説明

空気濾過装置

カートリッジの吸入口及びカートリッジの吐出口を有し、濾過される空気が吸入口、湾曲した濾床及び吐出口を通過するように配置された凹面を有する湾曲した濾床を含む、第1のフィルタカートリッジを含む、空気濾過装置を開示する。空気濾過装置はまた、カートリッジの吐出口と流体連通している送風機の吸入口及び送風機の吐出口を有し、湾曲した濾床の凹面に近接したモーターを含む、送風機アセンブリを含む。モーターは、湾曲した濾床の曲率中心に隣接するような回転軸を有する。空気濾過装置は、動力付き空気浄化レスピレータ内で使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気濾過装置、特に、動力付き空気濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給気レスピレータは、周囲の空気が汚染物質を含有する環境において習慣的に装着される。清浄空気は、供給タンクから、又は周囲空気をエアフィルターに通過させる動力付き空気源から装着者に送達される。
【0003】
清浄空気を装着者に供給するために動力付き空気源を使用するシステムは、動力付き空気浄化レスピレータと呼ばれており、略称「PAPR」として知られている。PAPRは典型的には2つの主要部分、つまり面体とフィルタリングユニットとを有する。面体は少なくともユーザーの鼻及び口を覆って装着され(目及び耳を覆ってもよい)、フィルタリングユニットは一般にユーザーの腰周りに装着される。フィルタリングユニットは、多くの場合、フィルタカートリッジと、ハウジングと、ファンと、該ファンを駆動させる電動モーターとを含む。ファン及びモーターはハウジングの中に収容され、フィルタカートリッジはハウジング本体に取り付けられる。周囲空気は、フィルタカートリッジの中に収容されたフィルタ要素を通して押し進められることによって、濾過される。この濾過された空気は、次いで、ホースを通して面体に送達される。電動ファンは、空気をフィルタカートリッジからホースを通して面体内部に送り込む。ファンはPAPRシステムを通じて空気移動に必要とされる作業を行うので、ユーザーは容易に清浄な空気の供給を快適に受けることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の例示的な一実施形態の空気濾過装置は、カートリッジの吸入口及びカートリッジの吐出口を有し、濾過される空気が吸入口、湾曲した濾床及び吐出口を通過するように配置された凹面を有する湾曲した濾床を含む、第1のフィルタカートリッジを含む。この空気濾過装置はまた、カートリッジの吐出口と流体連通している送風機の吸入口及び送風機の吐出口を有し、湾曲した濾床の凹面に近接したモーターを含む、送風機アセンブリを含み、このモーターは、湾曲した濾床の曲率中心に隣接するような回転軸を有する。
【0005】
本開示は、同様の参照番号が同様の部品を表すように使用されている図面及び発明を実施するための形態で、より完全に示され、説明されている。しかしながら、図面及び説明は例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を過度に制限するように読まれるべきではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】空気濾過装置の例示的な実施形態の一部の概略断面図。
【図2】空気濾過装置の例示的な実施形態の概略斜視図。
【図3】空気濾過装置の例示的な実施形態に用いるハウジングベースの概略斜視図。
【図4】空気濾過装置の例示的な実施形態の概略分解立体図。
【図5】空気濾過装置の例示的な実施形態の一部の概略断面図。
【図6】動力付き空気浄化レスピレータの例示的な実施形態の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、ユーザーに浄化空気を供給するためにユーザーが持ち運ぶように設計されている、動力付きの携帯用空気濾過装置を提供する。空気濾過装置は、周囲空気が汚染物質を含有するか、又は汚染物質を含有する可能性のある環境内で習慣的に使用される。このような汚染物質としては、例えば、単独で、又は混合されて存在し得る煙霧、気体、微粒子、蒸気などが挙げられる。空気濾過装置は、動力付き空気浄化レスピレータ、即ちPAPRの一部であってよい。
