説明

空気清浄装置

【課題】従来の空気清浄装置では、気流による吸引によって装置周辺に塵埃が集まり、装置の周辺に落下している塵埃が多いという課題があった。
【解決手段】吹出部13に送風路9を遮蔽する遮蔽手段14を備え、前記遮蔽手段14により吹出部13が遮蔽された時、前記遮蔽手段14の直前送風路壁面15に備えた開口部16から送風空気が本体内部に流出して本体下部に備えた排出部17から空気を排出する構成とすることで、空気清浄装置の周辺に塵埃を舞い上げる気流を生成させることができ、舞い上げて、集塵することで効率よく塵埃を集塵することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に気流を発生させ塵埃を集塵手段へと集めて空気を清浄する空気清浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気清浄装置としては、室内に発生させた気流とともに塵埃を回収することで、室内全体の塵埃を回収できるようにしているものがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された従来の空気清浄装置を示す斜視図である。図3において、本体1上面に設けた第1の吸排気手段2と、本体1下部に設けた第2の吸排気手段3と、前記第1の吸排気手段2と第2の吸排気手段3を連通させて空気を流す正逆切り替え可能なファンモータ4とを備え、前記ファンモータ4の回転方向を切り替えて、空気の流れ方向を切り替えることで空気澱みを解消し浮遊粉塵を効率良く除去することができるものである。ここで、5、6はフィルタ、7は制御部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−143737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の空気清浄装置では、正逆の流れを室内に発生させることで、空気澱みを解消して滞留する塵埃を低減することはできるが、正逆の気流方向の切替時に塵埃が床に落下してしまうという課題があった。そして、装置近傍に寄せられてきた塵埃が床面に堆積していき、落下、堆積した塵埃をフィルタに回収することは困難であった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、送風路の遮断によって床面への気流を発生させ、床に堆積した塵埃をその気流によって再度浮遊させることで、塵埃を効率よく回収するようにした空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気清浄装置は、本体の内部に備えた送風路の上流側から順に、塵埃を濾過するフィルタ手段を備えた吸込部と、空気を送風する送風手段と、濾過された空気を室内に排出する吹出部と、前記吹出部に前記送風路を遮蔽する遮蔽手段とを備え、前記遮蔽手段により吹出部が遮蔽された時、前記遮蔽手段の直前送風路壁面に備えた開口部から送風空気が本体内部に流出して本体下部に備えた排出部から空気を排出する構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気清浄装置は、送風路の遮断によって床面への気流を発生させ、床に堆積した塵埃をその気流によって再度浮遊させることで、塵埃を効率よく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における空気清浄装置の側面図
【図2】同、空気清浄装置の他の動作を示す室内の斜視図
【図3】従来の空気清浄装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、本体の内部に備えた送風路の上流側から順に、塵埃を濾過するフィルタ手段を備えた吸込部と、空気を送風する送風手段と、濾過された空気を室内に排出する吹出部と、前記吹出部に前記送風路を遮蔽する遮蔽手段とを備え、前記遮蔽手段により吹出部が遮蔽された時、前記遮蔽手段の直前送風路壁面に備えた開口部から送風空気が本体内部に流出して本体下部に備えた排出部から空気を排出する構成とすることにより、送風路の遮断によって床面への気流を発生させ、床に堆積した塵埃をその気流によって再度浮遊させることで、塵埃を効率よく回収することができる。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明の空気清浄装置において、開口部を設けた遮蔽手段の直前の送風路は、送風路断面が徐々に拡大する構成とすることにより、遮蔽していない時には、送風路内を流れる気流のエジェクタ効果によって、本体内部の空気が送風路内に吸引されて本体内部の空気を排出することができ、本体内で発生するモータ熱や回路熱を排出して冷却することができる。
【0012】
第3の発明は、特に第1の発明の空気清浄装置において、遮蔽手段による吹出部の開口面積調整を行う制御手段を備え、吹出部の開口面積調整によって排出部からの流速に揺らぎを与える構成とすることにより、床面への気流に揺らぎを与えることで、堆積した塵埃に揺らぎ気流からの衝撃を与えて浮遊させることができる。
【0013】
第4の発明は、特に第1から第3の発明の空気清浄装置において、吹出部から吹き出す集塵モードと、吹出部を遮蔽する遮蔽モードとを繰り返し動作させる制御手段を備えた構成とすることにより、排出部からの送風による塵埃の舞い上げと、吸込部からの吸引による塵埃の集塵とを繰り返すことで、塵埃を舞い上げては吸引する動作が確立され、効率よく塵埃を集塵することができる。
