空気調和機
【課題】エアコンの運転停止操作後に空調運転とメンテナンス運転の運転時間と消費電力とをリモコンに表示することが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【解決手段】エアコン室内機2は、RFモジュール21によりリモコン1から操作信号を受信すると、リモコン1に対しエアコン室内機2の運転情報を送信し、MPUボード22によりエアコン室内機2の空調運転とメンテナンス運転における運転時間と消費電力を計算する。リモコン1のRFモジュール11は、エアコン室内機2の操作信号を送信すると共に、エアコン室内機2から送信される運転情報を受信し、エアコン室内機2に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、エアコン室内機2のMPUボード22が空調運転中とメンテナンス運転中の運転時間と消費電力を計算し、RFモジュール21から運転情報としてリモコン1へ送信し、LCDユニット15に表示する。
【解決手段】エアコン室内機2は、RFモジュール21によりリモコン1から操作信号を受信すると、リモコン1に対しエアコン室内機2の運転情報を送信し、MPUボード22によりエアコン室内機2の空調運転とメンテナンス運転における運転時間と消費電力を計算する。リモコン1のRFモジュール11は、エアコン室内機2の操作信号を送信すると共に、エアコン室内機2から送信される運転情報を受信し、エアコン室内機2に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、エアコン室内機2のMPUボード22が空調運転中とメンテナンス運転中の運転時間と消費電力を計算し、RFモジュール21から運転情報としてリモコン1へ送信し、LCDユニット15に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転時間とその消費電力の表示を行う空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアコンディショナー(以下、エアコンという)の本体と、それをコントロールするリモートコントローラ(以下、リモコンという)との間で双方向通信を行う空気調和機があった(特許文献1参照)。この種の従来技術では、リモコンからエアコン本体に対して運転停止コマンドを送ると、エアコン本体が運転を停止すると共に、運転時間と消費電力(電気代)などの情報をエアコン本体からリモコンへ送信し、使用者に知らせるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−278696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷房運転時におけるエアコンは、室温と熱交換器との温度差により熱交換器等に露が付き易くなるため、そのままの状態で運転を停止させると室内機の内部湿度が高くなり、カビの発生や悪臭の原因となっていた。そこで、最近のエアコンでは、冷房運転の停止後、熱交換器等に付いた露を乾燥させるために自動で乾燥運転を行うものがある。
【0005】
また、エアコンの室内機には、空気取り入れ口に空気中の塵や埃が入らないようにフィルタが配置されているが、所定の運転積算時間到来後の運転停止時に、フィルタ清掃を自動で行う機能の付いたものがある。
【0006】
このように、従来の空気調和機は、使用者の停止操作とは関係なくエアコンが所定の条件を満たすと自動的にメンテナンス運転(乾燥運転やフィルタ清掃)が開始されるため、操作者が運転停止操作した時点における運転時間や消費電力(電気代)の表示しか表示されなかった。従って、メンテナンス運転にかかる運転時間や消費電力の表示、更に、空調運転とメンテンス運転の積算した運転時間や消費電力を表示されないため、使用者にメンテナンスにかかる時間や消費電力や空調運転とメンテナンス運転にかかった消費電力を正しく知らせることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エアコンの運転停止操作後に空調運転だけでなくメンテナンス運転における運転時間と消費電力とをリモコンに表示することが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空調運転後にメンテナンス運転を行う空気調和機本体と、前記空気調和機本体を運転操作するリモコンとを備えた空気調和機であって、前記空気調和機本体は、前記リモコンから運転操作する操作信号を受信する本体受信手段と、前記リモコンに対して前記空気調和機本体の運転情報を送信する本体送信手段と、前記空気調和機本体の前記空調運転と前記メンテナンス運転における運転時間と消費電力とを計算する計算手段と、を備え、前記リモコンは、前記空気調和機本体に対して運転操作を行う操作信号を送信するリモコン送信手段と、前記空気調和機本体から送信される前記空気調和機本体の運転情報を受信するリモコン受信手段と、前記リモコン受信手段が受信した運転情報を表示する表示手段と、を備え、前記リモコン送信手段が、前記空気調和機本体に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、前記本体受信手段がこれを受信し、前記計算手段により前記空調運転中と前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを計算し、前記本体送信手段から運転情報として送信すると、前記リモコン受信手段がこれを受信し、前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを分けて表示することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転中の運転時間と消費電力とを同一画面に表示することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを時間差を設けて画面を切り換えて表示することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転と前記メンテナンス運転の合計の運転時間と、合計の消費電力とを表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リモコン送信手段は、空気調和機に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、本体受信手段がこれを受信し、計算手段により空調運転中とメンテナンス運転中の運転時間と消費電力とを計算し、本体送信手段から運転情報として送信すると、リモコン受信手段がこれを受信し、表示手段に表示するようにする。このように、リモコンから空気調和機本体に対する空調運転停止操作後、メンテナンス運転が自動で開始されても、空調運転とメンテナンス運転の運転時間と消費電力を計算して、運転情報としてリモコンに送信され、表示手段に表示されるため、正確な運転時間と消費電力とを把握することができる。また、メンテナンス運転だけの消費電力がわかるため、メンテナンス運転等の設定に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との関係を説明する図である。
【図2】図2は、図1の空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施例にかかる空気調和機のリモコンの平面図である。
【図4】図4は、本実施例にかかるリモコンとエアコンとの間で行われるペアリング設定動作の手順を説明する図である。
【図5】図5は、図4のペアリング設定中に受信可能なエアコンの機種情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、図4のペアリング設定に最低限必要なエアコンの機種情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例にかかるペアリング設定後のリモコンとエアコンとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。
【図8】図8は、運転停止中の空気調和機本体に対しリモコンから運転開始操作を行った場合の表示例を示す図である。
【図9】図9は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った場合の表示例を示す図である。
【図10】図10は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転を行った場合の表示例を示す図である。
【図11】図11は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転とフィルタークリーン運転を行った場合の表示例を示す図である。
【図12】図12は、リモコンに表示されたフィルタークリーン運転の電気代に基づいてフィルタークリーン間隔の設定を変更する場合の表示例を示す図である。
【図13】図13は、本実施例にかかる空気調和機の動作を説明するフローチャートである。
【図14】図14は、本実施例にかかるリモコンとPCとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。
【図15】図15は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図16】図16は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図17】図17は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図18】図18は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図19】図19は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図20】図20は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図21】図21は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図22】図22は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図23】図23は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図24】図24は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図25】図25は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図26】図26は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図27】図27は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図28】図28は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図29】図29は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図30】図30は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる空気調和機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
[構成説明]
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との関係を説明する図であり、図2は、図1の空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との概略構成を示すブロック図であり、図3は、本実施例にかかる空気調和機のリモコンの平面図である。
【0017】
