説明

空気調和機の室内機

【課題】室内に設置された扇風機の位置や吹出方向に応じて調和空気の吹出要領を制御し、室内に空気のサーキュレーションを形成する空気調和機の室内機を得る。
【解決手段】空気調和機の室内機100は、室内90の背面壁91に設置され、熱交換器4において調和された空気の吹き出し方向を調整する左右風向板10および上下風向板9と、室内を撮像する撮像装置と、該撮像装置が撮像した画像に基づいて前記左右風向板および上下風向板を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、撮像された画像に基づいて室内90に配置された扇風機200の位置および吹出方向(黒矢印)を判定し、扇風機200が形成する空気流れと協働して室内90にサーキュレーション(リボン状矢印)を形成するように、調和空気の吹出方向(白抜き矢印)を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機の室内機、特に、室内空気の循環(サーキュレーション)を促進する空気調和機の室内機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内における在室者の快適性を増すため、室内温度等の各種環境条件を複数のセンサーによって検出し、かかるセンサーの検出結果に基づいて在室者の体感温度を所定の値にするように、在室者の位置における温度とセンサーの取付位置における温度と差を考慮した温度環境分布を算出して調和空気の温度、吹出風量、風向等を制御する空気調和機の室内機(室内ユニットに同じ)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−18073号公報(第2−3頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明は、室内の環境に係る条件を検出する検出手段(室温センサー等)と、室内における在室者の位置及びその状態を検出する検出手段(画像認識装置、体表温度センサー等)と、これら検出手段からの信号に基づいて調和空気の温度、吹出風量、風向等を制御することによって、在室者の位置する環境(室内温度等)を快適評価基準に基づいた快適値になるようにするものである。
【0005】
ところで、最近の省エネ運転を促進しようとする要請に応えるため、室内の局地的なエリアに生じる冷気溜まり(熱気溜まり)等による不均一な室内温度分布を解消するため、室内に扇風機を設置し、扇風機の気流によって室内温度分布を均一化することが推奨されている。
しかしながら、居住者(ユーザー)は、扇風機の設置位置や吹出方向をどのようにすれば、室内温度分布を均一化することができるのか分からない場合が多いこともあり、また、前記検出手段(室温センサー、体表温度センサー等)では、空気調和機の室内機によって生じる室内の温度ムラ(不均一な室内温度分布)の様子を検出することができないため、不均一な室内温度分布が解消されないという問題があった。
このため、在室者の位置では快適な温度になっているものの、室内の一部には局地的な冷気溜まり(熱気溜まり)が生じ、結果として省エネ運転になっていないことがあった。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、室内に設置された扇風機の位置や吹出方向に応じて調和空気の吹出要領を制御し、室内に空気のサーキュレーションを形成することによって室内温度分布の均一化を図ることができる空気調和機の室内機を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気調和機の室内機は、吸込口および吹出口がそれぞれ形成された本体と、前記吸込口から室内空気を吸い込んで、前記吹出口に至る風路を形成する送風機と、前記風路に設置された熱交換器と、前記吹出口に設置され、前記熱交換器において調和された空気の吹き出し方向を調整する左右風向板および上下風向板と、室内を撮像する撮像装置と、該撮像装置が撮像した画像に基づいて前記左右風向板および上下風向板を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記画像に基づいて室内に扇風機が設置されていると判定した場合、前記扇風機の位置および前記扇風機が室内空気を吹き出す方向を判定し、該判定された前記扇風機の位置および前記扇風機が室内空気を吹き出す方向に基づいて、前記扇風機が形成する室内空気の流れと協働して室内にサーキュレーションが形成されるように、前記調和された空気の吹出方向を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る空気調和機の室内機は、室内に配置された扇風機の位置および吹出方向を判定し、扇風機が形成する空気流れと協働して室内にサーキュレーションが形成されるように、調和された空気(以下、「調和空気」と称す)の吹出方向を決定するから、室内に空気のサーキュレーションが形成される。すなわち、局地的な冷気溜まり(熱気溜まり)等による不均一な室内温度分布が解消されるため、室内温度分布がより均一になり、省エネ運転を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機を説明する正面図。
【図2】図1に示す室内機を説明する側面視の断面図。
【図3】図1に示す室内機を説明する一部(吹出口の周辺)を示す斜視図。
【図4】図1に示す室内機を説明する扇風機の検出要領を説明するための斜視図。
【図5】扇風機の水平方向の姿勢に対応した画像パターン図。
【図6】扇風機の上下方向の姿勢に対応した画像パターン図。
【図7】水平方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す平面図。
【図8】水平方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す平面図。
【図9】上下方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す側面図。
【図10】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機を説明する水平方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す正面図。