【0008】
湾曲した濾床を含む空気濾過装置は、より小型のシステムを提供するので、ユーザーにとって有益である。より小型のシステム、即ち「薄型システム」は、より高い快適性をユーザーに与え、空気濾過装置が作業の実行を妨げたり作業中に邪魔になったりする可能性を低減する。この小型化は、空気の供給性能を犠牲にせずに達成される。
【0009】
より薄型の空気濾過装置は、より高い快適性をユーザーに与え、あまり邪魔にならず、ユーザーが行う作業の実行を妨げる可能性が低いので、ユーザーにとって都合がよい。
【0010】
本明細書で使用する「清浄空気又は浄化空気」という用語は、濾過された空気(又はその他の酸素を含有する気体)を意味する。
【0011】
「ブリージングヘッドギア」という用語は、人が装着する、浄化空気が供給される装置を意味し、このようなブリージングヘッドギアは、例えば少なくとも人の呼吸経路(鼻及び口)を覆ってぴったりとフィットする面体、並びに緩やかにフィットする面体を含む。ブリージングヘッドギアの例としては、エラストマー製面体マスクレスピレータ、全顔面レスピレータ、ソフトフード又はハードヘッドトップなどのヘッドカバー、及びその他の好適なレスピレータシステムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
「濾床」という用語は、フィルタ要素を含み、フィルタリングユニットと接続し、又はフィルタリングユニット内で使用されるように構成された構体を意味し、「湾曲した濾床」は平面的ではなく、曲率半径を有するものである。一般的に、湾曲した濾床は、曲率の全長にわたって連続しており、即ち、曲率の長さに沿って異なるフィルタモジュールに細かく分割されていない。通常、濾床は、吸着性粒子を含んでいる。
【0013】
「フィルタカートリッジ」という用語は、フィルタ要素を含み、フィルタリングユニットと接続し、又はフィルタリングユニット内で使用されるように構成された構体を意味し、「湾曲したフィルタカートリッジ」は平面的ではなく、曲率半径を有するものである。
【0014】
「フィルタリングユニット」という用語は、周囲空気を濾過すること及び動力による空気移動を引き起こすことに関与する、PAPRの部分を意味する。
【0015】
「ホース」という用語は、流体不透過性壁(単数又は複数)を有する導管を含み、これを通して空気が移動して清浄空気を清浄空気供給源からブリージングヘッドギアに送達できる装置を意味する。
【0016】
「動力付き空気浄化レスピレータ即ちPAPR」という用語は、電源を使用してブリージングヘッドギアに濾過された空気を供給する、供給空気レスピレータを意味する。
【0017】
「曲率中心」という用語は、湾曲した濾床又は湾曲したフィルタカートリッジによって形成された弧の中心を指す。例えば、濾床の曲率が円筒形である場合、曲率中心は線となり、球状の曲率では曲率中心は点となる。より複雑な曲率では、曲率中心は面となることがある。例えば、図1を参照すると、空気濾過装置10の曲率中心は、面160と、線170によって表される、図面のその平面と垂直な平面との交点によって規定される線上に横たわっている。
【0018】
本開示の空気濾過装置は、カートリッジの吸入口及びカートリッジの吐出口を有し、濾過される空気が吸入口、湾曲した濾床及び吐出口を通過するように配置された凹面を有する湾曲した濾床を含む、第1のフィルタカートリッジを含む。この空気濾過装置はまた、カートリッジの吐出口と流体連通している送風機の吸入口及び送風機の吐出口を有し、湾曲した濾床の凹面に近接したモーターを含む、送風機アセンブリを含み、このモーターは、湾曲した濾床の曲率中心に隣接するような回転軸を有する。
【0019】
一般的に、空気濾過装置は、ハウジング内に収容されている。ハウジングは、例えばハウジングベース、1つ以上のフィルタカートリッジを取り付ける取付け手段、及びカバーを収容してもよい。ハウジングを使用することによって、空気濾過装置の構成要素を相互に流体連通して保持でき、これら構成要素が衝撃、損傷などから保護される。
