説明

空気調和機の室内機

【課題】室内機不使用時において一対の水平羽根の端部同士が確実に当接しあい、一対の水平羽根によって完全な閉塞状態が得られ、外観性の優れた空気調和機の室内機を提供する。
【解決手段】吹出口に一対の水平羽根1、2が回動可能に設けられ、室内機不使用時において一対の水平羽根1、2は端部同士が接触する閉塞位置に位置するように設けられており、室内機使用終了時において、一方の水平羽根1が選択図に示すように閉塞位置よりも他方の水平羽根2側に位置するように回動し、その後、他方の水平羽根2が、回動して前記一方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻すように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機の室内機に係るものであり、より詳しくは、室内機の吹出口に設けた水平羽根を改良した空気調和機の室内機に係るものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機における水平羽根の構造としては、特許文献1に記載されたものが公知である。この特許文献1に記載のものは、室内機の吹出口に上下一対の水平羽根が設置されており、室内機不使用時の水平羽根閉塞時において、上方の水平羽根の下端が下方の水平羽根の上端と接触した状態となるように設けられたものであり、これにより、室内機の外観上の美観を向上すると共に、室内機内への塵埃の侵入を防止するものである。なお、この特許文献1に記載された水平羽根は、上方の水平羽根をその回転中心においてステッピングモータと接続して、且つ、上方の水平羽根と下方の水平羽根とを連結レバーに回転可能に連結させることにより、ステッピングモータの駆動により、上下の水平羽根が回動するように設けられている。
【特許文献1】特開平9−310884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1に記載された水平羽根においては、室内機不使用時の水平羽根閉塞時において、水平羽根が開放方向に回動してしまい、上方の水平羽根の下端と下方の水平羽根の上端との間に隙間が生じてしまい、室内機の美観を損ねるという問題を有していた。これは、室内機使用終了時に水平羽根を閉塞する方向に回動することにより、一時的には上方の水平羽根の下端と下方の水平羽根の上端とが接触した状態が得られるものの、その後、水平羽根の自重やリンク(水平羽根−ステッピングモータ間の部品)の遊び、バックラッシュ等が原因となって、上方の水平羽根の下端と下方の水平羽根の上端とが離間する方向に回動してしまうためである。
【0004】
この発明は上記した従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、室内機不使用時において一対の水平羽根の端部同士が確実に当接しあい、一対の水平羽根によって完全な閉塞状態が得られ、外観性の優れた空気調和機の室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明空気調和機の室内機は、吹出口に少なくとも一対の水平羽根1、2が回動可能に設けられているとともに、室内機不使用時において一対の水平羽根1、2は一方の水平羽根1の端部と他方の水平羽根2の端部とが接触する閉塞位置に位置するように設けられており、室内機使用終了時において、一対の水平羽根1、2のうち一方の水平羽根1が閉塞位置よりも他方の水平羽根2側に位置するように回動し、その後、他方の水平羽根2が、前記一方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻すように設けられていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明にあっては、一対の水平羽根1、2のそれぞれを駆動する一対の駆動手段を備えており、室内機使用終了時において、前記一方の水平羽根1を駆動する一方の駆動手段が駆動した後に、前記他方の水平羽根2が一方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻すように前記他方の水平羽根2の駆動手段が駆動するように制御されている構成を採用することができる。
【0007】
また、前記構成を採用した場合には、前記駆動手段としてステッピングモータを採用することができる。
【0008】
