空気清浄機及びそれを備える画像形成装置
【課題】室内の空気の流れに乗せて、正イオン及び負イオンを含む空気を吹き出して送風する。
【解決手段】制御部24は、各風向風速センサ9により検出された風向及び風速に応じてルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更し、ダクト4の上端開口部4bからの空気の上下及び左右の吹き出し方向を変更する。これにより、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が空気清浄機1付近の風向に沿うように制御され、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。
【解決手段】制御部24は、各風向風速センサ9により検出された風向及び風速に応じてルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更し、ダクト4の上端開口部4bからの空気の上下及び左右の吹き出し方向を変更する。これにより、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が空気清浄機1付近の風向に沿うように制御され、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を浄化する空気清浄機及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機としては、例えば特許文献1に記載のものがある。ここでは、正イオン及び負イオンを同時に発生して、正イオン及び負イオンを含む空気を吹き出して送風し、正イオン及び負イオンにより空気中の浮遊細菌を効果的に除去している。
【0003】
また、電子写真方式の画像形成装置では、記録用紙に対するトナー像の形成処理中に排出ガス等を生じることから、空気の浄化装置を備え付けることがある。例えば、特許文献2では、送風ファン、マイナスイオン発生部、プラスに帯電されたフィルター、及びオゾンフィルター等を画像形成装置内部に設け、送風ファンにより画像形成装置内を換気しつつ、マイナスイオン発生部により外部から侵入して来た塵埃、カビ等をマイナスに帯電させて、これらをプラス帯電のフィルターに吸着させて除去したり、あるいはオゾン除去フィルターにより画像形成装置内のガス等を低減させて、清浄な空気を外部に排出している。従って、画像形成装置外部から侵入して来た塵埃、カビ等を除去したり、画像形成装置内のガスを低減させて、清浄な空気を外部に放出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−58731号公報
【特許文献2】特開2005−4144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、室内の空気の流れを考慮せずに、正イオン及び負イオンを含む空気あるいは清浄な空気を吹き出して送風していたので、この吹き出した空気が室内の広い範囲に及ぶとは限らず、空気中の浮遊細菌を除去したり、空気を浄化するという本来の効果を十分に発揮できないことがあった。
【0006】
例えば、エアコンディショナー等の空調設備が設けられた室内では、室内に空気流が生じているが、この空気流の向きに対して空気清浄機等による送風方向が逆向きに設定されていたならば、空気清浄機等から吹き出された空気の流れが滞ってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、室内の空気の流れに乗せて、正イオン及び負イオンを含む空気を吹き出して送風することが可能な空気清浄機及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、イオン発生器を備え、イオン発生器により発生されたイオンを含む空気を吹き出す空気清浄機であって、前記空気清浄機付近の風向を検出する風向検出手段と、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向を変更する吹き出し方向変更手段と、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御する制御手段とを備えている。
【0009】
また、前記空気清浄機付近の風速を検出する風速検出手段を備え、前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0010】
更に、前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0011】
また、前記風向検出手段は、前記空気清浄機付近の複数箇所でそれぞれの風向を検出し、前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0012】
更に、前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0013】
また、前記制御手段は、日時に応じて前記規定方向を変更するためのタイムスケジュールを記憶しており、このタイムスケジュールに従って規定方向を設定している。
【0014】
更に、前記制御手段は、一定時間毎に、前記風向検出手段により検出された風向の履歴を求め、この一定時間における風向の履歴を参照して、高頻度の風向を取得し、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記高頻度の風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0015】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の空気清浄機を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空気清浄機によれば、制御手段は、吹き出し方向変更手段を制御して、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された空気清浄機付近の風向に沿うようにしている。風向検出手段により検出された空気清浄機付近の風向は、室内における空気清浄機の設置箇所での空気流の向きである。このため、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された空気清浄機付近の風向に沿うようにされたならば、空気清浄機から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。これに伴い、空気清浄機のイオン発生器により発生された空気中のイオンも室内の空気流に乗って隅々まで行き渡るので、このイオンにより室内の空気中の浮遊細菌を効果的に除去することができる。
【0017】
このイオン発生器としては、正イオン及び負イオンを同時に発生して放出するものが好ましい。このような正イオン及び負イオンは、空気中の浮遊細菌を効果的に除去することができる。
【0018】
また、風速検出手段により検出された空気清浄機付近の風速が規定速度以上のときに、つまり室内における空気清浄機の設置箇所での風速が十分に高いときに、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された風向に沿うようにされているので、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に確実に乗せることができる。
【0019】
更に、風速検出手段により検出された風速が規定速度未満のときには、つまり室内における空気清浄機の設置箇所での風速が低いときには、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に乗せることが困難なため、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるようにされている。例えば、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が上向きや下向きに設定される。これにより、室内の空気流が弱くても、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が適確に設定される。
【0020】
また、風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度未満のときに、つまり各箇所の風向が略揃っているときに、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された風向に沿うようにされているので、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に確実に乗せることができる。
【0021】
更に、風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度以上のときには、つまり室内における空気清浄機の設置箇所での空気流の向きを特定し難いときには、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に乗せることが困難なため、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるようにされている。例えば、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が上向きや下向きに設定される。これにより、室内の空気流の向きを特定することができなくても、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が適確に設定される。
【0022】
また、規定方向は、予め設定されたタイムスケジュールに従って設定される。例えば、エアコンディショナーは、暖房のときに暖かい空気を下方に吹き出し、冷房のときに冷たい空気を上方に吹き出すので、季節に応じて室内の空気流の向きが変化する。そこで、季節に応じた室内の空気流の向きを想定して、これをタイムスケジュールとして予め設定しておき、空気清浄機の設置箇所での風速が低かったり風向を特定することができないときでも、季節に応じて室内の空気流の向きが変更されているとみなして、この室内の空気流に空気清浄機から吹き出される空気を乗せるべく、タイムスケジュールに従って空気清浄機から吹き出される空気の規定方向を変更している。
【0023】
更に、一定時間毎に、風向検出手段により検出された風向の履歴を求め、この一定時間における風向の履歴を参照して、高頻度の風向を取得し、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が高頻度の風向に沿うように吹き出し方向変更手段を制御しているので、空気の吹き出し方向を安定的に制御することができる。
【0024】
一方、本発明の画像形成装置では、上記本発明の空気清浄機を備えているので、同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の空気清浄機の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本実施形態の空気清浄機を示す断面図である。
【図3】本実施形態の空気清浄機のダクトの上端開口部に取り付けられた状態のルーバーユニットを示す斜視図である。
【図4】ルーバーユニットを示す斜視図である。
【図5】ルーバーユニットにおける上下方向ルーバーの取り付け状態を示す斜視図である。
【図6】ルーバーユニットにおける左右方向ルーバーの各羽板を示す斜視図である。
【図7】画像形成装置を上方から見て、空気清浄機の各風向風速センサの配置位置を示す図である。
【図8】画像形成装置を側方から見て、空気清浄機の各風向風速センサの配置位置を示す図である。
【図9】空気清浄機の制御系を示すブロック図である。
【図10】空気清浄機からの空気の吹き出し制御を示すフローチャートである。
【図11】空気清浄機による作用効果を説明するために用いた図である。
【図12】図10におけるステップS101の処理を詳しく示すフローチャートである。
【図13】(a)〜(c)は、図12の処理の内容を説明するために用いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の空気清浄機の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。本実施形態の空気清浄機1は、画像形成装置31の背面に突設された支柱2の上端に固定されて、床面から離れた高い位置に配置されている。これは、空気清浄機1を高い位置に配置すると、空気清浄機1から吹き出された空気を広い範囲に行き渡らせることができるためである。
【0028】