【0020】
ハウジングは通常、空気濾過装置を使用する条件下では、濾過される流体に対して不透過であるように設計されている。ハウジング用に潜在的に好適な材料としては、プラスチック、金属、複合材料などを挙げることができる。
【0021】
ハウジングベースは通常、送風機アセンブリを収容している。送風機アセンブリは、フィルタカートリッジの吐出口と流体連通している送風機の吸入口、及び例えばブリージングヘッドギアに接続されたホースに取り付けることのできる送風機の吐出口を含む。送風機アセンブリと濾床との間の流体連通は、例えばリング形状のインペラ開口部のようなインペラ開口部を経由してもよい。一般的に、リング形状のインペラ開口部は、モーターと送風機の吐出口との間の間隙によって形成される。例えば、図3において、リング形状のインペラ開口部320は、モーター310と送風機の吸入口300の縁部との間に配置されている。一般的に、リング形状のインペラ開口部全体は、湾曲した濾床の凹面に対して露出している(又はこの凹面によって覆われている)。湾曲した濾床の凹面上のインペラ開口部の突起部が、湾曲した濾床の凹面上に完全に配置されているとき、インペラ開口部全体が、湾曲した濾床の凹面に対して露出している。
【0022】
送風機アセンブリはまた、送風機ファン及びモーターアセンブリを含む。モーターアセンブリは、送風機モーターを含んでもよい。モーターは、湾曲した濾床の凹面に近接して位置している。モーターは、湾曲した濾床の曲率中心に隣接するような回転軸を有する。送風機モーターは、空気濾過装置内を通して空気を流す送風機ファンを駆動する。通常、送風機モーターは、ブラシレスDCモーターである。一般的に、空気濾過装置は携帯用なので、電源は、便宜的に、充電型又は非充電型のいずれかの電池を含んでいてもよい。
【0023】
ハウジングベースはまた、送風機の吐出口も含んでいてよい。送風機の吐出口は、通常、単一の開口部であるが、実施形態によっては、一連の開口部を含んでもよい。実施形態によっては、吐出口は円筒形の開口部であるが、その他の形状及び輪郭を使用してもよい。開口部はまた、例えばブリージングヘッドピースなどの装置に浄化空気を供給するホースなどの接続器具に空気濾過装置を解除可能に取り付けるように設計された構体を含んでもよい。
【0024】
ハウジングはまた、1つ以上のフィルタカートリッジを取り外し可能に取り付ける機構を収容してもよい。種々の異なる機構を使用して、1つ以上のフィルタカートリッジをハウジングに、取り外し可能に取り付けてもよい。通常、ねじ、止め金具、クリップ、ラッチなどの機械的取付け装置を使用して、フィルタカートリッジがハウジングに取り付けられる。1つの接続構体は、スナップ嵌めフィルタカートリッジを含む(例えば、米国特許第5,579,761号を参照)。別の構体は、レスピレータのハウジング上の対応したねじ付き取付け具に取り付けられるねじ付きフィルタカートリッジを含む。
【0025】
ハウジングはまた、カバーを含んでもよい。カバーは、一般的に、フィルタカートリッジ(単数又は複数)の上に位置しており、最も外側のフィルタカートリッジ(即ち、送風機アセンブリから最も遠いカートリッジ)と流体連通している。カバーの使用は、ハウジング内にフィルタカートリッジ(単数又は複数)を収容し、保護することに役立つ。通常、カバーは、ベース、フィルタカートリッジ(単数又は複数)、又はその両方に取り付ける機構を含む。取付け機構は、フィルタカートリッジのベースへの取付けに関して上述したものを含む。カバーはまた、開口部又は一連の開口部を含んで、最も外側のフィルタカートリッジ内に流体(例えば空気)を入れる。開口部は、例えば1つ以上のスロット、円形の空隙、三角形の空隙、矩形の空隙、多孔質のメッシュ、スクリーンなどであってよい。
【0026】