本実施例にかかる空気調和機は、図1に示すように、空気調和機本体としてのエアコン室内機2とリモコン1と図示しない室外機とで構成され、RFモジュールによる双方向無線通信を利用して、リモコン1からエアコン室内機2に対して遠隔操作や各種設定を行い、エアコン室内機2から各種運転情報をリモコン1が取得すると、リモコン1の表示手段にそれらの情報を表示させて、運転管理や各種設定に利用する。また、本実施例にかかるリモコン1は、取得した各種運転情報を外部接続端子としてのUSB接続端子を介してパーソナルコンピュータ(PC)3と有線接続し、運転情報管理をPC3側で行うことができる。また、本実施例にかかるリモコン1は、エアコン室内機2以外の操作対象機器である加湿器4等を赤外線送信手段としての赤外線(IR)LEDを用いて遠隔操作を行うことができる。
【0018】
図1のように構成されたリモコン1と、空気調和機本体としてのエアコン室内機2、USB接続端子を介して接続されるPC3、および加湿器4の概略構成について、図2を用いて説明する。リモコン1は、エアコン室内機2との間で双方向無線通信を行うための送受信機やアンテナ等を含むリモコン送信手段およびリモコン受信手段としてのRFモジュール11、情報管理等を行うパーソナルコンピュータ(PC)3とUSB接続するためのUSBソケット12、加湿器4に対して赤外線(IR)ダイオードによりコマンドを送信してコントロールするIRLED13、エアコン室内機2から受信した各種運転情報等のデータを一定期間(ここでは、40日間分)保持するメモリを含み、リモコン1の各部を制御するMPU(マイクロプロセッサユニット)が搭載されたMPUボード14、リモコン1の操作情報やエアコン室内機2の運転情報(運転時間、消費電力等)を表示する表示手段としてのLCDユニット15、操作対象機器を操作するキー操作部16、時間管理を行う計時専用のRTC(リアル・タイム・クロック)17、および、リモコン1の各部に電力を供給する電池18等により構成されている。
【0019】
エアコン室内機2は、図2に示すように、リモコン1のRFモジュール11と双方向無線通信を行う本体受信手段および本体送信手段としてのRFモジュール21、および、RFモジュール21で受信したリモコン1からのコマンドに基づいてエアコン室内機2の各部を制御すると共に、エアコン室内機2の運転情報を収集し、空調運転モード22aやメンテナンス運転モード22bにおける運転時間と消費電力(電気代)を計算し、一定期間(ここでは、10日間分)のデータを保持するメモリを含む計算手段としてのMPUが搭載されたMPUボード22などを備えている。また、エアコン室内機2には、リモコン1との間で無線通信を行う際に、共通の時間管理を行う必要があるため、リモコン1と同じRTC23を備えている。
【0020】
また、PC3は、図2に示すように、リモコン1のUSBソケット12との間にUSBケーブルを接続するためのUSBソケット31を備えている。PC3は、運転情報管理ソフトをインストールすることにより、USB接続時にデータの送受信が行えるようになると共に、リモコン1を介してエアコン室内機2からの運転情報を定期的に収集し、PC画面上で継続的に運転管理を行うことができる。
【0021】
また、加湿器4は、図2に示すように、リモコン1のIRLED13から送信される赤外線信号を受信するIRPD(赤外線受信)ユニット41を備えている。リモコン1は、この赤外線信号(コマンド)によって加湿器4をコントロールすることができる。
【0022】
空気調和機を運転操作するリモコン1は、図3に示すように、運転情報(運転時間、消費電力等)を表示する液晶表示部からなるLCDユニット15と、エアコン室内機2を運転操作するためのキー操作部16とを備えている。そして、キー操作部16の中には、エアコン室内機2の運転開始、および運転停止を操作する、運転/停止キー16aを備えている。
【0023】
本実施例の空気調和機は、上記したリモコン1とエアコン室内機2の間で、RFモジュールを用いて双方向無線通信を行うため、近くに別機種のエアコンがあると操作対象機器が区別できなくなることから、事前にペアリング設定を行う必要がある。
【0024】
[ペアリング設定]
図4は、本実施例にかかるリモコンとエアコンとの間で行われるペアリング設定動作の手順を説明する図であり、図5は、図4のペアリング設定中に受信可能なエアコンの機種情報の一例を示す図であり、図6は、図4のペアリング設定に最低限必要なエアコンの機種情報の一例を示す図である。
【0025】
まず、リモコン1の登録設定が選択された場合、あるいは、リモコン1のMPUボード9に搭載された図示しない不揮発性メモリ(以下、EEPROMという)にペアリング相手が記憶されていない場合(LCDユニット15に「登録なし」が表示される場合)は、リモコン登録設定モードとなり、エアコン室内機2とペアリングを行う際の手順を表示するペアリング表示をする。同様に、エアコン室内機2もペアリング登録がない場合は、エアコン室内機2備えられた図示しないランプで表示される。ペアリングは、図4に示すように、操作者がエアコン室内機2にある図示しないペアリングボタンを押下すると、ペアリング実行状態をブザーの鳴動、およびランプの点灯で示し、エアコン室内機2側のペアリング要求信号がRFモジュール21に送られて、ペアリングが開始される(ステップS60)。
【0026】
また、リモコン1のLCDユニット15にペアリング表示がされている間は、図3に示すリモコン1のキー操作部16の運転/停止キー16aと、操作扉を開いた中の確定キー16bとを同時に押下すると、ペアリング要求信号がRFモジュール11に送られ、ペアリングが開始される(ステップS61)。リモコン1のLCDユニット15には、「ペアリング登録中」と表示される。ここで、RFモジュール11と21との間でペアリングのための通信を行い(ステップS62)、ペアリング登録可能な機種かどうかを確認した後(ステップS63)、RFモジュール21からMPUボード22にRFモジュールのペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信し(ステップS64)、RFモジュール11からMPUボード14にRFモジュールのペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信する(ステップS65)。
【0027】
続いて、リモコン1からエアコン室内機2に対し、エアコン機種情報要求を汎用データとして送信する(ステップS66)。この時、エアコン室内機2から受信可能なエアコン機種情報の信号としては、図5に示すように、シリーズ名(Z/S)、室内機年度(A〜Z)、文字列(機種名16文字以内)、派生機種(1)、エアコンID(MACアドレス)などがある。エアコン室内機2側のRFモジュール21は、エアコン機種情報要求をエアコン室内機2で受信すると、リモコン1に対して汎用データ送信完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する(ステップS67)。リモコン1のMPUボード14は、RFモジュール11を受信モードに切り換える(ステップS68)。
【0028】
続いて、エアコン室内機2のMPUボード22は、エアコンの機種情報をリモコン1側に情報転送する(ステップS69)。エアコン室内機2の機種情報をリモコン1側で受信すると、RFモジュール11は、エアコン室内機2に対して情報転送完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する(ステップS70)。
【0029】
リモコン1は、エアコン機種情報を取得すると、受信モード中止をRFモジュール11に通知し(ステップS71)、受信モード完了を受け取る(ステップS72)。
【0030】
リモコン1のMPUボード14は、取得したエアコン機種情報に基づいて、ペアリング設定を行うエアコン室内機2が該当機種か否かを判断する。リモコン1のMPUボード14は、該当機種で、受信した信号が図6に示す信号を少なくとも含む場合、ペアリング成立の汎用データをエアコン室内機2に送信する(ステップS73)。エアコン室内機2のRFモジュール21は、ペアリング成立の汎用データを受信すると、リモコン1に対して、汎用データの送信が完了(送信成功)したことを通知する(ステップS74)。リモコン1のMPUボード14は、ペアリングが成立したことをLCDユニット15に5.5秒間表示し、操作者はシリーズ名に合わせて「Z」または「S」を選択すると、選択された機種内容がEEPROMに書き込まれる。
【0031】
一方、リモコン1のMPUボード14は、ペアリング設定を行うエアコン室内機2が該当機種でないと判断した場合、あるいは、受信したエアコン機種情報が図6に示す信号以外のものであった場合、ペアリング不成立の汎用データをエアコン室内機2に送信する(ステップS75)。エアコン室内機2のRFモジュール21は、ペアリング不成立の汎用データを受信すると、リモコン1に対して、汎用データの送信が完了したことを通知する(ステップS76)。リモコン1のMPUボード14は、ペアリング不成立表示をLCDユニット15に5.5秒間表示して、ペアリングクリア処理を行い(ステップS77)、ペアリングクリアが完了したことの通知を受ける(ステップS78)。
【0032】
ペアリング不成立の場合、エアコン室内機2のMPUボード22側でもペアリングクリア処理を行い(ステップS79)、ペアリングクリアが完了したことの通知を受ける(ステップS80)。このようにして、ペアリング設定が終了する。
【0033】
上記のペアリング設定が終了したリモコン1とエアコン室内機2との間では、リモコン1からエアコン室内機2に対して運転操作や各種設定を行う他、以下の通信シーケンスにより、エアコン室内機2に保存されている運転状況ログ(履歴)をリモコン1が要求することにより、ログを取得することができる。
【0034】
[エアコンとリモコン間の通信シーケンス]
図7は、本実施例にかかるペアリング設定後のリモコンとエアコンとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。リモコン1は、毎日、定時刻にエアコン室内機2に対して運転状況ログを要求し、収集する動作が行われる。
【0035】
まず、リモコン1のMPUボード14は、図7に示すように、RTC17により定時刻(ここでは、AM0:03とする)になると、RFモジュール11および21を介してエアコン室内機2のMPUボード22に対してログ要求を送信する(ステップS81)。リモコン1は、ログ要求を送信した後、エアコン室内機2からログデータが送られてくるのを待つ。ログを待つ際に、一定の時間が経過してもログが送られてこない場合は、受信タイムアウトによる受信エラーとし、ログの受信待ちを終了して、その日のログ収集を終了する。エアコン室内機2のMPUボード22のEEPROMは、エアコン運転状況のログを最大10日分保存できる容量を持っているため、受信エラーが生じても次にログの受信が可能になった時点で、まとめてログの転送が行われる。
【0036】
図7に示すように、エアコン室内機2から順次ログデータが送られてくると(ステップS82、83・・・)、その都度リモコン1のMPUボード14のEEPROMに保存する。ログの保存方法は、EEPROMに未保存のエリアがある場合は、その部分にログを書き込み、未保存のエリアが無い場合は、一番古いログの書き込みエリアを上書きして保存する。リモコン1は、エアコン室内機2からログデータの終了を示すログ終了を受信すると(ステップS84)、ログ取得が完了する。
【0037】
また、リモコン1とエアコン室内機2との間では、上記した定時刻以外に、リモコン1が運転操作のコマンドを送信すると、エアコン室内機2から運転状況ログを取得して、リモコン1のLCDユニット15に表示することができる。
【0038】
[空調運転とメンテナンス運転の運転時間と電気代表示]