【0014】
第5の発明は、特に第1から第4の発明の空気清浄装置において、遮蔽手段は、吹出し風向を可変する風向可変手段を兼用する構成とすることにより、風向を変化させる流れの中に遮蔽動作を組み込むことができ、構造的にも簡素化できることと、ソフト的な制御においても簡素化することができる。
【0015】
第6の発明は、第1から第5の発明の空気清浄装置において、空気清浄装置本体に塵埃の集塵量を検知する埃センサを備え、遮蔽手段によって遮蔽した時に前記埃センサが検知する埃量の変化によって、遮蔽する時間間隔やタイミングを学習するように制御する制御手段を備えることで、設置された部屋の環境に応じて、遮蔽するタイミングを学習して最適な動作時間、最適な運転間隔にしていくことができ、省エネや空気清浄の効率化を図ることができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における空気清浄装置の斜視図を示すものである。
【0018】
図1において、空気清浄装置の本体8の内部に設置された送風路9に、塵埃を濾過する集塵手段としてのフィルタ10と、送風手段としてのファン11とが設けられている。そして、フィルタ10が設置された吸込部12から塵埃を含んだ空気が吸引され、フィルタ10によって濾過されたきれいな空気を室内に排出する吹出部13を設けた構成となって
いる。さらに、前記吹出部13を遮蔽する遮蔽手段としての偏向遮蔽ルーバー14を備えている。
【0019】
そして、前記吹出部13が遮蔽されたとき、前記偏向遮蔽ルーバー14の直前送風路壁面15に備えた開口部16から送風空気が本体内部の流路に流出して本体8の下部に備えた排出部17から空気を排出する構成となっている。ここで、18はファンを駆動するモータ、19は空気清浄装置を制御する制御手段としての制御回路、20は偏向遮蔽ルーバー14を駆動するモータ、21は埃センサ、22は本体が設置された部屋の床、23は人体検出センサである。
【0020】
以上のように構成された空気清浄装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
集塵モード時の運転は、ファン11が運転されることで、吸込部12から室内の空気が吸引され、フィルタ10によって塵埃などが濾過されたきれいな空気が送風路9を通って、吹出部13から排出されるものである。また、図2のような遮蔽モード時の運転は、偏向遮蔽ルーバー14が吹出部13を遮蔽するように動作される。そして、送風路9を通って流れてきた空気は、遮蔽ルーバー14の直前送風路壁面15に備えた開口部16から本体8の内部を流れて、本体8の下部に備えられた排出部17から本体8の外部に吹出されるものである。
【0022】
ここで、集塵モード時においては、空気清浄装置本体8の近傍に埃が寄せられて集塵するものであるが、一方、気流から外れた塵埃は、床面に落下して堆積していくことになる。本発明の構成では、遮蔽モードとすることで、本体8の下部に設けられた排出部17から吹出された気流によって、本体8の近傍の床22を舐めるように気流が送風され、床22に堆積された埃や塵埃を舞い上げることができるようになる。そして、動作モードを集塵モードに制御回路19によって切り替えることで、集塵気流を発生させ、浮遊した塵埃を効率よく回収することができるものである。
【0023】
また、遮蔽モードの運転は、人体検出センサ23によって人体を検出しないときに行うものである。そして、制御回路19により吹出部13から吹き出す集塵モードと、吹出部13を遮蔽する遮蔽モードとを繰り返し動作させることができ、排出部17からの送風による塵埃の舞い上げと、吸込部12からの吸引による集塵とを繰り返すことができる。その結果、塵埃を舞い上げては吸引する動作が確立され、人体がいないので気流が乱されず効率よく塵埃を集塵することができ、人体への影響も心配することなく運転することができる。
【0024】
また、開口部16を設けた遮蔽ルーバー14の直前の送風路9は、送風路断面が徐々に拡大する構成とすることにより、遮蔽していない時には、送風路9内を流れる気流のエジェクタ効果によって、本体8内部の空気が開口部16から送風路9内に吸引されて本体内部の空気を吹出部13から排出することができ、本体内で発生するモータ熱や回路熱を排出して冷却することができる。そして、制御回路19やモータ18を流れる気流は、集塵モード時の流れと、遮蔽モード時の流れで逆方向の流れを発生させることができるので、本体内に埃などが詰まることを防止することができる。
【0025】
さらに、制御回路19からの指示によって、遮蔽ルーバー14の開口角度を変化させることで、吹出部13の開口面積調整を行うことができる。そして、吹出部13の開口面積調整によって排出部17からの流速に揺らぎを与えることができ、床面22への気流に揺らぎを与えることで、堆積した塵埃に揺らぎ気流からの衝撃を与えて浮遊させることができる。
【0026】
さらに、遮蔽ルーバー14の開口角度を変化させることで、部屋内部の気流も変化を与えることができるので、気流の滞留部が抑制でき、浮遊する塵埃の回収、集塵を効率よく行うことができる。
【0027】
