説明

空気清浄活性器

【課題】送風手段を設けることなく、真下に大量のマイナスイオンとわずかなオゾンを放出する空気清浄活性器を提供する。
【解決手段】正の筒状電極と負の針状電極とを対向配置した対置放電電極とを組み合わせたマイナスイオンを放出する空気清浄活性器であって、放出孔を直下に向けた天井等へ設置する空気清浄活性器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイナスイオン及び少量のオゾンを発生させ、機外に放出させることにより、室内空気を清浄にし、活性化させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マイナスイオンを電気的に発生させる方法として、コロナ放電方式や単針方式を採用されている。コロナ放電方式は、電極の形状を針状とイオン化線に大別することができるが、特に負の針状電極と対極として正の筒状電極を組み合わせたコロナ放電方式は本出願人が既に出願し((特許文献1)特許3017146号公報)、実施している製品に見られるように対向電極を筒状にすることにより、明確な電子風の発生を伴い、集塵能力もあるためファンレスタイプの空気清浄器としても利用されている。
【0003】
単針方式は、近年のマイナスイオンブームの潮流に乗り合わせた商品として比較的安価な価格帯で販売されているものに多い方式であるが、正の対極を設けず、負の針状電極に高電圧を印加することによりマイナスイオンを発生するものであり、電子風はほとんど伴わず、電圧の力で電子を空気中に放出する仕組みである。単針方式の例として、特許文献2(特開2001-321661号公報)がある。ファンを搭載したり、その発生ユニットをエアコンや扇風機に組込んだりして販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3017146号
【特許文献2】特開2001-321661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのマイナスイオンの放出を伴う空気清浄器は、床置きタイプあるいは棚の上などの高所に設置されるタイプであった。
ファン等の送風手段を特に設けることなくマイナスイオン及び/又は少量のオゾンを真下に向けて放出する空気清浄活性器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
筒状電極と針状電極とを対向配置して対置放電電極を構成し、針状電極を負電極、筒状電極を正電極として直流の高電圧を印加することによって、マイナスイオンを含む風を放出する空気清浄活性器であって、
マイナスイオンを含む風を下向き放出することを特徴とする空気清浄活性器。
(1)筒状電極と針状電極とを対向配置して対置放電電極を構成し、針状電極を負電極、筒状電極を正電極として直流の高電圧を印加することによって、マイナスイオンを含む風を放出する空気清浄活性器であって、
該空気清浄活性器のケースは、下方面を開口とした筐体と該筐体開口面に着脱自在に装着され、マイナスイオンを放出する孔を設けた前面装着板とから形成され、
該前面装着板に設けられた孔には筒状電極が装着され、少なくとも筒状電極が装着された状態で該前面装着板が筐体に対して着脱自在とされ、
マイナスイオンを含む風を下向き放出することを特徴とする空気清浄活性器。
(2)筐体には、開口側端に外向きに延出し小孔を穿った取付片を設け、
前面板体に設けられた孔部に対応する範囲を環状の開放部分とし、該開放部分が筐体開口よりやや小さく前記取付片に対応する面を含む外装環状体を備え、
該外装環状板体の前記取付片に対応する面には、取付片に設けられた小孔に対応する位置に小孔を設け、
両小孔を結着する結着具を備え
筐体と外装環状体とを天井板等の外部取付部材を介在させて結着具によって連結することを特徴とする(1)記載の空気清浄活性器。
(3)外装環状体を介して前面板を筐体に装着することを特徴とする(1)又は(2)記載の空気清浄活性器
(4)背面に吊り下げ具を設けて吊り下げ型としたことを特徴とする(1)記載の空気清浄活性器。
(5)対置放電電極を複数設けたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載された空気清浄活性器。
(6)針状電極は、筒状電極の筒の軸線延長上に位置し、開口面から1〜5mm好ましくは2〜3mm間隔を離して配置されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載された空気清浄活性器。
