターの部分の断面図。
【符号の説明】
【００６９】
１…ケーシング ２…フィルター
３…エアーポンプ ４…エアーマスク
６ａ、６ｂ…区画室 ７…繊維
【技術分野】
【０００１】
本発明は空気浄化装置、さらに詳しくは、空気を改質することによって主として室内の空気を浄化することができる空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、空調設備等の普及により、住居等の室内は年間を通じて密閉状態であることが多い。このように室内の密封状態が多くなると、埃、粉塵等が室内で舞うこととなり、居住者にアレルギー、喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎等の症状が発生する等、健康面を阻害するおそれがある。
【０００３】
このため、定期的に、窓や換気孔から外気を室内に取り込む等して空気の入替えを行う必要がある。しかし、近年では自動車の排気ガスや工場排ガス等によって、空気中に窒素酸化物（ＮＯX）や硫黄酸化物（ＳＯX）等の有害成分や二酸化炭素（ＣＯ2）等が排出される傾向にある。従って、住宅地といえども、屋外の空気が清浄であるとは必ずしもいえない。
【０００４】
そこで、このような問題を解決するために、室内等の空気を浄化するために種々の空気浄化装置が開発されている。たとえば、下記特許文献１は、ケース内に、送風機と、光触媒フィルターと、光源とを具備させた構成からなるものである。この特許文献１に開示された空気浄化装置は、産業用ではなく、室内に設置することを目的として開発されたものではあるが、送風機を具備し、また光触媒フィルターや光源を複数具備しているので装置が大型化し、据置型として使用されるにとどまるものである。
従って、一旦室内に設置すると、他の部屋へ移動させるなどは容易ではない。
【０００５】
また送風機の他に光源も具備しているので、製造コストを安価にすることには限界があり、室内用としては比較的高価な装置となる。さらに、この種の装置は光触媒反応によって空気中の粉塵等の不純物を分解して除去するので、光触媒反応自体が好適に生じないと、不純物を除去する作用が好適に発揮されないこととなっていた。
【０００６】
さらに特許文献２に開示された空気浄化装置は、被処理空気と洗浄液とを接触させるための気液接触室内に冷却用熱交換器を設置し、その気液接触室の下から上に被処理空気を流通させるとともに、冷却用熱交換器の上方から洗浄液を滴下させるように構成されたものである。
【０００７】
しかし、この特許文献２の空気浄化装置は、気液接触室や冷却用熱交換器を具備した大がかりな装置であり、設置場所が限定されたり、経済的に高価であるため、手軽に設置することができないものであった。また、気液接触や熱交換等を行なうので、
特許文献２の全体にも記載されているように、加熱調理が行なわれる厨房等に設置するのに適しており、一般家庭の室内に設置するには不適なものであった。
【０００８】
【特許文献１】特開２００４−１６７０５号公報
【特許文献２】特開２００５−７３０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、
空気中の不純物、たとえば埃、花粉等の粉塵、菌類等室内で発生する不純物、或いはキシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等、いわゆるシックハウス症候群の要因となるような溶剤類、或いはＮＯX 、ＳＯX 等の有害成分やＣＯ2 等の環境汚染の要因となるような不純物等、各種の不純物を除去することができる空気浄化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、請求項１記載の発明は、空気中の埃、粉塵、微粒子等の不純物を吸着するための吸着材を収容したフィルター２と、該フィルター２内へ空気を吸引するためのエアーマスク４と、該エアーマスク４による空気の吸引を作動させるためのエアーポンプ３とを具備することを特徴とする。また請求項２記載の発明は、請求項１記載の空気浄化装置において、エアーポンプ３の作動によりエアーマスク４から１．５〜２．５L／分の空気を吸引しうるように構成されていることを特徴とする。
【００１１】
さらに請求項３記載の発明は、請求項１又は２記載の空気浄化装置において、フィルター２が紙で構成されていることを特徴とする。さらに請求項４記載の発明は、請求項１乃至３のいずれかに記載の空気浄化装置において、フィルター２が筒状に形成されていることを特徴とする。