空気濾過装置は、1つ以上のフィルタカートリッジを含む。少なくとも1つのフィルタカートリッジが、少なくとも1つの湾曲した濾床を含む。湾曲した濾床は、一般的に、凹形状を有している(フィルタカートリッジの吐出口側から見た場合。フィルタカートリッジの吸入口側から見た場合は、湾曲した濾床は、凸形状を有する)。湾曲した濾床は、支持プレート上又は1対の支持プレート間に位置するフィルタ材料の床を含み、フィルタ材料の床と対面する支持プレートの主要面は、各々少なくとも1つの軸の周りに湾曲している。実施形態によっては、支持プレートによって与えられた曲率が、濾床に湾曲した形状をもたらす。フィルタ材料の床の少なくとも一部は、支持プレート間の残留圧縮によって保持されている。
【0027】
実施形態によっては、フィルタカートリッジは、湾曲した濾床を収容し、また吸入口及び吐出口をも収容するケースを含む。フィルタカートリッジのケースは、フィルタカートリッジの構成要素を適所に保持するのに役立ち、空気濾過装置のハウジング内に収まるように設計されている。フィルタカートリッジのケースは通常、空気濾過装置を使用する条件下では、濾過される流体に対して不透過性であるように設計されている。ケース用に潜在的に好適な材料としては、プラスチック、金属、複合材料などを挙げることができる。フィルタ材料の湾曲した床は、濾過される流体がケースの吸入口、フィルタ材料、及びケースの吐出口を通過するように、ケース内に収容されている。第1の支持プレートは、第1の支持プレートが、少なくとも1つの軸の周りに曲率を含む、フィルタ材料の床と対面する主表面を有するように、フィルタ材料の床と吐出口との間に配置されている。第2の支持プレートは、第2の支持プレートが、これもまた少なくとも1つの軸の周りに曲率を含む、フィルタ材料の床と対面する主表面を含むように、フィルタ材料の床と吸入口との間に配置されている。
【0028】
実施形態によっては、フィルタ材料の床は、フィルタカートリッジ内の支持プレート間の残留圧縮によって保持されている、ばらばらの微粒子フィルタ材料である。また、フィルタ材料の早期漏出を低減し、フィルタ材料の十分な使用を促進するために、2つの支持プレート間のフィルタ材料の厚さが均一である(通常の製造公差の範囲内で)ことが好ましい場合がある。
【0029】
フィルタ材料の床は、通常はばらばらの吸着性粒子などの吸着性粒子を含んでもよいものの、様々な形態をとることができる。吸着性粒子は、レスピレータを通して吸入される空気などの流体から気体及び蒸気を除去するのに好適であるとして知られる任意の種類であってよい。幾つかの潜在的に好適な吸着性粒子の例としては、例えばイオン交換樹脂、活性炭(例えばアミントリエチレンジアミン、又は銅、銀、亜鉛、モリブデンなどの重金属塩を含浸してもよい)、ゼオライト、処理活性アルミナ(treated activated alumina)、又は有機金属基質(metal-organic frameworks, MOF)などを挙げることができる。本明細書内で使用される「ばらばら」とは、隣接する粒子が物理的に相互に接着せず、例えば重合体、発泡体などの結合剤の使用による自己支持型の濾過構造を形成しないことを意味する。この結果、ばらばらの粒子は、ストームフィリング(storm filling)又は類似のプロセスによって供給しやすい粒状の又はペレットの形状であってよい。
【0030】
複数のフィルタ材料を使用してもよい。例えば、湾曲した濾床は、異なる種類のばらばらのフィルタ材料の複数の層を含んでもよい。複数層の濾床は、異なるフィルタ材料の順次堆積によるストームフィリング法を使用して製作され得る。
【0031】
実施形態によっては、フィルタカートリッジの製造は、カートリッジケース内に位置する水平に配向された平らな(通常の製造公差の範囲内で)支持プレート上にフィルタ材料の床を堆積させる工程を伴う。場合によっては、フィルタ材料の床は、所望の充填密度で均一の厚さに充填された床を提供するための好適性を考慮して、ストームフィリングによって堆積されてもよい。ストームフィリングは通常、粒子が落下するときにその粒子を拡散させる一連のスクリーンを通して粒子を注入し、平坦なフィルタ材料の床を作る工程を伴う。フィルタ材料が堆積された後、フィルタ材料の床と対面する支持プレートの主表面が各々少なくとも1つの軸の周りに凹面曲率を有するように、支持プレートを変形させることが好ましい場合がある。
【0032】