(7)負電極とする単針状の放電電極を組み合わせることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載された空気清浄活性器。
(8)単針状の電極からマイナスイオンが放出され、対置電極からは、コロナ放電によって、マイナスイオンと少量のオゾンが放出されることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載された空気清浄活性器。
(9)針状電極及び/又は単針状電極はチタンあるいはチタン系素材製とし、筒状電極は酸化チタンを等の光触媒を含む電極素材によって製造されていることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載された空気清浄活性器。
(10)針状電極から放電と共に紫外線を放射することを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載された空気清浄活性器。
(11)一面を解放した筐体と該解放面に対置放電電極及び/又は単針状の放電電極を装着する設置孔を設けた設置板からなる空気清浄活性器本体と外装環状板体とからなる空気清浄活性器であって、筐体の解放面外方側にねじ孔を穿った取付片を設け、前記外装環状板体には取付片に穿ったねじ孔に対抗する孔を形成し、筐体と外装環状板体の間に天井構造体を挟み込んだ状態で取付片のねじ孔と外環板の孔とを螺着するボルトを備えたことを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載された空気清浄活性器。
【発明の効果】
【0007】
(1)本発明者が先に提案したファン等の送風手段を必要とすることなく、空気清浄活性器を天井等の上方に設置し吹き出し口を真下に向かって設置することにより、直下から一定の範囲の空間では、マイナスイオン及び微量のオゾンの放射によって、密度が小さい減衰状態でほぼ一定の密度に分布する状態を実現することができた。
(2)対置放電電極が1個では、放出口から2.5m離れた位置でのマイナスイオンの計測値は、水平方向放出では20%以下になるが真下方向放出では65%程度と高密度を維持できる。
(3)対置放電電極を4個設けた空気清浄活性器では、1個の場合よりも減衰率を押さえることができる。
(4)天井取付型あるいは吊り下げ型なので、一定間隔で本機器を設置する事ができ、狭い部屋から広い部屋までマイナスイオン等の分布を均一にすることができる。
(5)あるいはマイナスイオンを必要とする場所の直上に本機器を設置することができるので、効果的な配置ができる。例えば、喫煙場所の直上に設けることができる。
(6)単針状の放電電極と対置放電電極を組み合わせることにより、マイナスイオンの発生量を増加させることができる。
(7)放電電極を設置する設置板のみを脱着する事により、筒状電極に付着する塵埃などを容易にメンテナンスすることができる。
(8)本機器は、マイナスイオンと微量のオゾンを併用することにより、殺菌、除菌、消臭、消煙などの効果を相乗的に発揮することができる。
(9)本機器は、ファンなどの送風手段が不要であるから、静穏で省電力である。
(10)本機器は、微弱な紫外線を発生し、筒状電極の酸化チタンの光触媒作用により、臭いの分子、煙の粒子、塵埃粒子などの分解が促進される。
(11)筒状電極を空気が流通することにより、マイナス電荷をもった塵埃が筒状電極に吸着され、集塵される。
(12)本考案の空気清浄活性器は、特に用途が限定されることはないが、一般室内、病院、車内、電車内、商業施設、娯楽施設、飲食店、レストラン、美・理容院、喫煙所、生鮮売場、食品売場、工場、ペットショップ、動物病院、天井、倉庫等各種施設・各個所が例示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】空気清浄活性器の容器の分解図略図
【図2】天井埋込設置状態を概説する図
【図3】空気清浄活性器の斜視図
【図4】天井埋込取付状態の天井斜視図
【図5】対置電極と単針状電極を併用した例の機器配置略図
【図6】4つの対置放電電極を組み込んだ空気清浄活性器のマイナスイオン観測図
【図7】真下吹き出し方向によるマイナスイオンの観測図
【図8】水平方向吹き出しの比較例のマイナスイオン観測概略図
【図9】円筒状の筐体の例
【図10】角型の外装環状体の例
【発明を実施するための形態】
【0009】
<天井設置型、吊り下げ型(ダウンライト方式)>