【００１２】
さらに請求項５記載の発明は、請求項１乃至４のいずれかに記載の空気浄化装置において、フィルター２と、エアーポンプ３とを内部に設置することのできる空間部を有するケーシング１が、さらに具備されていることを特徴とする。さらに請求項６記載の発明は、請求項５記載の空気浄化装置において、ケーシング１に把持可能な把手１３が設けられていることを特徴とする。さらに請求項７記載の発明は、請求項５又は６記載の空気浄化装置において、ケーシング１に、該ケーシング１の内部を開閉自在とする蓋体１２が設けられていることを特徴とする。
【００１３】
さらに請求項８記載の発明は、請求項１乃至７のいずれかに記載の空気浄化装置において、エアーマスク４が碗形に形成されていることを特徴とする。さらに請求項９記載の発明は、請求項１乃至８のいずれかに記載の空気浄化装置において、吸着材が、天然鉱石を具備させた繊維であることを特徴とする。
【００１４】
さらに請求項１０記載の発明は、請求項１乃至９のいずれかに記載の空気浄化装置において、天然鉱石が平津長石であることを特徴とする。さらに請求項１１記載の発明は、請求項１乃至１０のいずれかに記載の空気浄化装置において、繊維が人造繊維、レーヨン、耐熱性繊維、又はセルロースであることを特徴とする。
【００１５】
さらに請求項１２記載の発明は、請求項１乃至１１のいずれかに記載の空気浄化装置において、天然鉱石が粉末状であることを特徴とする。さらに請求項１３記載の発明は、請求項１乃至１２のいずれかに記載の空気浄化装置において、フィルター２の内部が、少なくとも１個の多孔板５で区画され、該多孔板５で区画された一方の区画室６ａに活性炭が収容され、他方の区画室６ｂに天然鉱石を含有させた繊維７が収容されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
上述のように、本発明は、空気中の埃、粉塵、微粒子等の不純物を吸着するための吸着材を収容したフィルターと、該フィルター内へ空気を吸引するためのエアーマスクと、該エアーマスクによる空気の吸引を作動させるためのエアーポンプとを空気浄化装置に具備させたものであるため、このような空気浄化装置を室内等に設置し、エアーポンプを作動させることによって、室内等で発生する埃、花粉等の粉塵、菌類等の不純物をエアーマスクから吸引して流入させ、フィルター内に収容された吸着材に吸着させることによって、上記空気中の不純物を好適に除去することができる。
【００１７】
このように、本発明によって、フィルター、エアーマスク、エアーポンプからなる簡易な構成であって、室内の空気をエアーマスクから吸引し、フィルター内の吸着材で確実に吸着除去することのできる空気浄化装置を提供することが可能となった。
【００１８】
また、エアーポンプの作動によりエアーマスクから１．５〜２．５L／分の空気を吸引しうるように構成されている場合には、埃、花粉等の粉塵、菌類等、室内で通常発生する不純物の他、キシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等、壁材等の室内装備品から発生する、いわゆるシックハウス症候群の要因となるような溶剤類の微粒子、或いはＮＯX 、ＳＯX 等の有害成分やＣＯ2 等の環境汚染の要因となるような屋外から流入しうるような不純物等、多種多様な不純物を吸着させることが可能となる効果がある。
【００１９】
さらにフィルターが紙で構成されている場合には、一定期間使用後のフィルターの一般家庭における廃棄処分も容易であり、また一般家庭で焼却等によって廃棄しても環境汚染を招くこともないという利点がある。
【００２０】
またフィルターが筒状に形成されている場合には、たとえば天然鉱石を具備させた繊維等、フィルター内に収容される吸着材が嵩張り易いようなものである場合に、筒状のフィルターによって収容される吸着材が圧縮され易い状態になるという効果がある。
【００２１】
さらに、フィルターとエアーポンプとを内部に設置することのできる空間部を有するケーシングが具備されている場合には、空気吸引のためのエアーマスクのみをケーシングの外部に裸出させ、全体がコンパクトな状態となるようにフィルターとエアーポンプとをケーシング内に収納することができるので、装置全体を、一般の空気浄化装置に比べて著しく小型化することができ、室内に設置するのに好適な空気浄化装置を提供することができるという効果がある。
【００２２】
