説明

空気調和機の抗菌剤構造及びそれを備えた空気調和機

【課題】抗菌剤の消耗量を所定部品を取り外すことなく容易に認識することができ、かつ、抗菌剤の交換又は充填作業が容易に実施可能な空気調和機の抗菌剤構造及びそれを備えた空気調和機を得る。
【解決手段】報知手段24は、制御装置21によって水溶性抗菌剤15が交換時期であると判定された場合、その旨を外部に報知し、ユニット開口穴から抗菌剤固定装置11全体を抜き出せる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライム発生防止等の目的に使用される抗菌剤を使用するための空気調和機の抗菌剤構造及びそれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気調和装置の室内機においては、冷房運転中、熱交換器の表面に空気中の水蒸気が凝縮し、ドレン水が発生する。このドレン水は、熱交換器の下方に設置されたドレンパン上に滴下し、蓄積される。この蓄積されたドレン水は、ドレンパンの排水口から室内機の外へ自然排出されるか、あるいは、ドレンパン上に設置されたドレンポンプによって室内機の外へ排出される。
【0003】
しかしながら、ドレン水の完全排出は基本的に不可能であり、残ったドレン水に細菌、カビ等が繁殖してスライム等の異物が発生し、ドレンポンプ内部を詰まらせる不具合が散見されている。このような不具合に対処するために、ドレンパン内に抗菌剤を配設し、ドレン水に浸漬させて細菌及びカビ等の発生を防止している。
【0004】
しかしながら、空調機の寿命と比較して、抗菌剤の寿命は短いので、適宜、抗菌剤を交換する必要があるが、その交換の際には、ドレンパンを取り外さなければならず、抗菌剤のメンテナンス作業が面倒なものとなっていた。
【0005】
上記のような問題に対処するために、ドレン水を抜き取る水抜き栓から抗菌剤構造を取り出す方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、外部からドレンパンの底部付近まで挿通させることができる通路より抗菌剤を充填させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−194493号公報(第5−6頁、図2−3)
【特許文献2】特開2011−12850号公報(第8頁、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されている空気調和機では水抜き栓を外さなければ、抗菌剤の消耗量が分からず、その消耗量を把握するためには水抜き栓を外すという手間が必要になるという問題点があった。また、抗菌剤を交換する際には、水抜き栓を外さなければならないため、ドレン水の排出を伴うことになり、抗菌剤のみを交換することができず、交換作業性が良好でないという問題点もあった。
【0009】
また、特許文献2に記載された空気調和機は、ファイバースコープ等を用いなければ、抗菌剤の消耗量が分からず、特許文献1と同様に、その消耗量を把握するためには手間がかかるという問題点もあった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、抗菌剤の消耗量を所定部品を取り外すことなく容易に認識することができ、かつ、抗菌剤の交換又は充填作業が容易に実施可能な空気調和機の抗菌剤構造及びそれを備えた空気調和機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る空気調和機の抗菌剤構造は、室内機又は室外機の少なくともいずれか一方である空調ユニットの外枠に形成されたユニット開口穴を着脱自在に閉口可能な蓋部と、該蓋部に接続されて固定され、前記空調ユニットの内部に備えられたドレンパンに溜められたドレン水に対して静菌作用を有し、かつ水溶性の固形体である抗菌剤をその両端から挟持可能な支持挟持手段と、該支持挟持手段によって挟持される前記抗菌剤の消耗状態を検出することが可能な抗菌剤検出手段と、該抗菌剤検出手段による検出結果に基づいて、前記抗菌剤が消耗状態である旨を報知する報知手段と、を備え、前記支持挟持手段によって挟持される前記抗菌剤は、前記蓋部が前記ユニット開口穴を閉口して固定されることによって、前記空調ユニット内の前記ドレンパンに溜められた所定量の前記ドレン水に浸漬する位置に固定され、前記蓋部を前記ユニット開口穴から取り外すことによって、前記抗菌剤を挟持する前記支持挟持手段を前記ユニット開口穴から抜き出して、前記抗菌剤の交換が可能であるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザー又は作業員等は、抗菌剤の消耗具合を、蓋部及び支持挟持手段を空調ユニットから外すことなく、報知手段による報知動作によって容易に認識することができる。また、抗菌剤の消耗具合を容易に認識できるので、確実に、抗菌剤の交換を実施することができ、抗菌剤の交換遅れ等によるスライムの増殖を抑制することができる。
また、抗菌剤の消耗具合を把握するために別機器を用いる必要もなく、また、抗菌剤を交換する際には、ドレンパン等の蓋部及び支持挟持手段以外の部品を外すことなく交換作業を実施することができるため、作業時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の平面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機に備えられた抗菌剤構造31の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の抗菌剤ボックス17の近辺構造の断面拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の抗菌剤ボックス17の近辺構造の断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
(空気調和機の室内機の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機の構成を示す断面図であり、図2は、同空気調和機の室内機の平面断面図である。