本発明は、マイナスイオン及び微量のオゾンを含む空気を発生装置から直下に向けて吹き出すことによって、直下の一定範囲の空間のマイナスイオン及びオゾンの量の減衰が水平に吹き出すよりも格段に小さいことを見出し、放出孔を真下に向けた空気清浄活性器を作成したものである。
また、マイナスイオン及び微量のオゾンの発生器を1個よりも複数設けると減衰率がさらに少なくすることができることを見出して、複数設置した空気清浄活性器を提供するものである。
また、さらに、単針状の放電電極を併用することにより、さらにマイナスイオンの放出量を増加させることができることに着目し、単針状の放電電極を組み合わせた空気清浄活性器を提供するものである。
具体的には、放出孔を真下に向けた状態で空気清浄活性器を天井に取付る構成としたこと、あるいは、天井などから吊り下げるように構成したことである。
【0010】
<1−1 収容体>
空気清浄活性器は、マイナスイオン等を発生する放電電極と高電圧発生用の高圧電源ユニットと両者を接続する電源ケーブルからなる機器類とこれらの機器類を収容する収容体から構成され、外装体には天井などに取り付ける構成が設けられている。
本発明で採用する対置電極の筒状電極は集塵に伴うクリーニングメンテナンスを実施する必要があるので、このメンテナンスの容易性を確保する構成とする必要がある。
これら構成機器の収容は、天井などに取付た状態で下側となる面を開口面とした筐体を準備し、該筐体には少なくとも高圧電源ユニットと該高圧電源から放電電極への電源ケーブルを取付、また外部電源への接続器を設ける。
筐体の開口面には前面装着板を着脱自在に設け、該前面装着板には、少なくともメンテナンスが必要な筒状電極を装着する孔を設けて、該前面装着板の脱着に伴って、筒状電極も取り外しできるように構成する。針状電極の取付方は、針状電極と筒状電極に所定の配置に保つことができる限り、筐体側あるいは前面装着板側に取り付けるかは自由である。
ただし、筐体開口と前面装着板との間に天井板等が介在する場合は、筒状電極と針状電極の配置関係を所定の位置関係に保つことは困難であるから、前面装着板側に筒状電極と針状電極を取り付けた方が、所定の性能を発揮することに適している。
また、前面装着板には単針状の放電極に対応する孔も設ける。
複数の対置放電電極を用いる場合は、これらを一体としたカートリッジとすると、前面板への装着やメンテナンスのための脱着の作業及び位置関係を所定の関係に保つために有用である。
筐体や前面装着板は金属製とすると、電波ノイズのシールド性が高まる。
外形は、設置場所などに合わせて設計することができ、角型や丸型の外装表面や、円筒や角筒の筐体など、工夫することができる。
【0011】
<空気清浄活性器の固定手段>
空気清浄活性器は、天井板や梁などの天井構造材に直接取り付けるケースや天井に埋め込み設置するケース、吹き抜けなどの空間などに取り付けるケースなどが想定される。
天井構造材に直接取り付ける場合は、筐体の背面あるいは側端に取付片を設けて直接固着するか天井構造材に蛍光灯などを取り付けるような接続具を介して取り付けることができる。
天井に埋め込む場合は、天井に挿入用の切り欠きを設け、天井板裏面に空気清浄活性器あるいは筐体を載せ、切り欠きを覆う外装環状板体を天井表面側にあてがい、天井板を間に挟んで外装環状体と筐体とを接続してしっかりと固定する構成を採用することができる。加えて、外装環状体を取り付けてから前面板体を取り付けるようにすると、メンテナンスなどの際の着脱がきわめて容易となる。
天井から吊り下げる手段は、筐体の背面にフックや紐、チェーンなどを採用することができる。
【0012】
<2 放電方式>
<2−1 対置放電電極>
本発明で採用するマイナスイオンの主な発生手段は、本出願人が先に提案した筒状電極を正極とし、筒状電極の筒の中心軸の延長線上で開口面よりやや外側に負極の針状電極を配置する対置放電電極を用いて、コロナ放電による無声放電によってマイナスイオンを発生させる手段である。この方式によると、筒状電極からマイナスイオンと微量のオゾンがファンなどの送風手段を設けることなく、秒速3m程度の風速で放出される。さらに、針状電極からの放電に伴い微弱な紫外線が発生する。マイナスイオンは50万個程度が観察されている。本方式は、モーターなどの駆動源が必要が無く静穏であり、省力的であり、マイナスイオンとオゾンの併用の作用効果が発揮されるものである。
筒状電極に酸化チタンなどの光触媒を用いることにより、紫外線によって光触媒が活性化して、消煙、消臭、浮遊塵埃の分解などを促進することができる。酸化チタン合金を電極材料とすることにより、放電による耐久性の向上と吸着塵埃の解消の双方が解決することができ、対置放電電極の性能を十分に発揮できる。