さらに、ケーシングに把持可能な把手が設けられている場合には、持ち運びが容易となり、設置された室内から他の部屋への運搬も容易に行なえるので、１つの住居における置き換えや、他の住居への運搬等も容易に行なえるという効果がある。
またスペースをとることなく種々の場所に設置することができる。
【００２３】
さらにケーシングの内部を開閉自在とする蓋体が設けられている場合には、その
蓋体を開閉することで、内部に設置されているフィルターやエアーポンプ等の取り替え作業も容易に行なうことができるという効果がある。
【００２４】
さらに、エアーマスクが碗形に形成されている場合には、狭い室内における空気中の不純物を効率よく吸引することができ、その結果、フィルターでの吸着、除去も効率よく行なうことができるという効果がある。
【００２５】
さらに吸着材が天然鉱石を具備させた繊維である場合には、エアーマスクを介してフィルターに流入する空気中の各種の不純物が、その天然鉱石を具備させた繊維からなる吸着材に好適に吸着されることとなり、空気中の不純物を好適に除去することができるという効果がある。
【００２６】
特に、天然鉱石が平津長石である場合には、各種不純物の吸着除去効果がより良好になり、また消臭、抗菌作用によって室内の消臭や黴等の発生を防止することもできるという効果がある。
【００２７】
さらに天然鉱石が粉末状である場合には、天然鉱石を繊維に確実に具備させることができる。
【００２８】
さらに、フィルターの内部が、少なくとも１個の多孔板で区画され、該多孔板で区画された一方の区画室に、天然鉱石を含有させた繊維が収容され、他方の区画室に活性炭が収容されている場合には、吸着効果や消臭効果が一層良好となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の空気浄化装置は、図１乃至図３に示すように、ケーシング１と、フィルター２と、エアーポンプ３と、エアーマスク４とを具備している。
【００３０】
フィルター２は、空気中の不純物を吸着、除去するためのもので、該フィルター２は紙管によって構成されている。すなわち紙製のものであり、全体が円筒状に形成されている。本実施形態では、フィルター２は長さ３３ｃｍ、直径６ｃｍの紙管によって構成されている。
【００３１】
またフィルター２は、図３に示すように、微細孔を有する金網状の多孔板５によって、２つの区画室６ａ、６ｂに区画されている。そして、２つの区画室６ａ、６ｂのうち、一方の区画室６ａには活性炭８が収容されており、他方の区画室６ｂには、平津長石の粉末を含有させた繊維７が収容されている。さらに両側の区画室６ａ、６ｂのうち、一方の区画室６ａには、汚染空気の入り口部９が形成され、他方の区画室６ｂには、浄化空気の出口部１０が形成されている。そして、入り口部９には後述するチューブ１１ｂが接続され、出口部１０には後述するチューブ１１ａが接続されている。
【００３２】
尚、平津長石の組成は、次のとおりである。
成分 重量％
ＳｉＯ2 ５６．８
Ｋ2Ｏ ３．２
ＭｇＯ ０．１２
Ａｌ2Ｏ3 ２８．８
Ｆｅ2Ｏ3 ５．４
Ｃａ他 ５．６８
添貼剤 残量
【００３３】
また、繊維としては、ビスコースレーヨンが用いられる。平津長石の粉末をビスコースレーヨンに含有させるために、次のような方法が採用される。粒度０．８ 〜１．０μｍ未満の平津長石粉末を、粉砕処理により水に分散させ、２５重量％セラミックス分散液を調製する。
【００３４】
その際、分散剤としてβ−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩（ (株）花王製デモールＮ）を、平津長石固形分に対して３０重量％添加する。このセラミックス分散液を、セルロース当たりの平津長石添加量が３０重量％となるような量をビスコースに添加する。
尚、ビスコースは以下のような常法で調製する。
（１）木材パルプを苛性ソーダに浸漬してパルプに含まれているセルロースをアルカリセルロースに変える。
（２）アルカリセルロースに二硫化炭素を反応させてセルロースキサントゲン酸ナトリウム（ザンテート）に変える。
（３）ザンテートを薄い苛性ソーダ溶液に溶解してビスコースとする。
【００３５】
上記のようにしてビスコースにセラミックス分散液を添加したセラミックス含有ビスコースを湿式紡糸することにより鉱石含有レーヨン繊維を得る。このような湿式紡糸により得られたレーヨン繊維を、カット、捲縮、乾燥し、平津長石を含有する繊維長３８ｍｍのレーヨンステープル及び繊維長５ｍｍのショートカットレーヨンを得る。