また、画像形成装置31は、原稿を読取って、原稿の画像データを取得したり、或いは、外部から画像データを受信して取得し、この画像データによって示されるモノクロ画像を記録用紙に形成するものである。
【0029】
この画像形成装置31の構成を大別すると、原稿搬送部(ADF)32、原稿読取り部33、プリンタ部34、及び給紙部35からなる。
【0030】
原稿搬送部32では、少なくとも1枚の原稿が原稿セットトレイ36にセットされると、原稿を1枚ずつ原稿セットトレイ36から引き出して搬送し、この原稿を原稿読取り部33の第1プラテンガラス37上に導いて副走査方向に通過させ、この原稿を排紙トレイ40に排出する。
【0031】
原稿読取り部33では、第1プラテンガラス37の下方に第1及び第2走査部38、39、結像レンズ41、及びCCD(Charge Coupled Device)42等からなる光学ユニットを配置しており、原稿が第1プラテンガラス37上を副走査方向に通過する際に、第1走査部38の光源によって原稿表面を露光し、第1及び第2走査部38、39のミラーによって原稿表面からの反射光を結像レンズ41へと導き、結像レンズ41によって原稿表面の画像をCCD42上に結像させる。CCD42は、原稿表面の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿表面の画像を示す画像データを出力する。
【0032】
また、第2プラテンガラス43上に載置された原稿を読取ることができる。原稿搬送部32は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により下側の原稿読取り部33の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。この原稿搬送部32が開かれると、第2プラテンガラス43が解放されて、第2プラテンガラス43上に原稿を載置することができる。原稿が載置されて、原稿搬送部32が閉じられた状態で、第1及び第2走査部38、39が副走査方向に移動されつつ、第1走査部38の光源によって第2プラテンガラス43上の原稿表面が露光され、第1及び第2走査部38、39のミラーによって原稿表面からの反射光が結像レンズ41へと導かれ、結像レンズ41によって原稿表面の画像がCCD42上に結像される。このとき、第1及び第2走査部38、39が相互に所定の速度関係を維持しつつ移動されて、原稿表面→第1及び第2走査部38、39→結像レンズ41→CCD42という反射光の光路の長さが変化しないように第1及び第2走査部38、39の位置関係が常に維持され、これによりCCD42上での原稿表面の画像のピントが常に正確に維持される。
【0033】
CCD42から出力された画像データは、マイクロコンピュータ等の演算回路により各種の画像処理を施されてから、プリンタ部34に出力される。
【0034】
従って、原稿読取り部33では、原稿が第1プラテンガラス37上で搬送される原稿搬送方式、及び原稿が第2プラテンガラス43上に置かれて、第1及び第2走査部38、39が移動される原稿固定方式の両方を併用している。
【0035】
プリンタ部34では、その略中央に感光体ドラム44が配置され、その周囲に帯電ユニット45、光走査ユニット46、現像ユニット47、転写ユニット48、及びクリーニングユニット49が配置されている。
【0036】
帯電ユニット45は、感光体ドラム44表面を均一に帯電させる。光走査ユニット46は、画像データを入力し、画像データに応じて光ビームの強度を変調しつつ、均一に帯電された感光体ドラム44表面を光ビームで走査して、感光体ドラム44表面に静電潜像を書き込む。現像ユニット47は、感光体ドラム44表面の静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム44表面にトナー像を形成する。
【0037】
転写ユニット48は、給紙部35により記録用紙が搬送されて来ると、この記録用紙を感光体ドラム44との間に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム44表面のトナー像を記録用紙上に転写する。クリーニングユニット49は、感光体ドラム44表面に残留したトナーを除去して、感光体ドラム44表面に新たなトナー像を形成することができるようにする。
【0038】
プリンタ部34の上部には、定着装置50が配置されている。定着装置50は、画像が転写された記録用紙を加熱ローラ55と加圧ローラ56間に挟み込み、記録用紙を加熱及び加圧して、記録用紙上に転写されたトナー像を定着させる。
【0039】
この記録用紙は、搬送ローラにより上方に搬送されて、排紙ローラ51から排紙トレイ52へと排出される。
【0040】
また、記録用紙の両面に画像を形成する場合は、記録用紙が、排紙ローラ51で逆方向に反転搬送され、更に反転搬送経路53へと搬送され、その表裏を反転されてからプリンタ部34へと再び搬送され、その裏面にトナー像が転写されて定着される。そして、記録用紙が、排紙ローラ51から排紙トレイ52へと排出される。
【0041】
給紙部35は、給紙カセット54を備えており、この給紙カセット54から記録用紙を1枚ずつ分離供給する。この記録用紙は、感光体ドラム44と転写ユニット48間に供給され、感光体ドラム44上のトナー像を転写される。
【0042】
次に、本実施形態の空気清浄機1の構成を説明する。この空気清浄機1は、先に述べたように該空気清浄機1から吹き出された空気が広い範囲に行き渡るように画像形成装置31の背面に突設された支柱2の上端に固定されている。
【0043】
また、空気清浄機1を支柱2の上端に固定したことから、空気清浄機1を設置するためだけの格別なスペースを必要とせず、このスペースを節減することができる。更に、画像形成装置31と空気清浄機1間にスペースが形成され、画像形成装置31の使い勝手が損なわれることはない。
【0044】
図2は、本実施形態の空気清浄機1を示す断面図である。この空気清浄機1は、本体筐体3、本体筐体3の内側に設けられたダクト4、ダクト4の内部に設けられたファン5、ダクト4の下端開口部4aに設けられ、本体筐体3の側壁下部に形成された複数の吸入孔3aに重なるように配置されたフィルター6、ダクト4の内壁凹所に設けられたイオン発生器7、及びダクト4の上端開口部4bに設けられたルーバーユニット8を備えている。
【0045】
また、この空気清浄機1は、画像形成装置31の背面側両端部に配置された2個の風向風速センサ9(図1に示す)をも備えている。
【0046】
図1に示すように空気清浄機1が画像形成装置31の幅方向に長いため、本体筐体3、ダクト4、ファン5、フィルター6、イオン発生器7、及びルーバーユニット8も画像形成装置31の幅方向に長くなっている。
【0047】
また、本体筐体3の底部には凹所3bが形成されており、この凹所3bに支柱2の上端が嵌合して、空気清浄機1が支柱2の上端に固定されている。
【0048】
ファン5は、モータ(図示せず)により回転駆動されて、矢印Aに示すような空気流を発生し、空気を各吸入孔3a→フィルター6→ファン5→ルーバーユニット8という経路で流通させて、空気をダクト4の上端開口部4bから吹き出させる。
【0049】
フィルター6は、周知の活性炭を含む活性炭フィルターであり、このフィルター6を通過する空気中の浮遊物を吸着して、空気を浄化する。例えば、空気中の塵埃、カビ等を吸着して除去する。また、画像形成装置31から排出されたシリコンやオゾン等の化学物質等も吸着して除去することができる。
【0050】
シリコンは、画像形成装置31で用いられるトナー粉や記録用紙剥離用の剥離剤に混入されており、この混入されているシリコンが気化して空気中に分散することがある。仮に、このシリコンを含む空気が、空気清浄機1の各吸入孔3aから吸引されてイオン発生器7まで到達したならば、イオン発生器7のイオン発生効率が早期に低下してしまう。これは、シリコンがイオン発生器7の放電電極等に付着して、イオン発生器7の絶縁性が低下するためであると考えられる。ところが、この空気中のシリコンがフィルター6により除去されるので、イオン発生器7の放電電極へのシリコンの付着が防止され、イオン発生器7のイオン発生効率が維持される。従って、フィルター6は、空気を浄化し、かつイオン発生器7のイオン発生効率の低下を防止するという2つの役目を果たす。
【0051】
イオン発生器7は、プラズマクラスターイオン(登録商標)発生素子(PCI)である。このPCIは、正イオンを発生する正イオン発生部と、負イオンを発生する負イオン発生部とを備え、正イオン及び負イオンを共に発生する。このようなPCIは、本願発明の出願人が先に出願した特開2002−58731号公報に詳しく開示されている。
【0052】
このイオン発生器7により発生された正イオン及び負イオンは、ファン5により発生された空気流と共にダクト4の上端開口部4bから放出される。この放出された正イオン及び負イオンは、室内の空気中の浮遊細菌を効果的に除去する。また、画像形成装置31からはオゾンが排出されるが、正イオン及び負イオンにより空気中のオゾンが効果的に分解されて低減される。
【0053】
ルーバーユニット8は、ダクト4の上端開口部4bから吹き出される空気の向きを変更するためのものである。図3は、空気清浄機1のダクト4の上端開口部4bに取り付けられた状態のルーバーユニット8を示す斜視図である。また、図4は、空気清浄機1のダクト4の上端開口部4bから取り外されたルーバーユニット8を示す斜視図である。
【0054】
このルーバーユニット8は、図3及び図4に示すように上下方向ルーバー11及び左右方向ルーバー12等を備えている。
【0055】
上下方向ルーバー11は、半月型の断面形状を有する2枚の羽板11aの両端をそれぞれの側板11bを介して連結した筒状のものであり、各側板11bにそれぞれの軸13が突設されている。図5に示すように上下方向ルーバー11の各軸13がダクト4の両側壁部4cの孔4dに挿通されて、この上下方向ルーバー11が上端開口部4bの内側で各軸13周りに回転自在に軸支されている。また、ダクト4の片側壁部4cの外側にはギアユニット14及び上下方向ステッピングモータ15が設けられており、上下方向ルーバー11の一方の軸13がギアユニット14の出力軸に接続され、上下方向ステッピングモータ15の回転駆動力がギアユニット14を通じて上下方向ルーバー11の一方の軸13に伝達されて、上下方向ルーバー11が上端開口部4bの内側で各軸13周りに回転駆動される。
【0056】
この上下方向ルーバー11の各軸13周りの回転に伴い、上下方向ルーバー11の各羽板11aも各軸13周りに回転され、各羽板11aの回転角度が変更され、各羽板11aの内側平坦面11cに沿う方向にダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が変更される。これにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が上下方向に変更される。
【0057】
すなわち、上下方向ステッピングモータ15の回転角度の制御により上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度が調節され、空気の吹き出し方向が上下方向に調節設定される。この上下の吹き出し方向の調節範囲は、例えば斜め下方から垂直上方までの範囲である。
【0058】
左右方向ルーバー12は、上下方向ルーバー11の各羽板11a間に配列された複数の羽板12aを有している。図6に示すように各羽板12aの上下にはそれぞれの軸16が突設されており、図5に示すように羽板12a毎に、羽板12aの上下の軸16が上下方向ルーバー11の各羽板11aの孔11dに挿通されて、羽板12aが上下の軸16周りに回転自在に支持されている。
【0059】
また、各羽板12aの一端部にはそれぞれの切り欠き17が形成され、これらの切り欠き17にそれぞれの軸18が設けられている。各羽板12aの軸18は、上下方向ルーバー11の内側で矢印Bの方向にスライド自在に支持されたスライド部材19の各係合孔19aに回転自在に係合されている。
【0060】
スライド部材19の一端部には2個の突起19bが形成されている。また、スライド部材19の一端部近傍に透過型光センサ21が配置されており、この透過型光センサ21の発光素子及び受光素子間を矢印Bの方向にスライドするスライド部材19の各突起19bが通過するように透過型光センサ21が位置決めされている。
【0061】
透過型光センサ21は、スライド部材19の各突起19b間のスペースを検出する。この透過型光センサ21によりスライド部材19の各突起19b間のスペースが検出されたときに、スライド部材19が矢印Bの方向におけるホームポジションにある。
【0062】
