説明

空気清浄機

【課題】
水の補給に際しコンパクトな形状で取り扱い性がよく、発錆を抑制する空気清浄機を提供する。
【解決手段】
ミストを発生させる電極ユニットと、該電極ユニットに水を供給する水溜めユニットとを備え、前記水溜めユニットは水を溜める水溜め部と、該水溜め部の水を前記電極ユニットに供給するための第一の搬送部材とを有し、前記電極ユニットはミストを放出する霧化用放出ピンと、前記第一の搬送部材と接触して前記水溜めユニットから供給される水を受け、前記霧化用放出ピンに水を搬送する第二の搬送部材とを有し、前記第一の搬送部材と前記第二の搬送部材とは分離可能であると共に、前記水溜めユニットは前記電極ユニットから着脱自在に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気清浄機は、例えば、特開2004−358364号公報(特許文献1)に示すように、静電霧化装置が空気清浄機本体より着脱できるユニット構造により、水補給や清掃作業を容易にすることが知られている。また、この静電霧化装置には、霧化を促進させる電極が備わっており、放出量やその効率から電極形状は先端が鋭角なものが多く、水補給や清掃時に誤って触れることによるけがの防止や、電極の破損を防止するような電極の保護構造を有している。また、空気清浄機本体から静電霧化装置への電圧を供給するために、空気清浄機本体と静電霧化装置との間には、金属製の接触片をそれぞれに設け、静電霧化装置が取り付けられた時に短絡するような構造を有している。そのため、静電霧化装置の外側にこの金属の接触片が設けられており、先述した水補給時や清掃時などにこの金属の接触片に水が付着し発錆の要因となる。
【0003】
上記のことより、静電霧化装置へ水溜め部から水の搬送を行う構造で、水溜め部へ水を補給する際、空気清浄機本体から着脱可能な構造においては、電極保護構造や静電霧化装置の電気的短絡部への水付着による発錆防止構造が必要で、そのため着脱できる静電霧化装置が大型となり、手軽な水補給や清掃性が困難となることはさけられない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−358364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
静電霧化装置を搭載した空気清浄機では、静電霧化装置へ水溜め部から水の搬送を行う構造で、水溜め部へ水を補給する際、空気清浄機本体から着脱可能な構造においては、電極保護構造や静電霧化装置の電気的短絡部への水付着による発錆防止構造が必要で、そのため着脱できる静電霧化装置が大型となり、手軽な水補給や清掃性が困難となる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑み、水の補給に際しコンパクトな形状で取り扱い性がよく、発錆もおさえることで信頼性の高い空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気流を発生させるファンと該ファンを駆動するファンモータとを収容する空気清浄機本体と、該空気清浄機本体に装着され空気に含まれた塵埃を捕集するフィルタユニットとを備えた空気清浄機において、前記空気清浄機本体には、ミストを発生させる電極ユニットと、該電極ユニットに水を供給する水溜めユニットとを備え、前記水溜めユニットは水を溜める水溜め部と、該水溜め部の水を前記電極ユニットに供給するための第一の搬送部材とを有し、前記電極ユニットはミストを放出する霧化用放出ピンと、前記第一の搬送部材と接触して前記水溜めユニットから供給される水を受け、前記霧化用放出ピンに水を搬送する第二の搬送部材とを有し、前記第一の搬送部材と前記第二の搬送部材とは分離可能であると共に、前記水溜めユニットは前記電極ユニットから着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水の補給に際しコンパクトな形状で取り扱い性がよく、発錆もおさえることで信頼性の高い空気清浄機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施例について、図面を引用して説明する。
【0010】
まず、空気清浄機の概要について、図1を引用して述べる。
【0011】
空気清浄機本体101は、主部枠体102と後部枠体103を有する。主部枠体102の前面には、前パネル104が取り付けられる。
【0012】
空気清浄機本体101は、内部にフィルタユニット105,気化フィルタユニット106,ファンモータ107を備える。フィルタユニット105,気化フィルタユニット106は、主部枠体102側に位置する。ファンモータ107は、後部枠体103側に位置する。ファンモータ107は、ターボファン107a,電動機107bを有する。
【0013】
後部枠体103は、内部にファンケーシング108を有する。ファンケーシング108内にファンモータ107が置かれる。ターボファン107aに吸い込み流を導く吸い込み案内口部材109は、主部枠体102に形成される。
【0014】
制御装置110は、主部枠体102の前側上部に備えられる。この制御装置110により、空気清浄機の運転が制御される。表示装置(図示せず)は、制御装置110の近くに設けられる。
【0015】
空気は、前パネル104の吸気口111から吸い込まれ、フィルタユニット105内を流通することにより、空気中の臭いなどが除去される。風路上に設置された気化フィルタユニット106により、空気に水分を加湿することができる。
【0016】
また、ファンモータ107に吸い込まれた空気は、送風口112から空気清浄機の外部に送風される直前に設置され、その直前に設置された静電霧化装置113により、霧化したミストを放出することができる。
【0017】
図2及び図3を用いて静電霧化装置113について説明する。本実施例の静電霧化装置113は、ミストを放出する霧化用放出ピン205,霧化用放出ピン205に水を搬送する第二の搬送部材206,霧化用放出ピン205と電気的に接続する接触片207,対向電極208,電極209等からなり、霧化したミストを放出する電極ユニット300と、水溜め部201,蓋202,第一の搬送部材203,補強部材204等からなり、電極ユニットに水を供給する水溜め部ユニット301より構成されている。水溜めユニット301は、電極ユニット300から着脱自在に取り付けられている。
【0018】
水溜めユニット301は、水溜め部201に水を入れ、ゴム製の水溜め部の蓋202をすることで水封される。蓋202は、電極ユニット300に水を供給する第一の搬送部材203と一体となっており、水溜め部201の水の中に浸水している状態となっている。第一の搬送部材203はフェルト等の不織布で形成され、機械的強度や手垢などの汚れから保護するために樹脂製の補強部材204で覆われている。これらの部品は、図3に示すように、ユニットとして空気清浄機本体101より着脱できる構造となっている。水の補給や水溜め部201の清掃の際は、このユニットを空気清浄機本体101より上方に取り外した後、蓋202を水溜め部201より外して行うため、作業が容易である。
【0019】
一方で、空気清浄機本体101の主部枠体102には、電極ユニット300の一部を構成するミストを放出(静電霧化)させる霧化用放出ピン205が第二の搬送部材206に差し込むように固定されている。この第二の搬送部材206は第一の搬送部材203から供給される水を受けるものであり、この第二の搬送部材206も第一の搬送部材203と同様フェルト等の不織布で形成されており、この第二の搬送部材206と第一の搬送部材203は接触している。そのため水溜め部201の水が第一の搬送部材203から第二の搬送部材206を経て霧化用放出ピン205にまで到達し、水分を含んだ状態となる。また、第二の搬送部材206は、金属製の接触片207の上に置かれたように配置され高電圧を印加されることが可能な構造となっている。また、この霧化用放出ピン205に対向する形で金属製の対向電極208が配置されている。この他にもイオン発生を目的とした電極209が、霧化用放出ピン205と同電位で位置している。第二の搬送部材206と第一の搬送部材203とは分離可能となっている。第二の搬送部材206と第一の搬送部材203との接続は、第二の搬送部材206の上部と第一の搬送部材203の下部とが接触し、給水経路が確保されている。このため、水溜めユニット301は電極ユニット300から上方に向かって引き抜くことで簡単に取り外すことができる。また、電極ユニット300と水溜めユニット301とは、水を搬送する第二の搬送部材206と第一の搬送部材203とでのみ接続されているので、電気的な接続を必要としない。本実施例では電気的な接続を必要しないので、安全性が向上し、装置が大型化するのを抑制できる。
【0020】
このように、主部枠体102に霧化用放出ピン205,対向電極208や電極209が固定された状態なので、先述のユニット着脱において、霧化用放出ピン205などによるけがや破損、その他にも汚れ付着防止,対向電極208との水滴による電気的短絡による漏電なども防ぐことが可能となる。また、霧化用放出ピン205が保有している水分量と霧化したミスト放出量は少なく、水垢の付着などによる清掃は行う必要がない。しかし、水溜め部201には常に水が蓄えられており、定期的な清掃などを行わないと雑菌やカビの発生へとつながる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係る空気清浄機の断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る静電霧化装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施例に係る静電霧化装置の概略図である。
【符号の説明】
【0022】
101 空気清浄機本体
113 静電霧化装置
201 水溜め部
202 蓋
203 第一の搬送部材
204 補強部材
205 霧化用放出ピン
206 第二の搬送部材
207 接触片
208 対向電極
209 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を発生させるファンと該ファンを駆動するファンモータとを収容する空気清浄機本体と、該空気清浄機本体に装着され空気に含まれた塵埃を捕集するフィルタユニットとを備えた空気清浄機において、
前記空気清浄機本体には、
ミストを発生させる電極ユニットと、該電極ユニットに水を供給する水溜めユニットとを備え、
前記水溜めユニットは水を溜める水溜め部と、該水溜め部の水を前記電極ユニットに供給するための第一の搬送部材とを有し、
前記電極ユニットはミストを放出する霧化用放出ピンと、前記第一の搬送部材と接触して前記水溜めユニットから供給される水を受け、前記霧化用放出ピンに水を搬送する第二の搬送部材とを有し、
前記第一の搬送部材と前記第二の搬送部材とは分離可能であると共に、前記水溜めユニットは前記電極ユニットから着脱自在に取り付けられていることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一の搬送部材と前記第二の搬送部材は不織布より構成されていることを特徴とする空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106820(P2009−106820A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279766(P2007−279766)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】