【図11】本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機を説明する正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1〜図9は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、図1は正面図、図2は側面視の断面図、図3は一部(吹出口の周辺)を抜き出して示す斜視図、図4は扇風機の検出要領を説明するための斜視図、図5は扇風機の水平方向の姿勢に対応した画像パターン図、図6は扇風機の上下方向の姿勢に対応した画像パターン図、図7および図8は扇風機の位置および吹出方向に応じた水平方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す平面図、図9は扇風機の位置および吹出方向に応じた上下方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す側面図である。なお、各図は模式的に描いたものであって、本発明は図示された形態に限定するものではない。
【0011】
図1〜図3において、空気調和機の室内機(以下「室内機」と称す)100は、上部に吸込口3および下部に吹出口7が形成された本体1と、本体1の前面を開閉自在に覆う前面パネル2と、吸込口3から室内空気を吸い込んで、吹出口7に至る風路6を形成する送風機5と、送風機5の上流側(吸込口3寄り)に設置された熱交換器4とを有している。
そして、本体1の前面で吹出口7の脇に、リモコン(図示しない)からの信号を受信する受信装置40と、室内の様子を撮像する撮像装置50とが設置されている。
なお、本発明は、受信装置40や撮像装置50の設置位置を限定するものではなく、例えば、前面パネル2の中央部等に設置してもよい。さらに、室内機の運転状況を報知するための音声または映像による報知装置(図示しない)が本体1またはリモコン(図示しない)に設けられている。
【0012】
風路の吹出口7に近い位置には、熱交換器4において調和された室内空気(以下、「調和空気」と称す)の水平方向(左右方向)の吹き出し方向を調整する左右風向板10a、10b・・・10n(これらをまとめて又はそれぞれを「左右風向板10」と称している)と、風路6の末端である吹出口7には、調和空気の鉛直方向(上下方向)の吹き出し方向を調整する上下風向板9(前上下風向板9aおよび後上下風向板9bをまとめて「上下風向板9」と称している)が設けられている。
熱交換器4は前面パネル2に平行な部分である熱交換前部分4aと、送風機5の前面寄り斜め上方の部分である熱交換前上部分4bと、送風機5の後面寄り斜め上方の部分である熱交換後上部分4cと、を具備している。そして、熱交換前部分4aの下方にはドレンパン8が配置され、ドレンパン8の上面8aが実際にドレンを受けるドレンパン面を形成し、ドレンパン8の下面8bが風路6の前面側を形成している。
【0013】
(左右風向板)
左右風向板10は、ドレンパン8の下面8bに回動自在に設置され、左右風向板10には、連結棒20a、20b(これらをまとめて又はそれぞれを「連結棒20」と称している)が連結されている。このとき、左右風向板10と連結棒20とはリンク機構を形成し、連結棒20が駆動手段30によって平行移動された際、左右風向板10は回動する。
なお、本発明は、左右風向板10の駆動機構を限定するものではなく、本体の一方の側面寄りの左右風向板10(10a〜10g)と本体の他方の側面寄りの左右風向板10(10h〜10n)とを別個の駆動手段によって平行移動させてもよい(これについては実施の形態2において詳細に説明する)。
【0014】
(上下風向板)
上下風向板9は水平方向(Y方向)に平行な回動中心を有し、本体1に回動自在に設置されている。前上下風向板9aの回動軸および後上下風向板9bの回動軸はそれぞれリンク機構または歯車機構によって連結され、共通の駆動モーターによって回動される。なお、本発明は、上下風向板9の回動機構を限定するものではなく、前上下風向板9aおよび後上下風向板9bをそれぞれ別個の駆動モーターによって回動してもよい。
【0015】
(制御装置)
室内機100には、図示しない制御装置が設置されている。制御装置は室内環境や居住者(ユーザー)の要求に応じて、調和空気の温度や吹出量等を制御すると共に、室内空気のサーキュレーションを促進するために調和空気の吹出方向を制御するものである(以下、「サーキュレーション気流制御」と称す場合がある)。
すなわち、画像パターンマッチング処理によって、室内に設置された扇風機の位置および吹出方向を判定し、該判定結果に基づいて、左右風向板10および上下風向板9の姿勢を制御する。以下、制御装置の制御要領について詳細に説明する。
【0016】
(扇風機の検出)
図4は、扇風機の検出要領を説明するためのものであって、略直方体の室内90の一方の壁(以下、「背面壁」と称す)91で天井面94に近い位置に室内機100が設置されている。また、室内90の床面95には扇風機200が設置されている。
なお、本発明において、「一方に近い」または「一方から遠い」とは、相対的に「一方寄り」または「他方寄り」に位置していることを意味し、絶対的な距離の大小を意味するものではない。
また、以下の説明の便宜上、背面壁91に対向する面を正面壁92と、室内機100から正面壁92に向かって(+X方向に)見たとき、右側(−Y方向)の面を右側壁93Rと、左側の面(+Y方向)を左側壁93Lと称す。そして、室内機100が背面壁91の中央に設置されているから、室内機100の位置は(0、Y1、Z1)と記載される。
また、撮像装置による室内90の撮像画面において、床面95は方眼状に分割された4つのエリア(領域)の集合として認識されている。すなわち、床面95は、室内機100に近い範囲で右側壁93Rに近い第1エリア(図中、ローマ数字にて示す)と、室内機100から遠い範囲で右側壁93Rに近い第2エリア(図中、ローマ数字にて示す)と、室内機100から遠い範囲で左側壁93Lに近い第3エリア(図中、ローマ数字にて示す)と、室内機100に近い範囲で左側壁93Lに近い第4エリア(図中、ローマ数字にて示す)と、が集合したものとされている。