本実施の形態に係る空気調和機の室内機は、空調対象空間の天井に埋め込まれて設置される天井埋込型室内機である。図1で示されるように、本実施の形態に係る空気調和機の室内機の本体1の内部天面の中央部に電動送風機2が設置されている。また、図2で示されるように、この電動送風機2の周囲を囲むようにして、熱交換器3が設置されており、この熱交換器3は、本体1の内部天面と、ドレンパン5とによって挟持されて固定されている。また、電動送風機2を囲むように配置された熱交換器3の外側面と、本体1の側面外枠とによって風路4が形成されている。また、本体1の底面を構成し、室内機の空調対象空間側に露出する部分には、化粧パネル6が装着されている。この化粧パネル6の中央部は、空調対象空間の空気を本体1内部に吸い込むための吸込口7が形成されており、その吸込口7を覆うように吸込みグリル8が設置されている。また、本体1の底面、すなわち、化粧パネル6の外周部には、空調対象空間に空調空気を送り出す吹出口9が形成されており、この吹出口9には、風向板9aが取り付けられている。また、本体1の側面外枠にユニット開口穴10が形成されており、ドレンパン5に溜められた水に抗菌剤を供給するための抗菌剤固定装置11が差し込まれて設置されている。さらに、化粧パネル6のユーザー又は作業員が視認できる位置には、報知手段24が備えられている。
【0015】
なお、熱交換器3は、本体1の内部天面と、ドレンパン5とによって挟持されて固定されているとしたが、固定方法はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、ドレンパン5によってのみ支持され固定されるものとしてもよいし、本体1の内部天面に固着されて固定されていてもよいし、あるいは、本体1の内部天面及びドレンパン5のいずれにも当接しないようにその他の方法によって固定されるようにしてもよい。
【0016】
本体1は、本実施の形態に係る空気調和機の室内機本体であり、その底面に設置された化粧パネル6以外の部分は、空調対象空間の天井内部に埋め込まれて設置されている。
【0017】
電動送風機2は、本体1の内部天面の中央部に設置されており、その回転駆動によって、吸込みグリル8及び吸込口7を介して、空調対象空間の空気を本体1内部に吸い込む。そして、電動送風機2は、本体1内部に吸い込んだ空気を熱交換器3側へ送り込み、熱交換器3内部を流通する冷媒と熱交換された空調空気を、風路4を経由して吹出口9から空調対象空間に吹き出させる。
【0018】
熱交換器3は、その内部を流通する冷媒と、電動送風機2の回転駆動によって本体1内部に吸い込まれた空気との熱交換を実施し、空調空気を作り出すものである。この熱交換器3が、放熱器として機能する場合(空気調和機としては暖房運転を実施する場合)は、冷媒から空気に対して放熱させ、空気を加熱する。一方、熱交換器3が、蒸発器として機能する場合(空気調和機としては冷房運転を実施する場合)は、冷媒によって空気から吸熱させ、空気を冷却する。
【0019】
風路4は、前述のように、熱交換器3の外側面と、本体1の側面外枠とによって形成されたものであり、熱交換器3によって冷媒と熱交換された空調空気を吹出口9まで誘導するものである。
【0020】
ドレンパン5は、熱交換器3の直下に配置されており、熱交換器3が蒸発器として機能する場合に、熱交換器3の表面に空気中の水分が凝縮して発生したドレン水を受けて、一時的に溜めるものである。
【0021】
化粧パネル6は、前述のように、本体1の底面を構成し、室内機の空調対象空間側に露出するパネルである。
【0022】
吸込口7は、化粧パネル6の中央部に形成されており、電動送風機2の回転駆動によって、空調対象空間から空気を本体1内部に吸い込むものである。
【0023】
吸込みグリル8は、吸込口7を外側から覆うものであり、本体1内部に異物が混入しないようにする機能を奏する。
【0024】
吹出口9は、化粧パネル6の外周部に形成され、風路4によって誘導されてきた空調空気を空調対象空間に吹き出すものである。吹出口9には、風向板9aが備えられており、この風向板9aの角度によって空調空気の吹き出し方向が調整される。
【0025】
ユニット開口穴10は、本体1の側面外枠に形成された穴で、抗菌剤固定装置11を差し込んで固定するための穴である。
【0026】
抗菌剤固定装置11は、前述のように、ドレンパン5に溜められた水に抗菌剤を供給するものである。なお、抗菌剤固定装置11の構成については後述する。
【0027】
報知手段24は、化粧パネル6に設置された表示手段又は音声手段等であり、その機能については、図3において後述する。
【0028】
なお、図1で示されるように、ユニット開口穴10は、本体1の側面外枠に形成されるものとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、後述するように、抗菌剤固定装置11の水溶性抗菌剤15が、ドレンパン5に溜められたドレン水に浸漬するような位置に、抗菌剤固定装置11が固定できる構造であれば、ユニット開口穴10の位置は、本体1の外枠のいずれの位置に形成されるものとしてもよい。
【0029】
また、空気調和機の室内機は、本発明の「空調ユニット」に相当する。
【0030】
(抗菌剤構造31の構成及び水溶性抗菌剤15の検出動作)
図3は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室内機に備えられた抗菌剤構造31の構成図である。
図3で示されるように、抗菌剤固定装置11は、蓋部12、棒部13、挟持部14及び水溶性抗菌剤15によって構成されている。
【0031】
蓋部12は、ネジ等(図示せず)によって、ユニット開口穴10を閉口して固定するものである。
【0032】
棒部13は、蓋部12と挟持部14とを接続するものである。
【0033】
挟持部14は、上側挟持部14a及び下側挟持部14bによって構成されており、水溶性抗菌剤15を挟持して固定するものである。具体的には、上側挟持部14aによって水溶性抗菌剤15を上方から、そして、下側挟持部14bによって水溶性抗菌剤15を下方から挟持する。また、上側挟持部14a及び下側挟持部14b共に、棒部13に接続されているが、下側挟持部14bは、接続される棒部13との位置関係は固定されているのに対し、上側挟持部14aは、例えば、ヒンジ部(図示せず)によって棒部13と接続されており、水溶性抗菌剤15の高さによって上下方向に回動する構造となっている。