支持プレートの変形によって、フィルタ材料の床の少なくとも一部が支持プレート間で圧縮された状態を保持するように、床の残留圧縮を得ることができる。実施形態によっては、残留圧縮が、湾曲したフィルタカートリッジ内に位置する弾性的に変形した支持プレートによってもたらされることが好ましい場合がある。
【0033】
説明の製造方法の潜在的な1つの利点は、従来のストームフィリング法を使用してフィルタ材料の床を堆積できることであるが、これは経済的であり、これによってフィルタ材料の密度の均一性を向上できる。別の潜在的な利点として、同一のフィルタカートリッジ内に異なるフィルタ材料の層を使用する場合、ストームフィリングは、異なる層間の分離を維持しながら層を堆積させる便利な方法を提供する。
【0034】
通常、湾曲した濾床は、濾過される流体から不純物を有効に濾過でき、かつ薄いプロファイルを維持できる厚さである。実施形態によっては、湾曲した濾床は、1.0センチメートル〜5.0センチメートルの厚さである。
【0035】
フィルタカートリッジは、底部及び上部を含むケースを提供することによって作製してもよい。組み立てたときに、底部及び上部がフィルタカートリッジのケースを形成する。フィルタカートリッジを作製する方法は、ケースの底部内に第1の支持プレートを設置する工程、及びケースの底部内に位置する第1の支持プレート上にフィルタ材料の床を堆積する工程を含んでもよい。堆積したフィルタ材料の上に、第2の支持プレートを追加してもよい。フィルタ材料の床を堆積後、第1の支持プレート(及び第2の支持プレートが存在する場合は第2の支持プレート)は、フィルタ材料と対面する第1の支持プレートの主表面が少なくとも1つの軸の周りに曲率を含むように、変形する。通常、湾曲は円筒形であるが、その他の種類の湾曲も本開示の範囲内である。フィルタカートリッジのケースの上部が底部に取り付けられて、フィルタカートリッジが完成する。フィルタカートリッジのケースは、任意の有用な形状であってよいが、通常、ケースは、濾床の曲率と類似又は同一の曲率で湾曲している。
【0036】
支持プレートによって床に与えられる曲率は、支持プレートの主表面の1つに垂直の軸を基準にして決定され得る。曲率は、均一でもよく、又は床の面全域にわたって変化してもよい。好適な湾曲した面の例は、1つ以上の楕円、円などによって規定され得る。曲率を特徴付ける一方法は、支持プレートの主表面の1つ以上の点又は部分の曲率半径によるものである。実施形態によっては、この曲率半径は、例えば1メートル以下、0.5メートル以下、又は更に20センチメートル以下である。
【0037】
フィルタカートリッジの濾床及び支持プレートの曲率を特徴付ける別の方法は、平面形状からの変形の結果生じる、支持プレートの少なくとも一部に与えられるたわみによるものである。実施形態によっては、この変位(平面形状からの変形)は、例えば5ミリメートル以上、又は更に10ミリメートル以上であってよい。
【0038】
もたらされた曲率は、2つ以上の軸の周りに規定され、これら2つ以上の軸は、相互に平行であってもよく、そうでなくてもよい。例えば、一般的に曲率は、床及びその周囲構体(例えば支持プレート)に曲面が与えられるような複合曲率である。選択された曲率は、例えば、カートリッジが接続される空気濾過装置の他の構成要素の輪郭及び/又は寸法に合致して空気濾過装置のプロファイルを小さくするように設計することが好ましい場合がある。
【0039】
空気濾過装置において、単一の濾床を使用してもよく、複数の濾床を使用してもよい。これは、複数の濾床を有するフィルタカートリッジの使用によって、又は複数のフィルタカートリッジの使用によって達成できる。単一のフィルタカートリッジを使用する場合、上述の通りでもよく、又はモジュール式の設計であってもよい。フィルタカートリッジが2つのモジュールを含む場合、一般的には、両方のモジュールが湾曲している。実施形態によっては、第1のモジュールは上述のようなフィルタ材料を含む濾床である。これらの実施形態において、第2のモジュールは、微粒子フィルタを収容していてもよい。この微粒子フィルタは、例えばひだ状の不織布ウェブ、連続気泡発泡体、ひだ状の膜、2つ以上のフィルタの組み合わせなどの形態であってよい。