また、スライド部材19の他端部にはラックギヤ19cが形成されている。図5に示すように左右方向ルーバー12の一方の羽板11aの外側には左右方向ステッピングモータ22が設けられており、この左右方向ステッピングモータ22の出力軸が該一方の羽板11aを貫通して上下方向ルーバー11の内側に達して、図6に示すように左右方向ステッピングモータ22の出力軸先端のピニオンギア23がスライド部材19のラックギヤ19cに歯合している。左右方向ステッピングモータ22が駆動されて、ピニオンギア23が回転駆動されると、スライド部材19のラックギヤ19cが矢印Bの方向に移動し、スライド部材19の各係合孔19aも矢印Bの方向に移動し、各羽板12aの軸18が追従して、各羽板12aが上下の軸16周りに回転する。
【0063】
この左右方向ルーバー12の各羽板12aが回転されると、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が左右方向に変更される。
【0064】
また、左右方向ステッピングモータ22が回転駆動されて、透過型光センサ21によりホームポジションへのスライド部材19の移動が検出された後、左右方向ステッピングモータ22の回転角度の制御により左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度が調節され、左右の吹き出し方向が調節設定される。
【0065】
すなわち、左右方向ステッピングモータ22の回転角度の制御により左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度が調節され、空気の吹き出し方向が左右方向に調節設定される。この左右の吹き出し方向の調節範囲は、例えば画像形成装置31の正面側(操作パネルが設けられた側)で左右に開く180度の範囲である。
【0066】
従って、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を変更し、左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更することにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を上下方向及び左右方向のいずれについても変更することができる。
【0067】
2個の風向風速センサ9は、図1に示すように画像形成装置31の背面側両端部に配置されている。
【0068】
図7は、画像形成装置31を上方から見て、空気清浄機1の各風向風速センサ9の配置位置を示す図である。また、図8は、画像形成装置31を側方から見て、空気清浄機1の各風向風速センサ9の配置位置を示す図である。
【0069】
各風向風速センサ9は、空気清浄機1並びに画像形成装置31近傍において左右方向の風向及び上下方向の風向を検出することができ、また風速を検出することができる。
【0070】
各風向風速センサ9は、図7に示すように画像形成装置31の正面方向に向く線分をxとすると、この線分xに対する風向の左右の角度±αを検出する。同時に、図8に示すように画像形成装置31の正面方向に向く水平線をyとすると、この水平線yに対する風向の上下の角度±βを検出する。
【0071】
風向風速センサ9として、既存の風向風速センサを適用することができる。例えば、超音波風向風速センサ(ヴァイサラ株式会社の製品)と称されるものが提供されている。このセンサは、3つの超音波トランスデューサーを三角形の頂点に配置し、各超音波トランスデューサー間で双方向の超音波の到達時間を測定し、これらの到達時間から風向及び風速を求めるというものである。あるいは、特開昭59−65261号公報にも超音波による風速計が開示されている。勿論、その他の方式の風向風速センサを適用してもよい。また、風速の代わりに風圧を測定しても構わない。
【0072】
図9は、空気清浄機1の制御系を示すブロック図である。図9において、制御部24は、CPU(Central Processing Unit)、CPUにより実行される各種のプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、及びCPUのワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)等からなり、CPUによりプログラムを実行し、データ処理を行って、空気清浄機1全体を制御する。
【0073】
例えば、制御部24は、画像形成装置31の動作又は停止を示す制御信号を入力して、この制御信号に基づき画像形成装置31と連動して動作し、画像形成装置31の動作中にファン5のモータ及びイオン発生器7をオンにし、また画像形成装置31の停止中にファン5のモータ及びイオン発生器7をオフにする。尚、空気清浄機1をその電源スイッチの操作によりオンオフさせて画像形成装置31から独立動作させても構わない。
【0074】
画像形成装置31の動作中にファン5のモータがオンになると、ファン5が回転して、空気が各吸入孔3aから吸引されてフィルター6を通過し、空気がファン5及びイオン発生器7を介してダクト4の上端開口部4bより排出される。また、イオン発生器7がオンになると、イオン発生器7が空気中に正イオン及び負イオンを発生する。
【0075】
このとき、フィルター6により空気中の浮遊物が吸着除去されて、空気が浄化され、イオン発生器7により空気中に正イオン及び負イオンが付与され、この浄化されかつ正イオン及び負イオンが付与された空気がダクト4の上端開口部4bから吹き出される。
【0076】
また、制御部24は、各風向風速センサ9により検出された風向及び風速に応じてルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更し、ダクト4の上端開口部4bからの空気の上下及び左右の吹き出し方向を調節する。これにより、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が空気清浄機1付近の風向に沿うように制御され、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。
【0077】
更に、制御部24は、風向や風速が不明なときに、予め設定されたタイムスケジュールに従って空気の吹き出し方向を求め、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を制御変更して、その求めた吹き出し方向にダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を調節する。これにより、風向や風速が不明なときでも、空気の吹き出し方向が適宜設定される。
【0078】
次に、図10のフローチャートを参照しつつ、そのようなルーバーユニット8の制御を詳しく説明する。
【0079】
まず、制御部24は、各風向風速センサ9の検出出力を入力して、これらの検出出力によって示される風向及び風速を取得する(ステップS101)。そして、制御部24は、各風向風速センサ9によって検出されたそれぞれの風速が予め設定された規定速度以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0080】
例えば、検出された各風速の少なくとも一方が規定速度未満であるとすると(ステップS102で「NO」)、制御部24は、空気清浄機1及び画像形成装置31付近の風速を特定することができないとみなし、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更し、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を規定方向に設定する(ステップS103)。この規定方向は、予め設定されたタイムスケジュールに従って設定される。例えば、エアコンディショナーは、暖房のときに暖かい空気を下方に吹き出し、冷房のときに冷たい空気を上方に吹き出すので、季節に応じて室内の空気流の向きが変化する。そこで、季節に応じた室内の空気流の向きを想定して、これをタイムスケジュールとして予め設定しておき、空気清浄機1の設置箇所での風速が低いときでも、季節に応じて室内の空気流の向きが変化しているとみなして、この室内の空気流に空気清浄機1から吹き出される空気を乗せるべく、タイムスケジュールに従って空気清浄機1から吹き出される空気の規定方向を変更する。
【0081】
より詳しくは、制御部24は、そのROMに1月〜12月に対応するそれぞれの規定方向をタイムスケジュールとして記憶しておき、その内蔵のタイマーにより1月〜12月を計時し、タイムスケジュールを参照して、タイマーにより計時されている月に対応する規定方向を求め、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向をその規定方向に設定する。例えば、制御部24のタイマーにより8月が計時され、タイムスケジュールにおいて8月に対応する規定方向が斜め上方かつ正面方向に設定されていれば、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が斜め上方かつ正面方向となるように上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を調節すると共に左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を調節する。
【0082】
また、検出された各風速が規定速度以上であるとすると(ステップS102で「YES」)、制御部24は、各風向風速センサ9によって検出されたそれぞれの風向の角度差を求め、この角度差が予め設定された規定角度未満であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0083】
例えば、各風向風速センサ9によって検出されたそれぞれの風向の上下方向成分の角度±β(図8に示す)の角度差を求めると共に、これらの風向の左右方向成分の角度±α(図7に示す)の角度差を求め、これらの角度差の少なくとも一方が規定角度未満であるか否かを判定する。
【0084】
そして、検出されたそれぞれの風向の角度差が規定角度以上であるとすると(ステップS104で「NO」)、制御部24は、空気清浄機1及び画像形成装置31付近の風向を特定することができないとみなし、先に述べたタイムスケジュールを参照して、その内蔵のタイマーにより計時されている月に対応する規定方向を求め、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向をその規定方向に設定する。例えば、制御部24のタイマーにより8月が計時され、タイムスケジュールにおいて8月に対応する規定方向が斜め上方かつ正面方向に設定されていれば、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が斜め上方かつ正面方向となるように上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を調節すると共に左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を調節する(ステップS103)。
【0085】
また、検出されたそれぞれの風向の角度差が規定角度未満であるとすると(ステップS104で「YES」)、制御部24は、検出されたそれぞれの風向の平均的な風向を求めて、この平均的な風向の上下方向成分の角度±βを求め、上下方向ステッピングモータ11を駆動制御して、図8の線分yに対して各羽板11aが角度±βだけ傾くように、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を変更する。これにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の上下の吹き出し方向がその平均的な風向の上下方向と一致するように変更される。
【0086】
また、制御部24は、その平均的な風向の左右方向成分の角度±αを求め、左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、図7の線分xに対して各羽板12aが角度±αだけ傾くように、左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更する。これにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の左右の吹き出し方向がその平均的な風向の左右方向と一致するように変更される(ステップS105)。
【0087】
こうしてダクト4の上端開口部4bからの空気の上下左右の吹き出し方向がその平均的な風向と同一の方向に変更されると、つまり空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が空気清浄機1付近の風向に沿うように設定されると、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。