【0017】
(画像パターン)
図5は、画像パターンマッチング処理のための画像パターンを模式的に示すものである。図5の(a)は撮像装置(カメラ部に同じ)50に向かって、すなわち、背面壁91の方向に向かって室内空気が水平方向に吹き出されている画像をパターン化したものである。このとき、扇風機200の画像パターンは、回転翼を包囲する円形の篭部203と、篭部203を支持する棒状の支柱部202と、支柱部202が固定された板状の基部201とによって構成されている。
図5の(b)は撮像装置50とは反対の方向に向かって、すなわち、正面壁92の方向に向かって室内空気が水平方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、篭部203と、篭部203の中心部に扇風機200の回転翼を駆動する略円形のモーター部204と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。
【0018】
図5の(c)は左側壁93L側から右側壁93Rの方向に向かって室内空気が水平方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、略矩形状の篭部203と、篭部203から突出した略矩形状のモーター部204と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。
図5の(d)は正面壁92と左側壁93Lとの隅から背面壁91と右側壁93Rの隅の方向に向かって(斜め室内機方向に)室内空気が水平方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、楕円形状の篭部203と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。
図5の(e)は背面壁91と左側壁93Lとの隅から正面壁92と右側壁93Rとの隅の方向に向かって(斜め室内機と反対方向に)室内空気が水平方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、楕円形状の篭部203と、篭部203の水平方向の一方寄りにモーター部204と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。
【0019】
図6の(a)は撮像装置50に向かって室内空気が斜め上方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、横に広い楕円形の篭部203と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。
図6の(b)は撮像装置50に向かって室内空気が斜め下方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、横に広い楕円形の篭部203と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。すなわち、撮像装置50に向かって室内空気が吹き出される場合、斜め上方向でも斜め下方向でも、画像パターンは同じになる。
図6の(c)は撮像装置(カメラ部に同じ)とは反対の方向に向かって室内空気が上方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、篭部203と、篭部203の中心部より下寄りにモーター部204と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。
図6の(d)は撮像装置50とは反対の方向に向かって室内空気が下方向に吹き出されている画像をパターン化したものであって、当該画像パターンは、篭部203と、篭部203の中心部より上寄りにモーター部204と、支柱部202と、基部201とによって構成されている。
【0020】
(画像パターンマッチング処理)
以上のように、制御装置は、前記複数の画像パターンが登録されている(または、別途設けられた記憶部に登録され、該記憶部にアクセス可能になっている)から、撮像装置50において撮像された画像と前記画像パターンとの比較を行い、扇風機200の有無と、扇風機200が設置されている場合には、基部201の位置(X2、Y2、0)と、篭部203の中心の位置(X2、Y2、Z2)と、吹出方向を判定する。
なお、通常は、記憶されている画像パターンと撮像された画像とは一致することは少なく、相違するため、複数の画像パターンとの差分をそれぞれ演算し、複数の差分画像を解析することによって、登録された画像パターンのうちの所定の画像パターンの中間の姿勢になっていることを判定する。
また、一定の周期を持って撮像された画像が変化する場合には、扇風機200は首を振っていると判定し、前記のような差分画像処理によって、首振り角度を判定する。
【0021】
さらに、前記のように撮像装置50に向かって室内空気が吹き出される場合、斜め上向きでも斜め下向きでも、画像パターンは同じになるから(図6の(a)および(b)参照)、例えば、扇風機200の高さ(Z2の値)が所定の高さ(例えば、0.5m)以下の場合は上吹き、所定の高さの範囲(例えば、0.5〜1.0m)の場合は水平吹き、所定の高さ(例えば、1.0m)以上の場合は下吹きとする。
なお、扇風機200以外の画像を解析して、斜め上向きか斜め下向きかを判定、例えば、床面95の扇風機200に近い位置において揺れている物が視認された場合には、下向きに吹かれていると判定する。
【0022】
(左右風向板の制御:扇風機が遠い位置にある場合)
図7は、扇風機200の位置および室内空気の吹出方向と、室内機100が吹き出す調和空気の吹出方向との関係を対応して形成される水平方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す平面図である。
【0023】
なお、本発明においてサーキュレーションとは、室内機から吹き出される調和空気の流れと、室内を経由して室内機に吸い込まれる室内空気の流れとが、略連続している様子を指している。すなわち、吹き出される調和空気の流れの断面積は吹出口の面積に相当し、吸い込まれる室内空気の流れの断面積は吸込口の面積に相当するのに対し、室内を流れる室内空気の流れの断面積は大きいから、吹き出される調和空気の流速に比べ、室内を流れる空気流れの流速は遅く、且つ、流れの断面積は広くなる。また、吹き出された調和空気は、室内にある空気(室内空気と称している)と熱交換をしたり、室内空気と混合したりして室内空気になるものであるが、それぞれにおける空気流れのベクトルが、大きさおよび方向を徐々に変えながら略連続している様子を、サーキュレーションと称している。