対置放電電極を構成する針状電極と筒状電極の配置関係は、前記の起風力、発生するマイナスイオン量、オゾン量に大きな影響を及ぼす。針状電極は筒状電極の軸線の延長にあって、開口面より数ミリメートル外側に間隔を設けて配置することが必要である。対置放電電極の1対について針状電極と筒状電極の間隔を横軸にとり、生ずる風速、オゾン量、マイナスイオン量の変化を調べた結果、このコロナ放電方式では、距離が大きくなると発生オゾン量は減少し、マイナスイオン量は増加し、風速は3mm近をピークに放物線を描くことが確認できた。したがって、マイナスイオンを遠くへ放出するためには、間隔は1〜5mm度必要であって、好ましくは2〜4mmである。別に、筒状電極の径についても実験した結果、10〜50mm特に20mm度が適していることが判明した。
【0013】
<2−2 単針状電極との組み合わせ>
さらに、筒状電極を設けない単針状の負電極は、単針状電極からは対置電極よりも多くのマイナスイオンを生成するが、送風力がないので単独では放出力がないが、前記の対置放電電極に近接配置することにより、その送風力に載せて放出することができる。この併用方式では、それぞれの単独で計測した量の総和より多くのマイナスイオンを計測できているので、相乗の作用効果が発揮されているものと推測される。
単針状放電電極では、マイナスイオンの放出方向に指向性は無いので、放出孔側に集中させるために、単針状放電電極の背面に反射板を設けると効率性が高まる。
単針状の針状電極は、対置放電電極と同様の材質で作成されており、対置放電電極に用いる針状電極よりも大きく形成している。太さ、長さとも1〜3倍程度としている。単独で用いる単針状の針状電極に負の電圧を印加した状態を暗箱で観測すると、短いビーム状の放電を観測することができ、短ビーム状の空中放電が発生している。この放電によって、マイナスイオンが生成されているものと考えられる。単針状の針状電極の背面側に凹面状の反射板を設けることによって装置前方でマイナスイオンの増加が観測され、反射板は指向性を高める作用があると理解された。
【0014】
<2−3 カートリッジ化>
正極である筒状電極は、負に帯電した塵埃が付着するので、クリーニングメンテナンスが必要である。針状電極と筒状電極の位置関係は、所定の放電を実現するため、正確に保たれる必要がある。この位置関係をメンテナンスなどによる脱着によっても変化しないようにするために、複数の筒状電極をまとめてカートリッジ化して開閉が必要な前面装着板の孔に位置決め固定するか、あるいは、前面装着板の取付孔に位置決め固定することによって、正確に再装着できる。マイナスイオンの発生性能を維持するのに有用な構成である。
【0015】
<2−4 直下放出方式の作用>
従来はマイナスイオン発生器は床置きや棚などの上において、放出方向を水平にして拡散させる方式が主である。水平放出方式は、放出口近傍から離れるに従いマイナスイオン密度は急激に低くなり、部屋全体を均一な密度に保つことは困難であること、本出願人が先に提案した対置放電電極からは空気の平均分子量より大きいオゾンが含まれるので、特にマイナスイオンとオゾンの混合状態で送風することが困難であることをふまえ、試行錯誤の結果、天井から直下に向けて放出したところ、水平方向よりも減衰率を押さえた状態でマイナスイオンを分布させることができたので、この発明を案出するに至った。
具体的には、放出孔から天井の高さに相当する2.5m離れた位置でマイナスイオンを計測した結果、放出孔近傍では50万個/ccの計測値が、真下吹き出しでは、65%(32.5万個/cc、減衰率では35%)であるのに対し、水平方向の吹き出しでは、20%以下(10万個以下、減衰率では80%以上)という結果となり、直下吹き出し方式の方が減衰率が小さいことを実測で確認された。
さらに、対置放電電極を複数配置した場合は、より減衰率を小さくすることができた。4個用いた実施例では、2.5m直下で直径3mの範囲で、減衰率を20〜26%に押さえることができた。
したがって、和室などの空間では、対置放電電極を4個組み込んだ空気清浄活性器を天井に取り付けると、部屋全体を均一にカバーできることとなる。また、事務室や会議室などの広い空間でも一定間隔を空けて天井に取り付けることで、全体を均一にカバーできることとなる。もちろん、喫煙所などに集中配置して、局所的に効果を高めることができる。特に、たばこの煙など上昇する対象物に対しては、天井設置はよりその作用効果が発揮される。
【0016】
<作用>