また、本発明にあっては、前記一対の水平羽根1、2は上下一対の水平羽根1、2からなり、閉塞位置において下方の水平羽根1の上端部の内面と、上方の水平羽根2の下端部の外面とが接触するように設けられており、室内機使用終了時において、下方の水平羽根1の上端部が閉塞位置よりも上方に位置するように回動し、その後、上方の水平羽根2が、前記下方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻すように設けられている構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の空気調和機の室内機では、室内機使用終了すると、一方の水平羽根1が閉塞位置よりも他方の水平羽根2側に位置するように回動し、他方の水平羽根2が、一方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻すように回動して、これにより、一対の水平羽根1、2によって閉塞状態が得られることになる。このため、この閉塞状態においては、一対の水平羽根1、2同士が互いに他方側に押し合う状態となっているため、水平羽根1側の多少のバックラッシュ等が生じたとしても、一対の水平羽根1、2同士は接触状態を維持することができ、これにより、一対の水平羽根1、2の間に隙間を生じさせることがなく、室内機の外観上の美観を向上させることができる。
【0010】
また、一対の駆動手段を備え、室内機使用終了時において、一方の水平羽根1を駆動する一方の駆動手段が駆動した後に、前記他方の水平羽根2を駆動する他方の駆動手段が前述のごとく駆動するように制御されている構成を採用することによって、一対の駆動手段のみの簡単な構成で上記発明の水平羽根1、2の回動を容易に制御することができる。また、このような場合に、駆動手段としてステッピングモータを採用することにより、廉価な装置で本発明を実施することができ、しかも、仮に、ステッピングモータの停止状態において遊び部分により水平羽根1側のステッピングモータが1ステップ分だけ逆転しても、水平羽根1、2同士が押し合う状態で閉塞状態が得られているため、一対の水平羽根1、2の間に隙間を生じさせることがない。
【0011】
また、本発明にあっては、前記一対の水平羽根1、2は上下一対の水平羽根1、2からなり、閉塞位置において下方の水平羽根1の上端部の内面と、上方の水平羽根2の下端部の外面とが接触するように設けられており、室内機使用終了時において、下方の水平羽根1の上端部が閉塞位置よりも上方に位置するように回動し、その後、上方の水平羽根2が、前記下方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻すように設けられている構成を採用した場合、上下一対の水平羽根1、2の間に隙間を生じず、室内機の外観上の美観を向上させることができる。つまり、室内機使用終了すると、下方の水平羽根1が閉塞位置よりも上端部が上方に位置するように回動し、上方の水平羽根2が、下方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻すように回動して、これにより、上下一対の水平羽根1、2同士が互いに他方側に押し合う状態で閉塞状態が得られるため、水平羽根1側に多少のバックラッシュ等が生じたとしても、一対の水平羽根1、2同士は接触状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、この発明の空気調和機の室内機の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る空気調和機の室内機は、図2に示すように、ケーシング10の吸込口11から吸い込んだ室内空気と熱交換を行う逆V字状の熱交換器13、および、熱交換された空気を吹出口12から室内に送風するための略円筒形状のファン14がケーシング10内に内蔵されている。上記熱交換器13は、ファン14の前方、上方および後部上方を取り囲むように取り付けられている。該熱交換器13の頂部は、ケーシング10の天面に近接して設けられ、室内機の機械容積が小さく設計されている。また、熱交換器13の下部には、冷房時に熱交換器13の表面に生じる露が室内に落下しないように受け止めるドレンパン15、15が設けられている。また、ケーシング12の吸込み口11には、エアフィルター5が脱着可能に装着されている。この室内機は、ケーシング10内に吸い込んだ室内空気を、熱交換器13によって熱交換して、ファン14によって吹出口12から吹出すように設けられているものであり、この吹出口12には、上下一対の水平羽根1、2が設けられている。
【0013】
この上下一対の水平羽根1、2は、図1(a)に示すように、それぞれ回動中心1a、2aを中心に回動できるようにケーシング(図示省略)に軸支されている。また、この水平羽根1、2の回動中心1a、2aには、駆動手段としてのステッピングモータ(図示省略)がそれぞれに付設されている。つまり、一対のステッピングモータによって一対の水平羽根1、2の回動がそれぞれ行われるようになっている。また、該ステッピングモータは、制御手段(図示省略)によって駆動が制御されている。該制御手段は、室内機使用時においては、水平羽根1、2が開放状態となるようにステッピングモータを制御している。
【0014】