【0040】
複数の濾床を収容したフィルタカートリッジにおいて、1つの濾床は通常、1.0センチメートル〜5.0センチメートルの厚さであり、第2の濾床は0.5センチメートル〜3.0センチメートルの厚さである。
【0041】
複数のフィルタカートリッジを使用する場合、フィルタカートリッジは同一のものでもよく、異なるものでもよい。実施例によっては、2つのフィルタカートリッジを使用し、これらは、ハウジングカバー、第2のフィルタカートリッジ、第1のフィルタカートリッジ、及びハウジングベースからなる、一般的な構成の空気濾過装置内に位置している。ハウジングベースは通常、送風機アセンブリ及びその中に含まれるモーターを含む。これらの実施形態において、第1のフィルタカートリッジは、上述のようなフィルタ材料を含む湾曲した濾床を収容している。通常、第2のフィルタカートリッジは、例えばひだ状の不織布ウェブ、連続気泡発泡体、ひだ状の膜、2つ以上のフィルタの組み合わせなどの形態であってよい微粒子フィルタを含む。
【0042】
フィルタカートリッジは一般的に、フィルタカートリッジが空気濾過装置のハウジング内に収容されているとき、空気が吸入口からのみ空気濾過装置に進入するようにフィルタカートリッジが確実に密封されているように、ガスケットシステムを含む。信頼性の高い密封は、シールガスケットに適用される圧縮によって得られ、維持される。通常、フィルタカートリッジ用のガスケットは、空気濾過装置のプロファイルを大きくさせないように設計されている。実施形態によっては、ガスケットは、フィルタカートリッジの周辺部の周りに存在して、薄型プロファイルに寄与している。
【0043】
空気濾過装置は、通常、携帯型に設計されている。これらは、持ち運び、又はユーザーが着用するなどの任意の好適な方法で運ぶことができる。一般的に、ユーザーはこれらを、例えばベルト式のキャリアを使用して腰の周りに、又はバックパックの構成を使用して肩の上に着用する。実施形態によっては、空気濾過装置は、空気濾過装置をユーザーの身体上に着用することを可能とするベルト式固定システムを含む。ベルト式固定システムは、一般的に、多様な腰周り寸法に対応するように調整可能である。
【0044】
図を参照すると、図1は、空気濾過装置の例示的な実施形態の一部の断面図を概略的に示す。この実施形態では、相互に流体連通している2つのフィルタカートリッジが存在する。図1において、空気濾過装置10は、ハウジングベース400、並びに第1のフィルタカートリッジ100及び第2のフィルタカートリッジ200を含む。第1のフィルタカートリッジ100は、第1の支持プレート110、第2の支持プレート140及び湾曲した濾床130を含む。第1の支持プレート110は、凹面160を有する。凹面160は、線170で示した曲率中心を有する。第1の支持プレート110は、複数の開口部を含むカートリッジの吐出口120を含み、第2の支持プレート140は、複数の開口部を含むカートリッジの吸入口150を含む。第2のフィルタカートリッジ200は、複数の開口部を含むカートリッジの吸入口210、及びひだ状のフィルタ材料を含む湾曲したフィルタ220を含む。ハウジングベース400は、第1のフィルタカートリッジ100と流体連通している送風機の吸入口300を含む。モーター310は、凹面160に近接して送風機の吸入口300内に位置しており、線170に対応した回転軸を有する。この例示的な実施形態において、湾曲した濾床130の曲率中心及びモーター310の回転軸は同一の線170によって図示されているものの、これらは同一平面上に位置していなくてもよい。例えば、例示的な実施形態によっては、湾曲した濾床130がインペラ開口部(図3に示す)を完全に覆うように、モーター310の回転軸を配置してもよい。モーター310には、ファン360が取り付けられている。ハウジングベース400にはラッチ430が取り付けられており、フィルタカートリッジ100のハウジングベース400からの取り外し可能な取付けを可能としている。
【0045】
図2は、空気濾過装置の例示的な実施形態の斜視図を概略的に示す。図2において、空気濾過装置20は、ハウジングベース400及びカバーピース410を含む。ハウジングベース400はまた、ホースなどの吐出装置(図示せず)に接続できる送風機の吐出口420をも含む。