本発明の装置は、発生したマイナスイオンと微量のオゾンをファン等の送風装置を用いる必要が無く、直下方向に吹き出すことにより、小さい減衰率で一定範囲にマイナスイオン等を分布させることが可能となり、対象空間に平均的にあるいは集中して的確に作用させることが実現できるものである。
本装置によって、(1)除菌、(2)脱臭、(3)プラス滞荷浮遊塵埃中和沈下による浮遊塵埃の減少、(4)消煙、(5)塵埃の筒状電極での吸着集塵、(6)筒状電極に含まれる酸化チタンの光触媒作用による吸着集塵の分解、(7)マイナスイオンによる清涼環境の創出(森林浴効果)、(8)電磁波障害が発生しない等の従来のマイナスイオン発生器より以上の作用効果を発揮するものである。
特に、 本装置からは大量のマイナスイオンと僅少のオゾンが発生され、ファン等の送風手段を用いることなく起風によって、筒状電極から放出され、空中に散布され、無声放電であるから電子ノイズが発生せずコンピューター制御機器の作動に悪影響を及ぼすことが少なく、筒状電極によって、塵埃の一部が吸着され浮遊塵埃が減少されるので、使用箇所に制限が少ないので、建物の施工時に天井などに埋め込んでおいても、用途に制限を与えることは少ない。
【0017】
〈除菌作用〉
マイナスイオンと微量オゾンの相乗効果で強力に除菌し、食中毒の原因となっているO-157にも効果を発揮する。大腸菌と青かびの生育試験を行った試験結果において、殺菌性能を確認することができた。
【0018】
〈脱臭作用〉
異臭やタバコの臭いは微粒子で空気中に漂ったり、至る所に付着する。微量オゾンとマイナスイオンが素早く臭い成分を分解し臭いを取り去ることができる。空気清浄活性器を使用して、代表的なトイレ臭の消臭テストを行った。アンモニアとホルムアルデヒドは、20分で半減し、ホルムアルデヒドは60分で解消し、アンモニアはほぼ20%に減少しており、消臭に効果があることを確認している。サル、イヌ、フェレットなどの動物飼育室の消臭試験においても良好な結果が認められた。
【0019】
〈集塵、消煙作用〉
空気中に浮遊するチリやタバコの煙の粒子である一酸化炭素、花粉症やアレルギー患者の原因になる有害微粒子を0.001ミクロンまで強力に集塵・消煙できる。
浮遊粉塵量の減少試験では、10数分で半分に減少するのに対し、フィルター方式は30分間を要しており、30分後には70%減少するのに対し、フィルター方式では60分経過しても70%の減少は達成できていない。本装置では、電荷を持っていない粉塵を用いて試験をした結果、マイナスイオンに接触することにより、粉塵にマイナスイオンが帯電することとなり、プラス側に吸着され、浮遊粉塵が減少し、空気が清浄にされ、粉塵は筒状電極の外、床などの室内下部に多く付着しているのが観察されている。
【0020】
〈衛生、清涼作用〉
低濃度オゾンで衛生管理と光触媒反応で大量のマイナスイオン効果による健康管理と森林浴効果が期待でき、新鮮・健康生活のエンジョイが増進される。除菌+脱臭+集塵+消煙によって安心した生活環境を提供できる。 病棟において対置放電電極を4個組込んだ空気清浄活性器を作成し有用性の確認試験をした結果、設置前後において落下した観測菌数は18%〜58%、平均38%に減少しており、有用性を確認している。本発明の空気清浄活性器は、マイナスイオンの放出量および放出範囲が拡大されるので更に効果が期待できる。病室内空気を可能な限り正常に保つことは重要な感染予防手段のひとつである。
【0021】
まとめると、(1)除菌、(2)脱臭、(3)プラス滞荷浮遊塵埃中和沈下による浮遊塵埃の減少、(4)消煙、(5)塵埃の筒状電極での吸着集塵、(6)筒状電極に含まれる酸化チタンの光触媒作用による吸着集塵の分解、(7)マイナスイオンによる清涼環境の創出(森林浴効果)、(8)電磁波障害が発生しない、(9)ファンを使用しないので低コスト、小型軽量がはかれる等の効果が天井から直下に放出することとでむら無く作用させることができる。
本発明の空気清浄活性器は、特に用途が限定されることはないが、一般室内、病院、車内、電車内、商業施設、娯楽施設、飲食店、レストラン、美・理容院、喫煙所、生鮮売場、食品売場、工場、ペットショップ、動物病院、天井、倉庫等各種施設・各個所が例示できる。
【実施例1】
【0022】
本実施例は、天井埋込型の例である。
図1は、空気清浄活性器の容器の分解図である。図2は、天井埋込設置状態を概説する図である。図3は、空気清浄活性器の斜視図である。図4は、天井埋込取付状態の天井斜視図である。図5は、対置電極と単針状電極を併用した例の機器配置略図である。図6は、4つの対置放電電極を組み込んだ空気清浄活性器のマイナスイオン観測図である。図7は、真下吹き出し方向によるマイナスイオンの観測図である。図8は、水平方向吹き出しの比較例のマイナスイオン観測概略図である。図9は円筒状の筐体を採用した例の図である。図10は、角型の外装環状体を備えた例を示す図である。
