説明

空気調和機の三方弁

【課題】弁棒と弁棒受入部との隙間からの冷媒漏れを防止することが出来る空気調和機の三方弁を提供する。
【解決手段】Oリング21を装着した弁棒15が螺着される弁棒受入部16と、室内機熱交換器(図示せず)側の接続配管(図示せず)に接続される室内配管側ポート12と、室外機熱交換器(図示せず)側の接続配管とロウ付けされる室外配管側ポート13と、バルブコアを装着したサービスポート14とを備え、弁棒15の雄ネジ部15a及び弁棒受入部16の雄ネジ部15aが螺着される雌ネジ部16aにグリス23を塗布したもので、接続配管とのロウ付け部に、配管ロウ付けフラックス除去のための酸処理を施した際に、液側三方弁10の本体11の筒部の面粗さが悪くなり、しかも冷媒によりOリング21が収縮しても、弁棒15と弁棒受入部16の隙間からの冷媒漏れを防止することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に冷凍機・空気調和機の冷媒配管系に介装する三方弁に関するものであって、特に弁体の通路を弁棒による開閉操作位置によるシール構造の改善に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の冷媒回路は、室内機と室外機を冷媒配管により接続して構成され、その冷媒回路は、配管接続後に室内側をエアーパージ及び冷媒封入するためサービスポートを有する三方弁を備えている。三方弁の弁キャップを外し弁棒を開閉することにより、室内外間に於ける冷媒を連通するか閉止するかの操作を行うものである。そして、弁キャップを外した時弁棒からの冷媒漏れを防止するため複数のOリングを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−297067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の構成では、弁棒にOリングを複数取りつけているため、三方弁の本体寸法が大きくなり室外機の配管カバーサイズが大きくなるという課題を有していた。また三方弁は、真鍮材で出来ており室外機内の冷凍サイクル部品と接続銅配管とは、ロウ付けする際フラックス剤を使用する為、ロウ付け後酸処理を行う必要があり、酸処理により三方弁内面加工精度が悪くなり、弁棒に取りつけられた複数のOリングとの間に僅かな隙間が発生し冷媒漏を発生させるという課題を有していた。
【0004】
本発明はこのような従来の課題を解決するもので、低温冷媒が充満しても、弁棒と弁棒受入部間での冷媒漏れを防止し、高い気密性を有した空気調和機の三方弁を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機の三方弁は、Oリングを装着した弁棒が螺着される弁棒受入部と、空気調和機の室内機熱交換器に連通する接続配管に接続される室内配管側ポートと、前記空気調和機の室外機熱交換器に連通する接続配管に接続される室外配管側ポートと、バルブコアを装着したサービスポートとを備え、前記弁棒の雄ネジ部及び前記弁棒受入部に設けられ前記雄ネジ部が螺着される雌ネジ部にグリスを塗布したもので、接続配管と室外配管側ポートとのロウ付け部に、配管ロウ付けフラックス除去のための酸処理を施した際に、三方弁本体筒部の面粗さが悪くなっても、弁棒の雄ネジ部と弁棒受入部の雌ネジ部にグリスを塗布することにより、冷媒によりOリングが収縮しても、弁棒と弁棒受入部の隙間からの冷媒漏れを防止することが出来る。
【発明の効果】
【0006】
本発明の空気調和機の三方弁は、接続配管と室外配管側ポートとのロウ付け部に、配管ロウ付けフラックス除去のための酸処理を施した際に、三方弁の本体筒部の面粗さが悪くなっても、弁棒のネジ部と弁棒受入部の雌ネジ部にグリスを塗布することにより、冷媒によりOリングが収縮しても、弁棒と弁棒受入部の隙間からの冷媒漏れを防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、Oリングを装着した弁棒が螺着される弁棒受入部と、空気調和機の室内
機熱交換器に連通する接続配管に接続される室内配管側ポートと、前記空気調和機の室外機熱交換器に連通する接続配管に接続される室外配管側ポートと、バルブコアを装着したサービスポートとを備え、前記弁棒の雄ネジ部及び前記弁棒受入部に設けられ前記雄ネジ部が螺着される雌ネジ部にグリスを塗布したもので、接続配管と室外配管側ポートとのロウ付け部に、配管ロウ付けフラックス除去のための酸処理を施した際に、三方弁本体筒部の面粗さが悪くなっても、弁棒の雄ネジ部と弁棒受入部の雌ネジ部にグリスを塗布することにより、冷媒によりOリングが収縮しても、弁棒と弁棒受入部の隙間からの冷媒漏れを防止することが出来る。
【0008】
第2の発明は、特に、第1の発明の空気調和機の三方弁において、低温流動性に優れたグリスを用いたもので、弁棒と弁棒受入部の隙間からの冷媒漏れをより確実に防止することが出来る。