このとき、室内の至る所において、連続した空気流れが完璧に形成されるものではなく、例えば、隅部等の室内の一部においては前記のような空気流れが形成されないで、淀み(溜まり、流れのベクトルが不規則に方々を向く)が形成されることがある。すなわち、室内機から吹き出された調和空気の大半が、例えば、室内機から離れた範囲において一旦淀み、その淀んだ室内空気(調和空気と熱交換すると共に、混合している)が流速の遅い流れとなって、徐々に室内機の近くに移動し、やがて、室内機に吸い込まれるような空気流れは、本発明におけるサーキュレーションに該当しない。
【0024】
図7の(a)は、扇風機200が第2エリアに設置され、第3エリアに向かって室内空気(黒矢印にて示す)が吹き出されていると判定された場合(以下、「ケースA」と称す)であって、室内機100からは斜め右方向(+X方向で−Y方向)に調和空気(白抜き矢印にて示す)が吹き出されている(以下、「左右モードA」と称す)。したがって、室内機100から吹き出された調和空気は、第1エリアを斜めに進み、右側壁93Rの第2エリアの範囲に沿って流れると共に、正面壁92の第2エリアの範囲において方向を曲げられ、第3エリアに流入する。
このとき、扇風機200によって第3エリアに向かった室内空気の流れが形成されているから、調和空気の流れ(正確には、室内空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)と室内空気(正確には、調和空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)の流れとは協働して大きな流れとなる。そして、かかる空気流れは、左側壁93Lに沿って第4エリアに流入し、室内機100に吸い込まれる。
【0025】
すなわち、略水平方向において円滑なサーキュレーション(リボン状矢印にて示す)が形成されるから、空気流れに淀み(溜まり)が形成されないため、局所的な冷気溜まり(熱気溜まり)が解消され、室内90の温度分布を均一にすることが可能になる。よって、設定温度を過剰に低く(高く)設定しなくても、快適な室内環境を得ることができるから、省エネ運転が可能になる。
そして、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において「サーキュレーション運転中」と表示、あるいは音声によって報知する。
【0026】
図7の(b)は、扇風機200が第2エリアに設置され、正面壁92に向かって室内空気が吹き出されていると判定された場合(以下、「ケースB」と称す)である。このとき、扇風機200が吹き出す室内空気は、サーキュレーションに寄与しないから、サーキュレーションを促進するための調和空気の吹出方向の制御は行わないで、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において、例えば、「壁とは反対の方向に扇風機を向けて下さい」と表示、あるいは音声によって報知する。なお、このときでも、室内90の温度や湿度の環境条件や居住者(ユーザー)の要求に対応した室内機100の制御をする。
【0027】
図7の(c)は、扇風機200が第2エリアに設置され、右側壁93Rに向かって室内空気が吹き出されていると判定された場合(以下、「ケースC」と称す)である。このとき、扇風機200が吹き出す室内空気は、サーキュレーションに寄与しないから、サーキュレーションを促進するための調和空気の吹出方向の制御は行わないで、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において、例えば、「壁とは反対の方向に扇風機を向けて下さい」と表示、あるいは音声によって報知する。
【0028】
図7の(d)は、扇風機200が第2エリアに設置され、第1エリアに向かって室内空気が吹き出されていると判定された場合(以下、「ケースD」と称す)であって、室内機100からは斜め右方向(+X方向で+Y方向)に調和空気が吹き出されている(以下、「左右モードD」と称す)。したがって、室内機100から吹き出された調和空気は、第4エリアを斜めに進み、左側壁93Lの第3エリアの範囲に沿って流れると共に、正面壁92の第3エリアの範囲において方向を曲げられ、第2エリアに流入する。そうすると、第2エリアでは扇風機200によって第1エリアに向かった室内空気の流れが形成されているから、第2エリアに流入した調和空気の流れ(正確には、室内空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)は、室内空気(正確には、調和空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)の流れに誘導されると共に、右側壁93Rに沿った方向に流れ方向を変更され、右側壁93Rに沿って第1エリアに流入し、室内機100に吸い込まれる。
【0029】
すなわち、略水平方向において円滑なサーキュレーションが形成されるから、空気流れに淀み(溜まり)が形成されないため、局所的な冷気溜まり(熱気溜まり)が解消され、室内90の温度分布を均一にすることが可能になる。よって、設定温度を過剰に低く(高く)設定しなくても、快適な室内環境を得ることができるから、省エネ運転が可能になる。そして、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において「サーキュレーション運転中」と表示、あるいは音声によって報知する。
なお、扇風機200が第3エリアに設置され、且つ、室内空気が第2エリアの方向に吹き出される場合はケースAに同じであり、室内空気が正面壁92に向かって吹き出される場合はケースBに同じであり、室内空気が左側壁93Lの方向に吹き出される場合はケースCに同じであり、室内空気が第4エリアの方向に吹き出される場合はケースDに同じである。
【0030】
(左右風向板の制御:扇風機が近い位置にある場合)