このようなレーヨンステープル及びショートカットレーヨンが、上記一方の区画室６ｂに収容されている。
【００３６】
エアーポンプ３は前記フィルター２に空気を供給するためのもので、一端側がチューブ１１ａを介して前記フィルター２に接続されている。そして、このエアーポンプ３は、図２に示すように、前記ケーシング１の下部に配置されており、前記フィルター２は、該ケーシング１の上部に配置されている。エアーポンプ３の他端側には、コード（図示せず）が接続されている。このエアーポンプ３としては、本実施形態では、株式会社安永製の形式ＹＰ−６Ａのものを用いた。その定格、仕様は次のとおりである。
【００３７】
定格電圧：１００Ｖ
定格消費電力：７Ｗ
定格周波数：５０／６０ＨＺ
常用圧力：０．０１ＭＰａ
風量：２L／min
【００３８】
エアーマスク４は、空気を吸引するためのもので、チューブ１１ｂを介して前記フィルター２に接続されている。ケーシング１には孔１４が穿設されており、フィルター２に一端側が接続されたチューブ１１ｂは、前記孔１４を通過するようにケーシング１の内部から外部に臨出され、外部に臨出した他端側がエアーマスク４に接続されている。これによってエアーマスク４が前記ケーシング１の外部に配置された状態となる。このようにチューブ１１ａ、１１ｂを介してエアーポンプ３、フィルター２、エアーマスク４が接続されている結果、前記エアーポンプ３の作動により、ケーシング１の外部の空気を吸引して、前記フィルター２側へ１分間に約２リットルの空気を供給しうるように構成されている。また、このエアーマスク４は、全体が碗形に形成されている。
【００３９】
ケーシング１の上部には把手１３が設けられており、内部に設置されたフィルター２及びエアーポンプ３とともに持ち運び可能に構成されている。ただしエアーマスク４は
ケーシング１の外部に設けられているので、このエアーマスク４はケーシング１とは別に保持しながら持ち運ぶ必要がある。ケーシング１は全体が木製のもので、略直方体状に形成され、そのケーシング１の一面側には蓋体１２が開閉自在に取り付けられている。
【００４０】
そして、このような構成からなる空気浄化装置は、たとえば室内に設置して室内の空気浄化用として使用される。そして、この空気浄化装置を使用する場合には、先ずコード（図示せず）を電源部に差し込み、エアーポンプ３を作動させることによって、エアーマスク４から空気を吸引する。これによって室内の空気はエアーマスク４からチューブ１１ｂを介してフィルター２に流入する。より具体的には、フィルター２の入り口部９から一方の区画室６ａ内に流入させる。
【００４１】
流入した空気中の不純物は、区画室６ａ内に収容された活性炭８に吸着される。さらに空気は、区画室６ａから多孔板５を介して区画室６ｂに流入し、区画室６ａ内で除去されなかった不純物は、区画室６ｂ内に収容された繊維７に含有されている平津長石の粉末に吸着される。
【００４２】
このように、本実施形態では、活性炭８が収容された区画室６ａと、平津長石の粉末が含有された繊維７が収容された区画室６ｂとを、不純物質を含む空気が通過するため、
その空気中の不純物質は、区画室６ａに収容された活性炭と、区画室６ｂに収容された繊維に含有された平津長石の粉末とに吸着される。
【００４３】
従って、空気からの不純物質の吸着効果が非常に良好となる。特に、区画室６ｂには、平津長石の粉末が含有された繊維が収容されているため、埃、粉塵、菌等の各種の不純物を好適に除去することができる他、シックハウス症候群の要因となるキシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等の成分を吸着することができ、さらには、優れた消臭効果を得ることもできる。
【００４４】
また区画室６ａに活性炭８が収容されていることによって、臭気成分はその活性炭８にも好適に吸着され、消臭効果が一層良好となる。
【００４５】
尚、吸着材としての活性炭８の吸着能が低下し、或いは繊維７に具備された平津長石の粉末の吸着能が低下した場合には、このような活性炭８や繊維７が区画室内に収容された新たなフィルター２と交換する必要がある。その場合においても、上述のようにケーシング１に蓋体１２が開閉自在に設けられているので、フィルター２の交換を容易に行なうことができる。
【００４６】