【0088】
例えば、図11に示すように部屋の天井にエアコンディショナー61が取り付けられており、このエアコンディショナー61からの送風により矢印Dに沿って流れる空気流が生じている場合は、空気清浄機1付近の矢印dに沿う風向及び風速が検出され、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が矢印dに沿うように調節設定される。これにより、空気清浄機1から吹き出された空気が部屋の矢印Dの空気流に乗って部屋全体に行き渡る。
【0089】
尚、平均的な風向の上下方向成分の角度±βが上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度範囲を超えていたり、あるいは平均的な風向の左右方向成分の角度±αが左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度範囲を超えた場合は、例えばダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を斜め下方かつ正面方向とする。
【0090】
次に、図12のフローチャートを参照しつつ、図10のフローチャートにおけるステップS101の処理、すなわち各風向風速センサ9の検出出力によって示される風向及び風速を取得するための処理を詳しく説明する。
【0091】
この処理は、風向風速センサ9毎に行われて、風向及び風速を取得するために行われる。また、この処理は、より安定的に風向及び風速を求めて、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向の制御を安定化させるために行われる。仮に、短時間で変動する不安定な風向及び風速に応じて空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が制御されたならば、この空気の吹き出し方向が不安定になる。
【0092】
まず、制御部24は、一定期間の計時を開始し(ステップS201)、風向風速センサ9の検出出力を入力して(ステップS202)、この検出出力によって示される風向を前回検出された風向と比較し、これらの風向の角度差が予め設定された許容角度(例えば5°)以上であるか否か、つまり今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したか否かを判定する(ステップS203)。
【0093】
そして、制御部24は、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したと判定すると(ステップS203で「Yes」)、ステップS202で今回検出された風向及び風速をサンプリングして蓄積し(ステップS204)、一定時間の計時が終了していないことを確認してから(ステップS205で「No」)、ステップS202に戻る。
【0094】
また、制御部24は、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動しなかったと判定すると(ステップS203で「Yes」)、ステップS202で今回検出された風向及び風速をサンプリングせず、一定時間の計時が終了していないことを確認してから(ステップS205で「No」)、ステップS202に戻る。
【0095】
以降同様に、風向風速センサ9の検出出力を入力して(ステップS202)、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したか否かを判定し(ステップS203)、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したならば(ステップS203で「Yes」)、今回検出された風向及び風速をサンプリングして(ステップS204)、ステップS202に戻り、また今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動しなかったならば(ステップS203で「Yes」)、今回検出された風向及び風速をサンプリングせずに、ステップS202に戻る。
【0096】
そして、一定時間の計時が終了すると(ステップS205で「Yes」)、一定時間における風向及び風速のサンプリングを終了する。これにより、一定時間における風向及び風速の履歴が蓄積される。また、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度(例えば5°)以上変動したときにだけ、風向及び風速をサンプリングして、安定的な風向及び風速を求めている。
【0097】
次に、制御部24は、一定時間における風向及び風速の履歴を参照して、一定時間における風向の変動角度範囲、及び一定時間における風向の頻度分布を算出して求める(ステップS206)。風向の変動角度範囲は、一定時間における相互に最大角度をなす2つの風向間の角度範囲で定められる。また、風向の頻度分布は、例えば5°ずつの風向区分毎に、風向が風向区分に入った頻度で求められる。
【0098】
引き続いて、制御部24は、風向の変動角度範囲が予め設定された一定変動角度範囲以下であるか否かを判定する。また、制御部24は、風向の頻度分布において一定値以上の頻度となる風向の角度範囲を求め、この風向角度範囲が予め設定された一定指向角度範囲に収まるか否かを判定する(ステップS207)。
【0099】
そして、制御部24は、風向の変動角度範囲が一定変動角度範囲以下であって、かつ一定値以上の頻度となる風向の角度範囲が一定指向角度範囲に収まると判定すると(ステップS207で「Yes」)、最も高い頻度となった風向を求めて、この風向を取得して設定し(ステップS208)、また一定時間における風向及び風速の履歴を参照して、その取得して設定した風向となったときの風速を求め、この風速を取得して設定する(ステップS209)。
【0100】
また、制御部24は、風向の変動角度範囲が一定変動角度範囲以下でなかったり、もしくは一定値以上の頻度となる風向の角度範囲が一定指向角度範囲に収まらないと判定すると(ステップS207で「No」)、風向及び風速が不安定であるとみなし(ステップS210)、図10のステップS103に移行して、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を規定方向に設定する。
【0101】
例えば、図13(a)に示すような風向の変動角度範囲γが一定変動角度範囲以下であり、かつ一定値以上の頻度となる風向の角度範囲εが一定指向角度範囲以下であるとすると、最も高い頻度となる風向α(β)が設定され、またその風向となったときの風速が設定される。
【0102】
また、図13(b)に示すような風向の変動角度範囲γが一定変動角度範囲を超えていたり、一定値以上の頻度となる風向の角度範囲εが不定(一定指向角度範囲を超えたと同義とする)であるとすると、風向及び風速が不安定であるとみなされて、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が規定方向に設定される。
【0103】
更に、図13(c)に示すような風向の変動角度範囲γが一定変動角度範囲を超えていたり、一定値以上の頻度となる風向の角度範囲εが一定指向角度範囲を超えていたりすると、風向及び風速が不安定であるとみなされて、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が規定方向に設定される。
【0104】
このような風向及び風速の取得は、一定期間の度に繰り返されて、各風向風速センサ9別に行われる。そして、一定期間の度に、各風向風速センサ9の検出出力に基づいて取得されたそれぞれの風向及び風速が図10のそれぞれのステップS102、104で用いられて、ステップS105で風向が特定される。
【0105】
尚、1個の風向風速センサ9だけを用いて、ステップS208で風向を取得すると共に、ステップS209で風速を取得し、これらの風向及び風速を図10のそれぞれのステップS102、104で用いて、ステップS105で風向を特定することも可能である。
【0106】
このように本実施形態の空気清浄機1では、空気清浄機1付近の風向が検出され、検出された風向に沿うように空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が制御されるので、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。このため、室内全体の空気中の浮遊細菌が効果的に除去され、室内全体の空気中のオゾンが効果的に分解除去される。
【0107】
また、空気清浄機1付近で検出された風速が低過ぎたり、空気清浄機1付近で検出された風向が特定されない場合でも、タイムスケジュールに基づいて空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が規定方向とされ、空気の吹き出し方向が適宜設定される。
【0108】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範疇の設計変更等が施されたものであっても、本発明の範囲に含まれる。
【0109】
例えば、本実施形態の空気清浄機1では、ルーバーにより空気の吹き出し方向を変更しているが、空気清浄機全体を上下左右に回転可能に支持して、空気清浄機全体を上下左右に回転駆動し、空気清浄機の空気吹き出し口の向きを変更するようにしてもよい。
【0110】
また、風向風速センサを増減しても構わない。更に、上下方向及び左右方向の一方だけの風向を検出し、この検出した風向に沿うように空気清浄機からの空気の吹き出し方向を変更しても構わない。
【0111】
また、本実施形態の空気清浄機1は、画像形成装置31に付設されているが、空気清浄機1を単体で設置しても構わない。また、風向風速センサを空気清浄機1とは離間して設け、風向風速センサの検出出力をケーブルもしくはネットワークを通じて空気清浄機1の制御部に入力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 空気清浄機
2 支柱
3 本体筐体
4 ダクト
5 ファン
6 フィルター
7 イオン発生器
8 ルーバーユニット
9 風向風速センサ
24 制御部
31 画像形成装置
32 原稿搬送部(ADF)
33 原稿読取り部
34 プリンタ部
35 給紙部
36 原稿セットトレイ
50 定着装置
54 給紙カセット
61 エアコンディショナー
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を浄化する空気清浄機及びそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機としては、例えば特許文献1に記載のものがある。ここでは、正イオン及び負イオンを同時に発生して、正イオン及び負イオンを含む空気を吹き出して送風し、正イオン及び負イオンにより空気中の浮遊細菌を効果的に除去している。
【0003】
また、電子写真方式の画像形成装置では、記録用紙に対するトナー像の形成処理中に排出ガス等を生じることから、空気の浄化装置を備え付けることがある。例えば、特許文献2では、送風ファン、マイナスイオン発生部、プラスに帯電されたフィルター、及びオゾンフィルター等を画像形成装置内部に設け、送風ファンにより画像形成装置内を換気しつつ、マイナスイオン発生部により外部から侵入して来た塵埃、カビ等をマイナスに帯電させて、これらをプラス帯電のフィルターに吸着させて除去したり、あるいはオゾン除去フィルターにより画像形成装置内のガス等を低減させて、清浄な空気を外部に排出している。従って、画像形成装置外部から侵入して来た塵埃、カビ等を除去したり、画像形成装置内のガスを低減させて、清浄な空気を外部に放出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−58731号公報
【特許文献2】特開2005−4144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、室内の空気の流れを考慮せずに、正イオン及び負イオンを含む空気あるいは清浄な空気を吹き出して送風していたので、この吹き出した空気が室内の広い範囲に及ぶとは限らず、空気中の浮遊細菌を除去したり、空気を浄化するという本来の効果を十分に発揮できないことがあった。
【0006】