【0034】
水溶性抗菌剤15は、ドレンパン5に溜められたドレン水内における細菌増殖を抑制する静菌作用を有する水溶性の固形体であり、前述のように、挟持部14によって挟持されて固定されている。この水溶性抗菌剤15は、ドレンパン5内のドレン水に浸漬することによって、ドレン水内に溶け出してドレン水に対する静菌作用を奏し、ドレンパン5内の細菌によるスライムの増殖を抑制することができる。
【0035】
以上のような構成の抗菌剤固定装置11は、前述のように、室内機のユニット開口穴10から本体1内部に差し込まれ、蓋部12がユニット開口穴10を閉口して、全体が固定されることになる。このとき、挟持部14によって挟持された水溶性抗菌剤15が、ドレンパン5に溜められたドレン水に浸漬するように、抗菌剤固定装置11が固定されるようにする。具体的には、ドレンパン5に溜められたドレン水が少ない場合でも、水溶性抗菌剤15が所定量溜められたドレン水に浸漬するように、例えば、下側挟持部14bが、ドレンパン5に当接又は近接する位置となるように抗菌剤固定装置11を固定するとよい。
【0036】
なお、蓋部12に接続された棒部13に、挟持部14が接続されていると説明したが、便宜上、名称を定めたものであり、例えば、棒部13及び下側挟持部14bが単一の部品で構成され、そのいずれかの部分に上側挟持部14aがヒンジ部等を介して接続され、上側挟持部14aが上下動作可能なように構成するものとしてもよい。又は、棒部13を省略して、挟持部14が直接、蓋部12に接続されるものとしてもよい。この場合、上側挟持部14aは、蓋部12にヒンジ部等を介して接続される構成とすればよい。
【0037】
また、挟持部14は、水溶性抗菌剤15を挟持するものであるが、例えば、上下方向に回動する上側挟持部14aのヒンジ部等に、上側挟持部14aが下側挟持部14bへ向かう方向に付勢力を発生する付勢手段が備えられる構成としてもよい。これによって、水溶性抗菌剤15は、確実に挟持部14によって挟持かつ固定することができる。
【0038】
また、図3で示されるように、本実施の形態に係る抗菌剤固定装置11の水溶性抗菌剤15は、上側挟持部14a及び下側挟持部14bによって、上下方向で挟持される構成としているがこれに限定されるものではない。例えば、水溶性抗菌剤15は、水平方向から挟持される構成としてもよく、いずれにしても、水溶性抗菌剤15がドレン水に浸漬するような構成で固定されるものとすればよい。
【0039】
また、棒部13及び挟持部14は、本発明の「支持挟持手段」に相当する。
【0040】
また、図3で示されるように、本体1内には、制御装置21、近接センサー22及び報知手段24が備えられている。
【0041】
制御装置21は、本実施の形態に係る空気調和機全体の動作を制御するものである。
【0042】
近接センサー22は、水溶性抗菌剤15の近傍に設置され、水溶性抗菌剤15の消耗具合を検出するためのセンサーであり、制御装置21に電気的に接続されている。
【0043】
この近接センサー22の設置位置については、例えば、水溶性抗菌剤15の交換時期を、水溶性抗菌剤15がほぼなくなった時点としたい場合、水溶性抗菌剤15の下部を検出する位置に設置するものとすればよい。このとき、水溶性抗菌剤15が完全になくなったときに、上側挟持部14aを検出してしまわないような位置に設置すべきことに留意する。また、その静菌作用の効果期間が限定されている場合等、水溶性抗菌剤15は完全になくならなくても交換する必要がある場合には、水溶性抗菌剤15の中間部を検出する位置等に設置するものとすればよい。いずれにおいても、近接センサー22の位置については、水溶性抗菌剤15の交換すべき消耗量に応じて決定するものとすればよい。そして、近接センサー22によって水溶性抗菌剤15(又は上側挟持部14a)が検出されなくなった場合、水溶性抗菌剤15の交換時期であるものとして、近接センサー22は、その旨の信号を制御装置21に送信し、制御装置21は、水溶性抗菌剤15が交換時期であると判定する。ここで、近接センサー22は、水溶性抗菌剤15(又は上側挟持部14a)を検出している場合に制御装置21に対して検出信号の送信を継続し、検出しなくなった場合に、検出信号の送信を停止することによって、制御装置21は、水溶性抗菌剤15の交換時期であると判定するものとしてもよいのは言うまでもない。
【0044】
報知手段24は、前述のように、化粧パネル6に設置された表示手段又は音声手段等であり、制御装置21に電気的に接続されている。そして、報知手段24は、制御装置21によって、水溶性抗菌剤15が交換時期であると判定された場合、その旨を外部に報知する。
【0045】
以上のように、抗菌剤固定装置11、制御装置21、近接センサー22及び報知手段24によって、抗菌剤構造31が構成されている。
【0046】
また、以上の動作によって、水溶性抗菌剤15の交換時期を容易に認識することができ、報知手段24によって外部に報知される。これによって、ユーザー又は作業員等が水溶性抗菌剤15が交換時期であることを容易に知ることができる。
【0047】
なお、近接センサー22は、本発明の「抗菌剤検出手段」に相当する。
【0048】
(水溶性抗菌剤15の交換動作)
次に、水溶性抗菌剤15の交換動作について説明する。
まず、ユーザー又は作業員等は、ユニット開口穴10に着脱可能に取り付けられた蓋部12の固定状態を解除する。これによって、抗菌剤固定装置11全体が本体1への固定状態から解除された状態となる。そして、ユニット開口穴10から抗菌剤固定装置11全体を抜き出す。次に、上側挟持部14aを下側挟持部14bから離れる方向に回動させ、挟持部14によって挟持されていた古い水溶性抗菌剤15を除去する(完全に水溶性抗菌剤15がなくなっている場合は必要ない)。そして、新しい水溶性抗菌剤15を挟持部14によって挟持させ、抗菌剤固定装置11のうち、挟持部14によって挟持された水溶性抗菌剤15側から、ユニット開口穴10に差し込む。そして、蓋部12を再びユニット開口穴10に固定し、抗菌剤固定装置11全体を固定させることによって、交換動作を終了する。
【0049】