また使用済みのフィルター２は、そのまま廃棄されることになる。この場合において、フィルター２は上述のように紙管で構成され、またフィルター２内の収容物は人造繊維であるレーヨン、天然鉱石である平津長石、及び活性炭であり、廃棄されるものがすべて天然素材からなるものであるため、廃棄後に環境汚染等を生じさせることもない。さらに、フィルター２自体及び収容物がすべて天然素材からなるため、家庭等において焼却等の手段で廃棄することも可能となる。
【００４７】
以上のように、本実施形態においては、フィルター２とエアーポンプ３とをケーシング１内に具備し、エアーマスク４をケーシング１の外部に裸出させて空気を吸引し、
吸引した空気をフィルター２側に供給して空気中の不純物を吸着、除去するように構成されたものであるため、装置全体の構成が非常に簡易なものとなり、特に室内に設置する空気浄化用に適した装置を提供しうるに至った。そして、フィルター２とエアーポンプ３とがケーシング１内に具備されているので、持ち運びも容易となり、他の室内への移動も容易に行なうことができる。
【００４８】
尚、繊維に含有される平津長石の組成は上記実施例に限定されるものではなく、たとえば次の組成のような平津長石も使用可能である。
【００４９】
成分 重量％
ＳｉＯ2 ６６．１５
Ａｌ2Ｏ3 １９．３７
Ｆｅ2Ｏ3 ０．０６
ＣａＯ ０．２５
ＭｇＯ ０．０７
Ｋ2Ｏ ６．９５
Ｎａ2Ｏ ６．００
その他 ０．５０
【００５０】
また、繊維に含有させる平津長石の粒径は、特に限定されないが、安定性の観点からは、０．５ 〜３μｍ、特に上記実施形態のように０．８〜１．０μｍとすることが好ましい。さらに、繊維に対する平津長石の添加量も特に限定されないが、最も効率よく浄化作用を得るためには、セルロースに対して１０〜５０重量％の範囲が好ましく、１５〜３０％の範囲がより好ましい。
【００５１】
尚、平津長石の粉末は、レーヨンに直接添加してもよいが、均一に分散させるためには、上記実施形態のように、一旦セラミックス分散液に調整して添加するのが好ましい。さらに、上記実施形態では、平津長石をビスコースレーヨンに添加したが、ビスコース以外のレーヨン、すなわち銅アンモニアレーヨンやアセテート等に含有させることも可能である。また、このようなレーヨンに限らず、合成繊維に含有させることも可能である。さらには、パルプ、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維に含有させることも可能であり、繊維の種類は問わない。
【００５２】
さらに、天然鉱石を含有する繊維は、上記実施形態のように単独で用いてもよいが、綿との混紡、綿糸との交織、あるいは綿糸と混合して不織布を製造することによって構成してもよい。すなわち、本発明における繊維とは、不織布のようなものをも含む概念である。
【００５３】
さらに、上記実施形態では、繊維に含有させる天然鉱石として平津長石を用いたため、上記のような好ましい効果が得られたが、繊維に含有させる天然鉱石の種類は該実施形態の平津長石に限定されるものではない。
【００５４】
尚、繊維の種類や天然鉱石の種類によっては、上記実施形態のように、分散液に調製して添加することで繊維に含有させる手段に限らず、たとえば接着剤とともに混練して接着させるような手段であってもよく、また塗装することによって含有させる手段であってもよい。
【００５５】
さらに、上記実施形態では、フィルター２が、１つの多孔板５で２つの区画室６ａ、６ｂに区画されていたが、区画室の数は該実施形態の２室に限定されるものではなく、たとえば３室であってもよく、或いは４室以上であってもよい。たとえば３室の場合には２つの多孔板５が用いられ、４室の場合には３つの多孔板５が用いられる。
【００５６】
さらに、フィルター２における空気の入口部９や出口部１０の構造、形成箇所も該実施形態に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【００５７】
さらに、上記実施形態では、吸着材の１つとして活性炭を用いたが、活性炭以外の吸着材、たとえばゼオライトのようなものを用いることも可能である。また溶射されたセラミックの粒子のようなものを用いることも可能である。さらに上記実施形態では、一方の区画室６ａに活性炭を収容し、他方の区画室６ｂに平津長石の粉末を含有させた合成繊維を収容したが、これに限らず、たとえば両方の区画室６ａ、６ｂに鉱石を含有させた合成繊維を収容することも可能である。
【００５８】
さらに、上記実施形態では、フィルター２が略円筒状に形成されていたため、上記繊維等、嵩張り易い収容物を圧縮した状態で収容することができるという好ましい効果が得られたが、フィルター２の形状は該実施形態に限定されるものではなく、たとえば四角筒状や三角筒状のものであってもよく、さらには筒状以外の形状であってもよい。