図8の(a)〜(d)は、室内機100が背面壁91の中央に設置され、床面95は方眼状に4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)に分割され、扇風機200が、室内機100に近く、且つ、右側壁93Rに近いエリアに設置されていると判定された場合である。
【0031】
図8の(a)は、扇風機200が第1エリアに設置され、第4エリアに向かって室内空気が吹き出されていると判定された場合である。このとき、室内機100からは斜め左方向(+X方向で+Y方向)に調和空気を吹き出して、第4エリアにおいて、扇風機200から吹き出された室内空気と一緒にし、第3エリアに流入させ、さらに、第2エリアを経由して第1エリアに戻るサーキュレーションを形成することが理想である。 しかしながら、第3エリアから第2エリアに流入する際の空気流れは、比較的低速になるため、扇風機200が遠い位置にある場合(ケースAまたはケースB)のようなサーキュレーションが形成されない。
そのため、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において、例えば、「室内機から遠い位置に扇風機を移動して下さい」と表示、あるいは音声によって報知する。
【0032】
図8の(b)は、扇風機200が第1エリアに設置され、第2エリアに向かって室内空気が吹き出されていると判定された場合である。このとき、室内機100からは斜め右方向(+X方向で−Y方向)に調和空気を吹き出して、第2エリアにおいて、扇風機200から吹き出された室内空気と一緒にし、第3エリアに流入させ、さらに、第4エリアを経由して第1エリアに戻るサーキュレーションを形成することが理想である。 しかしながら、第2エリアから第3エリアに流入する際の空気流れは、比較的低速になるため、扇風機200が遠い位置にある場合(ケースAまたはケースB)のようなサーキュレーションが形成されない。
そのため、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において、例えば、「室内機から遠い位置に扇風機を移動して下さい」と表示、あるいは音声によって報知する。
【0033】
図8の(c)および(d)は、扇風機200が第1エリアに設置され、それぞれ右側壁93Rおよび背面壁91に向かって室内空気が吹き出されていると判定された場合である。
このとき、また、扇風機200が吹き出す室内空気は、サーキュレーションに寄与しないから、サーキュレーションを促進するための調和空気の吹出方向の制御は行わないで、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において、例えば、「室内機から遠い位置に扇風機を移動して壁とは反対の方向に向けて下さい」と表示、あるいは音声によって報知する。なお、このときでも、室内90の温度や湿度の環境条件や居住者(ユーザー)の要求に対応した室内機100の制御をする。
なお、扇風機200が第4エリアに設置された場合も、第1エリアに設置された場合に同じである。
【0034】
(上下風向板の制御)
図9の(a)は、扇風機200が室内機100から遠い位置(第1エリアまたは第2エリア)に設置され、斜め上向きに室内空気が吹き出されていると判定された場合である(以下、「ケースE」と称す)。このとき、室内機100からは調和空気が斜め下方に向かって吹き出されている(以下、「上下モードE」と称す)。
したがって、室内機100から吹き出された調和空気は、室内機100に近い範囲では斜め下向きに流れ、室内機100から離れた範囲では床面95に平行に流れ、やがて、正面壁92によって上向きに流れの方向が変えられる。このとき、室内機100から離れた範囲では、扇風機200によって上方に吹き出す室内空気の流れが形成されているから、調和空気(正確には、室内空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)は該室内空気の流れに誘導され、滑らかに流れの方向が変換される。そして、天井面94に沿って流れることになる。
【0035】
すなわち、略上下方向において円滑なサーキュレーションが形成されるから、空気流れに淀み(溜まり)が形成されないため、局所的な冷気溜まり(熱気溜まり)が解消され、室内90の温度分布を均一にすることが可能になる。よって、設定温度を過剰に低く(高く)設定しなくても、快適な室内環境を得ることができるから、省エネ運転が可能になる。
【0036】
なお、上下風向板9と左右風向板10とは共に制御されるものであるため、例えば、ケースA(図7の(a)参照)であって、且つケースEである場合には、左右モードAと上下モードEとを組み合わせた制御が実行される。すなわち、調和空気は室内機100から斜め右方向で斜め下方に向かって吹き出される。
そうすると、調和空気(正確には、室内空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)は第1エリアを斜め右方向で斜め下方に向かって流れ、第2エリアでは扇風機200によって、第3エリアの方向で斜め上方向に流れ、第3エリアでは第4エリアの方向で天井に沿って流れる。そして、背面壁91に沿って下降して室内機100に吸い込まれる。
【0037】
図9の(b)は、扇風機200が室内機100から遠い位置(第1エリアまたは第2エリア)に設置され、斜め下向きに室内空気が吹き出されていると判定された場合である(以下、「ケースF」と称す)。このとき、室内機100からは調和空気が略水平方向に吹き出されている(以下、「上下モードF」と称す)。
したがって、室内機100から吹き出された調和空気は、室内機100に近い範囲では天井面94に略平行に流れ、室内機100から離れた範囲では、正面壁92によって下向きに流れの方向が変えられる。このとき、室内機100から離れた範囲では、扇風機200によって下方に吹き出す室内空気の流れが形成されているから、調和空気(正確には、室内空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)は該室内空気の流れに誘導され、滑らかに流れの方向が変換される。そして、床面95に沿って流れることになる。
【0038】