【0023】
図3は本実施例の天井埋込設置型の空気清浄活性器Aの全体斜視図である。マイナスイオン発生機器を組み込んだケース1は、下方面を開口とした筐体11と該筐体開口面に着脱自在に装着され、マイナスイオンを放出する孔21を設けた前面装着板20とから形成され、該前面装着板20に設けられた孔には筒状電極101が装着され、少なくとも筒状電極が装着された状態で該前面装着板20が筐体に対して着脱自在とされている。本実施例では、天井埋込設置とするタイプなので、さらに前面装着板20の外周に重なるようにして環状体の外装環状体30を組み合わせている。
【0024】
図1に、本実施例のケース1の分解図が示してある。筐体11は下面が開放され立法形の箱体で示してある。筐体の形状は立方体に限定される必要は無く、図9に示すように円筒状でも差し支えない。内部の機器配置や取り扱い容易性などを勘案して適宜決定できる。前面装着板20は、筐体の開放面を覆う大きさで、マイナスイオン放出孔21が設けられている。マイナスイオン放出孔21には、筒状電極101が装着されて、筒状電極101ごとこの前面装着板20が取り外しできるようにする。本実施例は筒状電極を4個設けられるようにした例である。さらに、天井埋込型である本実施例では、筐体11を天井裏側に置き、放出孔21が天井表面とほぼ同一になるように前面装着板20を設置するので、天井板の切り欠きを覆う外装環状体30を組み合わせる。外装環状体30は内側をマイナスイオン放出孔21を塞がないように切り欠き、天井の切り欠きを覆う幅の環状に形成した。外装環状体30の外形は円形、角形、楕円形など自由である。図10には、角型の外装環状体を備えた例を示した。
【0025】
本実施例の天井埋込型では、天井への固定手段として、筐体11と外装環状体30とを天井板を挟んで連結して固定する方式を採用している。その構成は、筐体11の開放側端から外側に取付片12を設け、該取付片12と外装環状体30にそれぞれ対応する位置に小孔13,31を設け、両小孔に結着具を挿通して固定する。本例では、結着具として長いボルトを採用し、取付片12の小孔13には雌ねじを形成して、螺着によって固定する手段を講じている。その後、前面装着板20を外装環状体30あるいは筐体11にねじ止めなどの手段により着脱自在に取り付ける。前面装着板20を最後に取り付けた方が、メンテナンスなどの際に、着脱し易く、効率的であるからである。もちろん、前面装着板20を固定後に外装環状体30を設置する組み合わせとすることもできる。
図2に天井埋込設置の断面模式図が示されている。図2(a)は、上から筐体11、外装環状体30、前面装着板20の順に配置される状態を示し、図2(b)は、天井板200に設置した状態を示している。筐体11を天井板200に設けた切り欠きから天井裏に挿入して、天井板200裏面に載せ、その後天井板200の表面から外装環状体30をあてがい位置あわせをして、ボルト40を挿通して固着し、その後、筒状電極101が装着された前面装着板20を取り付ける。図4に天井埋込施工後の状態図が示してある。目に触れるものは4個の孔のあいた化粧板面が見えるだけなので、天井の意匠性を損なうことは無い。
【0026】
図5は、マイナスイオン発生機器の構成を示す図である。
コロナ無声放電する対置電極100と単針状の放電極120及び高電圧発生用の高圧電源ユニット103から構成されケース1に納められている。対置電極100は、負の針状電極102と該針状電極に対向して設けられた正の筒状電極101から構成される。高圧電源ユニット103は、直流電源であって、負電圧をケーブル106を介して針状電極102及び単針状の放電極120に印加し、筒状正電極へは、ケーブル105を介して正電圧を印加する。針状電極102から、筒状電極101の開口周縁に向けて、無声のコロナ放電が生じ、針状電極120からは、短ビーム状の放電が生ずる。対置電極100からは3m/秒程度の風速でマイナスイオンと微量のオゾンを含む空気が放出されることが本考案者によって核にされている。