例えば、エアコンディショナー等の空調設備が設けられた室内では、室内に空気流が生じているが、この空気流の向きに対して空気清浄機等による送風方向が逆向きに設定されていたならば、空気清浄機等から吹き出された空気の流れが滞ってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、室内の空気の流れに乗せて、正イオン及び負イオンを含む空気を吹き出して送風することが可能な空気清浄機及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、イオン発生器を備え、イオン発生器により発生されたイオンを含む空気を吹き出す空気清浄機であって、前記空気清浄機付近の風向を検出する風向検出手段と、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向を変更する吹き出し方向変更手段と、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御する制御手段とを備えている。
【0009】
また、前記空気清浄機付近の風速を検出する風速検出手段を備え、前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0010】
更に、前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0011】
また、前記風向検出手段は、前記空気清浄機付近の複数箇所でそれぞれの風向を検出し、前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0012】
更に、前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0013】
また、前記制御手段は、日時に応じて前記規定方向を変更するためのタイムスケジュールを記憶しており、このタイムスケジュールに従って規定方向を設定している。
【0014】
更に、前記制御手段は、一定時間毎に、前記風向検出手段により検出された風向の履歴を求め、この一定時間における風向の履歴を参照して、高頻度の風向を取得し、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記高頻度の風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御している。
【0015】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の空気清浄機を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空気清浄機によれば、制御手段は、吹き出し方向変更手段を制御して、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された空気清浄機付近の風向に沿うようにしている。風向検出手段により検出された空気清浄機付近の風向は、室内における空気清浄機の設置箇所での空気流の向きである。このため、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された空気清浄機付近の風向に沿うようにされたならば、空気清浄機から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。これに伴い、空気清浄機のイオン発生器により発生された空気中のイオンも室内の空気流に乗って隅々まで行き渡るので、このイオンにより室内の空気中の浮遊細菌を効果的に除去することができる。
【0017】
このイオン発生器としては、正イオン及び負イオンを同時に発生して放出するものが好ましい。このような正イオン及び負イオンは、空気中の浮遊細菌を効果的に除去することができる。
【0018】
また、風速検出手段により検出された空気清浄機付近の風速が規定速度以上のときに、つまり室内における空気清浄機の設置箇所での風速が十分に高いときに、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された風向に沿うようにされているので、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に確実に乗せることができる。
【0019】
更に、風速検出手段により検出された風速が規定速度未満のときには、つまり室内における空気清浄機の設置箇所での風速が低いときには、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に乗せることが困難なため、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるようにされている。例えば、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が上向きや下向きに設定される。これにより、室内の空気流が弱くても、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が適確に設定される。
【0020】
また、風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度未満のときに、つまり各箇所の風向が略揃っているときに、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が風向検出手段により検出された風向に沿うようにされているので、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に確実に乗せることができる。
【0021】
更に、風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度以上のときには、つまり室内における空気清浄機の設置箇所での空気流の向きを特定し難いときには、空気清浄機から吹き出された空気を室内の空気流に乗せることが困難なため、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるようにされている。例えば、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が上向きや下向きに設定される。これにより、室内の空気流の向きを特定することができなくても、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が適確に設定される。
【0022】
また、規定方向は、予め設定されたタイムスケジュールに従って設定される。例えば、エアコンディショナーは、暖房のときに暖かい空気を下方に吹き出し、冷房のときに冷たい空気を上方に吹き出すので、季節に応じて室内の空気流の向きが変化する。そこで、季節に応じた室内の空気流の向きを想定して、これをタイムスケジュールとして予め設定しておき、空気清浄機の設置箇所での風速が低かったり風向を特定することができないときでも、季節に応じて室内の空気流の向きが変更されているとみなして、この室内の空気流に空気清浄機から吹き出される空気を乗せるべく、タイムスケジュールに従って空気清浄機から吹き出される空気の規定方向を変更している。
【0023】
更に、一定時間毎に、風向検出手段により検出された風向の履歴を求め、この一定時間における風向の履歴を参照して、高頻度の風向を取得し、空気清浄機からの空気の吹き出し方向が高頻度の風向に沿うように吹き出し方向変更手段を制御しているので、空気の吹き出し方向を安定的に制御することができる。
【0024】
一方、本発明の画像形成装置では、上記本発明の空気清浄機を備えているので、同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の空気清浄機の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】本実施形態の空気清浄機を示す断面図である。
【図3】本実施形態の空気清浄機のダクトの上端開口部に取り付けられた状態のルーバーユニットを示す斜視図である。
【図4】ルーバーユニットを示す斜視図である。
【図5】ルーバーユニットにおける上下方向ルーバーの取り付け状態を示す斜視図である。
【図6】ルーバーユニットにおける左右方向ルーバーの各羽板を示す斜視図である。
【図7】画像形成装置を上方から見て、空気清浄機の各風向風速センサの配置位置を示す図である。
【図8】画像形成装置を側方から見て、空気清浄機の各風向風速センサの配置位置を示す図である。
【図9】空気清浄機の制御系を示すブロック図である。
【図10】空気清浄機からの空気の吹き出し制御を示すフローチャートである。
【図11】空気清浄機による作用効果を説明するために用いた図である。
【図12】図10におけるステップS101の処理を詳しく示すフローチャートである。
【図13】(a)〜(c)は、図12の処理の内容を説明するために用いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の空気清浄機の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。本実施形態の空気清浄機1は、画像形成装置31の背面に突設された支柱2の上端に固定されて、床面から離れた高い位置に配置されている。これは、空気清浄機1を高い位置に配置すると、空気清浄機1から吹き出された空気を広い範囲に行き渡らせることができるためである。
【0028】
また、画像形成装置31は、原稿を読取って、原稿の画像データを取得したり、或いは、外部から画像データを受信して取得し、この画像データによって示されるモノクロ画像を記録用紙に形成するものである。
【0029】
この画像形成装置31の構成を大別すると、原稿搬送部(ADF)32、原稿読取り部33、プリンタ部34、及び給紙部35からなる。
【0030】
原稿搬送部32では、少なくとも1枚の原稿が原稿セットトレイ36にセットされると、原稿を1枚ずつ原稿セットトレイ36から引き出して搬送し、この原稿を原稿読取り部33の第1プラテンガラス37上に導いて副走査方向に通過させ、この原稿を排紙トレイ40に排出する。
【0031】
原稿読取り部33では、第1プラテンガラス37の下方に第1及び第2走査部38、39、結像レンズ41、及びCCD(Charge Coupled Device)42等からなる光学ユニットを配置しており、原稿が第1プラテンガラス37上を副走査方向に通過する際に、第1走査部38の光源によって原稿表面を露光し、第1及び第2走査部38、39のミラーによって原稿表面からの反射光を結像レンズ41へと導き、結像レンズ41によって原稿表面の画像をCCD42上に結像させる。CCD42は、原稿表面の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿表面の画像を示す画像データを出力する。
【0032】
また、第2プラテンガラス43上に載置された原稿を読取ることができる。原稿搬送部32は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により下側の原稿読取り部33の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。この原稿搬送部32が開かれると、第2プラテンガラス43が解放されて、第2プラテンガラス43上に原稿を載置することができる。原稿が載置されて、原稿搬送部32が閉じられた状態で、第1及び第2走査部38、39が副走査方向に移動されつつ、第1走査部38の光源によって第2プラテンガラス43上の原稿表面が露光され、第1及び第2走査部38、39のミラーによって原稿表面からの反射光が結像レンズ41へと導かれ、結像レンズ41によって原稿表面の画像がCCD42上に結像される。このとき、第1及び第2走査部38、39が相互に所定の速度関係を維持しつつ移動されて、原稿表面→第1及び第2走査部38、39→結像レンズ41→CCD42という反射光の光路の長さが変化しないように第1及び第2走査部38、39の位置関係が常に維持され、これによりCCD42上での原稿表面の画像のピントが常に正確に維持される。
【0033】
CCD42から出力された画像データは、マイクロコンピュータ等の演算回路により各種の画像処理を施されてから、プリンタ部34に出力される。
【0034】
従って、原稿読取り部33では、原稿が第1プラテンガラス37上で搬送される原稿搬送方式、及び原稿が第2プラテンガラス43上に置かれて、第1及び第2走査部38、39が移動される原稿固定方式の両方を併用している。
【0035】
プリンタ部34では、その略中央に感光体ドラム44が配置され、その周囲に帯電ユニット45、光走査ユニット46、現像ユニット47、転写ユニット48、及びクリーニングユニット49が配置されている。
【0036】
