説明

空気調和機用フィルター及びその製造方法

【課題】柔軟性、平滑性、強度、加工性等に優れており、自動清掃機能付きエアコン等に好適に用いることができる空気調和機用フィルター及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維の織物組織から構成されるメッシュ部とリブ部とからなり、且つ経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着されていることを特徴とする空気調和機用フィルター、並びに、経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維を用いて、メッシュ部とリブ部とを、同時に製織し、次いで経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分を加熱融着することを特徴とする空気調和機用フィルターの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機用フィルター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用エアコン、工業用エアコン、空気清浄機、加湿機等の空気調和機に用いられるフィルターは、ポリエステル糸等を用いて、蜂巣織、平織等によって製造したメッシュを、リブ部を形成するための金型に挟み込んで、ABS、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を射出成形して、リブ部を形成し、リブ部とメッシュ部とを一体化することによって、製造されていた。
【0003】
しかし、上記従来の空気調和機用フィルターには、繊維の織物であるメッシュ部とプラスチック成形体であるリブ部との剥離、リブ部の樹脂のショート、ヒケ、折り曲げによる白化等の不良が起こり易いという問題があった。また、従来の空気調和機用フィルターの製造方法には、メッシュ部とリブ部とを全く別の工程で製造するため、製造工程が煩雑である等の問題があった。
【0004】
更に、上記従来の空気調和機用フィルターには、自動清掃機能付きエアコンに用いる場合に、柔軟性、平滑性、強度等のいずれかが十分ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、柔軟性、平滑性、強度、加工性等に優れており、自動清掃機能付きエアコン等に好適に用いることができる空気調和機用フィルターを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、メッシュ部とリブ部とを同一工程で製造でき、金型による成形工程が不要であるため、製造工程が簡便である空気調和機用フィルターの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意研究した。その結果、メッシュ部とリブ部とを、経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維の織物組織により構成し、且つ経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分を熱融着してなる空気調和機用フィルターにより、目的を達成できることを見出し、更に検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下に示す空気調和機用フィルター及びその製造方法を提供するものである。
【0009】
1.経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維の織物組織から構成されるメッシュ部とリブ部とからなり、且つ経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着されていることを特徴とする空気調和機用フィルター。
【0010】
2.メッシュ部の織物組織が、平織である上記項1に記載の空気調和機用フィルター。
【0011】
3.リブ部の織物組織が、平織又は綾織である上記項1又は2に記載の空気調和機用フィルター。
【0012】
4.メッシュ部の開口率が50%以上80%以下であり、リブ部の開口率が0%以上50%未満である上記項1乃至3に記載の空気調和機用フィルター。
【0013】
5.繊維の材質が、ポリエステル系繊維又はポリオレフィン系繊維である上記項1乃至4に記載の空気調和機用フィルター。
【0014】
6.熱融着性繊維が、芯部の融点よりも鞘部の融点が低い、芯鞘型繊維である上記項1乃至5に記載の空気調和機用フィルター。
【0015】
7.芯鞘型繊維が、芯鞘型マルチフィラメント糸又は芯鞘型モノフィラメント糸である上記項6に記載の空気調和機用フィルター。
【0016】
8.経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維を用いて、メッシュ部とリブ部とを、同時に製織し、次いで経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分を加熱融着することを特徴とする空気調和機用フィルターの製造方法。
【0017】
9.上記項8に記載の製造方法により製造された空気調和機用フィルター。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の様な顕著な効果を得ることができる。
【0019】
(1)本発明の空気調和機用フィルターは、メッシュ部とリブ部とが一体化した織物組織から構成され、且つ経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着されていることによって、柔軟性、平滑性、強度、加工性等の性能に優れている。従って、本発明空気調和機用フィルターは、家庭用エアコン、工業用エアコン、空気清浄機、加湿機等の各種空気調和機のフィルターとして、好適に使用できる。就中、自動清掃機能(フィルター回転型、ブラシ移動型等のいずれも含む)付きエアコンに好適に用いることができる。
【0020】
(2)メッシュ部とリブ部とが織物組織から一体的に構成されているので、特に優れた柔軟性と平滑性を有し、筒状の回転式フィルターに加工して用いる場合等に、好適である。
【0021】
(3)また、メッシュ部とリブ部とが織物組織から一体的に構成されているので、従来の空気調和機用フィルターの様に、メッシュ部とリブ部との剥離、リブ部樹脂のショート、ヒケ、折り曲げによる白化等の不良が起こらない。
【0022】
(4)本発明の空気調和機用フィルターの製造方法によれば、メッシュ部とリブ部とを同一素材で、一貫して製造でき、金型及び金型による成形工程が不要であるので、製造工程が簡便であり、又織物組織から構成されるので様々な形状のフィルターを容易に製造することができる。従って、上記性能に優れた空気調和機用フィルターを、簡便に低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の空気調和機用フィルターの一例を模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
空気調和機用フィルター
本発明の空気調和機用フィルターは、経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維の織物組織から構成されるメッシュ部とリブ部とからなること、及び経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着されていることにより、特徴付けられる。特に、従来プラスチック成形体で構成されていたリブ部が、メッシュ部と一体化した織物組織から構成されている点は、従来全く例が無く、この点に最大の特徴を有する。
【0025】
即ち、本発明フィルターのメッシュ部及びリブ部の織物組織は、経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維によって、一体的に形成されている。一体的に形成とは、メッシュ部及びリブ部の織物組織が、各部の開口率等は異なるものの、全体として、一つの織物を形成していることを意味する。開口率は、経糸及び緯糸それぞれの糸の本数や太さによって、調整することができる。
【0026】
本発明の空気調和機用フィルターは、メッシュ部とリブ部とが、いずれも、経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維の織物組織から一体的に構成されていることによって、主に柔軟性及び平滑性が優れることになり、又経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着されていることによって、主に強度が優れることになるものと考えられる。
【0027】
ここで、「経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維」であることは、経糸及び緯糸のいずれか又は両者が熱融着性繊維であることによって、経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着できるために必要である。経糸及び緯糸のいずれか又は両者が熱融着性繊維である場合としては、経糸及び緯糸の両者が熱融着性繊維である場合、経糸が熱融着性繊維で緯糸が熱融着性繊維ではない場合、並びに経糸が熱融着性繊維ではなく緯糸が熱融着性繊維である場合の3つの場合があるが、メッシュ部とリブ部で構成される一つの織物の全体がいずれかの場合であってもよいし、該一つの織物が部分的にいずれかの異なる場合からなっていてもよい。要は、経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着できる状態であればよい。
【0028】
図1は、本発明の空気調和機用フィルターの一例を模式的に示した平面図である。図1において、1はメッシュ部を、2及び3はリブ部を、それぞれ示す。メッシュ部1は、フィルターとしての機能を発揮する部分であり、ホコリ等の通過を防ぐものである。また、この例において、リブ部2は、フィルターの左右端部に設けられ、織物を組織する糸の間隔を非常に狭くして、糸同士を融着させたものであり、主にフィルターの形状を形成、維持する機能を発揮し、リブ部3は、フィルターの上下端部とフィルターの内部に設けられ、織物を組織する糸の間隔を狭くして、主にフィルターの形状維持、メッシュ部の補強等の機能を発揮するものである。
【0029】
メッシュ部
本発明フィルターのメッシュ部織物組織は、平織であるのが、フィルター機能を発揮し、柔軟性や平滑性に優れる点から、好ましい。また、メッシュ部の開口率は、通常、50%以上80%以下程度であることが、十分なフィルター機能を発揮させる点から、好ましい。
【0030】
また、メッシュ部は、経糸と緯糸との交点が熱融着していることが必要であり、これにより、フィルターを、自動又は手動で掃除する際に、ブラシ等との摩擦による糸のズレを防止することができる。
【0031】
リブ部
本発明フィルターのリブ部の織物組織は、リブ部をメッシュ部と一体的に形成できる限りにおいて、限定されないが、通常は、平織又は綾織であるのが好ましい。また、リブ部の開口率は、通常、0%以上50%未満程度であることが、フィルターの強度、耐久性を十分なものとする点等から、好ましい。
【0032】
リブ部は、経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着していることが必要であり、これにより、フィルター形状を形成、維持し、強度を向上させ、従来の樹脂リブと同様に、ある程度のコシを持たせることができる。各糸の接触部分は、リブ部の開口率が0%又はそれに近い低率である場合に、経糸同士、緯糸同士又は経糸と緯糸とが、接触した場合の接触部分を、意味する。この熱融着によって、フィルターの強度及び加工性を向上させ、又清掃ブラシによる糸ズレを防止することができる。
【0033】
また、リブ部は、通常、フィルターの上下、左右の各端部に設けられるが、これに限られるものではなく、端部のいずれかのリブ部を省略したり、フィルターの内部にリブ部を設けたりしてもよい。リブ部は、通常、帯状に設けられるが、その数や幅は、フィルターの大きさ、用途、形状等に応じて、適宜、決定すればよい。
【0034】
メッシュ部及びリブ部の織物組織を形成する繊維
本発明フィルターのメッシュ部及びリブ部の織物組織は、経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維によって、一体的に形成されている。ここで、経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分を熱融着できる限りにおいて、経糸及び緯糸の両者が熱融着性繊維である場合、経糸が熱融着性繊維で緯糸が熱融着性繊維ではない場合、並びに経糸が熱融着性繊維ではなく緯糸が熱融着性繊維である場合のいずれであってもよい。
【0035】
メッシュ部及びリブ部の織物組織を形成する熱融着性繊維又は熱融着性ではない繊維の材質としては、特に限定されないが、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維等を挙げることができる。これらの内、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等を用いるのが好ましい。
【0036】
また、メッシュ部及びリブ部の織物組織を形成する繊維には、該繊維を形成する樹脂以外に、添加物として着色剤、抗菌剤、防黴剤等を含有させてもよい。
【0037】
また、メッシュ部及びリブ部の織物組織を形成する熱融着性繊維としては、芯部の融点よりも鞘部の融点が低い、芯鞘型繊維であることが、糸ズレ防止効果の向上等の点から、好ましい。例えば、通常、160〜200℃程度の温度で、外側の低融点部(鞘部)が融着するものを用いるのが好ましい。芯部の樹脂と鞘部の樹脂とは、同じであっても異なっていてもよい。また、この芯鞘型繊維が、芯鞘型マルチフィラメント糸又は芯鞘型モノフィラメント糸であることがより好ましい。このマルチフィラメント糸は、フィラメントを、例えば、10〜50本程度撚りあわせて、糸にしたものであり、モノフィラメント糸は、太いフィラメントをそのまま1本の糸としたものである。従って、マルチフィラメント糸は、フィルター用織物を製造する場合は撚糸が必要であり、モノフィラメント糸は撚糸が不要である。
【0038】
メッシュ部及びリブ部の織物組織を形成する熱融着性繊維又は熱融着性ではない繊維の太さとしては、特に限定されず、適宜、決定されるが、通常、直径50〜400μm程度であるのが、好ましい。また、例えば、自動清掃機能付きエアコンに使用するフィルターの場合は、直径50〜250μm程度の繊維をメッシュ部に使用し、直径70〜400μm程度の繊維をリブ部に使用することが好ましい。この場合、リブ部とメッシュ部の繊維の材質は、同じであっても、異なっていても構わない。また、繊維の太さと共に、メッシュ部とリブ部との織り密度を、変えることによって、メッシュ部とリブ部とを、所望の開口率に調節することができる。
【0039】
空気調和機用フィルターの製造方法
本発明の空気調和機用フィルターの製造方法は、経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維を用いて、メッシュ部とリブ部とを、同時に製織する製織工程、次いで経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分を加熱融着する加熱融着工程によって、行うことができる。このフィルター製造方法により、前記本発明の空気調和機用フィルターを、好適に得ることができる。
【0040】
製織工程
製織工程において用いる原糸としては、前記の通り、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維等の熱融着性繊維又は熱融着性繊維ではない繊維を使用する。熱融着性繊維としては、芯部の融点よりも鞘部の融点が低い、芯鞘型繊維を用いることが、好ましく、特に、この芯鞘型繊維が、芯鞘型マルチフィラメント糸又は芯鞘型モノフィラメント糸であることがより好ましい。芯鞘型マルチフィラメント糸の場合は、撚糸を行ってから、使用する。また、芯鞘型繊維としては、通常、太さが直径50〜400μm程度で、160〜200℃程度の温度で外側の低融点部(鞘部)が融着するものを用いるのが好ましい。
【0041】
製織工程においては、メッシュ部及びリブ部の織物組織を一体的に形成するように、メッシュ部及びリブ部の織物組織が、全体として、一つの織物を形成するように、製織を行う。メッシュ部は平織組織にすることが好ましく、リブ部は平織組織又は綾織組織とすることが好ましい。
【0042】
また、メッシュ部とリブ部の糸径及び/又は糸密度を変えることによって、メッシュ部とリブ部の開口率を調節することが、好ましい。メッシュ部は、フィルターの役目を果たす為、ある程度の開口率が必要であり、機種や用途によって変動するが、通常50%以上80%以下程度の開口率になるように糸径や糸密度を設定するのが好ましい。一方、リブ部は、フィルター形状を形成、維持し、強度を向上させる等の役目を果たす為、機種や用途によって変動するが、通常0%以上50%未満程度の開口率になるように糸径や糸密度を設定するのが好ましい。例えば、メッシュ部よりもリブ部の糸密度を上げて製織することで糸の間隔を狭くし又は無くし、又メッシュ部よりもリブ部の糸径を上げることで従来の樹脂リブと同じようにある程度のコシを持たせることができる。
【0043】
加熱融着工程
加熱融着工程は、経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分を、加熱融着して、フィルターを調製する工程である。加熱融着工程においては、メッシュ部は、縦糸と横糸の交点を加熱融着することにより、フィルター清掃の際にブラシ等の摩擦で糸がずれないようにできる。また、リブ部は、糸の間隔を狭く又は無くした状態のものを加熱融着することで、固定し強度とコシを持たせる。加熱融着方法としては、例えば、テンターで幅を調整しながら加熱炉の中を通過させる方法、熱ロールに接触させる方法等を挙げることができる。加熱条件としては、例えばテンターで幅を調整しながら加熱炉の中を通過させる方法では、約150〜220℃程度の温度で0.5〜10分程度の時間加熱炉を通すことが適当である。
【0044】
かくして、本発明の空気調和機用フィルターを得ることができる。得られた本発明のフィルターは、一つの織物から構成されていること、柔軟性、平滑性、強度等に優れていることから、調製後の加工性に優れており、必要に応じて、種々の形態のフィルターとすることが容易にできる。例えば、本発明フィルターの上下又は左右の両端を融着して筒状の回転式フィルターにすることができる。この場合の両端の融着は、例えば、超音波によって、行うことができる。また、例えば、歯車との噛み合わせを可能にする目的などのために、リブ部に穴あけ加工をすることもできる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これによって、限定されるものではない。
【0046】
実施例1
原料糸として、メッシュ部用の経糸及び緯糸並びにリブ部用の経糸として、直径71μm(54Dtex)のポリエチレンテレフタレート製芯鞘型マルチフィラメント融着糸(商品名「メルセット」、ユニチカ(株)製、フィラメントの本数24本)を、又リブ部用の緯糸として、直径160μm(280Dtex)のポリエチレンテレフタレート製芯鞘型マルチフィラメント融着糸(商品名「メルセット」、ユニチカ(株)製、フィラメントの本数48本)を、それぞれ撚糸して用いた。
【0047】
上記原料糸を用いて、メッシュ部の糸密度を経糸40本/inch、緯糸60本/inchとし、リブ部の糸密度を経糸40本/inch、緯糸110本/inchとして、メッシュ部及びリブ部を、平織によって、一体的に製織した。リブ部の緯糸は隙間が非常に狭く部分的に接触していた。次に、織り上がった平織物をテンターで幅を調整しながら、約200℃に調整した炉の中を約2分間通して、メッシュ部の経糸と緯糸との交点及びリブ部の経糸緯糸の接触部分を加熱融着させた。これによって、図1において、リブ部3を省略して、メッシュ部1とリブ部2とからなる空気調和機用フィルターを得た。このフィルターの横幅は、32cmであり、縦幅は60cmであり、リブ部の幅は1cmであった。また、このフィルターのメッシュ部の開口率は73%であり、リブ部の開口率は10%であった。更に、このフィルターの上下両端部を、超音波で融着し、筒状の回転式フィルターを得た。
【0048】
かくして得られた本発明の空気調和機用フィルターは、メッシュ部とリブ部を同じポリエチレンテレフタレート繊維で一貫して製造している為、リブ部を樹脂で成形する必要がなく、金型も不要である為、コスト面、強度面で優れたものであった。また、全て繊維織物組織で構成されている為、柔軟性があり、筒状の回転式フィルターとして最適であった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の空気調和機用フィルターは、柔軟性、平滑性、強度、加工性等の性能に優れているので、家庭用エアコン、工業用エアコン、空気清浄機、加湿機等の各種空気調和機のフィルター、就中、自動清掃機能付きエアコン用フィルターに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 メッシュ部
2 リブ部
3 リブ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維の織物組織から構成されるメッシュ部とリブ部とからなり、且つ経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分が熱融着されていることを特徴とする空気調和機用フィルター。
【請求項2】
メッシュ部の織物組織が、平織である請求項1に記載の空気調和機用フィルター。
【請求項3】
リブ部の織物組織が、平織又は綾織である請求項1又は2に記載の空気調和機用フィルター。
【請求項4】
メッシュ部の開口率が50%以上80%以下であり、リブ部の開口率が0%以上50%未満である請求項1乃至3に記載の空気調和機用フィルター。
【請求項5】
繊維の材質が、ポリエステル系繊維又はポリオレフィン系繊維である請求項1乃至4に記載の空気調和機用フィルター。
【請求項6】
熱融着性繊維が、芯部の融点よりも鞘部の融点が低い、芯鞘型繊維である請求項1乃至5に記載の空気調和機用フィルター。
【請求項7】
芯鞘型繊維が、芯鞘型マルチフィラメント糸又は芯鞘型モノフィラメント糸である請求項6に記載の空気調和機用フィルター。
【請求項8】
経糸及び緯糸の少なくとも一方が熱融着性繊維である繊維を用いて、メッシュ部とリブ部とを、同時に製織し、次いで経糸と緯糸との交点及び各糸の接触部分を加熱融着することを特徴とする空気調和機用フィルターの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法により製造された空気調和機用フィルター。


【図1】
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【公開番号】特開2011−41870(P2011−41870A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189715(P2009−189715)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(390000262)田村駒株式会社 (2)
【Fターム(参考)】