すなわち、略上下方向において円滑なサーキュレーションが形成されるから、空気流れに淀み(溜まり)が形成されないため、局所的な冷気溜まり(熱気溜まり)が解消され、室内90の温度分布を均一にすることが可能になる。よって、設定温度を過剰に低く(高く)設定しなくても、快適な室内環境を得ることができるから、省エネ運転が可能になる。
なお、制御装置は、扇風機200が略水平方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、扇風機200の高さ(Z方向の値)によって調和空気の吹出方向を決定する。すなわち、扇風機200が所定の高さよりも低い場合、調和空気の吹出方向を略水平方向に決定し、反対に、扇風機200が所定の高さよりも高い場合、調和空気の吹出方向を斜め下方に決定する。
【0039】
さらに、上下風向板9と左右風向板10とは共に制御されるものであるため、例えば、ケースD(図7の(d)参照)であって、且つケースFである場合には、左右モードDと上下モードFとを組み合わせた制御が実行される。すなわち、調和空気は室内機100から斜め左方向で略水平に吹き出される。
そうすると、調和空気(正確には、室内空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)は第4エリアを斜め左方向に向かって水平に流れ、第3エリアでは第2エリアの方向および斜め下方向に流れ方向を変える。そして、第2エリアでは扇風機200が形成する室内空気の流れに誘導され、第1エリアの方向で斜め下方に流れる。第1エリアでは床面95に沿った流れとなり、やがて、背面壁91によって、室内機100に向かう上方向の流れとなって、室内機100に吸い込まれる。
【0040】
(サーキュレーション気流制御による省エネ効果)
ここで、サーキュレーションによる省エネ効果について、以下のような温度(説明の便宜上の値であって、正確な値ではない)を仮定して簡単に説明する。
例えば、設定温度28℃で冷房運転をする場合、サーキュレーション気流制御を実行すると、室内機100から26℃の調和空気が吹き出され、ユーザーには27℃の空気が到達し、室内機100(室内温度の検知手段が設置されている)には28℃の空気が戻ってくる。
一方、サーキュレーション気流制御を実行しないで、設定温度28℃で冷房運転を開始した場合、開始直後に室内機100から26℃の調和空気が吹き出され、ユーザーに27℃の空気が到達したとしても、空気の淀み等によって室内機100には30℃の空気が戻ってくることになる。そうすると、室内機100は設定温度まで冷房されていないと判断して、設定温度とのバイアス分(2℃=30℃−28℃)だけ冷房を強化するため、室内機100からは24℃の調和空気が吹き出されることになる。すなわち、過剰な冷房運転となり、余計な電力が消費されることになる。また、ユーザーには25℃の空気が到達するため、不快感を与えることになる。
そこで、ユーザーは設定温度を高めに再設定することになるため、余計な操作を強いることになり、操作が煩雑になる。また、快適な冷房環境に落ち着くまでに、それなりの時間が必要になるため、その間、余計な電力を消費することになる。
なお、暖房運転においても同様であって、サーキュレーション気流制御を実行することによって、余計な電力消費が防止され、快適な暖房環境を迅速に提供することが可能になる。
【0041】
[実施の形態2]
図10は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機を説明するものであって、水平方向のサーキュレーションの様子を模式的に示す正面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図10において、空気調和機の室内機(以下「室内機」と称す)300は、室内機100(実施の形態1参照)における左右風向板10を、右側壁93R寄りの左右風向板10a~10g(以下、「右側左右風向板10R」と称す)と本体の左側壁93L寄りの左右風向板10h~10n(以下、「左側左右風向板10L」と称す)とを別個の駆動手段(図示しない)によって平行移動可能にしたものである(図3参照)。
【0042】
室内機300は背面壁91の中央に設置され、床面95は方眼状に6つのエリア(領域)に分割されている。すなわち、室内機300に近い範囲では、右側壁93Rに近い第1エリアと、左側壁93Lに近い第4エリアと、両者の間に第6エリア(図中、ローマ数字にて示す)が形成されている。また、室内機300から遠い範囲では、右側壁93Rに近い第2エリアと、左側壁93Lに近い第3エリアと、両者の間に第5エリア(図中、ローマ数字にて示す)が形成されている。
【0043】
そして、扇風機200が第5エリアに設置され、室内空気が第6エリアの方向に吹き出されている(以下、「ケースG」と称す)。このとき、室内機300からは、右側左右風向板10Rに案内された調和空気が斜め右側壁93Rの方向に吹き出され、且つ、左側左右風向板10Lに案内された調和空気が斜め左側壁93Lの方向に吹き出されている(以下、「左右モードG」と称す)。すなわち、第1エリア、第2エリア、第5エリアおよび第6エリアにおいて、左右モードDが形成され、第4エリア、第3エリア、第5エリアおよび第6エリアにおいて、左右モードDが形成されているとみなすことができる。
【0044】
また、扇風機200が第6エリアに設置された場合は、室内空気の吹き出し方向の如何に関わらず、吹き出された室内空気はサーキュレーションに寄与しないから、サーキュレーションを促進するための調和空気の吹出方向の制御は行わないで、図示しない報知装置(本体1またはリモコンに設けられている)において、例えば、「壁とは反対の方向に扇風機を向けて下さい」と表示、あるいは音声によって報知する。なお、このときでも、室内90の温度や湿度の環境条件や居住者(ユーザー)の要求に対応した室内機100の制御をする。
また、扇風機200が第1エリア、第2エリア、第3エリアまたは第4エリアに設置された場合は、実施の形態1と同じように判定して前記の制御を実行する。
【0045】
そして、上下風向板9と左右風向板10とは共に制御されるものであるため、例えば、ケースGであって、且つケースE(図9の(a)参照)である場合には、左右モードGと上下モードEとを組み合わせた制御が実行される。すなわち、調和空気は室内機100から斜め右方向で斜め下方に向かって吹き出される。