そして、遮蔽ルーバー14は、吹出し風向を可変する風向可変手段を兼用する構成とすることにより、風向を変化させる流れの中に遮蔽動作を組み込むことができ、構造的にも簡素化できることと、ソフト的な制御においても簡素化することができる。その結果、室内気流の攪拌と床面気流のゆらぎを同時に両立することができ、床面から舞い上げては、フィルタ10で集塵するサイクルが、自動的にできることになり雌雄人性能を大きく向上することができるものである。
【0028】
また、空気清浄装置本体8に塵埃の集塵量を検知する埃センサ21を備え、遮蔽ルーバー14によって遮蔽した時に前記埃センサ21が検知する埃量の変化によって、遮蔽する時間間隔やタイミングを学習するように制御する制御回路19を備えることで、設置された部屋の環境に応じて、遮蔽するタイミングを学習して最適な動作時間、最適な運転間隔にしていくことができ、省エネや空気清浄の効率化を図ることができる。
【0029】
例えば、遮蔽モードによって塵埃を舞い上げたときの埃量を埃センサ21で検出し、埃検出量を記憶しておく。初期動作において、このような遮蔽モード動作を1時間ごとに繰り返し行い、1日のうちで最も多く埃が検出される時間帯を記憶して、翌日からは、その時間帯に行うようにすれば、運転回数を低減でき省エネ動作とすることができる。そして、最もたくさんの埃が回収できることになり、効率よく空気清浄を行うことができる。もちろん、人体検出センサ23の検知と併用して行うものである。
【0030】
このように、遮蔽ルーバー14による吹出部13の開口面積の変化によって、室内気流の停滞流や澱み領域を低減して浮遊する塵埃の回収を効果的に行うとともに、同時に、吹出部13の開口面積の変化によって、床面に堆積した塵埃を再度浮遊させることができるので、落下した塵埃も回収することができるようになるものである。
【0031】
なお、本発明は空気清浄装置単体でも効率的な集塵効果を発揮できるものであるが、同じ部屋に設置されたエアコンの運転と連動させて空気清浄装置を運転することで、より効果を発揮することができる。例えば、エアコンの気流が空気清浄装置の方向に発生しているときに、空気清浄機は遮蔽モードの動作とすることで、空気清浄装置周辺の塵埃をより多く舞い上げることができる。また、エアコンの動作が停止したときに、空気清浄装置は集塵モードとすることで、舞い上げられた塵埃を効率よく集塵することができる。このように、エアコンの動作と連動させて空気清浄装置を動作させることで、集塵効率を大幅に向上することができる。
【0032】
また、上記した実施の形態における構成は、必要に応じて適宜、単独および組み合わせて使用することができるものであり、実施の形態そのものの構成に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる空気清浄装置は、本体周辺の床面に気流を発生させて塵埃を舞い上げて回収することによって、本体周囲に堆積した塵埃を効率よく回収することができる。そして、エアコンや掃除機と連動させて運転することで、集塵効率をより向上させるように利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
8 空気清浄装置の本体
9 送風路
10 フィルタ(フィルタ手段)
11 ファン(送風手段)
12 吸込部
13 吹出部
14 偏向遮蔽ルーバー(遮蔽手段)
15 送風路壁面
16 開口部
17 排出部
18 モータ
19 制御回路(制御手段)
21 埃センサ
22 床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の内部に備えた送風路の上流側から順に、塵埃を濾過するフィルタ手段を備えた吸込部と、空気を送風する送風手段と、濾過された空気を室内に排出する吹出部と、前記吹出部に前記送風路を遮蔽する遮蔽手段とを備え、前記遮蔽手段により吹出部が遮蔽された時、前記遮蔽手段の直前送風路壁面に備えた開口部から送風空気が本体内部に流出して本体下部に備えた排出部から空気を排出する構成とした空気清浄装置。
【請求項2】
開口部を設けた遮蔽手段の直前の送風路は、送風路断面が徐々に拡大する構成とした請求項1項記載の空気清浄装置。
【請求項3】
遮蔽手段による吹出部の開口面積調整を行う制御手段を備え、吹出部の開口面積調整によって排出部からの流速に揺らぎを与える構成とした請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
吹出部から吹き出す集塵モードと、吹出部を遮蔽する遮蔽モードとを繰り返し動作させる制御手段を備えた構成とした請求項1から3のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
遮蔽手段は、吹出し風向を可変する風向可変手段を兼用する構成とした請求項1から4のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
空気清浄装置本体に塵埃の集塵量を検知する埃センサを備え、遮蔽手段によって遮蔽した時に前記埃センサが検知する埃量の変化によって、遮蔽する時間間隔やタイミングを学習するように制御する制御手段を備えた請求項1から5のいずれか1項記載の空気清浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate