説明

空気調和機のネットワークシステム

【課題】ネットワークにおける空調機器の取り付け位置にかかわらず、任意の空調機器の通信フレームの送受信を行うことができる空気調和機のネットワークシステムを得る。
【解決手段】1または複数の空調機器10が1つのネットワークグループを構成し、前記ネットワークグループを複数備え、前記ネットワークグループ間を転送装置により接続した、空気調和機のネットワークシステムにおいて、ネットワーク転送装置20は、空調機器10から受信したフレーム転送要求に応じて、ネットワークグループ内を伝送する通信フレームを、他のネットワークグループに転送し、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループ内のトラフィック量が所定値を超えた場合、通信フレームの優先順位に応じて、少なくとも1部の通信フレームの転送を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークグループ間を転送装置により接続した、空気調和機のネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術においては、例えば、「…いずれかの通信ネットワーク上の子装置から他の通信ネットワーク上に存在する他の子装置に対して、前記子装置のアドレスを送信側アドレスとし、前記他の子装置のアドレスを受信側アドレスとして送信された通信を、前記テーブルに収録された前記子装置の情報より、当該他の子装置が接続された通信ネットワークを選択させて前記通信を行わせたことを特徴とするネットワークシステム。」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3995469号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、ネットワーク装置を備えた複数台の送受信装置に信号の再生および中継を行う転送装置を備え、空調機器を結ぶ通信ネットワークで構成している。
また、信号の再生および中継を行う装置に変わり転送先のアドレスを見て適切なポートに信号を中継するフレーム転送装置を備え、送受信装置(空調機器)を結ぶ通信ネットワークで構成している。
【0005】
しかしながら、従来のネットワーク構成では、転送装置は受信した通信フレームの宛先から転送するか否かを判断しており、ネットワークにおける空調機器(送受信装置)の接続位置によっては、任意の機器の通信フレームが受信できない、という問題点があった。
また、通信フレームをネットワーク間で転送することにより、各ネットワーク内のトラフィックが増大する、という問題点があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ネットワークにおける空調機器の取り付け位置にかかわらず、任意の空調機器の通信フレームの送受信を行うことができる空気調和機のネットワークシステムを得るものである。
また、複数のネットワーク間で通信フレームを転送する場合であっても、ネットワークにおけるトラフック量の増大を抑制することができる空気調和機のネットワークシステムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気調和機のネットワークシステムは、1または複数の空調機器が1つのネットワークグループを構成し、前記ネットワークグループを複数備え、前記ネットワークグループ間を転送装置により接続した、空気調和機のネットワークシステムにおいて、前記転送装置は、前記空調機器から受信したフレーム転送要求に応じて、前記ネットワークグループ内を伝送する通信フレームを、他のネットワークグループに転送し、当該転送装置が接続する前記ネットワークグループ内のトラフィック量が所定値を超えた場合、前記通信フレームの優先順位に応じて、少なくとも一部の通信フレームの転送を中止するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ネットワークにおける空調機器の取り付け位置にかかわらず、任意の空調機器の通信フレームの送受信を行うことができる。
また、複数のネットワーク間で通信フレームを転送する場合であっても、ネットワークにおけるトラフック量の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1におけるネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態2におけるネットワークシステムの構成を示す図である。
【図3】実施の形態4におけるネットワークシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるネットワークシステムの構成を示す図である。
図1において、空調機器10は、室外機、室内機、リモコンなどの空気調和機を構成する機器や、各機器を管理する集中監視装置、メンテナンス作業などに用いるモニタツールなどにより構成される。
空調機器10A−1と空調機器10A−2は、互いに伝送線により接続されてネットワークAを構成している。
空調機器10B−1は、ネットワーク転送装置20(後述)と伝送線により接続されてネットワークBを構成している。
空調機器10C−1は、ネットワーク転送装置20(後述)と伝送線により接続されてネットワークCを構成している。
このように、1つまたは複数の空調機器10と通信可能に接続されて1つのネットワークグループを構成している。
各空調機器10は、通信フレームを送受信する機能を有し、当該空調機器10が接続するネットワークに通信フレームを送信し、またネットワークから通信フレームを受信する。
通信フレームは、送信アドレス、受信アドレス、通信フレームの識別情報、通信データなどにより構成される。通信データとしては、例えば、当該空調機器10のオンオフ状態、運転モード、室内温度などの運転状態に関する情報や、運転開始/停止指令、運転モード指令、設定温度などの運転操作指令に関する情報などがある。
【0011】
ネットワーク転送装置20は、複数のネットワークグループ間を接続し、空調機器10から受信したフレーム転送要求(後述)に応じて、ネットワークグループ内を伝送する通信フレームを、他のネットワークグループに転送する。
また、各ネットワーク転送装置20は、接続するネットワークグループのトラフィック量を監視するネットワーク監視手段を備えている。
ネットワーク転送装置20ABは、端子aを介してネットワークAと接続し、端子bを介してネットワークBと接続している。
ネットワーク転送装置20BCは、端子aを介してネットワークBと接続し、端子bを介してネットワークCと接続している。
なお、ネットワーク転送装置20は、本発明における「転送装置」に相当する。
【0012】
次に、本実施の形態における通信フレームの転送動作について説明する。
図1において、空調機器10C−1が、ネットワークA内の通信フレームを送受信する場合を例に説明する。
まず、空調機器10C−1は、フレームの転送をネットワーク転送装置20に要求する通信フレームであるフレーム転送要求を、ネットワークCに一斉同報送信する。
なお、一斉同報送信とは、例えば、通信フレームの受信アドレス(宛先アドレス)にブロードキャストアドレスなど格納し、ネットワーク上の全ての空調機器10およびネットワーク転送装置20を宛先とする送信である。
なお、ネットワーク転送装置20が自己アドレスを待たない場合においても、ネットワーク転送装置20は、例えばブロードキャストアドレスなどが格納された通信フレームなど、一斉同報送信された通信フレームを識別して受信可能である。
【0013】
ネットワーク転送装置20BCは、端子bを介してネットワークCからフレーム転送要求を受信する。
フレーム転送要求を受信したネットワーク転送装置20BCは、端子aを介してネットワークBにフレーム転送要求を一斉同報送信する。
また、ネットワーク転送装置20BCは、フレーム転送要求を受信した場合、ネットワークグループB内を伝送する全ての通信フレームを、ネットワークグループCに転送する。
【0014】
ネットワークBから上記フレーム転送要求を受信した空調機器10B−1は、ネットワーク転送装置20ではないため何もしない。
【0015】
ネットワークBから上記フレーム転送要求を受信したネットワーク転送装置20ABは、端子aを介してネットワークAにフレーム転送要求を一斉同報送信する。
また、ネットワーク転送装置20ABは、フレーム転送要求を受信した場合、ネットワークグループA内を伝送する全ての通信フレームを、ネットワークグループBに転送する。
【0016】
ネットワークAから上記フレーム転送要求を受信した空調機器10A−1、10A−2は、ネットワーク転送装置20ではないため何もしない。
【0017】
以上のような動作により、空調機器10C−1からのフレーム転送要求を送信して以降、ネットワーク転送装置20ABとネットワーク転送装置20BCは、全ての通信フレームを転送し続ける。
これにより、空調機器10C−1は、ネットワークA内の通信フレームを受信し、また、ネットワークAに通信フレームを送信する。
【0018】
なお、ここでは空調機器10C−1からフレーム転送要求を送信する場合を説明したがこれに限らず、任意の空調機器10からフレーム転送要求を行う場合も同様である。
【0019】
以上のように本実施の形態においては、ネットワークグループ間で通信フレームを転送するので、空調機器10をどのネットワークグループ(系統)に接続しても、全てのネットワークグループの通信フレームが受信できる。
よって、モニタツールなどの空調機器10の取り付け位置にかかわらず、任意の通信フレームの受信をすることができる。
【0020】
次に、複数のネットワーク間で通信フレームを転送する場合、ネットワークにおけるトラフック量の増大を抑制する動作について説明する。
各ネットワーク転送装置20は、通信フレームを転送している状態において、ネットワーク監視手段により、ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループ内のトラフィック量を監視する。例えばネットワーク転送装置20BCは、ネットワークBのトラフィック量、および、ネットワークCのトラフィック量を監視する。
【0021】
各ネットワーク転送装置20は、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループ内のトラフィック量が、所定値を超えた場合、通信フレームの優先順位に応じて、少なくとも一部の通信フレームの転送を中止する。
【0022】
この優先順位としては、例えば、運転状態に関する情報を含めた通信フレームの優先順位を、運転操作指令に関する情報を含めた通信フレームより高くする。
この場合、ネットワーク転送装置20は、トラフィック量が所定値を超えた場合、運転操作指令に関する情報を含めた通信フレームの転送を中止し、運転状態に関する情報を含めた通信フレームを転送する。
【0023】
これにより、各ネットワークグループ内の通信トラフック量の増大を抑制しつつ、所望の通信フレームについては、ネットワークグループ間を転送できる。
また、運転状態に関する情報を含めた通信フレームの優先順位を高くして当該フレームを転送することで、例えばモニタツールなどの空調機器10において、他のネットワークグループ内の通信フレームをモニタすることができる。
よって、ネットワークの通信トラフック量の増大に伴う、ネットワークシステムに障害を与えることなく必要な情報を収集することができる。
【0024】
次に、通信フレームの転送を停止させる動作について説明する。
空調機器10C−1は、通信フレームの転送を停止させるフレーム転送終了要求を、ネットワークCに一斉同報送信する。
ネットワーク転送装置20BCは、端子bを介してネットワークCからフレーム転送終了要求を受信する。
フレーム転送終了要求を受信したネットワーク転送装置20BCは、端子aを介してネットワークBにフレーム転送終了要求を一斉同報送信する。
また、ネットワーク転送装置20BCは、フレーム転送終了要求を受信した場合、通信フレームの転送を停止する。
【0025】
ネットワークBから上記フレーム転送終了要求を受信した空調機器10B−1は、ネットワーク転送装置20ではないため何もしない。
【0026】
ネットワークBから上記フレーム転送終了要求を受信したネットワーク転送装置20ABは、端子aを介してネットワークAにフレーム転送終了要求を一斉同報送信する。
また、ネットワーク転送装置20ABは、フレーム転送終了要求を受信した場合、通信フレームの転送を停止する。
【0027】
ネットワークAから上記フレーム転送終了要求を受信した空調機器10A−1、10A−2は、ネットワーク転送装置20ではないため何もしない。
【0028】
これにより、各ネットワーク転送装置20は、通信フレームの転送を中止し、通信フレームは、各ネットワークグループ内でのみに伝送される。
【0029】
なお、上記の動作では、フレーム転送終了要求を一斉同報により送信したが、任意のネットワーク転送装置20の受信アドレス(宛先アドレス)を指定して、個別に転送を停止させるようにしても良い。
【0030】
なお、上記の説明では、ネットワーク転送装置20は、フレーム転送終了要求を受信した場合に転送を停止する場合を説明するが本発明はこれに限るものではない。
例えば、ネットワーク転送装置20は、空調機器10からのフレーム転送要求を受信したあと所定時間経過した場合、通信フレームの転送を停止するようにしても良い。
【0031】
なお、空調機器10は、通信フレームの転送を要求している間は、フレーム転送要求を定期的に送信してもよい。
【0032】
実施の形態2.
本実施の形態2においては、転送する通信フレームを指定して、指定した通信フレームを転送する形態について説明する。
【0033】
図2は実施の形態2におけるネットワークシステムの構成を示す図である。
図2において、本実施の形態におけるネットワークシステムは、上記実施の形態1の構成に加え、ネットワークD、Eを有している。
空調機器10D−1と空調機器10D−2は、互いに伝送線により接続されてネットワークDを構成している。
空調機器10E−1は、ネットワーク転送装置20CEと伝送線により接続されてネットワークEを構成している。
ネットワーク転送装置20CDは、端子aを介してネットワークDと接続し、端子bを介してネットワークCと接続している。
ネットワーク転送装置20CEは、端子aを介してネットワークCと接続し、端子bを介してネットワークEと接続している。
その他の構成は上記実施の形態1と同様であり同一部分には同一の符号を付する。
【0034】
次に、本実施の形態における通信フレームの転送動作について説明する。
図2において、空調機器10A−1が送信する通信フレームを、空調機器10E−1が受信する場合を例に説明する。
まず、空調機器10E−1は、転送を要求する通信フレームを指定する送信アドレス(送信元)を含めたフレーム転送要求を、ネットワークEに一斉同報送信する。
ここでは、送信アドレスとして、空調機器10A−1のアドレスを格納する。
【0035】
ネットワーク転送装置20CEは、端子bを介してネットワークEからフレーム転送要求を受信する。
フレーム転送要求を受信したネットワーク転送装置20CEは、端子aを介してネットワークCにフレーム転送要求を一斉同報送信する。
また、ネットワーク転送装置20CEは、受信したフレーム転送要求が指定する通信フレームの情報を取得する。ここでは、空調機器10A−1のアドレスを取得する。
以後、ネットワーク転送装置20CEは、ネットワークグループC内を伝送する通信フレームのうち、送信アドレス(送信元)が空調機器10A−1の通信フレームのみを、ネットワークグループEに転送する。
【0036】
ネットワークCから上記フレーム転送要求を受信したネットワーク転送装置20CDは、端子aを介してネットワークDにフレーム転送要求を一斉同報送信する。
ネットワークDから上記フレーム転送要求を受信した空調機器10D−1、10D−2は、ネットワーク転送装置20ではないため何もしない。
【0037】
ネットワークCから上記フレーム転送要求を受信したネットワーク転送装置20BCは、端子aを介してネットワークBにフレーム転送要求を一斉同報送信する。
また、ネットワーク転送装置20BCは、受信したフレーム転送要求が指定する通信フレームの情報を取得する。ここでは、空調機器10A−1のアドレスを取得する。
以後、ネットワーク転送装置20BCは、ネットワークグループB内を伝送する通信フレームのうち、送信アドレス(送信元)が空調機器10A−1の通信フレームのみを、ネットワークグループCに転送する。
【0038】
ネットワークBから上記フレーム転送要求を受信したネットワーク転送装置20ABは、端子aを介してネットワークAにフレーム転送要求を一斉同報送信する。
また、ネットワーク転送装置20ABは、受信したフレーム転送要求が指定する通信フレームの情報を取得する。ここでは、空調機器10A−1のアドレスを取得する。
以後、ネットワーク転送装置20ABは、ネットワークグループA内を伝送する通信フレームのうち、送信アドレス(送信元)が空調機器10A−1の通信フレームのみを、ネットワークグループBに転送する。
【0039】
ネットワークAから上記フレーム転送要求を受信した空調機器10A−1、10A−2は、ネットワーク転送装置20ではないため何もしない。
【0040】
以上のような動作により、ネットワークAの空調機器10A−1が送信する通信フレームが、ネットワークB、C、Eの順に転送される。空調機器10E−1にて受信できる。
また、ネットワークDには、空調機器10A−1が送信した通信フレームは転送されない。
【0041】
以降、本実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様に、通信フレームの優先順位に応じて、一部の通信フレームの転送を中止するようにしても良い。
【0042】
通信フレームの転送を停止させる動作については、上記実施の形態1と同様である。
【0043】
なお、上記の説明では、転送を要求する通信フレームを送信アドレスで指定したが、本発明はこれに限るものではない。
送信アドレス、受信アドレス、および、通信フレームの識別情報の少なくとも1つにより、転送を要求する通信フレームを指定するようにしても良い。この場合も同様に、ネットワーク転送装置20は、指定された通信フレームのみを転送する。
なお、通信フレームを指定する送信アドレス、受信アドレス、識別情報などは、1つに限らず複数であっても良い。
なお、通信アドレスの識別情報としては、例えば、運転状態に関する情報や、運転操作指令に関する情報などの種別を用いるようにしても良い。
【0044】
以上のように本実施の形態においては、フレーム転送要求により指定された通信フレームを転送するので、空調機器10をどのネットワークグループ(系統)に接続しても、所望の通信フレームが受信できる。
よって、モニタツールなどの空調機器10の取り付け位置にかかわらず、任意の通信フレームの受信をすることができる。
【0045】
また、指定された通信フレームのみを転送するので、各ネットワークグループ内の通信トラフック量の増大を抑制しつつ、所望の通信フレームについては、ネットワークグループ間を転送できる。
【0046】
実施の形態3.
本実施の形態3においては、転送する空調機器を個別に指定して、指定した空調機器通信フレームを転送する形態について説明する。
なお、本実施の形態3の構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0047】
次に、本実施の形態における通信フレームの転送動作について説明する。
図1において、空調機器10A−1が送信および受信する通信フレームを、空調機器10C−1が受信する場合を例に説明する。
まず、空調機器10C−1は、空調機器10A−1のアドレスを指定したフレーム転送要求を、ネットワークCに送信する。
【0048】
ネットワーク転送装置20BCは、端子bを介してネットワークCからフレーム転送要求を受信する。
ネットワーク転送装置20BCは、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループ内に、指定されたアドレスの空調機器10が存在するか否かを判断する。
ここでは、ネットワーク転送装置20BCが接続するネットワークB、Cの何れにも、空調機器10A−1は存在しないので、ネットワーク転送装置20BCは、端子aを介してネットワークBにフレーム転送要求を送信する。
また、ネットワーク転送装置20BCは、上記フレーム転送要求を受信した場合、ネットワークグループB内を伝送する通信フレームのうち、送信アドレス(送信元)または受信アドレス(宛先)が空調機器10A−1の通信フレームのみを、ネットワークグループA、Cの相互間で転送する。
【0049】
ネットワークBから上記フレーム転送要求を受信した空調機器10B−1は、ネットワーク転送装置20ではないため何もしない。
【0050】
ネットワークBから上記フレーム転送要求を受信したネットワーク転送装置20ABは、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループ内に、指定されたアドレスの空調機器10が存在するか否かを判断する。
ここでは、ネットワーク転送装置20ABが接続するネットワークAに、空調機器10A−1が存在するのでフレーム転送要求を送信しない。また、ネットワーク転送装置20ABは、上記フレーム転送要求を受信した場合、ネットワークグループA内を伝送する通信フレームのうち、送信アドレス(送信元)または受信アドレス(宛先)が空調機器10A−1の通信フレームのみを、ネットワークグループA、Bの相互間で転送する。
【0051】
以上のような動作により、ネットワークAの空調機器10A−1が受信する通信フレームが、ネットワークB、Cの順に転送され、空調機器10C−1にて受信できる。
また、ネットワークCの空調機器10C−1が送信する、空調機器10A−1宛の通信フレームが、ネットワークC、B、Aの順に転送され、ネットワークAの空調機器10A−1にて受信できる。
【0052】
以降、本実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様に、通信フレームの優先順位に応じて、一部の通信フレームの転送を中止するようにしても良い。
【0053】
通信フレームの転送を停止させる動作については、上記実施の形態1と同様である。
【0054】
なお、上記の説明では、ネットワーク転送装置20は、フレーム転送要求によりアドレスの通信フレームのみを転送する場合を説明したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、ネットワーク転送装置20は、受信したフレーム転送要求により受信アドレスが指定された空調機器10が、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループ内に存在する場合、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループ内を伝送する全ての通信フレームを、当該ネットワーク転送装置20が接続する他のネットワークグループに転送するようにしても良い。
【0055】
以上のように本実施の形態においては、フレーム転送要求により指定された通信フレームを転送するので、空調機器10をどのネットワークグループ(系統)に接続しても、所望の通信フレームが受信できる。
よって、モニタツールなどの空調機器10の取り付け位置にかかわらず、任意の通信フレームの受信をすることができる。
【0056】
また、指定された通信フレームのみを転送するので、各ネットワークグループ内の通信トラフック量の増大を抑制しつつ、所望の通信フレームについては、ネットワークグループ間を転送できる。
【0057】
実施の形態4.
本実施の形態4においては、ネットワーク監視手段の監視結果を含めた通信フレームを転送する形態について説明する。
なお、本実施の形態4の構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0058】
本実施の形態における各ネットワーク転送装置20が有するネットワーク監視手段は、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループの、伝送エラー回数、各空調機器10の送信回数、伝送中の通信フレーム数、および、トラフィック量の少なくとも1つを監視する。
以下、伝送エラー回数を監視する場合を例に、本実施の形態における動作について説明する。
【0059】
図3は実施の形態4におけるネットワークシステムの監視動作を示す図である。
図3に示すように、例えば、ネットワークBにおいて、外来ノイズや、信号線の地絡などの何らかの原因により伝送エラーが発生したとき、ネットワーク転送装置20ABおよびネットワーク転送装置20BCの各ネットワーク監視手段は、伝送エラーの回数を記憶する。
【0060】
例えば、空調機器10e−1において、各ネットワークの伝送エラーの回数をモニタする場合、空調機器10e−1からネットワークモニタ要求を一斉同報で送信する。
このネットワークモニタ要求は、上記実施の形態2のフレーム転送要求と同様に、各ネットワーク転送装置20に転送される。
【0061】
各ネットワーク転送装置20は、空調機器10からのネットワークモニタ要求を受信した場合、当該ネットワーク監視手段の監視結果を含めた通信フレームを、当該ネットワーク転送装置20が接続するネットワークグループに送信する。
例えば、ネットワークモニタ要求を受信したネットワーク転送装置20BCは、ネットワーク転送装置20BCのa端子に接続されているネットワークBの伝送エラーの回数と、b端子に接続されているネットワークCの伝送エラーの回数を、ネットワークCとネットワークBに一斉同報で送信する。
【0062】
上記一斉同報を受信したネットワーク転送装置20ABは、伝送エラー回数の情報を含めた通信フレームを、ネットワークAに一斉同報で転送する。
また、ネットワーク転送装置20CDは、上記通信フレームを、ネットワークDに一斉同報で転送する。
また、ネットワーク転送装置20CEは、上記通信フレームを、ネットワークEに一斉同報で転送する。
そして、ネットワークCの空調機器10e−1は、上記通信フレームを受信する。
これにより、空調機器10e−1は、伝送エラーの回数をモニタすることができる。
【0063】
通信フレームの転送を停止させる動作については、上記実施の形態1、2と同様である。
【0064】
なお、上記説明では伝送エラーの回数を要求する場合を説明したが、本発明はこれに限るものではない。ネットワーク監視手段が監視する、伝送エラー回数、各空調機器10の送信回数、伝送中の通信フレーム数、トラフィック量など、任意の1つまたは複数の監視結果を含めたフレームを、上記と同様にネットワークグループ相互間で転送するようにしても良い。
【0065】
なお、ネットワーク監視手段は、監視結果を逐次または定期的に記憶し、記憶した情報を転送するようにしても良い。
【0066】
以上のように本実施の形態においては、ネットワークの状態を監視し、この監視結果をネットワークグループ相互間で転送することができる。
よって、空調機器10をどのネットワークグループ(系統)に接続しても、各ネットワークグループにおけるネットワーク状態を監視することができる。
また、ネットワークモニタ要求を受信した場合に、監視結果を含めた通信フレームを転送するので、各ネットワークグループ内の通信トラフック量の増大を抑制しつつ、ネットワーク状態を監視することができる。
【符号の説明】
【0067】
10A 空調機器、10B 空調機器、10C 空調機器、10D 空調機器、10E 空調機器、20AB ネットワーク転送装置、20BC ネットワーク転送装置、20CD ネットワーク転送装置、20CE ネットワーク転送装置、A ネットワーク、B ネットワーク、C ネットワーク、D ネットワーク、E ネットワーク、a 端子、b 端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の空調機器が1つのネットワークグループを構成し、前記ネットワークグループを複数備え、前記ネットワークグループ間を転送装置により接続した、空気調和機のネットワークシステムにおいて、
前記転送装置は、
前記空調機器から受信したフレーム転送要求に応じて、前記ネットワークグループ内を伝送する通信フレームを、他のネットワークグループに転送し、
当該転送装置が接続する前記ネットワークグループ内のトラフィック量が所定値を超えた場合、前記通信フレームの優先順位に応じて、少なくとも一部の通信フレームの転送を中止する
ことを特徴とする空気調和機のネットワークシステム。
【請求項2】
前記空調機器は、
前記フレーム転送要求を一斉同報送信し、
前記転送装置は、
前記フレーム転送要求を受信した場合、
当該転送装置が接続する前記ネットワークグループ内を伝送する全ての通信フレームを、当該転送装置が接続する他のネットワークグループに転送する
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機のネットワークシステム。
【請求項3】
前記空調機器は、
転送を要求する通信フレームを指定する、送信アドレス、受信アドレス、および、通信フレームの識別情報の少なくとも1つを含めた前記フレーム転送要求を一斉同報送信し、
前記転送装置は、
前記フレーム転送要求を受信した場合、
当該転送装置が接続する前記ネットワークグループ内を伝送する通信フレームのうち、前記フレーム転送要求により指定された通信フレームを、当該転送装置が接続する他のネットワークグループに転送する
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機のネットワークシステム。
【請求項4】
前記空調機器は、
転送を要求する空調機器のアドレスを指定した前記フレーム転送要求を、前記ネットワークグループ内に送信し、
前記転送装置は、
受信した前記フレーム転送要求により指定された空調機器が、当該転送装置が接続する前記ネットワークグループ内に存在する場合、
当該転送装置が接続する前記ネットワークグループ内を伝送する全ての通信フレームを、当該転送装置が接続する他のネットワークグループに転送する
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機のネットワークシステム。
【請求項5】
前記空調機器は、
転送を要求する空調機器のアドレスを指定した前記フレーム転送要求を、前記ネットワークグループ内に送信し、
前記転送装置は、
前記フレーム転送要求を受信した場合、
当該転送装置が接続する前記ネットワークグループ内を伝送する通信フレームのうち、前記フレーム転送要求により指定された送信アドレスまたは受信アドレスの通信フレームを、当該転送装置が接続する他のネットワークグループに転送する
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機のネットワークシステム。
【請求項6】
前記空調機器は、
前記フレーム転送要求を、定期的に送信する
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の空気調和機のネットワークシステム。
【請求項7】
前記転送装置は、
前記空調機器からのフレーム転送終了要求を受信した場合、または、前記フレーム転送要求を受信したあと所定時間経過した場合、前記通信フレームの転送を停止する
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の空気調和機のネットワークシステム。
【請求項8】
前記転送装置は、
当該転送装置が接続する前記ネットワークグループの、伝送エラー回数、各空調機器の送信回数、伝送中の通信フレーム数、および、トラフィック量の少なくとも1つを監視するネットワーク監視手段を備え、
前記空調機器からのネットワークモニタ要求を受信した場合、
前記ネットワーク監視手段の監視結果を含めた通信フレームを、当該転送装置が接続する前記ネットワークグループに送信する
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の空気調和機のネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−2771(P2013−2771A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136404(P2011−136404)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】