また、前記一対の水平羽根1、2は、図1(c)に示すように、閉塞状態において、一方の水平羽根1の端部と他方の水平羽根2の端部とが接触するように設けられている。具体的には、閉塞位置において、上下一対の水平羽根1、2は、下方の水平羽根1の上端部の内面と、上方の水平羽根2の下端部の外面とが接触するように設けられている。
【0015】
また、制御手段は、室内機使用終了時において、水平羽根が以下のような動作を行うようにステッピングモータを制御している。つまり、室内機使用終了時において、まず下方の水平羽根1は、閉塞位置よりも上端部が上方に位置するように回動して停止する(図1(b)参照)。そして、上方の水平羽根2が回動して、前述のように閉塞位置よりも上端部が上方に位置する下方の水平羽根1と当接して、さらに該下方の水平羽根1を閉塞位置まで押し戻して、上下一対の水平羽根1、2が閉塞状態に位置した後に水平羽根1、2の回動が停止する(図1(c)参照)。
【0016】
本実施形態の室内機は、上記構成からなるため、上下一対の水平羽根1、2同士が互いに他方側に押し合う状態で閉塞状態が得られる。すなわち、下方の水平羽根1と上方の水平羽根2とが力を及ぼし合う状態で保持されることになるので、上下一対の水平羽根1、2には重力の影響が及びにくい状態となっており、また、その状態では、ステッピングモータの遊びによる水平羽根1の戻りや多少のバックラッシュ等が生じたとしても、一対の水平羽根1、2同士は接触状態を維持することができ、このため、上下一対の水平羽根1、2の間に隙間を生じず、室内機の外観上の美観を向上させることができるという利点を有する。特に、下側の水平羽根1は、上側の水平羽根2よりも斜め下方から使用者の目に留まり易い部分であるため、この部分の回動を防止することによって、外観品質を大きく向上することができる。
【0017】
また、一対のステッピングモータによって上記の動作を行うことができ、簡単な構成で且つ廉価で上記利点を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係る空気調和機の室内機の水平羽根を説明するための概略的説明図であって、(a)は室内機使用時の状態を示す図、(b)は室内機使用終了時の状態を示す図、(c)は室内機不使用時の状態を示す図である。
【図2】上記室内機の全体構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1・・下方の水平羽根、1a・・回動中心、2・・上方の水平羽根、2a・・回動中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口に少なくとも一対の水平羽根(1、2)が回動可能に設けられているとともに、室内機不使用時において一対の水平羽根(1、2)は一方の水平羽根(1)の端部と他方の水平羽根(2)の端部とが接触する閉塞位置に位置するように設けられており、室内機使用終了時において、一対の水平羽根(1、2)のうち一方の水平羽根(1)が閉塞位置よりも他方の水平羽根(2)側に位置するように回動し、その後、他方の水平羽根(2)が、前記一方の水平羽根(1)を閉塞位置まで押し戻すように設けられていることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記一対の水平羽根(1、2)のそれぞれを駆動する一対の駆動手段を備えており、室内機使用終了時において、前記一方の水平羽根(1)を駆動する一方の駆動手段が駆動した後に、前記他方の水平羽根(2)が一方の水平羽根(1)を閉塞位置まで押し戻すように前記他方の水平羽根(2)の駆動手段が駆動するように制御されている請求項1記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記駆動手段がステッピングモータである請求項2記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記一対の水平羽根(1、2)は上下一対の水平羽根(1、2)からなり、閉塞位置において下方の水平羽根(1)の上端部の内面と上方の水平羽根(2)の下端部の外面とが接触するように設けられており、
室内機使用終了時において、下方の水平羽根(1)の上端部が閉塞位置よりも上方に位置するように回動し、その後、上方の水平羽根(2)が、前記下方の水平羽根(1)を閉塞位置まで押し戻すように設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の空気調和機の室内機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−60172(P2010−60172A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224501(P2008−224501)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】