【0046】
図3は、空気濾過装置の例示的な実施形態に用いるハウジングベースの斜視図を概略的に示す。ハウジングベース400は、モーター310を含む送風機の吸入口300を含む。送風機の吸入口300は、モーター310と送風機の吸入口300の縁部との間の、本明細書内でインペラ開口部と呼ばれるリング形状の開口部320を介してカートリッジの吐出口(図示せず)と流体連通しているように構成されている。
【0047】
図4は、空気濾過装置の例示的な実施形態の分解図を概略的に示す。図4において、空気濾過装置30は、ハウジングベース400、第1のフィルタカートリッジ100、第2のフィルタカートリッジ200及びカバーピース410を含む。ハウジングベース400は、送風機の吸入口300及び送風機の吐出口420を含む。
【0048】
図5は、空気濾過装置の例示的な実施形態の一部の断面図を概略的に示す。この実施形態において、フィルタカートリッジは2つのモジュールを含んでおり、一方のモジュールは湾曲した濾床を含み、他方のモジュールはひだ状のフィルタ材料を含む。図5において、空気濾過装置40は、ハウジングベース400及びフィルタカートリッジ500を含む。フィルタカートリッジ500は、2つのフィルタモジュール510及び520を含む。第1のフィルタモジュール510は、第1の支持プレート530、第2の支持プレート540及び湾曲した濾床550を含む。第1の支持層530は複数の開口部560を含み、第2の支持層540は複数の開口部570を含む。第2のフィルタモジュール520は、複数の開口部570によって第1のフィルタモジュール510と流体連通している。第2のフィルタモジュール520は、複数の開口部590及びひだ状のフィルタ材料580を含む。ハウジングベース400は、フィルタカートリッジ500と流体連通している送風機の吸入口300を含む。
【0049】
図6は、動力付き空気浄化レスピレータの例示的な実施形態の斜視図を概略的に示す。図6において、動力付き空気浄化レスピレータ600は、送風機の吐出口420を有する空気濾過装置20を含む。ホース610の一端は送風機の吐出口420に取り付けられており、他端は例示的なブリージングヘッドギア620に取り付けられている。
【0050】
本開示の例示的実施形態を検討するとともに、本開示の範囲内の可能な変形例を参照してきた。これらの及び他の変形例並びに変更例は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろうとともに、本開示は本明細書に記載された例示的実施形態に限定されないことが理解されよう。したがって、本発明は、以下に提供されている請求項及びその同等物によってのみ制限されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジの吸入口及びカートリッジの吐出口を有し、濾過される空気が前記吸入口、湾曲した濾床及び前記吐出口を通過するように配置された凹面を有する前記湾曲した濾床を含む、第1のフィルタカートリッジと、
前記カートリッジの吐出口及び送風機の吐出口と流体連通している送風機の吸入口を有し、前記湾曲した濾床の前記凹面に近接したモーターを含む送風機アセンブリであって、前記モーターは、前記湾曲した濾床の曲率中心に隣接するような回転軸を有する、前記送風機アセンブリと、
を含む、空気濾過装置。
【請求項2】
前記第1のフィルタカートリッジが湾曲している、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項3】
前記第1のフィルタカートリッジが、前記送風機アセンブリに対して取り外し可能な取付け機構によって取り外し可能である、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項4】