帯電ユニット45は、感光体ドラム44表面を均一に帯電させる。光走査ユニット46は、画像データを入力し、画像データに応じて光ビームの強度を変調しつつ、均一に帯電された感光体ドラム44表面を光ビームで走査して、感光体ドラム44表面に静電潜像を書き込む。現像ユニット47は、感光体ドラム44表面の静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム44表面にトナー像を形成する。
【0037】
転写ユニット48は、給紙部35により記録用紙が搬送されて来ると、この記録用紙を感光体ドラム44との間に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム44表面のトナー像を記録用紙上に転写する。クリーニングユニット49は、感光体ドラム44表面に残留したトナーを除去して、感光体ドラム44表面に新たなトナー像を形成することができるようにする。
【0038】
プリンタ部34の上部には、定着装置50が配置されている。定着装置50は、画像が転写された記録用紙を加熱ローラ55と加圧ローラ56間に挟み込み、記録用紙を加熱及び加圧して、記録用紙上に転写されたトナー像を定着させる。
【0039】
この記録用紙は、搬送ローラにより上方に搬送されて、排紙ローラ51から排紙トレイ52へと排出される。
【0040】
また、記録用紙の両面に画像を形成する場合は、記録用紙が、排紙ローラ51で逆方向に反転搬送され、更に反転搬送経路53へと搬送され、その表裏を反転されてからプリンタ部34へと再び搬送され、その裏面にトナー像が転写されて定着される。そして、記録用紙が、排紙ローラ51から排紙トレイ52へと排出される。
【0041】
給紙部35は、給紙カセット54を備えており、この給紙カセット54から記録用紙を1枚ずつ分離供給する。この記録用紙は、感光体ドラム44と転写ユニット48間に供給され、感光体ドラム44上のトナー像を転写される。
【0042】
次に、本実施形態の空気清浄機1の構成を説明する。この空気清浄機1は、先に述べたように該空気清浄機1から吹き出された空気が広い範囲に行き渡るように画像形成装置31の背面に突設された支柱2の上端に固定されている。
【0043】
また、空気清浄機1を支柱2の上端に固定したことから、空気清浄機1を設置するためだけの格別なスペースを必要とせず、このスペースを節減することができる。更に、画像形成装置31と空気清浄機1間にスペースが形成され、画像形成装置31の使い勝手が損なわれることはない。
【0044】
図2は、本実施形態の空気清浄機1を示す断面図である。この空気清浄機1は、本体筐体3、本体筐体3の内側に設けられたダクト4、ダクト4の内部に設けられたファン5、ダクト4の下端開口部4aに設けられ、本体筐体3の側壁下部に形成された複数の吸入孔3aに重なるように配置されたフィルター6、ダクト4の内壁凹所に設けられたイオン発生器7、及びダクト4の上端開口部4bに設けられたルーバーユニット8を備えている。
【0045】
また、この空気清浄機1は、画像形成装置31の背面側両端部に配置された2個の風向風速センサ9(図1に示す)をも備えている。
【0046】
図1に示すように空気清浄機1が画像形成装置31の幅方向に長いため、本体筐体3、ダクト4、ファン5、フィルター6、イオン発生器7、及びルーバーユニット8も画像形成装置31の幅方向に長くなっている。
【0047】
また、本体筐体3の底部には凹所3bが形成されており、この凹所3bに支柱2の上端が嵌合して、空気清浄機1が支柱2の上端に固定されている。
【0048】
ファン5は、モータ(図示せず)により回転駆動されて、矢印Aに示すような空気流を発生し、空気を各吸入孔3a→フィルター6→ファン5→ルーバーユニット8という経路で流通させて、空気をダクト4の上端開口部4bから吹き出させる。
【0049】
フィルター6は、周知の活性炭を含む活性炭フィルターであり、このフィルター6を通過する空気中の浮遊物を吸着して、空気を浄化する。例えば、空気中の塵埃、カビ等を吸着して除去する。また、画像形成装置31から排出されたシリコンやオゾン等の化学物質等も吸着して除去することができる。
【0050】
シリコンは、画像形成装置31で用いられるトナー粉や記録用紙剥離用の剥離剤に混入されており、この混入されているシリコンが気化して空気中に分散することがある。仮に、このシリコンを含む空気が、空気清浄機1の各吸入孔3aから吸引されてイオン発生器7まで到達したならば、イオン発生器7のイオン発生効率が早期に低下してしまう。これは、シリコンがイオン発生器7の放電電極等に付着して、イオン発生器7の絶縁性が低下するためであると考えられる。ところが、この空気中のシリコンがフィルター6により除去されるので、イオン発生器7の放電電極へのシリコンの付着が防止され、イオン発生器7のイオン発生効率が維持される。従って、フィルター6は、空気を浄化し、かつイオン発生器7のイオン発生効率の低下を防止するという2つの役目を果たす。
【0051】
イオン発生器7は、プラズマクラスターイオン(登録商標)発生素子(PCI)である。このPCIは、正イオンを発生する正イオン発生部と、負イオンを発生する負イオン発生部とを備え、正イオン及び負イオンを共に発生する。このようなPCIは、本願発明の出願人が先に出願した特開2002−58731号公報に詳しく開示されている。
【0052】
このイオン発生器7により発生された正イオン及び負イオンは、ファン5により発生された空気流と共にダクト4の上端開口部4bから放出される。この放出された正イオン及び負イオンは、室内の空気中の浮遊細菌を効果的に除去する。また、画像形成装置31からはオゾンが排出されるが、正イオン及び負イオンにより空気中のオゾンが効果的に分解されて低減される。
【0053】
ルーバーユニット8は、ダクト4の上端開口部4bから吹き出される空気の向きを変更するためのものである。図3は、空気清浄機1のダクト4の上端開口部4bに取り付けられた状態のルーバーユニット8を示す斜視図である。また、図4は、空気清浄機1のダクト4の上端開口部4bから取り外されたルーバーユニット8を示す斜視図である。
【0054】
このルーバーユニット8は、図3及び図4に示すように上下方向ルーバー11及び左右方向ルーバー12等を備えている。
【0055】
上下方向ルーバー11は、半月型の断面形状を有する2枚の羽板11aの両端をそれぞれの側板11bを介して連結した筒状のものであり、各側板11bにそれぞれの軸13が突設されている。図5に示すように上下方向ルーバー11の各軸13がダクト4の両側壁部4cの孔4dに挿通されて、この上下方向ルーバー11が上端開口部4bの内側で各軸13周りに回転自在に軸支されている。また、ダクト4の片側壁部4cの外側にはギアユニット14及び上下方向ステッピングモータ15が設けられており、上下方向ルーバー11の一方の軸13がギアユニット14の出力軸に接続され、上下方向ステッピングモータ15の回転駆動力がギアユニット14を通じて上下方向ルーバー11の一方の軸13に伝達されて、上下方向ルーバー11が上端開口部4bの内側で各軸13周りに回転駆動される。
【0056】
この上下方向ルーバー11の各軸13周りの回転に伴い、上下方向ルーバー11の各羽板11aも各軸13周りに回転され、各羽板11aの回転角度が変更され、各羽板11aの内側平坦面11cに沿う方向にダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が変更される。これにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が上下方向に変更される。
【0057】
すなわち、上下方向ステッピングモータ15の回転角度の制御により上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度が調節され、空気の吹き出し方向が上下方向に調節設定される。この上下の吹き出し方向の調節範囲は、例えば斜め下方から垂直上方までの範囲である。
【0058】
左右方向ルーバー12は、上下方向ルーバー11の各羽板11a間に配列された複数の羽板12aを有している。図6に示すように各羽板12aの上下にはそれぞれの軸16が突設されており、図5に示すように羽板12a毎に、羽板12aの上下の軸16が上下方向ルーバー11の各羽板11aの孔11dに挿通されて、羽板12aが上下の軸16周りに回転自在に支持されている。
【0059】
また、各羽板12aの一端部にはそれぞれの切り欠き17が形成され、これらの切り欠き17にそれぞれの軸18が設けられている。各羽板12aの軸18は、上下方向ルーバー11の内側で矢印Bの方向にスライド自在に支持されたスライド部材19の各係合孔19aに回転自在に係合されている。
【0060】
スライド部材19の一端部には2個の突起19bが形成されている。また、スライド部材19の一端部近傍に透過型光センサ21が配置されており、この透過型光センサ21の発光素子及び受光素子間を矢印Bの方向にスライドするスライド部材19の各突起19bが通過するように透過型光センサ21が位置決めされている。
【0061】
透過型光センサ21は、スライド部材19の各突起19b間のスペースを検出する。この透過型光センサ21によりスライド部材19の各突起19b間のスペースが検出されたときに、スライド部材19が矢印Bの方向におけるホームポジションにある。
【0062】
また、スライド部材19の他端部にはラックギヤ19cが形成されている。図5に示すように左右方向ルーバー12の一方の羽板11aの外側には左右方向ステッピングモータ22が設けられており、この左右方向ステッピングモータ22の出力軸が該一方の羽板11aを貫通して上下方向ルーバー11の内側に達して、図6に示すように左右方向ステッピングモータ22の出力軸先端のピニオンギア23がスライド部材19のラックギヤ19cに歯合している。左右方向ステッピングモータ22が駆動されて、ピニオンギア23が回転駆動されると、スライド部材19のラックギヤ19cが矢印Bの方向に移動し、スライド部材19の各係合孔19aも矢印Bの方向に移動し、各羽板12aの軸18が追従して、各羽板12aが上下の軸16周りに回転する。
【0063】
この左右方向ルーバー12の各羽板12aが回転されると、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が左右方向に変更される。
【0064】
また、左右方向ステッピングモータ22が回転駆動されて、透過型光センサ21によりホームポジションへのスライド部材19の移動が検出された後、左右方向ステッピングモータ22の回転角度の制御により左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度が調節され、左右の吹き出し方向が調節設定される。
【0065】
すなわち、左右方向ステッピングモータ22の回転角度の制御により左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度が調節され、空気の吹き出し方向が左右方向に調節設定される。この左右の吹き出し方向の調節範囲は、例えば画像形成装置31の正面側(操作パネルが設けられた側)で左右に開く180度の範囲である。
【0066】
従って、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を変更し、左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更することにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を上下方向及び左右方向のいずれについても変更することができる。
【0067】
2個の風向風速センサ9は、図1に示すように画像形成装置31の背面側両端部に配置されている。
【0068】
図7は、画像形成装置31を上方から見て、空気清浄機1の各風向風速センサ9の配置位置を示す図である。また、図8は、画像形成装置31を側方から見て、空気清浄機1の各風向風速センサ9の配置位置を示す図である。
【0069】
各風向風速センサ9は、空気清浄機1並びに画像形成装置31近傍において左右方向の風向及び上下方向の風向を検出することができ、また風速を検出することができる。
【0070】
各風向風速センサ9は、図7に示すように画像形成装置31の正面方向に向く線分をxとすると、この線分xに対する風向の左右の角度±αを検出する。同時に、図8に示すように画像形成装置31の正面方向に向く水平線をyとすると、この水平線yに対する風向の上下の角度±βを検出する。
【0071】
風向風速センサ9として、既存の風向風速センサを適用することができる。例えば、超音波風向風速センサ(ヴァイサラ株式会社の製品)と称されるものが提供されている。このセンサは、3つの超音波トランスデューサーを三角形の頂点に配置し、各超音波トランスデューサー間で双方向の超音波の到達時間を測定し、これらの到達時間から風向及び風速を求めるというものである。あるいは、特開昭59−65261号公報にも超音波による風速計が開示されている。勿論、その他の方式の風向風速センサを適用してもよい。また、風速の代わりに風圧を測定しても構わない。