【００５９】
また上記実施形態では、フィルター２が紙で構成されていたため、一定期間使用後のフィルターの一般家庭における廃棄処分が容易となり、また一般家庭で焼却等によって廃棄しても環境汚染を招くこともないという好ましい効果が得られたが、フィルター２の材質も該実施形態に限定されるものではなく、たとえば合成樹脂、合成繊維、金属等のもので構成することも可能である。ただし、環境汚染を招くことなく廃棄処分を容易
にするには、天然素材で構成されていることが好ましい。
【００６０】
さらに上記実施形態では、ケーシング１の全体が木製で略直方体状に形成されていたが、ケーシング１の形状も該実施形態の略直方体状に限定されるものではなく、またその材質も木製に限定されない。
【００６１】
さらに、該実施形態では、エアーポンプ３として風量が２L／minのものを用いたが、エアーポンプ３の風量は該実施形態に限定されるものではない。ただし、埃、花粉等の粉塵、菌類等、室内で通常発生する不純物、キシレン、トルエン、パラジクロロベンゼン、ホルムアルデヒド等、壁材等の室内装備品から発生する、いわゆるシックハウス症候群の要因となるような溶剤類、或いはＮＯX 、ＳＯX 等の有害成分やＣＯ2 等の環境汚染の要因となるような屋外から流入しうるような不純物等、多種多様な不純物を好適に吸着させる観点からは、１．５〜２．５L／min程度の風量であることが好ましい。
【実施例】
【００６２】
以下、本発明の実施例について説明する。
【００６３】
上記実施形態１の空気浄化装置に具備されたフィルターを用いて、シックハウス対策として問題視されている６種類の物質に対する浄化、消臭についての試験を行なった。
【００６４】
トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの６物質について、建材の塗料や接着剤、防虫剤等に使われて、屋内空気を汚染し、健康に影響を与えるとされる濃度を想定し、原ガスを作成し、確認測定し、このガスを上記フィルターに２L／minで通気させ、その濃度をガスクロマトグラフ法にて測定を行なった。
【００６５】
試験結果を表１に示す。
【００６６】
【表１】
【００６７】
上記表１からも明らかなように、フィルター通過後のトルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの濃度は、いずれも原ガス濃度に比べて著しく低減することができた。ちなみに、これらの濃度は、いずれも厚生省の室内濃度の安全基準を下回るものであった。
【図面の簡単な説明】
【００６８】
【図１】一実施形態の空気浄化装置の概略斜視図。
【図２】同空気浄化装置の蓋体を開いた状態の概略側面図。
【図３】フィルターの部分の断面図。
【符号の説明】
【００６９】
１…ケーシング ２…フィルター
３…エアーポンプ ４…エアーマスク
６ａ、６ｂ…区画室 ７…繊維
【特許請求の範囲】
【請求項１】
空気中の埃、粉塵、微粒子等の不純物を吸着するための吸着材を収容したフィルター（２）と、該フィルター（２）内へ空気を吸引するためのエアーマスク（４）と、該エアーマスク（４）による空気の吸引を作動させるためのエアーポンプ（３）とを具備することを特徴とする空気浄化装置。
【請求項２】
エアーポンプ（３）の作動によりエアーマスク（４）から１．５〜２．５L／分の空気を吸引しうるように構成されている請求項１記載の空気浄化装置。
【請求項３】
フィルター（２）が紙で構成されている請求項１又は２記載の空気浄化装置。
【請求項４】
フィルター（２）が筒状に形成されている請求項１乃至３のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項５】
フィルター（２）と、エアーポンプ（３）とを内部に設置することのできる空間部を有するケーシング（１）が、さらに具備されている請求項１乃至４のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項６】
ケーシング（１）に把持可能な把手が設けられている請求項５記載の空気浄化装置。
【請求項７】
ケーシング（１）に、該ケーシング（１）の内部を開閉自在とする蓋体（１２）が設けられている請求項５又は６記載の空気浄化装置。
【請求項８】
エアーマスク（４）が碗形に形成されている請求項１乃至７のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項９】