(実施の形態1の効果)
以上の構成によって、ユーザー又は作業員等は、水溶性抗菌剤15の消耗具合又は交換時期を、抗菌剤固定装置11を本体1から外すことなく、報知手段24による報知動作によって容易に認識することができる。また、水溶性抗菌剤15の消耗具合又は交換時期を容易に認識できるので、確実に、水溶性抗菌剤15の交換を実施することができ、水溶性抗菌剤15の交換遅れ等によるスライムの増殖を抑制することができる。
【0050】
また、水溶性抗菌剤15の消耗具合を把握するために別機器を用いる必要もなく、また、水溶性抗菌剤15を交換する際には、ドレンパン5等の抗菌剤固定装置11以外の部品を外すことなく交換作業を実施することができるため、作業時間を低減することができる。
【0051】
なお、図3において、水溶性抗菌剤15の消耗を検出するために、近接センサー22を用いる構成を説明したが、センサーとして近接センサーに限定するものではない。すなわち、水溶性抗菌剤15の消耗を検出することができれば、いずれの種類のセンサーでもよく、例えば、透過型又は反射型の光電センサー等を用いるものとしてもよい。例えば、透過型の光電センサーを用いた場合、その受光部品と投光部品との間に、水溶性抗菌剤15が位置するように、受光部品及び投光部品を設置し、制御装置21は、投光部品から発する光信号が水溶性抗菌剤15によって遮光される場合は、水溶性抗菌剤15が十分に存在するものと判定し、受光部品によって受光された場合には、水溶性抗菌剤15が消耗し交換時期であると判定するものとすればよい。
【0052】
また、制御装置21に報知手段24が接続されるものとしたが、近接センサー22が制御装置21を介さず、直接、報知手段24に接続する構成としてもよい。この場合、報知手段24は、近接センサー22が水溶性抗菌剤15の消耗を検出した場合、報知する動作とすればよい。
【0053】
また、近接センサー22等のセンサーによって水溶性抗菌剤15の消耗が検出された場合、報知手段24によって報知する動作を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、センサーが水溶性抗菌剤15の消耗を検出した場合、制御装置21に接続された通信手段によって無線によりリモコンにその旨を送信するものとし、あるいは、センサー自身が無線でリモコンにその旨を送信するものとし、リモコン上の表示パネルにその旨を表示させる構成としてもよい。これによって、ユーザー又は作業員等は、リモコンによって、水溶性抗菌剤15の消耗を知ることができる。
【0054】
さらに、図1で示されるように、本実施の形態に係る抗菌剤構造31は、空気調和機の室内機に備えられる構成を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、室内機と同様に、熱交換器及びドレンパンを有する室外機に設置される構成としてもよい。この場合、室外機は、本発明の「空調ユニット」に相当する。
【0055】
実施の形態2.
本実施の形態に係る空気調和機について、実施の形態1に係る空気調和機と相違する点を中心に説明する。
【0056】
本実施の形態に係る空気調和機の室内機の構成は、実施の形態1と同様である。
【0057】
(抗菌剤構造31の構成及び抗菌ピース18の検出動作)
図4は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の構成図である。
図4で示されるように、抗菌剤固定装置11は、蓋部12、棒部13、挟持部14、抗菌剤ボックス17及び抗菌ピース18によって構成されている。
【0058】
蓋部12は、ネジ等(図示せず)によって、ユニット開口穴10を閉口して固定するものである。
【0059】
棒部13は、蓋部12と挟持部14とを接続するものである。
【0060】
挟持部14は、上側挟持部14a及び下側挟持部14bによって構成されており、抗菌剤ボックス17を挟持して固定するものである。具体的には、上側挟持部14aによって抗菌剤ボックス17を上方から、そして、下側挟持部14bによって抗菌剤ボックス17を下方から挟持する。また、上側挟持部14a及び下側挟持部14b共に、棒部13に接続されており、棒部13との位置関係も固定されている。
【0061】
抗菌剤ボックス17は、前述のように、挟持部14によって挟持されて固定されている。また、抗菌剤ボックス17内には、粒状又はペレット状で水溶性を有する抗菌ピース18が充填されている。また、抗菌剤ボックス17の外枠には、抗菌ピース18の粒径よりも小さいボックス開口部16が複数形成されている。なお、抗菌剤ボックス17へ抗菌ピース18を充填するために、例えば、抗菌剤ボックス17に扉等の開閉機構が備えられているものとすればよい。
【0062】
抗菌ピース18は、ドレンパン5に溜められたドレン水内における細菌増殖を抑制する静菌作用を有する水溶性の粒状又はペレット状物体であり、前述のように、抗菌剤ボックス17内に充填されている。この抗菌ピース18は、抗菌剤ボックス17がドレンパン5内のドレン水に浸漬することによって、ボックス開口部16を介してドレン水内に溶け出してドレン水に対する静菌作用を奏し、ドレンパン5内の細菌によるスライムの増殖を抑制することができる。
【0063】
以上のような構成の抗菌剤固定装置11は、前述のように、室内機のユニット開口穴10から本体1内部に差し込まれ、蓋部12がユニット開口穴10を閉口して、全体が固定されることになる。このとき、挟持部14によって挟持された抗菌剤ボックス17が、ドレンパン5に溜められたドレン水に浸漬するように、抗菌剤固定装置11が固定されるようにする。具体的には、ドレンパン5に溜められたドレン水が少ない場合でも、抗菌剤ボックス17内の抗菌ピース18が所定量溜められたドレン水に浸漬するように、例えば、下側挟持部14bが、ドレンパン5に当接又は近接する位置となるように抗菌剤固定装置11を固定するとよい。
【0064】