【0072】
図9は、空気清浄機1の制御系を示すブロック図である。図9において、制御部24は、CPU(Central Processing Unit)、CPUにより実行される各種のプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、及びCPUのワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)等からなり、CPUによりプログラムを実行し、データ処理を行って、空気清浄機1全体を制御する。
【0073】
例えば、制御部24は、画像形成装置31の動作又は停止を示す制御信号を入力して、この制御信号に基づき画像形成装置31と連動して動作し、画像形成装置31の動作中にファン5のモータ及びイオン発生器7をオンにし、また画像形成装置31の停止中にファン5のモータ及びイオン発生器7をオフにする。尚、空気清浄機1をその電源スイッチの操作によりオンオフさせて画像形成装置31から独立動作させても構わない。
【0074】
画像形成装置31の動作中にファン5のモータがオンになると、ファン5が回転して、空気が各吸入孔3aから吸引されてフィルター6を通過し、空気がファン5及びイオン発生器7を介してダクト4の上端開口部4bより排出される。また、イオン発生器7がオンになると、イオン発生器7が空気中に正イオン及び負イオンを発生する。
【0075】
このとき、フィルター6により空気中の浮遊物が吸着除去されて、空気が浄化され、イオン発生器7により空気中に正イオン及び負イオンが付与され、この浄化されかつ正イオン及び負イオンが付与された空気がダクト4の上端開口部4bから吹き出される。
【0076】
また、制御部24は、各風向風速センサ9により検出された風向及び風速に応じてルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更し、ダクト4の上端開口部4bからの空気の上下及び左右の吹き出し方向を調節する。これにより、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が空気清浄機1付近の風向に沿うように制御され、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。
【0077】
更に、制御部24は、風向や風速が不明なときに、予め設定されたタイムスケジュールに従って空気の吹き出し方向を求め、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を制御変更して、その求めた吹き出し方向にダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を調節する。これにより、風向や風速が不明なときでも、空気の吹き出し方向が適宜設定される。
【0078】
次に、図10のフローチャートを参照しつつ、そのようなルーバーユニット8の制御を詳しく説明する。
【0079】
まず、制御部24は、各風向風速センサ9の検出出力を入力して、これらの検出出力によって示される風向及び風速を取得する(ステップS101)。そして、制御部24は、各風向風速センサ9によって検出されたそれぞれの風速が予め設定された規定速度以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0080】
例えば、検出された各風速の少なくとも一方が規定速度未満であるとすると(ステップS102で「NO」)、制御部24は、空気清浄機1及び画像形成装置31付近の風速を特定することができないとみなし、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度及び左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更し、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を規定方向に設定する(ステップS103)。この規定方向は、予め設定されたタイムスケジュールに従って設定される。例えば、エアコンディショナーは、暖房のときに暖かい空気を下方に吹き出し、冷房のときに冷たい空気を上方に吹き出すので、季節に応じて室内の空気流の向きが変化する。そこで、季節に応じた室内の空気流の向きを想定して、これをタイムスケジュールとして予め設定しておき、空気清浄機1の設置箇所での風速が低いときでも、季節に応じて室内の空気流の向きが変化しているとみなして、この室内の空気流に空気清浄機1から吹き出される空気を乗せるべく、タイムスケジュールに従って空気清浄機1から吹き出される空気の規定方向を変更する。
【0081】
より詳しくは、制御部24は、そのROMに1月〜12月に対応するそれぞれの規定方向をタイムスケジュールとして記憶しておき、その内蔵のタイマーにより1月〜12月を計時し、タイムスケジュールを参照して、タイマーにより計時されている月に対応する規定方向を求め、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向をその規定方向に設定する。例えば、制御部24のタイマーにより8月が計時され、タイムスケジュールにおいて8月に対応する規定方向が斜め上方かつ正面方向に設定されていれば、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が斜め上方かつ正面方向となるように上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を調節すると共に左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を調節する。
【0082】
また、検出された各風速が規定速度以上であるとすると(ステップS102で「YES」)、制御部24は、各風向風速センサ9によって検出されたそれぞれの風向の角度差を求め、この角度差が予め設定された規定角度未満であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0083】
例えば、各風向風速センサ9によって検出されたそれぞれの風向の上下方向成分の角度±β(図8に示す)の角度差を求めると共に、これらの風向の左右方向成分の角度±α(図7に示す)の角度差を求め、これらの角度差の少なくとも一方が規定角度未満であるか否かを判定する。
【0084】
そして、検出されたそれぞれの風向の角度差が規定角度以上であるとすると(ステップS104で「NO」)、制御部24は、空気清浄機1及び画像形成装置31付近の風向を特定することができないとみなし、先に述べたタイムスケジュールを参照して、その内蔵のタイマーにより計時されている月に対応する規定方向を求め、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向をその規定方向に設定する。例えば、制御部24のタイマーにより8月が計時され、タイムスケジュールにおいて8月に対応する規定方向が斜め上方かつ正面方向に設定されていれば、ルーバーユニット8の上下方向ステッピングモータ15及び左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が斜め上方かつ正面方向となるように上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を調節すると共に左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を調節する(ステップS103)。
【0085】
また、検出されたそれぞれの風向の角度差が規定角度未満であるとすると(ステップS104で「YES」)、制御部24は、検出されたそれぞれの風向の平均的な風向を求めて、この平均的な風向の上下方向成分の角度±βを求め、上下方向ステッピングモータ11を駆動制御して、図8の線分yに対して各羽板11aが角度±βだけ傾くように、上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度を変更する。これにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の上下の吹き出し方向がその平均的な風向の上下方向と一致するように変更される。
【0086】
また、制御部24は、その平均的な風向の左右方向成分の角度±αを求め、左右方向ステッピングモータ22を駆動制御して、図7の線分xに対して各羽板12aが角度±αだけ傾くように、左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度を変更する。これにより、ダクト4の上端開口部4bからの空気の左右の吹き出し方向がその平均的な風向の左右方向と一致するように変更される(ステップS105)。
【0087】
こうしてダクト4の上端開口部4bからの空気の上下左右の吹き出し方向がその平均的な風向と同一の方向に変更されると、つまり空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が空気清浄機1付近の風向に沿うように設定されると、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。
【0088】
例えば、図11に示すように部屋の天井にエアコンディショナー61が取り付けられており、このエアコンディショナー61からの送風により矢印Dに沿って流れる空気流が生じている場合は、空気清浄機1付近の矢印dに沿う風向及び風速が検出され、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が矢印dに沿うように調節設定される。これにより、空気清浄機1から吹き出された空気が部屋の矢印Dの空気流に乗って部屋全体に行き渡る。
【0089】
尚、平均的な風向の上下方向成分の角度±βが上下方向ルーバー11の各羽板11aの回転角度範囲を超えていたり、あるいは平均的な風向の左右方向成分の角度±αが左右方向ルーバー12の各羽板12aの回転角度範囲を超えた場合は、例えばダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を斜め下方かつ正面方向とする。
【0090】
次に、図12のフローチャートを参照しつつ、図10のフローチャートにおけるステップS101の処理、すなわち各風向風速センサ9の検出出力によって示される風向及び風速を取得するための処理を詳しく説明する。
【0091】
この処理は、風向風速センサ9毎に行われて、風向及び風速を取得するために行われる。また、この処理は、より安定的に風向及び風速を求めて、空気清浄機1からの空気の吹き出し方向の制御を安定化させるために行われる。仮に、短時間で変動する不安定な風向及び風速に応じて空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が制御されたならば、この空気の吹き出し方向が不安定になる。
【0092】
まず、制御部24は、一定期間の計時を開始し(ステップS201)、風向風速センサ9の検出出力を入力して(ステップS202)、この検出出力によって示される風向を前回検出された風向と比較し、これらの風向の角度差が予め設定された許容角度(例えば5°)以上であるか否か、つまり今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したか否かを判定する(ステップS203)。
【0093】
そして、制御部24は、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したと判定すると(ステップS203で「Yes」)、ステップS202で今回検出された風向及び風速をサンプリングして蓄積し(ステップS204)、一定時間の計時が終了していないことを確認してから(ステップS205で「No」)、ステップS202に戻る。
【0094】
また、制御部24は、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動しなかったと判定すると(ステップS203で「Yes」)、ステップS202で今回検出された風向及び風速をサンプリングせず、一定時間の計時が終了していないことを確認してから(ステップS205で「No」)、ステップS202に戻る。
【0095】