図8は、運転停止中の空気調和機本体に対しリモコンから運転開始操作を行った場合の表示例を示す図であり、図9は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った場合の表示例を示す図であり、図10は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転を行った場合の表示例を示す図であり、図11は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転とフィルタークリーン運転を行った場合の表示例を示す図であり、図12は、リモコンに表示されたフィルタークリーン運転の電気代に基づいてフィルタークリーン間隔の設定を変更する場合の表示例を示す図である。
【0039】
エアコン室内機2が運転停止中であって、リモコン1も図8に示すように運転停止画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、白抜き矢印で示す運転中の表示に変わり、エアコン室内機2も運転中となる。しかしながら、リモコン1の運転/停止キー16aを押下しても通信できなかった場合は、黒矢印で示す通信不可であることを示す「通信×」がLCDユニット15に表示される。このため、操作者は、リモコン1の表示を見るだけで、通信が成功してコマンドが実行されているか、通信不可でコマンドが実行されていないかを知ることができる。
【0040】
続いて、エアコン室内機2が運転中で、リモコン1も図9に示すように運転中の画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、運転停止状態を表示する前に、エアコン室内機2に対しログを要求する。エアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転モード22aにおける電気代と運転時間とを計算し、リモコン1に送信することにより、白抜き矢印で示した「お知らせ」で「今日の運転(空調運転)」の電気代と運転時間とを表示することができる。この「お知らせ」表示から5.5秒後には、白抜き矢印で示した運転停止状態が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計とが表示されている。
【0041】
エアコンは、冷房、暖房の運転モードや設定温度により消費電力が変動するので図示していないが、エアコン室内機2側でリアルタイムに消費電力を測定し、積算することで消費電力を求め、この求めた消費電力とエアコン室内機2のMPUボード22に記憶されている単位時間当たりの電気代で求める。
【0042】
続いて、エアコン室内機2が空調運転中で、リモコン1も図10に示すように冷房運転中の画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、図9の場合と同様に、エアコン室内機2に対しログを要求し、エアコン室内機2のMPUボード22で計算した今日の運転の電気代と運転時間とがリモコン1に表示される。ここで、エアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転が冷房運転であり、熱交換器等が結露していると判断して、空調運転停止後に室内機の内部を乾燥させる内部クリーン運転を自動で開始し、メンテナンス運転の内部クリーン運転を行う。内部クリーン運転時間は、エアコン室内機2のMPUボード22に記憶されているテーブルより、運転停止前の冷房運転時間に応じて決定される。
【0043】
メンテナンス運転開始時、メンテナンス運転時間とエアコン室内機2のMPUボード22に記憶されているメンテナンス運転の単位時間当たりの電気代からメンテナンス運転にかかる電気代を計算して、メンテンナンス運転モード、運転時間、電気代の情報をリモコン1に送信して、リモコン1は、受信した情報を表示する。
【0044】
リモコン1は、表示してから5.5秒後に、メンテナンス運転時間情報よりその内部クリーン運転の残り時間を表示(残り約90分)し、カウントダウンして表示させる。このカウントダウンの計時は、リモコン1のRTC17により行う。または、エアコン室内機2側のRTC23により行い、そのカウントダウン情報をリモコン1に送信して表示させても良い。
【0045】
図10に示す内部クリーン運転が表示され、残り時間がある時点で、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、内部クリーン運転が途中で停止され、白抜き矢印で示す運転停止画面が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計が表示され、今日の電気代合計に内部クリーン運転の途中停止までの電気代を含む金額が表示される。
【0046】
また、図10に示す内部クリーン運転が表示され、途中停止することなくメンテナンス運転が終了した場合、黒矢印で示すように、メンテナンス運転(ここでは、内部クリーン運転)のみの運転時間と実際にかかった電気代を表示した後、白抜き矢印で示す運転停止状態が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計とを表示している。
【0047】
続いて、エアコン室内機2が空調運転中で、リモコン1も図11に示すように冷房運転中の画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、図10の場合と同様に、エアコン室内機2に対しログを要求し、エアコン室内機2のMPUボード22で計算した今日の運転の電気代と運転時間とがリモコン1に表示される。図10と同様にエアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転が冷房運転で熱交換器等が結露していると判断して、空調運転停止後に内部クリーン運転を自動で開始する。この時、エアコン室内機2は、メンテンナンス運転モード、運転時間、電気代の情報をリモコン1に送信して、リモコン1は、受信した情報を表示する。
【0048】
リモコン1は、上記情報を表示してから5.5秒後に、メンテナンス運転時間情報よりその内部クリーン運転中は残り運転時間をカウントダウン表示する。
【0049】
90分後に内部クリーンが終了すると、白抜き矢印で示すように、内部クリーン運転のみの運転時間と実際にかかった電気代とを表示する。さらに、エアコン室内機2のMPUボード22は、図11に示すように、所定の空調運転積算時間が到来したと判断すると、白抜き矢印で示すようにフィルタを清掃するフィルタークリーン運転を自動で開始する。この時も内部クリーン運転と同様にエアコン室内機2は、メンテンナンス運転モード、運転時間、電気代の情報をリモコン1に送信して、リモコン1は、受信した情報を表示する。その後、フィルタークリーン運転中は、リモコン1に運転状況と残り時間をカウントダウン表示する。このカウントダウン表示は、内部クリーン運転の場合と同様であって、リモコン1あるいはエアコン室内機2のいずれのRTCを使って行っても良い。
【0050】
また、図11に示すフィルタークリーン運転が途中停止されることなくメンテナンス運転が終了すると(10分後)、白抜き矢印で示すように、メンテナンス運転(ここでは、フィルタークリーン運転)のみの運転時間と電気代を表示した後、次の白抜き矢印で示す運転停止状態が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計とが表示される。
【0051】
このように、リモコン1に表示される表示画面は、空調運転終了後にメンテナンス運転を自動で行った場合、空調運転の運転時間と電気代とは別に、メンテナンス運転の運転時間と実際にかかった電気代とを表示している。このため、操作者は、メンテナンス運転にどの程度の電気代がかかるかを明確に把握することができると共に、トータルの運転時間と電気代を表示する場合も、空調運転だけでなくメンテナンス運転を含む運転状況が表示されるので、常に正しい運転状況を知ることができる。これにより、操作者は、メンテナンス運転や種々の運転設定を設定する場合に、これらの表示に基づいて正しい設定を行うことができる。
【0052】
例えば、図12に示すように、設定画面でフィルタークリーン間隔が「標準」に設定してあった場合、操作者は、フィルタークリーン運転にかかった電気代を見て、それ程高くないことがわかると、より頻繁にフィルタークリーン運転を行う間隔を「短め」に設定変更することができる。また、これとは逆に、操作者は、フィルタークリーン運転にかかった電気代が高いと思う場合、フィルタークリーン運転を行う間隔を「長め」に設定変更することができる。
【0053】
[メンテナンス運転の運転状況表示動作]
図13は、本実施例にかかる空気調和機の動作を説明するフローチャートである。図13を用いて、空調運転後にメンテナンス運転を自動で行う場合の動作を説明する。まず、空調運転中に操作者から空調運転の停止操作があったか否かを判断する(ステップS100)。エアコン室内機2は空調運転の停止操作が無い場合は、空調運転の停止操作があるまで待機する(ステップS101)。
【0054】
操作者がリモコン1から空調運転の停止操作を行うと(ステップS100でYes)、エアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転の運転時間と電気代を計算し、RFモジュール21を介してエアコン室内機2から空調運転時間と電気代等の情報をリモコン1に送り、リモコン1で空調運転時間と電気代等の情報を取得する(ステップS102)。エアコン室内機2は、空調運転終了後にメンテナンス運転を行うか否を判断する。メンテナンス運転を行わない場合は(ステップS103でNo)、リモコン1のMPUボード14は、取得した空調運転の運転時間と電気代とを表示する(ステップS104)。
【0055】
また、ステップS103において、メンテナンス運転有りと判断すると(ステップS103でYes)、エアコン室内機2のMPUボード22は、予め決められたメンテナンス運転時間をエアコン室内機2のMPUボード22に記憶されているテーブルから抽出して、その電気代を計算してメンテナンス運転の情報を生成し(ステップS105)、エアコン室内機2は、このメンテナンス運転情報をリモコン1に送り、リモコン1はメンテナンス運転時間と電気代とをリモコン1のLCDユニット15に表示する(ステップS106)。リモコン1は、エアコン室内機2から送られてきた運転時間をもとに残りの運転時間をカウントダウン表示する(ステップS107)。リモコン1はカウントダウン完了まで、省エネのためにエアコン室内機2からの受信待ち状態をオフとし、カウントダウン完了後、エアコン室内機2に完了通知し、エアコン室内機2は、メンテナンス運転時間と実際にかかった電気代と、空調運転とメンテナンス運転のトータルの運転時間と電気代を計算し、その情報をリモコンに送信する。リモコン1は、LCDユニット15にメンテナンス運転時間と電気代とを表示させ(ステップS108)、その後、空調運転とメンテナンス運転のトータルの運転時間と電気代とを表示する(ステップS109)。
【0056】
このように、本実施例にかかる空気調和機は、空調運転停止後にメンテナンス運転が自動で開始された場合であっても、リモコン1に空調運転の運転時間と電気代だけでなく、メンテナンス運転のみの運転時間と電気代とを表示することができる。このため、操作者は、リモコン1に表示されたメンテナンス運転の運転時間と電気代とに基づいてメンテナンス運転の設定を適切に行うことができる。
【0057】
また、本実施例にかかる空気調和機は、空調運転停止後にメンテナンス運転が自動で開始された場合であっても、リモコン1に空調運転にメンテナンス運転を加えたトータルの運転時間と電気代を表示することができるため、正確な運転時間と電気代とをリモコン1に表示することができる。このため、操作者は、この正確な情報に基づいて空気調和機に関する種々の設定を正しく行うことができる。
【0058】
[リモコンとPC間の通信シーケンス]
また、本実施例のリモコン1は、エアコン室内機2の運転情報が管理可能なPC3と接続する外部接続端子としてのUSBソケット12を備えている。このため、リモコン1とPC3をUSB接続することにより、エアコン室内機2の運転情報をリモコン1を経由してPC3に収集することが可能となり、PC3においてエアコン室内機2の運転情報を管理することができる。
【0059】
図14は、本実施例にかかるリモコンとPCとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。上記したエアコン1とリモコン2間の通信シーケンスにより、リモコン1のMPUボード14のEEPROMに保存されたエアコンの運転状況のログをPC3に送信するものである。リモコン1のMPUボード14のEEPROMは、エアコンから受信したログを最大40日分保存できる容量を持っている。
【0060】
まず、リモコン1とPC3との間をUSB接続すると、USBドライバにより通信可能となるまでの一連の処理(エニュメレーション)が行われ、エニュメレーションの完了によりリモコン1とPC3との間で通信が可能になる(ステップS85)。エニュメレーションの間は、「接続検出:USB接続中」の表示がリモコン1のLCDユニット15に表示される。
【0061】
エニュメレーションが完了すると、PC3は、リモコン1に対してエアコン情報を要求する(ステップS86)。リモコン1は、これに応答してMPUボード14のEEPROMに保存したエアコン情報をPC3に対して送信する(ステップS87)。エアコン情報としては、エアコンの製品名、シリーズ名、能力帯、室内機年度、使用電圧の他、エアコンMACアドレス、部屋情報、およびリモコンタイプなどがある。
【0062】
PC3は、受信したエアコン情報と、管理しているエアコン情報とを照合し、受信したエアコン情報がどのエアコンに該当するのかを識別する。PC3において、複数のエアコンを管理している場合は、受信したエアコン情報がどのエアコンに該当するかを照合する必要がある。
【0063】
続いて、PC3は、運転設定情報を読み込むため、リモコン1に対してエアコン運転設定情報を要求する(ステップS88)。リモコン1は、これに応答してMPUボード14のEEPROMに保存されているエアコン運転設定情報をPC3に送信する(ステップS89)。エアコン運転設定情報としては、音量レベル、ボイスの有無、不在エコの切り換え、内部クリーンの有無、お手入れ時間、省エネファンの有無、自動パワフルの有無、および電流切換などがある。
【0064】
続いて、PC3は、リモコン1に対してログ読込みのために、ログ要求を行う(ステップS90)。リモコン1は、PC3からのログ要求に応答して、ログデータを送信する(ステップS91)。PC3とリモコン1とは、次データ要求とログデータの送信が繰り返される(ステップS92、S93、S94)。リモコン1は、送信するログデータが無くなった時点でPC3に対しログ終了を送信することにより(ステップS95)、PC3におけるログ読込み処理が完了する。その後、PC3とリモコン1とをつなぐUSB接続が切断され(ステップS96)、リモコン1がPC3との間の通信モードから解放されると、LCDユニット15の表示が通常表示に移行する。
【0065】
このように、エアコン室内機2に一時的に保存された(最大10日間分保存可能)エアコンの運転ログは、リモコン1側に送信されて保存され(最大40日間分保存可能)、リモコン1とPC3とをUSB接続した時点で、リモコン1に保存されていたログがPC3側に転送される。PC3では、予めインストールされた運転情報管理ソフトを使って、図13〜図28に示すようにエアコン室内機2の運転情報を管理することができる。
【0066】
[PCにおける運転情報の管理]
図15〜図30は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。まず、PC3は、運転情報管理ソフトにより図15に示すような画面が表示される。操作者は、エアコン選択タグ100をクリックし、その中の「リビング1」のボタン101をクリックすると共に、カレンダータグ102をクリックすると、「リビング1」のエアコンにおける毎日の運転時間と電気代、月単位、年単位の電気代、月目標電気代等が記載されたカレンダー画面103が表示される。これにより、エアコン毎の運転状況と電気代とを継続的に把握可能となり、エアコンの効率的な利用や設定に利用することができる。
【0067】
PC3とリモコン1とをUSB接続した場合は、図16に示すように、リモコン1が接続され、データ受信中であることを示すウインドウ104が表示される。そして、PC3には、新たな運転情報がPC3に取り込まれると、図17に示すように、カレンダー画面103にリモコン1に保存されていた前日までの運転時間と電気代とが追加された画面が表示される。
【0068】
続いて、操作者は、図17の状態から画面上のグラフタグ105をクリックすると、図18に示すように、毎日の電気代が棒グラフ化されたグラフ画面106を表示することができる。これにより、一カ月間のエアコンの電気代の増減を一目で把握することができる。また、累計電気代として、今月の「リビング1」にかかったエアコン電気代の合計、前の月の電気代の合計、年間の電気代の合計、前の年の電気代の合計、月目標電気代等も表示されるため、エアコンの運転状況を多角的に把握することが可能になる。
【0069】
また、図18の画面において、エアコン選択タグ100の全室合計ボタン108をクリックすると、リビング1ボタン101と寝室1ボタン107のそれぞれが合計されたグラフ画面106が色違い(モノクロ表示であれば、濃度違い)で表示される。これにより、全室のエアコンの電気代の合計とその内訳を一目で把握することができる。また、グラフ画面106には、縮小ボタン109と拡大ボタン110が設けられている。例えば、図19に示す状態で拡大ボタン110をクリックすると、グラフ画面106は、図20のようにグラフのレートが変化し、拡大表示することができる。これにより、電気代の微妙な変化も明確に把握することができる。
【0070】
例えば、図21に示すように、エアコン選択タグ100に、リビング1ボタン101、ダイニング1ボタン111、和室1ボタン112、寝室1ボタン113、子供部屋1ボタン114、その他1ボタン115、子供部屋2ボタンという多数のエアコンが登録されている場合は、全室合計ボタン108をクリックすると、1日毎の全室の電気代の合計のグラフが表示される。そして、1日の全室の電気代の合計のグラフは、さらに部屋毎の電気代が色違い(モノクロ表示であれば、濃度違い)で表示されるため、多数のエアコンの電気代の内訳も一目で把握することができる。
【0071】
また、図19に示すグラフ表示において、特定の日にちをクリックすると、図22に示すように、その日の運転状況を詳細に示すウインドウ117を開くことができる。そのウインドウには、その日の全室合計の電気代、運転時間、および外気温度の平均気温などを表示することができる。
【0072】
さらに、図23に示すエアコン設定確認画面119は、エアコン選択タグ100のリビング1ボタン101をクリックし、エアコン設定確認タグ118をクリックした場合の画面である。このエアコン設定確認画面119は、リビング1ボタン101に登録されているエアコンの設定内容の詳細をPC3の画面上で容易に確認することができる。また、エアコン設定確認画面119は、設定内容の機能が併せて表示されているため、操作者が設定内容を変更する際に設定内容を正しく理解しながら変更することができる。さらに、次のページボタン120をクリックすると、図24に示すように、次頁のエアコン設定確認画面119が表示される。そして、設定内容を変更する場合は、変更する設定内容をクリックすると、変更内容がメニュー表示され、所望の内容をクリックすることにより設定内容が変更される。前頁のエアコン設定確認画面119に戻りたい場合は、前のページボタン121をクリックする。このように変更された設定情報は、USB接続されたPC3からリモコン1に送られ、リモコン1からエアコン室内機2に対してコマンド等を送る際に、変更された設定情報を併せて送ることにより、エアコン室内機2の設定が変更される。
【0073】
また、図17のカレンダー表示において、図25に示すワンポイントアドバイスボタン123がクリックされると、ワンポイントアドバイスウインドウ122が開いて、操作者に対しエアコンを効率的に使用するためのアドバイスが表示される。ワンポイントアドバイスウインドウ122が複数ある場合は、次頁ボタン122aや前頁ボタン122bをクリックすることにより、別のワンポイントアドバイスウインドウ122を開くことができる(図26参照)。
【0074】
さらに、図27に示すように、エアコン選択タグ100の隣のファイル管理タグ124をクリックすると、CD−ROM等からのデータの読み込みを行う読み込みボタン125、CD−R等に対してデータの書き出しを行う書き出しボタン126、エアコン選択タグにおいて登録されているエアコンの機種を削除する機種削除ボタン127、フレキシブルディスク(FD)等にファイルを書き出すファイルボタン128、このPCソフトのヘルプ表示を行うためのこのソフトの使い方ボタン129、およびこのPCソフトの名称や提供元やバージョン情報等を表示させるこのソフトについてボタン130等が表示される。例えば、この中の機種削除ボタン127をクリックすると、図28に示すようなウインドウ131が開いて、既に登録されている機種一覧が表示される。例えば、この中のリビング1ボタン131をクリックすると、図29に示すように、削除確認のための確認ウインドウ132が開かれ、「はい」または「いいえ」をクリックすることで削除、あるいは削除を中止できる。
【0075】
また、図30に示すように、ファイル管理タグ124のこのソフトについてボタン130をクリックすると、このPCソフトの名称、提供元名称、また、図示していないがリリース年月日等が表示された画面133を表示することができる。
【0076】
このように、本実施例にかかる空気調和機は、エアコン室内機2の運転情報をリモコン1を介してPC3でも管理できるようにしたため、リモコン1の表示画面だけでは表示できなかった表示内容を、PC3のような外部接続機器のディスプレイを使って詳細に表示させることができる。特に、図23、図24に示すエアコンの設定画面では、内部クリーンやフィルタークリーン間隔を設定する際に、メンテナンス運転のみの運転時間と電気代とを参照することができるため、操作者にとってわかり易く設定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、空気調和機本体とリモコンとの間で双方向通信が可能な場合に有用であり、特に、空調運転後にメンテナンス運転が自動的に開始される空気調和機に適している。
【符号の説明】
【0078】
1 リモートコントローラ(リモコン)
11 RFモジュール
12 USBソケット
13 IRLED
14 MPUボード
15 LCDユニット
16 キー操作部
17 RTC(リアル・タイム・クロック)
18 電池
2 エアコン
21 RFモジュール
22 MPUボード
22a 空調運転モード
22b メンテナンス運転モード
23 RTC(リアル・タイム・クロック)
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転時間とその消費電力の表示を行う空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアコンディショナー(以下、エアコンという)の本体と、それをコントロールするリモートコントローラ(以下、リモコンという)との間で双方向通信を行う空気調和機があった(特許文献1参照)。この種の従来技術では、リモコンからエアコン本体に対して運転停止コマンドを送ると、エアコン本体が運転を停止すると共に、運転時間と消費電力(電気代)などの情報をエアコン本体からリモコンへ送信し、使用者に知らせるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−278696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷房運転時におけるエアコンは、室温と熱交換器との温度差により熱交換器等に露が付き易くなるため、そのままの状態で運転を停止させると室内機の内部湿度が高くなり、カビの発生や悪臭の原因となっていた。そこで、最近のエアコンでは、冷房運転の停止後、熱交換器等に付いた露を乾燥させるために自動で乾燥運転を行うものがある。
【0005】
また、エアコンの室内機には、空気取り入れ口に空気中の塵や埃が入らないようにフィルタが配置されているが、所定の運転積算時間到来後の運転停止時に、フィルタ清掃を自動で行う機能の付いたものがある。
【0006】
このように、従来の空気調和機は、使用者の停止操作とは関係なくエアコンが所定の条件を満たすと自動的にメンテナンス運転(乾燥運転やフィルタ清掃)が開始されるため、操作者が運転停止操作した時点における運転時間や消費電力(電気代)の表示しか表示されなかった。従って、メンテナンス運転にかかる運転時間や消費電力の表示、更に、空調運転とメンテンス運転の積算した運転時間や消費電力を表示されないため、使用者にメンテナンスにかかる時間や消費電力や空調運転とメンテナンス運転にかかった消費電力を正しく知らせることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エアコンの運転停止操作後に空調運転だけでなくメンテナンス運転における運転時間と消費電力とをリモコンに表示することが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、空調運転後にメンテナンス運転を行う空気調和機本体と、前記空気調和機本体を運転操作するリモコンとを備えた空気調和機であって、前記空気調和機本体は、前記リモコンから運転操作する操作信号を受信する本体受信手段と、前記リモコンに対して前記空気調和機本体の運転情報を送信する本体送信手段と、前記空気調和機本体の前記空調運転と前記メンテナンス運転における運転時間と消費電力とを計算する計算手段と、を備え、前記リモコンは、前記空気調和機本体に対して運転操作を行う操作信号を送信するリモコン送信手段と、前記空気調和機本体から送信される前記空気調和機本体の運転情報を受信するリモコン受信手段と、前記リモコン受信手段が受信した運転情報を表示する表示手段と、を備え、前記リモコン送信手段が、前記空気調和機本体に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、前記本体受信手段がこれを受信し、前記計算手段により前記空調運転中と前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを計算し、前記本体送信手段から運転情報として送信すると、前記リモコン受信手段がこれを受信し、前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを分けて表示することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転中の運転時間と消費電力とを同一画面に表示することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを時間差を設けて画面を切り換えて表示することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転と前記メンテナンス運転の合計の運転時間と、合計の消費電力とを表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リモコン送信手段は、空気調和機に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、本体受信手段がこれを受信し、計算手段により空調運転中とメンテナンス運転中の運転時間と消費電力とを計算し、本体送信手段から運転情報として送信すると、リモコン受信手段がこれを受信し、表示手段に表示するようにする。このように、リモコンから空気調和機本体に対する空調運転停止操作後、メンテナンス運転が自動で開始されても、空調運転とメンテナンス運転の運転時間と消費電力を計算して、運転情報としてリモコンに送信され、表示手段に表示されるため、正確な運転時間と消費電力とを把握することができる。また、メンテナンス運転だけの消費電力がわかるため、メンテナンス運転等の設定に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との関係を説明する図である。
【図2】図2は、図1の空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施例にかかる空気調和機のリモコンの平面図である。
【図4】図4は、本実施例にかかるリモコンとエアコンとの間で行われるペアリング設定動作の手順を説明する図である。
【図5】図5は、図4のペアリング設定中に受信可能なエアコンの機種情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、図4のペアリング設定に最低限必要なエアコンの機種情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例にかかるペアリング設定後のリモコンとエアコンとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。
【図8】図8は、運転停止中の空気調和機本体に対しリモコンから運転開始操作を行った場合の表示例を示す図である。
【図9】図9は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った場合の表示例を示す図である。
【図10】図10は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転を行った場合の表示例を示す図である。
【図11】図11は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転とフィルタークリーン運転を行った場合の表示例を示す図である。
【図12】図12は、リモコンに表示されたフィルタークリーン運転の電気代に基づいてフィルタークリーン間隔の設定を変更する場合の表示例を示す図である。
【図13】図13は、本実施例にかかる空気調和機の動作を説明するフローチャートである。
【図14】図14は、本実施例にかかるリモコンとPCとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。
【図15】図15は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図16】図16は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図17】図17は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図18】図18は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図19】図19は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図20】図20は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図21】図21は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図22】図22は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図23】図23は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図24】図24は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図25】図25は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図26】図26は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図27】図27は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図28】図28は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図29】図29は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【図30】図30は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる空気調和機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
[構成説明]
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との関係を説明する図であり、図2は、図1の空気調和機本体とリモコンおよび加湿器と外部接続機器との概略構成を示すブロック図であり、図3は、本実施例にかかる空気調和機のリモコンの平面図である。
【0017】
本実施例にかかる空気調和機は、図1に示すように、空気調和機本体としてのエアコン室内機2とリモコン1と図示しない室外機とで構成され、RFモジュールによる双方向無線通信を利用して、リモコン1からエアコン室内機2に対して遠隔操作や各種設定を行い、エアコン室内機2から各種運転情報をリモコン1が取得すると、リモコン1の表示手段にそれらの情報を表示させて、運転管理や各種設定に利用する。また、本実施例にかかるリモコン1は、取得した各種運転情報を外部接続端子としてのUSB接続端子を介してパーソナルコンピュータ(PC)3と有線接続し、運転情報管理をPC3側で行うことができる。また、本実施例にかかるリモコン1は、エアコン室内機2以外の操作対象機器である加湿器4等を赤外線送信手段としての赤外線(IR)LEDを用いて遠隔操作を行うことができる。
【0018】
図1のように構成されたリモコン1と、空気調和機本体としてのエアコン室内機2、USB接続端子を介して接続されるPC3、および加湿器4の概略構成について、図2を用いて説明する。リモコン1は、エアコン室内機2との間で双方向無線通信を行うための送受信機やアンテナ等を含むリモコン送信手段およびリモコン受信手段としてのRFモジュール11、情報管理等を行うパーソナルコンピュータ(PC)3とUSB接続するためのUSBソケット12、加湿器4に対して赤外線(IR)ダイオードによりコマンドを送信してコントロールするIRLED13、エアコン室内機2から受信した各種運転情報等のデータを一定期間(ここでは、40日間分)保持するメモリを含み、リモコン1の各部を制御するMPU(マイクロプロセッサユニット)が搭載されたMPUボード14、リモコン1の操作情報やエアコン室内機2の運転情報(運転時間、消費電力等)を表示する表示手段としてのLCDユニット15、操作対象機器を操作するキー操作部16、時間管理を行う計時専用のRTC(リアル・タイム・クロック)17、および、リモコン1の各部に電力を供給する電池18等により構成されている。
【0019】
エアコン室内機2は、図2に示すように、リモコン1のRFモジュール11と双方向無線通信を行う本体受信手段および本体送信手段としてのRFモジュール21、および、RFモジュール21で受信したリモコン1からのコマンドに基づいてエアコン室内機2の各部を制御すると共に、エアコン室内機2の運転情報を収集し、空調運転モード22aやメンテナンス運転モード22bにおける運転時間と消費電力(電気代)を計算し、一定期間(ここでは、10日間分)のデータを保持するメモリを含む計算手段としてのMPUが搭載されたMPUボード22などを備えている。また、エアコン室内機2には、リモコン1との間で無線通信を行う際に、共通の時間管理を行う必要があるため、リモコン1と同じRTC23を備えている。
【0020】
また、PC3は、図2に示すように、リモコン1のUSBソケット12との間にUSBケーブルを接続するためのUSBソケット31を備えている。PC3は、運転情報管理ソフトをインストールすることにより、USB接続時にデータの送受信が行えるようになると共に、リモコン1を介してエアコン室内機2からの運転情報を定期的に収集し、PC画面上で継続的に運転管理を行うことができる。
【0021】
また、加湿器4は、図2に示すように、リモコン1のIRLED13から送信される赤外線信号を受信するIRPD(赤外線受信)ユニット41を備えている。リモコン1は、この赤外線信号(コマンド)によって加湿器4をコントロールすることができる。
【0022】
空気調和機を運転操作するリモコン1は、図3に示すように、運転情報(運転時間、消費電力等)を表示する液晶表示部からなるLCDユニット15と、エアコン室内機2を運転操作するためのキー操作部16とを備えている。そして、キー操作部16の中には、エアコン室内機2の運転開始、および運転停止を操作する、運転/停止キー16aを備えている。
【0023】
本実施例の空気調和機は、上記したリモコン1とエアコン室内機2の間で、RFモジュールを用いて双方向無線通信を行うため、近くに別機種のエアコンがあると操作対象機器が区別できなくなることから、事前にペアリング設定を行う必要がある。
【0024】
[ペアリング設定]
図4は、本実施例にかかるリモコンとエアコンとの間で行われるペアリング設定動作の手順を説明する図であり、図5は、図4のペアリング設定中に受信可能なエアコンの機種情報の一例を示す図であり、図6は、図4のペアリング設定に最低限必要なエアコンの機種情報の一例を示す図である。
【0025】
まず、リモコン1の登録設定が選択された場合、あるいは、リモコン1のMPUボード9に搭載された図示しない不揮発性メモリ(以下、EEPROMという)にペアリング相手が記憶されていない場合(LCDユニット15に「登録なし」が表示される場合)は、リモコン登録設定モードとなり、エアコン室内機2とペアリングを行う際の手順を表示するペアリング表示をする。同様に、エアコン室内機2もペアリング登録がない場合は、エアコン室内機2備えられた図示しないランプで表示される。ペアリングは、図4に示すように、操作者がエアコン室内機2にある図示しないペアリングボタンを押下すると、ペアリング実行状態をブザーの鳴動、およびランプの点灯で示し、エアコン室内機2側のペアリング要求信号がRFモジュール21に送られて、ペアリングが開始される(ステップS60)。
【0026】
また、リモコン1のLCDユニット15にペアリング表示がされている間は、図3に示すリモコン1のキー操作部16の運転/停止キー16aと、操作扉を開いた中の確定キー16bとを同時に押下すると、ペアリング要求信号がRFモジュール11に送られ、ペアリングが開始される(ステップS61)。リモコン1のLCDユニット15には、「ペアリング登録中」と表示される。ここで、RFモジュール11と21との間でペアリングのための通信を行い(ステップS62)、ペアリング登録可能な機種かどうかを確認した後(ステップS63)、RFモジュール21からMPUボード22にRFモジュールのペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信し(ステップS64)、RFモジュール11からMPUボード14にRFモジュールのペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信する(ステップS65)。
【0027】
続いて、リモコン1からエアコン室内機2に対し、エアコン機種情報要求を汎用データとして送信する(ステップS66)。この時、エアコン室内機2から受信可能なエアコン機種情報の信号としては、図5に示すように、シリーズ名(Z/S)、室内機年度(A〜Z)、文字列(機種名16文字以内)、派生機種(1)、エアコンID(MACアドレス)などがある。エアコン室内機2側のRFモジュール21は、エアコン機種情報要求をエアコン室内機2で受信すると、リモコン1に対して汎用データ送信完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する(ステップS67)。リモコン1のMPUボード14は、RFモジュール11を受信モードに切り換える(ステップS68)。
【0028】
続いて、エアコン室内機2のMPUボード22は、エアコンの機種情報をリモコン1側に情報転送する(ステップS69)。エアコン室内機2の機種情報をリモコン1側で受信すると、RFモジュール11は、エアコン室内機2に対して情報転送完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する(ステップS70)。
【0029】
リモコン1は、エアコン機種情報を取得すると、受信モード中止をRFモジュール11に通知し(ステップS71)、受信モード完了を受け取る(ステップS72)。
【0030】
リモコン1のMPUボード14は、取得したエアコン機種情報に基づいて、ペアリング設定を行うエアコン室内機2が該当機種か否かを判断する。リモコン1のMPUボード14は、該当機種で、受信した信号が図6に示す信号を少なくとも含む場合、ペアリング成立の汎用データをエアコン室内機2に送信する(ステップS73)。エアコン室内機2のRFモジュール21は、ペアリング成立の汎用データを受信すると、リモコン1に対して、汎用データの送信が完了(送信成功)したことを通知する(ステップS74)。リモコン1のMPUボード14は、ペアリングが成立したことをLCDユニット15に5.5秒間表示し、操作者はシリーズ名に合わせて「Z」または「S」を選択すると、選択された機種内容がEEPROMに書き込まれる。
【0031】
一方、リモコン1のMPUボード14は、ペアリング設定を行うエアコン室内機2が該当機種でないと判断した場合、あるいは、受信したエアコン機種情報が図6に示す信号以外のものであった場合、ペアリング不成立の汎用データをエアコン室内機2に送信する(ステップS75)。エアコン室内機2のRFモジュール21は、ペアリング不成立の汎用データを受信すると、リモコン1に対して、汎用データの送信が完了したことを通知する(ステップS76)。リモコン1のMPUボード14は、ペアリング不成立表示をLCDユニット15に5.5秒間表示して、ペアリングクリア処理を行い(ステップS77)、ペアリングクリアが完了したことの通知を受ける(ステップS78)。
【0032】
ペアリング不成立の場合、エアコン室内機2のMPUボード22側でもペアリングクリア処理を行い(ステップS79)、ペアリングクリアが完了したことの通知を受ける(ステップS80)。このようにして、ペアリング設定が終了する。
【0033】
上記のペアリング設定が終了したリモコン1とエアコン室内機2との間では、リモコン1からエアコン室内機2に対して運転操作や各種設定を行う他、以下の通信シーケンスにより、エアコン室内機2に保存されている運転状況ログ(履歴)をリモコン1が要求することにより、ログを取得することができる。
【0034】
[エアコンとリモコン間の通信シーケンス]
図7は、本実施例にかかるペアリング設定後のリモコンとエアコンとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。リモコン1は、毎日、定時刻にエアコン室内機2に対して運転状況ログを要求し、収集する動作が行われる。
【0035】
まず、リモコン1のMPUボード14は、図7に示すように、RTC17により定時刻(ここでは、AM0:03とする)になると、RFモジュール11および21を介してエアコン室内機2のMPUボード22に対してログ要求を送信する(ステップS81)。リモコン1は、ログ要求を送信した後、エアコン室内機2からログデータが送られてくるのを待つ。ログを待つ際に、一定の時間が経過してもログが送られてこない場合は、受信タイムアウトによる受信エラーとし、ログの受信待ちを終了して、その日のログ収集を終了する。エアコン室内機2のMPUボード22のEEPROMは、エアコン運転状況のログを最大10日分保存できる容量を持っているため、受信エラーが生じても次にログの受信が可能になった時点で、まとめてログの転送が行われる。
【0036】
図7に示すように、エアコン室内機2から順次ログデータが送られてくると(ステップS82、83・・・)、その都度リモコン1のMPUボード14のEEPROMに保存する。ログの保存方法は、EEPROMに未保存のエリアがある場合は、その部分にログを書き込み、未保存のエリアが無い場合は、一番古いログの書き込みエリアを上書きして保存する。リモコン1は、エアコン室内機2からログデータの終了を示すログ終了を受信すると(ステップS84)、ログ取得が完了する。
【0037】
また、リモコン1とエアコン室内機2との間では、上記した定時刻以外に、リモコン1が運転操作のコマンドを送信すると、エアコン室内機2から運転状況ログを取得して、リモコン1のLCDユニット15に表示することができる。
【0038】
[空調運転とメンテナンス運転の運転時間と電気代表示]
図8は、運転停止中の空気調和機本体に対しリモコンから運転開始操作を行った場合の表示例を示す図であり、図9は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った場合の表示例を示す図であり、図10は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転を行った場合の表示例を示す図であり、図11は、運転中の空気調和機本体に対しリモコンから運転停止操作を行った後に内部クリーン運転とフィルタークリーン運転を行った場合の表示例を示す図であり、図12は、リモコンに表示されたフィルタークリーン運転の電気代に基づいてフィルタークリーン間隔の設定を変更する場合の表示例を示す図である。
【0039】
エアコン室内機2が運転停止中であって、リモコン1も図8に示すように運転停止画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、白抜き矢印で示す運転中の表示に変わり、エアコン室内機2も運転中となる。しかしながら、リモコン1の運転/停止キー16aを押下しても通信できなかった場合は、黒矢印で示す通信不可であることを示す「通信×」がLCDユニット15に表示される。このため、操作者は、リモコン1の表示を見るだけで、通信が成功してコマンドが実行されているか、通信不可でコマンドが実行されていないかを知ることができる。
【0040】
続いて、エアコン室内機2が運転中で、リモコン1も図9に示すように運転中の画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、運転停止状態を表示する前に、エアコン室内機2に対しログを要求する。エアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転モード22aにおける電気代と運転時間とを計算し、リモコン1に送信することにより、白抜き矢印で示した「お知らせ」で「今日の運転(空調運転)」の電気代と運転時間とを表示することができる。この「お知らせ」表示から5.5秒後には、白抜き矢印で示した運転停止状態が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計とが表示されている。
【0041】
エアコンは、冷房、暖房の運転モードや設定温度により消費電力が変動するので図示していないが、エアコン室内機2側でリアルタイムに消費電力を測定し、積算することで消費電力を求め、この求めた消費電力とエアコン室内機2のMPUボード22に記憶されている単位時間当たりの電気代で求める。
【0042】
続いて、エアコン室内機2が空調運転中で、リモコン1も図10に示すように冷房運転中の画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、図9の場合と同様に、エアコン室内機2に対しログを要求し、エアコン室内機2のMPUボード22で計算した今日の運転の電気代と運転時間とがリモコン1に表示される。ここで、エアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転が冷房運転であり、熱交換器等が結露していると判断して、空調運転停止後に室内機の内部を乾燥させる内部クリーン運転を自動で開始し、メンテナンス運転の内部クリーン運転を行う。内部クリーン運転時間は、エアコン室内機2のMPUボード22に記憶されているテーブルより、運転停止前の冷房運転時間に応じて決定される。
【0043】
メンテナンス運転開始時、メンテナンス運転時間とエアコン室内機2のMPUボード22に記憶されているメンテナンス運転の単位時間当たりの電気代からメンテナンス運転にかかる電気代を計算して、メンテンナンス運転モード、運転時間、電気代の情報をリモコン1に送信して、リモコン1は、受信した情報を表示する。
【0044】
リモコン1は、表示してから5.5秒後に、メンテナンス運転時間情報よりその内部クリーン運転の残り時間を表示(残り約90分)し、カウントダウンして表示させる。このカウントダウンの計時は、リモコン1のRTC17により行う。または、エアコン室内機2側のRTC23により行い、そのカウントダウン情報をリモコン1に送信して表示させても良い。
【0045】
図10に示す内部クリーン運転が表示され、残り時間がある時点で、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、内部クリーン運転が途中で停止され、白抜き矢印で示す運転停止画面が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計が表示され、今日の電気代合計に内部クリーン運転の途中停止までの電気代を含む金額が表示される。
【0046】
また、図10に示す内部クリーン運転が表示され、途中停止することなくメンテナンス運転が終了した場合、黒矢印で示すように、メンテナンス運転(ここでは、内部クリーン運転)のみの運転時間と実際にかかった電気代を表示した後、白抜き矢印で示す運転停止状態が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計とを表示している。
【0047】
続いて、エアコン室内機2が空調運転中で、リモコン1も図11に示すように冷房運転中の画面が表示されている場合に、操作者がリモコン1の運転/停止キー16aを押下すると、図10の場合と同様に、エアコン室内機2に対しログを要求し、エアコン室内機2のMPUボード22で計算した今日の運転の電気代と運転時間とがリモコン1に表示される。図10と同様にエアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転が冷房運転で熱交換器等が結露していると判断して、空調運転停止後に内部クリーン運転を自動で開始する。この時、エアコン室内機2は、メンテンナンス運転モード、運転時間、電気代の情報をリモコン1に送信して、リモコン1は、受信した情報を表示する。
【0048】
リモコン1は、上記情報を表示してから5.5秒後に、メンテナンス運転時間情報よりその内部クリーン運転中は残り運転時間をカウントダウン表示する。
【0049】
90分後に内部クリーンが終了すると、白抜き矢印で示すように、内部クリーン運転のみの運転時間と実際にかかった電気代とを表示する。さらに、エアコン室内機2のMPUボード22は、図11に示すように、所定の空調運転積算時間が到来したと判断すると、白抜き矢印で示すようにフィルタを清掃するフィルタークリーン運転を自動で開始する。この時も内部クリーン運転と同様にエアコン室内機2は、メンテンナンス運転モード、運転時間、電気代の情報をリモコン1に送信して、リモコン1は、受信した情報を表示する。その後、フィルタークリーン運転中は、リモコン1に運転状況と残り時間をカウントダウン表示する。このカウントダウン表示は、内部クリーン運転の場合と同様であって、リモコン1あるいはエアコン室内機2のいずれのRTCを使って行っても良い。
【0050】
また、図11に示すフィルタークリーン運転が途中停止されることなくメンテナンス運転が終了すると(10分後)、白抜き矢印で示すように、メンテナンス運転(ここでは、フィルタークリーン運転)のみの運転時間と電気代を表示した後、次の白抜き矢印で示す運転停止状態が表示される。この運転停止画面には、今日の電気代合計と、昨日の電気代合計とが表示される。
【0051】
このように、リモコン1に表示される表示画面は、空調運転終了後にメンテナンス運転を自動で行った場合、空調運転の運転時間と電気代とは別に、メンテナンス運転の運転時間と実際にかかった電気代とを表示している。このため、操作者は、メンテナンス運転にどの程度の電気代がかかるかを明確に把握することができると共に、トータルの運転時間と電気代を表示する場合も、空調運転だけでなくメンテナンス運転を含む運転状況が表示されるので、常に正しい運転状況を知ることができる。これにより、操作者は、メンテナンス運転や種々の運転設定を設定する場合に、これらの表示に基づいて正しい設定を行うことができる。
【0052】
例えば、図12に示すように、設定画面でフィルタークリーン間隔が「標準」に設定してあった場合、操作者は、フィルタークリーン運転にかかった電気代を見て、それ程高くないことがわかると、より頻繁にフィルタークリーン運転を行う間隔を「短め」に設定変更することができる。また、これとは逆に、操作者は、フィルタークリーン運転にかかった電気代が高いと思う場合、フィルタークリーン運転を行う間隔を「長め」に設定変更することができる。
【0053】
[メンテナンス運転の運転状況表示動作]
図13は、本実施例にかかる空気調和機の動作を説明するフローチャートである。図13を用いて、空調運転後にメンテナンス運転を自動で行う場合の動作を説明する。まず、空調運転中に操作者から空調運転の停止操作があったか否かを判断する(ステップS100)。エアコン室内機2は空調運転の停止操作が無い場合は、空調運転の停止操作があるまで待機する(ステップS101)。
【0054】
操作者がリモコン1から空調運転の停止操作を行うと(ステップS100でYes)、エアコン室内機2のMPUボード22は、空調運転の運転時間と電気代を計算し、RFモジュール21を介してエアコン室内機2から空調運転時間と電気代等の情報をリモコン1に送り、リモコン1で空調運転時間と電気代等の情報を取得する(ステップS102)。エアコン室内機2は、空調運転終了後にメンテナンス運転を行うか否を判断する。メンテナンス運転を行わない場合は(ステップS103でNo)、リモコン1のMPUボード14は、取得した空調運転の運転時間と電気代とを表示する(ステップS104)。
【0055】
また、ステップS103において、メンテナンス運転有りと判断すると(ステップS103でYes)、エアコン室内機2のMPUボード22は、予め決められたメンテナンス運転時間をエアコン室内機2のMPUボード22に記憶されているテーブルから抽出して、その電気代を計算してメンテナンス運転の情報を生成し(ステップS105)、エアコン室内機2は、このメンテナンス運転情報をリモコン1に送り、リモコン1はメンテナンス運転時間と電気代とをリモコン1のLCDユニット15に表示する(ステップS106)。リモコン1は、エアコン室内機2から送られてきた運転時間をもとに残りの運転時間をカウントダウン表示する(ステップS107)。リモコン1はカウントダウン完了まで、省エネのためにエアコン室内機2からの受信待ち状態をオフとし、カウントダウン完了後、エアコン室内機2に完了通知し、エアコン室内機2は、メンテナンス運転時間と実際にかかった電気代と、空調運転とメンテナンス運転のトータルの運転時間と電気代を計算し、その情報をリモコンに送信する。リモコン1は、LCDユニット15にメンテナンス運転時間と電気代とを表示させ(ステップS108)、その後、空調運転とメンテナンス運転のトータルの運転時間と電気代とを表示する(ステップS109)。
【0056】
このように、本実施例にかかる空気調和機は、空調運転停止後にメンテナンス運転が自動で開始された場合であっても、リモコン1に空調運転の運転時間と電気代だけでなく、メンテナンス運転のみの運転時間と電気代とを表示することができる。このため、操作者は、リモコン1に表示されたメンテナンス運転の運転時間と電気代とに基づいてメンテナンス運転の設定を適切に行うことができる。
【0057】
また、本実施例にかかる空気調和機は、空調運転停止後にメンテナンス運転が自動で開始された場合であっても、リモコン1に空調運転にメンテナンス運転を加えたトータルの運転時間と電気代を表示することができるため、正確な運転時間と電気代とをリモコン1に表示することができる。このため、操作者は、この正確な情報に基づいて空気調和機に関する種々の設定を正しく行うことができる。
【0058】
[リモコンとPC間の通信シーケンス]
また、本実施例のリモコン1は、エアコン室内機2の運転情報が管理可能なPC3と接続する外部接続端子としてのUSBソケット12を備えている。このため、リモコン1とPC3をUSB接続することにより、エアコン室内機2の運転情報をリモコン1を経由してPC3に収集することが可能となり、PC3においてエアコン室内機2の運転情報を管理することができる。
【0059】
図14は、本実施例にかかるリモコンとPCとの間でログ情報の受け渡しを行う場合の通信手順を説明する図である。上記したエアコン1とリモコン2間の通信シーケンスにより、リモコン1のMPUボード14のEEPROMに保存されたエアコンの運転状況のログをPC3に送信するものである。リモコン1のMPUボード14のEEPROMは、エアコンから受信したログを最大40日分保存できる容量を持っている。
【0060】
まず、リモコン1とPC3との間をUSB接続すると、USBドライバにより通信可能となるまでの一連の処理(エニュメレーション)が行われ、エニュメレーションの完了によりリモコン1とPC3との間で通信が可能になる(ステップS85)。エニュメレーションの間は、「接続検出:USB接続中」の表示がリモコン1のLCDユニット15に表示される。
【0061】
エニュメレーションが完了すると、PC3は、リモコン1に対してエアコン情報を要求する(ステップS86)。リモコン1は、これに応答してMPUボード14のEEPROMに保存したエアコン情報をPC3に対して送信する(ステップS87)。エアコン情報としては、エアコンの製品名、シリーズ名、能力帯、室内機年度、使用電圧の他、エアコンMACアドレス、部屋情報、およびリモコンタイプなどがある。
【0062】
PC3は、受信したエアコン情報と、管理しているエアコン情報とを照合し、受信したエアコン情報がどのエアコンに該当するのかを識別する。PC3において、複数のエアコンを管理している場合は、受信したエアコン情報がどのエアコンに該当するかを照合する必要がある。
【0063】
続いて、PC3は、運転設定情報を読み込むため、リモコン1に対してエアコン運転設定情報を要求する(ステップS88)。リモコン1は、これに応答してMPUボード14のEEPROMに保存されているエアコン運転設定情報をPC3に送信する(ステップS89)。エアコン運転設定情報としては、音量レベル、ボイスの有無、不在エコの切り換え、内部クリーンの有無、お手入れ時間、省エネファンの有無、自動パワフルの有無、および電流切換などがある。
【0064】
続いて、PC3は、リモコン1に対してログ読込みのために、ログ要求を行う(ステップS90)。リモコン1は、PC3からのログ要求に応答して、ログデータを送信する(ステップS91)。PC3とリモコン1とは、次データ要求とログデータの送信が繰り返される(ステップS92、S93、S94)。リモコン1は、送信するログデータが無くなった時点でPC3に対しログ終了を送信することにより(ステップS95)、PC3におけるログ読込み処理が完了する。その後、PC3とリモコン1とをつなぐUSB接続が切断され(ステップS96)、リモコン1がPC3との間の通信モードから解放されると、LCDユニット15の表示が通常表示に移行する。
【0065】
このように、エアコン室内機2に一時的に保存された(最大10日間分保存可能)エアコンの運転ログは、リモコン1側に送信されて保存され(最大40日間分保存可能)、リモコン1とPC3とをUSB接続した時点で、リモコン1に保存されていたログがPC3側に転送される。PC3では、予めインストールされた運転情報管理ソフトを使って、図13〜図28に示すようにエアコン室内機2の運転情報を管理することができる。
【0066】
[PCにおける運転情報の管理]
図15〜図30は、PCが取得したログ情報に基づいてエアコンの運転情報管理を行うPC画面例を示す図である。まず、PC3は、運転情報管理ソフトにより図15に示すような画面が表示される。操作者は、エアコン選択タグ100をクリックし、その中の「リビング1」のボタン101をクリックすると共に、カレンダータグ102をクリックすると、「リビング1」のエアコンにおける毎日の運転時間と電気代、月単位、年単位の電気代、月目標電気代等が記載されたカレンダー画面103が表示される。これにより、エアコン毎の運転状況と電気代とを継続的に把握可能となり、エアコンの効率的な利用や設定に利用することができる。
【0067】
PC3とリモコン1とをUSB接続した場合は、図16に示すように、リモコン1が接続され、データ受信中であることを示すウインドウ104が表示される。そして、PC3には、新たな運転情報がPC3に取り込まれると、図17に示すように、カレンダー画面103にリモコン1に保存されていた前日までの運転時間と電気代とが追加された画面が表示される。
【0068】
続いて、操作者は、図17の状態から画面上のグラフタグ105をクリックすると、図18に示すように、毎日の電気代が棒グラフ化されたグラフ画面106を表示することができる。これにより、一カ月間のエアコンの電気代の増減を一目で把握することができる。また、累計電気代として、今月の「リビング1」にかかったエアコン電気代の合計、前の月の電気代の合計、年間の電気代の合計、前の年の電気代の合計、月目標電気代等も表示されるため、エアコンの運転状況を多角的に把握することが可能になる。
【0069】
また、図18の画面において、エアコン選択タグ100の全室合計ボタン108をクリックすると、リビング1ボタン101と寝室1ボタン107のそれぞれが合計されたグラフ画面106が色違い(モノクロ表示であれば、濃度違い)で表示される。これにより、全室のエアコンの電気代の合計とその内訳を一目で把握することができる。また、グラフ画面106には、縮小ボタン109と拡大ボタン110が設けられている。例えば、図19に示す状態で拡大ボタン110をクリックすると、グラフ画面106は、図20のようにグラフのレートが変化し、拡大表示することができる。これにより、電気代の微妙な変化も明確に把握することができる。
【0070】
例えば、図21に示すように、エアコン選択タグ100に、リビング1ボタン101、ダイニング1ボタン111、和室1ボタン112、寝室1ボタン113、子供部屋1ボタン114、その他1ボタン115、子供部屋2ボタンという多数のエアコンが登録されている場合は、全室合計ボタン108をクリックすると、1日毎の全室の電気代の合計のグラフが表示される。そして、1日の全室の電気代の合計のグラフは、さらに部屋毎の電気代が色違い(モノクロ表示であれば、濃度違い)で表示されるため、多数のエアコンの電気代の内訳も一目で把握することができる。
【0071】
また、図19に示すグラフ表示において、特定の日にちをクリックすると、図22に示すように、その日の運転状況を詳細に示すウインドウ117を開くことができる。そのウインドウには、その日の全室合計の電気代、運転時間、および外気温度の平均気温などを表示することができる。
【0072】
さらに、図23に示すエアコン設定確認画面119は、エアコン選択タグ100のリビング1ボタン101をクリックし、エアコン設定確認タグ118をクリックした場合の画面である。このエアコン設定確認画面119は、リビング1ボタン101に登録されているエアコンの設定内容の詳細をPC3の画面上で容易に確認することができる。また、エアコン設定確認画面119は、設定内容の機能が併せて表示されているため、操作者が設定内容を変更する際に設定内容を正しく理解しながら変更することができる。さらに、次のページボタン120をクリックすると、図24に示すように、次頁のエアコン設定確認画面119が表示される。そして、設定内容を変更する場合は、変更する設定内容をクリックすると、変更内容がメニュー表示され、所望の内容をクリックすることにより設定内容が変更される。前頁のエアコン設定確認画面119に戻りたい場合は、前のページボタン121をクリックする。このように変更された設定情報は、USB接続されたPC3からリモコン1に送られ、リモコン1からエアコン室内機2に対してコマンド等を送る際に、変更された設定情報を併せて送ることにより、エアコン室内機2の設定が変更される。
【0073】
また、図17のカレンダー表示において、図25に示すワンポイントアドバイスボタン123がクリックされると、ワンポイントアドバイスウインドウ122が開いて、操作者に対しエアコンを効率的に使用するためのアドバイスが表示される。ワンポイントアドバイスウインドウ122が複数ある場合は、次頁ボタン122aや前頁ボタン122bをクリックすることにより、別のワンポイントアドバイスウインドウ122を開くことができる(図26参照)。
【0074】
さらに、図27に示すように、エアコン選択タグ100の隣のファイル管理タグ124をクリックすると、CD−ROM等からのデータの読み込みを行う読み込みボタン125、CD−R等に対してデータの書き出しを行う書き出しボタン126、エアコン選択タグにおいて登録されているエアコンの機種を削除する機種削除ボタン127、フレキシブルディスク(FD)等にファイルを書き出すファイルボタン128、このPCソフトのヘルプ表示を行うためのこのソフトの使い方ボタン129、およびこのPCソフトの名称や提供元やバージョン情報等を表示させるこのソフトについてボタン130等が表示される。例えば、この中の機種削除ボタン127をクリックすると、図28に示すようなウインドウ131が開いて、既に登録されている機種一覧が表示される。例えば、この中のリビング1ボタン131をクリックすると、図29に示すように、削除確認のための確認ウインドウ132が開かれ、「はい」または「いいえ」をクリックすることで削除、あるいは削除を中止できる。
【0075】
また、図30に示すように、ファイル管理タグ124のこのソフトについてボタン130をクリックすると、このPCソフトの名称、提供元名称、また、図示していないがリリース年月日等が表示された画面133を表示することができる。
【0076】
このように、本実施例にかかる空気調和機は、エアコン室内機2の運転情報をリモコン1を介してPC3でも管理できるようにしたため、リモコン1の表示画面だけでは表示できなかった表示内容を、PC3のような外部接続機器のディスプレイを使って詳細に表示させることができる。特に、図23、図24に示すエアコンの設定画面では、内部クリーンやフィルタークリーン間隔を設定する際に、メンテナンス運転のみの運転時間と電気代とを参照することができるため、操作者にとってわかり易く設定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、空気調和機本体とリモコンとの間で双方向通信が可能な場合に有用であり、特に、空調運転後にメンテナンス運転が自動的に開始される空気調和機に適している。
【符号の説明】
【0078】
1 リモートコントローラ(リモコン)
11 RFモジュール
12 USBソケット
13 IRLED
14 MPUボード
15 LCDユニット
16 キー操作部
17 RTC(リアル・タイム・クロック)
18 電池
2 エアコン
21 RFモジュール
22 MPUボード
22a 空調運転モード
22b メンテナンス運転モード
23 RTC(リアル・タイム・クロック)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調運転後にメンテナンス運転を行う空気調和機本体と、前記空気調和機本体を運転操作するリモコンとを備えた空気調和機であって、
前記空気調和機本体は、
前記リモコンから運転操作する操作信号を受信する本体受信手段と、
前記リモコンに対して前記空気調和機本体の運転情報を送信する本体送信手段と、
前記空気調和機本体の前記空調運転と前記メンテナンス運転における運転時間と消費電力とを計算する計算手段と、
を備え、
前記リモコンは、
前記空気調和機本体に対して運転操作を行う操作信号を送信するリモコン送信手段と、
前記空気調和機本体から送信される前記空気調和機本体の運転情報を受信するリモコン受信手段と、
前記リモコン受信手段が受信した運転情報を表示する表示手段と、
を備え、
前記リモコン送信手段が、前記空気調和機本体に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、前記本体受信手段がこれを受信し、前記計算手段により前記空調運転と前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを計算し、前記本体送信手段から運転情報として送信すると、前記リモコン受信手段がこれを受信し、前記表示手段に表示することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを分けて表示することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転要する運転時間と消費電力とを同一画面に表示することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転中の運転時間と消費電力とを時間差を設けて画面を切り換えて表示することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転と前記メンテナンス運転の合計の運転時間と、合計の消費電力とを表示することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項1】
空調運転後にメンテナンス運転を行う空気調和機本体と、前記空気調和機本体を運転操作するリモコンとを備えた空気調和機であって、
前記空気調和機本体は、
前記リモコンから運転操作する操作信号を受信する本体受信手段と、
前記リモコンに対して前記空気調和機本体の運転情報を送信する本体送信手段と、
前記空気調和機本体の前記空調運転と前記メンテナンス運転における運転時間と消費電力とを計算する計算手段と、
を備え、
前記リモコンは、
前記空気調和機本体に対して運転操作を行う操作信号を送信するリモコン送信手段と、
前記空気調和機本体から送信される前記空気調和機本体の運転情報を受信するリモコン受信手段と、
前記リモコン受信手段が受信した運転情報を表示する表示手段と、
を備え、
前記リモコン送信手段が、前記空気調和機本体に対して運転を停止させる操作信号を送信すると、前記本体受信手段がこれを受信し、前記計算手段により前記空調運転と前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを計算し、前記本体送信手段から運転情報として送信すると、前記リモコン受信手段がこれを受信し、前記表示手段に表示することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転に要する運転時間と消費電力とを分けて表示することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転要する運転時間と消費電力とを同一画面に表示することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転の運転時間と消費電力と、前記メンテナンス運転中の運転時間と消費電力とを時間差を設けて画面を切り換えて表示することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記表示手段は、前記空気調和機の前記空調運転と前記メンテナンス運転の合計の運転時間と、合計の消費電力とを表示することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−149853(P2012−149853A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10303(P2011−10303)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
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