正電極及び負電極は、チタンに酸化チタンを混合して成型した酸化チタン合金を用い、放電に対して耐久性を向上させる。筒状の正電極101の径は19mm、針状負電極102と筒状電極101との間隔dを3mmと設定している。針状電極102は基部径を1.0mm長さを13〜14mm単針状電極120は基部径を1.5mm長さを25mmにしてコロナ無声放電する電極よりも単針状を太く長く成形している。単針状の放電極120の後側にはアルミ製の反射板121を設け、前面には、安全用のスリットを設けた。単針状の放電極120からは短ビーム状の放電が発生することは、暗箱実験によって確認しているが、マイナスイオンの量は、離れる程減衰することも確認され、指向性は弱いことを本考案者は確認している。図5の例では、単針状の放電極と対置電極を近接配置して併用すること、及び、単針状の放電極の背面に凹面状の反射板を設けて、マイナスイオンの前方への集中度合を高めることとしている。針の先端30cmの計測では、1.6倍〜2.0倍の増加があった。実験結果を表1aに示す。印加する負電圧は、4kcの周波数で、マイナス7.5kvとした。
図5の例では対置電極100と単針状の放電極120を組み合わせた例を示しているが、対置電極を1個あるいは複数組み合わせたものでも良い。図1、図3、図4に示した例では、対置電極100を4個組み込んだものである。
【0027】
図6〜図8は本考案の試験を示す図である。
<天井設置試験>
図6は、2.5mの天井に図3に記載した空気清浄活性器を埋込設置した状況を示すものである。放出孔付近では、約3m/秒の風速で500,000個/1電極のマイナスイオンが計測され、床面では、直径3mの範囲で370,000〜400,000個/1電極のマイナスイオンが計測された。減衰率は20〜26%である。なお、減損した率を減衰率とした。この場合は、例えば、100%−37万個/50万個×100%=26%である。
【0028】
<比較試験>
図7は、空気清浄活性器の放出孔からの距離に応じたマイナスイオン数の計測グラフで、1個の対置電極を用いて、通常の天井高さより高い3.5mから真下に放出させた本考案の例と、図8に示すように1.4mの高さから水平に放出させた比較例1と、他社の製品を比較例1と同様にして放出させた比較例2である。
本実施例は放出孔付近では50万個である。40万個を切るのが1.2m、通常の天井高さ付近の2.5mでは32万個(減衰率36%)、3.0m〜3.5mの床付近でも30万個(減衰率40%)を維持している。
これに対し、比較例1では、0.5mで40万個となり、1.0mでは25万個弱と半減し、2.5mでは10万個を下回り、以後漸減となっている。
比較例2は、放出孔付近で20万個程度であって、2.0mまで逆比例的に減少し、ほぼ計測できなくなった。
この試験によって、真下に向けて放出した方が減衰率が小さく、マイナスイオン環境を均一に作りやすいことがわかる。
図7の実施例と図6の実施例を比較する、前者は2.5m直下では36%減衰していたが図6の複数個の電極の例では20%の減衰率であった。これは、複数の対置電極を組み合わせることにより減衰率を小さくできることを現している。
【符号の説明】
【0029】
A 空気清浄活性器
d 間隔
1 ケース
11 筐体
12 取付片
13,31 小孔
20 前面装着板
21 放出孔
30 外装環状体
40 ボルト
100 対置電極
101 筒状電極
102 針状電極
103 高圧電源ユニット
105 ケーブル
106 ケーブル
120 単針状の放電極
121 反射板
200 天井板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイナスイオンを放出する天井設置型の空気清浄活性器において、
円形開口電極と針状電極とを対向配置して対置放電電極を構成し、針状電極を負電極、円形開口電極を正電極として直流の高電圧を印加することによって、マイナスイオンを含む風を放出する空気清浄活性器であって、
前記対置放電電極を
マイナスイオンを含む風を下向き放出することを特徴とする空気清浄活性器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−195740(P2009−195740A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134625(P2009−134625)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【分割の表示】特願2003−425842(P2003−425842)の分割
【原出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(591068517)共立電器産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】