なお、図4で示されるように、抗菌剤ボックス17は、上側挟持部14a及び下側挟持部14bによって挟持される構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、本実施の形態に係る抗菌剤固定装置11の構成においては、上側挟持部14aを不要とし、下側挟持部14bに抗菌剤ボックス17が下方から固定されている構成としてもよい。あるいは、抗菌剤ボックス17は、水平方向から挟持される構成としてもよい。いずれにせよ、抗菌剤ボックス17内の抗菌ピース18がドレン水に浸漬するように抗菌剤ボックス17が固定される構成であれば、いずれの位置から抗菌剤ボックス17が固定されるものとしてもよい。
【0065】
また、棒部13及び挟持部14は、本発明の「支持部」に相当する。
【0066】
図5は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の抗菌剤ボックス17の近辺構造の断面拡大図である。
図5で示されるように、抗菌剤ボックス17内には、光電センサー23(光電センサー投光部23a及び光電センサー受光部23b)が設置されている。また、実施の形態1と同様に、本体1内には、制御装置21(図示せず)及び報知手段24(図示せず)が備えられている。
【0067】
光電センサー23は、抗菌剤ボックス17内に設置され、抗菌ピース18の消耗具合を検出するためのセンサーであり、光電センサー投光部23a及び光電センサー受光部23bによって構成され、それぞれ、制御装置21に電気的に接続されている。具体的には、抗菌剤ボックス17内の内面に光電センサー投光部23aが固定されており、その対向する内面で、かつ、光電センサー投光部23aが投光する光軸上に光電センサー受光部23bが固定されている。これによって、例えば、光電センサー受光部23bが、光電センサー投光部23aが投光する光信号を受光する場合、その光軸の高さには、抗菌ピース18が存在しないことになり、一方、光電センサー投光部23aが投光する光信号を受光しない場合、すなわち、遮光されている場合、その光軸の高さには、抗菌ピース18が存在することになる。
【0068】
この光電センサー投光部23a及び光電センサー受光部23bの設置位置については、例えば、抗菌ピース18の充填時期又は交換時期を、抗菌ピース18がほぼなくなった時点としたい場合、抗菌剤ボックス17内の下部に設置するものとすればよい。また、その静菌作用の効果期間が限定されている場合等、抗菌ピース18が完全になくならなくても交換する必要がある場合には、上記の光軸が、蓄積された抗菌ピース18の中間高さとなるような位置に設置するものとすればよい。いずれにおいても、光電センサー23の位置については、抗菌ピース18の充填又は交換すべき消耗量に応じて決定するものとすればよい。そして、光電センサー23によって抗菌ピース18が検出されなくなった場合(すなわち、受光状態)、抗菌ピース18の充填時期又は交換時期であるものとして、光電センサー23は、その旨の信号を制御装置21に送信し、制御装置21は、抗菌ピース18が充填時期又は交換時期であると判定する。ここで、光電センサー23は、抗菌ピース18を検出している場合(すなわち、遮光状態)に制御装置21に対して検出信号の送信を継続し、検出しなくなった場合(すなわち、受光状態)に、検出信号の送信を停止することによって、制御装置21は、抗菌ピース18の充填時期又は交換時期であると判定するものとしてもよいのは言うまでもない。
【0069】
報知手段24は、制御装置21によって、抗菌ピース18が充填時期又は交換時期であると判定された場合、その旨を外部に報知する。
【0070】
以上のように、抗菌剤固定装置11、制御装置21(図示せず)、光電センサー23及び報知手段24(図示せず)によって、抗菌剤構造31が構成されている。
【0071】
また、以上の動作によって、抗菌ピース18の充填時期又は交換時期を容易に認識することができ、報知手段24によって外部に報知される。これによって、ユーザー又は作業員等が抗菌ピース18が充填時期又は交換時期であることを容易に知ることができる。
【0072】
なお、光電センサー23は、本発明の「抗菌剤検出手段」に相当する。
【0073】
(抗菌ピース18の充填又は交換動作)
次に、抗菌ピース18の充填又は交換動作について説明する。
まず、ユーザー又は作業員等は、ユニット開口穴10に着脱可能に取り付けられた蓋部12の固定状態を解除する。これによって、抗菌剤固定装置11全体が本体1への固定状態から解除された状態となる。そして、ユニット開口穴10から抗菌剤固定装置11全体を抜き出す。次に、必要があれば、抗菌剤ボックス17内の古い抗菌ピース18を取り出す。抗菌ピース18を取り出す場合には、例えば、抗菌剤ボックス17に備えられた開閉機構を開けることによって行う。そして、抗菌剤ボックス17内に、新しい抗菌ピース18を充填した後、抗菌剤固定装置11のうち抗菌剤ボックス17側から、ユニット開口穴10に差し込む。そして、蓋部12を再びユニット開口穴10に固定し、抗菌剤固定装置11全体を固定させることによって、充填又は交換動作を終了する。
【0074】
(実施の形態2の効果)
以上の構成によって、ユーザー又は作業員等は、抗菌ピース18の消耗具合又は充填時期若しくは交換時期を、抗菌剤固定装置11を本体1から外すことなく、報知手段24による報知動作によって容易に認識することができる。また、抗菌ピース18の消耗量又は充填時期若しくは交換時期を容易に認識できるので、確実に、抗菌ピース18の充填又は交換を実施することができ、抗菌ピース18の充填又は交換遅れ等によるスライムの増殖を抑制することができる。
【0075】
また、抗菌ピース18の消耗具合を把握するために別機器を用いる必要もなく、また、抗菌ピース18を充填又は交換する際には、ドレンパン5等の抗菌剤固定装置11以外の部品を外すことなく充填作業又は交換作業を実施することができるため、作業時間を低減することができる。
【0076】
なお、図5において、抗菌ピース18の消耗を検出するために、光電センサー23を用いる構成を説明したが、センサーの種類を限定するものではないのは実施の形態1と同様である。例えば、透過型の光電センサー23ではなく、反射型の光電センサーを用いるものとしてもよい。
【0077】
また、抗菌剤ボックス17内に充填される抗菌剤として粒状又はペレット状の抗菌ピース18が充填されるものとしたが、これに限定されるものではなく、実施の形態1の水溶性抗菌剤15のような固形体の抗菌剤を充填するものとしてもよい。
【0078】
実施の形態3.