以降同様に、風向風速センサ9の検出出力を入力して(ステップS202)、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したか否かを判定し(ステップS203)、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動したならば(ステップS203で「Yes」)、今回検出された風向及び風速をサンプリングして(ステップS204)、ステップS202に戻り、また今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度以上変動しなかったならば(ステップS203で「Yes」)、今回検出された風向及び風速をサンプリングせずに、ステップS202に戻る。
【0096】
そして、一定時間の計時が終了すると(ステップS205で「Yes」)、一定時間における風向及び風速のサンプリングを終了する。これにより、一定時間における風向及び風速の履歴が蓄積される。また、今回検出された風向が前回検出された風向から許容角度(例えば5°)以上変動したときにだけ、風向及び風速をサンプリングして、安定的な風向及び風速を求めている。
【0097】
次に、制御部24は、一定時間における風向及び風速の履歴を参照して、一定時間における風向の変動角度範囲、及び一定時間における風向の頻度分布を算出して求める(ステップS206)。風向の変動角度範囲は、一定時間における相互に最大角度をなす2つの風向間の角度範囲で定められる。また、風向の頻度分布は、例えば5°ずつの風向区分毎に、風向が風向区分に入った頻度で求められる。
【0098】
引き続いて、制御部24は、風向の変動角度範囲が予め設定された一定変動角度範囲以下であるか否かを判定する。また、制御部24は、風向の頻度分布において一定値以上の頻度となる風向の角度範囲を求め、この風向角度範囲が予め設定された一定指向角度範囲に収まるか否かを判定する(ステップS207)。
【0099】
そして、制御部24は、風向の変動角度範囲が一定変動角度範囲以下であって、かつ一定値以上の頻度となる風向の角度範囲が一定指向角度範囲に収まると判定すると(ステップS207で「Yes」)、最も高い頻度となった風向を求めて、この風向を取得して設定し(ステップS208)、また一定時間における風向及び風速の履歴を参照して、その取得して設定した風向となったときの風速を求め、この風速を取得して設定する(ステップS209)。
【0100】
また、制御部24は、風向の変動角度範囲が一定変動角度範囲以下でなかったり、もしくは一定値以上の頻度となる風向の角度範囲が一定指向角度範囲に収まらないと判定すると(ステップS207で「No」)、風向及び風速が不安定であるとみなし(ステップS210)、図10のステップS103に移行して、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向を規定方向に設定する。
【0101】
例えば、図13(a)に示すような風向の変動角度範囲γが一定変動角度範囲以下であり、かつ一定値以上の頻度となる風向の角度範囲εが一定指向角度範囲以下であるとすると、最も高い頻度となる風向α(β)が設定され、またその風向となったときの風速が設定される。
【0102】
また、図13(b)に示すような風向の変動角度範囲γが一定変動角度範囲を超えていたり、一定値以上の頻度となる風向の角度範囲εが不定(一定指向角度範囲を超えたと同義とする)であるとすると、風向及び風速が不安定であるとみなされて、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が規定方向に設定される。
【0103】
更に、図13(c)に示すような風向の変動角度範囲γが一定変動角度範囲を超えていたり、一定値以上の頻度となる風向の角度範囲εが一定指向角度範囲を超えていたりすると、風向及び風速が不安定であるとみなされて、ダクト4の上端開口部4bからの空気の吹き出し方向が規定方向に設定される。
【0104】
このような風向及び風速の取得は、一定期間の度に繰り返されて、各風向風速センサ9別に行われる。そして、一定期間の度に、各風向風速センサ9の検出出力に基づいて取得されたそれぞれの風向及び風速が図10のそれぞれのステップS102、104で用いられて、ステップS105で風向が特定される。
【0105】
尚、1個の風向風速センサ9だけを用いて、ステップS208で風向を取得すると共に、ステップS209で風速を取得し、これらの風向及び風速を図10のそれぞれのステップS102、104で用いて、ステップS105で風向を特定することも可能である。
【0106】
このように本実施形態の空気清浄機1では、空気清浄機1付近の風向が検出され、検出された風向に沿うように空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が制御されるので、空気清浄機1から吹き出された空気が室内の空気流に乗って広い範囲に行き渡る。このため、室内全体の空気中の浮遊細菌が効果的に除去され、室内全体の空気中のオゾンが効果的に分解除去される。
【0107】
また、空気清浄機1付近で検出された風速が低過ぎたり、空気清浄機1付近で検出された風向が特定されない場合でも、タイムスケジュールに基づいて空気清浄機1からの空気の吹き出し方向が規定方向とされ、空気の吹き出し方向が適宜設定される。
【0108】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範疇の設計変更等が施されたものであっても、本発明の範囲に含まれる。
【0109】
例えば、本実施形態の空気清浄機1では、ルーバーにより空気の吹き出し方向を変更しているが、空気清浄機全体を上下左右に回転可能に支持して、空気清浄機全体を上下左右に回転駆動し、空気清浄機の空気吹き出し口の向きを変更するようにしてもよい。
【0110】
また、風向風速センサを増減しても構わない。更に、上下方向及び左右方向の一方だけの風向を検出し、この検出した風向に沿うように空気清浄機からの空気の吹き出し方向を変更しても構わない。
【0111】
また、本実施形態の空気清浄機1は、画像形成装置31に付設されているが、空気清浄機1を単体で設置しても構わない。また、風向風速センサを空気清浄機1とは離間して設け、風向風速センサの検出出力をケーブルもしくはネットワークを通じて空気清浄機1の制御部に入力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 空気清浄機
2 支柱
3 本体筐体
4 ダクト
5 ファン
6 フィルター
7 イオン発生器
8 ルーバーユニット
9 風向風速センサ
24 制御部
31 画像形成装置
32 原稿搬送部(ADF)
33 原稿読取り部
34 プリンタ部
35 給紙部
36 原稿セットトレイ
50 定着装置
54 給紙カセット
61 エアコンディショナー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン発生器を備え、イオン発生器により発生されたイオンを含む空気を吹き出す空気清浄機であって、
前記空気清浄機付近の風向を検出する風向検出手段と、
前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向を変更する吹き出し方向変更手段と、
前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御する制御手段とを備える空気清浄機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気清浄機であって、
前記空気清浄機付近の風速を検出する風速検出手段を備え、
前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項3】
請求項2に記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の空気清浄機であって、
前記風向検出手段は、前記空気清浄機付近の複数箇所でそれぞれの風向を検出し、
前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項5】
請求項4に記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項6】
請求項1又は5に記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、日時に応じて前記規定方向を変更するためのタイムスケジュールを記憶しており、このタイムスケジュールに従って規定方向を設定することを特徴とする空気清浄機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、一定時間毎に、前記風向検出手段により検出された風向の履歴を求め、この一定時間における風向の履歴を参照して、高頻度の風向を取得し、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記高頻度の風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の空気清浄機を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
イオン発生器を備え、イオン発生器により発生されたイオンを含む空気を吹き出す空気清浄機であって、
前記空気清浄機付近の風向を検出する風向検出手段と、
前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向を変更する吹き出し方向変更手段と、
前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御する制御手段とを備える空気清浄機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気清浄機であって、
前記空気清浄機付近の風速を検出する風速検出手段を備え、
前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項3】
請求項2に記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、前記風速検出手段により検出された風速が規定速度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の空気清浄機であって、
前記風向検出手段は、前記空気清浄機付近の複数箇所でそれぞれの風向を検出し、
前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度未満のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記風向検出手段により検出された風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項5】
請求項4に記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、前記風向検出手段により検出された各箇所の風向の角度差が規定角度以上のときに、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が規定方向となるように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項6】
請求項1又は5に記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、日時に応じて前記規定方向を変更するためのタイムスケジュールを記憶しており、このタイムスケジュールに従って規定方向を設定することを特徴とする空気清浄機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の空気清浄機であって、
前記制御手段は、一定時間毎に、前記風向検出手段により検出された風向の履歴を求め、この一定時間における風向の履歴を参照して、高頻度の風向を取得し、前記空気清浄機からの空気の吹き出し方向が前記高頻度の風向に沿うように前記吹き出し方向変更手段を制御することを特徴とする空気清浄機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の空気清浄機を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−81308(P2011−81308A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235323(P2009−235323)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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