前記湾曲した濾床が、複数の開口部を含む第1の支持プレート及び複数の開口部を含む第2の支持プレート、並びに前記第1の支持プレートと前記第2の支持プレートとの間の湾曲したフィルタ材料の床を収容しており、その結果、前記第1の支持プレートは前記フィルタ材料の床と前記カートリッジの吐出口との間に配置され、前記第1の支持プレートは、少なくとも1つの軸の周りに曲率を含む、前記フィルタ材料の床と対面する主表面を含み、前記第2の支持プレートは、前記フィルタ材料の床とカートリッジの吸入口との間に配置され、前記第2の支持プレートは、少なくとも1つの軸の周りに曲率を含む、前記フィルタ材料の床と対面する主表面を含む、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項5】
前記フィルタ材料が、活性炭、ゼオライト、又は有機金属基質から成る群から選択された、ばらばらのフィルタ材料の少なくとも1つの層を含む、請求項4に記載の空気濾過装置。
【請求項6】
前記第1の支持プレート及び前記第2の支持プレートのうち少なくとも一方の前記曲率が、弾性変形の結果である、請求項4に記載の空気濾過装置。
【請求項7】
前記第1の支持プレートの前記主表面の前記曲率が、前記主表面の1つ以上の点又は部分において1メートル以下の曲率半径を含む、請求項4に記載の空気濾過装置。
【請求項8】
前記吸入口と前記第2の支持プレートとの間に配置された第2の濾床を更に含む、請求項4に記載の空気濾過装置。
【請求項9】
前記第2の濾床が、ひだ状のフィルタ材料を含む、請求項8に記載の空気濾過装置。
【請求項10】
前記第1のフィルタカートリッジと流体連通している第2のフィルタカートリッジを更に含む、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項11】
前記第2のフィルタカートリッジが、ひだ状のフィルタを含む、請求項10に記載の空気濾過装置。
【請求項12】
前記第2のフィルタカートリッジが湾曲している、請求項10に記載の空気濾過装置。
【請求項13】
前記第2のフィルタカートリッジが、前記第1のフィルタカートリッジに対して取り外し可能な取付け機構によって取り外し可能である、請求項10に記載の空気濾過装置。
【請求項14】
前記送風機アセンブリの吸入口が、リング形状のインペラ開口部を含む、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項15】
前記リング形状のインペラ開口部全体が、前記湾曲した濾床の凹面に対して露出している、請求項14に記載の空気濾過装置。
【請求項16】
前記モーターアセンブリが、ブラシレスDCモーターを含む、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項17】
前記空気濾過装置の前記吐出口に取り付けられたホース、及び該ホースに取り付けられたブリージングヘッドギアを更に含む、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項18】
前記湾曲した濾床が、1.0〜5.0センチメートルの厚さを有する、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項19】
前記第1の濾床が1.0〜5.0センチメートルの厚さを有し、前記第2の濾床が0.5〜3.0センチメートルの厚さを有する、請求項8に記載の空気濾過装置。
【請求項20】
前記空気濾過装置をユーザーの身体に装着することを可能とするベルト式固定システムを更に含む、請求項1に記載の空気濾過装置。
【請求項21】
前記湾曲した濾床が、吸着性粒子を含む、請求項1に記載の空気濾過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−518035(P2011−518035A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503046(P2011−503046)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038371
【国際公開番号】WO2009/145992
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】