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の三方弁を搭載した空気調和機の冷媒回路図、図2は、同空気調和機の三方弁の断面図である。
【0011】
図1、2において、室外機1の圧縮機2より吐出した冷媒が四方弁3より室外機熱交換器4に流れ凝縮され、膨張弁5を流れてガス側三方弁6より接続配管7にて室内熱交換器8に流れ室内熱交換器8で蒸発した冷媒が接続配管9を経て液側三方弁10から前記四方弁3より圧縮機2に戻るサイクルである。
【0012】
図2において、本実施の形態における空気調和機の液側三方弁10の構成と動作について説明する。
【0013】
液側三方弁10の本体11の四方には、室内配管側ポート12と、室外配管側ポート13と、サービスポート14と、弁棒15が螺着される弁棒受入部16が設けられている。22は、弁棒受入部16内に外部から塵埃が侵入するのを防止するための弁棒キャップである。
【0014】
室内配管側ポート12には、室内熱交換器8に接続された接続配管9がフレアナット17を介して接続され、室外配管側ポート13には、銅管18がフラックス剤を介してロウ付け接続されて同様に室外熱交換器4側の接続配管25に接続されるようになっている。サービスポート14には、バルブコア19が挿入されておりサービスポートキャップ20が取りつけられている。通常は密封されているが、空気調和機の設置時には、このサービスポート14から真空引きを行う。
【0015】
弁棒15は真鍮材からなり、雄ネジ部15a、六角レンチ用挿入穴15b、Oリング21を介装する溝部15cを一体に備えている。弁棒15の雄ネジ部15aは、弁棒受入部16に設けた雌ネジ部16aと螺合しており、六角レンチ用挿入穴15bに六角レンチ(図示せず)を挿入して回転操作することにより弁棒15を進退させることができるようになっている。
【0016】
また、雄ネジ部15aには、厚みが約6ミクロンの樹脂コーティングの薄膜処理が施され、さらに、低温流動性に優れたスミテック310などのグリス23が施されている。
【0017】
弁棒受入部16は真鍮材からなり、雌ネジ部16aには、低温流動性に優れたスミテッ
ク310などのグリス23が施されている。またOリング21の周囲にもグリス23が塗布されている、このことにより冷媒の温度により収縮していたOリング21と本体11との隙間にグリス23が入り込み冷媒漏れを確実に防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明にかかる空気調和機の三方弁は、本体筒部の面粗さが悪くなっても、冷媒によりOリングが収縮しても、弁棒と弁棒受入部の隙間からの冷媒漏れを防止することが出来るので、空気調和機はもとより、冷媒を封入したあらゆる冷凍機械に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の三方弁を搭載した空気調和機の冷媒回路図
【図2】(a)同空気調和機の三方弁の断面図(b)同三方弁の分解断面図
【符号の説明】
【0020】
1 室外機
2 圧縮機
3 四方弁
4 室外機熱交換器
5 膨張弁
6 ガス側三方弁(三方弁)
7、9、25 接続配管
8 室内機熱交換器
10 液側三方弁(三方弁)
11 本体
12 室内配管側ポート
13 室外配管側ポート
14 サービスポート
15 弁棒
15a 雄ネジ部
15b 六角レンチ挿入穴
15c 溝部
16 弁棒受入部
16a 雌ネジ部
17 フレアナット
18 銅管
19 バルブコア
20 サービスポートキャップ
21 Oリング
22 弁棒キャップ
23 グリス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Oリングを装着した弁棒が螺着される弁棒受入部と、空気調和機の室内機熱交換器に連通する接続配管に接続される室内配管側ポートと、前記空気調和機の室外機熱交換器に連通する接続配管に接続される室外配管側ポートと、バルブコアを装着したサービスポートとを備え、前記弁棒の雄ネジ部及び前記弁棒受入部に設けられ前記雄ネジ部が螺着される雌ネジ部にグリスを塗布したことを特徴とする空気調和機の三方弁。
【請求項2】
低温流動性に優れたグリスを用いたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の三方弁。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−250274(P2009−250274A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95629(P2008−95629)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】