本実施の形態に係る空気調和機について、実施の形態2に係る空気調和機と相違する点を中心に説明する。
【0079】
本実施の形態に係る空気調和機の室内機の構成は、実施の形態2と同様(すなわち、実施の形態1とも同様)である。
【0080】
(抗菌剤構造31の構成及び抗菌ピース18の検出動作)
図6は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の構成図である。
図6で示されるように、抗菌剤固定装置11は、蓋部12、棒部13、スロープ部19、抗菌剤ボックス17及び抗菌ピース18によって構成されている。
【0081】
蓋部12は、ネジ等(図示せず)によって、ユニット開口穴10を閉口するものである。また、蓋部12は、ユニット開口穴10に着脱可能に取り付けられており、ユーザー又は作業員等は、後述するように、蓋部12を取り外した状態で、ユニット開口穴10から、棒部13及びスロープ部19の内部を経由して、抗菌ピース18を抗菌剤ボックス17内に充填する。
【0082】
棒部13は、実施の形態2における棒部13と異なり、中空の形状を有しており、棒部13の蓋部12側の端部は、ユニット開口穴10の開口縁に内部から固定されている。
【0083】
スロープ部19は、棒部13の両端のうち蓋部12側と反対側端部に接続されており、棒部13と同様に、中空の形状を有している。また、スロープ部19の両端のうち棒部13側と反対側端部は、抗菌剤ボックス17に接続されている。すなわち、棒部13及びスロープ部19の中空部分の空間と、抗菌剤ボックス17内部とは連通した構成となっている。
なお、スロープ部19は、棒部13と接続されていると説明したが、便宜上、名称を定めたものであり、それぞれ別部品として構成されていなければならないわけではなく、単一の部品で構成されていてもよいのは言うまでもない。これは、スロープ部19と抗菌剤ボックス17との関係においても同様である。
【0084】
抗菌剤ボックス17は、前述のように、スロープ部19に接続されており、その内部と、スロープ部19の中空部分の空間とは連通した構成となっている。また、抗菌剤ボックス17内には、粒状又はペレット状で水溶性を有する抗菌ピース18が充填されている。また、抗菌剤ボックス17の外枠には、抗菌ピース18の粒径よりも小さいボックス開口部16が複数形成されている。
【0085】
抗菌ピース18は、ドレンパン5に溜められたドレン水内における細菌増殖を抑制する静菌作用を有する水溶性の粒状又はペレット状物体であり、前述のように、抗菌剤ボックス17内に充填されている。この抗菌ピース18は、抗菌剤ボックス17がドレンパン5内のドレン水に浸漬することによって、ボックス開口部16を介してドレン水内に溶け出してドレン水に対する静菌作用を奏し、ドレンパン5内の細菌によるスライムの増殖を抑制することができる。
【0086】
以上のような構成の抗菌剤固定装置11は、前述のように、棒部13のユニット開口穴10側端部が、ユニット開口穴10の開口縁に固定されており、抗菌剤固定装置11全体として固定されることになる。このとき、棒部13及びスロープ部19によって支持された抗菌剤ボックス17が、ドレンパン5に溜められたドレン水に浸漬するように、抗菌剤固定装置11が固定されるようにする。具体的には、ドレンパン5に溜められたドレン水が少ない場合でも、抗菌剤ボックス17内の抗菌ピース18が所定量溜められたドレン水に浸漬するように、例えば、抗菌剤ボックス17の外枠の底面が、ドレンパン5に当接又は近接する位置となるように抗菌剤固定装置11を固定するとよい。
【0087】
なお、図6で示されるように、棒部13の中空部分の軸方向は略水平方向とし、スロープ部19の中空部分の軸方向は棒部13から抗菌剤ボックス17へ下方へ向かう方向となるように構成されているが、このような構成に限定されるものではない。すなわち、前述のように、棒部13及びスロープ部19は、単一の部品によって構成されているものとしてもよく、いずれにおいても、棒部13のユニット開口穴10側端部からスロープ部19の抗菌剤ボックス17側端部にかけての少なくともいずれかの部分に、スロープ部19のように抗菌剤ボックス17に向かって下方に向かうスロープ形状を有している構成であればよい。
【0088】
また、棒部13及びスロープ部19は、本発明の「支持部」に相当する。
【0089】
図7は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室内機に取り付けられた抗菌剤固定装置11の抗菌剤ボックス17の近辺構造の断面拡大図である。
図7で示されるように、抗菌剤ボックス17内には、光電センサー23(光電センサー投光部23a及び光電センサー受光部23b)が設置されている。また、実施の形態2と同様(すなわち、実施の形態1とも同様)に、本体1内には、制御装置21(図示せず)及び報知手段24(図示せず)が備えられている。
【0090】
光電センサー23は、抗菌剤ボックス17内に設置され、抗菌ピース18の消耗具体を検出するためのセンサーであり、光電センサー投光部23a及び光電センサー受光部23bによって構成され、それぞれ、制御装置21(図示せず)に電気的に接続されている。具体的には、抗菌剤ボックス17内の内面に光電センサー投光部23aが固定されており、その対向する内面で、かつ、光電センサー投光部23aが投光する光軸上に光電センサー受光部23bが固定されている。これによって、例えば、光電センサー受光部23bが、光電センサー投光部23aが投光する光信号を受光する場合、その光軸の高さには、抗菌ピース18が存在しないことになり、一方、光電センサー投光部23aが投光する光信号を受光しない場合、すなわち、遮光されている場合、その光軸の高さには、抗菌ピース18が存在することになる。
【0091】