吸着材が、天然鉱石を具備させた繊維である請求項１又は８のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項１０】
天然鉱石が平津長石である請求項９記載の空気浄化装置。
【請求項１１】
繊維が人造繊維、レーヨン、耐熱性繊維、又はセルロースである請求項９又は１０記載の空気浄化装置。
【請求項１２】
天然鉱石が粉末状である請求項９乃至１１のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項１３】
フィルター（２）の内部が、少なくとも１個の多孔板（５）で区画され、該多孔板（５）で区画された一方の区画室（６ａ）に活性炭が収容され、他方の区画室（６ｂ）に天然鉱石を含有させた繊維（７）が収容されてなる請求項１乃至１２のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項１】
空気中の埃、粉塵、微粒子等の不純物を吸着するための吸着材を収容したフィルター（２）と、該フィルター（２）内へ空気を吸引するためのエアーマスク（４）と、該エアーマスク（４）による空気の吸引を作動させるためのエアーポンプ（３）とを具備することを特徴とする空気浄化装置。
【請求項２】
エアーポンプ（３）の作動によりエアーマスク（４）から１．５〜２．５L／分の空気を吸引しうるように構成されている請求項１記載の空気浄化装置。
【請求項３】
フィルター（２）が紙で構成されている請求項１又は２記載の空気浄化装置。
【請求項４】
フィルター（２）が筒状に形成されている請求項１乃至３のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項５】
フィルター（２）と、エアーポンプ（３）とを内部に設置することのできる空間部を有するケーシング（１）が、さらに具備されている請求項１乃至４のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項６】
ケーシング（１）に把持可能な把手が設けられている請求項５記載の空気浄化装置。
【請求項７】
ケーシング（１）に、該ケーシング（１）の内部を開閉自在とする蓋体（１２）が設けられている請求項５又は６記載の空気浄化装置。
【請求項８】
エアーマスク（４）が碗形に形成されている請求項１乃至７のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項９】
吸着材が、天然鉱石を具備させた繊維である請求項１又は８のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項１０】
天然鉱石が平津長石である請求項９記載の空気浄化装置。
【請求項１１】
繊維が人造繊維、レーヨン、耐熱性繊維、又はセルロースである請求項９又は１０記載の空気浄化装置。
【請求項１２】
天然鉱石が粉末状である請求項９乃至１１のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項１３】
フィルター（２）の内部が、少なくとも１個の多孔板（５）で区画され、該多孔板（５）で区画された一方の区画室（６ａ）に活性炭が収容され、他方の区画室（６ｂ）に天然鉱石を含有させた繊維（７）が収容されてなる請求項１乃至１２のいずれかに記載の空気浄化装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００６−３０５４１６（Ｐ２００６−３０５４１６Ａ）
【公開日】平成１８年１１月９日（２００６．１１．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１２８３０５（Ｐ２００５−１２８３０５）
【出願日】平成１７年４月２６日（２００５．４．２６）
【出願人】（５０３３８０１１３）セラミク産業株式会社 (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１１月９日（２００６．１１．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年４月２６日（２００５．４．２６）
【出願人】（５０３３８０１１３）セラミク産業株式会社 (1)
【Ｆターム（参考）】
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