したがって、室内機100から吹き出された調和空気の一部は、第1エリアを斜め右側壁93Rの方向で斜め下方向に進み、右側壁93Rの第2エリアの範囲に沿って流れながら下向きに進むと共に、正面壁92の第2エリアの範囲において方向を曲げられ、第5エリアに流入する。
【0046】
また、室内機100から吹き出された調和空気の一部は、第4エリアを斜め左側壁93Lの方向で斜め下方向に進み、左側壁93Lの第3エリアの範囲に沿って流れながら下向きに進むと共に、正面壁92の第3エリアの範囲において方向を曲げられ、第5エリアに流入する。
そして、第5エリアでは扇風機200によって第6エリアに向かう斜め上向きの室内空気の流れが形成されているから、第5エリアに流入した調和空気の流れ(正確には、室内空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)は、室内空気(正確には、調和空気と熱交換したり一部は互いに混合したりしている)の流れに誘導されて第6エリアに流入し、第6エリアでは天井面94に沿った流れとなって、室内機100に吸い込まれる。
【0047】
以上のように、室内機300では、室内機100と同様に、略水平方向において円滑なサーキュレーションが形成されるから、空気流れに淀み(溜まり)が形成されないため、局所的な冷気溜まり(熱気溜まり)が解消され、室内90の温度分布を均一にすることが可能になる。よって、設定温度を過剰に低く(高く)設定しなくても、快適な室内環境を得ることができるから、省エネ運転が可能になる。特に、室内90が広い場合には、きめ細かな制御を実行することが可能になり、より省エネ運転が促進される。
なお、本発明は部屋を6つのエリアに分割するものに限定するものではなく、さらに細かく分割してもよい。
【0048】
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機を説明する正面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図11において、空気調和機の室内機(以下「室内機」と称す)400は、室内機100(実施の形態1参照)にセンサーユニットが設置されたものである。
すなわち、前面パネル2の左右方向の略中央に前面パネル開口部2aが形成され、本体1の前面パネル開口部2aに対応した位置にセンサーユニット(図示しない)が設置されている。したがって、センサーユニットの一部を構成するセンサー本体60は、前面パネル開口部2aを通して視認され、センサー本体60に接続されたセンサーモーター(図示しない)によって、略鉛直方向の回動軸を中心にして略水平方向(左右方向)に回動する。
また、前面パネル2の前面パネル開口部2aの左右には、前面パネル開口部2aに向かって傾斜した前面パネル傾斜面2bが形成されている。したがって、前面パネル2が本体1の前面を覆った際、センサー本体60は前面パネル開口部2aに位置し、左右方向の広い範囲をセンシングすることが可能になっている。なお、センサー本体60は、例えば、赤外線センサーであって、室内の壁面や床の温度分布や室内に居る人間の体表温度等を検知するものである。
【0049】
(センサーの検知情報の利用)
センサー本体60は、ユーザー(人間)の体表温度を検知することができるから、室内にユーザーが居る場合にはその位置あるいはその移動経路(移動範囲)を特定することができる。
したがって、室内にユーザーが居なくなった時に、自動でサーキュレーション気流制御に移行して、室内温度の均一化を図り、一方、室内にユーザーが居る時は、自動でサーキュレーション気流制御を停止することができる。すなわち、室内にユーザーが居る時に、サーキュレーション気流制御をして、循環する気流内にユーザーが位置した場合には、サーキュレーションが充分に実現しないだけでなく、ユーザーに気流が直接当たることによる不快感を与えるおそれがあるため、これを避けることができる。一方、室内にユーザーが居ない時は、サーキュレーション気流制御に実行しても、当然に、ユーザーに不快感を与えることはない。
なお、室内にユーザーが居る時に、サーキュレーション気流制御を実行したい場合には、その旨をリモコン等の設定画面において設定すればよい。
【符号の説明】
【0050】
1:本体、2:前面パネル、2a:前面パネル開口部、2b:前面パネル傾斜面、3:吸込口、4:熱交換器、4a:熱交換前部分、4b:熱交換前上部分、4c:熱交換後上部分、5:送風機、6:風路、7:吹出口、8:ドレンパン、8a:上面、8b:下面、9:上下風向板、9a:前上下風向板、9b:後上下風向板、10:左右風向板、10L:左側左右風向板、10R:右側左右風向板、20:連結棒、30:駆動手段、40:受信装置、50:撮像装置、60:センサー本体、90:室内、91:背面壁、92:正面壁、93L:左側壁、93R:右側壁、94:天井面、95:床面、100:空気調和機の室内機(実施の形態1)、200:扇風機、201:基部、202:支柱部、203:篭部、204:モーター部、300:室内機(実施の形態2)、400:室内機(実施の形態3)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口および吹出口がそれぞれ形成された本体と、前記吸込口から室内空気を吸い込んで、前記吹出口に至る風路を形成する送風機と、前記風路に設置された熱交換器と、前記吹出口に設置され、前記熱交換器において調和された空気の吹き出し方向を調整する左右風向板および上下風向板と、室内を撮像する撮像装置と、該撮像装置が撮像した画像に基づいて前記左右風向板および上下風向板を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記画像に基づいて室内に扇風機が設置されていると判定した場合、前記扇風機の位置および前記扇風機が室内空気を吹き出す方向を判定し、該判定された前記扇風機の位置および前記扇風機が室内空気を吹き出す方向に基づいて、前記扇風機が形成する室内空気の流れと協働して室内にサーキュレーションが形成されるように、前記調和された空気の吹出方向を決定することを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁寄りのエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が室内の他方の側壁の方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁の方向に決定することを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁寄りのエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が前記本体の方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、前記本体から離れ、且つ、室内の他方の側壁の方向に決定することを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁と他方の側壁との中間のエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が前記本体の方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁の方向および室内の他方の側壁の方向に決定することを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記扇風機が斜め下方に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、略水平方向に決定し、前記扇風機が斜め上方に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、斜め下方に決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁寄りのエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が斜め下方であって、室内の他方の側壁の方向から前記本体の方向に渡って首を振りながら室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、略水平方向に決定し、
前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁寄りのエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が斜め上方であって、室内の他方の側壁の方向から前記本体の方向に渡って首を振りながら室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、斜め下方に決定することを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁と他方の側壁との中間のエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が斜め下方であって、室内の一方の側壁の方向から室内の他方の側壁の方向に渡って首を振りながら室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、略水平方向に決定し、
前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁と他方の側壁との中間のエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が斜め上方であって、室内の一方の側壁の方向から室内の他方の側壁の方向に渡って首を振りながら室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、斜め下方に決定することを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記扇風機が所定の高さよりも低く、且つ、略水平方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、略水平方向に決定し、前記扇風機が所定の高さよりも高く、且つ、略水平方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記調和された空気の吹出方向を、斜め下方に決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項9】
音声または映像による報知手段を有し、
前記制御装置が、前記本体から離れ、且つ、室内の一方の側壁寄りのエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が室内の一方の側壁の方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、前記本体から離れたエリアに前記扇風機が設置され、前記扇風機が前記本体とは反対の方向に向かって室内空気を吹き出していると判定した場合、または、前記本体寄りのエリアに前記扇風機が設置されていると判定した場合、
室内にサーキュレーションが形成されない旨を前記報知手段に報知させることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項10】
前記撮像装置が前記本体に設置されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の空気調和機の室内機。
【請求項11】
前記制御装置は、前記撮像装置が撮像した画像を元に、前記扇風機の位置を画像パターンマッチング処理によって検出し、且つ、前記扇風機の首振りの有無または首振り角度を、前記画像の経時的変化である差分画像を差分画像処理技術によって検出することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の空気調和機の室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−53788(P2013−53788A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191419(P2011−191419)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】