この光電センサー投光部23a及び光電センサー受光部23bの設置位置については、例えば、抗菌ピース18の充填時期を、抗菌ピース18がほぼなくなった時点としたい場合、抗菌剤ボックス17内の下部に設置するものとすればよい。また、その静菌作用の効果期間が限定されている場合等、抗菌ピース18が完全になくならなくても交換する必要がある場合には、上記の光軸が、蓄積された抗菌ピース18の中間高さとなるような位置に設置するものとすればよい。いずれにおいても、光電センサー23の位置については、抗菌ピース18の充填すべき消耗量に応じて決定するものとすればよい。そして、光電センサー23によって抗菌ピース18が検出されなくなった場合(すなわち、受光状態)、抗菌ピース18の充填時期であるものとして、光電センサー23は、その旨の信号を制御装置21に送信し、制御装置21は、抗菌ピース18が充填時期であると判定する。ここで、光電センサー23は、抗菌ピース18を検出している場合(すなわち、遮光状態)に制御装置21に対して検出信号の送信を継続し、検出しなくなった場合(すなわち、受光状態)に、検出信号の送信を停止することによって、制御装置21は、抗菌ピース18の充填時期であると判定するものとしてもよいのは言うまでもない。
【0092】
報知手段24は、制御装置21によって、抗菌ピース18が充填時期であると判定された場合、その旨を外部に報知する。
【0093】
以上のように、抗菌剤固定装置11、制御装置21(図示せず)、光電センサー23及び報知手段24(図示せず)によって、抗菌剤構造31が構成されている。
【0094】
以上の動作によって、抗菌ピース18の充填時期を容易に認識することができ、報知手段24によって外部に報知される。これによって、ユーザー又は作業員等が抗菌ピース18が充填時期であることを容易に知ることができる。
【0095】
(抗菌ピース18の充填動作)
次に、図7を参照しながら、抗菌剤ボックス17への抗菌ピース18の充填動作について説明する。
まず、ユーザー又は作業員等は、ユニット開口穴10に着脱可能に取り付けられた蓋部12を取り外す。そして、露出したユニット開口穴10から抗菌剤ボックス17に充填すべき抗菌ピース18を投入する。投入された抗菌ピース18は、棒部13及びスロープ部19の中空部分を通って、抗菌剤ボックス17内部に充填される。充填後、蓋部12をユニット開口穴10に取り付けて閉口し、充填動作を終了する。
なお、充填する抗菌ピース18は、抗菌剤ボックス17内のみに充填される分だけでなく、スロープ部19又は棒部13の中空部分にまで充填されるものとしてもよい。
【0096】
(実施の形態3の効果)
以上の構成によって、ユーザー又は作業員等は、抗菌ピース18の消耗具合又は充填時期を、抗菌剤固定装置11を本体1から外すことなく、報知手段24による報知動作によって容易に認識することができる。また、抗菌ピース18の消耗量又は充填時期を容易に認識できるので、確実に、抗菌ピース18の充填を実施することができ、抗菌ピース18の充填遅れ等によるスライムの増殖を抑制することができる。
【0097】
また、ユーザー又は作業員等は、抗菌ピース18を抗菌剤ボックス17に充填する際に、実施の形態1及び実施の形態2と異なり、抗菌剤固定装置11そのものを取り外すことなく、ユニット開口穴10から充填作業を実施することができるため、作業時間を大幅に低減することができる。
【0098】
なお、図7において、抗菌ピース18の消耗を検出するために、光電センサー23を用いる構成を説明したが、センサーの種類を限定するものではないのは実施の形態1及び実施の形態2と同様である。例えば、透過型の光電センサー23ではなく、反射型の光電センサーを用いるものとしてもよい。
【0099】
また、図7で示されるように、光電センサー23は、抗菌剤ボックス17内に設置する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、棒部13及びスロープ部19の中空部分に設置するものとしてもよい。これによって、抗菌剤ボックス17内に光電センサー23を設置するためのスペースを考慮しなくてよいので、抗菌剤ボックス17を小型化することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 本体、2 電動送風機、3 熱交換器、4 風路、5 ドレンパン、6 化粧パネル、7 吸込口、8 吹込みグリル、9 吹出口、9a 風向板、10 ユニット開口穴、11 抗菌剤固定装置、12 蓋部、13 棒部、14 挟持部、14a 上側挟持部、14b 下側挟持部、15 水溶性抗菌剤、16 ボックス開口部、17 抗菌剤ボックス、18 抗菌ピース、19 スロープ部、21 制御装置、22 近接センサー、23 光電センサー、23a 光電センサー投光部、23b 光電センサー受光部、24 報知手段、31 抗菌剤構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機又は室外機の少なくともいずれか一方である空調ユニットの外枠に形成されたユニット開口穴を着脱自在に閉口可能な蓋部と、
該蓋部に接続されて固定され、前記空調ユニットの内部に備えられたドレンパンに溜められたドレン水に対して静菌作用を有し、かつ水溶性の固形体である抗菌剤をその両端から挟持可能な支持挟持手段と、
該支持挟持手段によって挟持される前記抗菌剤の消耗状態を検出することが可能な抗菌剤検出手段と、
該抗菌剤検出手段による検出結果に基づいて、前記抗菌剤が消耗状態である旨を報知する報知手段と、
を備え、
前記支持挟持手段によって挟持される前記抗菌剤は、前記蓋部が前記ユニット開口穴を閉口して固定されることによって、前記空調ユニット内の前記ドレンパンに溜められた所定量の前記ドレン水に浸漬する位置に固定され、
前記蓋部を前記ユニット開口穴から取り外すことによって、前記抗菌剤を挟持する前記支持挟持手段を前記ユニット開口穴から抜き出して、前記抗菌剤の交換が可能である
ことを特徴とする空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項2】
前記支持挟持手段は、前記抗菌剤を上下方向から挟持する
ことを特徴とする請求項1記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項3】
前記支持挟持手段は、前記蓋部に接続されて固定され、前記抗菌剤を下方から支持し、前記蓋部が前記ユニット開口穴を閉口して固定されることによって、前記ドレンパンとの位置関係が固定される下側挟持部と、前記蓋部又は前記下側挟持部に上下方向に回動可能に支持され、前記抗菌剤を上方から前記下側挟持部と共に挟持する上側挟持部とによって構成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項4】
前記支持挟持手段は、前記抗菌剤を付勢して挟持するための付勢手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項5】
前記抗菌剤検出手段は、前記抗菌剤が前記支持挟持手段による付勢方向の幅が減少することを検出することによって、前記抗菌剤の消耗状態を検出する
ことを特徴とする請求項4記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項6】
室内機又は室外機の少なくともいずれか一方である空調ユニットの外枠に形成されたユニット開口穴を着脱自在に閉口可能な蓋部と、
内部に、前記空調ユニットの内部に備えられたドレンパンに溜められたドレン水に対して静菌作用を有し、かつ水溶性の固形体である抗菌剤が充填可能であり、内部から外部に挿通して前記ドレン水によって溶け出した前記抗菌剤を外部に流出させる少なくとも1つ以上のボックス開口部を有した抗菌剤ボックスと、
前記蓋部に接続されて固定され、前記抗菌剤ボックスを支持する支持部と、
前記抗菌剤ボックス内に設置され、前記抗菌剤の消耗状態を検出することが可能な抗菌剤検出手段と、
該抗菌剤検出手段による検出結果に基づいて、前記抗菌剤が消耗状態である旨を報知する報知手段と、
を備え、
前記抗菌剤ボックスは、前記蓋部が前記ユニット開口穴を閉口して固定されることによって、内部に充填される前記抗菌剤が、前記ボックス開口部を介して前記空調ユニット内の前記ドレンパンに溜められた所定量の前記ドレン水に浸漬する位置に固定され、
前記蓋部を前記ユニット開口穴から取り外すことによって、前記抗菌剤ボックス及び前記支持部を前記ユニット開口穴から抜き出して、前記抗菌剤の交換が可能である
ことを特徴とする空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項7】
前記抗菌剤ボックスは、前記抗菌剤として粒状又はペレット状の抗菌ピースを充填可能とし、
前記ボックス開口部は、前記抗菌ピースの径よりも小さい穴で形成された
ことを特徴とする請求項6記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項8】
前記抗菌剤ボックスは、前記抗菌剤を交換又は充填するための開閉機構を備えた
ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項9】
室内機又は室外機の少なくともいずれか一方である空調ユニットの外枠に形成されたユニット開口穴を着脱自在に閉口可能な蓋部と、
前記空調ユニットの内部に備えられたドレンパンに溜められたドレン水に対して静菌作用を有し、かつ水溶性の粒状又はペレット状の抗菌ピースが通過できる程度の中空部分を有し、一端が前記ユニット開口穴に固定され、該ユニット開口穴と前記中空部分が連通した支持部と、
内部に、前記抗菌ピースが充填可能であり、前記支持部の他端に接続され、該支持部の前記中空部分と内部とが連通し、内部から外部に挿通して前記ドレン水によって溶け出した前記抗菌ピースを外部に流出させる少なくとも1つ以上のボックス開口部を有した抗菌剤ボックスと、
前記抗菌剤ボックス内に設置され、前記抗菌ピースの消耗状態を検出することが可能な抗菌剤検出手段と、
該抗菌剤検出手段による検出結果に基づいて、前記抗菌ピースが消耗状態である旨を報知する報知手段と、
を備え、
前記抗菌剤ボックスは、前記支持部が前記ユニット開口穴に固定されることによって、内部に充填される前記抗菌ピースが、前記ボックス開口部を介して前記空調ユニット内の前記ドレンパンに溜められた所定量の前記ドレン水に浸漬する位置に固定され、
前記蓋部を前記ユニット開口穴から取り外し、露出された前記ユニット開口穴から前記支持部の前記中空部分を経由して前記抗菌ボックス内に前記抗菌ピースの充填が可能である
ことを特徴とする空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項10】
前記支持部において、前記ユニット開口穴側から前記抗菌剤ボックス側へ向かう前記中空部分の経路の少なくとも一部が、下方に向かうスロープ形状である
ことを特徴とする請求項9記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項11】
前記報知手段は、表示手段又は音声手段である
ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の空気調和機の抗菌剤構造。
【請求項12】
室内機及び室外機によって構成された空気調和機において、
前記室内機又は前記室外機の少なくともいずれか一方である空調ユニット内に設置された熱交換器と、
該熱交換器の直下に配置された前記ドレンパンと、
前記空調ユニットに設けられた請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の抗菌剤構造と、
を備えた
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項13】
表示手段を有し、無線によって前記室内機に対して操作情報等を送信するリモコンと、
前記空調ユニット内に備えられ、前記リモコンと無線によって情報を通信する通信手段と、
を備え、
前記報知手段は、前記リモコンの前記表示手段であり、
前記通信手段は、前記抗菌剤検出手段によって前記抗菌剤が消耗状態であることが検出された場合、前記リモコンにその旨を送信し、
前記リモコンの前記表示手段は、その旨を表示する
ことを特徴とする請求項12記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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